JPH11330415A - 誘電体薄膜及びその形成方法 - Google Patents

誘電体薄膜及びその形成方法

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JPH11330415A
JPH11330415A JP10133000A JP13300098A JPH11330415A JP H11330415 A JPH11330415 A JP H11330415A JP 10133000 A JP10133000 A JP 10133000A JP 13300098 A JP13300098 A JP 13300098A JP H11330415 A JPH11330415 A JP H11330415A
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JP
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thin film
dielectric thin
forming
bst
heat treatment
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JP10133000A
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Michihito Ueda
路人 上田
Takashi Otsuka
隆 大塚
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容量低下の防止とリーク低減を同時に達成す
ることができる誘電体薄膜とその形成方法を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 例えばBSTからなる第1の誘電体薄膜
3を形成した後第1の熱処理を行い、さらに例えばBS
Tからなる第2の誘電体薄膜5を形成した後第2の熱処
理を行う。この時、粒界絶縁物形成が、粒界に偏析する
カーボン化合物の除去中または除去後となるため、リー
クパスが形成されないため、リーク電流が小さく、絶縁
耐圧の高い誘電体薄膜を実現できる。また、微小な空洞
に対してはもリーク抑制層を埋め込むことが可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンデンサや、半
導体メモリの容量膜に用いられる誘電体薄膜とその形成
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マルチメディア社会の進展にともない、
そこで扱われるデジタル情報はますます大容量化し、半
導体メモリについても、今後ますます大容量化が進展す
ると予想される。しかしながら、例えばダイナミックラ
ンダムアクセスメモリ(以下、DRAMと表記)におい
ては、これら大容量化にともない、微細なセルを形成す
る必要がある一方で、各セルで確保する電荷容量は、ほ
ぼ従来通りの値(およそ30fF)を確保する必要があ
る。このため、近年、セルの容量膜に、例えば、チタン
酸バリウム・ストロンチウム(以下、BSTと表記)な
どの高誘電率の材料を適用することにより容量を確保し
ようとする動きが盛んになってきた。
【0003】しかしながら、BSTは多結晶体であるた
め、リークパスが形成されて初期短絡不良により超LS
Iへの適用が可能なほど高い歩留が得られない。このよ
うな、BSTなどの多結晶強誘電体のリークを低減する
従来技術の例としては、例えば特開平8−31951号
公報に記載の「強誘電体薄膜キャパシタ及びその製造方
法」が挙げられる。
【0004】図6に、従来技術の誘電体薄膜の断面構造
を示す。図6において、101はSi基板、102はT
iN、103はPt(白金)、104は結晶BST(チ
タン酸バリウム・ストロンチウム)を示している。また
105はリーク抑制層であり、非晶質STO(チタン酸
ストロンチウム)などからなる。106は空洞部であ
り、結晶BSTの結晶粒界に生じている。
【0005】以下、図6により、従来技術におけるリー
