JPH11343140A - 車両用窓ガラス - Google Patents

車両用窓ガラス

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JPH11343140A
JPH11343140A JP14797898A JP14797898A JPH11343140A JP H11343140 A JPH11343140 A JP H11343140A JP 14797898 A JP14797898 A JP 14797898A JP 14797898 A JP14797898 A JP 14797898A JP H11343140 A JPH11343140 A JP H11343140A
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glass
rays
light
window glass
transmittance
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JP14797898A
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Inventor
Shinichi Tanabe
新一 田辺
Chie Narita
千恵 成田
Michio Ono
道夫 小野
Kazuhito Sato
一仁 佐藤
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B17/00Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres
    • B32B17/06Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material
    • B32B17/10Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin
    • B32B17/10005Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin laminated safety glass or glazing
    • B32B17/10165Functional features of the laminated safety glass or glazing
    • B32B17/10174Coatings of a metallic or dielectric material on a constituent layer of glass or polymer

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  • Glass Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】車内の乗員に暑さ感を感じさせず、かつ冬季の
暖房稼働率を低下できる窓ガラスを得る。 【解決手段】可視光線透過率が70%以上、赤外線域9
00〜1400nmの範囲の光線透過率が10%以下、
第2の波長域1500〜2300nmの範囲の光線透過
率が10%以上である、車両用窓ガラス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や鉄道車両
等の車両内の乗員の居住性向上に寄与する窓ガラスに関
する。
【0002】
【従来の技術】車両用窓ガラスに断熱性を付与すること
によって、車両内の温度上昇を防止することは、従来か
ら提案されている。断熱性を窓ガラスに付与する手段と
しては、ガラス板面に機能薄膜を形成する手段、ガラス
自身に熱線吸収性能を付与する手段、等がある。
【0003】ガラス自身に熱線吸収性能を付与する手段
としては、ガラスの組成中に赤外線域を吸収する金属酸
化物を添加する手段が挙げられる。こうして得られたガ
ラスは熱線吸収ガラスと呼ばれ、車内に入射する熱線を
吸収することによって断熱効果を発揮するもので、自動
車用窓ガラスに使われている。この場合、熱線吸収ガラ
スには可視光線透過率を大幅に低下させた濃色タイプの
ガラスと、可視光線透過率が70%以上ある淡色タイプ
のガラスとがある。
【0004】ガラス板面に機能薄膜を形成する手段とし
ては、金属、金属酸化物、金属窒化物等のコーティング
層を用いた熱線反射膜をガラス板面に形成する手段が挙
げられる。こうして得られた薄膜を有するガラス板は熱
