JPH09268367A - プラズマ処理による薄膜形成装置及び薄膜形成方法 - Google Patents

プラズマ処理による薄膜形成装置及び薄膜形成方法

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JPH09268367A
JPH09268367A JP7847196A JP7847196A JPH09268367A JP H09268367 A JPH09268367 A JP H09268367A JP 7847196 A JP7847196 A JP 7847196A JP 7847196 A JP7847196 A JP 7847196A JP H09268367 A JPH09268367 A JP H09268367A
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adhesion
thin film
forming
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JP7847196A
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Akira Yajima
明 矢島
Hide Kobayashi
秀 小林
Hideaki Shimamura
英昭 島村
Hiroyuki Shida
啓之 志田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成膜工程中の剥離異物発生を抑制して高品質の
薄膜を形成すると共に、それにより成膜室内の全掃頻度
を低減し稼働率の向上が図れる、改良されたプラズマ処
理による薄膜形成装置を実現する。 【解決手段】プラズマ処理により不要な堆積膜が付着す
る領域に、基準膜厚まで成長した場合に形成される付着
膜612の残留応力を、それ自身の塑性歪の発生によっ
て付着膜との接合界面の剥離強さ以下に緩和すること
で、残留応力による付着膜の剥離発生を防止する下地皮
膜611を、真空槽(成膜室)602内の少なくとも防
着シールド板609上に設けておく。下地皮膜611と
しては、例えば、AlもしくはZnの超塑性合金膜、そ
の他CuAl2膜等の塑性変形が少なくとも50%以上
のものが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマ処理による薄
膜を形成装置及びそれを用いた薄膜形成方法に係り、特
に電子デバイスを構成する高品位の薄膜を形成するのに
好適なスパッタリング装置及びP−CVD装置等のプラ
ズマ処理による薄膜形成装置及び薄膜形成方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来の薄膜形成装置の一つとなるプラズ
マ処理によるスパッタリング装置(スパッタ成膜装置と
も称する)の一般的な構成は、適当な真空排気手段とそ
れによって真空排気される真空槽、真空槽内を適当な動
作圧力に維持するArガスのごとき放電用ガス導入手
段、スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲ
ットに接続され、スパッタリングターゲットを負の高電
位に維持するスパッタリング用の電源からなる。更に真
空槽内には、スパッタリングによって成膜を行う対象と
なる基板と、その基板を成膜工程中に保持するための基
板ステージを備えている。
【0003】一方、プラズマ気相成長(Plasma-Chemica
l Vapor Deposition:以下、P−CVDと略称)による
薄膜形成装置の一般的な構成は、適当な真空排気手段と
それによって真空排気される真空槽、真空槽内を適当な
動作圧力に維持する反応ガス導入手段、放電電極、放電
電極に接続されプラズマを発生させるための電源からな
る。更に真空槽内には、P−CVDによって成膜を行う
対象となる基板と、その基板を成膜工程中に保持するた
めの基板ステージを備えている。
【0004】スパッタ成膜や、P−CVDを代表例とし
たプラズマを利用した成膜技術は、非常に広い範囲で、
様々な用途に利用されているが、ここでは例えばLSI
等の電子デバイスを製造するために薄膜の形成に使用す
る場合の従来技術について説明する。
