JPH11342893A - エアーバック方式による船舶の転覆防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 船の転覆傾斜角を探知し、瞬時にエアーバッ
クを膨らまし転覆を回避する。又、エアーバックの収縮
を防ぐために、空気を送り込み形状保持を行う。又、エ
アーバックは再利用可能とする装置に関する。 【解決手段】 船の転覆傾斜角を傾斜探知計で計測し、
インフレータを爆発させてエアーバックを瞬時に膨らま
すと同時に、圧力タンクより空気を送り込みエアーバッ
クの形状を保持する。使用済後のエアーバックは、空気
吸引装置で空気を抜き、格納し再利用可能とすること等
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、海上で波浪により
船が傾斜し、転覆しようとした瞬間に船の転覆傾斜を傾
斜計が探知し、インフレータの爆発スイッチを作動さ
せ、エアーバックを瞬時に膨らませ、エアーバックの浮
力により船舶の転覆を防止する。一方、エアーバックは
インフレータのガスにより膨らむ。ガスは高温ガスなの
で、時間経過とともに常温になり圧力低下する。それに
ともないエアーバックが収縮するので、これを防止する
ためにインフレータの爆発と同時に圧力タンクから空気
を送り込み、エアーバックの形状を保持する。又、エア
ーバックは、使用済後は空気吸引装置にて空気を抜き、
格納して再利用ができる全く新規な船舶の転覆防止装置
である。

【０００２】

【従来の技術】エアーバックとしては、爆薬によって膨
らみ、使い捨てのものが自動車に採用されている。又、
船舶の転覆防止の膨張ゴムバルジについての研究論文が
発表されている。（海難防止の調査研究事業報告書、昭
和５２年３月、日本海難防止協会）

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】自動車用エアーバック
は、一度使用すると再利用ができない。又、膨張ゴムバ
ルジでは、バルジを膨張するのに要する時間が５秒程度
かかるために、瞬時に起こる転覆には対応できない。さ
らに、膨張開始は人間の判断によっているので、判断ミ
スにより転覆に至ることがある。本発明は以上の欠点を
解決し、船舶の転覆を防止し、人命の安全を図る装置で
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】船体に取り付けた傾斜探
知計により船の傾斜を常に計測し、転覆傾斜角となった
場合、エアーバックに内蔵したインフレータの爆発スイ
ッチが作動し、エアーバックが瞬間的に膨らみ浮力体と
なり転覆を防止する。

【０００５】インフレータのガスは高温ガスなので、時
間経過とともに常温になり、圧力が低下し、これに合わ
せてエアーバックが収縮する。この現象を防ぐために、
インフレータの爆発と同時に圧力タンクから空気を送り
込み、エアーバックの形状を保持する。

【０００６】エアーバックは使用済後、空気吸引装置で
空気を抜き、格納し再利用できるようにする。

【０００７】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態を図面を参照し
て説明する。図１及び図２において、海上で船舶が航行
中もしくは停泊中に、波により動揺し傾斜する。この傾
斜は、傾斜探知計１が常時計測していて転覆傾斜角とな
った時、インフレータ２の爆発スイッチを作動させる。
インフレータ２は舷側外側に取り付けたエアーバック３
に内蔵されていて、インフレータ２の爆発によりエアー
バック３が瞬時に膨らみ、浮力体となり転覆を防止す
る。一方、インフレータ２のガスは高温なので、常温に
なるとエアーバック３も収縮し、浮力が少なくなる。こ
の収縮現象を防ぐために、インフレータ２の爆発スイッ
チ作動と同時に圧力タンク４からの空気の送り込みをエ
アーバック３に行い、エアーバック３の浮力体としての
形状を保持する。エアーバック３は、使用済後は新しい
インフレータ２をセットし、エアーバック３の空気を空
気吸引装置５で抜き、使用前の状態に格納し再利用可能
とする。

【０００８】図３及び図４において、海上で船舶が航行
中もしくは停泊中に、波により動揺し傾斜する。この傾
斜は、傾斜探知計１１が常時計測していて転覆傾斜角と
なった時、インフレータ１２の爆発スイッチを作動させ
る。インフレータ１２は舷側内側に取り付けたエアーバ
ック１３に内蔵されていて、インフレータ１２の爆発に
よりエアーバック１３が瞬時に膨らみ、浮力体となり転
覆を防止する。一方、インフレータ１２のガスは高温な
ので、常温になるとエアーバック１３も収縮し、浮力が
少なくなる。この収縮現象を防ぐために、インフレータ
１２の爆発スイッチ作動と同時に圧力タンク１４からの
空気の送り込みをエアーバック１３に行い、エアーバッ
ク１３の浮力体としての形状を保持する。エアーバック
１３は、使用済後は新しいインフレータ１２をセット
し、エアーバック１３の空気を空気吸引装置１５で抜
き、使用前の状態に格納し再利用可能とする。

【０００９】エアーバック３、１３の取り付け位置は、
取り付ける船舶の運動性能によって適当な位置を選定す
る。例えば、船尾、船首、船側に取り付けることも可能
である。

【００１０】傾斜探知計１、１１は、一個又は数個取り
付けて傾斜を探知し、転覆傾斜を知らせる。さらに、傾
斜探知計１、１１の取り付け位置は、船の運動性能等を
考慮して適当な位置とする。

【００１１】エアーバック３、１３の大きさは、実験に
より確認した結果、船舶の排水量の約５％程度で、転覆
を回避できる。

【００１２】

【発明の効果】船舶が海上で波に遭遇して、動揺により
船舶は瞬間的に転覆することがある。船の傾斜を常時計
測し、転覆傾斜角を探知し、浮力体となるエアーバック
を瞬時に膨らまし転覆を防止する。その後、ガスの圧力
低下にともないエアーバックは時間経過とともに収縮す
るので、これを防止するために、圧力タンクから空気を
補給することでエアーバックの形状を保持する。又、エ
アーバックの使用済後は、空気抜きを行い、もとの位置
に格納し再利用を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係わる装置の平面配置図で、エアー
バック舷側外側付きの実施例を示す。

【図２】図１の中央断面図を示す。

【図３】この発明に係わる装置の平面配置図で、エアー
バック舷側内側付きの実施例を示す。

【図４】図３の中央断面図を示す。

【符号の説明】

１、１１ 傾斜探知計 ２、１２ インフレータ ３、１３ エアーバック ４、１４ 圧力タンク ５、１５ 空気吸引装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 秀行 佐賀県伊万里市瀬戸町2269番地53 株式会 社海洋開発技術研究所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 船の傾斜を常に計測し、転覆傾斜角とな
   った場合に、インフレータ２、１２の爆発スイッチの作
   動指令を自動又は手動で行い点火して、浮力体となるエ
   アーバック３、１３を瞬間的に膨らませることを特徴と
   する船舶の転覆防止装置。
2. 【請求項２】 傾斜探知計１、１１により船舶の傾斜を
   常に計測し、転覆傾斜角となった場合に、インフレータ
   ２、１２の爆発スイッチの作動指令を自動又は手動で行
   い点火することを特徴とする請求項１記載の点火装置。
3. 【請求項３】 前記エアーバック３、１３の膨らみを維
   持するために、インフレータ２、１２の爆発と同時に圧
   力タンク４、１４から空気をエアーバック３、１３に送
   り込む装置を更に備えたことを特徴とする請求項１記載
   のエアーバック形状維持装置。
4. 【請求項４】 エアーバック３、１３の使用済後に、該
   エアーバック内の空気を吸引する空気吸引装置５、１５
   を更に備えたことを特徴とする再利用装置。