JP4075377B2 - 光触媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可視光で作用する光触媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
消臭、防汚およびまたは抗菌を行うために、光触媒膜を用いることが知られている。光触媒膜は、紫外線照射を受けて、その光エネルギーを吸収すると、光触媒膜を構成して光触媒作用を呈する半導体に電子とホールが生成する。電子とホールは、膜表面にある酸素や水と反応して活性酸素や他の活性なラジカルなどを生じ、有機物からなる汚れ物質や臭い成分を酸化還元して分解するとされている。
【0003】
光触媒作用のある物質のうち、現在最も有望視されているのは酸化チタンである。酸化チタンは、光触媒作用が顕著であるとともに、安全で工業的に合理的な価格で、しかも必要量を入手できる物質だからである。
【0004】
近時、光触媒膜の有用性に注目して、建材など幅広い物品に光触媒膜を形成しようとする動きが活発である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光触媒膜は、約400nm以下の紫外線によって活性化されるため、ブラックライトや水銀ランプのように紫外線を多く放射する人工光源を用いるか、太陽光線中に含まれる紫外線を利用している。
【0006】
しかし、人工光源により紫外線を光触媒膜に照射させるためには人工光源を新たに設ける必要があるため設備コストが上昇する。また、太陽光には一定量の紫外線が含まれるが、光触媒体の使用状態によっては太陽光でも紫外線量が十分でないことが多い。
【0007】
したがって、太陽光が照射されるような環境下でも効率良く光触媒活性が得られるように、可視光で光触媒作用を生起させる試みがなされている。
【0008】
本発明者は、特開平11−104500号公報(従来技術)に記載されているように、可視光により光触媒作用が得られる技術を開発した。この従来技術は、酸化チタンからなる光触媒膜に金属クラスター(微粒子)を混入し、金属クラスターの可視域のプラズマ共鳴による吸収によって生じた電子を酸化チタンで利用するものである。
【0009】
しかしながら、この従来技術では、光触媒膜のベースとなる酸化チタンの光触媒活性が十分でなく、また可視光により金属クラスターに生じた電子の酸化チタンへの移行効率が低いため、可視光による光触媒活性は十分に得られなかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、可視光により高い光触媒活性を得ることができる光触媒体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を達成するための手段】
請求項1の光触媒体は、基体と;Ti、O、Cを主成分とし、TiO2微粒子が酸化物換算質量比で30〜90質量%の範囲内となるように混合され、かつ金属クラスター微粒子が5.0〜30質量%の範囲内となるように分散されて基体上に製膜され、この金属クラスター微粒子のプラズマ共鳴による可視光の吸収ピークを有し、前記TiO 2 微粒子および前記金属クラスター微粒子の粒径が1.0〜30nmの範囲内である光触媒膜と;を具備していることを特徴とする。
【0012】
本発明者は、光触媒膜のベースおよび金属クラスター微粒子の組合わせ条件などを種々検討した結果、上記構成に基づく光触媒膜が可視光により光触媒作用を生起して非常に高い光触媒活性を得ることができるという結果を得た。
【0013】
すなわち、基体上に形成された光触媒膜のベースを高活性なTi(チタン)、O(酸素)、C(炭素)を主成分とし、この光触媒膜のベースにはTiO2微粒子を酸化物換算質量比で30〜90質量%の範囲内で混合させ、かつ金属クラスター微粒子を光触媒膜に分散させることによって、金属クラスター微粒子のプラズマ共鳴による可視光の吸収を発生させ、吸収した可視光エネルギーを効果的に光触媒作用に利用することが可能となった。
【0014】
なお、TiO2微粒子は、アナターゼまたはアナターゼ・ルチル混合の結晶であるのが望ましい。
【0015】
本発明の光触媒体、TiO2微粒子および金属クラスター微粒子の粒径が1.0〜30nmの範囲内である
【0016】
TiO2微粒子および金属クラスター微粒子の粒径を上記範囲内とすることにより、高い光触媒活性が得られる。この要因は、TiO2微粒子および金属クラスター微粒子がほぼ同レベルの量子サイズ効果のある粒径を有しているため、その混合により、通常と異なった強い相互作用が発揮され、金属クラスター微粒子からTiO2微粒子または光触媒膜ベースの酸化チタンへ高効率で電子の移行が行わるためと思われる。
