JP2010234622A - 光触媒積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】光触媒層の耐候劣化、あるいは塗膜硬化の不十分な部分がある場合には、塗膜の硬化が不十分な部分の、塗膜バインダーの凝集力が低下し、雨滴等が当たることによって、光触媒層表面の一部分が凝集破壊するといった現象が発生する。この現象により凝集破壊した部分と凝集破壊していない部分が光触媒層表面に混在すると、それらの微小部分で透過性や表面光沢の違いが発生し、外観不良が問題となる。そこで本発明は、光触媒層に経時的な塗膜の劣化が起こることでの、光触媒層表面の凝集破壊による外観不良を低減することができる光触媒積層体を提供する。
【解決手段】基材に下引き層を介して光触媒層を形成してなり、下引き層と光触媒層との間に、下引き層と光触媒層とが混ざり合った厚み2nm以上の融合層が形成され、光触媒層と融合層との合計厚みが40nm未満である光触媒積層体とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光触媒積層体に関し、特に、光触媒層の経時的な塗膜の劣化によって、塗膜表面部分の一部分が凝集破壊することによる外観不良を低減させた光触媒積層体に関する。
近年、自浄性を有するセルフクリーニングフィルムと呼ばれるものが開発されている。このようなセルフクリーニングフィルムとは、例えば二酸化チタン等の光触媒物質を含む光触媒層を設けることによって、その表面を高度に親水化することで、非常に水に濡れ易くし、塵埃等の汚れが付き難い性質を発現させ、且つ汚れが一時的に付着しても雨水等により容易に洗い流されるという、いわゆる自浄性と呼ばれる性質を発揮するような表面層を有するものである(特許文献1)。
特開2002−283504号公報(従来技術)
しかしながら、このような光触媒層を有するセルフクリーニングフィルムは、雨滴等が直接当たるようなカーポート屋根、テラス屋根などのエクステリア建材などに使用した時に、光触媒層の耐候劣化、あるいは塗膜硬化の不十分な部分がある場合には、塗膜の硬化が不十分な部分の、塗膜バインダーの凝集力が低下し、雨滴等が当たることによって、光触媒層表面の一部分が凝集破壊するといった現象が発生した。そして、この現象により凝集破壊した部分と凝集破壊していない部分が光触媒層表面に混在すると、それらの微小部分で透過性や表面光沢の違いが発生し、外観不良が問題となる。特に、この現象は、光触媒層に対して、垂直、又は角度をもって雨滴があたる部分に顕著にみられるものであった。
そこで本発明は、カーポート屋根、テラス屋根などのエクステリア建材などに使用した場合でも、光触媒層に経時的な塗膜の劣化が起こることでの、光触媒層表面の凝集破壊による外観不良を低減することができる光触媒積層体を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、光触媒層の凝集破壊した部分と、凝集破壊していない部分との透過性や表面光沢の違いを少なくすることで、外観不良を低減することができることを見出し、これを解決するに至った。
即ち、本発明の光触媒積層体は、基材に下引き層を介して光触媒層を形成してなり、下引き層と光触媒層との間に、下引き層と光触媒層とが混ざり合った厚み2nm以上の融合層が形成され、光触媒層と融合層との合計厚みが40nm未満であることを特徴とするものである。
このように下引き層と光触媒層の間に、下引き層と光触媒層とが混ざり合った融合層を形成することで、光触媒層表面の一部分が凝集破壊した場合でも、光触媒機能を維持することができる。
また、金属酸化物が含有された光触媒層は、その厚みが厚くなるほど、透明性が低下すると同時に表面光沢が高くなるため、光触媒層と融合層との合計厚みを40nm未満とすることで、光触媒層表面の一部分の凝集破壊に起因する透明性や表面光沢の違いによる外観不良を低減することができる。
本発明の光触媒積層体は、長期間雨滴等が当たる場所に施工した場合でも、透過性や表面光沢の違いによる外観不良を低減することができる。
本発明の光触媒積層体の実施の形態について説明する。本発明の光触媒積層体は、基材に下引き層を介して光触媒層を形成してなり、下引き層と光触媒層との間に、下引き層と光触媒層とが混ざり合った厚み2nm以上の融合層が形成され、光触媒層と融合層との合計厚みが40nm未満であるものである。
