JP3791120B2 - 光触媒体および光源 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光触媒作用をを備えた光触媒体、光源および照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
放電によって紫外線を放射する水銀などを封入する放電ランプの外周面(外表面)に、光触媒作用を有する物質(たとえば TiO2 …酸化チタン)から成る光触媒膜を一体的に設けた放電ランプが知られている(特開平1-169866号公報)。この種の放電ランプは、放電ランプ内部から放出される紫外線を受けると、バルブの外周面に設けた光触媒膜の表面が活性化して酸化力を呈するようになり、付着もしくは接触した有機物を酸化・分解し、脱臭などの作用を呈する。つまり、前記放電ランプを設置した雰囲気では、その周囲の脱臭もしくは消臭、雰囲気中の有機成分の分解などが行われる。
【0003】
その他、光触媒作用を有する物質は、建築材,化学処理用光源,照明器具などへの応用も試みられている(たとえば特開平6-304480号公報,特開平6-278241号公報,特開平7-111104号公報)。この応用例として、トンネル用照明器具類において、主として光透過率を下げるカーボン成分(排気ガス成分)などを分解することにより、セルフクリーニング機能を有するする光触媒付きカバーガラスが挙げられる。
【0004】
光触媒反応を示す照射光の波長は、光触媒膜を形成する物質のエネルギーバンドギャップに依存する。たとえば TiO2 のエネルギーバンドギャップは 3eVであり、 400nmの光エネルギーに相当する。したがって、この値よりも大きなエネルギーを持つ短波長の光は、 TiO2 に吸収されて光触媒作用を示すと考えられている。なお、光触媒膜を形成する物質によっては、このエネルギーバンドギャップの値が小さくなったりする。また、不純物によってもエネルギーバンドギャップの値が変動するので、光触媒作用は紫外線照射に限定されない。
【0005】
上記光触媒膜は、光触媒作用を有する金属酸化物の微粒子から成る粉体を水もしくはエタノールなどの適当なバインダー成分に分散させて、バルブの外周面に塗布後、焼成して形成している。また、光触媒作用を有する金属のアルコキシド化合物溶液を塗布後、高温焼成して光触媒膜を形成することも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記説明したように、光触媒作用(光触媒機能)を備えた放電ランプは知られ、また、その応用もいろいろ試みられているが、なお、次のような問題があった。 すなわち、光触媒作用を有する金属酸化物の微粒子を、水やエタノールなどのバインダー成分に分散させ、これを塗布焼き付けて形成した光触媒膜は、一般的に、膜の強度が劣り、剥離し易いので耐久性に問題がある。
【0007】
一方、チタンアルコレートをゾルゲル法にて基体に塗布して形成された光触媒膜は、膜の強度は高いが活性が最大となるアナターゼ型結晶を得るために、通常、 500℃以上で焼成する必要がある。この場合、基体であるガラスにNaなどのアルカリ金属成分が含まれていると、このアルカリ金属成分が膜中に侵食して、結晶性が犯されて、光触媒の活性度が低下してしまう。
【0008】
そこで、たとえば光触媒膜の強度を向上させるために、一定膜厚以上の SiO2 層を保護膜として光触媒膜を形成する手段が試みられている。この手段を採った場合は、たとえばソーダライムガラスの基体中のNa成分の析出が抑制され、 TiO2 の結晶との反応が防止されるため、光触媒活性の低下を回避できる。
【0009】
ところが、この SiO2 保護膜を形成した光触媒体では、可視光の透過率が低下してしまうことがあった。すなわち、基体(たとえばソーダライムガラス)の屈折率n=1.74、光触媒膜(たとえば TiO2 )の屈折率n=2.10、保護膜としての SiO2 の屈折率n=1.46としたときに、これらの屈折率の差が大きいため、光触媒膜や保護膜の膜厚が一定の範囲内でないと光干渉が生じることによって、透過率が低下してしまうことがある。
【0010】
たとえば、十分な光触媒活性を得るために、光触媒膜の膜厚を大きくしなければならない場合があるが、上記屈折率差の関係で一定の膜厚を超えると可視光の透過率が低下する恐れがある。このように、光触媒活性および可視光透過率の両者を十分に満足するような光触媒体は、従来の構成では達成し難いものであった。 本発明は、上記問題を解決するものであって、可視光光透過率および光触媒活性が良好な光触媒体、光源および照明器具の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、膜形成面を有するガラス基体と;アルコキシ・シラン系化合物の溶液とアルコキシ・チタン系化合物の溶液とを混合した溶液をガラス基体表面に塗布成膜した光触媒膜と;を具備していることを特徴とする光触媒体である。
【0012】
請求項2の発明は、光触媒膜に TiO 2 微粒子を混合したことを特徴とする請求項 1 記載の光触媒体である。
【0013】
請求項3の発明は、光触媒膜の屈折率が、 1.6 1.9 であることを特徴とする請求項 1 または請求項 2 記載の光触媒体である。
【0014】
これらの発明は、次のような知見に基づいてなされたものである。すなわち、TiO2 − SiO2 を主体とした混成系の光触媒膜は、屈折率が 1.6〜 1.9程度で、ガラス基体との差も小さいため、干渉など起こり難いことを確認した。
【0015】
触媒膜は、低屈折率成分との混成系であるため、ガラス基体との屈折率差も低減もしくはなくなるので、光触媒膜の膜厚をある程度大きくしても、光透過率が著しく低下することがない。
【0016】
