JPH11340557A - 波長安定化光源装置 - Google Patents

波長安定化光源装置

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JPH11340557A
JPH11340557A JP10144042A JP14404298A JPH11340557A JP H11340557 A JPH11340557 A JP H11340557A JP 10144042 A JP10144042 A JP 10144042A JP 14404298 A JP14404298 A JP 14404298A JP H11340557 A JPH11340557 A JP H11340557A
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JP
Japan
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wavelength
laser diode
light source
temperature
source device
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JP10144042A
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English (en)
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Yoshito Furuyama
義人 古山
Hiroshi Nakamuta
浩志 中牟田
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 共鳴セルによって得られる複数の吸収線のい
ずれかを選択的に利用して、レーザダイオードの発振波
長を自動的に安定化する。 【解決手段】 強度の異なる複数の吸収線を有する共鳴
セル101を透過したレーザダイオード102のレーザ
光強度を測定手段103によって測定し、この測定結果
を表す出力信号に応じて、安定化制御手段104が環境
調整手段105を介してレーザダイオード102の動作
環境を制御する波長安定化光源装置において、クリップ
指示の入力に応じて、測定手段103の出力信号を所定
のクリップレベルでクリッピングして、安定化制御手段
104の処理に供するクリッピング手段111と、波長
安定化光源装置の立ち上げ時に、出力信号をクリッピン
グする旨のクリップ指示を送出し、レーザダイオード1
02の発振波長が安定化した後にクリッピングを解除す
るクリップ制御手段112とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共鳴セルに封入さ
れた原子または分子によって得られる複数の吸収線のい
ずれかを利用してレーザーダイオードの発振波長を安定
化する波長安定化光源装置に関するものである。近年、
従来の金属線による通信網に代わる光ファイバ網の整備
などのために、安価でかつ信頼性の高い光源装置の開発
が必要とされている。このような要望に応じて、アセチ
レンやシアン分子の吸収線(波長1.5μm付近)やルビジ
ウム原子の吸収線(波長780nm 付近)などが高い安定性
を有することを利用して、レーザーダイオードの発振波
長を安定化する波長安定化光源装置が提案されている。
【0002】
【従来の技術】図10に、従来の波長安定化光源装置の
構成例を示す。図10において、レーザダイオード(L
D)401から出射したレーザ光の一部は、ビームスプ
リッタ(BS)402によって出力光から分離され、ル
ビジウムなどの気体が封入された共鳴セル403に入射
する構成となっている。
【0003】上述したレーザダイオード401は、レー
ザドライバ404から駆動電流の供給を受ける構成とな
っており、低周波発振器405から出力される低周波信
号によってこの駆動電流を変調することにより、レーザ
ダイオード401の発振波長を所定の範囲で変動させる
構成となっている。また、共鳴セル403の出射側には
光検出器406が配置されており、この光検出器406
の出力信号が、増幅回路407を介して同期検波回路4
08に入力され、上述した低周波信号に基づく同期検波
処理に供されている。
【0004】ここで、図11(a)に示すように、共鳴セ
ル403が波長λ0 に吸収線を持っている場合に、低周
