JP2005019546A - 半導体レーザの送信制御回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体レーザLDの光出力を検出するフォトダイオードPDと、温度センサ61によって検出された温度に応じて半導体レーザLDの消光比が望む値になるようにバイアス電流を変化させる温度制御回路6と、フォトダイオードPDにより検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザの変調電流を制御する制御部5とを備える。
【効果】フィードフォワード制御によりバイアス電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザの変調電流を制御することにより、送信平均光出力を目標値にすることができ、かつ所望の消光比が得られる。
【選択図】 図1
【効果】フィードフォワード制御によりバイアス電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザの変調電流を制御することにより、送信平均光出力を目標値にすることができ、かつ所望の消光比が得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる半導体レーザの送信制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信に用いられる半導体レーザは、図11に示すような電流−光出力特性を持っている。図11の横軸は半導体レーザに流される電流を示し、縦軸は光出力を示す。図11には温度T1,T2(T1<T2)に対応して、グラフ1,2が表示されている。温度T1に対応するグラフ1において、Ib0は変調信号が0のときでも流されるバイアス電流であり、Im0は変調電流である。Im0を変調データ0,1の間で変化させて、P0〜P1の光出力が得られる。r=P1/P0を消光比、PM=(P1+P0)/2を送信平均光出力という。
【0003】
温度T2に対応するグラフ2においては、Ib1がバイアス電流であり、Im1が変調電流となる。
温度が変化しても一定の送信平均光出力が得られるように、バイアス電流Ibと変調電流Imを制御する必要がある。
従来、フィードバック制御といわれる制御方法では、半導体レーザから発光される送信平均光出力をモニタして、この送信平均光出力が目標値になるように、バイアス電流Ibと変調電流Imを変化させている。変化のルールは、バイアス電流Ibと変調電流Imとの差Im−Ibを一定に保ちながら、バイアス電流Ibと変調電流Imとを変化させるか、バイアス電流Ibと変調電流Imとの比Im/Ibを一定に保ちながら、バイアス電流Ibと変調電流Imとを変化させるか、であった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−352125号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図11に示すように、半導体レーザの電流−光出力特性は線形といえないので、これらのフィードバック制御方法では、送信平均光出力は一定にできても、消光比P1/P0を正確な所望の値に選ぶことはできないという問題がある。
特に、半導体レーザの電流−光出力特性の非線形性が目立つ例として、FGL(Fiber grating Laser)がある。
【0006】
前記消光比P1/P0は、常に大きな値がよいとは限らない。伝送実験では、光ファイバの伝送距離が数十km以下なら消光比は大きいほうが感度よく受信できるが、伝送距離が百km以上になれば消光比が低いほうがよいという結果が現われている。これはギガヘルツ以上の高速光変調時には、長距離伝送になるほど、光の波長が動的にシフトするチャーピングの影響が現われるためと考えられる。
このように消光比を正確に設定することは、送信平均光出力の制御とともに重要である。
【0007】
フィードバック制御で、送信光出力だけでなく、消光比を同時に制御する試みもあるが、この場合、前記特許文献1に示されるように、変調データに対応する光パワーを検出する専用回路を設ける必要があり、回路構成が複雑になることから、実用的でない。
前記フィードバック制御以外に、フィードフォワード制御も提案されている。この制御は、送信平均光出力と消光比とを予めテーブルにして保有しておき、温度に応じてこのテーブルを参照してバイアス電流Ib、変調電流Imを決定する。
【0008】
このフィードフォワード制御では、送信平均光出力と消光比との設定が可能であるが、使用する半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動などに適応できず、光出力が変化するという欠点がある。
そこで、送信平均光出力、消光比を所望の値に設定できるとともに、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動などにも適応して送信平均光出力を一定に保つことができる半導体レーザの送信制御回路が求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザの送信制御回路は、温度センサと、光出力検出素子と、温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるようにバイアス電流を変化させる第1の制御手段と、光出力検出素子により検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザの変調電流を制御する第2の制御手段とを備えるものである。
【0010】
前記の構成によれば、第1の制御手段により、温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるようにバイアス電流を変化させる。このバイアス電流は、温度の関数としてあらかじめわかっているものである。そして、第2の制御手段によって、光出力検出素子により検出された光出力検出値が所定の値になるように半導体レーザの変調電流を制御する。
このように、フィードフォワード制御によりバイアス電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザの変調電流を制御することにより、光出力パワーを一定にすることができ、かつ初期設定時において所望の消光比が得られる。