【0017】
の光触媒体において、光触媒膜全体のC/O原子比が30%以下であり、かつ光触媒膜表面におけるC/O原子比が10%以下となるように構成されているのが好ましい
【0018】
光触媒膜に含まれるC(炭素)およびO(酸素)の原子比を上記のとおり規定することにより、より高い光触媒活性を得ることができるという結果を得た。これは、主に光触媒膜のベースに含まれるCの存在比率を制御して形成することが可能となる。すなわち、光触媒膜表面には、Cはできるだけ少ない方が光触媒活性は高いことが分かった。
【0019】
請求項は、請求項記載の光触媒体において、金属クラスター微粒子が、Ag,Au,Pt,Rh,Ru,Pd,Fe,Co,Cr,V,Mn,CuおよびNiからなる群のうち少なくとも一種類以上であることを特徴とする。
【0020】
上記の各金属は、クラスター状態でプラズマ共鳴による吸収が可視光領域に発生するので、本発明の光触媒体に好適である。これらの金属は、これを金属単体で、または化合物として用いることができる。化合物としては、酸化物、窒化物および炭化物の形で使用することができる。
【0021】
本発明の光触媒体、金属クラスター微粒子は、光触媒膜に対し5.0〜30質量%の範囲内となるように分散されていることを特徴とする。
【0022】
可視光を効果的に吸収させて高い光触媒活性を得るためには、金属クラスター微粒子を光触媒膜に対し5.0〜30質量%分散させる必要がある。金属クラスター微粒子の分散量が5.0質量%未満であると可視光を効果的に吸収できず、30質量%を超えると可視光を吸収しても光触媒作用を生起する酸化チタンの割合が減少するため、高い光触媒活性を得ることができない。
【0023】
請求項は、請求項1または2記載の光触媒体において、光触媒膜の少なくとも一部の表面に酸化珪素(SiO2)が形成されていることを特徴とする。
【0024】
酸化珪素(シリカ)のような酸化物を光触媒膜の表面に他成分として添加すると、光触媒作用の一種である親水性が現れるが、本発明においても同様の効果が発生した。
【0025】
本発明の光触媒体は、光触媒膜の膜厚を10〜250nmとし、かつ光触媒膜の波長400〜600nmの平均透過率を80%以下とし、かつその最大透過率および最小透過率の差が5%以上とするのが好ましい。
【0026】
ここでいう透過率とは、光触媒膜単独の透過率を意味し、基体の透過率・吸収は考慮されるものではない。
【0027】
金属クラスターによる光プラズマ吸収特性は、本来特定の波長を中心とした半値幅の狭い鋭い線状の吸収スペクトルを示すが、本発明の光触媒膜では吸収スペクトルが拡がり、波長400〜600nmの平均透過率が80%以下であり、かつその最大透過率および最小透過率の差が5%以上となる。このことは、広い可視光の波長範囲でほぼ均等に可視光が金属クラスターに吸収されていることを示している。
【0028】
本発明において、基体とは、光触媒膜を形成したい物体の全てに適応する。たとえば、建築材、衛生用機器、厨房用機器、機器用フィルター、家電機器、照明用器材、内装材、医療用各種器材、繊維類などの機能材が該当する。以下、これらの機能材の例を示す。ただし、これは本発明の理解を助けるためであって、本発明の適用範囲を制限するものではない。建築材としては、タイル、床材、窓材、壁材などである。衛生用機器としては、洗面台、浴槽、大・小便器などである。厨房用機器としては、流し、調理台、食器戸棚などである。機器用フィルターとしては、空気清浄器用フィルター、風呂用循環器用フィルター、空気調和装置用フィルター、暖房器用フィルター、消臭器用フィルターなどである。家電機器としては、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、皿洗い器、コーヒーメーカー、電気掃除機などである。照明用器材としては、ランプたとえば蛍光ランプ、照明器具用セード・グローブ、透光性カバー、シャンデリア用ようらく、反射板、ソケットなどである。内装材としては、カーテン、壁紙などである。基体に形成された光触媒膜が光照射を受けて活性化し、消臭、防汚、抗菌などの作用を併せて行う。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態における光触媒体の断面を拡大して示す概念的模式図である。
【0031】
各図において、10は光触媒体、1は基体、2は光触媒膜である。基体1は、厚さ3mm、一辺の長さが約50mmの矩形板状ソーダライムガラスから構成されている。
【0032】
本実施形態の光触媒膜は、Ti、O、Cを主成分とする光触媒膜で、光触媒膜にTiO2(酸化チタン)微粒子が混合され、その量が光触媒膜の酸化物質量換算比で30〜90質量%であり、かつ金属クラスター微粒子を分散して形成されている。