波信号による変調によってレーザダイオード401の発
振波長λが変動すると、同期検波回路408の出力信号
は、発振波長λが波長λ0 の十分に近傍にあるときに
は、図11(b)に示すように、波長λが波長λ0 と等し
いときを境に極性が変化し、波長の増大につれて単調に
減少する直流信号となる。
【0005】したがって、この同期検波回路408の出
力信号を誤差信号としてPID制御部409に入力し、
レーザドライバ404の制御処理に供することにより、
レーザダイオード401を上述した波長λ0 と所定の関
係を有する波長λで安定的に発振させることができる。
このように、レーザダイオード401の発振波長が吸収
線の近傍にあることが保証されれば、上述した低周波発
振器405、同期検波回路408およびPID制御部4
09からなる引き込み制御回路を用いて駆動電流を制御
することにより、レーザダイオード401の発振波長を
この吸収線の波長に安定化させることができる。
【0006】ところで、例えば、ルビジウム原子を封入
した共鳴セルでは、主成分である原子量87のルビジウ
87Rb(以下、ルビジウム87と称する)に、原子量8
5のルビジウム85Rb(以下、ルビジウム85と称する)
がわずかに混入している。このような共鳴セルの吸収特
性は、図12に示すように、ルビジウム87による2本
の吸収線(図12において、符号P1、P4を付して示す)
に加えて、ルビジウム85による2本の吸収線(図12
において、符号P2、P3を付して示す)がわずか約13.9pm
の範囲に分布している。
【0007】特に、ルビジウム87による吸収線P1とル
ビジウム85による吸収線P2との間隔およびルビジウム
87による吸収線P4とルビジウム85による吸収線P3と
の間隔は極めて小さい。これに対して、レーザダイオー
ド401の発振波長は温度依存性が大きく、温度1度の
変動に対して発振波長は約0.1nmも変動してしまうた
め、波長安定化光源装置の立ち上げ直後においては、レ
ーザダイオード401の発振波長と共鳴セル403の吸
収線との関係が不定となってしまう。
【0008】このため、従来は、レーザダイオード40
1の温度特性を予め記録しておき、レーザダイオード4
01の温度が、所望の発振波長(例えば、図12に符号
P1で示したルビジウム87の吸収線)が得られる温度に
安定するのを待つとともに、人手によってレーザドライ
バ404の駆動電流を調整し、所望の発振波長が得られ
たことを確認してから、上述した同期検波回路408や
PID制御部409による安定化制御を開始していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の波長安定化光源装置は、レーザダイオード401の発
振波長が共鳴セル403の所望の吸収線の近傍にある状
態で、引き込みを開始して安定化することを前提として
おり、図12に示したような複数の吸収線から所望の吸
収線を判別するための手段は備えていなかった。
【0010】その一方、レーザダイオードの発振波長の
温度依存性は極めて大きく、また、通電間隔や通算使用
時間などの使用状態によって、エージングによる波長ず
れ量も著しく変化する。このため、前回に駆動した際の
データを利用して、レーザダイオード401の温度およ
び注入電流を厳密に制御したとしても、図12に符号P1
で示したルビジウム87の吸収線と符号P2で示したルビ
ジウム85の吸収線とのいずれか一方を選択的に波長安
定化制御に供することは非常に困難である。
【0011】また一方、アイソトープ分離処理によって
ルビジウム85を完全に取り除いて、純粋なルビジウム
87の気体を生成することも非常に困難である。したが
って、従来の波長安定化光源装置では、装置の立ち上げ
時には、近接している吸収線を判別して、所望の吸収線
を波長安定化制御に供するために、人手による調整作業
が必要不可欠であった。
【0012】しかしながら、光ファイバ網を展開するた
めには、波長安定化光源装置を無人局に設置し、全く人
手を介することなく、所望の波長で安定的に発振させる
必要があり、波長安定化光源装置の立ち上げ時に、共鳴
セル403の所望の吸収線を選択的に利用して、レーザ
ダイオード401の発振波長を自動的に引き込む技術が
必要とされている。
【0013】更に、このような用途では、レーザダイオ
ード401の経年変化(エージング)による波長ずれの
影響を含む様々な動作環境の変化を自動的に補正して、
波長安定化制御動作を有効に作用させるための技術も必