【0011】
前記第1の制御手段は、光出力検出素子により検出された光出力検出値に応じてバイアス電流を変化させる制御過程を備え、この制御過程中で、前記温度センサによって検出された温度に基づくバイアス電流の調整を行う前記温度センサによって検出された温度に基づく制御ゲインを行うものであってもよい。
この構成は、半導体レーザの変調電流だけでなく、バイアス電流もフィードバック制御により設定する。そして、バイアス電流のフィードバック制御の中で、温度に基づくバイアス電流の調整を行う。このバイアス電流のフィードバック制御により、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動などに対応できないフィードフォワード制御の欠点を緩和することができ、さらに所望の消光比が得られるように、温度に基づくバイアス電流の調整を行うことができる。
【0012】
また本発明の半導体レーザの送信制御回路は、温度センサと、半導体レーザの光出力検出素子と、温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるような変調電流を設定する第3の制御回路と、光出力検出素子により検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザのバイアス電流を制御する第4の制御回路とを備える。
この構成によれば、第3の制御回路により、温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるように変調電流を変化させる。この変調電流は、温度の関数としてあらかじめわかっているものである。そして、第4の制御回路によって、光出力検出素子により検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザのバイアス電流を制御する。
【0013】
このように、フィードフォワード制御により変調電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザのバイアス電流を制御することにより、光出力パワーを一定にすることができ、かつ初期設定時において所望の消光比が得られる。
前記第3の制御回路は、光出力検出素子により検出された光出力検出値に応じて変調電流を変化させる制御過程を備え、この制御過程中で、前記温度センサによって検出された温度に基づく変調電流の調整を行うものであってもよい。この構成は、半導体レーザのバイアス電流だけでなく、変調電流もフィードバック制御により設定する。そして、変調電流のフィードバック制御の中で、温度に基づく変調電流の調整を行う。
【0014】
この変調電流のフィードバック制御により、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動などに対応できないフィードフォワード制御の欠点を緩和することができ、さらに所望の消光比が得られるように、温度に基づく変調電流の調整を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
−第1の実施形態−
図1は、本実施の形態における半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。半導体レーザの送信制御回路は、光信号を送出する半導体レーザLDに、バイアス電流Ibを供給するバイアス電流源2と、変調電流Imを供給する変調電流源3とが接続されている。変調電流Imをオンオフする信号は、変調回路(図示せず)で作られ、半導体レーザLDと変調電流源3との間に挿入されたスイッチング用FET4に供給される。半導体レーザLDの出力光は、その照射端から出射し光ファイバ(図示せず)に入力され、光ファイバを伝搬して相手方の局で受信される。この半導体レーザLDの出力光を検出するモニタ用フォトダイオードPDが、半導体レーザLDの出力光を検出できる位置(反対側の照射端など)に設置されている。
【0016】
フォトダイオードPDの検出光電流は、電圧信号に変換され、制御部に入力される。制御部5は、平均光出力検出部51と、制御出力部52とを備えている。平均光出力検出部51は、例えば積分回路からなり、半導体レーザLDの光出力の平均値を検出する。制御出力部52は、平均光出力検出部51により検出された出力光の平均値を出力する。この出力光の平均値に基づいて、半導体レーザLDの送信平均光出力を目標値にするように、変調電流Imの振幅が制御される。その制御のゲインをMで表す。
【0017】
一方、半導体レーザの送信制御回路には温度制御回路6が備えられている。温度制御回路6は、サーミスタなどの温度センサ61を含んでいる。そして、温度センサ61の温度読取値に基づいて最適なバイアス電流を設定するためのテーブルがROMの中に用意されている。テーブルには、温度T1,T2・・・に応じて、所望の消光比が得られるような、バイアス電流Ibが規定されている。このバイアス電流Ibの値が、制御入力A(T)としてバイアス電流源2に入力される。
【0018】
例えば送信平均光出力の目標値をPMとすると、所望の消光比がrであれば、光出力の最低値P0は、
P0=2PM/(1+r) (1)
で表わされる。テーブルは、この光出力P0を与えるバイアス電流値Ibを、温度に対して設定している。図11のグラフを例にとると、温度T1に対するバイアス電流値はIb0であり、温度T2に対するバイアス電流値はIb1となる。CPUは、このバイアス電流Ibをバイアス電流源2に設定する。
【0019】
以上の制御により、目標値とする送信平均光出力PMが得られ、かつ所望の消光比が得られる。
以上の本実施の形態では、バイアス電流Ibの制御にはフィードフォワード制御を採用し、半導体レーザLDの変調電流Imの制御にはフィードバック制御を採用している。したがって、最適な変調電流Imが、フィードバック制御により得られるから、半導体レーザLDの経年特性変化、電源電圧の変動などに対して、送信平均光出力を一定にできる。
【0020】
