JPH11343485A - 活性酸素消去作用を有する抗酸化剤 - Google Patents

活性酸素消去作用を有する抗酸化剤

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JPH11343485A
JPH11343485A JP14985398A JP14985398A JPH11343485A JP H11343485 A JPH11343485 A JP H11343485A JP 14985398 A JP14985398 A JP 14985398A JP 14985398 A JP14985398 A JP 14985398A JP H11343485 A JPH11343485 A JP H11343485A
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JP
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galloyl
glucose
active oxygen
antioxidant
tetra
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JP14985398A
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Koichi Oshima
浩一 大志万
Makoto Soda
良 曽田
Hiroaki Mitani
紘明 三谷
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Sumitomo Forestry Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Forestry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性酸素消去作用を有する抗酸化剤を提供す
る。 【解消手段】 ぶな科植物の虫えいのエタノール可溶成
分、特に1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−
D−グルコースは、強力な活性酸素消去作用を有し、飲
食品、医薬品、化粧品などの素材として利用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ぶな科に属する植物の
虫えいの溶媒抽出物、特に、加水分解型タンニンで高い
活性酸素消去活性を有する1,2,3,6−テトラ−O
−ガロイル−β−D−グルコースを有効成分として含有
する抗酸化剤、及び1,2,3,6−テトラ−O−ガロ
イル−β−D−グルコースを効率よく製造する製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】活性酸素ラジカルは、単に活性酸素ある
いはフリーラジカルとも称され、不安定な不対電子を持
つ反応性に富んだ原子や分子であり、更に1電子を取り
込むかあるいは逆に与えることにより安定性を保とうと
する。一般には、スーパーオキサイド(・O2 −)、ヒ
ドロキシラジカル(HO・)、過酸化水素(H
2 2 )、一重項酸素(1O2 )の4種をさして活性酸
素と呼んでいる。その他に、ヒドロペルオキシラジカル
(HOO・)、ペルオキシラジカル(LOO・),アル
コキシラジカル(LO・)なども広い意味で活性酸素と
考えられ、これらは活性酸素種やラジカル種と呼ばれて
いる。
【0003】活性酸素ラジカルからは、新たな活性酸素
ラジカルが二次、三次的に産生されて加速度的に増加
し、細胞やDNAの損傷、脂質の過酸化等を引き起こし
て多くの疾患に関与することが近年明らかになってき
た。なかでもヒドロキシラジカル(HO・)は最も反応
性が高く、細胞損傷など障害作用の大きな活性酸素ラジ
カルであることが明らかにされている(二木悦雄(19
88)Mebio.,5,22−26)。紫外線(U
V)による皮膚等での炎症発生においても、ヒドロキシ
ラジカル(HO・)産生とその関与が確認されている。
ウィルスの感染もまた、感染者の過剰な免疫応答の結果
として、活性酸素ラジカルが生体バランス維持の必要量
以上に生成され、有害な作用を与える(T.Odaら
(1989)Science,244,974−97
6)。
【0004】かような生体での活性酸素ラジカルによる
障害に対し、スーパーオキサイド・デスムターゼ(SO
D)やカタラーゼなどの酵素にて、またアスコルビン酸
やグルタチオンなどの活性酸素消去作用成分を用いる除
去方法については、薬理学的観点から幅広く研究課題と
され、数多くの報告がなされている。
【0005】また、活性酸素ラジカルは、生体へ悪影響
を及ぼすばかりでなく、食品その他における品質劣化の
引き金となったり加速したりすることは、著名な事実と
して知られているところである。
【0006】最近、活性酸素ラジカルを除去するいわゆ
る活性酸素ラジカルスカベンジャー成分に関し、各種の
フラボノイド類およびそれらの関連成分(カテキン、ケ
ルセチン、ケンフェロール、ミリセチン、ルチン、アン
トシアニン、ポリフェノール、他)やサポニン類など、
食素材に由来し、これまであまり顧みられていなかった
天然成分についての研究に多くの注目と期待が集められ
ている。
【0007】例えば、緑茶中の天然成分であり、化学構
造にガロイル(galloyl)残基を有するフラバン
−3−オール型のカテキン類では、活性酸素ラジカルに
よるDNAの破壊(T.Nakayamaら(199
3)Biosci.Biotech.Bioche
m.,57,174−176)、脂質の過酸化(T.A
rigaら(1990)Agric.Biol.Che
m.,54,2499−2504)、酸化的細胞損傷
(T.Nakayamaら(1993)Bioche
m.Pharmacol.,45,265−267)に
対し、各々いずれも阻止効果を示し、従ってラジカルス
カベンジャー作用を有することが報告されている。
【0008】従来、タンニンは広く植物体に存在しその
