JPH11342343A - 光触媒体、ランプおよび照明器具 - Google Patents

光触媒体、ランプおよび照明器具

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JPH11342343A
JPH11342343A JP10181000A JP18100098A JPH11342343A JP H11342343 A JPH11342343 A JP H11342343A JP 10181000 A JP10181000 A JP 10181000A JP 18100098 A JP18100098 A JP 18100098A JP H11342343 A JPH11342343 A JP H11342343A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】超微粒子分散液コーティング法による光触媒膜
形成を改善して、光触媒膜の基体に対する付着性を向上
させるとともに、光透過率が良好な光触媒体、これを用
いたランプおよび照明器具を提供する。 【解決手段】基体に表面に凹凸面を形成した金属酸化物
からなる下地層を介して酸化チタンの超微粒子を主体と
していて、下地層の凹凸面内に入り込み、かつ密着した
光触媒膜を形成する。また、下地層を金属酸化物からな
る多孔質なものにすると、その表面に凹凸面が形成され
る。下地層の凹部を基体の表面まで貫通させたり、光触
媒膜の表面に多数の貫通孔を備えた金属酸化物構造体層
を形成してもよい。金属酸化物としては、酸化ケイ素、
酸化チタンおよび酸化アルミニウムを用いることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒体、これを用
いたランプおよび照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】消臭、防汚およびまたは抗菌を行うため
に、光触媒膜を用いること知られている。
【0003】光触媒膜は、紫外線照射を受けて、その光
エネルギーを吸収すると、光触媒膜を構成して光触媒作
用を呈する半導体に電子とホールが生成する。電子とホ
ールは、膜表面にある酸素や水と反応して活性酸素や他
の活性なラジカルなどを生じ、有機物からなる汚れや臭
いの成分を酸化還元して分解する。
【0004】光触媒作用のある物質のうち、現在最も有
望視されているのは酸化チタンである。酸化チタンは、
光触媒作用が顕著であるとともに、安全で工業的に合理
的な価格で、しかも必要量を入手できる物質であるから
である。
【0005】近時、光触媒膜の有用性に注目して、建
材、照明器具およびランプなど幅広い物品に光触媒膜を
形成しようとする動きが活発である。
【0006】光触媒膜の製造方法には種々あるが、いわ
ゆるディップ法と超微粒子分散液コーティング法とが一
般的に用いられている。
【0007】いわゆるディップ法は、基体に光触媒膜を
構成する金属のアルコキシドたとえば光触媒膜が酸化チ
タンである場合には、チタンのアルコキシドを含む塗布
液を塗布し、400〜500℃の温度で焼成して光触媒
膜を形成する方法である。この製造方法により得られた
光触媒膜は、膜強度に優れるために耐久性がある。
【0008】超微粒子分散液コーティング法は、酸化チ
タンなどの光触媒性の超微粒子を水およびイソプロピル
アルコールなどからなる溶液中に分散させた水溶性分散
液を基体に塗布し、焼成して光触媒膜を得る方法であ
る。この製造方法により得られた光触媒膜は、結晶性が
高く、光触媒性に優れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】いわゆるディップ法に
より得られた光触媒膜は、高温で長時間焼成しないと、
膜表面における結晶性が十分でなく、光触媒性が低いと
いう問題がある。基体がソーダライムガラスなどの軟質
ガラスの場合には、ガラスの軟化温度が比較的低いの
で、所要の高温で焼成できないから、十分な光触媒性を
得ることが困難である。
【0010】また、上記製造方法により光触媒膜を形成
すると、ガラスの屈折率に比べて酸化チタンを主体とす
る光触媒膜の屈折率が大きいために、両者の屈折率差に
よって生じる光干渉作用によって、可視光透過率が低下
するという問題もある。
【0011】そこで、出願人は、ディップ法におけるこ
れらの問題を解決するために、先に光触媒膜中にシリカ
などの金属酸化物を添加して光触媒膜の屈折率を小さく
して基体のガラスとほぼ同等にすることを特願平9−1
40372号として出願した。この出願の発明により、
金属酸化物の添加により光触媒膜の屈折率を低下させ
て、光透過率の低下を防止するとともに、干渉色が生じ
ないようにすることができた。
【0012】一方、超微粒子分散液コーティング法にお
いては、基体との付着性を十分に得にくいとともに、有
機質の結着材を用いている場合に、その結着材にクラッ
クが発生しやすい。結着材にクラックが発生すると、白
濁などにより透過率低下が発生するといった問題があ
る。
【0013】本発明は、超微粒子分散液コーティング法
による光触媒膜形成を改善して、光触媒膜の基体に対す
る付着性を向上させるとともに、光透過率が良好な光触
媒体、これを用いたランプおよび照明器具を提供するこ
とを主な目的とする。
【0014】