【0033】
この光触媒膜2の形成方法の一例を説明する。例えば、原材料として、アナターゼなどからなる平均粒径約7nmのTiO2微粒子を水およびエタノールなどからなる有機溶剤に添加剤等を加えて分散させた溶液にTiOR2(Rはアセチルアセトン(C572))をTiO2に対し30質量%溶解した一次溶液を調製する。
【0034】
一次溶液のTiOR2は、アセチルアセトン(C572)、シクロペンタジエニル(C55)またはジピバロイルメタン(C11192)などであっても同様の光触媒膜2が形成できる。
【0035】
また、TiOR2を使用する場合、塗膜時の成膜性が悪く、色むらや分解性のむらが発生しやすい。これを改善するたTiOR2のRのうち平均1個以下を別のアルキル基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基で置換すると高い分解力を維持しつつ成膜性を改善できる。
【0036】
こうして得られた一次溶液に、平均粒径約4nmの金属クラスター微粒子としてのAu微粒子を分散させ、二次溶液を調整する。この二次溶液を基体1の表面に塗布乾燥し、必要に応じて熱処理を行って膜厚が10〜250nmの光触媒膜2を製膜する。
【0037】
このように製膜された光触媒膜2は、金属クラスター微粒子の可視光吸収ピークが発生している関係で波長400〜600nmの平均透過率が80%以下となり、その最大透過率および最小透過率の差が5%以上となる。
【0038】
光触媒膜2の酸化チタンはその多くがアナターゼ形の結晶を呈している。しかし、実際にはアナターゼ形にルチル形が混合して形成される場合も多く、それでも実用的な光触媒作用を得ることができる。したがって、本実施形態においては、両者の混合した態様を許容する。
【0039】
光触媒膜2の他の製膜方法としては、一次溶液にHAuCl4などを溶解させて二次溶液を調整し、この二次溶液を基体1の表面に塗布乾燥し、熱処理またはUV照射などにより還元処理を行って膜中に直塗Auクラスターを形成して製膜してもよい。この場合の熱処理は150〜500℃である。
【0040】
なお、光触媒膜2を熱処理することにより、光触媒膜2の原材料を部分的に熱分解して強度の高い光触媒膜2を得ることができる。Auクラスターの添加量はAu/TiO2=5.0〜40質量%程度である。なお、このAuクラスターの添加量は目的に応じて調整するのが望ましい。
【0041】
また、TiO2微粒子の粒径と金属クラスター微粒子の粒径とを1.0〜30nmの範囲内とすることにより、より高い光触媒活性が得られることが確認された。これは、TiO2超微粒子および金属クラスター微粒子がほぼ同レベルの量子サイズ効果を有する粒径になり、通常と異なった強い相互作用が発生して、金属クラスター微粒子から光触媒膜2中の酸化チタンへ電子が高い効率で移行するためと思われる。
【0042】
図2は、本実施形態の光触媒体10の光透過率特性を示すグラフである。グラフ中、曲線aは光触媒膜2の膜厚が約150nm、Au/TiO2=25質量%とした場合の本実施形態の光触媒体10の光透過率特性を示し、曲線bは光触媒膜が形成されていない基体1のみからなる比較例の光透過率特性を示している。
【0043】
図2のグラフによれば、比較例に比べて本実施形態の光触媒体10は、可視光の透過率が低く、可視光の吸収が起こっていることが分かる。これは、本実施形態の光触媒体10は、Auクラスターの光プラズマ共鳴による可視光の吸収が波長550〜650nm近傍に発生し、緑色ないし赤色を中心に可視光を吸収しているためである。この場合、光触媒体10は濃紫色の外観を呈する。本来、Auクラスターによる吸収は鋭い線スペクトルであるが、その大きさと形状の乱れ、内部の電子密度と誘電特性の乱れなどが起因して吸収スペクトルが拡がり、また、電子がAuから外部へ移動することによりさらに吸収スペクトルが拡がって可視光の透過率が広い波長領域にわたって低下しているものと思われる。このため、図2のグラフでは、波長480nm〜700nmの広い領域で吸収ピークが生じており、吸収効率が高いことがわかる。
【0044】
図3は、本実施形態の光触媒体10の分解力を示したグラフである。
【0045】
本実施形態の光触媒体10の分解力を調べるために、まず波長550nmの透過率が40〜30%となるように形成された上記実施形態の光触媒体10を用意した。この光触媒体10に自動車の排気ガスに含まれる「すす」と同じ成分のカーボン微粒子を塗布し、可視光を照射して酸化・分解試験を行った。
【0046】
そして、紫外線出力が比較的少ない直管形蛍光ランプ(FL20)および紫外線吸収膜付直管形蛍光ランプ(FL20・NU)から出力された可視光を用意した光触媒体10に別々に照射してカーボン微粒子の酸化・分解性を調べた。
