JP3996039B2 - 金属の溶射膜を形成したセラミック母材の製造方法 - Google Patents

金属の溶射膜を形成したセラミック母材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置のチャンバに使用されるセラミック製の治具に関し、特に、金属の溶射膜を形成したセラミック母材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の高集積化、高密度化の進歩は非常に早く、今やその加工寸法が0.18〜0.13μmと、まさにナノメーターオーダーの製品が量産されている。さらに、0.10〜0.07μmにまで到達しつつある。
【0003】
また、それに伴い配線材やバリアー材も変わり、その構造も多層化し、加工方法もダマシン加工が多く用いられる様になり、関連製造装置も超高真空化している。
【0004】
特に配線材とバリアー材の変化について見てみると、配線材については、アルミは無くなることはないが銅が多く使用される様になり、製品によってはタングステンが使われる様になる。
【0005】
アルミ配線の場合はバリアー材として窒化チタンが用いられているが、銅配線の場合は窒化タンタルが使われる。周知の通り、銅はアルミより、また、タンタルはチタンより高融点である。その上銅はアルミの3.5倍、またタンタルもチタンの3.5倍位の比重がある。
【0006】
この事から半導体製造装置のチャンバー内におけるウェハー周りの治具が受ける雰囲気はアルミ配線に窒化チタンバリアー層の組み合わせより、銅配線に窒化タンタルバリアー層の組み合わせの方が熱ストレス、重量ストレス共に大きく受けることになる。
【0007】
現在、チャンバー内のウェハー周りの治具素材には、SUSやチタンが多く使われているが、現状でも熱ストレス等による変形が問題になっている。その上、ウェハーサイズも8吋〜12吋と大型化している。必然的に周辺治具も大型化し、ストレスによる影響がより顕在化し、補修等も難しくなってきている。
【0008】
CVD,PVD等の製造装置のプロセス温度は低温になってきているがそれでも300〜400℃の熱がかかる。銅配線の場合はウェハーを300℃に温めなければならない等ストレスの原因は減ることはない。またプラズマの安定性も同時に求められている。
【0009】
このような条件を満足させる最適な治具の素材はセラミックである。セラミックは、熱膨張係数が小さく、微少なポーラスを有しているため、熱や重量によるストレスを発生させず、その上、プラズマの安定化に優れている。
【0010】
しかし、現状ではエッチング工程等、一部の工程で化学的雰囲気に強いため多く使用されているが、他の工程ではあまり使用されていない。
【0011】
このようにセラミック治具はCVD,PVD工程のウェハー周りの治具として理想的な素材であるにも拘わらず、あまり使用されていないのは、重大な欠点があるからである。それはセラミックの硬く脆弱な特性のため表面処理が難しく、成膜材である窒化タンタル等と馴染みが悪いからである。
【0012】
その理由を以下に説明する。
CVD,PVDのチャンバー内ではシリコンウエハー上に数種類の配線材やバリアー材を成膜させるが、同時に成膜材はウェハーからはみ出て周りの治具にも付着する。治具に付着した成膜材が工程中の真空チャンバー内で剥離脱落すると不良品の原因になる。
【0013】
そこで、現状では、これを防止するためSUSやチタンの治具の表面を粗し、はみだして付着した成膜材が治具に密着して剥離脱落しないような処理を施している。その場合、治具の表面は出来る限り大きく粗した方が、はみだして付着した成膜材との接着面積をより大きくして密着度を増すことができ、剥離脱落を防止することができる。
【0014】
CVD,PVD工程において、ウェハー周辺治具として、セラミック治具を使用する場合、はみだして治具に付着した成膜材を剥離脱落させないためには、その表面にSUSやチタンと同じ様な粗度を持たせる加工を施さねばならない。