要である。本発明は、共鳴セルによって得られる複数の
吸収線のいずれかを選択的に利用して、レーザダイオー
ドの発振波長を自動的に安定化する波長安定化光源装置
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】図1に、請求項1から請
求項3の波長安定化光源装置の原理ブロック図を示す。
請求項1の発明は、強度の異なる複数の吸収線からなる
吸収特性を有する共鳴セル101を透過したレーザダイ
オード102のレーザ光強度を測定手段103によって
測定し、この測定結果を表す出力信号に応じて、安定化
制御手段104が環境調整手段105を介してレーザダ
イオード102の温度および駆動電流を含む動作環境を
制御する波長安定化光源装置において、クリップ指示の
入力に応じて、複数の吸収線の強度に基づいて決定した
所定のクリップレベルを設定し、測定手段103の出力
信号を所定の増幅率で増幅するとともにクリップレベル
でクリッピングして、安定化制御手段104の処理に供
するクリッピング手段111と、波長安定化光源装置の
立ち上げ時に、出力信号をクリッピングする旨のクリッ
プ指示を送出し、安定化制御手段104の動作により、
レーザダイオード102の発振波長が安定化した後にク
リッピングを解除するクリップ制御手段112とを備え
たことを特徴とする。
【0015】請求項1の発明は、所望の吸収線に相当す
る信号レベルと不要な吸収線に相当する信号レベルとの
間にクリップレベルを設定することにより、測定手段1
03の出力信号から不要な吸収線による変動を排除する
ことができる。これにより、所望の吸収線による出力信
号の変動に基づいて、安定化制御手段104が環境調整
手段105を制御することができるから、レーザダイオ
ード102の発振波長を特定の吸収線の波長に安定化さ
せることができる。
【0016】請求項2の発明は、請求項1に記載の波長
安定化光源装置において、環境調整手段105を介して
レーザダイオード102の動作環境を所定の範囲で変化
させ、レーザダイオード102の発振波長を所定の範囲
で変更する波長変更手段113と、レーザダイオード1
02の発振波長変化に対応する測定手段103の出力信
号の変化に基づいて、共鳴セルの吸収特性を評価する特
性評価手段114と、特性評価手段114による評価結
果に基づいて、クリッピング手段111によるクリップ
レベルを変更するレベル変更手段115とを備えた構成
であることを特徴とする。
【0017】請求項2の発明は、波長変更手段113の
動作に伴って特性評価手段114が動作することによ
り、波長安定化光源装置を立ち上げる度に、その時点に
おけるレーザダイオード102の特性を考慮した吸収特
性を求めることができる。この吸収特性に基づいて、レ
ベル変更手段115が動作することにより、エージング
などによるレーザダイオード102の特性変化に対応し
てクリップレベルを変更し、安定化制御手段104を有
効に動作させることが可能となる。
【0018】請求項3の発明は、請求項2に記載の波長
安定化光源装置において、特性評価手段114による評
価結果に基づいて、クリッピング手段111による測定
手段103の出力信号の直流増幅率を変更する増幅率変
更手段116とを備えた構成であることを特徴とする。
請求項3の発明は、特性評価手段114による評価結果
に基づいて、増幅率変更手段116が動作することによ
り、波長安定化光源装置を立ち上げる度に、その時点に
おけるレーザダイオード102の発光強度に適した直流
増幅率を設定することができる。
【0019】図2に、請求項4の波長安定化光源装置の
原理ブロック図を示す。請求項4の発明は、強度の異な
る複数の吸収線からなる吸収特性を有する共鳴セル10
1を透過したレーザダイオード102のレーザ光強度を
測定手段103によって測定し、この測定結果を表す出
力信号に応じて、安定化制御手段104が環境調整手段
105を介してレーザダイオード102の温度および駆
動電流を含む動作環境を制御する波長安定化光源装置に
おいて、温度調整指示の入力に応じて共鳴セル101の
温度を調整し、通常の稼働温度あるいは稼働温度よりも
低い所定の準備温度とする温度調整手段121と、波長
安定化光源装置の立ち上げ時に、準備温度とする旨の温
度調整指示を送出し、安定化制御手段104の動作によ
り、レーザダイオード102の発振波長が安定化した後
に、稼働温度とする旨の温度調整指示を送出する温度制
御手段122とを備えたことを特徴とする。