図2は、テーブルの読み取り値に基づいてバイアス電流源2を制御する温度制御回路6の具体的な回路図であり、温度センサ61の読み取り値に基づいて、ROM内のテーブルの値A(T)が読み出され、可変抵抗器により抵抗値に変換される。そして、この抵抗値に応じた電圧が選択され、制御電圧としてバイアス電流源2に入力される。
前記図2の回路では、制御電圧は電源電圧の変動の影響を直接受ける。そこで、電源電圧の変動の影響を避けるため定電圧レギュレータを用いたのが、図3の回路である。定電源電圧に基づいて、テーブルの読み取り値A(T)に対応する最適な電圧が設定され、その電圧が演算増幅器(図示せず)を通してバイアス電流源2に供給される。
【0021】
図4は、本実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。光信号を照射する半導体レーザLDに、バイアス電流Ibを供給するバイアス電流源2と、変調電流Imを供給する変調電流源3とが接続されている。変調電流Imをオンオフする信号は、変調回路(図示せず)から供給される。半導体レーザLDの出力光をモニタするモニタ用フォトダイオードPDが、半導体レーザLDの出力光を検出できる位置に設置されている。
【0022】
フォトダイオードPDによって半導体レーザLDの出力光を検出し、平均光出力検出部51によって、光出力の平均値を検出し、この平均値に基づいて、半導体レーザLDの送信平均光出力を目標値にするように、変調電流Imの振幅を制御するのは、図1の回路と同じである。
この図4の回路では、制御出力部52の出力値と目標値との差に応じて、ループゲインNを介してバイアス電流Ibも制御している。このときに、温度センサ61で読み取られた温度に基づく調整要素A(T)をバイアス電流制御ループの中に入れている。
【0023】
このため、フィードバックに基づくバイアス電流制御に、温度に対する依存性を付加した調整要素A(T)を導入した形となり、温度変動に対する応答性が高められる。
この調整方法を説明すると、最初A(T)=1とおいて回路動作させ、半導体レーザLDの送信平均光出力が目標値になるようにフィードバック制御する。このとき消光比は、必ずしも所望の値になっていないので、所望の値になるようにA(T)を微調整していく。消光比が所望の値になった時点で、そのときの温度のA(T)をテーブルに書き込む。なお、A(T)単独でなく、A(T)×Nの形でテーブルに書き込んでもよい。
【0024】
図1の回路と比べると、フィードバック制御によってバイアス電流Ibが大まかに調整された状態で、A(T)で微調整するので、使用する半導体レーザLDの経年特性変化、電源電圧の変動などから受ける影響は、図1の回路よりも小さくなる。
図5は、温度センサ61で読み取られた温度に応じた調整値A(T)と、バイアス電流フィードバック制御のための設定値Nとの乗算を実現するための回路である。演算増幅器の増幅率をデフォルトでN倍に設定し、ROM内のテーブルの読み取り値A(T)によって微調整している。
【0025】
図6は、図4の変形例であり、図4と比べると、A(T)で微調整するために、温度調整値A(T)をNに乗算するのでなく、加算するところが違っているのみである。
図7は、この調整値A(T)を加算するための回路を示す。この回路によれば、増幅率N倍の演算増幅器を用いるとともに、電源電圧を調整値A(T)に応じて分圧し、その分圧された電圧によって演算増幅器の入力動作点を設定している。
【0026】
−第2の実施形態−
次に、半導体レーザLDの変調電流Imの制御にはフィードフォワード制御を採用し、バイアス電流Ibの制御にはフィードバック制御を採用した回路例を説明する。
図8は、第2の実施の形態における半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。この半導体レーザの送信制御回路は、光信号を送出する半導体レーザLDに、バイアス電流Ibを供給するバイアス電流源2と、変調電流Imを供給する変調電流源3とが接続されている。変調電流Imをオンオフする信号は、変調回路(図示せず)から供給される。半導体レーザLDの出力光を検出するモニタ用フォトダイオードPDが、半導体レーザLDの出力光を検出できる位置に設置されている。
【0027】
フォトダイオードPDの検出光電流は、電圧信号に変換され、制御部5に入力される。制御部5の平均光出力検出部51は、半導体レーザLDの光出力の平均値を検出する。制御出力部52は、平均光出力検出部51により検出された出力光の平均値を出力する。この出力光の平均値に基づいて、半導体レーザLDの送信平均光出力を目標値に一致させるように、バイアス電流Ibを制御する。その制御のゲインをNで表す。
【0028】
一方、半導体レーザの送信制御回路には、半導体レーザLDの変調電流Imをフィードフォワード制御するため、温度制御回路6が備えられている。温度制御回路6は、温度センサ61の温度読取値に基づいて最適な変調電流Imを設定するためのテーブルがROMの中に用意されていて、このROMから読み取った値A(T)に応じた変調電流Imが、変調電流源3に設定される。テーブルには、図11に示したとおり、温度T1,T2・・・に応じて、所望の消光比が得られるような、変調電流Imが規定されている。
【0029】
例えば送信平均光出力の目標値をPMとすると、所望の消光比がrであれば、光出力の最低値P0は、
P0=2PM/(1+r) (1)
最大値P1は、
P1=2rPM/(1+r) (2)
であり、テーブルは、この光出力(P1−P0)に相当する変調電流Imを、温度に対して設定している。
【0030】
さらに前記フィードフォワード制御の他に、フィードバック制御により、送信平均光出力を一定値PMにするために、バイアス電流Ibを調整している。
このように半導体レーザLDの変調電流Imの制御にはフィードフォワード制御を採用し、バイアス電流Ibの制御にはフィードバック制御を採用している。
以上のようにして、本半導体レーザの送信制御回路では、目標値とする送信平均光出力が得られ、かつ所望の消光比が得られる。最適なバイアス電流Ibがフィードバック制御により得られるから、使用する半導体レーザLDの経年特性変化、電源電圧の変動などに対して、送信平均光出力を一定にできる。
【0031】
温度制御回路6のテーブルの読み取り値A(T)に基づいて変調電流源3を制御するための具体的な回路には、図2、図3で説明したのと同様の回路を採用することができる。