【課題を達成するための手段】請求項1の発明の光触媒
体は、基体と;基体に形成され表面に凹凸面を備えた金
属酸化物からなる下地層と;下地層の凹凸面の凹部内に
入り込み、かつ密着して形成された酸化チタンの微粒子
を主体とする光触媒膜と;を具備していることを特徴と
している。
【0015】本発明および以下の各発明において、特に
指定しない限り用語の定義および技術的意味は次によ
る。
【0016】(基体について)基体は、光触媒膜を担持
するもので、専ら光触媒膜担持を目的とする部材はもち
ろんのこと、元来光触媒の担持を目的としない他の機能
のために形成されるもの(以下、「機能材」という。)
であることを許容する。
【0017】機能材としては、たとえばタイル、窓ガラ
ス、天井パネルなどの建築材や、厨房用および衛生用の
器材、家電機器、照明用器材、消臭用または集塵用フィ
ルターなどさまざまな任意所望の部材を基体とすること
ができる。
【0018】基体の材料としては、金属、ガラス、セラ
ミックス(磁器を含む。)、陶器、石材、合成樹脂およ
び木材などであることを許容する。
【0019】基体は、光触媒膜を高温で焼成して形成す
る場合には、その焼成に耐え得る耐熱性を備えている必
要がある。
【0020】(下地層について)本発明においては、光
触媒膜を直接基体表面に被着しないで、下地層を介して
基体に形成する。下地層は、金属酸化物からなり、その
表面に凹凸面を備えている。下地層は、金属酸化物から
構成されているため、一般的に透明性を備えて、酸化チ
タンを主成分とする光触媒膜との相性が良好で、また焼
成によって基体に強固に結着させることができる。
【0021】また、下地層の表面に凹凸面を形成するに
は、どのような手段によってもよいが、好適な手段は、
金属酸化物の平均粒径が光触媒膜を構成する超微粒子の
平均粒径より大きい粒子が分散した金属酸化物を用いて
下地層を形成することである。たとえば、平均粒径30
〜200nmの金属酸化物粒子を混在させた分散液を基
体に塗布して、80〜300℃の範囲で焼成することに
より、形成することができる。
【0022】さらに、下地層を構成する金属酸化物の材
質を光触媒膜の屈折率より小さな屈折率を有するものを
選択することができる。
【0023】そうすれば、たとえばソーダライムガラス
のように屈折率の小さな基体と屈折率の大きな光触媒膜
との中間の屈折率を有する下地層を形成して屈折率の傾
斜構造を実現することができる。傾斜構造にすることに
より、互いに接触する層間の屈折率の差を小さくして光
干渉の発生を抑制することができる。
【0024】(光触媒膜について)光触媒物質は、酸化
チタンTiO2を主成分とする。酸化チタンは、光触媒
作用が顕著であるとともに、安全で工業的に合理的な価
格で、しかも必要量を入手できるので、光触媒物質とし
て、現在最も有望視されている。
【0025】また、酸化チタンには、その結晶構造とし
てルチル形とアナターゼ形とがある。光触媒作用は、ア
ナターゼ形の方が優れているといわれている。
【0026】したがって、本発明においては、アナター
ゼ形の酸化チタンを用いるのが好適である。しかし、実
際的にはアナターゼ形にルチル形が混合して形成される
場合も多く、しかも、酸化チタンの超微粒子を用いる場
合にはそれでも実用的な光触媒作用を得ることができる
から、本発明においては、両者の混合した態様を許容す
る。さらに、それらの混合比の如何によって有機物の分
解性が変化する。
【0027】さらに、本発明においては、光触媒膜中に
副成分として、酸化チタン以外の光触媒物質が添加され
ていてもよい。その他の光触媒物質としては、以下のも
のがある。WO3、LaRhP3、FeTiO3、Fe2
3、CdFe24、SrTiO3、CdSe、GaAs、
GaP、RuO2、ZnO、CdS、MoS3、LaRh
3、CdFeO3、Bi23、MoS2、In23、C
dO、SnO2などである。これらの物質を1種または
複数種を混合して用いることができる。
【0028】なお、TiO2、WO3、SrTiO2、F
23、CdS、MoS3、Bi23、MoS2、In2
3、CdOなどは等価電子帯のレドックス・ポテンシ
ャルの絶対値が伝導帯のレドックス・ポテンシャルの絶
対値よりも大きいため、酸化力の方が還元力よりも大き
く、有機化合物の分解による消臭作用、防汚作用または
抗菌作用に優れている。
【0029】また、上記各物質の中で原料コストの面に
おいては、Fe23およびZnOが優れている。
【0030】さらにまた、本発明において、酸化チタン
は、超微粒子の形で用いる。超微粒子とは、平均粒径が
20nm以下なるべくは7〜10nmの極めて細かい微
粒子をいい、好ましくは微粒子の形状がなるべく球形に
近く、しかも粒径のばらつきが少なくて結晶性の良好な
微粒子である。
【0031】さらにまた、本発明において、光触媒膜
は、下地層の凹凸面内に入り込み、かつ密着している。
このような構造は、たとえば下地層の表面に凹凸面を形
成し、下地層の上に光触媒膜の分散液を塗布し、乾燥し
て焼成すれば、容易に形成することができる。
【0032】なお、焼成は、200℃以上たとえば30
0〜600℃の範囲で行うことができる。
【0033】さらにまた、酸化チタンの超微粒子を下地
層の凹凸面内に確実に入り込ませるには、熱による方法
と機械的圧力による方法とのいずれか一方または両方を