また、ソーダライムガラスのような、Naなどのアルカリ金属成分を含むガラスをガラス基体とし、そのガラス基体の膜形成面に直接、光触媒作用を有する金属酸化物の被膜を形成したとき、ガラス基体中のアルカリ金属成分の析出によって光触媒活性が損なわれる。しかし、前記混成系の光触媒膜では、 SiO2 の保護膜を有する光触媒隊と同程度に光触媒活性の低下が、容易に防止されることが確認された。
【0017】
上記発明において、光触媒膜中には、粒径数nm以下の TiO2 微粒子が10〜30重量%程度含まれていることが好ましい。すなわち、粒径数nm以下の TiO2 微粒子を10〜30重量%程度含有させた場合、表面に露出した TiO2 微粒子によって、光触媒活性が向上し、安定した光触媒膜として機能するからである。
【0018】
なお、 TiO2 微粒子の含有量を多くすれば、光触媒膜中の TiO2 微粒子がガラス基体から侵入してくるNaなどのブロックが、より効果的になされると考えられる。また、光触媒膜中には SiO2 が少なくとも10重量%程度含まれていることが望ましい。
【0019】
触媒膜はその屈折率がガラス基体の屈折率とほぼ同等であることが好ましく、ほぼ等しいことがより好ましい。
【0020】
ここで、光触媒膜の屈折率がガラス基体の屈折率ほぼ等しいとは、たとえばソーダライムガラス板−光触媒膜系において、光干渉が低減されるため、可視光域において良好な透過率を呈することを意味する。図1は、この状態を示すもので、たとえば TiO2 − SiO2 (重量比55:45%)の混成した光触媒膜(屈折率n: 1.8)を、その膜厚 300nmとしてソーダライムガラス板面に形成した場合、比較例として TiO2 100%)の光触媒膜(屈折率n: 2.1)を、その膜厚 300nmとしてソーダライムガラス板面に形成した場合について、それぞれ可視光域における全透過率を測定し結果を示す特性図である。図1において、曲線A1 は TiO2 − SiO2 の混成した光触媒膜を形成した場合(実施例)を、また、曲線a1 は TiO2 100%の光触媒膜を形成した場合(比較例)を示す。
【0023】
光触媒体は、防臭、防汚、殺菌などの光触媒作用が必要な場所に用いられる各種製品、たとえば窓材、タイルなどの建材、照明器具、換気扇、掃除機などの電気機器家具、車両、衛生用品など挙げられるが、これらに限定されるものでない。 光触媒膜を支持するガラス基体は、その使用態様によって、ガラス以外のセラミックスなどの非金属無機質系材料、有機質系材料を素材とした成形体であってもよい。ここで、ガラス基体が少なくとも 410nm以下の波長の光透過性を有するものであれば、 410nm以下の波長の紫外線を含む光がガラス基体を透過して、基体形状や光触媒膜の形状にかかわらず所要の防臭、防汚、殺菌などの作用効果が得られるからである。
【0024】
なお、本発明者らは、光触媒膜の膜厚と吸着物質が分解される作用について検討した結果、次のような傾向を確認した。たとえば、石英ガラス板の一面を膜形成面とし、膜厚さを変えて TiO2 の混成系光触媒膜を形成し、この光触媒膜外面に、それぞれ一定濃度のタバコの煙を暴露し、ヤニを付着させ、波長約 550nmの透過率を測定して、光触媒作用を評価した。その結果、膜厚0.01〜 0.3μm で、良好な光触媒活性が得られることが確認された。
【0025】
ここで、膜厚が大きくなると紫外線によって励起・生成される光触媒膜の正孔は、膜形成面付近だけに限られ、ヤニなどが吸着する外面まで正孔が到達せずに、膜内部での再結合率が増加して分解力が低下すると推定される。一方、膜厚0.01μm 未満では、光触媒膜内の金属酸化物の結晶が十分に形成されず、十分な光触媒活性が得られないためと推定される。
【0029】
これらの発明において、ガラス基体と光触媒膜との間にSiO2 主体とする混成系の保護膜を形成する場合には、 TiO2 − SiO2 などの混成系の光触媒膜と同様に、屈折率差が小さくなる理由により、可視光透過率も向上、改善されることを確認した。たとえば、膜厚80nmの SiO2 および TiO2 を主体とした混成系の保護膜(屈折率n=1.65)を設け、さらにこの保護膜面上に膜厚 300nmの TiO2 を主体とした光触媒膜(屈折率n=2.1 )を設けた厚さ10mmのソーダライムガラス板(屈折率n=1.74)について、波長 300〜 700nmの領域における透過率を測定したところ、図2に曲線A2で示すことく、 400〜 800nmの波長領域でほぼフラット透過率を示し、比較的膜厚でも光干渉の発生が抑制されていることが確認された。なお、図2R>2に、参考例として、 SiO2 を主体とした保護膜(屈折率n=1.46)以外は、同一構成の光触媒膜を設けたソーダライムガラス板の場合を曲線a2 で示す。
【0030】
ここで、 SiO2 を必須の成分とする混成系としては、たとえば SiO2 − TiO2 系, SiO2 −Al2 O 3 系, SiO2 − SnO2 系, SiO2 − SnO2 −Al2 O 3 系の他に、これらに ZrO2 , ZnOなど添加されたものが挙げられる。そして、前記混成系の保護膜の材質,組成は、透光性基体の屈折率に対応して適宜選択される。すなわち、ガラス基体から光触媒膜へのNa成分の析出を防止するに十分な厚さを確保しながら、所要の光透過率を保持するため、透光性基体の屈折率とほぼ同等の屈折率を有する混成系の保護膜を選択して形成する。
【0031】
なお、補足すると、 SiO2 よりも屈折率の高い金属酸化物を含有させることにより、ガラス基体の屈折率に近付けることが可能で、これらの屈折率は、 SiO2 < SnO2 ,Al2 O 3 < TiO2 の関係にある。
【0032】
透光性基体が、たとえばソーダライムガラスの場合は、 SiO2 : TiO2 が重量比で90:10〜30:70程度にして、ガラス基体との屈折率差が 5%以内と成るようにするのが好ましい。さらに、ガラス基体がホウケイ酸ガラス(屈折率n=1.51)の場合も、上記の範囲( SiO2 : TiO2 が重量比で98: 2と同程度が好ましい。要するに、ガラス基体の屈折率との差が± 5%と成るように調整される。図3は、 SiO2 : TiO2 の混成系における重量比(%)と屈折率との関係を示す特性図である。
