JPH11344431A - 有機高分子材料物品の余寿命推定方法 - Google Patents

有機高分子材料物品の余寿命推定方法

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JPH11344431A
JPH11344431A JP15491598A JP15491598A JPH11344431A JP H11344431 A JPH11344431 A JP H11344431A JP 15491598 A JP15491598 A JP 15491598A JP 15491598 A JP15491598 A JP 15491598A JP H11344431 A JPH11344431 A JP H11344431A
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哲哉 芦田
Takeshi Ikeda
毅 池田
Junichiro Ikehara
潤一郎 池原
Masanori Fujii
政徳 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の劣化要因にて劣化した被覆ケーブルな
どの有機高分子材料物品の余寿命を、従来方法よりも良
好に推定し得る方法を提供することにある。 【解決手段】 有機高分子材料の破断伸び率などの劣化
診断特性をパラメータとする複数のアレニウス曲線を利
用して、一定期間使用された有機高分子材料物品の使用
期間Lとその時点での有機高分子材料の劣化診断特性C
の値CX とから該物品の実効使用温度を読み取り、実効
使用温度における寿命t−h相関関係上での加熱時間と
加熱時間L(上記の使用期間L)との時間差を求めてこ
れを余寿命とすることを特徴とする有機高分子材料物品
の余寿命推定方法。 【効果】 従来方法よりも一層高い確度で各種有機高分
子材料物品の余寿命を推定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機高分子材料に
て形成された被覆層を有する被覆ケーブルなどの有機高
分子材料物品の余寿命推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の有機高分子材料物品は、熱、日
光、雨水、放射線あるいはその他の原因によりその有機
高分子材料部分が劣化し、劣化の進行と共にその部分の
諸特性が変化する。一方、電力ケーブル、通信ケーブ
ル、屋内配電線などの各種の被覆ケーブルでは、被覆層
の劣化により必要な送電が不可となって停電や火災事故
が生じる問題がある。停電や被覆ケーブルの火災事故な
どが生じると、社会に及ぼす影響が甚大であるので、か
かる事故が生じないように監視し、ある程度の確度をも
って余寿命を推定し、推定された余寿命に達する前に被
覆ケーブルを撤去して新品と交換することが強く要求さ
れている。
【0003】各種の有機高分子材料について、劣化の反
応機構や劣化速度の温度依存性について多数の論文が国
内外で報告されており、またその劣化速度定数について
の周知のアレニウス曲線を利用して有機高分子材料の劣
化寿命を推定する種々の提案も古くからなされている。
しかし従来における劣化寿命の推定は、酸化劣化などの
特定の劣化条件のみが寿命点まで進行することを前提と
している。
【0004】しかし使用中での有機高分子材料物品の劣
化は、酸素、温度、日光、雨水あるいはその他の劣化要
因が複雑に関与する複合劣化であるために、特定の劣化
条件のみについての従来の推定方法では、推定値の確度
が低い問題がある。
【0005】ところで本発明者らは、使用中の有機高分
子材料物品の劣化には厳密には上記の種々の劣化要因が
関与するけれども、それら種々の劣化要因による個々の
劣化度を積算した積算劣化度を考慮すると共に該積算劣
化度に対応する「実効使用温度」なる概念を創設した。
その場合、積算劣化度が特定の実効使用温度のみに依存
して惹起されたものと仮定する。かかる仮定の基でアレ
ニウス曲線を利用したところ、予想外にも有機高分子材
料物品の余寿命推定の確度が向上するとの新知見を得
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の新知