【0015】
この粗面加工は、サンドブラストで加工するのだが、一般的なサンドブラストの加工条件としては、エアー圧が0.6MPa程度で、砥粒として炭化珪素100番を使用している。ウェハー周辺治具がSUSやチタンの場合は、上記の条件で、Ra(中心線平均粗さ)=5μm、Rmax(最大粗さ)=48μmの粗面を得ることができる。これに対し、セラミックではRa=2μm、Rmax=19μm程度にしかならない。すなわち、セラミックの表面処理は一般的なサンドブラストの加工条件では粗度が小さいために付着物との密着が弱く、パーティクルの剥離脱落を抑える事が出来ない。
【0016】
また、粗度の大小の他にも金属とセラミックと言う事で馴染みが悪く、強い結合力が得られないという問題もある。さらには、価格が高いこともあり、セラミックはウェハー周辺治具としてはあまり使われていない。
【0017】
そこで、セラミック母材の上にアルミのような金属を溶射してコーティング層を形成することが考えられた。熱歪みに強いセラミックに金属の特性を持たせた理想の治具材ができることになる。ただし、上述したようにセラミックと金属とは本来的に結合力が小さいので、両者をしっかりと結合させるアンカー処理が必要になる。
【0018】
セラミック母材に金属溶射被膜を形成する方法として、特開平11−45818号(特許文献1)が知られている。これは、被膜材料となる金属にレーザを照射して金属粒子を飛散させ、この金属粒子をセラミック母材に衝突させて固定し、アンカーとする。この後、スパッタリング、真空蒸着、金属溶射等々によりセラミック母材上に金属被覆膜を形成するものである。アンカーとしての金属は、レーザ照射によりセラミック母材に高速で打ち込まれるので、強固に固定されており、これがアンカーとなって、スパッタリング等で形成された金属被覆膜をセラミック母材に固定するのである。
【0019】
また、特開2000−103690号(特許文献2)では、セラミック母材上にセラミックを溶射して被膜を形成し、このセラミック被膜をアンカーとして使用し、この上に金属被覆膜を形成する方法が提案されている。
【0020】
【特許文献1】
特開平11−45818号 (段落0021,0022、図1)
【特許文献2】
特開2000−103690号 (段落0005 図1)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1記載のものは、セラミック素子の表面に電極を形成する方法としてなされたもので、アンカーとなる金属は、セラミック素子の表面に点在しているだけで、セラミックと金属とが直接結合している部分が多く、ウェハー周辺治具として使用するには、結合力が不足する。
【0021】
また、上記特許文献2記載のものは、母材のセラミックと、アンカーのセラミックとの結合力と、アンカーのセラミックと金属被覆膜との結合力の2つに問題があり、十分な結合力を得ることができない。
【0022】
半導体の製造技術は、ウェハーの大口径化、加工寸法の更なる微細化に向かうと共に熾烈な国際競争に勝ち抜く為のコストダウンも要求される。それに伴い、製造工程に於いて、ウェハー周辺の治具精度はより精緻さ及び耐ストレス性が要求される。
【0023】
本発明は、これらの事実から考えられたもので、CVD,PVD等の製造装置の治具として使用できる密着力の強い金属溶射膜を持ったセラミック母材の製造方法を提供することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の金属の溶射膜を形成したセラミック母材の製造方法は、セラミック母材の所定の表面をエアー圧0.05〜0.15MPaのサンドブラスト処理により粗面にする工程と、粗面にした表面にプラズマ・スプレー溶射法による金属溶射で第1の溶射膜を形成する工程と、該第1の溶射膜の上にローカイド・スプレー溶射法による金属溶射で粗面の第2の溶射膜を形成する工程とを有することを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のセラミック母材に金属溶射を施す方法について、説明する。本発明では、金属溶射加工の前に母材表面にアンカー(下地)処理として、サンドブラスト加工によりセラミック母材の表面を粗面化している。