線反射ガラスと呼ばれ、車内に入射する熱線を反射する
ことにより断熱効果を発揮するもので、車両用窓ガラス
として使われている。この場合にも、濃色タイプの熱線
反射ガラスと淡色タイプの熱線反射ガラスがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】自動車用のフロントガ
ラスおよびフロントドアガラスは、可視光線透過率が7
0%以上であることがJIS規格で定められている(J
IS R3211)。これに対し、断熱性能を充分に満
足する濃色タイプの熱線吸収ガラスや熱線反射ガラス
は、可視光線透過率が70%以下になり、両部位に使用
できなかった。逆に、可視光線透過率が70%以上ある
淡色の熱線吸収ガラスでは、充分な断熱性能が得られな
い。そのため、窓ガラスを透過した太陽光線に照射され
た乗員にとっては、暑さ感を満足に拭えなかった。
【0006】一方、可視光線透過率が70%以上ある熱
線反射ガラスでは、ある程度の断熱性能を得ることがで
きる。この場合、窓ガラスを透過した太陽光線に照射さ
れた乗員には、暑さ感が軽減されたように感じられる。
しかし、こうした熱線反射ガラスは、熱線反射性能と同
時に導電性能を有する。そのため、このガラスは電波を
遮蔽する特性を有する。
【0007】車両用窓ガラスには、ラジオ、テレビ、電
話用のアンテナ機能を設けることがある。また、車内に
はキーレスエントリーシステム用の受信機や、有料道路
での支払いを自動的に行う自動課金システム用の受信機
が設置されることがある。そのため、通常の車両用窓ガ
ラスに付与された電波遮蔽性能は、上記の装備の作動の
妨げとなりやすい。
【0008】本発明の目的は、上記従来技術の有してい
た課題を解決することにあり、従来知られていなかっ
た、車両内の乗員等に暑さ感を感じさせる波長域の太陽
エネルギーを選択的に遮断する、車両用窓ガラスを提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を解
決するためになされたものであり、可視光線透過率が7
0%以上である車両用窓ガラスであって、ガラスを通し
て入射してくる太陽エネルギー光線のうち、人体に暑さ
感を感じさせる赤外線域の光線を吸収または反射し、ガ
ラスを通して入射してくる太陽エネルギー光線のうち、
人体に温かさ感を感じさせる赤外線域の光線を透過する
ことを特徴とする車両用窓ガラスを提供する。また、本
発明は、可視光線透過率が70%以上であり、第1の波
長域900〜1400nmの範囲の光線透過率が10%
以下である、車両用窓ガラスを提供する。
【0010】さらに、可視光線透過率を70%以上、第
1の波長域900〜1400nmの範囲の光線透過率を
10%以下とした車両用窓ガラスは、第2の波長域15
00〜2300nmの範囲の光線透過率が10%以上で
あることが好ましく、この場合、第2の波長域1500
〜2300nmの範囲の光線透過率が70%以下にする
ことは特に好ましい。
【0011】さらにまた、可視光線透過率を70%以
上、第1の波長域900〜1400nmの範囲の光線透
過率を10%以下とし、かつ波長域800〜900nm
の範囲の光線透過率も10%以下とした車両用窓ガラス
は、ガラスの色調を所望の色調にしつつ、車内の乗員に
暑さ感を感じさせないので好ましい。この場合、第2の
波長域1500〜2300nmの範囲の光線透過率が1
0%以上、70%以下であることはさらに好ましい。
【0012】一方で、可視光線透過率を70%以上、第
1の波長域900〜1400nmの範囲の光線透過率を
10%以下とし、かつ波長域800〜900nmの範囲
の光線透過率を10%以上とした車両用窓ガラスは、電
波を利用した車内に設けられる各種受信機の作動を妨げ
ることなく、車内の乗員に暑さ感を感じさせないので好
ましい。この場合、第2の波長域1500〜2300n
mの範囲の光線透過率が10%以上、70%以下である
ことはさらに好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、太陽エネルギー光線の
うち、ある特定の範囲の波長の光線が人間にとって暑さ
感を感じさせることを見いだした結果、なされたもので
ある。その特定の範囲の波長の光線とは、赤外線域のう
ちの近赤外線域の一部の波長域の光線である。そして、
本発明の車両用窓ガラスは、この特定の範囲の光線が車
内に入射しないように、この特定の範囲の光線透過率を
小さくした、車両用窓ガラスである。
【0014】すなわち、従来から提案されていた断熱窓