【0005】このような電子部品製造の用途では、幾何
学的な大きさが非常に小さく、成膜工程で形成する膜の
厚さもミクロンオーダの非常に薄いものである。また、
平面的な大きさも超LSIに見られるように、時にはミ
クロンオーダ以下の寸法を持つ。したがって、このよう
な電子部品の成膜工程では、小さな異物の工程中の成膜
対象基板への付着であっても、その電子部品を不良品と
してしまう。このためにプラズマ処理工程で発生する異
物は厳しく管理されなければばならない。異物の発生に
ついては十分な対策を行うことが当然必要であるが、一
方、管理としては異物が工程中に発生したことを知るこ
とが必要である。
【0006】プラズマを利用した成膜工程では、成膜対
象基板以外の場所にも、膜が形成される。この不要な成
膜が直接真空槽の壁面で起こると、清掃が大変であるの
で、通常は、真空槽の壁面を防着シールド板と呼ぶ板材
で覆い、この不要な成膜を受ける。成膜が進みある厚さ
がくると、この防着シールド板を交換したり、真空槽内
でガスやプラズマを用いてクリーニングを行うことで清
掃作業を行うことが行われている。
【0007】この不要な膜形成の厚さがある限界を越え
ると、膜が剥がれたりすることで異物の発生が起こる。
さらに、このような剥離異物はプラズマ状態に対しても
影響を及ぼし異常放電を誘起し、二次的な異物発生を引
き起こす懸念がある。
【0008】このような剥離異物の低減のためには、付
着膜剥離の少ない真空部品を用いることが重要である。
例えば、スパッタ成膜の場合、一般的に使用される防着
板はステンレス、Al、Cu等の数種類の材料について
異物発生頻度との対応を調査し選ばれる。また、表面に
凹凸を形成することで付着力を高める投錨効果を期待し
たブラスト処理、もしくはAl溶射が施されたものが用
いられる。
【0009】その他、例えば特開平4−286112号
公報に見られるように、ICを形成するウェハに対しス
パッタリング(例えばTiNの成膜プロセス)を行なっ
た時に、チャンバ内壁面を覆うシールドに付着する被膜
が圧縮応力を内包する場合には、ダミーウェハに対し引
っ張り応力を包含する被膜が形成される条件でスパッタ
リングを行なう処理を間に挟む方法が提案されている。
すなわち、この方法は、成膜中に逆応力を有する他の被
膜を積層して、これらの異なる応力を有する膜を交互に
シールドに成膜することにより内部応力を低減緩和して
剥離を防止するものである。ただし、逆応力を有する他
の被膜をシールドに積層する期間中は、正規のウェハ基
板上への成膜は中止して表面が汚染されないようにする
必要があり、このためこの処理期間はダミーウェハを用
いて成膜することになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記したようにTi
W、TiN等の高融点材料のスパッタ成膜プロセスにつ
いてもブラスト処理、もしくはAl溶射が施された防着
シールド板が用いられるが、それによっても付着膜の剥
離による異物発生のため、1ターゲット当たり5回以上
の成膜室の全掃作業、防着シールド板の交換作業が免れ
ない状況である。
【0011】特にTiNの成膜プロセスにおいては、製
品数十枚に対して剥離異物抑制に効果があると知られて
いるTiを数μmペーストする必要があり、スループッ
トを妨げている。剥離による異物発生周期あるいは上記
Tiペースト周期を延伸するためには、防着シールド板
における不要堆積膜速度を低減する方法(例えばプラズ
マ発生条件、プロセス条件の改善やチャンバの大型化な
ど)、あるいは付着膜の剥離原因を低減する方法が上げ
られる。前者は膜厚分布等、製品のプロセス条件とのマ
ッチングを取る必要や、製造装置の改造が必要となり、
実用化には困難を極める。
【0012】従って後者の剥離原因を低減する方法を実
現することが重要である。特に上記スパッタTiW膜、
スパッタTiN膜等の高融点材料の残留応力は、数GP
aの高圧縮応力となることから不要付着膜の残留応力が
剥離主原因の一つである。
【0013】したがって、本発明の目的は、上記従来の
問題点を解消することにあり、具体的にはプラズマ処理
装置のチャンバ内壁を含めた不要に付着膜が堆積する真
空部品に対して不要付着膜の剥離を引き起こす残留応力