【0047】
図3のグラフ中、曲線イは直管形蛍光ランプ(FL20)から出力された可視光を光触媒体10に照射した場合のカーボン微粒子の分解性を示している。ここでいう分解性は、波長550nmの透過率を可視光照射開始から経過時間毎の変化率を相対的に比較して示したものである。曲線ロは、紫外線出力が比較的多いブラックライト(FL20BLB)の出力光を光触媒体10に照射した場合のカーボン微粒子の分解性を示している。ブラックライトによる出力光を照射した場合は、可視光を多く照射した曲線イの分解性と同等かそれよりも低いことが図3のグラフから分かる。
【0048】
また、金属クラスター微粒子を分散させていない以外は上記実施形態と同様の構成の光触媒体を比較例として用意した。この比較例の光触媒体に直管形蛍光ランプ(FL20)から出力された可視光を照射し、上記と同様に分解性を調べた。曲線ニはその結果を示す。このように、金属クラスター微粒子を分散させていない比較例の光触媒体は、分解性が極めて低いことが図3のグラフから分かる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の光触媒体10は、上記第1の実施形態の光触媒膜2の少なくとも一部の表面に酸化珪素(SiO2)を形成したものであり、他の構成は同じである。
【0050】
本実施形態の光触媒体10は、光触媒膜2の表面に、メチルトリエトキシシランを0.1質量%含有するアルコール溶液を塗布し、300〜500℃の温度で熱処理して表面にSiOxを部分的に形成したものである。
【0051】
光触媒膜2の表面に酸化珪素(シリカ)のような酸化物を光触媒膜の表面に他成分として添加すると、光触媒作用の一種である親水性が現れる。これにより、本実施形態においても第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、親水性も発揮させることができる。
【0052】
比較的高温領域で熱処理を行う場合には、光触媒膜2の酸化チタンがアナターゼ形の結晶構造となるように熱処理するのが望ましい。酸化チタンには結晶構造としてルチル形とアナターゼ形とがあるが、光触媒作用はアナターゼ形の方が優れていると考えられており、膜強度、耐久性なども向上するためである。
【0053】
なお、本発明の光触媒体はランプとしても適用可能である。この場合、ランプの発光原理は問わない。たとえば、ガラスバルブを基体とした場合にこのガラスバルブ表面上に光触媒膜が形成される。ガラスバルブは、放電媒体を包囲している態様であってもよいし、発光部を内包している発光管をさらに包囲する外管であってもよい。すなわち、ランプは白熱電球、放電ランプなどであることを許容し、白熱電球の場合にはフィラメントが発熱部に、放電ランプの場合には放電によって輝線を発する放電媒体や蛍光体層などが発光部にそれぞれ該当する。また、LEDの場合には発光半導体チップが発光部に、モールド樹脂がガラスバルブにそれぞれ該当するため、広義にはバルブはガラスに限定されない。ただし、本発明の光触媒体は、可視光を吸収する特性を有しているので、照明用途としてのランプに使用する場合には、可視光の吸収率を照明効果が損なわれない程度に調整する必要がある。
【0054】
白熱電球の場合、色温度が高いハロゲン電球の方が一般照明用電球より波長400nm以下の発光割合が高いが、一般照明用の白熱電球であってもよい。放電ランプの場合、低圧放電ランプおよび高圧放電ランプのいずれでもよい。
【0055】
低圧放電ランプとしては、たとえば蛍光ランプがある。蛍光ランプに用いる蛍光体を選択して400nm以下の発光を適当に増加させることができる。このような蛍光ランプは、比較的可視光の低下が少なくて、しかも光触媒体の活性化作用が一般照明用の蛍光ランプに比較して良好なので、光触媒体活性化用のランプとして好適である。しかし、本発明は一般照明用として従来から多用されている三波長形発光の蛍光体やカルシウムハロリン酸塩蛍光体を用いた蛍光ランプであることを許容するものである。
【0056】
また、主として400nm以下の発光を利用する目的の殺菌ランプやブラックライト、ケミカルランプなどをも許容する。一方、高圧放電ランプとしては、たとえば水銀ランプ、メタルハライドランプおよび高圧ナトリウムランプなどであることを許容する。
【0057】
ランプのガラスバルブを基体として光触媒膜を形成しているので、たとえランプが発生する400nm以下の発光量が少なくても光触媒膜を十分に活性化することができる。
【0058】