ガラスは、単純に赤外線域の光線を透過させない、とい
う思想に基づくものであった。具体的には、前述の熱線
吸収ガラスや熱線反射ガラスである。一方で、自動車用
窓ガラスのJISの規定による可視光線の透過率に制約
がある。そのため、上記熱線吸収ガラスや熱線反射ガラ
スに、おのずと制約が生じていた。
【0015】例えば、充分な断熱性能を得るためには、
可視光線域の反射または吸収も高くなり、JISの規定
を満足できなくなる。この場合には、求めていたガラス
の色と異なる色にガラスが着色することもあった。さら
に、単純に赤外線域の光線を遮断するだけでは、波長が
1500nmを超える領域の光線の透過率も小さくな
る。そのため、特に冬季等の気温の低いときには、太陽
光線によって車内を温かくしにくい。
【0016】このように従来の断熱窓ガラスは、規格上
の制約のもとに、理想とする断熱性能まで到達しない、
ある程度の断熱性能に甘んじているものであった。これ
は、単純に赤外線域の波長の光を透過させない、という
断熱の概念を考慮するだけであったからである。これに
対し本発明は、人間の暑さ感の感じ方に着目したもので
ある。そして、車両用窓ガラスに求められる断熱性能
が、車内の乗員がいかに暑さを感じるかを考慮すること
により、本発明は、断熱性能を付与するがために生じる
断熱性能以外の窓ガラスの不具合をも解消するものであ
る。
【0017】本発明者らは、車内の乗員が感じる暑さ感
を被験者実験により見いだした。すなわち本発明者ら
は、以下に示す実施例により、人間は800〜1400
nm、特に900〜1400nmの波長域の光線に対し
暑さ感を感じることを見いだした。
【0018】こうした被験者実験に基づき、本発明の車
両用窓ガラスの実施形態としては、図1の例1〜3に示
す光線透過特性を有する車両用窓ガラスが例示できる。
図1の例1に示す光線透過特性を有する車両用窓ガラス
は、暑さ感の感じ方に大きく関係する800〜1400
nmの波長域の光線を反射または吸収し、その波長域の
光線の透過率が10%以下(例1ではほとんど透過させ
ない)である。また、例2に示す光線透過特性を有する
車両用窓ガラスは、暑さ感の感じ方に大きく関係する9
00〜1400nmの波長域の光線の透過率を10%以
下(例2ではほとんど透過させない)にすることによっ
て、暑さ感を軽減させることが可能である。なお、例2
に示す光線透過特性を有する車両用窓ガラスは、800
nmの波長の光線透過率が50%程度であるが、暑さ感
を感じさせない車両用窓ガラスとして効果がある。例3
は、800〜1400nmの波長域の光線の透過率を8
%程度にした車両用窓ガラスの例である。この例に示す
光線透過特性を有する車両用窓ガラスも、暑さ感を軽減
させることが可能である。
【0019】ところで、上記例1〜3に示す車両用窓ガ
ラスの実施形態では、1500〜2300nmの波長域
の光線透過率を30%以上としている。これは、被験者
実験を受け、以下の検討に基づき特定されたものであ
る。すなわち、人体の皮膚は光の波長によって透過率が
異なる。入射した光は皮膚組織内で徐々に吸収されて深
部まで到達し、神経終末を刺激して暑さ感を感じさせ
る。一方で、太陽エネルギー光線のうち、1400〜1
500nmの波長域の光線が人体皮膚に照射された場
合、人体に含まれる水分がこの範囲の光線のエネルギー
を吸収する。そのため、この範囲の光線は皮膚の奥深く
まで透過せず、人体に暑さ感を感じさせない。したがっ
て、この範囲の波長域は10%以上の透過率があっても
暑さ感に関与しなくなる。
【0020】さらに、太陽エネルギー光線のうち、15
00〜2300nmの波長域の光線が人体に照射された
場合、人体に暑さ感を感じさせない(後に示す被験者実
験では、被験者全員が感じなかった)。むしろ、この範
囲の光線は、人体に心地よい温かさ感を感じさせる。し
たがって、1500〜2300nmの波長域の光線透過
率が10%以上、特に30%以上である、図1の例1〜
例3に示す光線透過率特性を有する車両用窓ガラスは好
ましい。
【0021】こうした1500〜2300nmの波長域
についての光線透過率特性を有する車両用窓ガラスは、
次の観点からも好ましい。すなわち、冬季等、乗車の際
に暖房設備を稼働させることは、従来から頻繁に行われ
ていたことである。これに対し、図1の例1〜3に示す
ように、1500nm以上の波長域の光線透過率が10
%以上、特に30%以上の窓ガラスが装着された車両
は、暖房設備を稼働させなくても乗員の寒さ感を低減で