を緩和し、剥離異物発生開始時期を延伸することによ
り、高品位のスパッタ成膜を可能とする改良された薄膜
形成装置及び薄膜形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために以下に述べるような実験検討を行っ
た。すなわち、プラズマ処理により薄膜を形成する真空
槽(チャンバ)の内壁に付着する薄膜が剥離する要因を
分析するために、予め正規の薄膜を形成する前に特定構
造の下地膜を形成しておいてから正規の薄膜を形成し、
この薄膜の残留応力と下地膜構造との相関について調べ
た。
【0015】薄膜の残留応力の解析に用いるプラズマ処
理装置としては、薄膜形成用の原料を固体(ターゲッ
ト)とするか、気体(ガス)とするかの違いがあるだけ
で、薄膜の残留応力の解析という点では基本的にはスパ
ッタリング装置による場合も、P−CVD装置による場
合も同様なので、ここではスパッタリング装置の場合を
代表例として説明する。
【0016】試料の作成は、スパッタリング装置の真空
槽内の試料台に試料基板としてSiウェハを載置して成
膜する。Siウエハ上には、予めスパッタ条件及び添加
物を変え、結晶粒径の異なるAl合金膜を下地膜として
成膜した3種類のサンプルa〜cを用意した。サンプル
a:下地膜の結晶粒径大(数10μm)、サンプルb:
下地膜の結晶粒径中(約10μm)、サンプルc:下地
膜の結晶粒径小(2μm以下)。
【0017】これら各サンプル上に、上部付着膜として
圧縮性の高いTiW、TiN等の高融点金属膜を同一膜
厚堆積した場合の残留応力、及び下地膜の再結晶温度以
下での熱サイクルを加えた時の上部付着膜の残留応力変
化について調べた。下地膜となるAl合金膜には、再結
晶温度を引き上げ、かつ結晶粒径を調整するための不純
物としてSiを添加した。その結果の概要を図1の熱履
歴特性曲線図に示す。
【0018】図1中の曲線a、b、cは各サンプルの特
性をそれぞれ示している。A点(室温)に示すが、サン
プルa、bのように結晶粒径が大きいものでは初期残留
応力が既にほぼ緩和されているが、サンプルcのように
結晶粒径が小さい下地膜ではある程度残留していること
が分かった。これは転位すべりによる塑性変形の容易さ
と関係付けられる。しかしながら、サンプルcにおいて
はB点に示すように、熱を加えることによって急激な応
力の緩和を示す領域があることが分かった。
【0019】さらにその後、数回の温度の降温、上昇の
熱履歴過程において下地膜の結晶粒径の小さなサンプル
c上の付着膜応力の変化は、低温において熱応力による
と思われる小さな変化がみられるのみであった。しか
し、下地膜の結晶粒径の大きなサンプルa上の付着膜応
力は、熱応力に起因した残留応力がそれ以上の温度にお
いても残留するようになった。
【0020】この結果は以下の様に考察することができ
る。下地膜の結晶粒の大きなサンプルaは、熱サイクル
初期には自分自身の熱膨張によって発生する熱応力を転
位滑りにより緩和させることができ、上部へ与える応力
を小さくすることができた。しかしながら、繰り返し熱
ストレスによる塑性変形による転位網の形成のため加工
硬化現象が生じ、降伏応力は高くなり高温領域において
も熱応力の緩和現象が生じなくなったものと考えられ
る。すなわち、粒内破壊に向かっていると考えられる。
【0021】一方、下地膜の結晶粒径の小さいサンプル
cにおけるある温度領域(B点を越える領域)からの緩
和現象は、結晶粒界滑りによるものと推定することがで
きる。したがって、転位滑りによる変形は期待できない
が、結晶粒成長を起こさない温度領域においては可逆的
な緩和現象を期待することができることがわかった。
【0022】次に、サンプルcによる大きな緩和現象を
示す温度Bの雰囲気における付着膜膜厚に対する残留応
力の変化を上記3種類の下地膜上とSi基板上(サンプ
ルdとする)に対して調べた。その結果の概要を図2に
示す。なお、下地膜のサンプルとしては、a及びcを代
表例として示し、サンプルbは省略した。
【0023】サンプルdのSi基板上では、膜厚が増加
すると共に残留応力がほぼ直線的に増し、サンプルaで
は初期には残留応力が見られないが、ある膜厚領域にな
ると次第に残留応力が表れることがわかった。これに対
し、サンプルcでは初期領域では応力が発生するが、そ
