JPH11340144A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JPH11340144A
JPH11340144A JP14080098A JP14080098A JPH11340144A JP H11340144 A JPH11340144 A JP H11340144A JP 14080098 A JP14080098 A JP 14080098A JP 14080098 A JP14080098 A JP 14080098A JP H11340144 A JPH11340144 A JP H11340144A
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film
sprayed
jig
sprayed film
deposition
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JP14080098A
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Takashi Nakajima
中島  隆
Hideo Miura
英生 三浦
Akira Yajima
明 矢島
Hide Kobayashi
秀 小林
Shinji Nishihara
晋治 西原
Junichi Uchida
淳一 内田
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成膜室内に治具が設置される成膜装置おいて、
成膜中における異物の発生が少ない半導体装置の製造方
法を提供することである。 【解決手段】成膜装置成膜室内に設置する防着治具の表
面に、防着治具母材と同一材料の溶射が形成され、その
上にアルミニウム溶射膜を形成し、防着治具へ付着する
成膜生成物の密着力と溶射膜の防着治具への密着力を向
上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体装置の製造方
法に係り、特に、半導体基板上への成膜中に発塵を防止
した半導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、半導体デバイスを生産する上でも
っとも重大な課題は、生産工程中にウエハに付着するパ
ーティクル(以下、異物)を如何に低減させるかという
ことである。異物がウエハに付着すると、付着部におい
て成膜不良を起こしたり、異物が起点となって膜にクラ
ックが入る原因となりやすい。このような異物に起因し
た不良は、デバイス不良の50%以上を占めると推定さ
れている。
【0003】異物は、成膜やエッチングを行う装置内の
ウエハ以外の場所に付着した膜が割れたり、はがれ落ち
ることにより発生する。それは、付着膜が残留応力を持
つことから、その膜厚が厚くなるほど膜と付着部との界
面に生じるせん断力が大きくなり、ある膜厚に達すると
膜が自己破壊を起こすためである。
【0004】通常、プロセス処理中に異物が発生するこ
とを避けるため、装置内の成膜室内壁を覆う防着治具と
呼ばれるものを設置して成膜室内壁への膜の付着を防止
している。更に、この防着治具に付着した膜がはがれて
異物となることを防止するために所定の厚さに達する前
に新しい防着治具に交換することが行われている。
【0005】しかし、この防着治具の交換作業では、成
膜室の大気開放,防着治具の交換,成膜室内の真空引
き,成膜室内ベークによる残留ガスの除去などを行う必
要があり、再び成膜可能な真空状態になるまでには長時
間を要すことが多い。したがって、生産効率を向上させ
るためには、この防着治具の交換頻度をできる限り少な
くすることが望まれていた。
【0006】この交換頻度を低減させるための異物防止
技術としては、付着する膜の密着強度を強くする方法が
ある。従来、防着治具上の膜が付着する部分の表面をサ
ンドブラストしたり、アルミニウム(以下Al)合金な
どの溶射を行い、膜付着部の表面粗さを粗くすることに
よって膜の密着力向上を図っていた。これらの技術は例
えば特開昭60−120515号公報,特開昭62−142758号公報
等に開示されている。特に防着治具の表面をAl溶射な
どで覆う方法は、単に防着治具表面をサンドブラストす
る方法と比べて表面粗さが大きいため、付着膜の応力を
分散することができ、異物が発生しにくく且つ治具交換
周期を長くすることができる優れた方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】発明者は、成膜枚数増
加に伴って付着膜が厚くなり、Al溶射膜から付着膜が
はがれ始める臨界膜厚を見極めるため、Al溶射を施し
たSUS304製防着治具をスパッタリング装置成膜室
に設置し、窒化チタン(以下TiN)を連続成膜しなが
らAl溶射膜上付着膜がはく離し始める臨界膜厚の評価
を行った。溶射は、投錨効果のため防着治具にブラスト
にて表面粗さが最大高さで30μm程度となるような凹
凸を形成してからプラズマ溶射にて施工した。この最大
高さは溶射膜の密着強度が最も高くなる仕様である。ま
た形成されたAl溶射膜の最大高さは約100μm程度
であった。
【0008】この臨界膜厚に対応する成膜枚数が、実際
に製品を製造する場合、防着治具を交換しなくてもプロ
セス中の異物発生無しで成膜が行える最大周期となる。
【0009】試験では、TiN付着膜厚が約150μm
に達したところで膜のはく離が認められた。ただし、T
iN付着膜のみがはく離するのではなく、Al溶射膜ご
と防着治具母材からはく離するということが明らかにな
った。
【0010】SUS304材よりもAl溶射膜の方が線
膨張係数が大きいため、成膜が始まり、プラズマからの
熱によって防着治具の温度が上がると、防着治具は熱応
力によってAl溶射膜側が凸になるように反る。TiN