きる。これは車両の省エネルギー効果をもたらすことに
もなり、有益性が倍増される。なお、1500〜230
0nmの波長域の光線透過率が70%以上であると、夏
季の冷房効果を低下させる要因となる。したがって、1
500〜2300nmの波長域の光線透過率が10%以
上、特に30%以上であり、かつ70%以下である車両
用窓ガラスは好ましい。
【0022】ところで、近年の自動車にはキーレスエン
トリーシステムが付加されてきている。キーレスエント
リーシステムは、850nmを中心とする波長の電波を
センサーに感知させて、キーをドアのキー孔に挿入する
ことなくドアのロックを解除するものである。そのた
め、キーレスエントリー仕様車に用いる車両用窓ガラス
としては、例2に示すように900〜1400nm波長
域の光線透過率が10%以下であり、850nm付近の
波長の光線透過率が20〜60%である車両用窓ガラス
が好ましい。
【0023】具体的にこうした車両用窓ガラスを得るた
めのガラスの構成について、以下に例示する。1つめ
は、2枚のガラス板を、両者間に中間膜(例えばポリビ
ニルブチラール製中間膜)を介在させて接合した合わせ
ガラスである。2つめは、ガラス板の表面に金属、金属
酸化物、金属窒化物、誘電体等の各種薄膜を多層積層し
た波長選択透過膜を形成したガラスである。3つめは、
ガラス自身に近赤外線域の光吸収剤を添加したガラスで
ある。
【0024】1つめのガラス構成の場合、中間膜の材料
に、近赤外線域のみの光吸収剤を添加した、近赤外線吸
収タイプの中間膜を用いる。こうして作製された合わせ
ガラスにより、可視光線透過率が70%以上、波長域8
00〜1400nmまたは900〜1400nmの範囲
の光線透過率が10%以下、波長域1500〜2300
nmの範囲の光線透過率が10%以上である車両用窓ガ
ラスが得られる。
【0025】近赤外線域の波長の光線を吸収する光吸収
剤は、中間膜の製造時に、中間膜材料に練り込むように
添加することが好ましい。この場合の光吸収剤は、波長
域800〜1400nmまたは900〜1400nmの
範囲の光線を吸収し、かつ可視光線および波長域150
0〜2300nmの範囲の光線を吸収しない材料である
ことが好ましい。なお、近赤外線域は通常750〜20
00nmの波長域を指すが、本発明において用いる近赤
外線域の波長の光線を吸収する光吸収剤は、750〜2
000nmの波長域のうちの少なくとも一部の波長域の
光線を吸収する材料のことをいう。
【0026】2つめのガラス構成の場合、各薄膜の膜厚
および各薄膜の材料の屈折率を考慮し、波長域800〜
1400nmまたは900〜1400nmの範囲の光線
を反射し、かつ可視光線および波長域1500〜230
0nmの範囲の光線を透過するように、ガラス板面に薄
膜が形成される。
【0027】波長域800〜1400nmまたは900
〜1400nmのうちの一部の波長の光を光吸収剤の作
用により吸収させ、残りの波長の光を薄膜の作用により
反射させることもできる。これにより、波長域800〜
1400nmまたは900〜1400nmの範囲の光線
透過率が10%以下であり、かつ波長域1500〜23
00nmの範囲の光線透過率が10%以上である、車両
用窓ガラスが得られる。
【0028】さらに、上記薄膜形成によれば、合わせガ
ラス構成ではなく単板構成の車両用窓ガラスも得られ
る。すなわち、1枚のガラス板の表面に波長選択透過膜
を形成した車両用窓ガラスである。この場合も、各薄膜
の膜厚および各薄膜の材料の屈折率を考慮し、波長域8
00〜1400nmまたは900〜1400nmの範囲
の光線を反射し、かつ可視光線および波長域1500〜
2300nmの範囲の光線を透過するように、ガラス板
面に薄膜が形成される。
【0029】一方で、従来から知られている熱線反射ガ
ラスのように、ガラス板の表面に波長選択透過膜を形成
した場合、導電性がガラスに付与されることがある。ガ
ラスに導電性が付与されると、電波も遮断されるため、
車両に装着された各種受信機がうまく作動しない。例え
ば、車両、特に自動車用窓ガラスには、ラジオ、テレ
ビ、電話、GPS等のアンテナ機能を付加させることが
ある。これらの機能が正常に働くためには、窓ガラスが
高周波電波を透過する性能を有することが必要である。
上記の薄膜の存在により最も影響を受けるのは、周波数
帯の低いラジオAM放送の電波である。そこで、本発明
においては、ガラス板面に薄膜を形成する場合、車両用
窓ガラスの電気抵抗値を20MΩ/□以上のシート抵抗
値にすることが好ましい。