【0033】
これらの発明において、 SiO2 を主体とした混成系の保護膜を、ソーダライムガラス面と光触媒膜との間に形成した場合、光触媒活性の低下が抑制されることが確認された。これは、 SiO2 を主体とした混成系の保護膜が、 SiO2 のみを主体とした保護膜に比べて緻密な膜の構成となって、ソーダライムガラス中のNa成分の光触媒膜側への析出を抑制していると考えられる。
【0034】
請求項の発明は、ガラス基体が発光源を内部に有するガラス容器であって、請求項1ないし請求項3いずれか一記載の光触媒体を構成するようにガラス容器に光触媒膜が形成されていることを特徴とする光源である。
【0035】
請求項の発明は、請求項4記載の光源において、ガラス容器は放電媒体が封入され、内壁面に蛍光体膜が形成された蛍光ランプであることを特徴とする。
【0036】
請求項の発明は、光源と;この光源を装着する透光性部材を有する照明器具本体と;を具備しており、透光性部材がガラスであって、請求項1ないし請求項3いずれか一記載の光触媒体を構成するように透光性部材に光触媒膜が形成されていることを特徴とする光源である。
【0037】
これらの発明において、透光性部材としては、たとえば器具前面の開口部に装着された板状のガラスカバー、セード、グローブなどを指し、制光体として機能するものを含んでもよい。また、透光性カバーは、紫外線が透過する石英ガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラスなどである。
【0038】
また、前記保護膜上に設けられる光触媒膜は、光触媒作用を有する金属酸化物を主体としたもの、特には、光触媒作用を有するアナターゼ形 結晶の TiO2 を主体(たとえば重量比で50%以上をアナターゼ形結晶が占めている)としたものが好ましい。ここで、光触媒作用を有する金属酸化物としては、前記 TiO2 の外、たとえばWO3 , LaRhO3 , FeTiO3 ,Fe2 O3 ,CdFe2 O 4 ,SrTiO 3 ,CdSe,GaAs, GaP, RuO2 などの微粒子、もしくは2種以上の微粒子混合系が挙げられるが、膜形成したときに光透過性を有するものが適用できる。
【0039】
光触媒膜は、次のようにして容易に形成できる。たとえばテトライソプロピルチタネートモノマーもしくはテトライソプロピルチタネートポリマーなどのアルコキシチタネート系化合物およびエチルシリケート系化合物の混合溶液を基体面に塗布焼付けることによって、所要の光触媒体を形成できる。
【0040】
また、たとえばチタンのアルコキシドおよびエチルシリケートの混合溶液に、平均粒径 5〜10nm程度のアナターゼ型結晶の TiO2 微粒子を懸濁・分散液を基体面に塗布し、焼成によってアルコキシド成分から平均粒径 5nm未満の TiO2 などを結晶化させることなどによっても形成できる。この場合、アルコキシド成分で形成される光学系膜と同程度の硬度や強度と、平均粒径 5〜70nmの TiO2 微粒子のみで形成される光触媒膜と同程度の光触媒作用とを備えた光触媒体を形成できる。
【0041】
さらに、アナターゼ形結晶の TiO2 を主体とする光触媒膜を形成する場合は、たとえばテトライソプロピルチタネートモノマーを、グリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化した後、酢酸エチル−エタノール系混合溶媒に加えて調整したアルコキシド系溶液を保護膜上に塗布し、 700℃程度の温度で数時間焼成処理することにより、アナターゼ形結晶の TiO2 微粒子を主体とした光触媒膜を形成できる。
【0042】
請求項1ないし請求項3の発明では、光触媒作用を有する TiO2 などが、ガラス基体の膜形成面に形成された場合、光触媒膜の屈折率がガラス基体の屈折率とほぼ同等あるので、光干渉も防止され、可視光透過率も低下することが抑制される。また、光触媒膜に対するNaなどのアルカリ金属成分の析出があっても、光触媒膜への侵入を防止し、すぐれた触媒作用を維持する。
【0043】
さらに、混成系の保護膜を介して光触媒膜が設けられた構成の場合は、全体的に馴染みが性向上し、すぐれた光透過性、耐久性および光触媒作用の向上などが助長される。
【0044】
請求項4ないし請求項6の発明では、照明用光源としての使用で、消臭,殺菌(減菌)なども併せて行うことができる。また、光源などとしての使用において、前記のようなすぐれた耐久性および良好な光触媒作用などを呈するだけでなく、屈折率の相違に起因する乱反射なども回避され、光学的特性も損なわれないので、高品質な放電ランプとして機能しながら、その周辺部の清浄化なども行うことができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下図4〜図14を参照して実施形態を説明する。
【0046】
実施形態1
図4は、光触媒体の第1の構成例を断面的に示したもので、1は基体(たとえばソーダライムガラス板…屈折率n=1.74)、2は SiO2 : TiO2 =75:25(重量比)混成系の光触媒膜である。
【0047】
次に、この光触媒体の製造例を説明する。
【0048】
先ず、アルコキシ・シラン系化合物(たとえばテトラエチルシリケートモノマーをグリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化したもの)の溶液と、アルコキシ・チタン系化合物(たとえばテトライソプロピルチタネートモノマーをグリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化したもの)の溶液とを用意し、これらの溶液を混合した後、この混合溶液に粒径 5nm以下の TiO2 微粉末の分散させた懸濁液を添加して処理液を調製した。なお、溶媒としては、たとえばエタノールおよびエチルセロソルブの混合溶媒が使用される。