化学構造により、縮合型タンニン、加水分解型タンニ
ン、及び複合タンニンに分類される。例えば、縮合型タ
ンニンは小豆〔アグリカルチュラル・バイオロジカル・
ケミストリー(Agric.Biol.Chem.)V
ol.52,p2717−1722,1988参照)や
ブドウ種子(特開平3−200781号公報参照)など
に存在することが知られ、そこから抽出精製され取得す
ることができる。単純縮合型タンニンの最小単位である
フラバン−3−オール類の一つである(+)−カテキン
に澱粉またはシクロデキストリンを加えて、シクロマル
トデキストリン−グルカノトランスフェラーゼを反応さ
せ、(+)カテキン配糖体を得る方法が知られている
(日本農芸化学会会誌、65巻、3号、第5頁、2Ap
14、平成3年3月15日発行、特開平4−27389
0号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】前記した従来技術に
おいて、十分に高い活性酸素消去作用を有する加水分解
型タンニン並びにそれを効率よく製造する方法について
はこれまで報告されていない。また特開平05−186
769号公報に示されたユーカリの葉からの抽出には、
葉を乾燥しておかないと腐敗したり、葉からの抽出生産
には、抽出効率が季節的に変動したり、悪い欠点があっ
た。
【0010】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは活性酸素
を強力に消去する物質を得る目的で研究を進めた結果、
ぶな科植物の虫えい(学名:Quercus lusi
tanica Lamk、ブナ科高木の若芽にフシバチ
の雌が産卵し、その刺激によってできた虫こぶ)の溶媒
抽出物、特にその中に含まれる加水分解型タンニンの一
つである1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−
D−グルコースが生体内で生成する活性酸素を強力に消
去することを見いだした。また、ぶな科植物の虫えい
(学名:Quercus lusitanica La
mk)から、抽出することによって、非常に高い活性酸
素消去活性がある1,2,3,6−テトラ−O−ガロイ
ル−β−D−グルコースを効率よく製造できることを見
出した。本発明はかかる研究をもって完成されたもので
ある。
【0011】即ち、本発明は、ぶな科に属する植物の虫
えいの溶媒抽出物を有効成分として含有する活性酸素消
去作用を有する抗酸化剤に関する。更に本発明は、1,
2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D−グルコー
スを有効成分として含有する活性酸素消去作用を有する
抗酸化剤に関する。更に本発明は、ぶな科に属する植物
の虫えいのエタノール可溶成分から、クロマトグラフィ
ーにより分画することを特徴とする、1,2,3,6−
テトラ−O−ガロイル−β−D−グルコースの製造法に
関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で対象とする植物は、虫え
いを形成するぶな科に属する植物であればいずれの植物
でもよく、例えば学名Quercus lusitan
ica Lamkなどが挙げられる。虫えいは、ぶな科
の植物に良く形成することが知られており、食経験のあ
るものであって、ぶな科の植物の高木の若芽にフシバチ
の雌が産卵し、その刺激によってできた虫こぶを指す。
このような虫えいを、粉砕し、その粉砕物を溶媒で抽出
することによって活性酸素消去作用を有する抽出物を得
ることができる。抽出に使用する溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコー
ル;アセトン、ヘキサンなどが通常用いられる。これら
の溶媒は水を含有していてもよい。なかでも特にエタノ
ールを溶媒として用いるのが好ましい。これらの溶媒に
虫えいの粉砕物を加えて、例えば室温で数日間放置し、
その後、溶液を濾過し、必要に応じて、カラムクロマト
グラフィー等の精製を行って、活性酸素消去作用を有す
る溶媒抽出物が得られる。
【0013】本発明により、これらの溶媒抽出物中に
は、1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D−
グルコース、1,2,6−トリ−O−ガロイル−β−D
−グルコース、2,3−ジ−O−ガロイル−4,6−
(O−4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサヒドロキ
シジフェノイル)−D−グルコースなどの加水分解型タ
ンニンが含まれており、これらの成分が活性酸素消去作
用を有することが確認された。なかでも、特に1,2,
3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D−グルコースが
強力な活性酸素消去作用を有することが明らかになっ
た。本物質そのものは公知である(Chem.Phar
m.Bull.,29,2862(1981))。1,
2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D−グルコー
スは、ぶな科に属する植物の虫えいの粉砕物をエタノー
ルで抽出して、エタノール可溶成分を得、次いでクロマ
トグラフィー等で精製することによって、精製された形
態で効率良く得ることができる。
【0014】虫えいの溶媒抽出物、並びに1,2,3,
6−テトラ−O−ガロイル−β−D−グルコースは、活
性酸素消去作用を有し、また脂質の過酸化を抑制する効
果を有する。従って、抗酸化剤として、飲食品、医薬
品、化粧品の素材として広く応用できる。飲食品として
は、例えばコーヒー、紅茶、ジュースなどの飲料水、パ
スタなどの食品などが挙げられる。飲食品への溶媒抽出
物または1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−
D−グルコースの添加量は、通常、飲食品に対して0.