膜には大きな圧縮応力が生じているため、TiN膜が付
着すると更にAl溶射膜側が凸になるように反る。した
がって、防着治具母材と溶射膜との界面には熱応力とT
iN膜内部応力によって発生するせん断力が、Al溶射
膜と付着膜との界面にはTiN膜内部応力によって発生
するせん断力が主に作用していると考えられる。
【0011】付着するTiN膜厚が厚くなるに従い、こ
の各界面に加わるせん断力は大きくなる。ここで膜はが
れは、 防着治具母材/Al溶射膜間の密着強度<防着治具母材/Al溶射膜間のせ ん断力 …(1) あるいは、 Al溶射膜/TiN付着膜間の密着強度<Al溶射膜/TiN付着膜間のせ ん断力 …(2) となると発生すると考えられるが、前記実験結果を踏ま
えると(1)の条件が先に満たされたために、Al溶射
膜ごと膜はがれが発生したと考えられる。(2)よりも
(1)が先に起こった原因としては、Al溶射膜の表面
粗さ(最大高さ)が防着治具の表面粗さ(最大高さ=約
30μm)と比べて約100μm程度と大きいため、よ
り投錨効果や応力分散効果が発揮されたためと考えられ
る。
【0012】これらのことから、防着治具母材と溶射膜
の界面の密着強度を上げる、あるいは温度変動やTiN
膜付着による反り変形を構造を工夫することで小さく抑
えることができれば、更にシールドを交換する周期を長
くすることができることが分かる。
【0013】スパッタ膜が溶射膜に付着する場合は、原
子レベルの大きさのTiNが飛散することから溶射膜の
表面のような大きな凹凸が形成されている物体への被覆
性が良いため、一般的にはスパッタ原子付着する面の表
面粗さが荒いほど、膜の密着強度は高くなる。
【0014】しかし、溶射母材への溶射膜の密着強度
は、ある程度までは表面を荒くした方が投錨効果により
高くなるが、表面を荒くし過ぎると逆に密着強度が落ち
てしまう。これは、溶射パウダーの大きさが数μm〜数
十μmであるために、表面が荒過ぎると溶射膜が治具表
面凹凸上を十分に覆うことがができずに溶射膜と防着治
具母材との界面に大きな隙間(す)ができてしまい、こ
の隙間(す)がはがれの起点となるためである。表面を
荒くし過ぎて溶射膜と防着治具母材との界面に大きな隙
間(す)ができた場合の断面を図13に示す。
【0015】前記試験のために防着治具に施工したプラ
ズマ溶射よりも隙間(す)ができにくく、更に密着強度
が高い溶射膜が得られる溶射方法はあるが、かなり高価
な方法であるため、高信頼性且つ低コストが求められる
ような半導体装置の製造には向いていない。このことか
ら、今以上に溶射膜と防着治具母材との密着強度を上げ
ることは困難であると考えられる。
【0016】したがって、溶射膜の構造を工夫すること
によって温度変動やTiN膜付着による反り変形を小さ
く抑え、溶射膜と防着治具母材との界面への負荷を低減
できる構造が、半導体装置を製造する場合には適してい
ると考えられる。
【0017】本発明の目的は、半導体製造装置の成膜室
内に設置する防着治具に対して、成膜中のプラズマ熱に
よる熱変形やTiN膜が付着した場合に生じる反り変形
をできる限り抑制し、防着治具と溶射膜の界面に生じる
せん断力を低下させることで、半導体基板への成膜中に
防着治具の表面からの異物の発生を防止し、且つ防着治
具交換頻度を低減することで、高品質かつ低コストを実
現した半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0018】本発明の別の目的は、半導体製造装置の成
膜室内に設置する防着治具に対して、成膜中のプラズマ
熱による熱変形やTiN膜が付着した場合に生じる反り
変形をできる限り抑制し、防着治具と溶射膜の界面に生
じるせん断力を低下させることで、半導体基板への成膜
中に防着治具の表面からの異物の発生を防止し、且つ防
着治具交換頻度を低減させて、高品質かつ低コストの半
導体装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】防着治具の表面をコーテ
ィングする溶射膜と防着治具の間に働くせん断力は、成
膜前後の温度変動で生じる熱応力と、付着膜の堆積時に
発生する真性応力に起因して生じる。したがって溶射膜
の防着治具からのはく離を防止するには、熱応力を低減
させる方法と、溶射膜によって付着膜から伝わる応力を
緩和させる方法がある。
【0020】半導体基板へ成膜を行う半導体装置の製造
方法において、半導体基板への成膜中に異物の発生を抑
制しながら薄膜を堆積させる半導体装置の製造方法を提
供するため、本発明は以下の特徴を備える。
【0021】本発明の半導体装置の製造方法は、成膜装
置の成膜室内に設置した防着治具をコーティングする溶
射膜および該溶射膜に付着した膜のはく離を防止し、成
膜中の異物発生を抑制する成膜する方法であって、該溶
射膜は2種類以上の材料によって積層状になっており、
防着治具の表面に該防着治具の母材に母材と同一材料が
直接コーティングされて第1溶射膜が形成され、更に該
第1溶射膜に連続して該防着治具母材材料とは異なる材
料から成る第2溶射膜が形成されており、該防着治具を
設置した状態で半導体基板上に成膜することを特徴とす
る。
【0022】防着治具と同一材料を溶射することで、最
も密着強度が低い第1溶射膜と防着治具との間に熱応力
が生じることを防止でき、第1溶射膜をはがれにくくす
ることができる。また、最も大きな熱応力が生じる第1
溶射膜と第2溶射膜の間では、大きな凹凸をもつ界面が
形成されているため投錨効果が高まり、第2溶射膜がは
く離することが防止される。第1溶射膜と第2溶射膜の
界面には、連続して溶射を行うことではがれの原因とな
る隙間が生じることがなく、且つ溶射による大きな凹凸
が形成されているため、第1溶射膜と第2溶射膜の間の
密着強度はブラスト面に第2溶射膜を溶射した場合より
も大きくなる。
【0023】別の本発明の半導体装置の製造方法は、成