光触媒積層体に用いられる基材としては、ポリエステル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、セルロース樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、塩化ビニル系樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂フィルムやシート、及びこれらの樹脂から成形されたものを用いることができ、これらの基材を複層に貼り合せたものであってもよい。基材自体の耐候性の点から、アクリル樹脂基材、フッ素樹脂基材を用いることが好ましい。基材の厚みは、通常、10〜400μm程度であるが、特に限定されるものではない。
また、基材には、着色剤、艶消し材、紫外線遮蔽剤、赤外線遮蔽剤などの添加剤が練り込まれていてもよいし、別途、そのような機能を有する層を設けることも可能である。
下引き層は、光触媒層と基材との間に設けられる層であり、光触媒による基材の劣化を防止するための層であり、基材と光触媒層との密着性を向上させるための層である。
下引き層としては、シリカ、アルミナなどの無機系材質からなるアルコキシド化合物、及びその縮合物や、シリコーン系樹脂などを主成分とする湿式塗布法によって得られる塗布膜とすることが好ましい。
シリカ系、シリコーン系等のケイ素系化合物は、光触媒による劣化を防止する面で好ましい。このようなケイ素系化合物としては、加水分解性シラン誘導体、あるいは加水分解性シラン誘導体の部分加水分解物及び脱水縮重合物、または加水分解シラン誘導体の部分加水分解物とテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトシシラン等の部分加水分解物との脱水縮重合により調整したものや、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂、ポリカーボネート変性シリコーン樹脂、ポリイミド変性シリコーン樹脂、フッ素変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂等を利用することができる。
下引き層の乾燥後の厚みは、5〜3000nmが好ましい。5nm以上とすることにより、光触媒の分解機能が、下引き層の下層(基材又は、基材上に設けられた層)に及ぶことを防止することができ、光触媒層と基材との密着性を向上させることができる。3000nm以下とすることにより、下引き層の硬化収縮などの内部応力や、外部応力の歪によるひび割れを防止することができる。なお、光触媒層の厚みは、光触媒積層体の分光反射率を測定し、その分光反射率よりスネルの法則に基づき算出した値である(〔光学薄膜の基礎知識 第3講 光学薄膜の特性解析と設計の基礎 <主催>情報機構テキスト平成15年9月〕参照)。
また、下引き層上に、光触媒塗布液を塗布乾燥することにより、下引き層上に融合層が形成されると同時に、光触媒層が形成される。光触媒塗布液は、主として、光触媒活性を有する金属酸化物とバインダーからなる。
光触媒活性を有する金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化ニッケルおよび酸化レニウムなどを用いることができ、表面処理を施したものであってもよい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、酸化チタン、特にアナターゼ型酸化チタンが好適に用いられるが、ルチル型、ブルッカイト型の酸化チタンが含まれていても良い。
金属酸化物の平均粒子径は、1nm〜100nmが好ましい。1nm未満では実質的に分散が難しいためである。また、100nm以下とすることにより、光触媒層の透明性が低下することを防止することができる。また、金属酸化物の分散性を更に考慮すると、より好ましくは3nm以上である。さらに、金属酸化物を塗膜中に良好に保持するために、60nm以下がより好ましく、光触媒層から金属酸化物が突出することによる透明性の低下を防止するために、40nm以下がさらに好ましい。
バインダーとしては、金属酸化物によるバインダーの光触媒劣化を防止できれば、特に限定されないが、難分解性のフッ素系化合物、シリカ系、シリコーン系などのケイ素系化合物が好ましい。さらに、下引き層との密着性を向上させるという観点から、シリカ系、シリコーン系等のケイ素系化合物からなるものがより好ましい。
このようなケイ素系化合物としては、下引き層と同様のものを使用することができる。
