JPH1134214A - ポリプロピレン複合フィルム - Google Patents

ポリプロピレン複合フィルム

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JPH1134214A
JPH1134214A JP19210797A JP19210797A JPH1134214A JP H1134214 A JPH1134214 A JP H1134214A JP 19210797 A JP19210797 A JP 19210797A JP 19210797 A JP19210797 A JP 19210797A JP H1134214 A JPH1134214 A JP H1134214A
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JP
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film
polypropylene
oxygen
composite film
inorganic compound
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JP19210797A
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Takashi Miyamoto
隆司 宮本
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Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレンフィルムと無機化合物層との
密着性に優れ、且つ酸素バリア性、水蒸気バリア性に優
れたポリプロピレン複合フィルムを得る。 【解決手段】 ポリプロピレンフィルム1及び無機化合
物層2、好ましくはさらに金属アルコキシドと水溶性高
分子とからなるコーティング層3が順次積層されたポリ
プロピレン複合フィルム10において、ポリプロピレン
フィルム1をアイソタクティック分率95%以上とし、
かつ該ポリプロピレンフィルム1の少なくとも無機化合
物層2側表面を変性処理し、該ポリプロピレンフィルム
の変性処理面1Aの構成原子数につき、炭素の原子数を
60〜99%とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレンフ
ィルム上に無機化合物層を積層したポリプロピレン複合
フィルムに関する。更に詳しくは、食品や医薬品等の包
装に適した、高度の酸素バリア性や水蒸気バリア性等の
ガスバリア性を有するポリプロピレン複合フィルムに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリプロピレンフィルムは透明
性、防湿性、機械的強度等に優れているので、食品等の
包装に好適に用いられている。特に、表面に塩化ビニリ
デン樹脂をコーティングしたポリプロピレンフィルム
(塩化ビニリデン樹脂コートポリプロピレンフィルム)
は、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のガスバリア性に
優れたフィルムとして広く用いられている。
【0003】しかし、この塩化ビニリデン樹脂コートポ
リプロピレンフィルムに対しても、最近の包装材料の用
途の広がりから更に高度のガスバリア性が求められるよ
うになってきていること、また、塩化ビニリデン樹脂コ
ートポリプロピレンフィルムは、焼却処理時に塩化ビニ
リデン樹脂から発生する塩素系ガスが原因で環境問題上
忌避される傾向にあること、などの理由から最近これに
代わるガスバリア性フィルムが求められている。
【0004】この要求に応えるものとして、プラスチッ
クフィルムをベースフィルムとし、その上に酸化珪素や
酸化アルミニウム等の無機化合物の薄膜を積層した複合
フィルムが種々提案されている。例えば、ポリプロピレ
ンフィルム上に真空蒸着法等によって無機化合物層を積
層したポリプロピレン複合フィルムが開発されている。
【0005】しかし、ポリプロピレンフィルムをベース
としてその上に無機化合物層を積層したものは、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィ
ルムをベースにしたものと比べて、無機化合物層とベー
スフィルムとの密着性においても、酸素や水蒸気に対す
るバリア性においても劣り、実用に耐えるものを得るの
は困難となっている。
【0006】一方、ポリプロピレンフィルムは、PET
等のポリエステルフィルムに比して安価であること、腰
があること、透明性に優れていること、水蒸気に対する
バリア性が優れていることなどから、PET等のポリエ
ステルフィルムではなく、ポリプロピレンフィルムをベ
ースとして使用することへの要請が強い。
【0007】そこで、ポリプロピレンフィルムをベース
とし、無機化合層を積層したポリプロピレン複合フィル
ムについて、密着性やバリア性の改良を目的とした研究
が多く行われている。
【0008】例えば、特開平7−329258号公報に
は結晶性ポリプロピレンからなるA層上に、ポリプロピ
レン共重合体とエチレン共重合体との混合樹脂からなる
B層を積層し、このB層上に金属酸化物の蒸着膜を設け
たものが開示されており、また、特開平7−32923