【0020】請求項4の発明は、温度制御手段122か
らの指示に応じて温度調整手段121が動作することに
より、波長安定化光源装置の立ち上げ時に共鳴セル10
1を低温状態とし、吸収特性に寄与する原子あるいは分
子の絶対量が少ない状態で安定化制御動作を開始するの
で、一般に強度が弱い不要な吸収線を排除することがで
きる。
【0021】これにより、所望の吸収線による測定手段
103の出力信号の変動に基づいて、安定化制御手段1
04が環境調整手段105を制御することができるか
ら、レーザダイオード102の発振波長を特定の吸収線
の波長に安定化させることが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
実施形態について詳細に説明する。
【0023】図3に、請求項1の波長安定化光源装置の
実施形態を示す。図3において、波長安定化光源装置
は、図10に示した従来の波長安定化光源装置の引き込
み制御回路にクリッピング手段111に相当するクリッ
ピング回路210と安定化制御処理部220とを付加
し、この安定化制御処理部220からの指示に応じて、
クリッピング回路210が、測定手段103に相当する
光検出器406の出力信号を増幅するとともにクリッピ
ングして、同期検波回路408による同期検波処理に供
する構成となっている。
【0024】図4に、請求項1の発明を適用した引き込
み制御回路の構成を示す。図4に示したクリッピング回
路210において、可変抵抗211は、安定化制御処理
部220からの切り換え信号に応じてスイッチ212が
動作し、抵抗Rvをバイパスする経路を断続することに
より、光検出器406の出力信号を増幅するオペアンプ
213の直流ゲインを切り替える構成となっている。
【0025】ここで、上述した抵抗Rv として、基本と
なる抵抗Rに比べて十分に大きい抵抗値を持つ素子を用
いて可変抵抗211を構成すれば、安定化制御処理部2
20からの切り換え信号に応じてスイッチ212を開放
することにより、クリッピング回路210に備えられた
オペアンプ213による直流ゲインを大幅に増大させる
ことができる。
【0026】このようにして直流ゲインを増大させた場
合には、図5に示すように、直流ゲインの増大分に対応
するクリップレベル(図5において点線で示した)より
も高いレベルの入力信号に対する出力信号は飽和する。
したがって、図12において符号P1、P4で示したルビジ
ウム87の吸収線のみが、低周波発振器405、同期検
波回路408およびPID制御部409からなる安定化
制御手段104による引き込み制御に有効な吸収特性と
して残ることになる(図5参照)。
【0027】一方、図4に示した安定化制御処理部22
0において、初期化制御部221は、環境情報保持部2
22に保持された環境情報に基づいて、環境調整手段1
05に相当する温度コントローラ410およびレーザド
ライバ404にそれぞれ温度および駆動電流を指定する
とともに、信号生成部223による切り換え信号の生成
動作を制御する構成となっている。
【0028】ここで、環境情報保持部222は、例え
ば、前回に波長安定化光源装置によってレーザダイオー
ド401の波長が安定化したときに、レーザダイオード
401の温度および駆動電流を環境情報として保持して
おく構成とすればよい。また、ロック判定部224は、
同期検波回路408によって得られる誤差信号に基づい
て、引き込み制御に利用する吸収線が確定したか否かを
判定し、この判定結果を初期化制御部221の処理に供
する構成となっている。
【0029】この初期化制御部221は、例えば、波長
安定化光源装置の立ち上げに伴って、信号生成部223
にスイッチ212の開放を指示する切り換え信号の生成
を指示してクリッピング回路210に送出し、また、上
述したロック判定部224による判定結果によって、吸
収線が確定した旨が示されたときに、信号生成部223
にスイッチ212の閉塞を指示する切り換え信号の生成
を指示して、クリッピングを解除する構成とすればよ
い。
【0030】このように、波長安定化光源装置の立ちあ
げおよびロック判定部224による判定結果に応じて、
初期化制御部221が信号生成部223の動作を制御す
ることにより、請求項1で述べたクリップ制御手段11
2の機能が実現されている。
【0031】これにより、引き込み制御回路が動作を開
始してから、基準となるべき吸収線が確定するまでの期
間だけ、光検出器406の出力信号をクリッピングし