ク低減の作用を説明する。図6において、酸化したシリ
コン基板101の上に接着層としてTiN膜102をス
パッタ法によって約50nm形成し、200nmの膜厚
のPt膜103をスパッタ法によって形成する。その
後、BST膜104をBSTセラミックスのタ−ゲット
材を用いてO2/Ar混合ガス中で約200nmの膜厚
に堆積する。その際、基板温度が約650℃の状態で膜
形成を行い、結晶化したBST膜104を成長させる。
これは、500℃以下で形成される非晶質BSTの比誘
電率が約30と、結晶化したBSTの比誘電率約300
に比べて小さいためである。ここで、図6に示すように
BST膜104の結晶粒界の一部には空洞部106が発
生している。この空洞部106に上部電極Pt膜をスパ
ッタ法により形成する際、Ptが侵入し上部電極と下部
電極が短絡する。そこで、リーク抑制層105として約
400℃の基板温度で非晶質のSTO膜を約10nm以
下の膜厚でBST膜104上に形成し、その後Pt上部
電極をスパッタ法により約200nm程形成すること
で、上下のPt電極の短絡を防ぐ効果が得られる。
【0006】この時、BST膜104は結晶化してお
り、その比誘電率は約300であったが、リーク抑制層
105である非晶質STOの比誘電率は約20と小さ
い。そのため、この積層構造では静電容量はBST膜1
04の単層構造に比べて約25%減少する。しかしなが
ら、この多層化によって膜のリーク電流は約2桁程度改
善することができ、かつ、BST膜104の空洞による
と思われる初期絶縁破壊率は著しく減少するのでキャパ
シタの歩止りがより改善する。
【0007】しかしながら、上記のリーク低減手段で
は、リークを抑制するのに非晶質のSTOを用いていた
ため、キャパシタの全体的な静電容量が減少してしま
う。これに対し従来技術例には、さらに熱処理を加えS
TOを結晶化させたり、さらにSTOの代わりにBST
によりリーク抑制層を形成することでこれら容量減少を
抑制することについても言及している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなリーク抑制層の結晶化のために再度熱処理を加えた
場合、短絡は生じないものの、リーク低減の効果が低下
するという課題があることを本発明者らは見出した。
【0009】以下、図7を用い、結晶化のための高温熱
処理の際にリークが増加する機構を説明する。なお、図
7において、図6と同一のものには同一番号を附記し説
明を省略する。図7において、111はカーボン化合
物、113は気相カーボン化合物、121は残留化合物
であり、カーボン化合物111が熱分解し、気相カーボ
ン化合物113を脱離した後の残留物である。
【0010】スパッタ成膜に用いられるターゲット中に
は、ターゲット作製の工程上、多量のカーボンが含有さ
れるため、これを用いて成膜したBST膜104中にも
多量のカーボンが残留する。これら残留カーボンはBS
T成膜中の酸素雰囲気により酸化され、例えばBaCO
xやSrCOxなどの化合物としてや、さらに不安定な酸
化水素化炭化バリウム、酸化水素化炭化ストロンチウム
として粒界に多量に残留し、図7(a)に示すようにB
STの粒界にカーボン化合物111として偏析した状態
となっている。
【0011】図7(b)はこのようなBST膜に熱処理
を施した場合のカーボン化合物脱離の様子を示してい
る。およそ600℃以上で分解が始まり、例えばBaO
とCO x、またはSrOとCOxに分解され、図7(b)
に示した気相カーボン化合物113としてCO2やCO
などが排出され、同時に粒界には残留化合物121とし
て、例えばBaOやSrOが残留する。この時、BST
の粒界には体積減少や凝集により空洞部や、明確な空洞
を形成しないまでも電流の流れやすい経路(リーク経
路)が形成され、リーク電流の増加や絶縁耐圧の低下、
最悪の場合には短絡を生じるようになる。
【0012】このようなリーク増加の機構は、例えば有
機金属減圧化学気相成長法(以下MOCVD法と表記)
やスピン塗布で形成した多結晶誘電体薄膜においても同