【0027】
金属溶射加工とはアルミや銅等の溶射材を溶融・加速し、母材表面に衝突させてコーティングするものである。母材と溶射材の結合は化学的な結合でも、分子間結合でもなく、ただ単に母材表面の凸凹した中に溶けた溶射材が勢い良く入り込み密着し、収縮応力等により結合して形成されているだけである。故に母材の表面の凹凸を大きくし、かつ凹凸の数を多くすることでセラミックと金属との接合面を増加し、密着力を上げるのである。
【0028】
一般的なサンドブラストの加工条件としては、エアー圧が0.5〜1.0MPa程度で、砥粒として炭化珪素100番程度を用いている。しかし、これでは上記のように、Ra=2μm、Rmax=19μm程度にしかならない。その結果、溶射膜の密着力も小さく、実用性に欠ける。
【0029】
セラミック母材にアルミの溶射の場合、母材と溶射膜の密着力の適正値は経験的に、30N/mm〜50N/mmとされている。30N/mm以下だと溶射膜の割れや剥がれが起き、50N/mm以上は、母材を破壊的に痛めなければならないからである。上記通常のサンドブラスト加工によるアンカー処理では、形成された溶射膜の密着力は、8N/mm程度であり、これは指で擦ると剥がれる程度である。
【0030】
強い密着力を得るためには、サンドブラスト加工による表面粗度を大きくする必要がある。そこで、投射する砥粒として40番程度の大きな粒径のアルミナや炭化珪素を使用する。これによって、表面粗度を大きくすることができ、金属を溶射してできる溶射膜の密着力もほぼ所望の大きさにすることができる。
【0031】
しかし、この場合、セラミック母材である治具が、厚く幅の広いものであればよいが、薄かったり、先端が尖っていたり、エッジの立っていたりする治具類では、これらの部分が破損し易いので、このサンドブラスト処理では粗面化できない。また厚く幅の広い治具であっても、母材の劣化を早めてしまいリサイクル回数が減少し、価格の高いセラミック治具のコスト低減率が悪くなる。
【0032】
これに対し、本発明のアンカー処理は、セラミック母材に薄い部分があったり、エッジがあっても所望の密着力を得ることができるアンカー処理である。すなわち、本発明のアンカー処理は、サンドブラスト法において、エアー圧を0.05〜0.15MPaと低圧にしている。投射する砥粒サイズは従来とほぼ同じ80〜130メッシュとし、空気の流量と投射材を多くしている。砥粒の種類も現在と同じ炭化珪素やダイヤモンド等でよい。このようなサンドブラスト処理をすることで、セラミック母材の表面における凹凸のピークの数(ピークカウントPc)を多くすることができた。Pcを多く、すなわち、単位面積当たりの凹凸を密にする事により、Rmaxは小さいが密着力は大きくなった。また、低圧でサンドブラストを行うので、セラミック母材の傷みを最小限に抑えることができた。
【0033】
本発明のもう一つの特徴は、更に金属溶射膜の密着性を増す処理の方法を加えた事である。それは、「2段構えの溶射法」つまり、バインダーとしてプラズマ・スプレー溶射法を用いて第1の溶射膜を形成し、その上に、ローカイド・スプレー溶射法で第2の溶射膜を形成する方法である。
【0034】
半導体製造装置のチャンバー内において、セラミック治具に付着する成膜材を剥離させない為にはその表面を、より粗くしなければならない。しかし、セラミック母材自体の表面を、条件を満たすほど大きく粗らすのはセラミックの特性上無理がある。また、セラミックと金属の成膜材との結合は相性が悪く、基本的に大きな密着力は得られない。そのためにセラミック母材にアルミ溶射をするのだが、溶射膜の表面をより粗くすることが必要となる。溶射膜の表面を粗くする方法としては、4,000℃程度で行われるローカイド・スプレー溶射法が最適である。というのは、ローカイド・スプレー溶射法による溶射膜は多孔質で、粗面になるからである。つまり、溶射材が母材や、溶射材同士の上に衝突する際、間に挟まれ、閉じこめられた微少な気泡が気孔となるからである。