【0049】
次いで、前記処理液を、予め用意しておいた厚さ 1mmのソーダライムガラス片(30×30mm)1に浸漬・塗布し、 500℃×10時間焼成処理を施して、膜厚 0.2〜 0.3μm の光触媒膜(屈折率n=1.52)2を作成した。
【0050】
また、比較のため、テトライソプロピルチタネートモノマーのキレート化物を、ガラス質形成剤( P2 O5 )とともに酢酸エチル−エタノール系混合溶媒に加えて溶液化した溶液を、実施形態の場合と同様の条件でソーダライムガラス片に、塗布・焼成して光触媒体を作成した。
【0051】
これら光触媒体について、可視透過率をそれぞれ測定したところ、ともに85%であったが、紫外線放電ランプからの紫外線照射(波長 365nm,0.16mW/cm2 )による光触媒膜面でのヤニの分解力%、ヤニの分解率(分解/吸着)%から光触媒膜の活性をそれぞれ評価した結果、比較例の場合を 100%としてとき、実施例の場合は 350%であった。つまり、この実施形態の光触媒体は、Naなどの侵入による光触媒膜の触媒作用の低下・低減も起こらず、良好な光触媒機能を保持するものであった。
【0052】
実施形態例2
この実施形態の光触媒体は、上記第1の光触媒体の構成において、基体(たとえばソーダライムガラス板…屈折率n=1.74)1面に SiO2 : TiO2 : SnO2 =50:25:25(重量比)混成系の光触媒膜を設けたである。
【0053】
すなわち、アルコキシ・シラン系化合物(たとえばテトラエチルシリケートモノマーをグリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化したもの)の溶液と、アルコキシ・チタン系化合物(たとえばテトライソプロピルチタネートモノマーをグリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化したもの)の溶液と、アルコキシ・チン(錫)系化合物(たとえばチンオクチレートをグリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化したもの)とを用意し、これらの溶液を50:25:25の割合で混合した後、この混合溶液に粒径 5nm以下の TiO2 微粉末の分散させた懸濁液を添加して処理液を調製した。
【0054】
次いで、前記処理液を、予め用意しておいた厚さ 1mmのソーダライムガラス片(30×30mm)1に浸漬・塗布し、 500℃×10時間焼成処理を施して、膜厚 0.2〜 0.3μm の光触媒膜(屈折率n=1.52)2を作成した。
【0055】
この光触媒体について、実施形態1の場合と同様の試験評価を行ったところ、同様の結果が認められた。
実施形態例3
図5は、光触媒体の構成例を断面的に示したもので、1は基体(たとえばソーダライムガラス板…屈折率n=1.74)、3は SiO2 : TiO2 =75:25(重量比)の混成層である保護膜、2′はチタンアルコレートをベースとして形成された光触媒膜である。
【0056】
次に、保護膜3および光触媒膜2′の形成方法を説明する。
【0057】
先ず、エタノールおよびエチルセロソルブの混合溶媒に、 SiO2 微粉末および TiO2 微粉末の75:25の混合体を分散させて懸濁液を調製した。この懸濁液を、予め用意しておいた厚さ 1mmのソーダライムガラス片(30×30mm)1に浸漬・塗布し、 100℃× 0.5時間乾燥して、厚さ 0.1μm 程度の SiO2 − TiO2 の混成層(屈折率n=1.52)である保護膜3を形成した。
【0058】
一方、テトライソプロピルチタネートモノマーをグリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化したものと、ガラス質形成剤( P2 O5 )を酢酸エチル−エタノール系混合溶媒に加えて溶液化したものとの混合溶液、ガラス片1の保護膜2形成面に塗布した後、 500℃×10時間焼成処理を施して、アナターゼ結晶型の TiO2 微粒子および TiO2 相を主体とする膜厚 0.2〜 0.3μm の光触媒膜(屈折率n= 2.0)2′を作成した。
【0059】
また、比較のため、前記平均粒径 7nm,比表面積300m2 /g のアナターゼ結晶型の TiO2 微粒子を分散・懸濁させた懸濁液(比較例1)、あるいはテトライソプロピルチタネートモノマーのキレート化物を、ガラス質形成剤( P2 O5 )とともに酢酸エチル−エタノール系混合溶媒に加えて溶液化した溶液(比較例2)を、それぞれ実施形態の場合と同様の条件でソーダライムガラス片に、塗布・焼成して光触媒体を作成した。
【0060】
これらの光触媒膜面におけるタバコのヤニの吸着力(剥がれ易さ)%、紫外線放電ランプからの紫外線照射(波長 365nm,0.16mW/cm2 )によるヤニの分解力%、ヤニの分解率(分解/吸着)%および光触媒膜の硬さをそれぞれ評価した結果を表1に示す。なお、吸着力および分解力は、透過率の変化で行って実施形態の場合を基準値として評価し、また硬さは鉛筆硬度で行った。
【0061】
Figure 0003791120
上記特性例の評価から分かるように、本発明の光触媒体は、タバコのヤニによる外界汚染に対してすぐれた清浄化機能を呈するだけでなく、他の有機物、たとえばトイレの臭気の解消などにも有効であった。
【0062】
また、比較例3として、実施形態1において、 SiO2 − TiO2 の混成層の代わりに SiO2 膜(屈折率n=1.46)とした他は、同じ条件として光触媒体を作製した。そして、これらの光触媒体について、ソーダライムガラス片の裏面側に光を照射し、光触媒膜側に透過する光量や散乱性を試験評価したところ、実施形態の場合は、光干渉の発生や透過率低下が大幅に改善されていた。