膜装置の成膜室内に設置した防着治具をコーティングす
る溶射膜および該溶射膜に付着した膜のはく離を防止
し、成膜中の異物発生を抑制する成膜する方法であっ
て、該溶射膜は2種類以上の材料によって積層状になっ
ており、防着治具の表面に該防着治具母材材料よりも線
膨張係数が小さい材料がコーティングされて第1溶射膜
が形成され、更に該第1溶射膜に連続して該防着治具母
材材料よりも線膨張係数が大きい材料から成る第2溶射
膜が形成されており、該防着治具を設置した状態で半導
体基板上に成膜することを特徴とする。
【0024】防着治具表面に該防着治具母材材料よりも
線膨張係数が小さい第1溶射材料と線膨張係数が大きい
第2溶射材料が積層された溶射膜を被着することで、溶
射膜と防着治具との間に大きな熱応力が生じることを防
止する。このようなコーティング構造を採用すること
で、防着治具に直接第2溶射材料が溶射される場合に比
べて、付着膜厚がより厚くなるまで付着膜が溶射膜ごと
はく離することがなくなる。
【0025】なお溶射膜の最表面の層の材料としては付
着する膜の応力を緩和するような材料が望ましく、例え
ば、アルミニウム,アルミニウム合金,チタン,チタン
合金,銅,銅合金,銀から選択される一つであってもさ
しつかえない。アルミニウム−11.7% シリコンやア
ルミニウム−17%銅などのような超塑性材料であれ
ば、より好ましい。
【0026】また、別の本発明の半導体装置の製造方法
は、成膜装置の成膜室内に設置した防着治具をコーティ
ングする溶射膜および該溶射膜に付着した膜のはく離を
防止し、成膜中の異物発生を抑制する成膜する方法であ
って、該溶射膜の厚さと溶射膜表面の最大高さの差が1
00μm以上となるような仕様の溶射膜でコーティング
された防着治具を設置した状態で成膜して、半導体装置
を製造することを特徴とする。
【0027】溶射膜の膜厚から凹凸分の厚さを除いた部
分(防着治具界面から溶射膜表面凹凸の凹部までの部
分)を溶射膜ベース部分と呼ぶことにする。大きな応力
をもつ膜が溶射膜に付着すると、所定の付着膜厚までは
溶射膜表面の凹凸による付着膜の応力分散効果と投錨効
果によって付着膜がはがれずに安定しているが、付着膜
厚が厚くなるに従って溶射膜ベース部分の塑性変形量が
大きくなるため、最終的には塑性変形限界を超えて溶射
膜自体が破断し、付着膜が溶射膜ごとはく離すると考え
られる。したがって、この溶射ベース部分が厚いほど付
着膜の応力を受ける膜厚が厚くなるため、溶射ベース部
分が塑性変形限界を超える時期が遅くなり、付着膜が脱
落しないように保持する能力は高くなる。
【0028】なお溶射膜の最表面の層の材料としては付
着する膜の応力を緩和するような材料が望ましく、例え
ば、アルミニウム,アルミニウム合金,チタン,チタン
合金,銅,銅合金,銀から選択される一つであってもさ
しつかえない。アルミニウム−11.7% シリコンやア
ルミニウム−17%銅などのような超塑性材料であれ
ば、より好ましい。
【0029】また、上記のような製造方法を用いること
で、成膜装置の成膜室内に設置した防着治具をコーティ
ングする溶射膜および該溶射膜に付着した膜のはく離を
防止し、成膜中の異物発生を抑制して成膜することが可
能となり、高品質および低コスト化された半導体装置を
提供することができる。
【0030】即ち、本発明を用いれば、半導体製造装置
の成膜室内に設置する防着治具と防着治具表面をコーテ
ィングする溶射膜との界面に生じるせん断力を低下させ
ることができ、半導体基板への成膜中に防着治具表面か
らの異物の落下発生寿命を向上することで防着治具交換
頻度を低減し、高品質かつ低コストを達成する半導体装
置の製造方法を提供することが可能となる。
【0031】なお、本発明を活用することが有効である
分野は、半導体装置の製造に関するものだけではなく、
磁気ディスク,光ディスク,薄膜磁気ヘッド,液晶パネ
ルなどの薄膜を堆積して製造を行っているもの全般にお
いて有効である。
【0032】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例について、図
面を参照して説明する。
【0033】(実施例1)本発明に基づく半導体装置の
製造方法に関する一実施例を、スパッタリング装置にて
薄膜を成膜し、半導体装置を製造する場合を例に説明す
る。
【0034】本発明の実施例に基づく半導体装置の製造
方法を行うための装置構成を図1に示す。
【0035】スパッタリング装置の成膜室用真空チャン
バ3内には電極絶縁物2を介してターゲット1が設置さ
れ、ターゲット1に対向する位置にはウエハステージ5
が設置されている。半導体基板6はウエハステージ上に
搬送される。成膜時に真空チャンバ3内にプラズマ生成
用ガスを導入しながらスパッタリングするための適当な
内部圧力に保つため、排気口8には真空ポンプなどの適
当な排気設備に接続され、ガス導入口7には真空チャン
バ3内をスパッタリング時の圧力を維持しながらプラズ
マ生成用ガスを導入するガス導入設備が接続されてい
る。半導体基板6とターゲット5の間にスパッタリング
用の直流あるいは交流電力を付加するため、配線9を介
して電源10を接続されている。
【0036】なお、成膜によって真空チャンバ3内では
半導体基板以外の場所にも膜13が付着するが、真空チ
ャンバ3内壁などへの膜13の付着を防止するために防
着治具4が真空チャンバ3の内壁を覆うように取り付け
られている。この防着治具4表面は、付着した膜がはく
離しないようにコーティング膜11で覆われている。
【0037】この防着治具4の構造を示すため、14で
示した○内を拡大したものが図2である。本発明では異
物が発生しない成膜を行うため、この防着治具4の表面
をコーティングしている溶射膜11は、防着治具4側の
第1溶射膜11a,第2溶射膜11bの2層の積層状に
なっており、第2溶射膜11bの表面には高さ30〜5