5号公報にはポリプロピレン重合体を主成分とするA層
上に、シンジオタクチックポリプロピレン重合体を含む
B層を積層し、このB層上に金属酸化物を設けたものが
開示されている。また、ベースフィルムがポリプロピレ
ンフィルムに限定されているものではないが、特公昭6
3−54541号公報には、2〜6個の炭素を持つα−
オレフィンの基層上に、エチレンとα−オレフィンとの
ランダム共重合体からなる接着層を設け、その上に金属
層を設けた構成とすることにより、基層と金属層との接
着性が改善される旨開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述の3報は、いずれ
もポリプロピレンフィルム表面に共重合体層を形成する
ことにより、ポリプロピレンフィルム表面の耐熱性(軟
化点や融点等)を下げ、それによりその表面に無機化合
物層を真空蒸着法などによって設ける際に、そのポリプ
ロピレンフィルムの最表面が熱負荷で軟化し、そこに無
機化合物層を形成する粒子の一部が取り込まれるように
し、密着性を向上させたものである。しかし、軟化した
ポリプロピレンフィルムの最表面が再び冷却固化する際
に無機化合物層はストレスを受けて破壊されるため、こ
の複合フィルムでは、バリア性が向上しないばかりか、
かえって劣化する。
【0010】また、特公昭57−30854号、特開平
6−65712号、特開平7−233463号、特開平
3−247750号の各公報には、プラスチックフィル
ムの表面に、炭酸ガス雰囲気下、あるいは窒素ガスと炭
酸ガスとの混合ガス雰囲気下において、コロナ処理や低
温プラズマ処理等の表面変性処理を施した後に金属や金
属酸化物の蒸着膜を設けることにより、複合フィルムの
バリア性や密着性が改良できる旨記載されている。しか
し、これらコロナ処理や低温プラズマ処理等の放電処理
は密着性の改良には効果があるもの、バリア性への改良
効果は小さいという問題点がある。
【0011】このように、ポリプロピレンフィルムをベ
ースとして無機化合物層を積層した複合フィルムには種
々の改良がなされているが、PETフィルムをベースと
したものと同等、あるいはそれ以上の密着性を無機化合
物層に対して有し、かつバリア性を併せ持つものは得ら
れていないというのが現状である。
【0012】本発明は、無機化合物層を真空蒸着法等の
方法によってポリプロピレンフィルム上に積層したポリ
プロピレン複合フィルムの開発に関する上記のような問
題点を解決するためになされたものであり、酸素バリア
性や水蒸気バリア性等のガスバリア性に優れ、ポリプロ
ピレンフィルムと無機化合物層との密着性も良いポリプ
ロピレン複合フィルムを提供することを目的としてい
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、ポリプロピレンフィルム及び無機化合物
層が積層されたポリプロピレン複合フィルムにおいて、
ポリプロピレンフィルムがアイソタクティック分率95
%以上であり、かつ該ポリプロピレンフィルムの少なく
とも無機化合物層側表面が変性処理されており、該ポリ
プロピレンフィルムの変性処理面の構成原子数につき、
炭素の原子数が60〜99%であることを特徴とするポ
リプロピレン複合フィルムを提供する。
【0014】特に、変性処理により酸素または窒素ある
いはこれら双方がポリプロピレンフィルム表面に導入さ
れたものを提供する。より具体的には、ポリプロピレン
フィルムの変性処理面の構成原子数につき、次式で表さ
れる、酸素及び窒素の合計の原子数の酸素、窒素及び炭
素の合計の原子数に対する比
【0015】
【数4】(O+N)/(O+N+C) が、1〜40%であるポリプロピレン複合フィルムを提
供し、中でもポリプロピレンフィルムの変性処理面の構
成原子数につき、次式で表される、窒素の原子数の酸
素、窒素及び炭素の合計の原子数に対する比
【0016】
【数5】(N)/(O+N+C) が30%以下であるものを提供する。
【0017】また、ポリプロピレンフィルムの変性処理
面の構成原子数につき、次式で表される、酸素の原子数
の酸素及び炭素の合計の原子数に対する比
【0018】
【数6】(O)/(O+C) が、1〜40%であるポリプロピレン複合フィルムを提
供する。
【0019】さらに、このようなポリプロピレン複合フ
ィルムの無機化合物層上に金属アルコキシドと水溶性高
分子とからなるコーティング層が積層されているものを
提供する。
【0020】本発明のポリプロピレン複合フィルムによ
れば、ベースとするポリプロピレンフィルムとして、ア
イソタクティック分率が95%以上の高い結晶性のフィ
ルムを使用するので、ポリプロピレンフィルムの表面状
態の安定性が高く、したがって融点も高く、高いバリア
性を得ることができる。
【0021】また、このポリプロピレンフィルムの表面
は変性処理がなされているので、ポリプロピレンフィル
ム表面と無機化合物層との密着性が向上する。この場
合、変性処理は、ポリプロピレンフィルム表面の炭素原
子が特定の原子比率となる程度に行われているので、上
述のポリプロピレンフィルムの高いバリア性が損なわれ
ることなく、ポリプロピレンフィルムと無機化合物層と
の密着性が向上したものとなる。
【0022】さらに、この無機化合物層上に、金属アル
コキシドと水溶性高分子とからなるコーティング層を積
層した態様によれば、よりいっそうバリア性が向上した