光触媒層中のバインダーと光触媒活性を有する金属酸化物との含有比は特に制限されることはないが、バインダー100重量部に対し、光触媒活性を有する金属酸化物が10〜300重量部であることが好ましい。金属酸化物の量を10重量部以上とすることにより、光触媒活性を十分なものとすることができ、300重量部以下とすることにより、光触媒層の塗膜凝集力を高めることができ、また、ヘーズが高くなるのを防止することができる。
このような光触媒層の厚みとしては、4〜37nmが好ましい。さらに好ましくは、32nm以下、より好ましくは、27nm以下である。4nm以上とすることにより、バインダーとして金属酸化物を光触媒層中に保持することができ、光触媒活性を十分なものとすることができる。また、37nm以下とすることにより、光触媒層の透明性の低下を防止することができ、経年変化による劣化により、光触媒層表面の一部分が凝集破壊した場合でも、凝集破壊していない部分との透過性や表面光沢の差を小さくすることができ、外観不良を低減することができる。なお、光触媒層の厚みは、光触媒積層体の分光反射率を測定し、その分光反射率よりスネルの法則に基づき算出した値である(〔光学薄膜の基礎知識 第3講 光学薄膜の特性解析と設計の基礎 <主催>情報機構テキスト平成15年9月〕参照)。
また、光触媒活性を有する金属酸化物とバインダーとを含有する光触媒塗布液を、塗布乾燥することにより形成される融合層は、下引き層と光触媒層とが混じり合い、融合した層である。このように下引き層と光触媒層とが混じり合った層であるため、融合層は、光触媒活性を有する層である。
融合層は、下引き層の硬化度を調整し、下引き層が半硬化の状態で光触媒層を塗布することや、物理的或いは化学的に下引き層表面に微細な凹凸形状を形成し、その凹凸形状上に光触媒層を形成すること、光触媒塗布液に用いる溶剤により、下引き層表面を膨潤させ、光触媒層を形成すること、下引き層表面を多孔質な膜とし、多孔質膜中に光触媒塗布液を染みこませ光触媒層を形成することなどにより形成することができる。
物理的或いは化学的に下引き層表面に微細な凹凸形状を形成する方法としては、下引き層表面をサンドブラストする方法や、下引き層表面をEB処理、プラズマ処理する方法が考えられる。このように微細な凹凸形状の下引き層上に光触媒層を設けることにより、凹凸形状部分を、下引き層と光触媒層とが混じり合った融合層とすることができる。
また、下引き層表面を膨潤させ、光触媒層を形成する方法としては、例えば、光触媒層塗工液の溶媒を、下引き層を膨潤させるような物質にする方法が考えられる。このように下引き層を膨潤させることにより、光触媒層を染み込ませることができ、下引き層と光触媒層とが混じり合った融合層とすることができる。
更に、下引き層表面を多孔質な膜とする方法としては、下引き層に顔料などの充填剤を含有させ、充填剤と下引き層バインダーとの間に隙間を生じさせる方法が考えられる。このように下引き層表面を多孔質な膜とすることにより、光触媒塗工液を塗布した時に染み込み易くすることができ、下引き層に光触媒層が混じり合った融合層とすることができる。
このような方法により形成される融合層は、下引き層と光触媒層との境界面で混じり合わせることにより、両層の密着性を向上させると共に、下引き層にも金属酸化物が入り込んだ層となる。つまり、この融合層は、下引き層と光触媒層とが混じり合った層となり、光触媒層の表面部分が経年変化による劣化で凝集破壊しても、融合層と融合層付近では凝集破壊せず光触媒活性が維持される。
融合層の厚みとしては、2nm以上が好ましく、より好ましくは4nm以上、更に好ましくは、6nm以上である。2nm以上とすることにより、光触媒層と下引き層との密着性を向上させることができる。
また、融合層の厚みを35nm以下とすることにより、光触媒層が下引き層と混じり合いすぎて、下引き層が膨潤しすぎることによる溶剤クラックや、光触媒層と下引き層との接着不良といった積層時の不具合を防止することができる。なお、融合層の厚みは、光触媒層の想定厚みと、上記分光反射率から算出された光触媒層の厚みの差である。光触媒層の想定厚みは、塗工部の液量制御部分、例えばワイヤーバー塗工の場合は、塗布基材とワイヤーバーとの開口部面積、転写率、及び光触媒塗布液の固形分などから計算される厚みである。この想定厚みは、ガラス板などの光触媒層が染み込まない基材に、光触媒層を塗布、乾燥し、厚みを測定した値とほぼ同じ値である。