様であり、膜中にカーボンを含有する多結晶誘電体薄膜
に熱処理を施した場合、同様にリーク電流の増加や絶縁
耐圧の低下を招くという課題を有している。
【0013】また、特に従来技術のようにスパッタによ
りリーク抑制層を形成する方法では、スパッタ法という
成膜法の特性上、段差被覆性が悪く、従来技術例に示さ
れたような、極めて微小な空洞にリーク抑制層を埋め込
むことは困難であった。このため、短絡を生じるような
大きい空洞については効果があるものの、小さな空洞に
対しては、その内部までリーク抑制層を埋め込むことは
難しいという課題を有していた。
【0014】以上のように、従来技術のリーク低減手段
では、非晶質のリーク抑制層を用いた場合にはリーク低
減の効果は大きいものの容量が低下し、容量を向上する
ためリーク抑制層を結晶化させるとリーク低減の効果が
低下するという根本的な課題を有していた。
【0015】また、微小な空洞に対しては、リーク抑制
層を埋め込むことが困難であり、短絡の抑制には効果が
あるものの、リーク低減には限界があった。
【0016】そこで本発明は上記の問題点に鑑み、容量
低下の防止とリーク低減を同時に達成することができる
誘電体薄膜とその形成方法を提供することを主たる目的
とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
め、第1の発明の誘電体薄膜は、カーボンを含有する多
結晶誘電体薄膜からカーボンを除去した後に、誘電体薄
膜の粒界に絶縁物を形成することでリークを低減するこ
とを特徴とする。
【0018】また、第2の発明の誘電体薄膜の形成方法
は、第1の誘電体薄膜を形成する工程と、その後の第1
の熱処理工程と、第2の誘電体薄膜を形成する工程と、
その後の第2の熱処理工程の、少なくとも4工程を含む
ことを特徴とする。
【0019】また、第3の発明の誘電体薄膜の形成方法
は、誘電体薄膜を形成する工程と、その後の第1の熱処
理工程と、金属薄膜を形成する工程と、その後の第2の
熱処理工程の、少なくとも4工程を含むことを特徴とす
る。
【0020】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下、本発明の
実施の形態1における誘電体薄膜及びその形成方法につ
いて図面を参照しながら説明する。
【0021】図1は本実施の形態の誘電体薄膜の断面構
造を示す図であり、図1において、1は容量膜を示して
いる。また3は第1の誘電体薄膜であり、例えばBST
からなる。5は第2の誘電体薄膜であり、例えばBST
からなる。図1に示すように、容量膜1は第1の誘電体
薄膜3と第2の誘電体薄膜5の2層を積層した構造を有
する。6はリーク経路であり、例えば従来技術例にある
成膜時に生成する空洞や、熱処理時に形成される電流が
流れやすい経路である。7は絶縁物であり、例えばBS
Tからなり、粒界に存在する。9は電極であり、例えば
Ptからなる。
【0022】以下、図1により本実施の形態の誘電体薄
膜でリークが低減される作用を説明する。容量膜1は多
結晶体であり、第1の誘電体薄膜3と第2の誘電体薄膜
5からなる。いずれの誘電体薄膜も、成膜後に例えば大
気圧酸素雰囲気下で700℃、30分の熱処理を加える
ことで結晶化を促進し、比誘電率を300に向上してい
る。しかしながら、この時、第1の誘電体薄膜3と第2
の誘電体薄膜5のいずれも、粒界からカーボン化合物が
脱離するために、リーク経路6が形成される。本実施の
形態の誘電体薄膜はこのリーク経路6を例えばBSTか
らなる絶縁物7により埋め込んだ構造を有することが特
徴である。そして、後述するように粒界に埋め込まれた
絶縁物はカーボン除去中または除去後に結晶化するた
め、新たなリーク経路6を形成しない点が従来技術とは
大きく異なる。
【0023】以下、図2に従い、本実施の形態の誘電体
薄膜の形成方法を説明する。なお、図2において図1と
同一のものには同一番号を附記し、説明を省略する。図
2において、11はカーボン化合物であり、例えばBa
やSrと炭素を含む化合物である。13は残留化合物で
あり、例えば酸化バリウムや酸化ストロンチウムからな
