JPH11332556A - 新規微生物及びそれを用いたコガネムシ科昆虫の防除方法 - Google Patents
新規微生物及びそれを用いたコガネムシ科昆虫の防除方法Info
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- JPH11332556A JPH11332556A JP10150362A JP15036298A JPH11332556A JP H11332556 A JPH11332556 A JP H11332556A JP 10150362 A JP10150362 A JP 10150362A JP 15036298 A JP15036298 A JP 15036298A JP H11332556 A JPH11332556 A JP H11332556A
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Abstract
科幼虫の防除に有効な微生物、及びその胞子を用いたコ
ガネムシ科幼虫の防除方法及び微生物製剤を提供する。 【解決手段】 バチルス・ポピリエ・セマダラ株の菌
体、好ましくは胞子、又は該胞子を含む組成物をドウガ
ネブイブイをはじめとするコガネムシ科幼虫に摂取さ
せ、該微生物を感染させることによって、コガネムシ科
幼虫を防除する。
Description
エに属する新規微生物、その胞子を用いたコガネムシ科
昆虫の防除方法および微生物製剤に関する。前記微生物
は、植物害虫であるコガネムシ科幼虫に対して乳化病を
誘発することができるので、コガネムシ科昆虫に対する
微生物農薬として利用することができる。
園などにおいて植物害虫となっているコガネムシ科昆虫
に対して、その防除には化学合成された農薬を用いるこ
とが一般的であった。しかし、環境問題が重要視される
時代背景下、自然環境や人体への悪影響が懸念される化
学農薬に代わって、環境保全に貢献することのできる安
全性の高い生物的防除法が切望されている。
性を有する微生物を用いた微生物農薬が開発されてお
り、例えば、鱗翅目や蚊の幼虫に対して病原性を有する
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiens
is)の生菌又はその殺虫成分を農薬とするいわゆるBT
剤は代表的なものとして知られている。
されたマメコガネ(Popillia japonica)幼虫から単離
されたバチルス・ポピリエに属する微生物が、マメコガ
ネ幼虫に対して乳化病を誘発することが知られており、
既に、米国においては該微生物を用いた微生物製剤が市
販されている。しかしながら、該微生物は日本で重要害
虫となっているドウガネブイブイ(Anomala cuprea)に
対しては効果がない(農業有用微生物−その利用と展望
− 梅谷献二、加藤肇 236頁 1990年)ため、
我が国においてコガネムシ科幼虫防除剤として使用する
には満足できるものではなかった。
バチルス属細菌としては、バチルス・チューリンゲンシ
スに属する微生物(バチルス・チューリンゲンシス・バ
ー・ジャポネンシスN141株、特開平8−22878
3号公報)が知られているが、バチルス・ポピリエに属
する微生物では知られていない。
らなされたものであり、ドウガネブイブイをはじめとす
るコガネムシ科昆虫の防除に有効な微生物、及びその胞
子を用いたコガネムシ科昆虫の防除方法及び微生物製剤
を提供することを課題とする。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ドウガネブイブイや
セマダラコガネ(Blitopertha orientalis)の幼虫に対
する強い殺虫活性を有するバチルス・ポピリエに属する
新規な微生物を見出し、この知見に基づいて本発明を完
成するに至った。
及びドウガネブイブイに殺虫性を示すことを特徴とする
バチルス・ポピリエ(Bacillus popilliae)に属する微
生物、(2)バチルス・ポピリエ・セマダラ(Bacillus
popilliae semadara)株(FERM P−1681
8)である(1)に記載の微生物、(3)上記(1)に
記載の微生物をコガネムシ科昆虫に作用させることを特
徴とするコガネムシ科昆虫の防除方法、(4)上記
(1)に記載の微生物の胞子をコガネムシ科昆虫に作用
させることを特徴とする(3)に記載の方法。(5)コ
ガネムシ科昆虫がドウガネブイブイ昆虫であることを特
徴とする(3)に記載の方法。(6)コガネムシ科昆虫
を防除するための微生物製剤であって、(1)に記載の
微生物の胞子を含む微生物製剤、に関するものである。
除」とは、コガネムシ科昆虫、特にコガネムシ科幼虫の
駆除、及びコガネムシ科幼虫による植物虫害の予防及び
改善をいう。
イに殺虫性を示すことを特徴とするバチルス・ポピリエ
に属する微生物である。該微生物として具体的には、バ
チルス・ポピリエ・セマダラ株が挙げられる。バチルス
・ポピリエ・セマダラ株は、千葉県千葉市において乳化