て、図5に示すように、例えば、符号P1、P4で示したル
ビジウム87の吸収線の近傍の紛らわしい吸収線を排除
することができる。また、従来の技術の項で述べたよう
に、環境情報保持部222に保持しておいた環境情報を
利用して、レーザダイオード401の温度および駆動電
流を高い精度で制御すれば、図12に符号P1、P4を付し
て示した2本の吸収線を区別し、レーザダイオード40
1の発振波長をいずれか一方の吸収線の波長の近傍とす
ることは可能である。
【0032】したがって、初期化制御部221からの指
示に応じて温度コントローラ410およびレーザドライ
バ404がレーザダイオード401の動作環境を調整
し、レーザダイオード401により、例えば図12に符
号P4を付して示した吸収線の近傍の波長のレーザ光が得
られれば、低周波発振器405、同期検波回路408お
よびPID制御部409が引き込み制御動作により、吸
収線をこの吸収線を選択的に利用して引き込み制御動作
が行われる。
【0033】すなわち、共鳴セルによって得られる複数
の吸収線いずれか1本を選択的に利用して、自動的にレ
ーザダイオードの発振波長を安定化することができる。
これにより、レーザダイオードと共鳴セルとを利用した
波長安定化光源装置の立ち上げを完全に自動化すること
が可能となり、波長安定化光源装置の設置場所を人手に
よる微調整が期待できない無人局などにも拡大すること
ができる。
【0034】なお、上述したようにして、引き込み制御
に利用される吸収線が確定した後は、光検出器406の
出力信号についてのクリッピングを解除し、本来の波長
ずれ感度を活用して、従来と同様の波長安定化制御を行
えばよい。また、クリッピングレベルを更に低く設定し
て、図5において符号P1で示した吸収線をも排除すれ
ば、図5において符号P4で示した最も強い吸収線のみが
残るので、波長安定化光源装置の立ち上げ直後のレーザ
ダイオード401の発振波長にかかわらず、引き込み制
御に利用される波長をこの吸収線の波長に限定すること
ができる。
【0035】この場合は、引き込み制御の開始時におけ
るレーザダイオード401の温度や駆動電流の制限を緩
めることができるので、温度コントローラ410やレー
ザドライバ404の低コスト化を図ることができる。そ
の一方、図12に示したように、符号P2、P3で示した吸
収線の強度と符号P4で示した吸収線の強度の差に比べ
て、符号P1で示した吸収線と符号P4で示した吸収線との
強度の差は極めて小さいから、上述したようにして、符
号P4で示した最も強い吸収線のみを抽出するためには、
クリッピングレベルを厳密に設定する必要がある。
【0036】次に、クリッピングレベルを厳密に設定す
る方法について説明する。図6に、請求項2の波長安定
化光源装置の要部構成を示す。図6に示した波長安定化
光源装置は、図2に示した波長安定化光源装置に、測定
制御部231と特性評価部232とレベル決定部233
とを付加するとともに、上述したクリッピング回路21
0に代えてクリッピング回路240を備え、レベル決定
部233によって決定されたクリッピングレベルに応じ
て、クリッピング回路240が動作する構成となってい
る。
【0037】図6において、測定制御部231は、請求
項2で述べた波長変更手段113に相当するものであ
り、例えば、引き込み制御動作に先立って、レーザドラ
イバ404を制御してレーザダイオード401の発振波
長を所定の範囲でスイープする構成となっている。ま
た、特性評価部232は、請求項2で述べた特性評価手
段114に相当するものであり、上述した測定制御部2
31の動作に応じて得られる光検出器406の出力信号
を受け取り、レーザダイオード401の発振波長の変化
に対応する出力信号レベルの変化として共鳴セル403
の吸収特性を評価する構成となっている。
【0038】ここで、光検出器406の出力信号レベル
には、レーザダイオード401を出射したレーザ光が共
鳴セル403に入射するまでの光路上の吸収や、レーザ
ダイオード401自体のエージングなど、様々な環境条
件の影響による変化分も含まれている。すなわち、この
測定制御部231とレーザドライバ404と特性評価部
232とにより、波長安定化光源装置を立ち上げる度
に、上述したような様々な環境条件による影響を共鳴セ
ル403の吸収特性に含めて評価し、レベル決定部23
3の処理に供することができる。
【0039】このレベル決定部233は、上述した特性
評価部232から吸収線P1および吸収線P4に対応する光