005〜0.2重量%である。
【0015】飲食品以外の用途としては、炎症、発癌、
免疫などに関係した諸疾患の予防または治療用の医薬品
として利用することができる。医薬品としては、経口投
与、塗布、その他の非経口投与により使用できる。例え
ば、経口投与のための製剤としては、錠剤、丸剤、顆粒
剤、軟・硬カプセル剤、散剤、細粒剤、粉剤、乳濁剤、
懸濁剤、シロップ剤、ペレット剤、エリキシル等が挙ら
れる。非経口投与のための製剤としては、注射剤、点滴
剤、輸液、軟膏、ローション、トニック、スプレー、懸
濁剤、油剤、乳剤、坐剤等が挙られる。本発明の有効成
分を製剤化するには、常法にしたがえばよく、界面活性
剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝
剤、懸濁剤、等張剤その他常用される坐薬を適宜使用す
る。外用剤の場合も同様である。本発明の有効成分であ
る溶媒抽出物、または1,2,3,6−テトラ−O−ガ
ロイル−β−D−グルコースを医薬品として使用する場
合、その投与量は通常、1日当り0.5〜50mg/k
gである。
【0016】また、本発明の有効成分を化粧品として使
用する場合には、クリーム、ローション、軟膏などの形
態で用いることができる。これらの化粧品として使用す
る場合には、通常使用される保湿剤、界面活性剤、防腐
剤などともに化粧品として成形される。化粧品として使
用する場合の本発明の溶媒抽出物または1,2,3,6
−テトラ−O−ガロイル−β−グルコースの添加量は、
通常化粧品に対して0.05〜1.0重量%である。
【0017】次に本発明の有効成分である溶媒抽出物、
加水分解型タンニンの製造方法および該成分が活性酸素
消去の効果および脂質の過酸化を抑制する効果を示す例
を実施例として以下に示す。
【0018】
【実施例】実施例1 1)方法 以下の方法により1,2,3,6−テトラ−O−ガロイ
ル−β−D−グルコースの精製を行った。
【0019】ぶな科植物の虫えい(学名:Quercu
s lusitanica Lamk)をミキサーで粉
砕したものに対して、25℃にて99.5%エタノール
で7日間抽出した。その後、ろ紙No2で濾過した液を
用いて、セファデックスLH20カラムクロマトグラフ
ィーにより粗分画を行った。この粗分画を減圧乾固する
ことによって本発明の溶媒抽出物を得ることができる。
【0020】上記抽出液10mlを50mlの蒸留水に
溶解し、カラム担体SephdexLH20 50ml
つめたガラスカラム(カラム口径32mm、担体長25
0mm)にチャージした。溶出溶媒として0,10,5
0,80,99.5%エタノール水溶液を各1000m
lずつ用い、0から99.5%エタノール水溶液まで順
次変化させて分取した。流量は10ml/min、最高
圧力は1.5kg/cm2 である。280nmの吸収を
モニターしながら、各溶媒中に溶出された物質を回収
し、エバポレーターで乾固した。
【0021】上記の精製により99%エタノール水溶液
で溶出させた画分をさらに高速液体クロマトグラフィー
により分離した。分離条件は以下の通りである。カラム
としてSHIMAZDU社製 PREP−ODS(H)
KIT(内径20mm,長さ25cm)、流量は10m
l/min、溶媒は0.01%トリフルオロ酢酸7:メ
タノール3の混合溶液、あるいは0.01%トリフルオ
ロ酢酸75:メタノール25の混合溶液を用いた。
【0022】上記により得られたピークをNMRおよび
質量スペクトル分析により、構造決定した。まず、本物
質5mgを、質量分析計(JOEL SX−102A)
に導入し、FAB−MASS スペクトルを測定した。
また、活性物質5mgを重クロロホルム(CDCl3
に溶解した液を、核磁気共鳴装置に導入し、共鳴周波数
500MHzで1H−NMRスペクトルを測定した。同
様にして共鳴周波数125.65MHzで13C−NM
Rスペクトルを測定した。同様に、H−H COSY,
DEPT,HMBC,HMQCスペクトルも同様に測定
した。0ppmのスタンダードにはテトラメチルシラン
を用いた。
【0023】2)試験結果 質量スペクトル分析の結果、リチウム塩の添加時に(M
+Li)+の分子イオンピークとして795が、ナトリ
ウム塩添加時には(M+Na)+の分子イオンピークと