さらに、光触媒層と融合層との合計厚みは、40nm未満が好ましく、特に好ましくは、37nm未満、より好ましくは34nm未満、更に好ましくは、30nm未満とする。光触媒層と融合層との合計厚みを40nm未満とすることにより、光触媒層の透明性の低下を防止することができ、経年変化による劣化により、光触媒層表面の一部分が凝集破壊した場合でも、凝集破壊していない部分との透過性や表面光沢の差を小さくすることができ、外観不良を低減することができる。また、光触媒層と融合層との合計厚みは、6nm以上が好ましい。6nm以上とすることにより、光触媒効果を発現することができる。
このような光触媒積層体の全光線透過率は、80%以上が好ましく、より好ましくは、85%以上、更に好ましくは、90%以上である。全光線透過率を80%以上とすることにより、経年変化による光触媒層の劣化が発生し、光触媒層の一部分が凝集破壊した場合でも、凝集破壊した部分と、凝集破壊していない部分との透過性の差を小さくすることができ、外観不良を低減することができる。
光触媒積層体の表面光沢値は、220以下が好ましく、より好ましくは200以下であり、更により好ましくは180以下である。表面光沢値を220以下とすることにより、表面反射の艶(光沢)の違いを低減できると同時に、経年変化による光触媒層の劣化が発生し、光触媒層の一部が凝集破壊した場合でも、凝集破壊した部分と、凝集破壊していない部分との表面光沢の差を小さくすることができ、外観不良を低減することができる。
上述した下引き層、光触媒層は、例えば上記各層を構成する材料に、適宜必要に応じて添加剤や希釈溶剤等を加えて塗布液に調整して、当該塗布液を基材表面に刷毛塗り、スプレー塗布、スピンコート、デイップコート、ロールコート、グラビアコート、バーコートなど従来公知のコーティング方法によって適当な順序で塗布することにより設けることができる。
なお、本発明の光触媒積層体には、光触媒層とは反対面に、粘着層を設けることも可能である。
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、「部」、「%」は特に示さない限り、重量基準とする。
[実施例1]
厚み50μmのフッ化ビニリデンフィルム(クレハ社)の一方の面に、シリコーン系樹脂溶液(フレッセラN、2液混合タイプ:パナソニック電工社)を溶剤で希釈した塗布液を、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、60℃、10分間乾燥し、半硬化状態の下引き層を形成した。
次いで、半硬化状態の下引き層上に、二酸化チタンおよびケイ素系化合物含有コーティング材(タイノックCZP-223:多木化学社)を溶剤で希釈し、有効成分1%とした光触媒塗布液を、ワイヤーバーで塗布乾燥して、光触媒層および融合層を形成し、実施例1の光触媒積層体を得た。
ワイヤーバーの開口部面積は、実際上、ワイヤーバーの有効単位長さあたりの高さで表せることができ、実施例1で使用したワイヤーバーは、その開口部の平均高さが7800nm、転写率は、50%である。光触媒層塗布液の有効固形分は、1%であるため、想定厚みは、39nmである。
実際に積層体の下引き層上に塗布した光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、31nmであった。以上の結果から、融合層の厚みは、8nmとなり、光触媒層と融合層との合計厚みは、39nmであると考えられる。
また、実施例1の光触媒層塗布液を、厚み3mmのガラス板に直接、実施例1と同様の塗布条件で、塗布乾燥して、ガラス板状に下引き層なしで光触媒層を形成した。光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、39nmであった。
[実施例2]
実施例1の光触媒層塗布液の有効固形分を0.718%と変更し、光触媒層と融合層との合計厚みを28nmに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光触媒積層体を作製した。ワイヤーバーは実施例1と同じものを使用した。想定厚みは、28nmである。
光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、22nmであった。以上の結果から、融合層の厚みは、6nmとなり、光触媒層と融合層との合計厚みは、28nmであると考えられる。
また、実施例2の光触媒層塗布液を、ガラス板に実施例2と同様の塗布条件で、塗布乾燥して、ガラス板状に光触媒層を形成した。光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、28nmであった。
[実施例3]