る。また15はカーボン化合物である。以下、図2に従
って順に誘電体薄膜形成方法を説明する。
【0024】まず図2(a)に示すように、電極9上
に、例えば、MOCVD法により第1の高誘電体膜3を
15nmの厚さで形成する。なお、BSTのMOCVD
法による成膜に関する技術としては、例えば(株)サイ
エンスフォーラム発行の「強誘電体薄膜メモリ」第3章
II項の”Liquid Source MOCVDo
f Multi−Component Oxide T
hin Films.”に詳細に説明されている。
【0025】例えば、β−ジケトン系有機金属錯体であ
るBa(DPM)2、Sr(DPM)2、TiO(DP
M)2をn−酢酸ブチルにそれぞれ0.1mol/Lの
濃度で溶解して作成した液体材料を混合した後、昇温し
て気化し、例えばこれをArガスで搬送することで導入
し、例えば圧力5Torr、酸素分圧25%の雰囲気下
で、例えば600℃に基板を加熱することにより熱的に
反応させることによりBSTを成膜し、第1の誘電体薄
膜3を形成する。なお、この時、例えばBa(DPM)
2、Sr(DPM)2、TiO(DPM)2を含有するそ
れぞれの液体材料の混合比を例えば40:40:20に
制御することで、BST膜中のBa:Sr:Ti原子比
を28:28:44としている。第1の誘電体薄膜3は
化学量論的組成比であるBa:Sr:Ti原子比である
25:25:50に比べると、BaとSr(Aサイト)
の比率が大きいため、余った原子はBST結晶粒界に偏
析し、カーボン化合物11を形成する。カーボン化合物
11は、X線回折解析や昇温脱離ガス質量分析による結
果から、(Ba,Sr)COxに近い構造を有している
と考えられる。
【0026】次に図2(b)に示すように、600℃以
上、例えば700℃、30分、大気圧酸素雰囲気中で熱
処理を行い、BSTの結晶化を促進する。なお、このと
き粒界のカーボン化合物11は分解し、従来技術例で説
明したような気相カーボン化合物を放出する。図3には
一例として、BST膜を昇温した際に、膜から脱離する
分子量28の分子、すなわちCOの脱離量を測定した結
果を示している。分子量28の分子としてはN2や、C
O2が分解して形成されたCOが考えられるが、他の分
子量の脱離挙動との相関から、この場合はほとんどが膜
から脱離したCOであることが確認されている。図3か
ら、600℃以上で徐々にCOが脱離することが理解さ
れる。この時の脱離は次のような反応式で表される。
【0027】
【化1】
【0028】すなわち、BaとSrの比率が大きいBS
T膜に熱処理を施すとBaやSrの酸化物が粒界に発生
し、残留化合物13を形成する。なお、残留化合物13
であるBaOやSrOは非常に反応性が高い状態であ
り、高温の状態で熱処理炉から大気中へ取り出すと、空
気中の水分や二酸化炭素と反応して、炭酸塩を形成す
る。この時の反応式は以下のように表される。
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】なおSrについても同様である。しかしな
がら、上記のような反応は、取り出し温度が300℃以
下の場合には進行せず、BaOやSrOがそのままの状
態で存在することを、本発明者らは発見した。BaCO
3やSrCO3は比較的安定な化合物であり、後述する粒
界のBST形成反応に支障を生じるため、本発明者ら
は、例えば基板温度が100℃以下になってから取り出
すようにしている。なお、第1段階の成膜後の熱処理
後、空気暴露することなく第2段階の成膜へ移行するよ
うな装置構成とすれば、300℃以上の高温で基板を搬
送しても、上記炭酸塩形成による粒界BST結晶化阻害
の課題が解決できることは言うまでもない。
【0032】次に図2(c)に示すように、図2(a)
の工程と同様にして、例えば、MOCVD法により第2
の高誘電体膜5を15nmの厚さで形成する。なお、こ
の時、例えばBa(DPM)2、Sr(DPM)2、Ti
O(DPM)2を含有するそれぞれの液体材料の混合比
を例えば30:30:40に制御することで、BST膜