図9は、第2の実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。光信号を照射する半導体レーザLDに、バイアス電流Ibを供給するバイアス電流源2と、変調電流Imを供給する変調電流源3とが接続されている。変調電流Imをオンオフする信号は、変調回路(図示せず)から供給される。半導体レーザLDの出力光を検出するモニタ用フォトダイオードPDが、半導体レーザLDの出力光を検出できる位置に設置されている。
【0032】
フォトダイオードPDによって半導体レーザLDの出力光を検出し、平均光出力検出部51によって検出された出力光の平均値に基づいて、半導体レーザLDの送信平均光出力を一定にするように、バイアス電流Ibを制御するのは、図8の回路と同じである。
この図9の回路では、制御出力部52の出力値に応じて、ループゲインMによって変調電流Imを設定している。このときに、温度センサ61で読み取られた温度に基づく調整要素A(T)を変調電流制御ループの中に入れている。
【0033】
このため、フィードバックに基づく変調電流制御に、温度に対する依存性を付加した調整要素A(T)を導入した形となり、温度変動に対する応答性が高められる。
この調整方法を説明すると、最初A(T)=1とおいて回路動作させ、半導体レーザLDの送信平均光出力が目標値になるように変調電流Imをフィードバック制御する。このとき消光比は、必ずしも所望の値になっていないので、所望の値になるようにA(T)を微調整していく。消光比が所望の値になった時点で、そのときのA(T)をテーブルに書き込む。なお、A(T)単独でなく、A(T)×Mの形でテーブルに書き込んでもよい。
【0034】
図8の回路と比べると、フィードバック制御によって変調電流Imが大まかに調整された状態で、A(T)で微調整するので、使用する半導体レーザLDの経年特性変化、電源電圧の変動などから受ける影響は、図8の回路よりもさらに小さくなる。
調整値A(T)と、フィードバック制御のための設定値Mとの乗算を実現するための回路は、図5と同様の回路を用いることができる。
【0035】
図10は、図9の変形例であり、A(T)で微調整するために、温度調整値A(T)をMに乗算するのでなく、加算するところが違っているのみである。
調整値A(T)をMに加算するための回路には、図7と同じ回路を用いることができる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、フィードフォワード制御によりバイアス電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザの変調電流を制御するので、変調電流、バイアス電流ともにフィードバック制御する場合と比べて、光出力パワーと消光比とを、それぞれ同時に一意的な値に設定することができる。これにより、一般にフィードバック制御だけでは両方を同時に調整することはできず、半導体レーザの性能を十分に利用することができなかったという問題点を解決できる。また、変調電流、バイアス電流ともにフィードフォワード制御する場合は、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動があれば、直接光出力パワーの目標値からのずれを招くが、本発明によれば光出力パワーは常に一定に保たれるという効果が得られる。
【0037】
また、他の本発明によれば、フィードフォワード制御により変調電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザのバイアス電流を制御するので、変調電流、バイアス電流ともにフィードバック制御する場合と比べて、光出力パワーと消光比とを、それぞれ同時に一意的な値に設定することができる。これにより、一般にフィードバック制御だけでは両方を同時に調整することはできず、半導体レーザの性能を十分に利用することができなかったという問題点を解決できる。また、変調電流、バイアス電流ともにフィードフォワード制御する場合は、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動があれば、直接光出力パワーの目標値からのずれを招くが、本発明によれば光出力パワーは常に一定に保たれるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態における半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図2】温度制御回路6のテーブル読み取り値に基づいてバイアス電流源2を制御するための具体的な回路図である。
【図3】定電圧レギュレータを用いたバイアス電流源2制御回路の回路図である。
【図4】第1実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図5】調整値A(T)と、バイアス電流フィードバック制御のための設定値Nとの乗算を実現するための回路図である。
【図6】第1実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図7】調整値A(T)と、バイアス電流フィードバック制御のための設定値Nとの加算を実現するための回路図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図9】第2実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図10】第2実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図11】半導体レーザの一般的な電流−光出力特性図である。
【符号の説明】
2 バイアス電流源
3 変調電流源
4 スイッチング用FET
5 制御部
6 温度制御回路
51 平均光出力検出部
52 制御出力部