見に基づいて開発し完成したものであって、その課題は
種々の劣化要因にて劣化した有機高分子材料物品の余寿
命を従来方法よりも良好に推定し得る方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の各課題は、つぎに
示す方法により解決することができる。
【0008】(1) (工程1)余寿命推定の対象とする有
機高分子材料物品を形成する有機高分子材料について該
有機高分子材料の劣化診断特性Cをパラメータとして加
熱温度tと加熱時間hとのt−h相関関係を実験的に確
立し、且つ該t−h相関関係のうちから選択した特定の
相関関係を寿命t−h相関関係として定め、(工程2)
一定期間使用された有機高分子材料物品の使用期間Lと
その時点での有機高分子材料の劣化診断特性Cの値CX
とを調べ、(工程3)該使用期間Lを上記相関関係にお
ける加熱時間と見做して加熱時間Lと劣化診断特性値C
X とからt−h相関関係を利用して加熱温度を求め、か
くして求めた加熱温度を有機高分子材料物品の実効使用
温度と見做し、(工程4)実効使用温度における寿命t
−h相関関係上での加熱時間と加熱時間Lとの時間差を
求めてこれを余寿命とすることを特徴とする有機高分子
材料物品の余寿命推定方法。 (2) 劣化診断特性Cが、有機高分子材料の破断伸び率で
ある上記(1) 記載の有機高分子材料物品の余寿命推定方
法。 (3) 有機高分子材料が、ポリ塩化ビニル組成物である上
記(1) または(2) 記載の有機高分子材料物品の余寿命推
定方法。 (4) 有機高分子材料が、クロロプレンゴム組成物の架橋
体である上記(1) または(2) 記載の有機高分子材料物品
の余寿命推定方法。 (5) 有機高分子材料物品が、直射日光および/または雨
水がかかる環境下で使用されたものである上記(1) 〜
(4) のいずれかに記載の有機高分子材料物品の余寿命推
定方法。 (6) 有機高分子材料物品が、有機高分子材料にて形成さ
れた被覆層を有する被覆ケーブルである上記(1) 〜(5)
のいずれかに記載の有機高分子材料物品の余寿命推定方
法。
【0009】
【作用】劣化診断特性C、例えば有機高分子材料の破断
伸び率、をパラメータとして実験的に確立した加熱温
度、例えば1/T(Tは絶対温度)と加熱時間との相関
関係を利用し、且つ一定期間使用された有機高分子材料
物品の使用期間Lと使用期間Lの直後における有機高分
子材料の劣化診断特性Cの値CX とを調査して、該値C
X を前記した積算劣化度と見做し、それに対応する実効
使用温度を上記の相関関係を利用して求め、ついで本発
明の工程4にて後記する方法にて余寿命を推定すること
ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明は、各種の有機高分子材料物品を余
寿命推定の対象となし得、また該有機高分子材料物品を
形成する有機高分子材料についても、所謂、一般的に機
械的構造材料として使用し得る程度の機械強度を有する
種々の合成または天然の有機高分子、さらには該有機高
分子に各種の配合剤、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収
剤などの老化防止剤、加工助剤、可塑剤、安定剤、顔
料、架橋剤、架橋助剤、充填剤、カーボンブラックある
いはその他の薬剤を配合してなる組成物などを対象とな
し得る。
【0012】有機高分子の例を挙げると、樹脂ではポリ
エチレン、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフ
ィン、ナイロンなどのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、熱可塑性ポリエステル、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共
重合体、ポリテトラフルオロエチレンなど、ゴムでは天
然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロ
ピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元