中のBa:Sr:Ti原子比を22:22:56として
いる。第2の誘電体薄膜5は化学量論的組成比に比べる
と、Ti(Bサイト)の比率が大きいため、余った原子
はBST結晶粒界に偏析し、カーボン化合物15を形成
する。カーボン化合物15は、X線回折解析からはどの
ような構造を有しているかを特定することはできなかっ
た。しかしながら昇温脱離ガス質量分析や二次イオン質
量分析による結果からは、第1の高誘電体膜3と同様に
カーボンの存在が認められ、カーボンを含有する何らか
のTi化合物の形で存在していると考えられる。
【0033】次に図2(d)に示すように、例えば70
0℃、30分、大気圧酸素雰囲気中で熱処理を行い、B
STの結晶化を促進する。なお、このとき粒界のカーボ
ン化合物13は分解し、気相カーボン化合物を放出する
ことにより、TiOxで表されるチタン化合物を形成し
かかるが、高温状態であるため主として粒界を拡散し、
工程(b)で形成された活性な残留化合物13であるB
aOやSrOと反応する。この時の反応式は以下のよう
に表される。
【0034】
【化4】
【0035】以上のような反応により、粒界にBSTが
形成される。粒界のカーボン化合物中のカーボンが除去
された後に粒界にBSTが形成されるため、従来技術の
ようなリークパスが形成されず、その結果、リーク電流
が極めて小さく、かつ絶縁耐圧の高い誘電体薄膜を形成
することが可能である。例えば、本実施の形態のBST
薄膜では、膜厚30nmの時、印加電圧を1V印加した
状態で、1×10-8[Ω/cm2]以下の低いリーク電
流を実現できた。また、粒界にBSTを形成すること
で、誘電体薄膜の比誘電率の低下は発生せず、小さい面
積で大容量のキャパシタを形成することが可能である。
【0036】なお、上記の例では、誘電体薄膜中の(B
a+Sr)/Ti原子数比が第1の誘電体薄膜では1よ
り大きく、第2の誘電体薄膜では1より小さい状態とし
たが、第1段階の成膜時にBサイト含有比を大きくし、
第2段階の成膜時にAサイト含有比を大きくした場合
(誘電体薄膜中の(Ba+Sr)/Ti原子数比が該第
1の誘電体薄膜では1より小さく、該第2の誘電体薄膜
では1より大きい場合)、第1段階成膜後の熱処理で形
成される酸化チタンが安定な化合物であるため、第2段
階成膜後の熱処理での粒界BST形成が進行しにくかっ
た。しかしながら、第2段階成膜後の熱処理温度を高温
にすることで、同様に粒界BST形成が可能であった。
例えば、本実施の形態の場合、第2段階後の熱処理温度
を800℃とすることで、粒界BSTが形成された。
【0037】以上のように、本発明の誘電体薄膜におい
ては、誘電体薄膜を2段階で成膜し、第1段階ではAサ
イト元素の含有比を大きくすることで、BaやSrのカ
ーボン化合物を偏析させ、これを熱処理することでカー
ボンを除去し、BSTの結晶化を促進しつつ、反応に対
して活性な酸化バリウムや酸化ストロンチウムを粒界に
形成させた後、第2段階では、Bサイト元素の含有比を
大きくすることで、Tiのカーボン化合物を偏析させ、
これを熱処理することでカーボンを除去し、同時に第1
段階で形成した酸化バリウムや酸化ストロンチウムと反
応することで、粒界にBSTを結晶化させることができ
るものである。粒界のBST形成は、粒界に偏析するカ
ーボン化合物の除去中または除去後であるため、従来技
術のようにリークパスが形成されず、リーク電流が小さ
く、絶縁耐圧の高い誘電体薄膜を形成可能である。本発
明の誘電体薄膜は、例えばDRAMの容量膜にこれを用
いた場合、リーク電流が小さいため、例えばDRAMの
リフレッシュ動作の間隔を長くすることができ、消費電
力を小さくすることが可能である。また、容量の大きい
キャパシタを形成できるため、小さい面積で電荷情報を
蓄積することが可能であり、DRAMチップの小型化を
実現でき、高集積化、低コスト化などに寄与すること大
である。
【0038】なお、本実施の形態では、誘電体薄膜の適
用例として、半導体メモリに適用した場合を示したが、
例えば、コンデンサに適用しても、リークが小さく容量
の大きいコンデンサを実現できることは言うまでもな