検出器406の出力信号レベルL1、L4を受け取り、例え
ば、これらの出力信号レベルの平均値をクリッピングレ
ベルCLとして、クリッピング回路240に送出すればよ
い。このようにして、環境条件の変化による影響を考慮
して、適切なクリッピングレベルを決定することができ
る。
【0040】また、図6に示したクリッピング回路24
0は、例えば、図4に示した可変抵抗211に代えて、
基本抵抗Rと可変抵抗Rv1とからなる可変抵抗215お
よび抵抗制御部216を備えて構成し、抵抗制御部21
6が、入力されたクリッピングレベルCLに応じて、可変
抵抗Rv1の抵抗値を適切な値に設定する構成とすればよ
い。
【0041】つまり、上述したレベル決定部233から
の指示に応じて、抵抗制御部216が可変抵抗Rv1を制
御することにより、請求項2で述べたレベル変更手段1
15の機能を実現する構成となっている。この場合は、
レーザダイオード401のエージングを含む様々な環境
条件の変化に柔軟に対応して、常に、適切なクリッピン
グレベルを設定することができるので、所望の吸収線を
確実に判別して、波長安定化処理に供することが可能で
あり、波長安定化光源装置の信頼性を向上することがで
きる。
【0042】また、上述したようにして得られた吸収特
性を利用して、波長安定化光源装置の安定性を向上する
ことも可能である。図7に、請求項3の波長安定化光源
装置の要部構成を示す。図7に示す波長安定化光源装置
は、図6に示した波長安定化光源装置にゲイン決定部2
34を付加するとともに、図6に示した可変抵抗215
および抵抗制御部216に代えて、可変抵抗Rv1および
可変抵抗Rv2からなる可変抵抗217と抵抗制御部21
8とからなるクリッピング回路241を備えた構成とな
っている。
【0043】この抵抗制御部218は、レベル決定部2
33から受け取った指示に応じて可変抵抗Rv1を操作す
るとともに、ゲイン決定部234からの指示に応じて可
変抵抗Rv2の抵抗値を変更する構成となっている。ま
た、図7に示したゲイン決定部234は、特性評価部2
32によって得られた吸収特性に基づいて、全ての吸収
線を識別可能とする最大の直流ゲインに相当する出力信
号レベルLgを抽出し、抵抗制御部217に対して、可変
抵抗Rv2の抵抗値をこの信号レベルLgに対応する抵抗値
Rg とする旨を指示する構成となっている。
【0044】つまり、このゲイン決定部234からの指
示に応じて、上述した抵抗制御部218がクリッピング
回路241に備えられた可変抵抗Rv2を操作することに
より、請求項3で述べた増幅率変更手段116の機能を
実現し、このクリッピング回路241に備えられたオペ
アンプ213の基本的な増幅率を変更することができ
る。上述したように、特性評価部232によって得られ
た吸収特性は、その時点における波長安定化光源装置の
動作環境からの影響を含んでいるから、この吸収特性に
基づいて決定した直流ゲインを適用することにより、レ
ーザダイオード401のエージングを含む様々な環境条
件の変化に柔軟に対応して、常に、適切な直流ゲインを
得ることが可能となる。
【0045】これにより、オペアンプ213の帰還抵抗
を可能な限り大きくして、同期検波回路408における
S/N比を高くすることが可能となり、波長安定化光源
装置の波長安定性を更に向上することができる。ところ
で、共鳴セルによる吸収特性は、気化したルビジウム原
子の寄与によるものであるから、気化しているルビジウ
ム85の絶対量が少なければ、これによって現れる不要
な吸収線の強度は無視できるほど小さくなると考えられ
る。
【0046】次に、このことを利用して、所望の吸収線
を選択する方法を説明する。図8に、請求項4の波長安
定化光源装置の実施形態を示す。図8に示した波長安定
化光源装置は、図3に示した波長安定化光源装置のクリ
ッピング回路210に代えて、固定抵抗とオペアンプと
からなる前置増幅回路251と温度制御部252とを備
え、この温度制御部252が、安定化制御処理部220
からの切り換え信号に応じて、請求項4で述べた温度調
整手段121に相当するペルチェ素子253を操作する
ことにより、共鳴セル403の温度を調整する構成とな
っている。
【0047】ここで、温度制御部252は、請求項4で
述べた温度制御手段122に相当するものであり、例え
ば、通常に稼働させる際に共鳴セル403を安定化させ
るべき温度T1(例えば、摂氏30度程度の常温)と、この
温度T1よりも十分に低い温度T2(例えば、摂氏−20度程