加えることができる。前者の方法の場合は、光触媒膜を
上にして約650℃で焼成すると、下地層が軟化しだし
て酸化チタンの超微粒子が自重によって沈下して下地層
中に入り込む。後者の方法の場合は、酸化チタンの超微
粒子の塗布層の上から機械的圧力を加えて下地層中に押
し込む。
【0034】さらにまた、光触媒膜中に二酸化ケイ素を
微量添加させることができる。二酸化ケイ素は、結着材
として作用する。
【0035】(本発明の作用について)本発明において
は、下地層の表面に凹凸面が形成され、光触媒膜が凹凸
面に入り込み、かつ密着しているので、光触媒膜の付着
強度が大きくなる。
【0036】光触媒膜は、酸化チタンの超微粒子を主体
としているので、従来の超微粒子酸化チタンを用いた光
触媒膜と同様に光触媒作用が強い。
【0037】下地層を構成する金属酸化物として、屈折
率が光触媒膜のそれより小さい金属酸化物たとえば酸化
ケイ素、酸化アルミニウムなどを用いれば、屈折率が傾
斜して、光干渉の発生を防止することができる。このた
め、光触媒膜の透過率が向上して、透明性の高い光触媒
体が得られる。
【0038】請求項2の発明の光触媒体は、請求項1記
載の光触媒体において、下地層は、凹凸面の平均深さが
20〜150nmであり;光触媒膜は、酸化チタンの超
微粒子の平均粒径が1〜20nmであるとともに凹凸面
の平均深さより小さい;ことを特徴としている。
【0039】本発明は、下地層の凹凸面の平均深さおよ
び酸化チタンの超微粒子の平均粒径のサイズと、サイズ
相互の関係を規定している。
【0040】凹凸面の平均深さとは、凹凸の頂部と谷部
と間の距離をいう。
【0041】そうして、凹凸面の平均深さが酸化チタン
の超微粒子の平均粒径より大きいことにより、光触媒膜
を構成している酸化チタンの超微粒子の最下層の超微粒
子は、下地層の凹凸面内に十分に入り込み、密着するの
で、光触媒膜は、下地層に強固に付着する。
【0042】請求項3の発明の光触媒膜は、請求項1ま
たは2記載の光触媒体において、下地層は、その凹部が
基体の表面まで貫通しており;光触媒膜は、少なくとも
その一部が凹部内に埋設されている;ことを特徴として
いる。
【0043】(下地層について)本発明において、下地
層に基体の表面まで貫通している凹部を形成する手段は
問わない。たとえば、下地層の金属酸化物を形成する金
属のアルコキシドのような金属化合物液に固体の有機化
合物粒子を添加し、適宜溶剤で希釈した塗布液を調整し
て、基体に塗布し、焼成することにより、有機化合物粒
子が分解した跡に上記の構成を備えた凹部を形成するこ
とができる。また、上記金属化合物液に金属酸化物粒子
を添加してもよい。
【0044】また、凹部の横断面形状は、円形、ハニカ
ム状、楕円形などどのような形状であってもよい。
【0045】さらに、凹部の縦断面形状は、円柱形、逆
円錐形、湾曲した形状、屈曲した形状などどのような形
状であってもよい。
【0046】(光触媒膜について)光触媒膜は、酸化チ
タンの超微粒子を用いて先行する請求項におけるのと同
様に形成すればよい。
【0047】また、光触媒膜は、そのほぼ全体が下地層
の凹部内に埋設され、したがって下地層の凸部が光触媒
膜の表面に露出した状態であってもよい。しかし、光触
媒膜の主として基体に近い下層の部分が下地層に埋設さ
れ、上層の部分は下地層の上に連続した層を形成してい
てもよい。
【0048】(本発明の作用について)本発明の光触媒
体は、上記の構成を備えていることにより、以下の作用
を奏する。
【0049】(1)光触媒作用が良好である。
【0050】結晶性が良好な超微粒子により、高い光触
媒作用が得られる。
【0051】(2)光触媒膜の強度が大きい。
【0052】付着性の良好な金属酸化物からなる下地層
に基体の表面まで貫通する凹部が形成され、その凹部内
に酸化チタンの超微粒子が埋設されているから、光触媒
膜の付着性が良好で、光触媒膜は高強度になる。
【0053】(3)光触媒膜が高透過率である。
【0054】基体の表面から光触媒膜の表面にかけて屈
折率が傾斜的に変化するので、ガラスの基体と光触媒膜
との間に光の反射が低減され、可視光の透過率が向上
し、基体にガラスを用いた場合、生地のガラスより大き
な可視光透過率が得られる。
【0055】請求項4の発明の光触媒体は、基体と;基
体に形成された金属酸化物からなる多孔質の下地層と;
下地層に密着して形成された酸化チタンの超微粒子を主
体とする光触媒膜と;を具備していることを特徴として
いる。
【0056】多孔質とは、気孔率が30%以上であり、
好ましくは70%以下であることをいう。気孔は、連続
性であって、下地層の表面から基体の表面まで連通して
いてもよいし、下地層の中間まで連続してもよい。な
お、気孔率が70%を超えると、下地層の強度の低下が
顕著になるから、なるべく70%以下にするのが好まし
い。
【0057】そうして、下地層が多孔質であると、表面
も凹凸面になるので、光触媒膜の酸化チタンの超微粒子
が凹凸面内に入り込み、密着しやすくなる。
【0058】また、下地層が多孔質であると、水を含み
やすくなり、濡れ性が良好になるので、光触媒膜の付着
性が向上する。
【0059】請求項5の発明の光触媒体は、請求項1な
いし4のいずれか一記載の光触媒体において、多数の貫
通孔を備えた金属酸化物構造体層を表面に備えているこ
とを特徴としている。