い。
【0039】また、本実施の形態では、誘電体薄膜の形
成方法として、MOCVD法を用いた場合を記載した
が、誘電体薄膜中にカーボンが残留する成膜法であれ
ば、同様にリーク低減の効果を得られることは言うまで
もない。
【0040】さらに、本実施の形態では、誘電体薄膜と
して、特にBSTの場合を説明したが、第1段階成膜後
の熱処理で形成される残留化合物の状態が活性な材料で
あれば、同様の効果が得られることは言うまでもない。
例えばアルカリ土類金属の例えば酸化物は、反応が活性
であり、同様の機構でリーク低減が可能である。
【0041】また、本実施の形態では、熱処理として、
大気圧酸素雰囲気で30分の場合を例として記載した
が、例えばラピッド・サーマル・アニーリングなどの熱
処理手段を用いても効果は同様であることは言うまでも
ない。
【0042】さらに、カーボン化合物分解・除去の効果
は、酸素雰囲気中が最も効果的であったが、例えば窒素
などの不活性ガス中や、真空中においても同様の効果が
得られる。
【0043】(実施の形態2)以下、本発明の実施の形
態2における誘電体薄膜及びその形成方法について図面
を参照しながら説明する。
【0044】図4は本実施の形態の誘電体薄膜の断面構
造を示す図であり、図4において、41は容量膜を示し
ている。また43は誘電体薄膜であり、例えばBSTか
らなる。45はリーク経路であり、例えば従来技術例に
ある成膜時に生成する空洞や、熱処理時に形成される電
流が流れやすい経路である。47は絶縁物であり、例え
ばBSTからなり、粒界に存在する。49は電極であ
り、例えばPtからなる。
【0045】本実施の形態の容量膜は、上記の実施の形
態1の容量膜と異なり、1層の誘電体薄膜から構成され
ることを特徴とする。リーク低減の作用は、実施の形態
1の容量膜と同様であり、リーク経路45を例えばBS
Tからなる絶縁物47により埋め込んだ構造とすること
で、リークの低減を図るものである。
【0046】次に図5に従い、本実施の形態の誘電体薄
膜の形成方法を説明する。なお、図5において図4と同
一のものには同一番号を附記し、説明を省略する。図5
において、51はカーボン化合物であり、例えばBaや
Srと炭素を含む化合物である。53は残留化合物であ
り、例えば酸化バリウムや酸化ストロンチウムからな
る。55は金属層であり、例えばTiである。以下、図
5に従って順に誘電体薄膜形成方法を説明する。
【0047】まず図5(a)に示すように、電極49上
に、例えば、MOCVD法により高誘電体膜43を25
nmの厚さで形成する。この時、実施の形態1と同様に
して、例えばBa(DPM)2、Sr(DPM)2、Ti
O(DPM)2を含有するそれぞれの液体材料の混合比
を例えば40:40:20に制御することで、BST膜
中のBa:Sr:Ti原子比を例えば28:28:44
とすることで、BaとSr(Aサイト)の比率を大きく
し(誘電体薄膜中の(Ba+Sr)/Ti原子数比が1
より大きい)、化学量論的組成比から余った原子がBS
T結晶粒界に偏析することで、カーボン化合物51を形
成する。カーボン化合物51は、X線回折解析や昇温脱
離ガス質量分析による結果から、(Ba,Sr)COx
に近い構造を有していると考えられる。
【0048】次に図5(b)に示すように、例えば70
0℃、30分、大気圧酸素雰囲気中で熱処理を行い、B
STの結晶化を促進する。なお、このとき粒界のカーボ
ン化合物51は分解し、気相カーボン化合物を放出する
と同時に、例えばBaやSrの酸化物を粒界に形成せし
め、残留化合物53を形成する。なお、残留化合物53
であるBaOやSrOは非常に反応性が高いため、実施
の形態1と同様にして、例えば熱処理後は基板温度が1
00℃以下になってから取り出している。
【0049】次に図5(c)に示すように、例えば、ス
パッタ法により、チタンを5nmの厚さで堆積し、金属
層55を形成する。
【0050】次に図5(d)に示すように、例えば圧力
10mtTorrの真空中で、700℃、30分の熱処
理を行い、Tiをリフローさせる。この時、リフローし