実施例1の光触媒層塗布液の有効固形分を0.385%と変更し、光触媒層と融合層との合計厚みを15nmに代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光触媒積層体を作製した。ワイヤーバーは実施例1と同じものを使用した。想定厚みは、15nmである。
光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、10nmであった。以上の結果から、融合層の厚みは、5nmとなり、光触媒層と融合層との合計厚みは、15nmであると考えられる。
また、実施例3の光触媒層塗布液を、ガラス板に実施例3と同様の塗布条件で、塗布乾燥して、ガラス板状に光触媒層を形成した。光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、15nmであった。
[比較例1]
実施例1の光触媒層塗布液の有効固形分を1.18%と変更し、光触媒層と融合層との合計厚みを46nmに代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光触媒積層体を作製した。ワイヤーバーは実施例1と同じものを使用した。想定厚みは、15nmである。
光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、38nmであった。以上の結果から、融合層の厚みは、8nmとなり、光触媒層と融合層との合計厚みは、46nmであると考えられる。
また、比較例1の光触媒塗布液を、ガラス板に比較例と同様の塗布条件で、塗布乾燥して、ガラス板状に光触媒層を形成した。光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、46nmであった。
得られた実施例1〜3、及び比較例1の光触媒積層体について、下記項目の評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
厚み2mmのガラス板の一方の面に、シリコーン系樹脂溶液(フレッセラN、2液混合タイプ:パナソニック電工社)を溶剤で希釈した塗布液を、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、150℃、10分間乾燥し、完全硬化状態の下引き層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の光触媒積層体を作製した。
光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、38nmであった。以上の結果から、融合層の厚みは、1nmとなり、光触媒層と融合層との合計厚みは、39nmであると考えられる。
[比較例3]
厚み2mmのガラス板の一方の面に、シリコーン系樹脂溶液(フレッセラN、2液混合タイプ:パナソニック電工社)を溶剤で希釈した塗布液を、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し、150℃、10分間乾燥し、完全硬化状態の下引き層を形成した以外は、実施例3と同様にして、比較例3の光触媒積層体を作製した。
光触媒層の分光反射率から得られる厚みは、14nmであった。以上の結果から、融合層の厚みは、1nmとなり、光触媒層と融合層との合計厚みは、15nmであると考えられる。
得られた実施例1〜3、及び比較例1〜3の光触媒積層体について、下記項目の評価を行った。結果を表1に示す。
[透明性(全光線透過率)]
実施例1〜3、及び比較例1〜3の光触媒積層体の全光線透過率を、JIS−K7361−1:2000に基づいて、ヘーズメーター(NDH2000:日本電色工業社)を用いて測定した。なお、光を入射させる面は光触媒層を有する面とした。全光線透過率が80%未満のものを「×」、全光線透過率が80%以上85%未満のものを「△」、全光線透過率が85%以上90%未満のものを「○」、全光線透過率が90%以上のものを「◎」とした。
[表面光沢]
実施例1〜3、及び比較例1〜3の光触媒積層体の入出角度60°における表面光沢度「%」を、JIS−Z8741:1997に基づいて、デジタル変角光沢計UGV−5K(スガ試験機社)を用いて測定した。
表面光沢度が220を超えるものを「×」、220〜200を超えるものを「△」、200〜180を超えるものを「○」、180以下のものを「◎」とした。
[屋外曝露試験]