00ミクロンの凹凸20が形成された構造になってい
る。また第1溶射膜11aと第2溶射膜11bの界面にも
高さ30〜500ミクロンの凹凸21が形成されてい
る。
【0038】成膜手順について説明する。真空チャンバ
内に図2にて説明した構造の防着治具を設置する。真空
チャンバ3内は排気口8を通して排気設備により排気を
行う。内部の真空度が高いほど成膜中に酸化などの影響
を受けないため、高真空である方が良い。所定の高真空
に達してからウエハステージ5上に半導体基板6を搬送
し、ガス導入口7からプラズマ生成用のガスを導入す
る。導入するガスには、アルゴンガスやクリプトンガ
ス、あるいはキセノンガスが用いられるが、反応性スパ
ッタリングを行うために窒素ガスなどを混合してもよ
い。真空チャンバ3内のガス圧がスパッタリングを行う
ための所定のガス圧に達した後、ターゲット1と半導体
基板6との間に、配線9を介して電源10により直流あ
るいは交流電力を負荷してプラズマ12を発生させ、タ
ーゲット材料の薄膜を半導体基板6上に成膜する。
【0039】成膜によってプラズマ12が形成される
と、防着治具4の表面にも膜13は付着する。膜13
は、図2のように防着治具4上溶射膜表面の凹凸20を
ほぼ全面にわたって覆うように付着する。
【0040】付着膜には、熱応力が全く加わっていない
場合でも、真性応力と呼ばれる膜自体の堆積過程で発生
する応力が生じる。そのため、付着膜と下地の溶射膜の
界面や、溶射膜と防着治具母材の界面に加わるせん断力
は、付着膜厚が厚くなるに伴い大きくなる。
【0041】通常、防着治具の表面にはAl溶射を施し
て大きな凹凸を形成し、付着膜/溶射膜間の界面の密着
強度を高めているが、溶射膜/防着治具母材間に関して
は、溶射の特質上、表面の凹凸を大きくし過ぎると逆に
低下してしまうため、密着強度を現状以上に高めること
は難しい。そのため、付着膜の膜厚が厚くなると、付着
膜は溶射膜ごと剥がれてしまう。
【0042】本発明では、この点を解決するため、溶射
膜/防着治具母材間に付着膜/溶射膜間のように大きな
せん断力が働かないような構造を提供し、付着膜がより
厚い臨界膜厚まではく離しないようにする。この目的実
現のため本発明の構造は、防着治具上の溶射膜を多層構
造にし、第1溶射膜の材料として防着治具母材と同一の
材料を、第2溶射膜の材料として付着するスパッタ膜と
相性が良い材料を採用している。なお、第1溶射膜と第
2溶射膜を連続して溶射することで、第1溶射膜表面の
酸化や第1溶射膜/第2溶射膜間の大きな隙間(す)の
形成によって密着強度が低下することを防止し、第1溶
射膜表面の大きな凹凸にすることができる。
【0043】第1溶射膜に防着治具母材と同一材料を用
いる効果としては、第1溶射膜を防着治具母材と同一材
料とすることで第1溶射膜/防着治具母材間の熱応力を
防止し、且つ大きな凹凸が形成された第1溶射膜が第2
溶射膜の下地となることで投錨効果により第2溶射膜の
密着強度が高まることである。第2溶射膜の材料には、
Al合金などの付着膜と相性が良く、塑性変形による付
着膜の応力緩和効果の高い材料を用いていることで、従
来通りの高い密着力が期待できる。このような防着治具
を設置して成膜を行うと、従来よりも長期にわたって低
い異物発生数を保持することが可能である。
【0044】なお本発明は、ここで述べた半導体装置の
製造方法に関してのみ有効である訳ではなく、磁気ディ
スク,光ディスク,薄膜磁気ヘッド,液晶パネルなどの
スパッタリング法やCVD法などの成膜方法を利用して
製造を行っているもの全般に有効である。
【0045】図1において用いた防着治具4の表面をコ
ーティングする方法を図3を用いて説明する。防着治具
4の母材材料として、この実施例ではSUS304材を
用いる場合について説明する。母材が他の材料である場
合には、母材と第1溶射膜を一体化させるため、第1溶
射膜材料の変更が必要である。
【0046】(第1工程)まず、防着治具母材4aの表
面をアルミナパウダー31などを用いてブラストし、表
面を荒らす。その表面粗さは、Rmaxが50〜5μm
程度になるようにする。最大高さの制御は適当なアルミ
ナパウダーの粒径を選択することで可能である。例え
ば、防着治具母材4aにSUS304材を用いた場合、
#100程度のアルミナパウダーを選択すると表面粗さ
はRmaxは約10μmになり、#30程度のアルミナ
パウダーを選択するとRmaxは約30μmとなる。ブ
ラストした後は、防着治具母材4aの表面に残留してい
るアルミナパウダーを、超音波洗浄などで洗い流す。
【0047】(第2工程)ブラストされた防着治具母材
4bに、第1の溶射装置を用いてSUS304パウダー
32を溶射し、第1溶射膜となるSUS304溶射膜1
1aを形成する。溶射するSUS304パウダー32の
平均粒径は30〜200μmの範囲内とする。溶射する
SUS304パウダー32の平均粒径が大きいほど溶射
膜の表面が粗くなり、スパッタ成膜による付着膜が厚く
なった場合にも投錨効果が発揮されやすい。
【0048】溶射する膜厚は防着治具母材4bが露出し
ない程度とする。母材界面の凸部の頂部から膜表面凸部
の頂部までを溶射膜厚と定義すると、一般にこの溶射膜
厚が溶射パウダーの平均粒径の2倍以上になると、ほぼ
母材4bは溶射膜で覆われる。母材4bが露出している
と、スパッタ膜の付着時に溶射膜端部が応力集中場とな
ってその部分から膜はがれが起きやすくなるため、好ま
しくない。
【0049】(第3工程)第2工程に連続してあるいは
第2工程の途中から、SUS304の第1溶射膜11a
上に、第2溶射設備を用いてアルミニウムパウダー33
を溶射し、第2溶射膜11bを形成する。アルミニウム
パウダー33の平均粒径は第1溶射膜用のパウダーの平
均粒径と同程度以下のものを選ぶ。大きな粒径のパウダ
ーでは第1溶射膜表面に形成された凹凸の凸部内にアル