共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合ゴム、エチレン−エチルアクリレート共重合
ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレ
ンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、フ
ッ素ゴムなど、熱可塑性エラストマーではABA型トリ
ブロックや(AB)n X型ラジアルブロックなどのスチ
レン系熱可塑性エラストマー、ブレンド型TPO、部分
架橋ブレンド型TPO、完全架橋ブレンド型TPOなど
のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ニトリルゴ
ムブレンド体や部分架橋ニトリルゴムブレンド体などの
ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル
系やポリエーテル系などのポリウレタン系熱可塑性エラ
ストマー、ポリエステル・ポリエーテル型やポリエステ
ル・ポリエステル型などのポリエステル系熱可塑性エラ
ストマーなどである。
【0013】有機高分子材料物品についての若干の例を
挙げると、被覆ケーブル、チューブ、ホース、容器、板
材、看板、各種の装置に使用されている部品などであ
り、就中、ポリ塩化ビニル組成物、クロロプレンゴム組
成物の架橋体などにて形成されたもの、特に被覆ケーブ
ルが好ましい。
【0014】工程1においては、先ず余寿命推定の対象
とする有機高分子材料物品を形成する有機高分子材料に
ついて該有機高分子材料の劣化診断特性Cをパラメータ
として加熱温度tと加熱時間hとの相関関係(以下、t
−h相関関係)を実験的に調べる。
【0015】その際の劣化診断特性Cとしては、有機高
分子材料物品の使用により値が変化する特性であれば特
に制限はなく、例えば超音波伝搬特性、表面反発硬度、
表面針入硬度、あるいは有機高分子材料物品が被覆ケー
ブルのような長尺物であれば、長尺物の捩じりトルクや
曲げ剛性など、の非破壊検査が可能な特性であってもよ
く、あるいは引張強さ、破断伸び率、弾性率、ヤング
率、モジュラス、誘電率、誘電正接、体積抵抗率、交流
破壊電圧強度、インパルス破壊電圧強度などの機械−電
気的劣化診断特性であってもよい。就中、破断伸び率
が、劣化に対する経時的変化を顕著に表すとの理由で特
に好ましい。
【0016】工程1においてt−h相関関係を実験的に
確立するために用いる有機高分子材料としては、余寿命
推定の対象とする有機高分子材料物品を形成する有機高
分子材料自体のみならず、該有機高分子材料と同じ組成
を有する再現材料、または該再現材料と類似の材料であ
ってもよい。該再現材料と類似の材料については、該再
現材料と同じ有機高分子をベースとし、且つその劣化診
断特性Cが該再現材料のそれと±20%以内のズレで一
致するものであればよい。例えば劣化診断特性Cが破断
伸び率であって、有機高分子材料の再現材料のそれが3
00%であれば、240〜360%の破断伸び率を有し
ているものを類似の材料として採用することができる。
【0017】以下において、劣化診断特性Cとして破断
伸び率を代表に取り上げて説明するが、以下の説明は破
断伸び率以外の各種の劣化診断特性Cについても該当す
る。また以下において、一般的概念としての破断伸び率
は破断伸び率Eと表示し、特定の数値の破断伸び率Eを
表示する場合には、破断伸び率EX と表示する。
【0018】つぎに上記した有機高分子材料の一種を試
験材料として、それをプレス加工にて例えば厚さ1〜5
mm程度のシートに加工し、該シートを加熱劣化試料と
してこれを種々の加熱温度tで適当時間、オーブン中で
加熱して各加熱温度t毎に加熱時間hに対する破断伸び
率Eの変化を測定する。その際、加熱温度tは可及的に
広温度範囲で且つ小刻みとすることが好ましいが、一般
的に90℃以下の低温度での加熱では劣化の進行が遅い
ので通常は100〜200℃の範囲で少なくとも50℃
刻み、特に20℃刻みとすることが好ましい。一方、各
加熱温度t毎の加熱時間hは、少なくとも1ケ月間、特