【0060】金属酸化物構造体層は、光触媒膜の表面に
配設され、その貫通孔によって細かい網目のような隙間
を形成しながら光触媒膜を覆う。金属酸化物構造体層に
多数の貫通孔を形成する手段は問わない。たとえば、請
求項3における下地層を形成するのと同様に、金属酸化
物を形成する金属のアルコキシドのような化合物液に固
体の有機化合物粒子を添加し、適宜溶剤で希釈した塗布
液を調整して、基体に塗布し、焼成することにより、有
機化合物粒子が分解した跡に上記の構成を備えた凹部を
形成することができる。また、上記金属化合物液に金属
酸化物粒子を添加してもよい。
【0061】また、貫通孔の横断面形状および縦断面形
状についても、請求項3におけるのと同様に種々の形状
であることを許容する。
【0062】さらに、下地層と表面の金属酸化物構造体
層下地層とが直接または光触媒膜の超微粒子の間に浸透
することにより部分的に接続しているように構成するこ
とができる。
【0063】さらにまた、貫通孔中に酸化チタンの超微
粒子を入り込ませるには、請求項1において述べた方法
を加えることによって一層確実に行わせることができ
る。
【0064】そうして、本発明においては、酸化チタン
の超微粒子からなる光触媒膜の上に金属酸化物構造体層
が超微粒子間に浸透しながら形成されるため、光触媒膜
の膜強度が向上する。さらに、金属酸化物構造体層と下
地層とが接続していれば、なお一層膜強度が向上する。
【0065】また、金属酸化物構造体層には多数の貫通
孔が形成されているため、臭い物質、汚れ物質および細
菌などの有機物質は上記貫通孔を通過して光触媒膜に接
触するから、光触媒作用は阻害されるようなことはな
い。
【0066】さらに、貫通孔の孔隙のサイズを制御する
ことにより、粒子サイズの大きい汚れ物質を通過させな
いように構成することもできる。
【0067】さらにまた、金属酸化物構造体層に多数の
貫通孔が形成されているため、等価的な屈折率が小さく
なって、反射防止膜として作用する。したがって、基体
にガラスを用いた場合、生地のガラスより可視光等価率
が最大6〜8%程度向上する。
【0068】さらにまた、金属酸化物構造体層が光触媒
膜の表面を保護して、傷が付きにくくする。
【0069】請求項6の発明の光触媒体は、請求項1な
いし5のいずれか一記載の光触媒体において、下地層
は、チタンTi、ケイ素SiおよびアルミニウムAlの
少なくとも一種の酸化物からなることを特徴としてい
る。
【0070】本発明において規定する金属酸化物は、い
ずれも透明性の良好な下地層を形成することができる。
【0071】また、ケイ素およびアルミニウムの酸化物
は、光触媒膜の屈折率より屈折率が小さいので、基体の
屈折率との差を小さくして光干渉を生じにくくする。
【0072】請求項7の発明の光触媒体は、請求項1な
いし6のいずれか一記載の光触媒体において、下地層
は、酸化ケイ素および酸化チタンが重量比で40:60
〜80:20の割合で混合して形成されていることを特
徴としている。
【0073】酸化ケイ素および酸化チタンを上記の範囲
にすることにより、屈折率を所望に調整できるととも
に、さらに強固な付着性を得ることができる。
【0074】また、酸化チタンの微粒子を酸化ケイ素に
混合して焼成すると、酸化ケイ素が結着材として作用さ
せることもでき、基体に対する付着性の良好な下地層を
形成することができる。
【0075】しかも、酸化チタンの粒子サイズを光触媒
膜の酸化チタンの微粒子のそれより大きなたとえば平均
粒径30〜200nmのものを用いることで、表面に平
均深さ20〜150nmの凹凸面を容易に形成すること
ができる。
【0076】このような構成の下地層を形成するには、
たとえば酸化ケイ素をポリシロキサンなどのケイ素化合
物を有機溶剤で希釈した塗布液を調整して基体に塗布
し、焼成する。その際、所望の粒径の酸化チタンを塗布
液に分散させる。
【0077】請求項8の発明のランプは、発光部をガラ
スバルブが包囲していて波長400nm以下を含む発光
を行うランプ本体と;ガラスバルブを基体としてその少
なくとも外面に被着された請求項1ないし7のいずれか
一記載の光触媒体と;を具備していることを特徴として
いる。
【0078】本発明のランプは、発光原理は問わない。
たとえば、白熱電球、放電ランプなどであることを許容
する。
【0079】白熱電球の場合、色温度が高いハロゲン電
球の方が一般照明用電球より波長400nm以下の発光
割合が高いが、一般照明用の白熱電球であってもよい。
【0080】放電ランプの場合、低圧放電ランプおよび
高圧放電ランプのいずれでもよい。
【0081】低圧放電ランプとしては、たとえば蛍光ラ
ンプがある。蛍光ランプに用いる蛍光体を選択して40
0nm以下の発光を適当に増加させることができる。こ
のような蛍光ランプは、比較的可視光の低下が少なく
て、しかも光触媒体の活性化作用が一般照明用の蛍光ラ
ンプに比較して良好なので、光触媒体活性化用のランプ
として好適である。しかし、本発明は一般照明用として
従来から多用されている3波長形発光の蛍光体やカルシ
ウムハロリン酸塩蛍光体を用いた蛍光ランプであること
を許容するものである。
【0082】また、主として400nm以下の発光を利
用する目的の殺菌ランプやブラックライト、ケミカルラ
ンプなどをも許容する。
【0083】一方、高圧放電ランプとしては、たとえば