ミニウムパウダーが入り込みにくくなるために、第2溶
射膜の投錨効果は発揮されにくくなる。
【0050】第3工程の溶射のタイミングは第2工程の
溶射に連続して、あるいは第2工程途中から行うのが良
い。それは、第2工程で形成される第1溶射膜11aが
熱収縮したり、表面の酸化が進んだ後に第2溶射膜11
bを被着させると、第1溶射膜と第2溶射膜の間で熱応
力が発生したり、表面の酸化で第1溶射膜/第2溶射膜
間の密着力が低下することにより、溶射膜自体がはく離
しやすくなるからである。
【0051】図3のコーティングする方法を実現するた
めの、溶射装置の構成と溶射手順を図4を用いて説明す
る。
【0052】(第1の装置構成と溶射手順)溶射設備を
2セット用いてコーティングする方法を図4(1)にて
説明する。装置の構成は、単一種類の溶射パウダーをプ
ラズマ溶射する第1,第2の溶射装置40,50を用い
る。溶射装置にはそれぞれ溶射ガン41,51が備えら
れており、溶射ガンへのパウダー供給とプラズマ発生の
ためのガスや電力の供給を行うためのホースやコード類
42,52が接続されている。溶射装置にはそれぞれ前
記したSUS304の第1溶射パウダー43,アルミニ
ウムの第2溶射パウダー53を投入する。
【0053】まず、第1溶射装置40を用いて第1溶射
パウダー43を溶射ガン41から溶射流44として噴出
させ、表面が粗面化された防着治具母材4bの表面に第
1溶射膜11a(溶射膜11の防着治具母材側の層)を被
着させる。第1溶射膜11aの表面には、用いた第1溶
射パウダーの平均粒径に応じて高さ50〜500ミクロ
ン程度の凹凸が形成される。この工程に連続して、第2
溶射装置50を用いて第2溶射パウダー53を溶射ガン
51から溶射流54として噴出させ、第1溶射膜11a
表面に第2溶射膜11bを形成する。第2溶射膜11b
は、第1溶射膜上の凹凸の投錨効果によって高い密着強
度が得られる。
【0054】第1溶射パウダー43と第2溶射パウダー
53の溶射のタイミングを図5の2つのグラフを用いて
説明する。グラフの横軸は時間であり、縦軸は単位時間
当たりに溶射した溶射パウダーの重量である。第2溶射
パウダー53を溶射し始めるタイミングは、第1溶射パ
ウダー43を溶射し終わる前とし、第1,第2の溶射パ
ウダーを同時に溶射する時間(図中のΔt)が所定の時
間以上になるようにする。
【0055】このように第1溶射パウダー43の溶射と
第2溶射パウダー53の溶射を時間的に重なるように設
定すると、第1溶射膜11a表面が酸化する前に第2溶
射パウダー53を溶射できるため、酸化による密着強度
低下を防止することが可能である。逆に、第1溶射パウ
ダーを溶射した後に時間が経過すると溶射膜が熱収縮し
たり、表面の酸化が進むため、第1溶射膜/第2溶射膜
間への熱応力発生や表面酸化によって密着力が低下し、
溶射膜自体がはく離しやすくなるため、好ましくない。
【0056】また、第1溶射パウダー43と第2溶射パ
ウダー53を溶射する時間が重なっていると、第1溶射
膜11aと第2溶射溶射膜11bの間に、線膨張係数や
ヤング率などが第1溶射膜11aと第2溶射溶射膜11
bの中間的な特性を持つ遷移層11cが形成される。こ
の溶射膜断面構造を図6に示す。このような断面になる
と、溶射膜11と治具母材4の界面に生じるせん断力が
和らげられ、溶射膜状に付着するスパッタ膜がはがれる
ことをより長期にわたり防止することができる。
【0057】また、Δt内で溶射ガンへのパウダーの供
給量を急に開始したり、止めるのではなく、徐々に第1
溶射パウダー供給量を減らし、それに伴って第2溶射パ
ウダー供給量を増加させてもよい。この場合の溶射パウ
ダー供給例を図7に示す。遷移層11c内で第1溶射パ
ウダー43と第2溶射パウダー53の比率を徐々に変化
させることによって、均質な比率のバッファ層を設ける
よりも、溶射膜11と治具母材4の界面に生じるせん断
力がより和らげられ、溶射膜状に付着するスパッタ膜の
はがれをより長期にわたり防止することができる。
【0058】(第2の装置構成と使用方法)一度に2種
類以上の溶射パウダーを溶射できる装置を用いる場合の
装置構成とその使用方法を図4(2)にて説明する。装
置の構成は、複数の溶射パウダーを投入して溶射を行う
第3の溶射装置60を用いる。溶射装置60には溶射ガ
ン61が備えられており、溶射ガンへのパウダー供給と
プラズマ用ガスや電力の供給を行うためのホースやコー
ド類62,63が接続されている。溶射装置にはそれぞ
れ溶射パウダー43、53を投入する。
【0059】まず、第3溶射装置40を用いて平均粒径
30〜200μmの第1溶射パウダー43を溶射ガン6
1から溶射流66として噴出させ、表面が粗面化された
防着治具母材4bの表面に溶射膜11を被着させる。第
2溶射パウダー53を溶射ガン61に供給し、第1溶射
パウダー43と第2溶射パウダー53の溶射を同時に行
う。第1溶射パウダー43の供給を止め、第2溶射パウ
ダー53のみの溶射を行う。これらの工程を連続で行う
ことによって、高さ50〜500ミクロンの凹凸33b
表面に、空孔があまりなく密着強度が高められた第2溶
射膜11bが形成される。
【0060】第1溶射パウダー43と第2溶射パウダー
53の溶射のタイミングについては、図5のグラフで説
明したように、図中のΔtが所定の時間以上になるよう
にする。
【0061】以上の技術を利用した成膜方法により半導
体装置を製造する方法について図8を用い、図1中の1
5で示した○内を拡大した半導体装置断面を用いて説明
する。
【0062】(a)半導体基板6上にゲート電極101
の形成,絶縁膜102aの堆積,絶縁膜102bの堆
積,コンタクトホール104の形成までを行ったときの
半導体装置断面である。半導体基板6とゲート電極10
1の界面には、図示はしていないが、非常に薄いゲート
酸化膜が形成されている。ここまでの製造方法について