に少なくとも3ケ月間とすることが好ましい。図1はそ
の結果のモデルグラフであって、加熱温度t(t1 〜t
4)をパラメータとして横軸を加熱時間hとし、縦軸を破
断伸び率E(%)としている。なお上記した試験材料の
加熱劣化試料としては、上記のプレス加工シートに代え
て未劣化の余寿命推定対象物自体であってもよいことは
勿論である。
【0019】つぎに、一定の破断伸び率Eにおける各加
熱温度(t1 〜t4)と加熱時間hとの関係を図1から読
み取ってグラフ化する。図2はその一例であって、そこ
では横軸に加熱温度tの絶対温度Tの逆数を取り縦軸に
加熱時間hの対数を取って、破断伸び率Eをパラメータ
として、それが100%、150%、200%、250
%、および300%である場合の各t−h相関関係、所
謂アレニウス曲線を示している。図1から読み取ったデ
ータから図2上でアレニウス曲線を求める際には最少二
乗法にて相関係数が最少となる一次式(直線)、あるい
は二次以上の多次式を求めるとよいが、多くの場合、実
際的には一次式(直線)で近似することができる。
【0020】本発明においてt−h相関関係を実験的に
確立するための前記した加熱劣化試料の加熱の際の雰囲
気については、余寿命推定の対象たる有機高分子材料物
品が使用されている雰囲気と同じとしてよい。例えば有
機高分子材料物品が大気中で使用されている場合には、
加熱劣化試料は大気の存在下で加熱し、窒素気流中で使
用されている場合には同気流中で加熱すればよい。
【0021】工程1において、図2に示す破断伸び率1
00%、150%、200%、250%、300%など
の複数のt−h相関関係の中から任意に選定した特定パ
ラメータ値についてのt−h相関関係を寿命t−h相関
関係として定める。その際、有機高分子材料物品の種
類、該物品についてのユーザーの使用上での管理基準、
あるいはその他の事情を考慮して寿命t−h相関関係を
選択し設定してよい。いまここでは本発明の説明のため
に、破断伸び率Eが100%の太線で示すt−h相関関
係を寿命t−h相関関係と仮に定めておく。
【0022】工程2においては、一定期間使用された有
機高分子材料物品の使用期間Lとその時点での有機高分
子材料の特定の破断伸び率Eの値、即ち破断伸び率Ex
が使用現場で測定される。
【0023】工程3においては、該使用期間Lを図2の
縦軸の加熱時間と見做して加熱時間Lと破断伸び率Ex
とからt−h相関関係を利用して加熱温度を求め、かく
して求めた加熱温度を有機高分子材料物品の実効使用温
度と見做す。今仮に破断伸び率Ex が250%であると
すると、パラメータ値が250%であるt−h相関関係
と使用期間L(加熱時間L)とが交差する点bでの温度
が実効使用温度となる。なお図2において、説明の都合
から加熱時間Lを縦軸上の適当な位置に示したが、その
位置では実効使用温度はte となることが判る。パラメ
ータ値が250%であっても、その場合の使用期間Lが
異なれば実効使用温度も上下に変わることが図2より明
らかである。
【0024】工程4においては、工程3にて得た実効使
用温度te における寿命t−h相関関係上での点aでの
加熱時間Le と加熱時間Lとの時間差( Le −L)を求
めてこれを余寿命とする。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を一層詳細に説明
すると共に比較例をも挙げて、本発明の顕著な効果も明
らかにする。
【0026】実施例1 屋外布設の信号用ケーブルを余寿命の推定対象とした。
該信号用ケーブルは、径1.0mmの撚線銅導体の上に
厚さ1.0mmのポリ塩化ビニル絶縁層を有し、その上
に厚さ1.5mmのポリ塩化ビニルシース層を有する6
00V用電力ケーブルであって、該ポリ塩化ビニルシー
ス層はポリ塩化ビニルとその100重量部あたり、可塑
剤としてのジイソノニルフタレート50重量部、安定剤
としての三塩基性硫酸鉛6重量部、および充填剤として
の臭素系難燃剤60重量部からなる組成物にて形成され
ている。上記電力ケーブルの5年間布設後におけるポリ
塩化ビニルシース層の破断伸び率は、平均272%
(n:20)であり、5年布設の間の平均シース温度は
約40℃であった。上記のシース層のポリ塩化ビニル組