実施例1〜3、及び比較例1〜3の光触媒積層体を、雨滴が45度の角度で当たるように設置した。6ヶ月後の光触媒層表面の外観を評価した。光触媒層が部分的に凝集破壊している部分と、凝集破壊していない部分とで目視外観差がはっきりわかるものを「×」、その差がわかりにくいものを「○」、その差がわからないものと「◎」とした。
[耐候性促進試験]
実施例1〜3、及び比較例1〜3の光触媒積層体をJIS−B7753―1993によるサンシャインカーボンアーク灯耐候性試験(b)方法に基づいて、サンシャインカーボンアークウェザーメーター(スガ試験機社)によって、光触媒層側から光を照射すると共に、一定間隔で水の霧を吹き付けた耐候性促進試験を2000時間行った光触媒積層体について、その外観評価を行った。クラックや白化が観察されたものを「×」、クラックや白化が観察されなかったものを「○」とした。
[光触媒活性の評価]
実施例1〜3、及び比較例1〜3の屋外曝露試験後の光触媒積層体および耐候性促進試験後の光触媒積層体を、20℃、65%RH雰囲気で6時間放置した後、接触角測定器(協和界面科学社)を用いて光触媒層上に純水を1.0μl滴下して、5秒後の接触角を評価した。純水接触角が15°未満のものを「◎」、純水接触角が15°以上25°未満のものを「○」、純水接触角が25°以上50°未満のものを「△」、純水接触角が50°以上のものを「×」とした。
Figure 2010234622
実施例1〜3の光触媒積層体は、光触媒層と融合層との合計厚みが40nm未満であるため、金属酸化物が含有された光触媒層が厚すぎることによる透明性の低下が生じなかった。また、屋外暴露試験において、雨滴による光触媒層の凝集破壊が起こったが、光触媒層と融合層との合計厚みが40nm未満であったため、凝集破壊した部分と凝集破壊していない部分との透過性や表面光沢の差を小さくすることができ、外観不良を低減することができるものであった。
特に、実施例2、3の光触媒積層体は、光触媒層と融合層との合計厚みがそれぞれ28nm、15nmであるため、凝集破壊した部分と凝集破壊していない部分との透過性や表面光沢の差がわからないものであった。
比較例1の光触媒積層体は、光触媒層と融合層との合計厚みが40nm以上であるため、金属酸化物が含有された光触媒層が厚すぎることによる透明性の低下が生じた。また、屋外暴露試験において、雨滴による光触媒層の凝集破壊が起こり、凝集破壊した部分と凝集破壊していない部分との透過性や表面光沢の差を小さくできず、外観不良を低減することができないものであった。
比較例2の光触媒積層体は、融合層の厚みが1nmと薄く、光触媒層と下引き層との密着性が悪いため、屋外暴露試験において、雨滴による光触媒層の凝集破壊が起こり、凝集破壊した部分と凝集破壊していない部分との透過性や表面光沢の差を小さくできず、外観不良を低減することができないものであった。また、屋外暴露試験後や耐候性試験後は、光触媒層の凝集破壊により、光触媒活性が低下するものであった。
比較例3の光触媒積層体は、光触媒層と融合層との合計厚みが15nmであるため、凝集破壊した部分と凝集破壊していない部分との透過性や表面光沢の差がわからないものであった。しかし、融合層の厚みが1nmと薄く、光触媒層と下引き層との密着性が悪いため、屋外暴露試験後や耐候性試験後は、光触媒活性が維持できないものであった。
また、屋外曝露試験後の光触媒積層体の光触媒層に、粘着テープを貼り付け、剥離したところ、実施例1の光触媒積層体は、目視にて光触媒層に若干の剥離が認められたが、透過性や表面光沢の差はわずかであり、実用上問題のないものであった。実施例2、3の光触媒積層体は、目視にて光触媒層に剥離が認められないものであった。比較例1の光触媒積層体は、光触媒層と融合層の厚みが厚いため、光触媒層に剥離がみられるものであった。
また、実施例1、比較例1の光触媒積層体は、屋外曝露試験後に上記粘着テープ貼り付けによる光触媒層の剥離試験を行った後でも、光触媒層下層に光触媒活性を有する融合層を形成しているため、光触媒活性を維持しているものであった。

Claims (1)

  1. 基材に下引き層を介して光触媒層を形成してなり、下引き層と光触媒層との間に、下引き層と光触媒層とが混ざり合った厚み2nm以上の融合層が形成され、光触媒層と融合層との合計厚みが40nm未満であることを特徴とする光触媒積層体。
JP2009084614A 2009-03-31 2009-03-31 光触媒積層体 Active JP5436910B2 (ja)

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