61 温度センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる半導体レーザの送信制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信に用いられる半導体レーザは、図11に示すような電流−光出力特性を持っている。図11の横軸は半導体レーザに流される電流を示し、縦軸は光出力を示す。図11には温度T1,T2(T1<T2)に対応して、グラフ1,2が表示されている。温度T1に対応するグラフ1において、Ib0は変調信号が0のときでも流されるバイアス電流であり、Im0は変調電流である。Im0を変調データ0,1の間で変化させて、P0〜P1の光出力が得られる。r=P1/P0を消光比、PM=(P1+P0)/2を送信平均光出力という。
【0003】
温度T2に対応するグラフ2においては、Ib1がバイアス電流であり、Im1が変調電流となる。
温度が変化しても一定の送信平均光出力が得られるように、バイアス電流Ibと変調電流Imを制御する必要がある。
従来、フィードバック制御といわれる制御方法では、半導体レーザから発光される送信平均光出力をモニタして、この送信平均光出力が目標値になるように、バイアス電流Ibと変調電流Imを変化させている。変化のルールは、バイアス電流Ibと変調電流Imとの差Im−Ibを一定に保ちながら、バイアス電流Ibと変調電流Imとを変化させるか、バイアス電流Ibと変調電流Imとの比Im/Ibを一定に保ちながら、バイアス電流Ibと変調電流Imとを変化させるか、であった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−352125号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図11に示すように、半導体レーザの電流−光出力特性は線形といえないので、これらのフィードバック制御方法では、送信平均光出力は一定にできても、消光比P1/P0を正確な所望の値に選ぶことはできないという問題がある。
特に、半導体レーザの電流−光出力特性の非線形性が目立つ例として、FGL(Fiber grating Laser)がある。
【0006】
前記消光比P1/P0は、常に大きな値がよいとは限らない。伝送実験では、光ファイバの伝送距離が数十km以下なら消光比は大きいほうが感度よく受信できるが、伝送距離が百km以上になれば消光比が低いほうがよいという結果が現われている。これはギガヘルツ以上の高速光変調時には、長距離伝送になるほど、光の波長が動的にシフトするチャーピングの影響が現われるためと考えられる。
このように消光比を正確に設定することは、送信平均光出力の制御とともに重要である。
【0007】
フィードバック制御で、送信光出力だけでなく、消光比を同時に制御する試みもあるが、この場合、前記特許文献1に示されるように、変調データに対応する光パワーを検出する専用回路を設ける必要があり、回路構成が複雑になることから、実用的でない。
前記フィードバック制御以外に、フィードフォワード制御も提案されている。この制御は、送信平均光出力と消光比とを予めテーブルにして保有しておき、温度に応じてこのテーブルを参照してバイアス電流Ib、変調電流Imを決定する。
【0008】
このフィードフォワード制御では、送信平均光出力と消光比との設定が可能であるが、使用する半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動などに適応できず、光出力が変化するという欠点がある。
そこで、送信平均光出力、消光比を所望の値に設定できるとともに、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動などにも適応して送信平均光出力を一定に保つことができる半導体レーザの送信制御回路が求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザの送信制御回路は、温度センサと、光出力検出素子と、温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるようにバイアス電流を変化させる第1の制御手段と、光出力検出素子により検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザの変調電流を制御する第2の制御手段とを備えるものである。
【0010】
前記の構成によれば、第1の制御手段により、温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるようにバイアス電流を変化させる。このバイアス電流は、温度の関数としてあらかじめわかっているものである。そして、第2の制御手段によって、光出力検出素子により検出された光出力検出値が所定の値になるように半導体レーザの変調電流を制御する。
このように、フィードフォワード制御によりバイアス電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザの変調電流を制御することにより、光出力パワーを一定にすることができ、かつ初期設定時において所望の消光比が得られる。
【0011】
前記第1の制御手段は、光出力検出素子により検出された光出力検出値に応じてバイアス電流を変化させる制御過程を備え、この制御過程中で、前記温度センサによって検出された温度に基づくバイアス電流の調整を行う前記温度センサによって検出された温度に基づく制御ゲインを行うものであってもよい。
この構成は、半導体レーザの変調電流だけでなく、バイアス電流もフィードバック制御により設定する。そして、バイアス電流のフィードバック制御の中で、温度に基づくバイアス電流の調整を行う。このバイアス電流のフィードバック制御により、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動などに対応できないフィードフォワード制御の欠点を緩和することができ、さらに所望の消光比が得られるように、温度に基づくバイアス電流の調整を行うことができる。
【0012】
また本発明の半導体レーザの送信制御回路は、温度センサと、半導体レーザの光出力検出素子と、温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるような変調電流を設定する第3の制御回路と、光出力検出素子により検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザのバイアス電流を制御する第4の制御回路とを備える。