水銀ランプ、メタルハライドランプおよび高圧ナトリウ
ムランプなどであるを許容する。
【0084】なお、ガラスバルブは、放電媒体を包囲し
ている態様であってもよいし、発光部を内包している発
光管をさらに包囲する外管であってもよい。
【0085】本発明においては、ランプのガラスバルブ
を基体として光触媒膜を形成しているので、たとえラン
プが発生する400nm以下の発光量が少なくても光触
媒膜を十分に活性化することができる。
【0086】また、本発明のランプを用いると、光触媒
作用によりガラスバルブに付着するたばこの脂や、ばい
煙などの有機質の汚れ物質が分解されるので、ガラスバ
ルブの汚れによる光束低下が少なくなる。このため、長
期間にわたって良好な照明を行うことができるととも
に、ランプの清掃インターバルを長くすることができ
る。
【0087】さらに、ランプが点灯するのに伴って生じ
る発熱により、ランプの周囲に熱対流が発生じ、室内の
空気が対流する。ランプに接触した空気の消臭、殺菌が
行われる。したがって、本発明のランプを用いることに
より、室内空気を消臭、殺菌することができる。
【0088】請求項9の発明の照明器具は、制光手段を
備えた照明器具本体と;照明器具本体の制光手段の少な
くとも一部を基体として形成された請求項1ないし7の
いずれか一記載の光触媒体と;を具備していることを特
徴としている。
【0089】本発明において、照明器具は、屋外用およ
び屋内用のいずれでもよい。
【0090】制光手段は、反射体、グローブ、セード、
透光性カバーおよびルーバなどの一種類または任意の複
数種類の組み合わせで用いられていることを許容する。
【0091】また、制光手段の全体に光触媒膜を形成し
てもよいが、その一部分に形成してもよい。
【0092】制光手段は、使用によりばい煙やたばこの
脂などの有機物からなる汚れがそこに付着すると、照明
器具としての光学性能が低下するが、光触媒膜を形成し
ておくことにより、汚れが分解されるので、光学性能の
低下を抑制することができる。
【0093】また、制光手段に接触した空気中の臭い物
質を分解したり殺菌することにより、室内の脱臭、殺菌
を行うこともできる。
【0094】さらに、照明器具をたとえば冷蔵庫、エア
コンディショナー、空気清浄装置などに収納できる大き
さおよび構造にして、これらの機器に配設することによ
り、脱臭または殺菌手段とすることもできる。
【0095】以上の説明から理解できるように、制光手
段に光触媒膜を形成するので、光触媒膜は透明性の良好
なものが好適である。
【0096】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0097】図1は、本発明の光触媒体の第1の実施形
態における光触媒膜の断面を拡大して示す電子顕微鏡写
真である。
【0098】図2は、同じく概念的要部拡大断面図であ
る。
【0099】各図において、1は基体、2は下地層、3
は光触媒膜である。
【0100】基体1は、ソーダライムガラスから構成さ
れている。
【0101】下地層について 下地層2は、酸化ケイ素および酸化チタンが重量比で6
0:40の割合の混合して構成されており、透明性で多
孔性であるとともに、表面が平均深さ約30nmの凹凸
面2aに形成された被膜である。
【0102】この下地層2は、ポリシロキサンをエタノ
ールに溶解させた溶液に平均粒径約30nmの酸化チタ
ン粒子を分散させた塗布液を調整して、基体1の表面に
塗布し、乾燥させて、約200℃で焼成して形成したも
のである。
【0103】光触媒膜について 光触媒膜2は、平均粒径約7nmの酸化チタンの超微粒
子を下地層2の上に結着させて形成されている。この光
触媒膜3は、下地層2の表面に形成された凹凸面2aに
入り込み、かつ下地層2に密着している。
【0104】図3は、本発明の光触媒体の第1の実施形
態における光触媒膜の分光透過率特性を示すグラフであ
る。
【0105】図において、横軸は波長(nm)を、縦軸
は透過率(%)を、それぞれ示す。
【0106】曲線は、本実施形態による光触媒膜の分光
透過率特性を示す。
【0107】図から明かなように、本実施形態によれ
ば、可視光および紫外域において透過率が向上してい
る。
【0108】図4は、本発明の光触媒体の第1の実施形
態におけるインクの分解性についての測定結果を示すグ
ラフである。
【0109】図において、横軸は経過時間(分)を、縦
軸は分解性を、それぞれ示す。
【0110】曲線は、本実施形態によるインクの分解性
を示す。
【0111】図から明かなように、本実施形態によれ
ば、光触媒作用が優れていることが分かる。
【0112】次に、本実施形態の光触媒体における光触
媒膜の鉛筆法による硬度テストを行った結果、6〜7H
であった。このことは、本発明によれば、十分高い強度
の光触媒膜を得られることを示している。
【0113】図5は、本発明の光触媒体の第2の実施形
態を示す概念的要部拡大断面図である。
【0114】図6は、同じく概念的要部拡大平面図であ
る。
【0115】各図において、図2と同一部分については
同一符号を付して説明は省略する。
【0116】本実施形態は、下地層2の凹凸面2aによ
り形成される凹部2bが基体1の表面まで貫通している
点で異なる。
【0117】すなわち、下地層2は、以下の手段により
製作する。
【0118】ポリシロキサンなどのケイ素化合物に目標