は、従来から知られている技術を用いればよい。
【0063】(b)つぎに本発明のスパッタ成膜方法を
用いた導電性膜の成膜,導電性膜のエッチングを行うこ
とにより、配線103aを形成する。この成膜中に異物
が発生してウエハに付着すると、成膜不良を起こした
り、配線103aの内部にクラックが発生する可能性が
高くなり、エッチング中に異物が付着するとエッチング
不良を起こして残さとなり、隣接する電気回路間で短絡
する可能性が高くなる。しかし本発明の成膜方法を用い
ると異物発生が極力抑制されているため、堆積された配
線103aが異物による断線や、エッチング不良による
短絡を起こすことがほとんどなくなる。
【0064】(c)続いて絶縁膜102cの堆積,配線
103bの成膜,絶縁膜102dの堆積を行う。配線1
03bの成膜に関しては、前記(b)にて説明したのと
同様、本発明のスパッタ成膜方法を用いる。
【0065】以上、本発明を用いることによって異物発
生が抑制された安定した成膜を行うことが可能な半導体
装置の製造方法を提供することができる。更には高い信
頼性で且つ低コストである半導体装置を提供することが
可能になる。
【0066】(実施例2)本発明に基づく別の半導体装
置の製造方法に関する一実施例を、スパッタリング装置
にて薄膜を成膜し、半導体装置を製造する場合を例に説
明する。
【0067】実施例2における半導体装置の製造方法を
行うための装置構成としては図1と同様であり、真空チ
ャンバ3内にプラズマ生成用のガスを導入して半導体基
板6とターゲット5の間に直流あるいは交流電力を付加
し、半導体基板6に成膜を行う。成膜によって防着治具
4表面にも膜13が付着する。実施例2で説明する半導
体装置の製造方法では、この防着治具4へコーティング
している溶射膜の構成が実施例1とは異なるため、防着
治具断面を拡大したものを図9に示す。
【0068】本発明では、溶射膜/防着治具母材間に大
きなせん断力が働かない構造にすることによって、異物
が発生するまでの成膜枚数を向上させ且つ信頼性が高い
成膜方法を可能にする。本発明の構造は、該防着治具4
表面をコーティングしている溶射膜111は、防着治具
4側から第1溶射膜111a,第2溶射膜111bの2
層の積層状になっており、室温からプロセス温度に達し
た場合に生じる防着治具の熱変形による反りによって、
防着治具にスパッタ膜が付着した場合に生じる反りが相
殺されるような、適当な線膨張係数をもつ第1,第2溶
射膜材料を選定した構成になっている。このようなコー
ティング構造を採用することで、溶射膜と防着治具との
間に大きな熱応力が生じることを防止できる。
【0069】また、最も大きな熱応力が生じる第1溶射
膜111aと第2溶射膜111bとの界面に関しては、
大きな凹凸形状が形成されており、且つはがれの起点と
なる隙間(す)が形成されていないため、密着強度が高
い構造になっている。したがって、防着治具に直接第2
溶射材料が溶射される場合に比べて、付着膜厚がより厚
くなるまで付着膜が溶射膜ごとはく離することがなくな
る。
【0070】防着治具に付着するスパッタ膜の内部応力
が圧縮応力である場合、防着治具母材の線膨張係数α
s,第1溶射膜材料の線膨張係数α1,第2溶射膜材料
の線膨張係数α2が、
【0071】
【数1】α1<αs<α2 となるように材料を選択する。
【0072】例えば防着治具に付着するスパッタ膜の内
部応力が圧縮応力であり、防着治具母材材料をSUS3
04材に、第2溶射層の材料をアルミニウムにした場
合、それぞれの線膨張係数αs,α2は約19×10E
−6/K,23×10E−6/Kであるから、第1溶射
膜材料としてはチタン,銅,ベリリウムなどが(線膨張
係数α1がそれぞれ約8.4×10E−6/K,16.5
×10E−6/K,11.6×10E−6/K)などが好ま
しい。
【0073】例えば、防着治具SUS304材の板厚t
sが2mm,第2溶射膜アルミニウム膜の膜厚t2が20
0μmであり、第1溶射膜にチタン材を用いた場合の膜
厚t1は、防着治具は直径Dが約0.4m の円筒に近い
形状をしており、D≫tsであるため、一次元で近似的
に計算して、
【0074】
【数2】 t1=t2・E2(αs−α2)/{E1(αs−α1)} (ただし、第1溶射膜材料と第2溶射膜材料のヤング率
をE1,E2とした)であれば、第2溶射膜アルミニウ
ム膜の温度変動による伸びが第2溶射膜によってほぼ相
殺され、反りがほとんど発生しなくなる。大きな圧縮応
力をもつスパッタ付着膜が被着することを考慮し、第1
溶射膜厚t1を更に厚くすることも有効である。
【0075】上記のような仕様の防着治具4表面をコー
ティングする手順については、実施例1の図3の説明に
沿って行えばよい。コーティングする設備については、
実施例1の図4にて説明した方法を用いれば良い。ま
た、半導体装置を製造する方法についても、実施例1に
て図8を用いて説明したように行えば良い。
【0076】以上、本発明を用いることによって異物発
生が抑制された安定した成膜を行うことが可能な半導体
装置の製造方法を提供することができる。更には高い信
頼性で且つ低コストである半導体装置を提供することが
可能になる。
【0077】(実施例3)本発明に基づく別の半導体装
置の製造方法に関する一実施例を、スパッタリング装置
にて薄膜を成膜し、半導体装置を製造する場合を例に説
明する。
【0078】実施例3における半導体装置の製造方法を
行うための装置構成としては図1,図2と同様である
が、防着治具4へコーティングしている溶射膜の構成が
実施例1,実施例2とは異なるため。防着治具断面を拡
大したものを図10に示す。本発明では、溶射膜/防着
治具母材間に大きなせん断力が働かない構造にすること
を目的としている。
【0079】防着治具をコーティングしている溶射膜2
11の膜厚tを、溶射膜の表面凹凸の凸部から母材被溶