この構成によれば、第3の制御回路により、温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるように変調電流を変化させる。この変調電流は、温度の関数としてあらかじめわかっているものである。そして、第4の制御回路によって、光出力検出素子により検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザのバイアス電流を制御する。
【0013】
このように、フィードフォワード制御により変調電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザのバイアス電流を制御することにより、光出力パワーを一定にすることができ、かつ初期設定時において所望の消光比が得られる。
前記第3の制御回路は、光出力検出素子により検出された光出力検出値に応じて変調電流を変化させる制御過程を備え、この制御過程中で、前記温度センサによって検出された温度に基づく変調電流の調整を行うものであってもよい。この構成は、半導体レーザのバイアス電流だけでなく、変調電流もフィードバック制御により設定する。そして、変調電流のフィードバック制御の中で、温度に基づく変調電流の調整を行う。
【0014】
この変調電流のフィードバック制御により、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動などに対応できないフィードフォワード制御の欠点を緩和することができ、さらに所望の消光比が得られるように、温度に基づく変調電流の調整を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
−第1の実施形態−
図1は、本実施の形態における半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。半導体レーザの送信制御回路は、光信号を送出する半導体レーザLDに、バイアス電流Ibを供給するバイアス電流源2と、変調電流Imを供給する変調電流源3とが接続されている。変調電流Imをオンオフする信号は、変調回路(図示せず)で作られ、半導体レーザLDと変調電流源3との間に挿入されたスイッチング用FET4に供給される。半導体レーザLDの出力光は、その照射端から出射し光ファイバ(図示せず)に入力され、光ファイバを伝搬して相手方の局で受信される。この半導体レーザLDの出力光を検出するモニタ用フォトダイオードPDが、半導体レーザLDの出力光を検出できる位置(反対側の照射端など)に設置されている。
【0016】
フォトダイオードPDの検出光電流は、電圧信号に変換され、制御部に入力される。制御部5は、平均光出力検出部51と、制御出力部52とを備えている。平均光出力検出部51は、例えば積分回路からなり、半導体レーザLDの光出力の平均値を検出する。制御出力部52は、平均光出力検出部51により検出された出力光の平均値を出力する。この出力光の平均値に基づいて、半導体レーザLDの送信平均光出力を目標値にするように、変調電流Imの振幅が制御される。その制御のゲインをMで表す。
【0017】
一方、半導体レーザの送信制御回路には温度制御回路6が備えられている。温度制御回路6は、サーミスタなどの温度センサ61を含んでいる。そして、温度センサ61の温度読取値に基づいて最適なバイアス電流を設定するためのテーブルがROMの中に用意されている。テーブルには、温度T1,T2・・・に応じて、所望の消光比が得られるような、バイアス電流Ibが規定されている。このバイアス電流Ibの値が、制御入力A(T)としてバイアス電流源2に入力される。
【0018】
例えば送信平均光出力の目標値をPMとすると、所望の消光比がrであれば、光出力の最低値P0は、
P0=2PM/(1+r) (1)
で表わされる。テーブルは、この光出力P0を与えるバイアス電流値Ibを、温度に対して設定している。図11のグラフを例にとると、温度T1に対するバイアス電流値はIb0であり、温度T2に対するバイアス電流値はIb1となる。CPUは、このバイアス電流Ibをバイアス電流源2に設定する。
【0019】
以上の制御により、目標値とする送信平均光出力PMが得られ、かつ所望の消光比が得られる。
以上の本実施の形態では、バイアス電流Ibの制御にはフィードフォワード制御を採用し、半導体レーザLDの変調電流Imの制御にはフィードバック制御を採用している。したがって、最適な変調電流Imが、フィードバック制御により得られるから、半導体レーザLDの経年特性変化、電源電圧の変動などに対して、送信平均光出力を一定にできる。
【0020】
図2は、テーブルの読み取り値に基づいてバイアス電流源2を制御する温度制御回路6の具体的な回路図であり、温度センサ61の読み取り値に基づいて、ROM内のテーブルの値A(T)が読み出され、可変抵抗器により抵抗値に変換される。そして、この抵抗値に応じた電圧が選択され、制御電圧としてバイアス電流源2に入力される。
前記図2の回路では、制御電圧は電源電圧の変動の影響を直接受ける。そこで、電源電圧の変動の影響を避けるため定電圧レギュレータを用いたのが、図3の回路である。定電源電圧に基づいて、テーブルの読み取り値A(T)に対応する最適な電圧が設定され、その電圧が演算増幅器(図示せず)を通してバイアス電流源2に供給される。
【0021】
図4は、本実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。光信号を照射する半導体レーザLDに、バイアス電流Ibを供給するバイアス電流源2と、変調電流Imを供給する変調電流源3とが接続されている。変調電流Imをオンオフする信号は、変調回路(図示せず)から供給される。半導体レーザLDの出力光をモニタするモニタ用フォトダイオードPDが、半導体レーザLDの出力光を検出できる位置に設置されている。
【0022】
フォトダイオードPDによって半導体レーザLDの出力光を検出し、平均光出力検出部51によって、光出力の平均値を検出し、この平均値に基づいて、半導体レーザLDの送信平均光出力を目標値にするように、変調電流Imの振幅を制御するのは、図1の回路と同じである。
この図4の回路では、制御出力部52の出力値と目標値との差に応じて、ループゲインNを介してバイアス電流Ibも制御している。このときに、温度センサ61で読み取られた温度に基づく調整要素A(T)をバイアス電流制御ループの中に入れている。