の膜厚以上の粒径を備えたエポキシ樹脂粒子を添加した
塗布液を調整し、ガラスからなる基体1の表面に塗布す
る。
【0119】次に、基体1を400℃以上の温度で焼成
する。この工程でエポキシ樹脂粒子は、分解して消失す
る。
【0120】そうして、得られた下地層2にはエポキシ
樹脂が消失してできた空孔が基体の表面まで貫通した凹
部2bを構成する。この凹部2bの横断面形状および縦
断面形状は図においては円柱状に描いているが、エポキ
シ樹脂粒子の形状、添加量などによって様々なものとな
り、いずれであっても本発明の作用、効果が得られるの
で、差し支えない。
【0121】さて、基体1の下地層2を形成したら、次
にアナターゼ形の酸化チタンの超微粒子(粒径約10n
m)を水とイソプロピルアルコールとの溶液に分散した
分散液を調整して下地層2の上から塗布する。
【0122】次に、基体1を300〜600℃で焼成し
て酸化チタンが下地層2の凹部2b内に埋設して光触媒
膜3を形成する。
【0123】以上のようにして形成された光触媒膜3
は、硬度8Hないし9Hの非常に硬い膜であるととも
に、以下に示す高い可視光透過率および優れた光触媒作
用を示した。
【0124】図7は、本発明の光触媒体の第2の実施形
態における分光透過率特性を比較例のそれとともに示す
グラフである。
【0125】図において、横軸は、波長(nm)を、縦
軸は透過率(%)を、それぞれ示す。また、曲線Aは本
実施形態の透過率特性を、曲線Bは比較例の透過率特性
を、それぞれ示す。なお、比較例は、ガラスの基体のみ
である。
【0126】図から明らかなように、本実施形態におい
ては、特に可視光域において比較例のガラスの基体より
6〜8%高い透過率が得られる。
【0127】図8は、本発明の光触媒体の第2の実施形
態におけるインクの分解性についての測定結果を比較例
のそれとともに示すグラフである。
【0128】図において、横軸は経過時間(分)を、縦
軸は分解性を、それぞれ示す。また、曲線Cは本実施形
態のインクの分解特性を、曲線Dは比較例のインクの分
解特性を、それぞれ示す。なお、比較例は、従来の酸化
チタン超微粒子を用いた光触媒体である。
【0129】図から明かなように、本実施形態の光触媒
体は従来の酸化チタン超微粒子を用いた光触媒体と殆ど
変わらない光触媒作用を備えていることが理解できる。
【0130】次に、図4および図5に示す構造の光触媒
体と同様な構成でありながら、異なる手段によって製作
する第3の実施形態について次に説明する。
【0131】すなわち、ポリシロキサンをエタノールに
溶解させた溶液に粒径50nm前後の酸化チタンを重量
比で50:50の割合で混合した塗布液を調整して、基
体1に塗布する。
【0132】次に、基体1を80〜300℃で焼成する
と、膜厚が約100nmの下地層2が形成される。
【0133】下地層2の表面には、深さ20以上の凹凸
面2aが形成され、かなりの割合で基体1の表面に達す
る凹部すなわち基体1の表面まで貫通する凹部2bが形
成される。
【0134】さらに、アナターゼ形を主体とする約10
nmの粒径の酸化チタン超微粒子を水およびイソプロピ
ルアルコールの混合液に分散させた塗布液を下地層2の
うえから塗布し、300〜600℃で焼成して光触媒膜
3を形成する。
【0135】そうして、下地層2の基体の表面まで貫通
した凹部2b内に光触媒膜が進入した光触媒体を得るこ
とができる。
【0136】図9は、本発明の光触媒体の第3の実施形
態を示す概念的要部拡大断面図である。
【0137】図において、図5と同一部分については同
一符号を付して説明は省略する。
【0138】本実施形態は、光触媒膜3が下地層2の凹
部2b内だけでなく、凹部2bの上において連続した膜
状部3aを形成している点で異なる。
【0139】図10は、本発明の光触媒体の第4の実施
形態を示す概念的要部拡大断面図である。
【0140】図11は、同じく概念的要部拡大平面図で
ある。
【0141】各図において、図5と同一部分については
同一符号を付して説明は省略する。
【0142】本実施形態は、光触媒膜3の上にさらに金
属酸化物構造体層4を形成している点で異なる。
【0143】すなわち、金属酸化物構造体層4は、下地
層2と同様に貫通した凹部4aを備えており、光触媒膜
3は凹部4aを介して外気に接触することができる。
【0144】また、金属酸化物構造体層4は、光触媒膜
3を形成した後、下地層2と同様な手段によって形成す
ることができる。
【0145】そうして、光触媒膜3は、下地層2および
金属酸化物構造体層4によってサンドイッチされるの
で、付着強度が向上する。この際に、下地層2と金属酸
化物構造体層4とが部分的に接着すれば、より一層付着
強度が向上する。
【0146】図12は、本発明の光触媒体の第4の実施
形態におけるインクの分解特性についての測定結果を比
較例のそれとともに示すグラフである。
【0147】図において、横軸は経過時間(分)を、縦
軸は分解性を、それぞれ示す。また、曲線Eは本実施形
態を、曲線Fは従来の光触媒体を、それぞれ示す。な
お、比較例は、酸化チタン超微粒子の光触媒膜を備えた
従来の光触媒体である。
【0148】図から明かなように、本実施形態は光触媒
作用が従来とほぼ同様である。
【0149】図13は、本発明のランプの一実施形態に
おける蛍光ランプを示す要部断面正面図である。