成物と同じ組成物を再現し、その1.5mm厚シートを
プレス成形にて作成し、該1.5mm厚シートを対象と
して空気が循環するオーブン中で100〜120℃の温
度で加熱して各加熱温度t毎に加熱時間に対する破断伸
び率の変化を測定し、図3に示す結果を得た。ついで図
3から得たデータを基にアレニウス・プロットを行って
図4に示す破断伸び率をパラメータとするt−h相関関
係を得た。なお図4では余寿命の推定に必要な低温度域
のみを示し、その縦軸は図3の加熱時間に相当するが、
余寿命推定のために「年数」とした。また曲線C1は破
断伸び率272%のアレニウス曲線であり、曲線C2は
破断伸び率230%のアレニウス曲線である。図4の曲
線C1より、布設期間5年と破断伸び率272%とに対
する実効使用温度は、約50℃なることが判る。一方、
破断伸び率が230%となるt−h相関関係(曲線C
2)を寿命t−h相関関係として設定すると、図4より
5年間布設ケーブルが寿命に達する、換言すると、その
破断伸び率が230%にまで低下するに要する期間即ち
余寿命は、約13年と推定される。この電力ケーブルを
その後も同じ環境下(平均シース温度は約40℃)で運
転を続けたところ、布設後20年、即ち破断伸び率が2
72%に低下してから後15年目ではシース層の破断伸
び率が平均228%(n:20)にまで低下した。これ
より約13年の推定余寿命は、実測値と2年の誤差はあ
るものの工業的には十分な推定値であることが判る。
【0027】比較例1 余寿命が13年と推定された実施例1の信号用ケーブル
を、その平均シース温度が40℃の条件で運転を続ける
として、約50℃の実効使用温度を採用せずに従来方法
のように40℃で余寿命を推定すると、図4から推定余
寿命は71年となって実測値の15年から大きく外れる
ことが判る。
【0028】実施例2 工場の壁に沿って布設されている屋外布設のクロロプレ
ンシースケーブルを余寿命の推定対象とした。該ケーブ
ルは、径2.0mmの撚線銅導体の上に厚さ2.5mm
の天然ゴム絶縁層を有し、その上に厚さ1.8mmの難
燃性クロロプレンシース層を有する3300V用電力ケ
ーブルであって、該クロロプレンシース層はクロロプレ
ンとその100重量部あたり、パラフィン系オイル20
重量部、充填剤としての珪酸アルミニウム60重量部、
およびカーボンブラック25重量部からなる組成物の押
出層を加熱架橋して形成されている。上記電力ケーブル
の9年間布設後における難燃性クロロプレンシース層の
破断伸び率は、平均378%(n:20)であり、9年
布設の間の平均シース温度は約45℃であった。上記の
シース層の難燃性クロロプレン組成物と同じ組成物を再
現し、それを150℃、30分のプレス成形架橋にて2
mm厚の架橋シートを作成し、該2mm厚シートを対象
として空気が循環するオーブン中で120〜150℃の
温度で加熱して各加熱温度t毎に加熱時間に対する破断
伸び率の変化を測定し、その測定結果から実施例1の場
合と同様にしてアレニウス・プロットし、破断伸び率を
パラメータとする直線的なt−h相関関係を得た。かく
して得たt−h相関関係より、布設期間9年と破断伸び
率378%とに対する実効使用温度約58℃を得た。一
方、破断伸び率が300%となるt−h相関関係を寿命
t−h相関関係として設定すると、上記のt−h相関関
係から9年間布設ケーブルが寿命に達するに要する期間
は、約7.5年と推定された。この電力ケーブルをその
後も同じ環境下(平均シース温度は約45℃)で運転を
続けたところ、布設後19年、即ち破断伸び率が378
%に低下してから後10年目ではシース層の破断伸び率
が平均298%(n:20)にまで低下した。これより
約7.5年の推定余寿命は、実測値と2.5年の誤差は
あるものの工業的には十分な推定値であることが判る。
【0029】比較例2 余寿命が約7.5年と推定された実施例2の難燃性クロ
ロプレンシースケーブルを、その平均シース温度が45
℃の条件で運転を続けるとして、約58℃の実効使用温
度を採用せずに従来方法のように45℃で余寿命を推定
すると、推定余寿命は39年となって実測値の10年か