の後膜厚が増してもある一定応力に納まることがわかっ
た。
【0024】さらに、下地膜の凹凸による付着膜残留応
力変化の影響を調べるため、凹凸周期、及び形状(エン
ボス曲率半径r)を変化させ、その上にサンプルcと同
等のAl合金皮膜を下地膜として形成し、上部に圧縮性
の高いTiW、TiN等の高融点金属膜を形成した時の
本付着膜の残留応力を調べた。その結果の概要を図3に
示す。
【0025】エンボス曲率半径rの減少に伴って残留応
力は小さくなる傾向があることがわかった。この結果
は、次のようなモデルにより説明することができる。即
ち、表面を細かなエンボス形状にする程、付着膜の圧縮
性残留応力により緩和層の塑性変形によって引き起こさ
れた界面の面積増加分を凹部での膜厚減少及び凸部での
膜厚増加によって賄うことによって達成されていると考
えられる。逆にひっぱり応力の残留する付着膜に対して
は緩和層の塑性変形によって引き起こされる界面の面積
減少分を凹部での膜厚増加及び凸部での膜厚減少によっ
て賄うことによって達成されると類推することができ
る。
【0026】しかしながら、エンボス形状が細かすぎる
場合、図4に示すように付着膜401(不要付着膜と見
なす)の膜厚が大きくなり隣接した凸部上に堆積された
付着膜の山同志がぶつかる(この時の膜厚を有効限界膜
厚tとする)と下地による緩和効果が逆に阻害されてし
まい、それ以上の膜厚では下地402(残留応力緩和被
膜)による残留応力緩和効果は期待できないと考えられ
る。なお、図4の403はエンボス形状を有する防着板
とみなす。
【0027】すなわち、この観点からはエンボス形状は
大まかなほうが都合が良いと推定される。したがって、
有効限界膜厚tを剥離の起きてほしくない所望の膜厚と
した場合には、エンボス形状のピッチpはこの有効限界
膜厚tの少なくとも2倍以上(p≧2t)にしなければ
ならない。
【0028】ここで、図5に示すように簡単のために一
次元で、かつエンボス形状が円の重ねあわせ502とし
た場合の残留応力の緩和に要する緩和層501の伸びS
とエンボス形状のピッチとの関係を求める。なお、図5
(a)は残留応力緩和被膜の初期形状のモデル、図5
(b)は残留応力緩和被膜の塑性変形後の形状のモデル
をそれぞれ示す。
【0029】付着膜により界面に発生する残留応力を界
面の剥離強さ以上とならないように緩和するために必要
な下地皮膜の最小伸びSは、次式(1)のように見積も
ることができる。
【0030】
【数1】 S=ε(σo)−ε(σc) …(1) ただし、σo:下地が剛体であった場合の付着膜により
発生する界面の残留応力 ε(σo):応力σoで発生する皮膜弾性定数を用いた計
算上の弾性歪 ε(σc):剥離強さ相当の応力σcで発生する弾性歪 となる。
【0031】また、曲率半径がrのエンボス上の初期皮
膜膜厚dの緩和層が発揮できる最大伸びSmaxは、図5
(b)に示すように凹部膜厚が0となった場合であると
し、緩和層変形後の表面形状が楕円の重ねあわせ、すな
わち図中の503であるならば次式(2)のように表わ
すことができる。
【0032】
【数2】 Smax≒3a/(4r)+r/(4a)−1 …(2) ここでaは仮定した楕円の長径である。
【0033】aは面積保存の条件 2(a−r)=πd
より求めることができる。
【0034】したがって、Smaxはrが小さいほど大き
くなる。
【0035】実際に有効限界膜厚tまで付着膜が剥離し
ないために必要な応力緩和のための伸びSを実現するた
めにはS<Smaxとなるようなエンボス曲率半径rの上
限を初期皮膜膜厚d及び初期残留応力と剥離強さと皮膜
弾性定数の関数として求めることができる。
【0036】以上の検討結果から結晶粒径が小さく制御
され粒界滑りにより容易に塑性変形する下地膜は、堆積
された付着膜の残留応力の緩和効果を有し、また、表面
の凹凸とこの緩和層の厚さの組合せによってその緩和効
果を発揮させることができることがわかった。
【0037】したがって、上記目的を達成することので
きる本発明のプラズマ処理装置は、プラズマ処理室内に
配設した真空部材のプラズマ処理により不要な付着膜が
堆積する領域に、この付着膜が基準膜厚まで堆積するま
で付着膜との間に生じる残留応力成分を、それ自身の塑