度の低温)とを含む複数の段階で共鳴セル403の温度
を調整する構成とすればよい。
【0048】この場合に、安定化制御処理部220によ
り、波長安定化光源装置の立ち上げ時に、上述した低い
温度T2を指定する切り換え信号を温度制御部252に送
出すれば、共鳴セル403を低温状態としてルビジウム
85およびルビジウム87の気化量を抑え、図9に示す
ように、ルビジウム85による吸収線の絶対的な強度を
十分に小さくすることができる。
【0049】このようにして、共鳴セル403内に混入
しているルビジウム85による吸収線を排除することに
より、レーザダイオード401の波長安定化制御に利用
する吸収線を確実に特定することができ、レーザダイオ
ード401の発振波長を自動的に安定化制御することが
可能となる。その後、安定化制御処理部220により、
常温状態を指定する切り換え信号を温度制御部252に
送出し、これに応じて温度制御部252がペルチェ素子
253を操作して共鳴セル403を常温状態とすれば、
引き込み制御部を本来の感度で動作させ、レーザダイオ
ード401の発振波長の安定化制御を持続させることが
できる。
【0050】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1の発明
によれば、安定化制御手段への入力信号をクリッピング
することにより、安定化制御に利用する基準となる波長
から不要な吸収線を排除し、特定の吸収線を選択的に利
用してレーザダイオードの発振波長を安定化することが
できるから、波長安定化光源装置を完全に自動で立ち上
げることが可能となり、波長安定化光源装置の設置場所
を無人の施設にも拡大することができる。
【0051】更に、請求項2および請求項3の発明によ
れば、波長安定化光源装置を立ち上げる度に、その時点
におけるレーザダイオードのエージングを含む動作環境
の影響を考慮して、適切なクリップレベルおよび直流増
幅率を設定することができるから、動作環境の変化に柔
軟に対応して、波長安定化光源装置の自動立ち上げを支
援することができる。
【0052】また一方、請求項4の発明によれば、共鳴
セルによって得られる吸収線の強度が温度に依存するこ
とを利用して、安定化制御に利用する基準となる波長か
ら不要な吸収線を排除し、特定の吸収線を選択的に利用
してレーザダイオードの発振波長を安定化することがで
きるから、波長安定化光源装置を完全に自動で立ち上げ
ることが可能となり、波長安定化光源装置の設置場所を
無人の施設にも拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1から請求項3の波長安定化光源装置の
原理ブロック図である。
【図2】請求項4の波長安定化光源装置の原理ブロック
図である。
【図3】請求項1の波長安定化光源装置の実施形態を示
す図である。
【図4】引き込み制御回路の詳細構成図である。
【図5】クリッピングによる効果を示す図である。
【図6】請求項2の波長安定化光源装置の要部構成を示
す図である。
【図7】請求項3の波長安定化光源装置の要部構成を示
す図である。
【図8】請求項4の波長安定化光源装置の実施形態を示
す図である。
【図9】温度制御による効果を説明する図である。
【図10】従来の波長安定化光源装置の構成例を示す図
である。
【図11】波長安定化制御動作を説明する図である。
【図12】共鳴セルの吸収特性を示す図である。
【符号の説明】
101、403 共鳴セル 102、401 レーザダイオード 103 測定手段 104 安定化制御手段 105 環境調整手段 111 クリッピング手段 112 クリップ制御手段 113 波長変更手段 114 特性評価手段 115 レベル変更手段 116 増幅率変更手段 121 温度調整手段 122 温度制御手段 210、240、241 クリッピング回路 211、215、217 可変抵抗 212 スイッチ 213 オペアンプ 216、218 抵抗制御部 220 安定化制御処理部 221 初期化制御部 222 環境情報保持部 223 信号生成部 224 ロック判定部 231 測定制御部 232 特性評価部 233 レベル決定部 234 ゲイン決定部 251 前置増幅部 252 温度制御部 253 ペルチェ素子 402 ビームスプリッタ(BS) 404 レーザドライバ(LD) 405 低周波発振器 406 光検出器 407 増幅回路 408 同期検波回路 409 PID制御部 410 温度コントローラ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H04B 10/26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強度の異なる複数の吸収線からなる吸収