して811が認められた。これより、活性物質の分子量
は788と考えられた。
【0024】H−NMRおよびC−NMRの結果より、
六員環の糖にガロイル基が結合している構造が推定され
た。また、H−H COSY,DEPT,HMBC,H
MQCの結果とこれまでの結果を総合すると分子式はC
342822であり、グルコースがβ結合した六員環に4
つのガロイル基がデプシド結合している1,2,3,6
−テトラ−o−ガロイル−β−D−グルコースであるこ
とが明らかになった。
【0025】実施例2 1)方法 ぶな科植物の虫えい(学名:Quercus lusi
tanica Lamk)をミキサーで粉砕したものに
対して、エチルアルコールを10倍量加えて、25℃で
7日間抽出を行った。抽出後、ろ紙No2で濾過し、抽
出液をエバポレーターで減圧乾固し、本発明の溶媒抽出
物を得た。本抽出液をLH20カラムクトマトグラフィ
ーおよびODSカラムを用いたHPLCにより分画し、
1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D−グル
コース、1,2,6−トリ−O−ガロイル−β−D−グ
ルコース、2,3−ジ−O−ガロイル−4,6−(O−
4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサヒドロキシジフ
ェノイル)−D−グルコースの3成分を得た。
【0026】試験管に0.4mMキサンチンと0.24
mMニトロブルーテトラゾリウムの混合液1.0ml
に、1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D−
グルコース、1,2,6−トリ−O−ガロイル−β−D
−グルコース、2,3−ジ−O−ガロイル−4,6−
(O−4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサヒドロキ
シジフェノイル)−D−グルコースのジメチルスルホキ
シド水溶液0.1mlを加えた試液を調製し、これにキ
サンチンオキシデース(0.049unit/ml)
1.0mlを加えた後、セ氏37度で20分間反応させ
る。反応後、69mMドデシル硫酸ナトリウム2.0m
lを加えて反応を停止させ、十分に撹拌して波長560
nmでの吸光度を測定した。
【0027】2)試験結果 同上の方法においてタンニンの代わりに牛の赤血球より
精製されたスーパーオキサイドディスミューテース(C
u,Zn−SOD)を添加して、その吸光度から検量線
を作成した。得られた検量線から1,2,3,6−テト
ラ−O−ガロイル−β−D−グルコース1,2,6−ト
リ−O−ガロイル−β−D−グルコース、2,3−ジ−
O−ガロイル−4,6−(O−4,4’,5,5’,
6,6’−ヘキサヒドロキシジフェノイル)−D−グル
コースの活性を算出した。下記の表1にこれらタンニン
のスーパーオキサイドディスミューテース(SOD)様
活性を示す。
【0028】
【表1】
【0029】以上の結果より明らかなように、1,2,
3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D−グルコースは
スーパーオキサイドアニオンラジカルに対する消去作用
を持ち、低分子物質として実用に供されるものである。
また、1,2,6−トリ−O−ガロイル−β−D−グル
コース及び2,3−ジ−O−ガロイル−4,6−(O−
4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサヒドロキシジフ
ェノイル)−D−グルコースよりも高い活性酸素消去効
果がある。
【0030】実施例3 1)方法 試験管に兎の赤血球ゴースト膜(2.5mg蛋白/m
l)0.9mlと1,2,3,6−テトラ−O−ガロイ
ル−β−D−グルコース、1,2,6−トリ−O−ガロ
イル−β−D−グルコース及び2,3−ジ−O−ガロイ
ル−4,6−(O−4,4’,5,5’,6,6’−ヘ
キサヒドロキシジフェノイル)−D−グルコースのジメ
チルスルホキシド溶液0.1mlを入れ、ジメチルスル
ホキシドに溶解したtert−ブチルハイドロパーオキ
サイド(10mg/ml)9μlを添加して、反応を開