ものとなる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
を詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明の一態様のポリプロピレン
複合フィルム10の断面図である。図示したように、こ
のポリプロピレン複合フィルム10は、ポリプロピレン
フィルム1、無機化合物層2、及び金属アルコキシドと
水溶性高分子とからなるコーティング層3が順次積層さ
れたものとなっている。
【0025】ここで、ポリプロピレンフィルム1として
は、結晶性を有するプロピレンの単独重合体が好まし
い。また、そのアイソタクティック分率は95%以上と
し、97%以上とすることがより好ましい。これにより
ポリプロピレン複合フィルム10の酸素バリア性あるは
水蒸気バリア性等のガスバリア性を向上させることがで
きる。
【0026】なお、アイソタクティック分率を95%以
上とする限り、ポリプロピレンフィルム1としては、エ
チレンなどのα−オレフィンやアクリル酸、無水マイレ
ン酸などを含んだ重合体も使用することができる。ま
た、このポリプロピレンフィルム1中には少量の添加
剤、すなわち熱安定剤、酸化防止剤等が含まれていても
よい。ただし、帯電防止剤や滑剤等のように、マイグレ
ーションによってフィルム表面にブリードアウトしてそ
の機能を発するものは、ポリプロピレンフィルム1と無
機化合物層2との密着性にも、またポリプロピレン複合
フィルム10のバリア性にも悪影響を及ぼすと考えられ
るため、添加しないか、もしくは添加量を極微量に抑え
ることが好ましい。
【0027】ポリプロピレンフィルム1の厚さは、限定
的ではないが、包装材料としての適性の点から10〜1
00μmとすることが好ましい。
【0028】ポリプロピレンフィルム1の無機化合物層
2が積層される側の表面は、変性処理されている。この
ポリプロピレンフィルムの変性処理面1Aには、酸素ま
たは窒素あるいはこれら双方が導入されるようにするこ
とが好ましい。
【0029】この変性処理の具体的方法としては、例え
ば、窒素あるいは酸素を含むガス(例えば、空気、窒素
と酸素との混合ガス、窒素と炭酸ガスとの混合ガス、窒
素と酸素と炭酸ガスとの混合ガスなど)中におけるコロ
ナ処理や低温プラズマ処理などの放電処理をあげること
ができる。なかでも変性処理後に無機化合物層2を真空
蒸着法で積層する場合に、変性処理と真空蒸着とを同一
バッチで容易に行うことができる低温プラズマ処理が製
造コストの面から好ましい。
【0030】変性処理の程度としては、ポリプロピレン
フィルムの変性処理面1Aの構成原子数につき、炭素の
原子数が60〜99%となるようにする。
【0031】この炭素の比率は、変性処理により、例え
ば、ポリプロピレンフィルム表面に窒素と酸素が導入さ
れた場合には、次式で表される、酸素及び窒素の合計の
原子数の酸素、窒素及び炭素の合計の原子数に対する比
【0032】
【数7】(O+N)/(O+N+C) が、1〜40%であることに相当する。
【0033】この場合、次式で表される、窒素の原子数
の酸素、窒素及び炭素の合計の原子数に対する比
【0034】
【数8】(N)/(O+N+C) を、30%以下とすることがより好ましい。
【0035】また、上述の炭素の比率60〜99%は、
変性処理により、例えば、ポリプロピレンフィルム表面
に酸素又は酸素と炭素が導入された場合には、次式で表
される、酸素の原子数の酸素及び炭素の合計の原子数に
対する比
【0036】
【数9】(O)/(O+C) が、1〜40%であることに相当する。
【0037】ポリプロピレンフィルムの変性処理面1A
の構成原子数につき、炭素が99%を超える場合(即
ち、変性処理により、例えば、窒素と酸素が導入された
場合には、(O+N)/(O+N+C)が1%未満とな
る場合、あるいは、酸素が導入された場合に、(O)/
(O+C)が、1%未満となる場合)には、変性処理の
効果が十分でなく、ポリプロピレンフィルム1とその上
に設ける無機化合物層2との密着性を十分に改善するこ
とができない。反対に、ポリプロピレンフィルムの変性
処理面1Aの構成原子数につき、炭素が60%未満とな
る場合(即ち、変性処理により、例えば、窒素と酸素が
導入された場合には、(O+N)/(O+N+C)が4
0%を超える場合、あるいは、酸素が導入された場合
に、(O)/(O+C)が、40%を超える場合)に
は、ポリプロピレンフィルムの変性処理面1Aがベース
のポリプロピレンフィルム1から剥がれ易くなり、ま
た、バリア性も低下する。
【0038】なお、本発明において、このようなポリプ
ロピレンフィルム1の表面変性処理は、少なくとも無機
化合物層2が積層される側の一方のポリプロピレンフィ
ルム1の表面に行う。したがって、本発明のポリプロピ
レン複合フィルムの態様としては、例えば、更にバリア
性を高めることを目的として、ポリプロピレンフィルム
1の両面に変性処理面を形成してもよく、無機化合物層
2の表面に変性処理面を形成してもよい。
【0039】また、ポリプロピレンフィルム1の表面変
性処理の程度を上述のように制御する方法としては、表
面変性処理の方法や、処理時間、処理パワー(例えば、
低温プラズマ処理により変性処理する場合、そのプラズ
マの発生に要する電力)等の変性処理条件を適宜設定す
ればよい。