射面であるブラスト面の表面凹凸の凸部までと定義し、
溶射膜211の表面粗さ,最大高さをRy(JIS規
格),溶射膜厚tと最大高さRyの差を溶射膜ベース厚
tbとする。本実施例における防着治具をコーティング
する溶射膜の構造は、この溶射膜ベース厚tbが
【0080】
【数3】tb>100μm となっていることを特徴とする。従来は、防着治具表面
が露出しないように溶射膜厚を決定していたため、溶射
膜211のベース膜厚tbは溶射パウダー平均粒径に近
い50μm程度であった。大きな応力をもつ膜が溶射膜
に付着すると、付着膜厚が厚くなるに従って溶射膜ベー
ス部分の塑性変形量が大きくなるため、最終的には溶射
膜自体が破断してはく離すると考えられる。
【0081】そこで、溶射膜ベース厚をパラメータとし
てTiN膜が堆積した場合に溶射膜に生じる主応力を有
限要素法を用いて数値解析し、適正な溶射膜ベース厚に
ついて検討を行った。溶射膜内の防着治具界面付近に生
じる主応力の溶射膜ベース厚依存性について図11に示
す。
【0082】解析モデルは図中に示すように、肉厚1mm
(=t1)のSUS304母材上に最大高さ100μm
(=Ry)の凹凸表面を持つAl溶射膜が被着してお
り、その上に300℃で真性応力1GPaをもつTiN
膜が100μm(=t3)堆積したことを想定した。主
応力の評価点は、溶射膜表面凹凸による応力集中などの
影響を受けないSUS304母材近くとした。図11内
のグラフは横軸が溶射膜ベース厚,縦軸が主応力であ
る。
【0083】溶射膜ベース厚が50μmよりも薄くする
と急激に圧縮の主応力が大きくなる。応力変化の傾きが
非常に大きいため、膜厚のばらつきによる差が大きいこ
とが分かる。75μm以上では主応力は50μm以下に
比べてかなり小さくなり、また応力変化の傾きも小さく
なることが分かる。
【0084】また溶射パウダーの粒径のばらつきは、平
均粒径が50μm程度のパウダーで粒径30〜100μ
mの範囲にばらついているため、ベース膜厚も20〜3
0μm程度はばらつきが出ることが考えられる。したが
って、パウダー粒径のばらつきを考慮し、ベース膜厚1
00μm以上として溶射を行うと、少なくとも75μm
程度の膜厚が確保されていると考えられる。
【0085】更にはベース膜厚を150μm程度にする
と主応力が30MPa程度であるため、もし溶射膜にク
ラックが生じてもクラックが進展せず、はく離までには
至らないことが予想される。このことから150μm以
上あると更に好ましい。
【0086】なお、溶射膜211の材料としては、なお
溶射膜としてはアルミニウムのような塑性変形しやすい
材料が好適であり、付着する膜の応力を緩和するような
他の材料、例えば、アルミニウム合金,チタン,チタン
合金,銅,銅合金,銀から選択される一つであってもさ
しつかえない。アルミニウム−11.7% シリコンやア
ルミニウム−17%銅などのような超塑性材料であれ
ば、より好ましい。
【0087】上記のような仕様の防着治具4表面をコー
ティングする方法について、図12を用いて説明する。
【0088】(第1工程)まず、防着治具母材4aの表
面をアルミナパウダー31などを用いてブラストし、表
面を荒らす。その表面粗さは、Rmaxが50〜5μm
程度になるようにする。ブラストした後は、防着治具母
材4aの表面に残留しているアルミナパウダーを、超音
波洗浄などで洗い流す。
【0089】(第2工程)ブラストされた防着治具母材
4bに、溶射装置を用いてアルミニウムパウダー232
を溶射し、溶射膜となるアルミニウム溶射膜211を形
成する。溶射するアルミニウムパウダー232の平均粒
径は30〜200μmの範囲内とする。
【0090】溶射する膜厚tはt>Ry+100μmと
なるようにする。t>Ry+150μmとなれば更に好
ましい。
【0091】以上のような工程によって、図10に示し
たような構造の防着治具ができ上がる。
【0092】コーティングする設備については、実施例
1の図4にて説明した方法を用いれば良い。また、半導
体装置を製造する方法についても、実施例1にて図8を
用いて説明したように行えば良い。
【0093】以上、実施例3で説明した発明を用いるこ
とによって異物発生が抑制された安定した成膜を行うこ
とが可能な半導体装置の製造方法を提供することができ
る。更には高い信頼性で且つ低コストである半導体装置
を提供することが可能になる。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に基づく成
膜方法を用いることによって異物発生を低減することが
でき、良好に成膜できるようになる。この成膜方法を用
いることによってスパッタ装置などの成膜装置を安定稼
動させ、安定した半導体装置の製造方法を提供すること
ができる。更には本半導体装置の製造方法を用いること
によって、信頼性が高く且つ低コストである半導体装置
を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施例1に係る半導体装置の製
造方法を実施する場合の成膜装置の装置構成図である。
【図2】図1の部分拡大断面図。
【図3】本発明に基づく実施例1に係る半導体装置の製
造方法を実施する場合に使用する防着治具の作製方法の
工程順を示す断面図である。
【図4】本発明に基づく実施例1に係る半導体装置の製
造方法を実施する場合に使用する防着治具へ表面処理す
るためのコーティング設備構成図である。
【図5】図4にて説明したコーティング設備により防着
治具へコーティングする場合のコーティング方法を説明
する溶射特性図である。
【図6】本発明に基づく実施例1に係る半導体装置の製
造方法を実施する場合に成膜装置内に設置する防着治具
の別のコーティング構造を示した断面図である。
【図7】図6にて説明したコーティング設備により防着
治具へコーティングする場合のコーティング方法を示す