【0063】
このように,本実施形態の光触媒体の場合は、 TiO2 微粒子の塗布,焼き付けで形成した焼結型の光触媒膜(比較例1相当)と少なくとも同程度の光触媒作用を有する一方、チタンアルコキシドの熱分解で生成・形成した光学系型の光触媒膜(比較例2相当)と同程度の硬度を保持しており、耐久性などすぐれた光触媒膜として機能する。
【0064】
さらに、本実施形態の光触媒膜2′は、ディップ方式など簡単な成膜手段により、短時間で所要の膜厚に形成することができる。これは、アルコレート懸濁液が結晶性微粒子の周囲を覆いながら、基板1上の保護膜3表面に拡散していくためである。このように、結晶性微粒子を核として、アルコレート溶液のみを塗布する場合に比べて、1回の塗布工程で膜厚の光触媒膜2′を形成することができる。またさらに、光触媒膜2′の膜厚が厚くなると、結晶性微粒子は、支持基板1からの不純物の影響を一層受けにくくなる。
【0065】
なお、上記光触媒膜2′の形成に当たって、テトライソプロピルチタネートモノマーをグリセリンおよびアセチルアセトンでキレート化したものと、ガラス質形成剤( P2 O5 )を酢酸エチル−エタノール系混合溶媒に加えて溶液化したものとの混合溶液中に、平均粒径 7nm,比表面積300m2 /g のアナターゼ結晶型の TiO2 超微粒子を分散・懸濁させて調製した懸濁液を用いることもできる。
【0066】
上記実施形態において、 TiO2 − SiO2 系の混成光触媒膜2′の代りに、 TiO2 −Al2 O 3 混成系もしくは TiO2 − SnO2 混成系を、また、 SiO2 − TiO2 系の混成保護膜3の代りに、 SiO2 −Al2 O 3 系もしくは TiO2 −Al2 O 3 系などの混成保護膜を下地層とした構成を採った場合も同様の作用効果が認められる。
実施形態(応用例)4
先ず、図6に一部切り欠き断面的に示すハロゲン電球を用意した。図6において、4は石英ガラスから成るバルブ、5は前記バルブ4の圧潰封止部、5a,5bは前記圧潰封止部5に気密に埋設された一対の導入リード線(電気導入手段)、6a,6bは前記導入リード線5a,5bに一端が接続する内導体、7は前記内導体6a,6b間に装架されたタングステンコイルフィラメント、8は前記導入リード線5a,5bに電気的に接続しながら圧潰封止部5に装着された口金である。
【0067】
一方、エタノールおよびエチルセロソルブの混合溶媒に、 SiO2 微粉末および TiO2 微粉末の混合体を分散させて懸濁液を調製した。この懸濁液に、ハロゲン電球(石英ガラス…屈折率n=1.46)を浸漬し、所定速度で引上げて塗布後、 100℃× 0.5時間乾燥して厚さ 0.1μm 程度の SiO2 − TiO2 混成系の保護膜(屈折率n=1.52)9aを形成した。
【0068】
他方、テトライソプロピルチタネートおよびテトラエチルシリケートを有機溶媒に溶解させ、これらのアルコレート含有量 2〜10質量%、粘度約2.0 cps の溶液を調製した。次に、前記アルコレート系溶液を、前記保護膜9a付のハロゲン電球の保護膜9a面上に塗布・乾燥後、空気中、約 700℃で 5分間焼成して、前記保護膜9aの外表(外周)面に、厚さ 0.2μm 程度の TiO2 − SiO2 混成膜(光触媒膜…屈折率n=1.52)9bを形成した。
【0069】
このようにして、石英バルブ4の外表(外周)面に SiO2 − TiO2 の混成系保護膜9aを介して設けた厚さ 0.2μm 程度の TiO2 − SiO2 混成膜9bは、前記ハロゲン電球内で生じ、石英バルブ4壁を透過して外表(外周)面に到達した紫外線の約70%を透過しており、この紫外線や光の透過によって、前記 TiO2 − SiO2 混成膜9bは光触媒として活性な機能・作用を呈することが確認された。すなわち、有機ガスとしてアセトアルテヒド濃度(1300 ppm)の雰囲気下で、ハロゲンラ電球を点灯し、点灯時間の経過に伴うアセトアルテヒド濃度の変化・低減を測定したところ、実施形態1の場合と同様にすぐれた光触媒作用が認められた。
【0070】
また、このハロゲン電球は、 TiO2 − SiO2 混成膜(光触媒膜)9bが光学膜を成しており、かつ良好な帯電防止性を有しているため、雰囲気中の細かい塵埃などの付着も回避され、表面が清浄さを維持していた。すなわち、石英バルブ4の外表(外周)面と TiO2 − SiO2 混成膜(光触媒膜)9bとの間に SiO2 − TiO2 の混成保護膜9aを介在させたことにより、光触媒活性,膜強度および高い透過率(干渉色のない)を兼備した光触媒膜を有するハロゲン電球として機能することを確認した。
【0071】
上記光触媒混成膜の形成に当たって、前記アルコレート溶液に、平均粒径 5nmの TiO2 超微粉末(特にアナターゼ形結晶を主成分としたものが好ましい)を添加・懸濁液化したものを用いることもできる。
【0072】
なお、この実施形態において、 SiO2 − TiO2 の混成保護膜9aの代りに、 SiO2 :Al2 O 3 (または ZrO2 )系、あるいは TiO2 :Al2 O 3 (または ZrO2 )系の混成保護膜を下地とし、また、 TiO2 − SiO2 系の混成光触媒膜9bの代りに、 TiO2 −Al2 O 3 混成系もしくは TiO2 − SnO2 混成系を用いた構成を採った場合も同様の作用効果が認められる。
【0073】
実施形態(応用例)5
図7に断面的に示す管形ハロゲン電球を用意した。図7において、10は石英ガラスから成る管形バルブ、11は前記管形バルブ10の圧潰封止部、 12a, 12bは圧潰封止部11に気密に埋設された一対の導入リード線(電気導入手段)、13は導入リード線 12a, 12b間に装架されたフィラメントである。ここで、フィラメント13は、発光部 13aおよび非発光部 13bで構成され、サポーター 13cによって管形バルブ10内壁面に非接触に支持されている。また、14は接点 14aを有するベース部で、圧潰封止部11に気密に埋設されたモリブデン箔 12a′, 12b′を介して、導入リード線 12a, 12bに電気的に接続されている。