病に冒されたセマダラコガネ幼虫から、後記実施例に示
すようにして単離された株である。バチルス・ポピリエ
・セマダラ株は、平成10年5月21日より通商産業省
工業技術院生命工学工業技術研究所(郵便番号305
日本国茨城県つくば市東一丁目1番3号)に受託番号F
ERM P−16818の受託番号で寄託されている。
の細菌学的性質を表1に示す。この細菌学的性質、特に
40℃までの温度条件下で生育できる点、及びセマダラ
コガネに対し乳化病を誘発するという病原性から、本菌
株はバチルス・ポピリエに属することを認めた。さら
に、本菌株の病原スペクトルを調べたところ、ドウガネ
ブイブイ幼虫に対しても殺虫効果を有することが認めら
れ、従来公知のいずれのバチルス・ポピリエとも異なる
新規な微生物であることが判明した。そこで、本菌株を
バチルス・ポピリエ・セマダラ株と命名した。
法及び微生物製剤 本発明の微生物をコガネムシ科昆虫に作用させることに
より、コガネムシ科昆虫を防除することができる。本発
明の微生物をコガネムシ科昆虫に作用させることは、本
発明の微生物の菌体又は胞子、好ましくは胞子を、コガ
ネムシ科昆虫、好ましくは幼虫の体内に取り込ませるこ
とにより行われる。
虫に広く適用し得るが、特にセマダラコガネ及びドウガ
ネブイブイに対して好適に適用することができる。コガ
ネムシ科昆虫体内に取り込ませるのは、本発明の微生物
の菌体であってもよく、本発明の微生物が形成する胞子
であってもよいが、胞子が好ましい。胞子は、例えば、
次に示すようにして調製することができる。コガネムシ
科幼虫、好ましくはセマダラコガネ幼虫あるいはドウガ
ネブイブイ幼虫に本発明の微生物を取り込ませる。具体
的には、本発明の微生物を前記幼虫の存在する飼育培土
などに散布し、経口的に摂取させるか、又は、体液中に
注射することにより注入する。この幼虫を好ましくは3
週間〜4週間飼育し、該幼虫体内で本発明の微生物を増
殖させる。幼虫体内で増やした胞子は、例えば、幼虫を
切開あるいは穴をあけるなどして体液を採取し、得られ
た体液を例えば遠心分離又は濾過することによって、得
ることができる。
用いてもよく、あるいは必要に応じて水あるいは中性の
緩衝液、例えばPBS緩衝液(NaCl8g、KCl
0.2g、Na2HPO4 1.44g、KH2PO4 0.
24g/1L、pH7.4)、リン酸緩衝液、又はTr
is−HCl緩衝液、好ましくはPBS緩衝液で洗浄し
てもよい。更に、胞子は、乾燥して粉末にしてもよい
し、水あるいは上記緩衝液の懸濁液としてもよい。ま
た、胞子は、微生物農薬等の微生物製剤に製造に通常用
いられる担体、栄養剤等の成分と混合し、得られる組成
物を微生物製剤として使用することもできる。さらに、
この組成物にバチルス・チューリンゲンシスの菌体又は
その殺虫成分を混合することによって、本発明の微生物
と併用してもよく、コガネムシ幼虫に対してこれらの相
乗作用が期待される。
コガネムシ科幼虫を防除しようとする芝地、果樹園、農
地などに土壌1m2当たり胞子数が1×106個から1×
10 14個、好ましくは1×109個から1×1013個と
なるように散布して行う。その後、必要に応じて1m2
当たり1Lから2Lの散水し、及び/あるいは土壌を鍬
こみ混和してもよい。懸濁液を用いる場合は、水あるい
は前記中性緩衝液で1×106個/Lから1×1014個
/L、好ましくは1×109個/Lから1×10 13個/
Lとなるように懸濁したものを用いることが好ましい。
説明する。
同定 千葉県千葉市に所在する千葉県農業試験場芝草試験園場
おいて1997年の夏、セマダラコガネ幼虫が大発生し
た。高密度となった該幼虫個体群の中には、体が乳白色
に変化しているものが多数発見され、そのほとんどが2
週間以内に死亡するという現象が観察された。この乳化
病に冒されたセマダラコガネ幼虫から以下に示す方法で
病原菌株を単離した。即ち、乳白色になり死亡した幼虫
に注射針で穴をあけ、血体腔から乳白色の体液を回収し
た。
取した。顕微鏡観察により、この画分には、細菌の胞子
が含まれていると推定された。この画分を60℃で15
分間熱処理した後、MYPGPプレート(ミュラー−ヒ
ントンブロス(Mueller-Hinton broth)10g、酵母エキ
ス10g、K2HPO4 3g、C3H3O3Na1g、グル
コース0.5g、寒天20g/1L)に繰り広げ、30
℃で、嫌気状態で7日間培養した。培地上に形成したコ
ロニーを分離し、再び前記と同様にして培養する操作を
繰り返すことにより純粋菌株を分離した。上記のように
して分離された菌株の細菌学的性質を調べた結果を表1
に示す。
チルス・ポピリエに属することを認めた。バージェイズ
・マニュアル・オブ・デターミネイティブ・バクテリオ
ロジー(Bargeys Manual of Determinative Bacteriolo
gy)に記載されているバチルス・ポピリエの菌学的性質
によれば、形態的性質は長さ:1.3〜5.2μm、
幅:0.5〜0.8μmの桿菌であり、生育温度が20