【0040】本発明において、ポリプロピレンフィルム
の変性処理面1Aに形成する無機化合物層2とは、珪素
酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物など
のいずれか一つ、あるいは二つ以上の混合物あるいは積
層物からなる層とすることが好ましい。
【0041】このうち、珪素酸化物とは珪素と酸素の化
合物であり、その比率は特に限定されるものではなく、
また珪素酸化物層内でその比率が一定でなくても差し支
えない。ただし、珪素酸化物は、珪素の割合が多くなる
と、薄黄あるいは薄茶色の着色が顕著になる。また、珪
素酸化物の着色度合いはその珪素酸化物層の厚さにもよ
る。このため、珪素酸化物の珪素と酸素の比率は、当該
ポリプロピレン複合フィルムに許容される着色度や当該
珪素酸化物の層厚等に応じて適宜定める。通常は、バリ
ア性や可撓性の点から、珪素と酸素との比率は、珪素酸
化物層内の平均として、酸素と珪素の原子数比(酸素/
珪素)を1.0以上とすることが好ましく、より好まし
くは1.3以上とする。
【0042】また、無機化合物層2に使用されるアルミ
ニウム酸化物とは、アルミニウムと酸素との化合物であ
り、その比率も特に限定されるものではなく、またアル
ミニウム酸化物層内でその比率が一定でなくても差し支
えない。ただし、アルミニウム酸化物もアルミニウムの
割合が多くなると、薄茶あるいは灰色の着色が顕著にな
る。また、アルミニウム酸化物の着色度合いはそのアル
ミニウム酸化物層の厚さにもよる。このため、アルミニ
ウムと酸素との比率は当該ポリプロピレン複合フィルム
に許容される着色度や当該アルミニウム酸化物の層厚等
に応じて適宜定める。通常は、バリア性や可撓性の点か
ら、酸素とアルミニウムの原子数比(酸素/アルミニウ
ム)を0.9以上とすることが好ましく、より好ましく
は1.0以上とする。
【0043】無機化合物層2に使用されるマグネシウム
酸化物とは、マグネシウムと酸素との化合物であり、そ
の比率も特に限定されるものではなく、またマグネシウ
ム酸化物層内でその比率が一定でなくても差し支えな
い。ただし、マグネシウム酸化物においてもマグネシウ
ムの割合が多くなると、灰色の着色が顕著になる。ま
た、マグネシウム酸化物の着色度合いはそのマグネシウ
ム酸化物層の厚さにもよる。このため、マグネシウムと
酸素との比率は当該ポリプロピレン複合フィルムに許容
される着色度や当該マグネシウム酸化物の層厚等に応じ
て適宜定める。通常は、バリア性や可撓性の点から、酸
素とマグネシウムの原子数比(酸素/マグネシウム)を
0.7以上とすることが好ましく、より好ましくは0.
9以上とする。
【0044】無機化合物層2を上記の酸化物の混合物あ
るいは積層物から構成する場合、酸化物同士の混合比率
や酸化物層同士の層厚の比率にも何ら制限はない。
【0045】無機化合物層2内には、上記酸化物以外の
成分元素、例えば水素、炭素、窒素、ホウ素、フッ素、
ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄、銅、コ
バルト、ニッケル、チタン等が不純物程度に含まれてい
てもかまわない。
【0046】無機化合物層2の好ましい厚さは、無機化
合物の種類によっても異なるが、概して5〜500nm
の範囲内とすることが好ましい。これは5nmよりも薄
いと無機化合物層2が膜状になりにくく、十分な酸素バ
リア性や水蒸気バリア性を発揮できない場合があり、ま
た反対に500nmよりも厚いと無機化合物層2の内部
応力によってその層が割れて酸素バリア性や水蒸気バリ
ア性が低下することが懸念されるためである。
【0047】無機化合物層2をポリプロピレンフィルム
の変性処理面1A上に設ける手段としては、真空蒸着
法、スパッタリング法、CVD法等が好適に用いられる
が、これらを行うに際しての具体的な方法には特に限定
はない。例えば、真空蒸着法を行う場合に、その加熱方
法としては、抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱等を適宜
用いることができる。また、蒸着源物質として珪素酸化
物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等を用
い、直接的にこれらの物質を蒸着する方法をとることが
でき、また、珪素、アルミニウム、マグネシウム等を蒸
発させて蒸気状とするかポリプロピレンフィルム表面に
凝集させ、次いで酸素と反応させる間接的な反応性蒸着
法を行ってもよい。同様に、スパッタリング法の場合に
おいても、通常のスパッタリング法や反応性スパッタリ
ング法等を行うことができ、CVD法の場合でも熱CV
D法やプラズマCVD法等を適宜選択することができ
る。
【0048】次に、無機化合物層2上にさらに積層する
コーティング層3について説明する。本発明において、
コーティング層3は、バリア性の向上と無機化合物層2
の保護のために必要に応じて設けられる。
【0049】コーティング層3としては、金属アルコキ
シドと水溶性高分子からなるものが好ましい。
【0050】ここで、金属アルコキシドは、次の一般
式、
【0051】
【化1】M(OR)n (式中、MはSi、Ti、 Al、Zr等の金属であ
り、RはCH3、C25等の低級アルキル基である)で
表されるものである。この金属アルコキシドの中でも、