【0035】
しかし、セラミック母材と溶射膜との密着性を考えると、ローカイド・スプレー溶射法は難点がある。溶射の密着力は、溶射材が母材表面にぶっかり扁平化し、固まる時に発生する収縮応力が結合力の主たる要因である。この点から、より粘度の低い溶射材の方がよい。ローカイド・スプレー溶射法は溶射材の粘度が高く、溶射膜が多孔質になるので、比較的収縮応力が弱くなり、気孔が多い為、母材との密着力が劣る。これが難点の要因である。
【0036】
その反面、プラズマ・スプレー溶射法は、プラズマの高温(8,000〜10,000℃)で溶融されたアルミは他の溶射方法より粘度が低く、母材表面によりよく入り込み、閉じこめる気泡を少なくし、より収縮応力を大きくし結合力を大きくする。その上、溶射材にアルミナ・シリサイトを使うので、セラミック母材との馴染みがより良く、更にバインダー効果を上げる。
【0037】
しかしデメリットとして溶射膜表面の粗度は他の方法と比較して細かくなる。つまり真空チャンバー内において、治具表面に付着した成膜材が剥離しやすくなってしまう。
【0038】
本発明では、この二つの溶射法の長所を組み合わせた。すなわち、プラズマ・スプレー溶射法でセラミック母材との密着力の強い第1の溶射膜を形成し、この上にローカイド・スプレー溶射法により表面粗度の粗い第2の溶射膜を形成するのである。プラズマ・スプレー溶射法の第1の溶射膜と、ローカイド・スプレー溶射法による第2の溶射膜とは、同じ金属(例えばアルミニウム)同士なので相性がよく、密着力は大きくなって、剥離しにくい。
【0039】
真空チャンバー内の治具表面としては、ローカイド・スプレー溶射法により粗い面となっており、付着した成膜材をしっかりと保持し、容易に剥がれることがない。
【0040】
【実施例】
図1は、セラミック母材に種々の条件でアンカー処理を施した後アルミを溶射したデータ比較表である。図2は、図1のそれぞれのアンカー処理をし、アルミ溶射した後のセラミック母材の断面図である。
【0041】
図1のAは従来の一般的サンドブラストによるアンカー処理後にアルミを溶射したものである。図2(a)は、アルミ溶射後のセラミック母材の断面図である。セラミック母材1の表面1aはサンドブラスト処理により粗面にされ、その上にアルミの溶射膜2が被覆されている。
【0042】
アンカー処理としてのサンドブラスト処理は、エアー圧0.6MPa、砥粒は炭化珪素100番を用いた。サンドブラスト後の表面1aの測定では、Ra=2.3μm、Rmax=18.7μmとなった。10mm当たりのピーク数PCは5個であった。アルミの溶射は、プラズマ・スプレー溶射法とした。
【0043】
アルミを溶射した後、アルミの薄膜すなわち溶射膜2の密着力を測定したところ、8.15N/mmであった。この密着力は、溶射面を指でこすっただけで剥がれる程度である。
【0044】
図1のBは、砥粒を炭化珪素40番と、エアー圧を上げて1.0MPaにして噴射したものである。その他の条件はAと同じである。図2(b)は、アルミ溶射後のセラミック母材1の断面図である。セラミック母材1の表面1bはサンドブラスト処理により粗面にされ、その上にアルミの溶射膜3が被覆されている。表面1bのRa=2.5μmはAに比べてあまり変化はないが、Rmaxは46.6μm、PCは10個と大きく変化した。溶射膜3の密着力も40.4N/mmと大幅に改良された。
【0045】
この密着力の点では、上記Bは、実用性のあるレベルに達している。しかし、砥粒が大きくなり、エアー圧も上がったので、セラミック母材1の損傷の可能性が増え、特に、セラミック母材1でエッジ部や薄い加工部分を有する場合には使用できないという問題があった。また、アルミの溶射もプラズマ・スプレー溶射法を用いたので、溶射膜3の表面の粗度が不足しており、成膜材のパーティクルが剥がれ易いものであった。