【0150】図において、11はガラスバルブ、12は
光触媒膜、13は蛍光体層、14はフィラメント電極、
15は口金である。
【0151】ガラスバルブ11は、光触媒膜12に対し
て基体として機能するとともに、内部に蛍光ランプとし
ての機能部分を気密に収納する。すなわち、ガラスバル
ブ11の内部に放電媒体としての水銀およびアルゴンを
主体とする希ガスを数torr封入し、内面に蛍光体層
13を担持し、さらに両端に一対のフィラメント電極1
4を封装している。
【0152】口金15は、アルミニウム製のキャップ状
の口金本体15aおよび口金本体15aに絶縁して取り
付けられた一対の口金ピン15bから構成され、ガラス
バルブ11の両端部に接着されている。フィラメント電
極14の両端はそれぞれ口金ピン15bに接続されてい
る。
【0153】そうして、本実施形態の蛍光ランプを用い
て照明すると、光触媒膜12の光触媒作用により、蛍光
ランプの表面に付着した有機の汚れ物質が分解され、接
触した空気中の臭い物質が分解されて周囲の消臭が行わ
れる。
【0154】図14は、本発明の照明器具の一実施形態
におけるトンネル用照明器具を示す斜視図である。
【0155】図において、21は照明器具本体、22は
前面枠、23は透光性ガラスカバー、24はランプソケ
ット、25は高圧放電ランプ、26は反射板である。
【0156】照明器具本体21は、ステンレス板を前面
に開口部を備えた箱状に成形してなり、背面に取付金具
21aを備えている。
【0157】前面枠22は、ステンレス板を成形してな
り、中央に投光開口22a、一側にヒンジ22b、他側
にラッチ(図示しない。)を備えている。そして、ヒン
ジ2aにより、照明器具本体21の前面側の一側部に開
閉自在に枢着され、ラッチにより閉止位置に固定される
ように構成されている。
【0158】透光性ガラスカバー23は、前面枠22に
シリコーンゴム製のパッキング2aを介して防水的に装
着されている。この透光性ガラスカバー23は、可視光
を透過するとともに、波長400nm以下の紫外領域の
少なくとも一部に比較的高い透過率特性を有している。
また、透光性ガラスカバー23の前面には図1に示す光
触媒膜が形成されている。
【0159】ランプソケット24は、照明器具本体21
内に配設されている。
【0160】高圧放電ランプ25は、340〜400n
mの波長範囲内において、可視光の光束1000lm当
たり0.05W以上の強度の紫外線を放射する。
【0161】反射板26は、照明器具本体21内に配設
されて、上記高圧放電ランプ25から放射された光が反
射板26で反射されて所要の配光特性を示すように構成
され、かつ配置されている。
【0162】照明器具本体21の反射板26の背面側に
は、安定器、端子台などが配設されている。
【0163】そうして、本実施形態の照明器具は、取付
金具21aを介してトンネル内に設置されて使用に供さ
れ、トンネル内を照明する。
【0164】また、照明と同時に高圧放電ランプ25か
ら放射される主として340〜400nmの波長範囲内
の紫外線も可視光と一緒に透光性ガラスカバー23を通
過して光触媒膜に入射するから、光触媒膜は紫外線によ
り活性化され、付着するばい煙などの有機物の汚れを分
解してセルフクリーニングを行う。
【0165】
【発明の効果】請求項1ないし7の各発明によれば、表
面が凹凸面を備えた金属酸化物からなる下地層を基体に
形成して、酸化チタンの超微粒子を主体とする光触媒膜
が下地層の凹凸面に入り込み、かつ密着して形成されて
いることにより、高い光触媒性と高膜強度とを備えてい
ながら、屈折率が膜厚方向に傾斜して分布するので、下
地層に対する付着性が良好で可視光透過率の高い光触媒
体を提供することができる。
【0166】請求項2の発明によれば、加えて下地層の
凹凸面の平均深さが20〜150nmであるとともに、
光触媒膜を構成する酸化チタンの超微粒子の平均粒径が
1〜20nmで、かつ下地層の凹凸面の平均深さより小
さくしたことにより、光触媒膜が下地層の凹凸面に入り
込みやすく、かつ密着しやすい光触媒体を提供すること
ができる。
【0167】請求項3の発明によれば、加えて下地層の
凹部が基体の表面まで貫通しており、光触媒膜が凹部内
に埋設されていることにより、光触媒膜の強度が高いと
ともに、屈折率が膜厚方向に良好に傾斜分布するので、
光触媒膜を形成しない生地のガラス基体より高い可視光
透過率を備えた光触媒体を提供することができる。
【0168】請求項4の発明によれば、基体に金属酸化
物からなる多孔質の下地層を形成し、下地層の上に酸化
チタンの超微粒子を主体とする光触媒膜を形成したこと
により、下地層の気孔の中に光触媒膜が進入するととも
に、濡れ性が良好で光触媒膜の付着性が良好な光触媒体
を提供することができる。
【0169】請求項5の発明によれば、加えて多数の貫
通孔を備えた金属酸化物構造体層を光触媒膜の上に形成
したことにより、金属酸化物構造体層が光触媒膜に進入
して一層膜強度が向上した光触媒体を提供することがで
きる。
【0170】請求項6の発明によれば、加えて下地層を
チタン、ケイ素およびアルミニウムの酸化物の少なくと
も一種から形成したことにより、透過率が高くて、干渉
色が生じにくい光触媒体を提供することができる。
【0171】請求項7の発明によれば、加えて下地層が