テトラエトキシシラン〔Si(OC254〕、トリイ
ソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C37
3〕等が、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安
定であるので好ましい。
【0052】水溶性高分子としては、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリ
ウムなどが挙げられる。
【0053】コーティング層3は、上記の金属アルコキ
シドと水溶性高分子を直接混合するか、あるいは予め加
水分解等の処理を行ったものを混合することによりコー
ティング液を調製し、これを無機化合物層2の上にコー
ティングし、加熱乾燥させることにより形成することが
できる。
【0054】この場合のコーティング液の塗布方法は、
ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印
刷法、スプレー法等の従来公知の手段が用いられる。
【0055】コーティング層3の厚みはコーティング液
の組成によって異なるが、乾燥後の厚さを約0.01〜
100μmの範囲とすることが好ましく、クラック発生
の防止の点から、0.01〜50μm以下することがよ
り好ましい。
【0056】以上のポリプロピレンフィルム1、無機化
合物層2及びコーティング層3からなるポリプロピレン
複合フィルム10には、さらに必要に応じてその他の層
を積層することができる。例えば、コーティング層3の
表面に、ポリウレタン系樹脂を接着剤として、ポリエチ
レンフィルムや未延伸ポリプロピレンフィルム等のヒー
トシール性を有するプラスチックフィルムをラミネート
することができる。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0058】この実施例のポリプロピレン複合フィルム
の評価には、以下の評価項目(a)〜(e)を用いた。
【0059】(a)酸素バリア性 MOCON OXTRAN 10/50A 酸素ガス透
過度測定装置(モダンコントロール社製)を用い、30
℃、70%RHの雰囲気下で測定した。
【0060】(b)水蒸気バリア性 JIS Z−0208 のカップ法により、40℃、9
0%RHの雰囲気下で測定した。
【0061】(c)密着性 ポリプロピレン複合フィルムのコーティング層側の表面
に、ウレタン系2液硬化型接着剤(東洋モートン製AD
−811)を用いて(接着剤塗布量約2.5g/
2)、CPP(casted polypropylene:未延伸ポリプ
ロピレン)フィルム(昭和電工製ショーレックスアロマ
ーU 厚さ60μm)をドライラミネートし、50℃、
20%RHの雰囲気下で4日間エージング処理した。次
いで、このラミネートフィルムを40℃、90%RHの
雰囲気に2週間曝した後、ポリプロピレン複合フィルム
とCPPフィルムとの接着強度をテンシロン RTM2
50 測定機を用いてT型剥離(剥離速度300mm/
min、試料幅15mm)で測定し、密着性の指標とし
た。
【0062】(d)アイソタクティック分率 ベースフィルムとするポリプロピレンフィルムに対し、
アイソタクティック分率を特開平7−329258号公
報に記載の方法と同様に次のように行った。すなわち、
表面変性処理を施す前のポリプロピレンフィルムを13
0℃で2時間真空乾燥し、次いでソックスレー抽出器に
入れ、n−ヘプタンで12時間抽出し、次にこれをアセ
トンで十分洗浄し、130℃で6時間乾燥した。そして
抽出前後の重量をそれぞれW1,W2(mg)とし、次式
から計算した。
【0063】
【数10】 アイソタクティック分率=(W1/W2)×100(%)
【0064】(e)表面変性処理の組成分析 表面変性処理を施した後、無機化合物層を積層する前の
ポリプロピレンフィルムの表面を、X線光電子分光装置
(島津製作所製 ESCA3200)を用い、励起X線
としてMgKα線、光電子脱出角度90°で炭素1s軌
道、酸素1s軌道、窒素1s軌道のスペクトルを測定
し、各々のピークの積分強度比から、(酸素+窒素)/
(酸素+窒素+炭素)の値(%)、窒素/(酸素+窒素
+炭素)の値(%)及び(酸素)/(酸素+炭素)の値
(%)を計算した。
【0065】実施例1 第1図に示すように、ポリプロピレンフィルム(厚さ約
20μm)1の片面に表面変性処理が施され、その変性
処理面1A上に無機化合物層2として珪素酸化物層(厚
さ約50nm)が積層され、さらにその上にテトラエト
キシシランとポリビニルアルコールからなるコーティン
グ層3が積層されたポリプロピレン複合フィルム10を
次のように作製した。
【0066】(1)ポリプロピレンフィルムの作製 ベースとなるポリプロピレンフィルム1を次のように作
製した。まず、プロピレン単独重合体を押出機に供給
し、280℃の温度で溶融してスリット状のダイから押
出し、表面温度約30℃の金属ロール上に巻き付けてシ
ート状に冷却固化させ未延伸フィルムを得た。次いでこ
の未延伸フィルムを約140℃に加熱して巻取り方向に
約5倍延伸して冷却し、さらに再度140℃に加熱して
幅方向に約10倍延伸し、その後約160℃で熱処理
し、冷却してプロピレン単独重合体の2軸延伸フィルム
を得た。この2軸延伸フィルムの厚さは約20μmであ
り、アイソタクティック分率は97%であった。