【0074】
一方、前記実施形態4の場合と同一組成の SiO2 微粉末および TiO2 微粉末の混合体を分散させて懸濁液、およびテトライソプロピルチタネートおよびテトラエチルシリケート系混合溶液をそれぞれ用意した。次いで、実施形態4の場合と同様の条件で、前記石英バルブ10の外表(外周)面に、保護膜( SiO2 − TiO2 の混成層)を厚さ0.25μm 程度、光触媒膜( TiO2 − SiO2 系混成膜)を厚さ0.25μm 程度順次形成し、耐剥離性などがすぐれた光触媒系膜14を具備させた。
【0075】
このようにして、石英バルブ10の外表(外周)面に設けた光触媒系膜14は、ハロゲン電球内で生じ、石英バルブ10壁を透過して外表(外周)面に到達した紫外線の約70%を透過しており、この紫外線や光の透過によって、 TiO2 − SiO2 系混成膜は、光触媒として活性な機能・作用を呈することが確認された。すなわち、有機ガスとしてアセトアルテヒド濃度(1300 ppm)の雰囲気下で、ハロゲン電球を点灯し、点灯時間の経過に伴うアセトアルテヒド濃度の変化・低減を測定したところ、前記実施形態1の場合と同様に、すぐれた光触媒作用が認められた。
【0076】
上記構成の管形ハロゲン電球15を、両端側に電気的な接続装着部を備えたリフレクター16に組み込み、図8に断面的に示すような、複写機用の読取り光源部17を作成した。そして、この複写機用の読取り光源部17を、図9に要部構成の概略を断面的に示すごとく、複写機の原稿読取り部に装着し、複写機としての機能評価を行った。図9において、18は露光用ユニットで、前記読取り光源部17、原稿台ガラス19, 反射鏡20など構成されている。また、21は前記反射鏡20で反射導光される光を集光する指定レンズユニット、22は指定レンズユニット21からの光を受ける受光器、23は指定レンズユニット21および受光器22を内装する暗室である。 この複写機について、繰り返し所要の複写操作を行ったところ、前記露光ユニット18の管形ハロゲン電球15表面は、清浄さが保持されており、信頼性の高い露光光源として機能することが確認された。これは、露光ユニット18部における雰囲気に浮遊する汚染などの原因となる有機物が、管形ハロゲン電球16表面の光触媒膜15に接触することによって、容易に酸化・分解して除去されるためである。 この実施形態では、管形ハロゲン電球15を露光ユニット18の光源として組み込んだ複写機について説明したが、トナー像を記録紙などに転写した後、定着用ユニットの熱定着光源として組み込んでも、同様の作用・効果が認められる。
【0077】
また、この実施形態において、 SiO2 − TiO2 系の混成保護膜の代りに、 SiO2 −Al2 O 3 (または ZrO2 )混成層、あるいは TiO2 −Al2 O 3 (または ZrO2 )混成層を下地層とした構成を採った場合も同様の作用効果が認められる。
【0078】
なお、上記応用例では、一般的なハロゲン電球、事務機用などの管形ハロゲンランプを例示したが、車輛前照灯用のハロゲン電球、照明装置などへの応用も可能である。
【0079】
実施形態6
この実施形態は3波長発光形の直管形蛍光ランプの場合であり、図10 (a)は直管形蛍光ランプの斜視図、図10 (b)は一部を拡大した断面図、図11は直管形蛍光ランプを用いた照明器具の概略構成を示す側面図である。
【0080】
蛍光ランプ本体は、 JIS規格でFL40SSと表示される定格電力37 Wの蛍光ランプであり、24は直管形を成す透光性気密容器としての発光管である。そして、この発光管24は、バルブ外径が28mm、管長1198mm程度の大きさをなし、 300nm以上の紫外線を透過するガラス、たとえばソーダライムガラス(屈折率n=1.74)にて形成されている。
【0081】
また、この発光管24の両端部はステム25,25により封止されており、これらステム25,25にはリード線26,26が気密に貫通されており、さらに、前記リード線26,26には、タングステンワイヤなどにより2重コイルに形成された電極手段としてのフィラメント電極27,27が取付けられている。なお、フィラメント電極27,27には、図示しないエミッタが塗布されている。
【0082】
さらに、前記発光管24の外周面(外表面)には、全面に亘り光触媒系膜28が形成されている。ここで、光触媒系膜28は、 SiO2 − TiO2 混成系の保護膜(屈折率n=1.52) 28aと、たとえば平均粒径 5〜 7nmのアナターゼ型結晶 TiO2 微粒子、平均粒径 5nm未満の TiO2 超微粒子および SiO2 の混合系 28bで形成されている(超微粒子相に結晶性微粒子が分散した状態)。
【0083】
つまり、前記実施形態1の場合と同様の条件で調製した2種の溶液・懸濁液に、前記蛍光ランプを順次浸漬して外周面(外表面)に SiO2 − TiO2 の混成保護膜 28aを塗布、形成後、チタンアルコレート・シリコンアルコレート混合系溶液を塗布、乾燥( 150℃で約 5分間保持)させることによって、耐剥離性が良好な平均 0.2μm 厚み光触媒系膜28を発光管24の外表面に形成する。
【0084】
また、この実施形態では、水銀から放出された紫外線により励起されて可視光に変換する蛍光体層29を、たとえば3波長発光形蛍光体、および水銀から放出された紫外線により励起されて 300nm〜 400nmの紫外線を発する蛍光体の混合体で構成した。ここで、3波長発光形蛍光体はしては、たとえば 610nm付近にピーク波長を有する赤系蛍光体として Y2 O 3 :Eu、 540nm付近にピーク波長を有する緑系蛍光体として(La,Ce,Tb)PO4 、 450nm付近にピーク波長を有する青系蛍光体としてBaMg2 Al16O 27:Euが用いられている。