【0046】
なお、溶射膜3の表面の粗度を上げるために、プラズマ・スプレー溶射法に代えてローカイド・スプレー溶射法を採用することも考えられる。しかし、その場合、溶射膜3とセラミック母材1との密着力が低下して所望の強さを得られなくなってしまう。
【0047】
図1Cは、本発明の実施例である。この実施例のアンカー処理は、図2(c)に示すように、セラミック母材1の表面1cをサンドブラストによりアンカー処理した後、プラズマ・スプレー溶射法で第1の溶射膜4を形成し、その後、ローカイド・スプレー溶射法で第2の溶射膜5を形成している。
【0048】
サンドブラスト法において、エアー圧を0.1MPaとした。投射する砥粒は炭化珪素で砥粒サイズは100メッシュを用いた。空気の流量を多くして投射材が多くワークに当たるようにしている。サンドブラスト後の粗面は、Ra=2.7μm、Rmax=28.1μmであった。一方、PCは15個と大幅に増加している。
【0049】
すなわち、本発明の低圧サンドブラスト法では、Aに比べてRa(中心線平均粗さ)はあまり変わらない。Rmax(最大粗さ)はかなり大きくなっているが、Bに比べるとかなり小さい。一方、PCはAの3倍、Bの1.5倍と大きくなっている。
【0050】
これは、従来のサンドブラスト処理によるアンカー処理は凹凸が大小バラバラでその差が大きいのに対し、本発明の低圧サンドブラスト法によるアンカー処理は、凹凸が揃っており、かつ、凹凸の数が多い(PCが多い)ということを意味している。
【0051】
図2(c)に示すように、第2の溶射膜5の表面5aには適度の凹凸が形成され、成膜材のパーティクルが付着したら、容易に剥がれないようになっている。
【0052】
溶射膜4と表面1cとの間の密着力は、47.7N/mmであった。これは、Bの40.4N/mmより大きく、十分な実用性を備えている。RmaxはBの方が大きいのに密着力は逆となった。
【0053】
従来のアンカー処理は凹凸が大小バラバラでその差が大きい。そのため溶射膜と母材の境界面から溶射膜表面方向の引っ張り応力も、非常に強い部分と、非常に弱い部分とができる。一点弱いところがあると、その弱い部分だけが剥がれるのではなく、比較的弱い引っ張り応力でも全体に剥がれて行く傾向がある。溶射膜は横の結合力も比較的強いのでこのような現象が起きる。
【0054】
密着力の最大値と最小値の差を調べると、Bでは、最大値50.0N/mm、最小値29.7N/mm、でその差は約20N/mmあった。これに対し、本発明の実施例であるCでは、最大値52.7N/mm、最小値42.7N/mm、でその差は約10N/mmとBの1/2であった。
【0055】
本発明の実施例の場合は、粗度は小さいが単位面積当たりの凹凸の密度が上がるので、接触面積が多くなり、粗度が平準化されているため前述と同じ方向の引っ張り応力が比較的均等に分散される。その結果、非常に弱い部分がないために、Rmaxが小さいにも拘わらず全体的にBより強い密着力を得ることができたものと考えられる。
【0056】
又、BのようにRmaxを大きくすると、セラミック母材に必ず欠けや、大きなえぐれができる。経験値からRmax35〜40μmを越えるとその確率は非常こ高くなる。しかし、それ以下で有れば多少の例外はあるが先端や角の欠けは非常に少なくなる。更に低くRmaxが20μm未満になるとアンカーの意味を持たない。つまりCの本発明の実施例は、極めて欠けの発生しにくい値であり、且つアンカーとしての機能を充分に発揮している事がわかる。
【0057】
また、Raは、2.0〜4.0μmの間であれば良いと考える。2.0μm未満では粗度が小さすぎて密着力を上げられない。大きい方は特に限定はないが、エアー圧や砥粒の大きさから4.0μm程度が限界であり、かつ、十分と考えられるからである。
【0058】
図1のDは、Aの一般的サンドブラストによるアンカー処理と、全く同じ条件でチタンの母材にサンドブラスト処理をした例である。図2(d)はサンドブラスト処理後の断面図である。Raは4.5μm、Rmaxは47.8μmでPCは14個で、密着力は59.8N/mmであった。