始させた。反応はセ氏37度で30分間行ない、2Mト
リクロロ酢酸1.0mlを加えて反応を止めた。これに
0.67%チオバルビツール酸2.0mlを添加して沸
騰水浴中で15分間反応させ、この反応により生じるマ
ロンジアルデヒドをはじめとするチオバルビツール酸反
応陽性物質の量を波長535nmでの吸光度測定により
求めた。この値をもとに脂質過酸化を50%抑制する濃
度を求め、市販の合成活性酸素消去剤であるブチルヒド
ロキシアニソールに対する活性酸素消去活性を算出し
た。
【0031】2)試験結果 兎赤血球膜脂質の過酸化を50%抑制する濃度を指標と
して、1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D
−グルコース、1,2,6−トリ−O−ガロイル−β−
D−グルコース、1,2,6−トリ−O−ガロイル−β
−D−グルコース及び2,3−ジ−O−ガロイル−4,
6−(O−4,4’,5,5’,6,6’−ヘキサヒド
ロキシジフェノイル)−D−グルコースの活性酸素消去
活性を下記の表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】以上の結果より明らかなように、1,2,
3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D−グルコースの
活性酸素消去活性は市販の合成活性酸素消去剤であるブ
チルヒドロキシアニソールの活性に比較して、モル比で
9倍程度強力である。
【0034】3)毒性試験 本発明における1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル
−β−D−グルコースは、毒性が低く、毎日100、2
50、500mg/kgの投与量で、50、100、1
50日間という長期間にわたってラットに投与した結
果、いずれの投与量および期間でも死亡例は認められ
ず、体重変化も観察されなかった。
【0035】実施例4 1)方法 上記の1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−β−D
−グルコースのSOD様活性を市販のタンニン酸、没食
子酸、L−アスコルビン酸、(−)エピガロカテキンガ
レート、緑茶抽出物、Majakanのエタノール粗抽
出物と比較した。これらをそれぞれ10,1,0.1,
0.01,0.001mg/mlになるように溶解し、
SOD様活性を次の方法で測定した。
【0036】上記により調整した各サンプルの試験液の
SOD様活性を、(株)和光純薬のSOD様テストワコ
ーを用いて測定した。試験液30μlに、発色試薬
(0.1M りん酸緩衝液 pH8.0,キサンチン
0.40mmol/l,ニトロブルーテトラゾリウム
(NO2−TB)0.24mmol/l)300μlお
よび酵素液(キサンチンオキシダーゼ 0.049u/
ml)300μlを加え、十分混合した後、37℃で1
0分間反応させた。その後、反応停止液(ドデシル硫酸
ナトリウム 69mmol/l)を600μl加え37
℃で20分間保温後、96穴タイタープレートに200
μlずつ分注し、(株)大日本製薬のタイタープレート
リーダーMKIIを用いて、560nmの吸収を測定し
た。なお、吸光度の測定は2反復行い、下記の計算式に
従って、阻害率(%)を求めた。阻害率が高いほどSO
D様活性が高いことを示している。阻害率(%)=10
0x(1−(試験区の吸光度/蒸留水を用いた対照の吸
光度))
【0037】本法の測定原理は、以下の通りである。キ
サンチンにキサンチンオキシダーゼが作用するとO2・
−が生成する。生成したO2・−は共存するニトロブル
ーテトラゾリウムを還元し、ジホルマザンを形成する
が、反応液中にSOD様物質が存在すると、O2・−の
一部はH2O2とO2に不均化され、ジホルマザンの形
成が減少する。したがって、O2・−とニトロブルーテ
トラゾリウムの反応に基づくジホルマザン形成の減少の
程度を阻害率として求めることにより、試料中のSOD
様活性値を求めた。
【0038】2)試験結果 上記試験の結果を表3に示す。緑茶抽出物、タンニン
酸、没食子酸、L−アスコルビン酸、(−)エピガロカ
テキンガレートはいずれもSOD様活性があることが知