【0085】
紫外線発光蛍光体としては、ユーロピウム付活アルカリ土類金属硼酸塩、鉛付活アルカリ土類珪酸塩、ユーロピウム付活アルカリ土類金属リン酸塩、セリウム付活希土類リン酸塩、またはユーロピウム付活アルカリ土類金属ホウ酸塩にハロゲンが添加された蛍光体の少なくとも1種類以上が用いられている。ユーロピウム付活アルカリ土類金属硼酸塩としては、たとえば 368nmにピーク波長をもつSr B4 O7 :Eu2+が有効であり、鉛付活アルカリ土類珪酸塩としては 370nmにピーク波長をもつ(Ba,Sr,Mg)3 Si2 O7 :Pb2+や 350nmにピーク波長をもつBaSi2 O5 :Pb2+などが好適である。
【0086】
さらに、前記発光管24内には、所定量の水銀とアルゴンガスなどの不活性ガスが封入されており、また、発光管24の端部には口金ピン30を突設させた口金31が被着されている。そして、前記口金ピン30は前記リード線26,26を介してフィラメント電極(放電電極)27,27に接続されている。
【0087】
前記構成の蛍光ランプ32を、たとえば図11に示すような照明器具本体に取り付けて照明器具を構成することができる。すなわち、図11において33は天井直付け形照明器具の本体であり、この照明器具本体33の長手方向両端にはランプソケット34,34が相互に対向して配置されている。これらソケット34,34間に、前記蛍光ランプ32を、その口金31,31の口金ピン30を係合させて取り付けられ、照明器具を構成している。なお、照明器具本体33には、蛍光ランプ32を点灯させるための安定器35を含む点灯回路が収容されており、前記蛍光ランプ32は安定器35を介して点灯される。
【0088】
次に、前記構成の蛍光ランプおよび照明器具の作用を説明する。
【0089】
蛍光ランプ32を点灯すると電極27,27間のアーク放電により水銀蒸気が水銀特有の 185nmおよび 254nmの紫外線を放出し、この紫外線は蛍光体層29を励起する。この場合、蛍光体層29は3波長発光形蛍光体および 300nm〜 400nmの紫外線を発する蛍光体を混合体で形成されている。したがって、3波長発光形蛍光体が3波長域にピーク波長を有する可視光を発するとともに、紫外線発光蛍光体が 300nm〜 400nmの紫外線を発する。そして、3波長発光形蛍光体によって発せられた可視光は発光管24の壁および SiO2 − TiO2 系の保護膜 28aを透過し、 TiO2 を含有する光触媒膜 28bを透過して外部に放出され、所定の可視光量が得られので、所定の明るさに照らすことができる。
【0090】
一方、紫外線発光蛍光体が 300nm〜 400nmの紫外線を発するので、この紫外線は発光管24の壁をおよび SiO2 − TiO2 系の保護膜 28aを透過し、 TiO2 および SiO2 を主成分とする光触媒膜 28bに達する。このため TiO2 は紫外線を吸収し、光触媒作用で TiO2 の内部に電子とホールを生させるとともに、このホールを移動させて表面において電子移動反応を起こし、このホールがほぼバンドギャップ(3.0 eV)分のエネルギーだけ電子を引き抜く力、すなわち酸化力をもち、表面に付着した物質を酸化させる。したがって、環境を汚染している臭気,有機物などを、より効率的に酸化・分解するように機能した。すなわち、この蛍光ランプにおいては、光触媒活性および膜強度を有するだけでなく、発光管24と保護膜 28aとの屈折率差がほぼ等しく設定されているため、屈折率の差に起因する光干渉の発生や透過率の低下も防止され、高い透過率(干渉色のない)を兼ね備えた光触媒膜 28bを有する光源として機能することを確認した。
【0091】
たとえば、臭気(アセトアルデヒド濃度1300 ppm)を有する密閉型の雰囲気下で、前記照明装置を点灯して、点灯時間とアセトアルデヒド濃度の変化を測定したところ、 1時間後 300 ppm,24時間後 5 ppm程度とすぐれた触媒機能を呈することが確認された。
【0092】
上記のように、光触媒膜 28bは、表面に付着した物質を効率よく酸化・分解させることができため、たとえばメチルメルカプタン、硫化水素などの硫黄化合物、アンモニアなどの含窒素化合物、アルデヒド類などの分解が促され、臭気物質の分解による消臭作用も容易に奏する。また、同じく強い酸化作用により、細菌を含む雑菌の殺菌作用、汚れなどの浄化、たとえば煙草のヤニを分解するなどの作用も容易に生じる。
【0093】
また、上記実施形態において、 SiO2 − TiO2 系の混成保護膜 28aの代りに、 SiO2 −Al2 O 3 (または ZrO2 )混成層あるいは TiO2 −Al2 O 3 (または ZrO2 )の混成層を下地層とした構成を採った場合、また、 TiO2 − SiO2 系の混成光触媒膜 28bの代りに、 TiO2 − SnO2 系混成膜あるいは TiO2 −Al2 O 3 系混成膜とした場合もも同様の作用効果が認められる。
【0094】
なお、本発明はこの実施形態の構造に制約されるものではない。たとえば、上記実施例では可視光を発する蛍光体として3波長発光形蛍光体を用いたが、本発明はこれに限らず、ハロリン酸カルシウム蛍光体や、その他蛍光ランプに使用されている通常の蛍光体であってもよい。また、蛍光ランプは図12に斜視的に示すように、直管形蛍光ランプ、環形蛍光ランプ、U字型、W字型に限らず、H字、鞍形などのような屈曲形蛍光ランプなどであってもよい。
【0095】
実施形態7
図13は、紫外線を放出する光源、たとえば高圧水銀蒸気放電灯に透光性カバーを組み合わせた照明器具の概略構成を示す断面図である。図13において、36は電源側に一端が接続する外部リード部37およびソケット部38などを装着した器具本体である。また、39は前記器具本体36のソケット部38に装着された高圧ナトリウムランプ、40は高圧ナトリウムランプ39に沿って配置内装された反射板であり、この反射板40は前記器具本体36に取り付けられた支持枠41によって支持・固定されている。