【0067】(2)ポリプロピレンフィルムの表面変性
処理と珪素酸化物層の積層 図2に図示した巻き取り式真空蒸着機20を用いて、
(1)で得た2軸延伸ポリプロピレンフィルム1に、低
温プラズマ処理と珪素酸化物の蒸着を次のように連続的
に行った。
【0068】まず、図2に図示した真空蒸着機20の真
空槽21の内部を2×10-5Torrの真空度まで排気
し、ポリプロピレンフィルム1を巻出しロール22から
連続的に放電処理ユニット23に供給して低温プラズマ
処理を行い、次に冷却ロール30上に導き、蒸着源31
からの珪素酸化物蒸気流32によりポリプロピレンフィ
ルム1上に珪素酸化物の蒸着膜を設け、巻取りロール3
3で巻取った。
【0069】この放電処理ユニット23の部分説明図を
図3((a)断面図、(b)正面図)に示し、低温プラ
ズマ処理の詳細を以下に示す。同図のように放電処理ユ
ニット23は、金属製の外壁24と電極(25−1およ
び25−2)およびガス導入口26とからなり、外壁2
4の側面にはポリプロピレンフィルム1を通過させるス
リット27が設けられている。ガス導入口26はガス導
入バルブ28を経て、真空槽21外の窒素と炭酸ガスと
の混合ガス(混合比90/10)のガスボンベ(図示せ
ず)に接続されている。外壁24は接地されており、上
下2本の電極(25−1および25−2)にはAC電圧
がかかるようになっている。この場合、2本の電極(2
5−1および25−2)のいずれか一方のみに電圧を印
加することでポリプロピレンフィルム1の片面だけに低
温プラズマ処理を施すことが可能となっている。
【0070】本実施例では、これら電極の一方(電極2
5−1)のみに電圧を印加することにより、珪素酸化物
が蒸着形成される側のポリプロピレンフィルム1の表面
のみを処理した。この場合、放電処理ユニット23内の
混合ガスのガス圧は1.5×10-2Torr、処理度は
30W・分/m2(電圧300V、電流0.5A、処理
幅0.2m、巻き取り速度25m/分)とした。
【0071】放電処理ユニット23においてポリプロピ
レンフィルム1に低温プラズマ処理を施した後、一酸化
珪素を蒸着源31とし、電子線加熱によって蒸発せし
め、−15℃に冷却した冷却ロール30上で蒸着膜厚が
約0.05μmとなるように珪素酸化物を蒸着し、珪素
酸化物層を形成した。
【0072】またこの際、蒸着源31上に設置したシャ
ッター(図示せず)を用いて珪素酸化物蒸気流32を遮
ることにより、低温プラズマ処理のみで珪素酸化物を蒸
着形成していない部分も作製した。
【0073】蒸着終了後、上記の珪素酸化物層を設けて
いない部分について、低温プラズマ処理表面を前記のX
線光電子分光装置によって分析した。
【0074】(3)コーティング層の形成 上記(2)の珪素酸化物層(無機化合物層2)を蒸着形
成した部分について、以下の方法でテトラエトキシシラ
ンとポリビニルアルコールからなるコーティング層3を
形成した。
【0075】即ち、テトラエトキシシラン104gに塩
酸(0.1N)を896g加え、30分攪拌し、加水分
解させた固形分3wt%の加水分解液とポリビニルアル
コール3wt%の水/イソプロピルアルコール(90/
10)溶液とを混合し、コーティング液とした。得られ
たコーティング液を、グラビアロールコーターを用いて
ポリプロピレンフィルム1の珪素酸化物層にコーティン
グし、乾燥せしめ(版深30μm、乾燥温度90℃、乾
燥オーブン長6m、巻き取り速度10m/min)、最
終的なポリプロピレン複合フィルム10を得た。
【0076】そして、得られたポリプロピレン複合フィ
ルム10に対し、前述の各評価を行った。結果を表1に
示す。
【0077】実施例2 実施例1において、低温プラズマ処理時のガスを、窒素
と炭酸ガスとの混合ガス(混合比90/10)に代えて
窒素と酸素との混合ガス(混合比90/10)を使用し
た以外は、実施例1と同様の方法によりポリプロピレン
複合フィルムを作製し、各評価項目を測定した。この結
果を表1に示す。
【0078】実施例3 無機化合物層を、珪素酸化物に代えてアルミニウム酸化
物から形成した以外は実施例1と同様の方法によりポリ
プロピレン複合フィルムを作製し、各評価項目を測定し
た。この結果を表1に示す。
【0079】実施例4 無機化合物層を、珪素酸化物に代えてマグネシウム酸化
物から形成した以外は実施例1と同様の方法によりポリ
プロピレン複合フィルムを作製し、各評価項目を測定し
た。この結果を表1に示す。
【0080】比較例1 実施例1において、低温プラズマ処理を処理度1500
W・分/m2(電圧300V、電流0.5A、処理幅
0.2m、巻き取り速度0.5m/分)で行うこと以外
は、実施例1と同様の方法によりポリプロピレン複合フ
ィルムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表
1に示す。
【0081】比較例2 実施例1において、低温プラズマ処理を行うことなし
に、珪素酸化物層を蒸着形成したこと以外は、実施例1
と同様の方法によりポリプロピレン複合フィルムを作製
し、各評価項目を測定した。この結果を表1に示す。
【0082】比較例3 実施例2において、低温プラズマ処理を行うことなし
に、アルミニウム酸化物層を蒸着形成したこと以外は、
実施例1と同様の方法によりポリプロピレン複合フィル
ムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表1に
示す。
【0083】比較例4 実施例3において、低温プラズマ処理を行うことなし
に、マグネシウム酸化物層を蒸着形成したこと以外は、
実施例1と同様の方法によりポリプロピレン複合フィル
ムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表1に
示す。
【0084】実施例5 ベースとなるポリプロピレンフィルムの作製において、
プロピレン単独重合体に代えて、エチレン−プロピレン
ブロック共重合体(エチレン成分3%)を押出機に供給
した以外は実施例1と同様にして、エチレン−プロピレ
ンブロック共重合体の2軸延伸フィルムを得た。この2
軸延伸フィルムの厚さは約20μmであり、アイソタク
ティック分率は95%であった。
【0085】この2軸延伸フィルムに、表面変性処理お
よび珪素酸化物の真空蒸着、テトラエトキシシランとポ
リビニルアルコールからなるコーティング層の形成を、
実施例1の方法と同様に行い、ポリプロピレン複合フィ
ルムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表1
に示す。
【0086】比較例5 ベースとなるポリプロピレンフィルムの作製において、
プロピレン単独重合体に代えて、エチレン−プロピレン
ブロック共重合体(エチレン成分5%)を押出機に供給
した以外は実施例1と同様にして、エチレン−プロピレ
ンブロック共重合体の2軸延伸フィルムを得た。この2
軸延伸フィルムの厚さは約20μmであり、アイソタク
ティック分率は90%であった。
【0087】この2軸延伸フィルムに、表面変性処理お
よび珪素酸化物の真空蒸着、テトラエトキシシランとポ
リビニルアルコールからなるコーティング層の形成を、
実施例1の方法と同様に行い、ポリプロピレン複合フィ
ルムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表1
に示す。
【0088】比較例6 ベースとなるポリプロピレンフィルムの作製において、
プロピレン単独重合体に代えて、エチレン−プロピレン
ランダム共重合体(エチレン成分3%)を押出機に供給
した以外は実施例1と同様にして、エチレン−プロピレ
ンランダム共重合体の2軸延伸フィルムを得た。この2
軸延伸フィルムの厚さは約20μmであり、アイソタク
ティック分率は90%であった。
【0089】この2軸延伸フィルムに、表面変性処理お
よび珪素酸化物の真空蒸着、テトラエトキシシランとポ
リビニルアルコールからなるコーティング層の形成を、
実施例1の方法と同様に行い、ポリプロピレン複合フィ
ルムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表1
に示す。
【0090】実施例6 実施例1において、低温プラズマ処理時のガスを、窒素
と炭酸ガスとの混合ガス(混合比90/10)に代えて
酸素ガスに変えたこと以外は、実施例1と同様の方法に
よりポリプロピレン複合フィルムを作製し、各評価項目
を測定した。この結果を表2に示す。
【0091】実施例7 無機化合物層を、珪素酸化物に代えてアルミニウム酸化
物から形成した以外は実施例6と同様の方法によりポリ
プロピレン複合フィルムを作製し、各評価項目を測定し
た。この結果を表2に示す。
【0092】実施例8 無機化合物層を、珪素酸化物に代えてマグネシウム酸化
物から形成した以外は実施例6と同様の方法によりポリ
プロピレン複合フィルムを作製し、各評価項目を測定し
た。この結果を表2に示す。
【0093】比較例7 実施例6において、低温プラズマ処理を処理度1500
W・分/m2(電圧300V、電流0.5A、処理幅
0.2m、巻き取り速度0.5m/分)で行うこと以外
は、実施例6と同様の方法によりポリプロピレン複合フ
ィルムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表
2に示す。
【0094】比較例8 実施例6において、低温プラズマ処理を行うことなし
に、珪素酸化物層を蒸着形成したこと以外は、実施例6
と同様の方法によりポリプロピレン複合フィルムを作製
し、各評価項目を測定した。この結果を表2に示す。
【0095】比較例9 実施例6において、低温プラズマ処理を行うことなし
に、アルミニウム酸化物層を蒸着形成したこと以外は、
実施例6と同様の方法によりポリプロピレン複合フィル
ムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表2に
示す。
【0096】比較例10 実施例6において、低温プラズマ処理を行うことなし
に、マグネシウム酸化物層を蒸着形成したこと以外は、
実施例6と同様の方法によりポリプロピレン複合フィル
ムを作製し、各評価項目を測定した。この結果を表2に
示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】評価 表1、表2から明らかなように、アイソタクティック分
率が95%以上であり、かつポリプロピレンフィルム表
面の変性処理面の構成原子数につき、炭素の合計の原子
数の比である、次式
【0100】
【数11】(C)/(O+N+C) が60〜99%を満たす、言い換えれば酸素及び窒素の
合計の原子数の比である、次式
【0101】