たTiは残留化合物53である酸化バリウムや酸化スト
ロンチウムと反応し、粒界にBST結晶を形成する。な
お、Tiは例えば空気中に暴露されると表面に酸化チタ
ンが形成され、これが安定であるために、リフローの効
果を得られない場合がある。このため、本実施の形態で
は、図5(c)工程の金属膜成膜後、高真空を維持した
まま昇温し、リフローを実施している。また、リフロー
の後、膜中、特に粒界に新しく形成されたBSTについ
ては、酸素欠損が多いため、さらに酸素雰囲気中で熱処
理をすることで、酸素欠損を減少させてもよい。
【0051】以上、本実施の形態の誘電体薄膜について
も、実施の形態1と同様に、粒界のカーボン化合物中の
カーボンが除去された後に粒界にBSTが形成されるた
め、リーク電流が極めて小さく、かつ絶縁耐圧の高い誘
電体薄膜を形成することが可能であり、且つ粒界にBS
Tを形成することで、誘電体薄膜の比誘電率の低下が発
生せず、小さい面積で大容量のキャパシタを形成するこ
とが可能である。
【0052】さらに、一度に成膜する誘電体薄膜の膜厚
が厚いため、BSTの粒子サイズを実施の形態1の2段
階成膜方式より大きくできるという効果があった。粒子
サイズは高誘電体膜の比誘電率と強い相関があるため、
例えば、実施の形態1の容量膜のグレインサイズはおよ
そ15nmで、比誘電率が約150であったのに対し、
本実施の形態の容量膜のグレインサイズは30nm程度
であり、比誘電率は約200に向上した。
【0053】なお、本実施の形態においても、誘電体薄
膜の形成方法として、MOCVD法を用いた場合を記載
したが、誘電体薄膜中にカーボンが残留する成膜法であ
れば、同様にリーク低減の効果を得られることは実施の
形態1と同様である。
【0054】
【発明の効果】以上、本発明の第1の発明の誘電体薄膜
においては、粒界絶縁物のBST形成が、粒界に偏析す
るカーボン化合物の除去中または除去後であるため、従
来技術のようにリークパスが形成されず、リーク電流が
小さく、絶縁耐圧の高い誘電体薄膜を形成可能である。
本発明の誘電体薄膜は、例えばDRAMの容量膜にこれ
を用いた場合、リーク電流が小さいため、例えばDRA
Mのリフレッシュ動作の間隔を長くすることができ、消
費電力を小さくすることが可能である。また、容量の大
きいキャパシタを形成できるため、小さい面積で電荷情
報を蓄積することが可能であり、DRAMチップの小型
化を実現でき、高集積化、低コスト化などに寄与するこ
と大である。
【0055】また、第2の発明の誘電体薄膜の形成方法
は、誘電体薄膜を2段階で成膜し、第1段階ではAサイ
ト元素の含有比を大きくすることで、BaやSrのカー
ボン化合物を偏析させ、これを熱処理することでカーボ
ンを除去し、BSTの結晶化を促進しつつ、反応に対し
て活性な酸化バリウムや酸化ストロンチウムを粒界に形
成させた後、第2段階では、Bサイト元素の含有比を大
きくすることで、Tiのカーボン化合物を偏析させ、こ
れを熱処理することでカーボンを除去し、同時に第1段
階で形成した酸化バリウムや酸化ストロンチウムと反応
することで、粒界にBSTを結晶化させることができる
ものである。
【0056】また、第3の発明の誘電体薄膜の形成方法
は、第2の発明の誘電体薄膜の形成方法と同様に、粒界
のカーボン化合物中のカーボンが除去された後に粒界に
BSTが形成されるため、リーク電流が極めて小さく、
かつ絶縁耐圧の高い誘電体薄膜を形成することが可能で
あり、さらに、一度に成膜する誘電体薄膜の膜厚が厚い
ため、BSTの粒子サイズを第2の発明の2段階成膜方
式より大きくでき、その結果比誘電率をさらに向上する
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における誘電体薄膜の構
造を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1における誘電体薄膜の形
成工程断面図
【図3】本発明の実施の形態1における誘電体薄膜の形
成方法の熱処理におけるCO脱離挙動を示す図
【図4】本発明の実施の形態2における誘電体薄膜の構