【0059】
セラミック母材1では、Aに示すようにRa、Rmax、PC共にDのチタンより小さく、そのため、密着力もチタンの59.8N/mmに対し、セラミックの8.15N/mmと極端に小さい。チタン母材6では、大きな粗度の表面6aを得ることができ、セラミックとチタンとの違いを明瞭に表している。
【0060】
チタンの密着力59.8N/mmは、試験機で使用する接着剤の密着力と同じぐらいである。この程度あれば、治具上に落下付着した成膜材のパーティクルが、剥離脱落することを防止するのに十分な密着力となる。これに対し、Cの本発明の実施例は、密着力は若干劣るものの実用的には十分な強さを有するものである。
【0061】
図1Cに示す金属の溶射膜を有するセラミック母材を、CVD,PVD等の製造装置のチャンバー内の治具として使用した場合、パーティクルの出現状況は20個以下が80%以上という結果を得た。Bに示す金属の溶射膜を有するセラミック母材の場合が、50%以下であることと比較すると、大幅な改良となっていることが分かる。
【0062】
また、セラミック母材を損傷することがないので、再生使用回数を増加させることができ、繰り返し使用することで、大幅なコスト低減を可能にした。
【0063】
なお、上記の実施例では、溶射する金属としてアルミを例示したが、銅やその他の金属を使用してもよい。また、第1の溶射膜と第2の溶射膜とを共にアルミにしたが、これもアルミと銅など、異なる金属としてもよい。金属同士であれば、第1の溶射膜と第2の溶射膜との密着力は十分な大きさを確保することができる。
【0064】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明は、セラミック母材の所定の表面を粗面にする工程と、粗面にした表面に金属を溶射して第1の溶射膜を形成する工程と、該第1の溶射膜の上に粗面の第2の溶射膜を形成する工程とを有するので、セラミック母材に密着力の強い金属の溶射膜を形成することができる。
【0065】
第1の溶射膜が、プラズマ・スプレー溶射法による金属溶射であり、上記第2の溶射膜がローカイド・スプレー溶射法による金属溶射である構成とすると、この金属の溶射膜を有するセラミック母材を半導体製造装置のチャンバー内の治具として使用した場合、CVD,PVD等の製造装置のプロセスにおける熱ストレスや重量ストレスに十分に耐えることができ、しかも、パーティクルの飛散の少ない、優れた治具を得ることができる。パーティクルの飛散が少ないので、装置の稼動時間を延ばすことができる。
【0066】
最先端の半導体製造ラインの、CVDやPVD工程における重要ポイントの一つはセラミック治具である。しかし、従来は実用に耐えるセラミック治具は存在しなかった。本発明は、その実用化を実現させるものである。この点に本発明の価値があるものと考える。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミック母材に種々の条件でアンカー処理を施した後アルミを溶射したデータ比較表である。
【図2】図1のそれぞれのアンカー処理をし、アルミ溶射した後のセラミック母材の断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック母材
1c (セラミック母材をアンカー処理した後の)表面
4 第1の溶射膜
5 第2の溶射膜

Claims (1)

  1. セラミック母材の所定の表面をエアー圧0.05〜0.15MPaのサンドブラスト処理により粗面にする工程と、粗面にした表面にプラズマ・スプレー溶射法による金属溶射で第1の溶射膜を形成する工程と、該第1の溶射膜の上にローカイド・スプレー溶射法による金属溶射で粗面の第2の溶射膜を形成する工程とを有することを特徴とする金属の溶射膜を形成したセラミック母材の製造方法。
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