〜35℃である点以外は、表1と一致する。尚、バージ
ェイズ・マニュアル・オブ・デターミネイティブ・バク
テリオロジーには、3%NaCl存在下での生育につい
ては記載されていない。一方、実施例3及び実施例4に
示すように、上記菌株はセマダラコガネやドウガネブイ
ブイなどのコガネムシ科幼虫に対し乳化病を誘発すると
いう病原性を有していた。ドウガネブイブイ幼虫に対し
ても殺虫効果を有する点で、本菌株は従来公知のいずれ
のバチルス・ポピリエとは異なる新規な微生物であり、
バチルス・ポピリエ・セマダラ株と命名した。
分の製造 腐葉土と砂を3:1の割合で混合した飼育培土を直径6
cmのプラスチックカップに20gを入れ、乳化病に感
染していた幼虫から採取した胞子を1×103個程度散
布した。セマダラコガネ3令幼虫をカップに入れ、25
℃で飼育した。幼虫の体が乳白色を帯びてきた時点で体
表面を1%次亜塩素酸ナトリウム液で殺菌し、注射針で
穴をあけ体液を採取した。該体液から10000rpm、
5分間の遠心分離により胞子を回収した。胞子をPBS
緩衝液で2回洗浄し、1×109個/mlとなるように
調整し、胞子画分とした。
体液中に注射により栄養細胞を1頭当たり約100個程
度注入し、30℃で2週間〜4週間飼育し、乳白色にな
った幼虫の体表面に穴をあけ体液を採取すればよい。
する殺虫活性 腐葉土と砂を3:1の割合で混合した飼育培土を直径6
cmのプラスチックカップ20個に各20gずつ入れ、
胞子数が1×107個となるように実施例2で得た胞子
画分を散布した。同様にして胞子数が1×107個とな
るようなカップも20個用意した。ぞれぞれのカップに
セマダラコガネ3令幼虫を1頭ずつ、更にサツマイモ小
片を1つずつ入れ、25℃で40日間飼育しながら死亡
個体数を調べた。また、死亡幼虫体内に胞子が形成され
ているかどうか体液を顕微鏡で調べた。
カップ散布した区では、30日目以降40%の幼虫の死
亡が確認された。1×108個/カップ散布した区にお
いては散布後14日目から乳白色になった個体が観察さ
れ、散布後30日目で100%の幼虫が死亡し、60%
が体内に胞子を形成していた。
対する殺虫活性 ドウガネブイブイの2令幼虫を用い、実施例3と同様の
方法で行った。ただし、飼育培土として腐葉土と火山灰
土を1:1の割合で混合したものを使用した。
カップ散布した区では、30日目以降15%の幼虫の死
亡が確認された。1×108個/カップ散布した区にお
いては散布後18日目から乳白色になった個体が視察さ
れ、散布後40日目で95%の幼虫が死亡し、55%が
体内に胞子を形成していた。
軽減 芝を生やした面積約500cm2のポットを用意し、そ
の土中にドウガネブイブイ2令幼虫を1ポット当たり1
0頭ずつ埋めた。該ポットに、実施例2で得た胞子を
1.25×1010個/m2あるいは1.25×1011個
/m2となるように散布した。また、胞子を散布しない
区も対照として設けた。それぞれの区における芝の被害
度を30日間にわたって観察した。試験は各区4連で行
い、被害度を平均値で表4に示した。
対し致死性の乳化病を誘発するため、菌体、特に胞子を
幼虫に作用させることによってコガネムシ科幼虫を防除
し、芝、牧草、果樹、農園芸植物などを該害虫の被害か
ら保護することができる。特に本微生物は、バチルス・
ポピリエに属する微生物としては、日本で重要害虫とな
っているドウガネブイブイの幼虫に対しても殺虫作用を
有することが示された初めての菌株であり、よって我が
国におけるその使用効果は非常に大きい。その上、自然
環境への悪影響や人体への毒性はほとんどなく、本発明
の防除方法は地球環境保全にも貢献する優れた防除方法
である。
Claims (6)
- 【請求項1】 セマダラコガネ及びドウガネブイブイに
殺虫性を示すことを特徴とするバチルス・ポピリエ(Ba
cillus popilliae)に属する微生物。 - 【請求項2】 バチルス・ポピリエ・セマダラ株(Baci
llus popilliae semadara)(FERM P−1681
8)である請求項1記載の微生物。 - 【請求項3】 請求項1記載の微生物をコガネムシ科昆
虫に作用させることを特徴とするコガネムシ科昆虫の防
除方法。 - 【請求項4】 請求項1記載の微生物の胞子をコガネム
シ科昆虫に作用させることを特徴とする請求項3記載の
方法。 - 【請求項5】 コガネムシ科昆虫がドウガネブイブイ昆
虫であることを特徴とする請求項3記載の方法。 - 【請求項6】 コガネムシ科昆虫を防除するための微生
物製剤であって、請求項1記載の微生物の胞子を含む微
生物製剤。
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-
1998
- 1998-05-29 JP JP15036298A patent/JP3898343B2/ja not_active Expired - Fee Related
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