ら大きく外れることが判かった。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、従来方法よりも一層高
い確度で各種有機高分子材料物品の余寿命を推定するこ
とができる。余寿命推定により、それら物品の使用管理
が可能且つ容易となる。さらに被覆ケーブルに本発明を
適用する場合には、一定期間使用した被覆ケーブルのそ
の後の余寿命を推定することができるので、推定寿命に
至る前にそれを撤去し必要に応じて新品と交換し得て、
しかして被覆ケーブルの絶縁破壊事故や火災事故を未然
に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機高分子材料についての加熱温度をパラメー
タとする加熱時間と破断伸び率との関係を示すモデルグ
ラフ
【図2】図1から読み取った数値にて作成され、破断伸
び率値をパラメータとする加熱温度(絶対温度T)の逆
数と加熱時間の対数との関係(t−h相関関係)を示す
グラフ
【図3】ポリ塩化ビニル組成物についての加熱温度をパ
ラメータとする加熱時間と破断伸び率との関係を示すグ
ラフ
【図4】図3から読み取った数値にて作成され、破断伸
び率値をパラメータとする加熱温度(絶対温度T)の逆
数と加熱時間の対数との関係(t−h相関関係)を示す
グラフ
【符号の説明】
a 実効使用温度te における破断伸び率100%の
t−h相関関係上の点 b 破断伸び率が250%であるt−h相関関係と加
熱時間Lのレベルとが交差する点 C1 破断伸び率272%のアレニウス曲線 C2 破断伸び率230%のアレニウス曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 政徳 兵庫県尼崎市東向島西之町8番地 三菱電 線工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (工程1)余寿命推定の対象とする有機
    高分子材料物品を形成する有機高分子材料について該有
    機高分子材料の劣化診断特性Cをパラメータとして加熱
    温度tと加熱時間hとのt−h相関関係を実験的に確立
    し、且つ該t−h相関関係のうちから選択した特定の相
    関関係を寿命t−h相関関係として定め、(工程2)一
    定期間使用された有機高分子材料物品の使用期間Lとそ
    の時点での有機高分子材料の劣化診断特性Cの値CX と
    を調べ、(工程3)該使用期間Lを上記相関関係におけ
    る加熱時間と見做して加熱時間Lと劣化診断特性値CX
    とからt−h相関関係を利用して加熱温度を求め、かく
    して求めた加熱温度を有機高分子材料物品の実効使用温
    度と見做し、(工程4)実効使用温度における寿命t−
    h相関関係上での加熱時間と加熱時間Lとの時間差を求
    めてこれを余寿命とすることを特徴とする有機高分子材
    料物品の余寿命推定方法。
  2. 【請求項2】 劣化診断特性Cが、有機高分子材料の破
    断伸び率である請求項1記載の有機高分子材料物品の余
    寿命推定方法。
  3. 【請求項3】 有機高分子材料が、ポリ塩化ビニル組成
    物である請求項1または2記載の有機高分子材料物品の
    余寿命推定方法。
  4. 【請求項4】 有機高分子材料が、クロロプレンゴム組
    成物の架橋体である請求項1または2記載の有機高分子
    材料物品の余寿命推定方法。
  5. 【請求項5】 有機高分子材料物品が、直射日光および
    /または雨水がかかる環境下で使用されたものである請
    求項1〜4のいずれかに記載の有機高分子材料物品の余
    寿命推定方法。
  6. 【請求項6】 有機高分子材料物品が、有機高分子材料
    にて形成された被覆層を有する被覆ケーブルである請求
    項1〜5のいずれかに記載の有機高分子材料物品の余寿
    命推定方法。
JP15491598A 1997-11-21 1998-06-03 有機高分子材料物品の余寿命推定方法 Expired - Fee Related JP3286597B2 (ja)

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