【0023】
このため、フィードバックに基づくバイアス電流制御に、温度に対する依存性を付加した調整要素A(T)を導入した形となり、温度変動に対する応答性が高められる。
この調整方法を説明すると、最初A(T)=1とおいて回路動作させ、半導体レーザLDの送信平均光出力が目標値になるようにフィードバック制御する。このとき消光比は、必ずしも所望の値になっていないので、所望の値になるようにA(T)を微調整していく。消光比が所望の値になった時点で、そのときの温度のA(T)をテーブルに書き込む。なお、A(T)単独でなく、A(T)×Nの形でテーブルに書き込んでもよい。
【0024】
図1の回路と比べると、フィードバック制御によってバイアス電流Ibが大まかに調整された状態で、A(T)で微調整するので、使用する半導体レーザLDの経年特性変化、電源電圧の変動などから受ける影響は、図1の回路よりも小さくなる。
図5は、温度センサ61で読み取られた温度に応じた調整値A(T)と、バイアス電流フィードバック制御のための設定値Nとの乗算を実現するための回路である。演算増幅器の増幅率をデフォルトでN倍に設定し、ROM内のテーブルの読み取り値A(T)によって微調整している。
【0025】
図6は、図4の変形例であり、図4と比べると、A(T)で微調整するために、温度調整値A(T)をNに乗算するのでなく、加算するところが違っているのみである。
図7は、この調整値A(T)を加算するための回路を示す。この回路によれば、増幅率N倍の演算増幅器を用いるとともに、電源電圧を調整値A(T)に応じて分圧し、その分圧された電圧によって演算増幅器の入力動作点を設定している。
【0026】
−第2の実施形態−
次に、半導体レーザLDの変調電流Imの制御にはフィードフォワード制御を採用し、バイアス電流Ibの制御にはフィードバック制御を採用した回路例を説明する。
図8は、第2の実施の形態における半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。この半導体レーザの送信制御回路は、光信号を送出する半導体レーザLDに、バイアス電流Ibを供給するバイアス電流源2と、変調電流Imを供給する変調電流源3とが接続されている。変調電流Imをオンオフする信号は、変調回路(図示せず)から供給される。半導体レーザLDの出力光を検出するモニタ用フォトダイオードPDが、半導体レーザLDの出力光を検出できる位置に設置されている。
【0027】
フォトダイオードPDの検出光電流は、電圧信号に変換され、制御部5に入力される。制御部5の平均光出力検出部51は、半導体レーザLDの光出力の平均値を検出する。制御出力部52は、平均光出力検出部51により検出された出力光の平均値を出力する。この出力光の平均値に基づいて、半導体レーザLDの送信平均光出力を目標値に一致させるように、バイアス電流Ibを制御する。その制御のゲインをNで表す。
【0028】
一方、半導体レーザの送信制御回路には、半導体レーザLDの変調電流Imをフィードフォワード制御するため、温度制御回路6が備えられている。温度制御回路6は、温度センサ61の温度読取値に基づいて最適な変調電流Imを設定するためのテーブルがROMの中に用意されていて、このROMから読み取った値A(T)に応じた変調電流Imが、変調電流源3に設定される。テーブルには、図11に示したとおり、温度T1,T2・・・に応じて、所望の消光比が得られるような、変調電流Imが規定されている。
【0029】
例えば送信平均光出力の目標値をPMとすると、所望の消光比がrであれば、光出力の最低値P0は、
P0=2PM/(1+r) (1)
最大値P1は、
P1=2rPM/(1+r) (2)
であり、テーブルは、この光出力(P1−P0)に相当する変調電流Imを、温度に対して設定している。
【0030】
さらに前記フィードフォワード制御の他に、フィードバック制御により、送信平均光出力を一定値PMにするために、バイアス電流Ibを調整している。
このように半導体レーザLDの変調電流Imの制御にはフィードフォワード制御を採用し、バイアス電流Ibの制御にはフィードバック制御を採用している。
以上のようにして、本半導体レーザの送信制御回路では、目標値とする送信平均光出力が得られ、かつ所望の消光比が得られる。最適なバイアス電流Ibがフィードバック制御により得られるから、使用する半導体レーザLDの経年特性変化、電源電圧の変動などに対して、送信平均光出力を一定にできる。
【0031】
温度制御回路6のテーブルの読み取り値A(T)に基づいて変調電流源3を制御するための具体的な回路には、図2、図3で説明したのと同様の回路を採用することができる。
図9は、第2の実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。光信号を照射する半導体レーザLDに、バイアス電流Ibを供給するバイアス電流源2と、変調電流Imを供給する変調電流源3とが接続されている。変調電流Imをオンオフする信号は、変調回路(図示せず)から供給される。半導体レーザLDの出力光を検出するモニタ用フォトダイオードPDが、半導体レーザLDの出力光を検出できる位置に設置されている。
【0032】
フォトダイオードPDによって半導体レーザLDの出力光を検出し、平均光出力検出部51によって検出された出力光の平均値に基づいて、半導体レーザLDの送信平均光出力を一定にするように、バイアス電流Ibを制御するのは、図8の回路と同じである。
この図9の回路では、制御出力部52の出力値に応じて、ループゲインMによって変調電流Imを設定している。このときに、温度センサ61で読み取られた温度に基づく調整要素A(T)を変調電流制御ループの中に入れている。
【0033】
このため、フィードバックに基づく変調電流制御に、温度に対する依存性を付加した調整要素A(T)を導入した形となり、温度変動に対する応答性が高められる。
この調整方法を説明すると、最初A(T)=1とおいて回路動作させ、半導体レーザLDの送信平均光出力が目標値になるように変調電流Imをフィードバック制御する。このとき消光比は、必ずしも所望の値になっていないので、所望の値になるようにA(T)を微調整していく。消光比が所望の値になった時点で、そのときのA(T)をテーブルに書き込む。なお、A(T)単独でなく、A(T)×Mの形でテーブルに書き込んでもよい。