    特性を有する共鳴セルを透過したレーザダイオードのレ
    ーザ光強度を測定手段によって測定し、この測定結果を
    表す出力信号に応じて、安定化制御手段が環境調整手段
    を介して前記レーザダイオードの温度および駆動電流を
    含む動作環境を制御する波長安定化光源装置において、 クリップ指示の入力に応じて、前記複数の吸収線の強度
    に基づいて決定した所定のクリップレベルを設定し、前
    記測定手段の出力信号を所定の増幅率で増幅するととも
    に前記クリップレベルでクリッピングして、前記安定化
    制御手段の処理に供するクリッピング手段と、 波長安定化光源装置の立ち上げ時に、前記出力信号をク
    リッピングする旨のクリップ指示を送出し、前記安定化
    制御手段の動作により、前記レーザダイオードの発振波
    長が安定化した後にクリッピングを解除するクリップ制
    御手段とを備えたことを特徴とする波長安定化光源装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の波長安定化光源装置に
    おいて、 環境調整手段を介してレーザダイオードの動作環境を所
    定の範囲で変化させ、前記レーザダイオードの発振波長
    を所定の範囲で変更する波長変更手段と、 前記レーザダイオードの発振波長変化に対応する測定手
    段の出力信号の変化に基づいて、共鳴セルの吸収特性を
    評価する特性評価手段と、 前記特性評価手段による評価結果に基づいて、クリッピ
    ング手段によるクリップレベルを変更するレベル変更手
    段とを備えた構成であることを特徴とする波長安定化光
    源装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の波長安定化光源装置に
    おいて、 特性評価手段による評価結果に基づいて、クリッピング
    手段による測定手段の出力信号の直流増幅率を変更する
    増幅率変更手段とを備えた構成であることを特徴とする
    波長安定化光源装置。
  4. 【請求項4】 強度の異なる複数の吸収線からなる吸収
    特性を有する共鳴セルを透過したレーザダイオードのレ
    ーザ光強度を測定手段によって測定し、この測定結果を
    表す出力信号に応じて、安定化制御手段が環境調整手段
    を介して前記レーザダイオードの温度および駆動電流を
    含む動作環境を制御する波長安定化光源装置において、 温度調整指示の入力に応じて共鳴セルの温度を調整し、
    通常の稼働温度あるいは前記稼働温度よりも低い所定の
    準備温度とする温度調整手段と、 波長安定化光源装置の立ち上げ時に、前記準備温度とす
    る旨の温度調整指示を送出し、前記安定化制御手段の動
    作により、前記レーザダイオードの発振波長が安定化し
    た後に、前記稼働温度とする旨の温度調整指示を送出す
    る温度制御手段とを備えたことを特徴とする波長安定化
    光源装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009265283A (ja) * 2008-04-23 2009-11-12 Nec Engineering Ltd 光送信機
JP2020531104A (ja) * 2017-08-18 2020-11-05 ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション ブリルアン分光分析用及び組織のイメージング用のシステム及び方法

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US11576571B2 (en) 2017-08-18 2023-02-14 The General Hospital Corporation Systems and methods for Brillouin spectroscopy and imaging of tissues

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