ランプを用いると、光触媒作用によりガラスバルブに付着するたばこの脂や、ばい煙などの有機質の汚れ物質が分解されるので、ガラスバルブの汚れによる光束低下が少なくなる。このため、長期間にわたって良好な照明を行うことができるとともに、ランプの清掃インターバルを長くすることができる。
【0059】
さらに、ランプが点灯するのに伴って生じる発熱により、ランプの周囲に熱対流が発生じ、室内の空気が対流する。ランプに接触した空気の消臭、殺菌が行われる。したがって、本発明のランプを用いることにより、室内空気を消臭、殺菌することができる。
【0060】
また、本発明の光触媒体は、照明器具として使用することも可能である。照明器具の場合には、照明器具本体の制光手段または反射体を基体とし、この制光手段などの少なくとも一部に光触媒膜を形成すればよい。照明器具は、屋外用および屋内用のいずれでもよい。ただし、本発明の光触媒体は、可視光を吸収する特性を有しているので、可視光の吸収率を照明効果が損なわれない程度に調整する必要がある。
【0061】
制光手段は、反射体、グローブ、セード、透光性カバーおよびルーバなどの一種類または任意の複数種類の組み合わせで用いられていることを許容する。また、制光手段の全体に光触媒膜を形成してもよいし、その一部分に形成してもよい。
【0062】
制光手段は、使用によりばい煙やたばこの脂などの有機物からなる汚れがそこに付着すると、照明器具としての光学性能が低下するが、光触媒膜を形成しておくことにより、汚れが分解されるので、光学性能の低下を抑制することができる。
【0063】
また、制光手段に接触した空気中の臭い物質を分解したり殺菌することにより、室内の脱臭、殺菌を行うこともできる。
【0064】
さらに、光触媒体を膜状に形成するだけでなく、粒形状また、両家以上に下ものをさらに膜状に形成するなど種種に形成でき、用途としては照明器具の他たとえば冷蔵庫、エアコンディショナー、空気清浄装置などに収納できる大きさおよび構造にして、これらの機器に配設することにより、脱臭または殺菌手段とすることもできる。
【0065】
【発明の効果】
請求項1の光触媒体によれば、Ti、O、Cを主成分とし、TiO2微粒子が酸化物換算質量比で30〜90質量%の範囲内となるように混合され、かつ金属クラスター微粒子が分散された光触媒膜を基体上に製膜したので、金属クラスター微粒子のプラズマ共鳴により可視光の吸収を発生させ、吸収された可視光エネルギーを効果的に利用して高い光触媒活性を得ることができる。
【0066】
また、TiO2微粒子および金属クラスター微粒子の粒径を1.0〜30nmの範囲内とすることにより、より高い光触媒活性を得ることができる。
【0067】
なお、光触媒膜のC/O原子比を光触媒膜全体のC/O原子比を30%以下とし、かつ光触媒膜表面におけるC/O原子比が10%以下となるように構成すれば、より高い光触媒活性を得ることができる。
【0068】
また、金属クラスター微粒子の分散量を5.0〜30質量%の範囲内と規定することにより、確実に高い光触媒活性を得ることができる。
【0069】
請求項2の光触媒体によれば、金属クラスター微粒子を構成する金属を規定した光触媒体を提供することができる。
【0070】
請求項の光触媒体によれば、酸化珪素(SiO2)を光触媒膜の少なくとも一部の表面に形成したので、親水性を備えた高い光触媒活性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光触媒体の断面を拡大して示す概念的模式図。
【図2】第1の実施形態の光触媒体の光透過率特性を示すグラフ。
【図3】第1の実施形態の光触媒体の分解力を示したグラフ。
【符号の説明】
1…基体、2…光触媒膜、10…光触媒体

Claims (3)

  1. 基体と;
    Ti、O、Cを主成分とし、TiO2微粒子が酸化物換算質量比で30〜90質量%の範囲内となるように混合され、かつ金属クラスター微粒子が5.0〜30質量%の範囲内となるように分散されて基体上に製膜され、この金属クラスター微粒子のプラズマ共鳴による可視光の吸収ピークを有し、前記TiO2微粒子および前記金属クラスター微粒子の粒径が1.0〜30nmの範囲内である光触媒膜と;
    を具備していることを特徴とする光触媒体。
  2. 金属クラスター微粒子が、Ag,Au,Pt,Rh,Ru,Pd,Fe,Co,Cr,V,Mn,CuおよびNiからなる群のうち少なくとも一種類以上であることを特徴とする請求項1記載の光触媒体。
  3. 光触媒膜の少なくとも一部の表面に酸化珪素(SiO2)が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の光触媒体。
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