【0096】
さらに、42は前記器具本体36と組み合わせられて透光性カバーを形成する紫外線透過性のグローブ、たとえばソーダライムガラス製のグローブであり、この外表面に光触媒系膜43が設けられている。ここで、前記光触媒系膜43は、実施形態1の場合と同一組成の、 SiO2 粉末− TiO2 粉末系の懸濁液と、テトライソプロピルチタネート系溶液とを、前記ソーダライムガラス製グローブ42の側外表面に、実施形態1の場合と同様の条件で順次塗布・乾燥、空気中での焼成などを施して、厚さ 0.3μm 程度の膜厚に形成されている。
【0097】
このように構成された照明器具は、高圧ナトリウムランプ39の点灯で、高圧ナトリウムランプ39から放出された紫外線が、ソーダライムガラス製グローブ42を透過し、外表(外周)面に到達して前記光触媒系膜43は、光触媒として活性な機能・作用を呈することが確認された。すなわち、有機ガスとしてアセトアルテヒド濃度(1300 ppm)の雰囲気下で、照明器具を点灯し、点灯時間の経過に伴うアセトアルテヒド濃度の変化・低減を測定したところ、すぐれた光触媒作用が認められた。換言すると、光触媒活性,膜強度および高い透過率(干渉色のない)を兼ね備えた光触媒作用を有する照明器具として機能することを確認した。ここで、透光性カバーが平板状であってもよい。
【0098】
なお、この実施形態においては、ソーダライムガラス製グローブ42からのNa析出が低減され、光触媒作用が向上することが確認された。
【0099】
また、図14に透視的に示すごとく、反射膜44付きのレフランプのバルブ45の頂面に、前記手法に準じて光触媒系膜(保護膜−光触媒膜)46を形成して、照明器具に装着して点灯評価を行ったところ、光触媒活性,膜強度および高い透過率を兼備した光触媒系膜を有するレフランプとして機能することを確認した。なお、図13において、47は E型口金、48はフィラメントをそれぞれ示す。
【0100】
【発明の効果】
請求項1ないし請求項3の発明では、低コストで、耐久性および光触媒活性が高くて、光学的な特性も良好な光触媒体を提供できる。
【0102】
請求項4ないし請求項5の発明によれば、耐久性のすぐれた光触媒膜を備え、点灯・使用雰囲気中の有機成分などを、容易に分解除去する光触媒作用などを呈するだけでなく、良好な光学的特性を有する高品質な光源が提供される。
【0103】
請求項6の発明によれば、一般照明用として機能しながら、前記請求項1ないし5の発明で見られるような作用・効果を呈するので、その実用性がさらに助長される。すなわち、照明器具に装着した光源が紫外線放射源として有効に機能する一方、点灯・使用雰囲気中の有機成分などを長期間に亘って安定的、かつ容易に酸化・分解除去し得るので、殺菌もしくは減菌、臭気の除去(脱臭)などが要望される居住空間、たとえば病院用光源として有効な光源ないし照明器具の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラス基体および保護膜の屈折率差と可視光域における全透過率の関係例を示す特性図。
【図2】本発明に係る光触媒体の構成例と本発明外の光触媒体との可視光域における透過率を比較して示す特性図。
【図3】本発明に係る光触媒膜や保護膜を成す TiO2 − SiO2 の混成比と屈折率との関係を示す特性図。
【図4】本発明の光触媒体の第1の実施形態を示す要部断面図。
【図5】本発明の光触媒体の第2の実施形態を示す要部断面図。
【図6】白熱電球に対す本発明の光触媒体の応用形態を示す一部切り欠き断面図。
【図7】管型白熱電球に対す本発明の光触媒体の応用形態を示す断面図。
【図8】本発明に係る光触媒体を応用した管型白熱電球を装着した照明器具例を示す断面図。
【図9】本発明に係る光触媒体を応用した照明器具を用いた複写機の要部構造例を示す断面図。
【図10】 (a)は本発明の蛍光ランプの一実施形態の構造を示す一部切り欠き断面図、 (b)は一部拡大断面図。
【図11】本発明に係る照明器具の他の実施形態の構造を示す側面図。
【図12】 (a), (b), (c)は本発明の蛍光ランプの他の変形形態の構造を示す斜視図。
【図13】本発明に係る照明器具のさらに他の実施形態の概略構造を示す断面図。
【図14】本発明に係る白熱電球の他の実施形態の構造を示す透視図。
【符号の説明】
1……基体
2,2′,9b……光触媒膜
3, 9a, 28a……保護膜
4,10,24,45……透光性気密容器(発光管,ガラスバルブ)
9,14,28,43,46……光触媒系膜(保護膜−光触媒膜)
33……照明器具本体
39……光源
41……反射板
42……透光性カバー

Claims (6)

  1. 膜形成面を有するガラス基体と;アルコキシ・シラン系化合物の溶液とアルコキシ・チタン系化合物の溶液とを混合した溶液をガラス基体表面に塗布成膜した光触媒膜と;を具備していることを特徴とする光触媒体。
  2. 光触媒膜に TiO 2 微粒子を混合したことを特徴とする請求項 1 記載の光触媒体。
  3. 光触媒膜の屈折率は、 1.6 1.9 であることを特徴とする請求項 1 または請求項 2 記載の光触媒体。
  4. ガラス基体は、発光源を内部に有するガラス容器であって、請求項1ないし請求項3いずれか一記載の光触媒体を構成するようにガラス容器に光触媒膜が形成されていることを特徴とする光源。
  5. ガラス容器は、放電媒体が封入され、内壁面に蛍光体膜が形成された蛍光ランプであることを特徴とする請求項4記載の光源。
  6. 光源と;この光源を装着する透光性部材を有する照明器具本体と;を具備しており、透光性部材はガラスであって、請求項1ないし請求項3いずれか一記載の光触媒体を構成するように透光性部材に光触媒膜が形成されていることを特徴とする光源。
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