造を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態2における誘電体薄膜の形
成工程断面図
【図6】従来の誘電体薄膜の構造を示す断面図
【図7】従来の誘電体薄膜におけるリーク増加の原理を
示す図
【符号の説明】
1 誘電体薄膜 3 第1の誘電体薄膜 5 第2の誘電体薄膜 7 絶縁物 9 電極

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーボンを含有する多結晶誘電体薄膜から
    少なくとも一部の前記カーボンを除去した後、前記誘電
    体薄膜の粒界に絶縁物を形成したことを特徴とする誘電
    体薄膜。
  2. 【請求項2】多結晶誘電体薄膜と粒界の絶縁物の少なく
    とも一方が、アルカリ土類金属を含有することを特徴と
    する請求項1に記載の誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】多結晶誘電体薄膜と粒界の絶縁物の少なく
    とも一方が、Ba、Sr、Tiのいずれかを含むことを
    特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜。
  4. 【請求項4】多結晶誘電体薄膜と粒界の絶縁物の少なく
    とも一方が、チタン酸バリウム・ストロンチウムを含有
    することを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜。
  5. 【請求項5】カーボンを含有する第1の誘電体薄膜を形
    成した後に第1の熱処理を行う工程と、カーボンを含有
    する第2の誘電体薄膜を形成した後に第2の熱処理を行
    う工程とを有する誘電体薄膜の形成方法。
  6. 【請求項6】第1及び第2の誘電体薄膜がチタン酸バリ
    ウム・ストロンチウムであって、且つ前記誘電体薄膜中
    の(Ba+Sr)/Ti原子数比が前記第1の誘電体薄
    膜では1より大きく、前記第2の誘電体薄膜では1より
    小さいことを特徴とする請求項5に記載の誘電体薄膜の
    形成方法。
  7. 【請求項7】第1及び第2の熱処理工程において、少な
    くとも600℃以上の温度に加熱することを特徴とする
    請求項6に記載の誘電体薄膜の形成方法。
  8. 【請求項8】第1及び第2の誘電体薄膜がチタン酸バリ
    ウム・ストロンチウムであって、且つ前記誘電体薄膜中
    の(Ba+Sr)/Ti原子数比が前記第1の誘電体薄
    膜では1より小さく、前記第2の誘電体薄膜では1より
    大きいことを特徴とする請求項5に記載の誘電体薄膜の
    形成方法。
  9. 【請求項9】第1及び第2の熱処理工程において、少な
    くとも800℃以上の温度に加熱することを特徴とする
    請求項8に記載の誘電体薄膜の形成方法。
  10. 【請求項10】カーボンを含有する誘電体薄膜を形成し
    た後第1の熱処理を行う工程と、金属薄膜を形成した後
    第2の熱処理を行う工程とを有する誘電体薄膜の形成方
    法。
  11. 【請求項11】誘電体薄膜がチタン酸バリウム・ストロ
    ンチウムであって、且つ前記誘電体薄膜中の(Ba+S
    r)/Ti原子数比が1より大きいことを特徴とする請
    求項10に記載の誘電体薄膜の形成方法。
  12. 【請求項12】金属薄膜がTiであることを特徴とする
    請求項11に記載の誘電体薄膜の形成方法。
  13. 【請求項13】第2の熱処理工程の後に、さらに第3の
    熱処理工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の
    誘電体薄膜の形成方法。
  14. 【請求項14】第3の熱処理工程が、酸化雰囲気中で行
    われることを特徴とする請求項13に記載の誘電体薄膜
    の形成方法。
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