【0030】さらに、3つめのガラス構成である、ガラ
ス自身に近赤外線域の光吸収剤を添加することによっ
て、可視光線透過率が70%以上、波長域800〜14
00nmまたは900〜1400nmの範囲の光線透過
率が10%以下、波長域1500〜2300nmの範囲
の光線透過率が10%以上である車両用窓ガラスを得る
ことができる。この場合、ガラス板自身の製造時に、波
長域800〜1400nmまたは900〜1400nm
の範囲の光線だけを吸収する光吸収剤を、ガラス組成物
に添加する。
【0031】以上のように、波長域800〜1400n
mまたは900〜1400nmの範囲の光線透過率を1
0%以下にする手段としては、車両用窓ガラスを合わせ
ガラス構成とする場合の中間膜に近赤外線域の光吸収剤
を添加する、ガラス板面に薄膜を形成する、ガラス自身
に近赤外線域の光吸収剤を添加する、という手段が挙げ
られる。さらに、光吸収剤による作用や薄膜による作用
を、波長域800〜1400nmまたは900〜140
0nmのうちのそれぞれ異なる一部の領域の波長を透過
させないように設定し、これらの手段を組合せて、波長
域800〜1400nmまたは900〜1400nm全
体の透過率を10%以下にすることもできる。
【0032】なお、上記手段のうち薄膜形成について
は、波長域800〜1400nmまたは900〜140
0nmの範囲の光線透過率を10%以下に、波長域15
00〜2300nmの光線透過率を10%以下にしつ
つ、20MΩ/□以上のシート抵抗を得ることは、波長
選択透過膜における各種薄膜の選定や膜厚等の設計が煩
雑であり、こうした波長選択透過膜の形成工程も複雑に
なる。そのため、近赤外線域の光吸収剤を添加した中間
膜を用いた合わせガラス構成の窓ガラスは、ガラスに導
電性が付与されず、20MΩ/□以上のシート抵抗であ
る車両用窓ガラスを容易に得られるので、特に好まし
い。
【0033】本発明において、光線透過率の測定は次の
ように行われる。基本的には、JIS R3212の
「3.11可視光線透過率試験」に準じて行う。ただ
し、JIS中では、用いる分光測定器の測定できる波長
範囲が少なくとも340〜780nmである旨が規定さ
れている。本発明においては、780nmを超える波長
域の光線透過率も測定する必要があるため、この波長域
の光線も測定可能な分光測定器を用いる。そして、3.
11中の(4.1)に準じて、分光透過率τ(λ)を測
定する。このτ(λ)が、本発明における光線透過率に
相当する。本発明においては、このτ(λ)が赤外領域
の各波長域におけるすべての各波長で、特定している光
線透過率の範囲を満足している。
【0034】
【実施例】表1に示す波長域の光線のみをそれぞれ透過
する特性の、4種類のフィルタガラスを用い、このガラ
スを介して照射された光線を受けた被験者の暑さ感の感
じ方について、被験者実験をした。
【0035】
【表1】
【0036】実験では、光源として人工太陽灯(セリッ
ク社製SOLAXXC−500B)を用いた。この人工
太陽灯から照射される光線を、上記のフィルタガラスを
透過させ、男女各々10名の被験者に照射した。この場
合、4種類のフィルタガラスのうちの2種類ずつを用
い、その2種類のフィルタガラスを各々別個に透過した
光線が、被験者にとってどちらが暑さ感を感じるかにつ
いて評価した。なお、フィルタガラス1の透過光は可視
光線であることから、フィルタガラス1を透過した光線
の評価は、可視光線照射による暑さ感を評価できる。同
様に、フィルタガラス2では赤外線域(1)、フィルタ
ガラス3では赤外線域(2)、フィルタガラス4では赤
外線域(3)、の光線がそれぞれ照射された際の暑さ感
を評価できる。
【0037】図2は、2種類のフィルタガラスどうしの
比較結果を示すグラフである。すなわち、フィルタガラ
ス1を透過した光線とフィルタガラス2を透過した光線
とをそれぞれ左右の手に受け、どちらを暑いと感じるか
を評価した。他の組のフィルタガラスについても同様に
行った。
【0038】グラフ中、横軸は可視光線照射を基準とし
た(最下段は赤外線域(1)の光線照射を基準とした)
温熱点数評価値である。赤外光(1)〜(3)は、赤外
線域(1)〜(3)の光線をそれぞれ示す。フィルタガ
ラス1とフィルタガラス4との比較の結果、可視光線域
の光線の方が赤外線域(3)の光線よりも暑さ感を感じ
やすいことがわかった。同様に、赤外線域(1)の光線
の方が可視光線域の光線よりも暑さ感を感じやすいこと
が、赤外線域(2)の光線の方が可視光線域の光線より