【数12】(O+N)/(O+N+C) 又は酸素の合計の原子数に対する比である、次式
【0102】
【数13】(O)/(O+C) が、1〜40%を満たす実施例では、各評価特性が優れ
ている。
【0103】これに対して、変性処理の程度が強く
【0104】
【数14】(O+N)/(O+N+C) の比率が高い場合(比較例1、7)や、逆に表面変性処
理を施さなかった場合(比較例2,3,4,8,9,1
0)には、剥離強度が低いことがわかる。また、ベース
となるポリプロピレンフィルムのアイソタクティック分
率が低い場合(比較例5,6)には、酸素バリア性、水
蒸気バリア性とも本発明に基づいて作製したポリプロピ
レン複合フィルムと比較して低いことがわかる。
【0105】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン複合フィルムに
よれば、ベースとなるポリプロピレンフィルムとしてア
イソタクティック分率が特定値以上のものを使用し、そ
の表面の酸素、窒素、炭素の各原子の比率が特定の範囲
内に入る程度に表面変性処理を施し、その変性処理面上
に無機化合物層が積層され、好ましくはこの無機化合物
層上にさらに、金属アルコキシド及び水溶性高分子から
なるコーティング層が積層されているので、ポリプロピ
レンフィルムと無機化合物層との密着性に優れ、且つ酸
素バリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性に優れた
ポリプロピレン複合フィルムが得られる。したがって、
食品や医薬品等の包装用フィルムとして極めて有用なも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリプロピレン複合フィルムの断面図
である。
【図2】真空蒸着機の説明図である。
【図3】放電処理ユニットの説明図(同図(a)断面
図、同図(b)正面図)である。
【符号の説明】
1 ポリプロピレンフィルム 1A ポリプロピレンフィルムの変性処理面 2 無機化合物層 3 コーティング層 10 ポリプロピレン複合フィルム 20 巻き取り式真空蒸着機 21 真空槽 23 放電処理ユニット 31 蒸着源 32 珪素酸化物蒸気流 33 巻取りロール

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレンフィルム及び無機化合物
    層が積層されたポリプロピレン複合フィルムにおいて、
    ポリプロピレンフィルムがアイソタクティック分率95
    %以上であり、かつ該ポリプロピレンフィルムの少なく
    とも無機化合物層側表面が変性処理されており、該ポリ
    プロピレンフィルムの変性処理面の構成原子数につき、
    炭素の原子数が60〜99%であることを特徴とするポ
    リプロピレン複合フィルム。
  2. 【請求項2】 変性処理により酸素または窒素あるいは
    これら双方がポリプロピレンフィルム表面に導入されて
    いる請求項1記載のポリプロピレン複合フィルム。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレンフィルムの変性処理面の
    構成原子数につき、次式で表される、酸素及び窒素の合
    計の原子数の酸素、窒素及び炭素の合計の原子数に対す
    る比 【数1】(O+N)/(O+N+C) が、1〜40%である請求項2記載のポリプロピレン複
    合フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレンフィルムの変性処理面の
    構成原子数につき、次式で表される、窒素の原子数の酸
    素、窒素及び炭素の合計の原子数に対する比 【数2】(N)/(O+N+C) が、30%以下である請求項3記載のポリプロピレン複
    合フィルム。
  5. 【請求項5】 ポリプロピレンフィルムの変性処理面の
    構成原子数につき、次式で表される、酸素の原子数の酸
    素及び炭素の合計の原子数に対する比 【数3】(O)/(O+C) が、1〜40%である請求項2記載のポリプロピレン複
    合フィルム。
  6. 【請求項6】 ポリプロピレンフィルムの表面が低温プ
    ラズマ処理により変性処理されている請求項1〜5のい
    ずれかに記載のポリプロピレン複合フィルム。
  7. 【請求項7】 無機化合物層上に、金属アルコキシドと
    水溶性高分子とからなるコーティング層が積層されてい
    る請求項1〜6のいずれかに記載のポリプロピレン複合
    フィルム。
  8. 【請求項8】 金属アルコキシドが、テトラエトキシシ
    ラン又はトリイソプロポキシアルミニウムからなる請求
    項7記載のポリプロピレン複合フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007122936A1 (ja) * 2006-03-28 2007-11-01 Toray Advanced Film Co., Ltd 太陽電池モジュール用裏面保護シート
CN105584165A (zh) * 2015-07-08 2016-05-18 北京印刷学院 一种微晶纤维素改性聚丙烯复合薄膜及制备方法

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