溶射特性図である。
【図8】本発明に基づく実施例1に係る半導体装置の製
造方法の工程順を説明する断面図である。
【図9】本発明に基づく実施例2に係る半導体装置の製
造方法を実施する場合に成膜装置内に設置する防着治具
のコーティング構造を示した断面図である。
【図10】本発明に基づく実施例3に係る半導体装置の
製造方法を実施する場合に成膜装置内に設置する防着治
具のコーティング構造を示した断面図である。
【図11】本発明に基づく実施例3に係る半導体装置の
製造方法を実施する場合に成膜装置内に設置する防着治
具のコーティング構造において、コーティング膜に生じ
る主応力の溶射膜厚への依存性を示した特性図である。
【図12】本発明に基づく実施例3に係る半導体装置の
製造方法を実施する場合に使用する防着治具の作製方法
の工程順を説明する断面図である。
【図13】防着治具の表面を荒し過ぎた場合の溶射膜の
断面図である。
【符号の説明】
1…ターゲット、2…電極絶縁物、3…成膜室用真空チ
ャンバ、4…防着治具、4a…ブラスト処理前の防着治
具母材、4b…ブラスト処理後の防着治具母材、5…ウ
エハステージ、6…半導体基板、7…プロセスガス導入
用給気口、8…排気口、9…配線、10…電源、11,
111…溶射膜、11a,111a…第1溶射膜、11
b,111b…第2溶射膜、11c…第1溶射膜と第2
溶射膜の間の遷移層、12…プラズマ、13…成膜室内
スパッタ付着膜、14…防着治具断面の拡大部分、15
…半導体基板断面の拡大部分、20…第2溶射膜表面の
凹凸形状、21…第1溶射膜に形成された凹凸形状、3
1…ブラスト用アルミナパウダー、32…SUS304
パウダー、33…アルミニウムパウダー、40…第1の
溶射装置、41…第1の溶射装置の溶射ガン、42…第
1の溶射装置のホースやコード類、43…第1の溶射装
置の制御部、44…第1の溶射パウダー、45…第1溶
射パウダーによる溶射流、50…第2の溶射装置、51
…第2の溶射装置の溶射ガン、52…第2の溶射装置の
ホースやコード類、53…第2の溶射装置の制御部、5
4…第2の溶射パウダー、55…第2溶射パウダーによ
る溶射流、60…第3の溶射装置、61…溶射ガン、6
2,63…ホースやコード類、64…第3の溶射制御
部、65…第1,第2の溶射パウダーによる溶射流、1
00…ゲート酸化膜、101…ゲート電極、102a,
102b,102c,102d…絶縁膜、104a,1
04b…配線用導電性薄膜、103…コンタクトホー
ル、105…スルーホール、120…実施例2に係る第
2溶射膜上に形成された凹凸形状、121…実施例2に
係る第1溶射膜上に形成された凹凸形状、220…実施
例3に係る溶射膜上に形成された凹凸形状、220d…
溶射膜上に形成された凹凸形状、211…実施例3に係
る防着治具用溶射膜、211d…防着治具表面を粗し過
ぎた場合の溶射膜、230…溶射膜厚、230d…溶射
膜と防着治具の間に形成された隙間、231…溶射膜表
面の最大高さ、232…溶射膜ベース膜厚。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 秀 東京都小平市上水本町五丁目20番1号 株 式会社日立製作所半導体事業部内 (72)発明者 西原 晋治 東京都小平市上水本町五丁目20番1号 株 式会社日立製作所半導体事業部内 (72)発明者 内田 淳一 東京都青梅市藤橋三丁目3番2号 株式会 社日立東京エレクトロニクス内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板上に薄膜を形成する半導体装置
    の製造方法において、成膜装置の成膜室に設置する防着
    治具の表面が複数層から成る溶射膜によってコーティン
    グされており、該複数層から成る溶射膜の表面に最大高
    さ30〜500ミクロンの凹凸が形成され、且つ溶射膜
    内の層間の界面が最大高さ30〜500ミクロンの凹凸
    形状を有しており、該防着治具を設置した状態で半導体
    基板上に成膜することを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  2. 【請求項2】半導体基板上に薄膜を形成する半導体装置
    の製造方法において、成膜装置の成膜室に設置する防着
    治具の表面に第1溶射膜をコーティングし、連続して該
    防着治具の表面に第2溶射膜をコーティングし、該防着
    治具を設置した状態で半導体基板上に成膜することを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】半導体基板上に薄膜を形成する半導体装置
    の製造方法において、成膜装置の成膜室に設置する防着
    治具の表面に該防着治具の母材と同一材料が直接コーテ
    ィングされて第1溶射膜が形成され、更に該第1溶射膜
    に連続して該防着治具母材材料とは異なる材料から成る
    第2溶射膜が形成されており、該防着治具を設置した状
    態で半導体基板上に成膜することを特徴とする半導体装
    置の製造方法。
  4. 【請求項4】半導体基板上に薄膜を形成する半導体装置
    の製造方法において、成膜装置の成膜室に設置する防着
    治具の表面に該防着治具の母材と同一材料が直接コーテ
    ィングされて第1溶射膜が形成され、更に第1溶射膜の
    表面側に該防着治具母材材料とは異なる材料から成る第
    2溶射膜が形成されており、且つ第1溶射膜と第2溶射
    膜の界面に第1溶射膜材料と第2溶射膜材料が混合され
    た混合溶射膜が形成されており、該防着治具を設置した
    状態で半導体基板上に成膜することを特徴とする半導体
    装置の製造方法。
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