性歪の発生によって付着膜との接合界面の剥離強さをを
越えないように緩和することで残留応力による付着膜の
剥離発生を防止する皮膜を具備したことを特徴とする。
【0038】そして、好ましくは上記真空部材の皮膜
が、2μm以下の結晶粒組織で構成され、300℃以下
において真空部材の降伏応力以下で、さらに不要付着膜
と皮膜との間、及び皮膜と真空部材の間の接合界面の剥
離強さ以下の応力で降伏し、破断もしくは亀裂発生に至
るまでの伸びが粒界滑りによる塑性変形によって少なく
とも50%以上、好ましくは100%以上を示す皮膜で
あることを特徴とする。
【0039】上記皮膜を構成する粒界滑りにより容易に
塑性変形する下地膜としては、例えばAlもしくはZn
の超塑性合金膜、その他CuAl2超塑性合金膜等が挙
げられる。
【0040】
【発明の実施の形態】上記で述べたように基板ホルダや
防着シールド板等の不要に堆積膜が付着する真空部品の
表面に剥離原因となる付着膜との界面の残留応力を粒界
滑りによる塑性変形により緩和する皮膜を設けること
と、その緩和を実現させるために付着膜の幾何学的付着
形態を考慮に入れて、初期皮膜膜厚d及び下地が剛体で
ある場合に発生する残留応力と剥離強さと皮膜弾性定数
の関数から求められる表面形状としておくことで、不要
付着膜の残留応力を界面の剥離強さ以上にならないよう
に緩和でき、これによって不要堆積膜の剥離による異物
の発生を低減することができる。
【0041】
【実施例】以下、図面にしたがって本発明の一実施例を
説明する。 〈実施例1〉図6は、スパッタ成膜装置の場合を代表例
として示したものである。成膜対象である基板601は
基板搬送手段(図示せず)により、スパッタ成膜を行う
真空槽602に搬入される。
【0042】真空槽602は、真空排気手段(図示せ
ず)によって真空排気されている。同時に、ガス導入手
段(図示せず)によって真空槽602にはArガスが導
入され、真空槽602の内部圧力は0.1mTorr〜
20mTorr程度に保たれる。
【0043】基板601は、基板ホルダ603上に置載
されている。また、基板601は成膜プロセスを行う時
には、クランプリング608により固定される。基板の
固定方法の詳細は省略しているが、基板ホルダ603が
上下に昇降することによりクランプリング608との間
で挟持される構造になっている。
【0044】基板601に対向してスパッタリング電極
605を設けた。スパッタリングターゲット606に
は、スパッタリング電極605を介して不図示のスパッ
タ電源が接続されている。スパッタリングターゲット6
06の前面には、プラズマ607が発生し、このプラズ
マ607から発し、スパッタリングターゲット606に
向かって加速されたイオン(図示せず)が、スパッタリ
ングターゲット606を衝撃しスパッタリングターゲッ
ト606を構成している材料を分子レベルで飛散させ、
成膜対象基板1上に付着膜612を形成した。なお、ス
パッタリングターゲット606にはTiW(チタンとタ
ングステンの混合物)を、基板601にはSiウェハ
を、それぞれ用いた。
【0045】真空槽602内部の壁面には、防着シール
ド板609が着脱自在に取り付けられている。防着シー
ルド板609は、絶縁物610を介して真空槽602の
内壁に取り付けられている。基板ホルダ3、クランプリ
ング8および防着シールド板609の表面は1mm周期
の凹凸の上に、予め下地皮膜611として低温で超塑性
を示すAl−Zn系合金を5μm形成した。
【0046】スパッタリングターゲットより飛散してき
たスパッタリングターゲット606を構成している材料
の分子(チタンとタングステン)は成膜対象基板1上だ
けでなくクランプリング608および防着シールド板6
09上にも付着する。
【0047】なお、下地皮膜611は、スパッタリング
ターゲット606に下地皮膜形成用のターゲットとなる
Al−Zn系合金を用いて付着膜612の成膜処理と同
様のプラズマ処理によって形成した。
【0048】なお、ここでは正規の付着膜112が基板
601上に形成される前に、下地皮膜611をスパッタ
リングにより基板601上を含むクランプリング608
および防着シールド板609等の成膜室内に付着させた
が、実際の成膜工程においては、正規の付着膜112を
基板601上に直接成膜することが必要であり、それに