【0034】
図8の回路と比べると、フィードバック制御によって変調電流Imが大まかに調整された状態で、A(T)で微調整するので、使用する半導体レーザLDの経年特性変化、電源電圧の変動などから受ける影響は、図8の回路よりもさらに小さくなる。
調整値A(T)と、フィードバック制御のための設定値Mとの乗算を実現するための回路は、図5と同様の回路を用いることができる。
【0035】
図10は、図9の変形例であり、A(T)で微調整するために、温度調整値A(T)をMに乗算するのでなく、加算するところが違っているのみである。
調整値A(T)をMに加算するための回路には、図7と同じ回路を用いることができる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、フィードフォワード制御によりバイアス電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザの変調電流を制御するので、変調電流、バイアス電流ともにフィードバック制御する場合と比べて、光出力パワーと消光比とを、それぞれ同時に一意的な値に設定することができる。これにより、一般にフィードバック制御だけでは両方を同時に調整することはできず、半導体レーザの性能を十分に利用することができなかったという問題点を解決できる。また、変調電流、バイアス電流ともにフィードフォワード制御する場合は、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動があれば、直接光出力パワーの目標値からのずれを招くが、本発明によれば光出力パワーは常に一定に保たれるという効果が得られる。
【0037】
また、他の本発明によれば、フィードフォワード制御により変調電流を設定し、かつフィードバック制御により半導体レーザのバイアス電流を制御するので、変調電流、バイアス電流ともにフィードバック制御する場合と比べて、光出力パワーと消光比とを、それぞれ同時に一意的な値に設定することができる。これにより、一般にフィードバック制御だけでは両方を同時に調整することはできず、半導体レーザの性能を十分に利用することができなかったという問題点を解決できる。また、変調電流、バイアス電流ともにフィードフォワード制御する場合は、半導体レーザの経年特性変化、電源電圧の変動があれば、直接光出力パワーの目標値からのずれを招くが、本発明によれば光出力パワーは常に一定に保たれるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態における半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図2】温度制御回路6のテーブル読み取り値に基づいてバイアス電流源2を制御するための具体的な回路図である。
【図3】定電圧レギュレータを用いたバイアス電流源2制御回路の回路図である。
【図4】第1実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図5】調整値A(T)と、バイアス電流フィードバック制御のための設定値Nとの乗算を実現するための回路図である。
【図6】第1実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図7】調整値A(T)と、バイアス電流フィードバック制御のための設定値Nとの加算を実現するための回路図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態における半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図9】第2実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図10】第2実施の形態の変更例にかかる半導体レーザの送信制御回路の概略回路図である。
【図11】半導体レーザの一般的な電流−光出力特性図である。
【符号の説明】
2 バイアス電流源
3 変調電流源
4 スイッチング用FET
5 制御部
6 温度制御回路
51 平均光出力検出部
52 制御出力部
61 温度センサ
Claims (4)
- 半導体レーザと、温度センサと、半導体レーザの光出力検出素子と、
温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるようにバイアス電流を設定する第1の制御手段と、
光出力検出素子により検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザの変調電流を制御する第2の制御手段と、を備えることを特徴とする半導体レーザの送信制御回路。 - 前記第1の制御手段は、光出力検出素子により検出された光出力検出値に応じてバイアス電流を変化させる制御過程を備え、この制御過程の中で、前記温度センサによって検出された温度に基づくバイアス電流の調整を行うことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザの送信制御回路。
- 半導体レーザと、温度センサと、半導体レーザの光出力検出素子と、
温度センサによって検出された温度に応じて消光比が望む値になるように変調電流を設定する第3の制御回路と、
光出力検出素子により検出された光出力検出値が目標値になるように半導体レーザのバイアス電流を制御する第4の制御回路と、を備えることを特徴とする半導体レーザの送信制御回路。 - 前記第3の制御回路は、光出力検出素子により検出された光出力検出値に応じて変調電流を変化させる制御過程を備え、この制御過程中で、前記温度センサによって検出された温度に基づく変調電流の調整を行うことを特徴とする請求項3記載の半導体レーザの送信制御回路。
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- 2003-06-24 JP JP2003179981A patent/JP2005019546A/ja active Pending
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