酸化ケイ素および酸化チタンが重量比で40:60〜8
0:20の割合で混合して形成されていることにより、
酸化ケイ素が結着材として作用して基体に対する付着性
の良好な光触媒体を提供することができる。
【0172】請求項8の発明によれば、請求項1ないし
7の効果を有するランプを提供することができる。
【0173】請求項9の発明によれば、請求項1ないし
7の効果を有する照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒体の第1の実施形態における光
触媒膜の断面を拡大して示す電子顕微鏡写真
【図2】同じく概念的要部拡大断面図
【図3】本発明の光触媒体の第1の実施形態における光
触媒膜の分光透過率特性を示すグラフ
【図4】本発明の光触媒体の第1の実施形態におけるイ
ンクの分解性についての測定結果を示すグラフ
【図5】本発明の光触媒体の第2の実施形態を示す概念
的要部拡大断面図
【図6】同じく概念的要部拡大平面図
【図7】本発明の光触媒体の第2の実施形態における分
光透過率特性を比較例のそれとともに示すグラフ
【図8】本発明の光触媒体の第2の実施形態におけるイ
ンクの分解性についての測定結果を比較例のそれととも
に示すグラフ
【図9】本発明の光触媒体の第3の実施形態を示す概念
的要部拡大断面図
【図10】本発明の光触媒体の第4の実施形態を示す概
念的要部拡大断面図
【図11】同じく概念的要部拡大平面図
【図12】本発明の光触媒体の第4の実施形態における
インクの分解性についての測定結果を比較例のそれとと
もに示すグラフ
【図13】本発明のランプの一実施形態における蛍光ラ
ンプを示す要部断面正面図
【図14】本発明の照明器具の一実施形態におけるトン
ネル用照明器具を示す斜視図
【符号の説明】
1…基体 2…下地層 2a…凹凸面 3…光触媒膜

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体と;基体に形成され表面に凹凸面を備
    えた金属酸化物からなる下地層と;下地層の凹凸面内に
    入り込み、かつ密着して形成された酸化チタンの超微粒
    子を主体とする光触媒膜と;を具備していることを特徴
    とする光触媒体。
  2. 【請求項2】下地層は、凹凸面の平均深さが20〜15
    0nmであり;光触媒膜は、酸化チタンの超微粒子の平
    均粒径が1〜20nmであるとともに凹凸面の平均深さ
    より小さい;ことを特徴とする請求項1記載の光触媒
    体。
  3. 【請求項3】下地層は、その凹部が基体の表面まで貫通
    しており;光触媒膜は、少なくともその一部が凹部内に
    埋設されている;ことを特徴とする請求項1または2記
    載の光触媒体。
  4. 【請求項4】基体と;基体に形成された金属酸化物から
    なる多孔質の下地層と;下地層に密着して形成された酸
    化チタンの超微粒子を主体とする光触媒膜と;を具備し
    ていることを特徴とする光触媒体。
  5. 【請求項5】多数の貫通孔を備えた金属酸化物構造体層
    を表面に備えていることを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれか一記載の光触媒体。
  6. 【請求項6】下地層は、チタンTi、ケイ素Siおよび
    アルミニウムAlの少なくとも一種の酸化物からなるこ
    とを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の光
    触媒体。
  7. 【請求項7】下地層は、酸化ケイ素および酸化チタンが
    重量比で40:60〜80:20の割合で混合して形成
    されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれ
    か一記載の光触媒体。
  8. 【請求項8】発光部をガラスバルブが包囲していて波長
    400nm以下を含む発光を行うランプ本体と;ガラス
    バルブを基体としてその少なくとも外面に被着された請
    求項1ないし7のいずれか一記載の光触媒体と;を具備
    していることを特徴とするランプ。
  9. 【請求項9】制光手段を備えた照明器具本体と;照明器
    具本体の制光手段の少なくとも一部を基体として形成さ
    れた請求項1ないし7のいずれか一記載の光触媒体と;
    を具備していることを特徴とする照明器具。
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JP2010017603A (ja) * 2008-07-08 2010-01-28 Nippon Pillar Packing Co Ltd 光触媒担持体及びその製造方法
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JP2014018740A (ja) * 2012-07-18 2014-02-03 Babcock-Hitachi Co Ltd 板状触媒及び板状触媒の製造方法
JP2017057131A (ja) * 2015-09-15 2017-03-23 Toto株式会社 光触媒層を有する衛生陶器

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