られている。1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル−
β−D−グルコースは0.001mg/mlにおいても
活性があり、他の対照試薬のいずれよりも強い活性が認
められた。また、本物質はMajakanエタノール粗
抽出物よりも活性が高く、粗抽出物中の本物質が活性に
寄与する割合は大きいと考えられた。
【0039】タンニン酸の構造は、1,2,3,6−テ
トラ−O−ガロイル−β−D−グルコースあるいは1,
2,3,5,6−ペンタ−O−ガロイル−β−D−グル
コースを基本骨格とし、さらに数個から十数個のガロイ
ル基あるいはHHDP基やDHHDP基などがデプシド
結合した構造物の混合体である。1,2,3,6−テト
ラ−O−ガロイル−β−D−グルコースのSOD様活性
がタンニン酸より高いことより、ガロイル基がグルコー
ス4位への配位していないことおよび1,2,3,6位
へ配位しているガロイル基が1分子であることが高比活
性に寄与している可能性が高い。また、ガロイル基の類
縁体であるよりもガロイル基の方がSOD様活性への寄
与が大きい可能性も高い。
【0040】
【表3】
【0041】実施例4 下記の配合によりコーヒーを製造した。 成 分 重量% インスタントコーヒー 1.7 グラニュー糖 5.0 実施例2の抽出物 0.005 適量 100
【0042】実施例5 下記の配合により化粧品としての軟膏を製造した。 成 分 重量% 固体パラフィン 10.0 ビースワックス 10.0 スクワラン 10.0 1,2,3,6−テトラ−O− ガロイル−β−D−グルコース 0.1 香料 適量 ワセリン 59.0 100
【0043】実施例6 下記の配合により錠剤を製造した。 成 分 重量% 1,2,3,6−テトラ−O− 0.2 ガロイル−β−D−グルコース 乳糖 78 デンプン 19 ポリビニルピロリドン 2 ステアリン酸マグネシウム 100
【0044】
【発明の効果】食習慣があるぶな科植物の虫えい(学
名:Quercus lusitanica Lam
k)より抽出することにより、活性酸素消去作用を有す
る抽出物、特に1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル
−β−D−グルコースを安全かつ能率よく製造すること
が出来る。本方法を用いることにより、飲食品、医薬
品、化粧品の素材などとして広く産業上利用できる製品
を効率よく製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ぶな科に属する植物の虫えいの溶媒抽出
    物を有効成分として含有する活性酸素消去作用を有する
    抗酸化剤。
  2. 【請求項2】 溶媒抽出物が、ぶな科に属する植物の虫
    えいのエタノール可溶成分から得られる、請求項1の活
    性酸素消去作用を有する抗酸化剤。
  3. 【請求項3】 溶媒抽出物が、1,2,3,6−テトラ
    −O−ガロイル−β−D−グルコースである、請求項1
    または2の活性酸素消去作用を有する抗酸化剤。
  4. 【請求項4】 1,2,3,6−テトラ−O−ガロイル
    −β−D−グルコースを有効成分として含有する活性酸
    素消去作用を有する抗酸化剤。
  5. 【請求項5】 ぶな科に属する植物の虫えいのエタノー
    ル可溶成分から、クロマトグラフィーにより分画するこ
    とを特徴とする、1,2,3,6−テトラ−O−ガロイ
    ル−β−D−グルコースの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100835866B1 (ko) 2007-01-05 2008-06-09 (주)아모레퍼시픽 항산화 물질의 산화촉진 부작용을 감소시키는 방법
FR2921834A1 (fr) * 2007-10-04 2009-04-10 Trois Chenes Agent anti-oxydant d'extraits vegetaux, et composition cosmetique comprenant ledit agent

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