も暑さ感を感じやすいことが、赤外線域(1)の光線の
方が赤外線域(3)の光線よりも暑さ感を感じやすいこ
とが、わかった。これをまとめると、赤外線域(3)<
可視光線域<赤外線域(2)の順で、また、赤外線域
(3)<可視光線域≦赤外線域(1)の順で、照射され
る光線の暑さ感を感じる。
【0039】ところで、グラフによれば、可視光線域<
赤外線域(2)、可視光線域≦赤外線域(1)という結
果が見いだされる。すなわち、赤外線域(2)の光線に
比べて赤外線域(1)の光線の方が、可視光線による暑
さ感の感じ方に近いことがわかる。これは、1400〜
1500nmの波長域の光線が人体に含まれる水分によ
り吸収されることによって、この範囲の波長域の光線が
人体への暑さ感に関与しなくなることを示す。そのた
め、図1の例1〜3に示す光線透過特性を有する、波長
が1400nmまでの光線をほとんど透過せず、波長が
1500nm付近の光線の透過率が20%以上であるガ
ラスは、暑さ感を感じさせない車両用の窓ガラスとして
効果がある。
【0040】以上の結果から、赤外線域(2)の光線の
透過を大幅に抑えたガラスを車両窓ガラスに使用するこ
とによって、夏季直射日光がガラスを通して人体に照射
されても乗員は暑さ感を低減できることがわかる。
【0041】被験者実験の結果、フィルタガラス4(赤
外線域(3)の光線を透過するフィルタ)を介した光が
人体皮膚に照射された場合、暑さ感を申告した被験者は
皆無であった。むしろ、ほとんどの被験者が快適な温か
さ感を申告した。この結果から、太陽光線のうち、15
00〜2300nmの波長域の光線を積極的に透過する
ガラスを使用することは、冬季の暖房設備を稼動させな
くても快適な車内空間を得ることに有益である。同時に
ガソリンの消費を節約できる効果も得られる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、可視光線透過率を70
%以上、波長域900〜1400nmの範囲の光線透過
率を10%以下、波長域1500〜2300nmの範囲
の光線透過率を10%以上とした車両用窓ガラスは、人
体に暑さ感を感じさせずに、冬季の暖房設備を運転しな
くてもよい、快適な温かさが得られる窓ガラスとするこ
とができる。特に、冬季の暖房設備を稼働させなくても
よいことによって、同時に省エネルギー効果も得られ
る。
【0043】さらに、単に800nm以上の波長域の光
線をすべて遮断するガラスにみられる電磁遮蔽性能に関
する不具合を解消でき、人体に暑さ感を感じさせること
なく、高周波電波を透過するのでアンテナ機能を損なわ
ず、各種のセンサー機能も発揮できる車両用窓ガラスが
得られる。そのため、本発明により得られた車両用窓ガ
ラスは、車両における装着される部位の制約がなく、車
両の全ての部位の窓に装着可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用窓ガラスの光線透過特性を例示
するグラフ。
【図2】被験者実験の結果を示すグラフ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可視光線透過率が70%以上である車両用
    窓ガラスであって、ガラスを通して入射してくる太陽エ
    ネルギー光線のうち、人体に暑さ感を感じさせる赤外線
    域の光線を吸収または反射し、ガラスを通して入射して
    くる太陽エネルギー光線のうち、人体に温かさ感を感じ
    させる赤外線域の光線を透過することを特徴とする車両
    用窓ガラス。
  2. 【請求項2】可視光線透過率が70%以上であり、第1
    の波長域900〜1400nmの範囲の光線透過率が1
    0%以下である、車両用窓ガラス。
  3. 【請求項3】800〜900nmの波長域の光線透過率
    が10%以下である、請求項2に記載の車両用窓ガラ
    ス。
  4. 【請求項4】第2の波長域1500〜2300nmの範
    囲の光線透過率が10%以上である、請求項2または3
    に記載の車両用窓ガラス。
  5. 【請求項5】第2の波長域1500〜2300nmの範
    囲の光線透過率が70%以下である、請求項4に記載の
    車両用窓ガラス。
  6. 【請求項6】電気抵抗値が20MΩ/□以上のシート抵
    抗値を有する、請求項2、3、4または5に記載の車両
    用窓ガラス。
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