際しては基板601としてダミー基板を用いて基板上を
含む成膜室内に下地皮膜をスパッタリングにより予め成
膜しておき、その後で正規の付着膜112を成膜すれば
良い。
【0049】図7に評価結果を示すが、この場合はダミ
ー基板を用いて予め基板上を含む成膜室内に下地皮膜6
11をスパッタリングにより形成してから、基板を正規
のものに替えて所定膜厚の付着膜612を連続10,0
00枚の基板について成膜したものである。
【0050】すなわち、図7には製品の着工枚数と異物
発生数の関係を下地皮膜611を形成した場合(○印)
と、形成しない場合(△印)とを比較して示している。
図示のように皮膜611を形成しない場合は、2000
枚程度で異物が多発するようになった。これに対し、予
め成膜室内に下地皮膜611を形成した場合にはターゲ
ット交換時期である10,000枚まで異物の発生頻度
は増加しなかった。
【0051】なお、ダミー基板を用いて予め基板上を含
む成膜室内に下地皮膜611をスパッタリングにより形
成する代わりに、成膜室内の少なくとも防着シールド板
609上に同種の下地皮膜611を予め別工程で形成し
ておいてもよい。
【0052】以上は直流スパッタリング装置についての
実施例であるが、同様な方式でP−CVD装置、その他
プラズマ処理装置についても上記皮膜を適用することが
できる。次の実施例2ではP−CVD装置について説明
する。
【0053】〈実施例2〉図6のターゲット606の代
わりに、成膜原料としてCVDガスを用いる。ガス導入
手段(図示せず)によって真空槽602にはArガスと
共に、CVDガスとしてSiH4とNH3ガスがそれぞれ
流速8sccm、160sccmで導入され、真空槽6
02の内部圧力は20mTorr程度に保たれる。基板
ホルダ3、クランプリング8および防着シールド板60
9の表面は1mm周期の凹凸の上に、予め下地皮膜61
1として低温で超塑性を示すAl合金(CuAl2)を
200μm形成した。
【0054】このようにして下地皮膜611上に、厚さ
0.1μmのSiN層を成膜した。この成膜を試料1,
000枚数に対して連続的に行なっても異物の発生は見
られなかった。しかし、比較例として下地皮膜611に
塑性変形40%のTi系合金を形成した場合には、Si
N層の成膜試料枚数が50枚目から異物の発生がみられ
た。また、下地皮膜611を形成しない場合には、さら
に早く10枚目から異物の発生がみられた。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように本発明により、所期
の目的を達成することができた。すなわち、プラズマ処
理による成膜中の剥離異物の発生を飛躍的に低減するこ
とができ、それによって不良製品の作り込みの防止およ
び装置の全掃頻度低減による稼働率の向上の面で大きな
効果ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための、結晶粒径の異
なる下地膜上に形成された高融点付着膜のウエハ温度に
対する残留応力の熱履歴特性曲線図。
【図2】下地膜の影響による付着膜膜厚変化に対する残
留応力の傾向を示す特性図。
【図3】下地膜による残留応力緩和を助長するエンボス
形状の効果を示す特性図。
【図4】エンボス上に堆積された付着膜の有効限界膜厚
を示す断面模式図。
【図5】エンボス形状のモデルと残留応力緩和皮膜の変
形モデルを示す断面模式図。
【図6】本発明の一実施例となるスパッタリング成膜装
置の概略断面図。
【図7】本発明の実施例で得られた成膜工程における異
物発生抑制効果を示す特性図。
【符号の説明】
401…不要付着膜、 402…残留応力緩和皮膜、 403…エンボス形状を有した防着板、 501…残留応力緩和皮膜の初期形状のモデル、 502…エンボス形状のモデル、 503…残留応力緩和皮膜の塑性変形後の形状のモデ
ル、 601…成膜対象基板、 602…チャンバ、 603…試料ホルダ、 605…スパッタ電極、 606…スパッタリングターゲット、 607…プラズマ、 608…クランプリング、 609…防着シールド板、 610…絶縁物、 611…残留応力緩和下地皮膜。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/285 H01L 21/285 C (72)発明者 志田 啓之 東京都小平市上水本町五丁目20番1号 株 式会社日立製作所半導体事業部内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラズマ処理室内に配設した真空部材のプ
    ラズマ処理により不要な付着膜が堆積する領域に、付着
    膜が基準膜厚まで堆積するまで付着膜との間に生じる残
    留応力成分を、それ自身の塑性歪の発生によって付着膜
    との接合界面の剥離強さを越えないように緩和すること
    で残留応力による付着膜の剥離発生を防止する下地皮膜
    を配設して成るプラズマ処理による薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の薄膜形成装置において、真
    空部材の下地皮膜が2μm以下の結晶粒組織で構成さ
    れ、300℃以下において真空部材の降伏応力以下で、
    さらに不要付着膜と下地皮膜との間、及び下地皮膜と真
    空部材の間の接合界面の剥離強さ以下の応力で降伏し、
    破断もしくは亀裂発生に至るまでの伸びが粒界滑りによ
    る塑性変形によって50%以上を示す下地皮膜で構成し
    て成る薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】真空部材のプラズマ処理により不要な付着
    膜が堆積する領域に防着シールド板が配設され、この防
    着シールド板はその表面に所定の結晶粒径に制御された
    下地皮膜を有して成る請求項1もしくは2記載の薄膜形
    成装置。
  4. 【請求項4】下地皮膜が少なくともAlもしくはZnの
    超塑性合金で構成されて成る請求項1乃至3のいずれか
    一つに記載の薄膜形成装置。
  5. 【請求項5】不要付着膜と皮膜の接合界面の剥離強さ
    と、不要付着膜に対する基準膜厚における接合界面の残
    留応力と、皮膜の歪速度の応力依存性とによって計算さ
    れる付着膜との接合界面の剥離強さ以下に緩和するため
    に要した塑性歪による皮膜の表面積の増加分もしくは減
    少分を、凹部と凸部での膜厚変化により代償させるよう
    に皮膜形成時の膜厚に対して設計された表面凹凸の間隔
    及び形状を有する真空部材で処理室内の少なくともプラ
    ズマ処理により不要な付着膜が堆積する領域を構成して
    成る薄膜形成装置。
  6. 【請求項6】プラズマ処理による薄膜形成装置を、スパ
    ッタ成膜装置で構成して成る薄膜形成装置。
  7. 【請求項7】プラズマ処理による薄膜形成装置を、P−
    CVD成膜装置で構成して成る薄膜形成装置。
  8. 【請求項8】プラズマ処理室内に配設した真空部材のプ
    ラズマ処理により不要な付着膜が堆積する領域に、付着
    膜が基準膜厚まで堆積するまで付着膜との間に生じる残
    留応力成分を、それ自身の塑性歪の発生によって付着膜
    との接合界面の剥離強さを越えないように緩和すること
    で残留応力による付着膜の剥離発生を防止する下地皮膜
    を配設するに際し、下地皮膜の形成材料となるスパッタ
    リングターゲットを少なくともAlもしくはZnの超塑
    性合金で構成し、スパッタリング成膜処理によって所定
    膜厚の下地膜を形成する工程を有して成るプラズマ処理
    による薄膜形成方法。
  9. 【請求項9】下地膜を形成する工程において、下地膜の
    結晶粒径を制御する工程を有して成る請求項8記載のプ
    ラズマ処理による薄膜形成方法。
  10. 【請求項10】基板ホルダ上にダミー基板を載置し、真
    空部材のプラズマ処理により不要な付着膜が堆積する領
    域にスパッタリング処理によって下地皮膜を形成する工
    程と、基板ホルダ上に正規の基板を載置し、スパッタリ
    ングターゲットを替えて所定膜厚の付着膜をプラズマ処
    理により成膜する工程とを有して成る請求項8もしくは
    9記載のプラズマ処理による薄膜形成方法。
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