JPH11329887A - 電子部品とその製造方法 - Google Patents

電子部品とその製造方法

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JPH11329887A
JPH11329887A JP10126226A JP12622698A JPH11329887A JP H11329887 A JPH11329887 A JP H11329887A JP 10126226 A JP10126226 A JP 10126226A JP 12622698 A JP12622698 A JP 12622698A JP H11329887 A JPH11329887 A JP H11329887A
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electrodes
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広也 重本
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幸夫 大野
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光広 高山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部電極と内部電極との剥離が起こりにく
く、且つこれら外部電極と内部電極との間に高抵抗の酸
化層が形成されにくく、これによって内部電極と外部電
極との電気的接続について高い信頼性を得る。 【解決手段】 電子部品は、内部に導体膜からなる内部
電極13、14を有する電子部品素体11と、この電子
部品素体11の表面に導出された前記内部電極13、1
4に接続されるように同電子部品素体11の表面に形成
された金属膜からなる外部電極15、15とを有する。
前記外部電極15、15は、電子部品素体11の表面に
被着されるアンカー層16を有し、このアンカー層16
と前記内部電極13、14との間に中間層17が設けら
れ、この中間層17は、少なくともその一部が前記内部
電極13、14との相互拡散により合金化されている中
間層17は外部電極15、15のアンカー層16とも相
互拡散により合金化されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層セラミックコンデン
サや積層セラミックインダクタ等の電子部品の製造方法
に関し、特に、電子部品素体の内部に形成された内部電
極と、同素体の表面に形成された導体膜からなる外部電
極との接続部分を改善したチップ状電子部品とその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品としては、積層セラミックコン
デンサと積層セラミックインダクタがその代表的なもの
であるが、さらにこれらを組み合わせたLC部品等の複
合素子等が多く開発されている。電子部品の代表的な例
である積層セラミックコンデンサは、コンデンサとして
の電子部品要素を構成する層状の内部電極がセラミック
層を介して多数積み重ねられ、内部電極がセラミック層
の電子部品素体の端面に引き出されている。そして、こ
れらの内部電極が引き出された電子部品素体の端面に導
体膜からなる外部電極が形成されている。
【0003】このような積層セラミックコンデンサの一
般的な製造方法は、例えば、誘電体セラミック粉末を有
機バインダーに分散させたセラミックスラリーをシート
状に成形してセラミックグリーンシートを作り、スクリ
ーン印刷法等により、このセラミックグリーンシートの
上に導電ペーストで内部電極パータンを印刷する。そし
て、この内部電極パターンが印刷されたセラミックグリ
ーンシートを積層し、さらにその両側に内部電極パター
ンが印刷されてないセラミックグリーンシートを複数枚
積み重ねる。こうして得られた電子部品素体を内部電極
が端面に露出するようにしてチップ状に切断し、これを
焼成する。そして、この焼成された電子部品素体の端部
に導電ペーストを塗布し、これを焼き付けて外部電極を
形成する。これにより、積層チップコンデンサが完成す
る。
【0004】また、他の積層セラミックコンデンサの製
造方法として、セラミックの電子部品素体を焼成する前
に、その端部に予め導電ペーストを塗布し、その後セラ
ミックの電子部品素体を焼成すると同時に、導電ペース
トを焼き付けるという製造方法もある。さらに、電子部
品素体を得る方法も、セラミックグリーンシートを使用
する、いわゆるシート法の他に、セラミックペーストと
導電ペーストとを交互に印刷していく、いわゆるスラリ
ービルト法も採用されている。このような積層セラミッ
クコンデンサに代表される電子部品は、小型化と共に、
大容量化や高インダクタンス化等が要求されている。
【0005】図4は、積層セラミックコンデンサの例を
示す。セラミック層2の積層体からなる電子部品素体1
の内部で、2組の内部電極3、4が交互に対向してお
り、これら2組の内部電極3、4は、それぞれ電子部品
素体1の対向する端面に導出されている。電子部品素体
1の両端部に導体膜からなる外部電極5、5が形成さ
れ、これら外部電極5、5が各組の内部電極3、4にそ
れぞれ電気的に接続されている。
【0006】このような積層セラミックコンデンサに代
表されるチップ状電子部品は、回路基板等の上に搭載さ
れ、その外部電極が半田付けされる。このとき、半田付
け性がよく、半田付け後の機械的な密着強度が強く、電
気的な導通性が良好であることが要求される。このた
め、外部電極5、5は、単一の層ではなく、複数の金属
層から構成される。
【0007】図5は、この外部電極5、5の金属層を示
す。まず、電子部品素体1の表面上には、同素体1の表
面への密着性及び内部電極3、4図4参照)との導通性
の良好なアンカー層6が形成される。このアンカー層6
の上には、溶融半田に金属粒子が流出しにくい、いわゆ
る耐半田喰われ性のある耐半田層7が形成される。さら
に、この耐半田層7の上には、溶融半田に対して濡れ性
の良好な半田濡れ層9が形成される。
【0008】前記のような外部電極5、5を形成する手
段として、大別して湿式法と乾式法とがある。湿式法
は、導電ペーストの印刷及び焼き付けやメッキ浴を用い
た湿式メッキ等の手段で外部電極5、5を形成するもの
である。この湿式法では、通常、前記のアンカー層6が
Agの印刷膜により、耐半田層7がNiのメッキ膜によ
り、さらに、半田濡れ層9が半田のメッキ膜により形成
される。
【0009】乾式法は、真空蒸着やスパッタリング等の
手段で電子部品素体1の端部に導体膜を形成することに
より、外部電極5、5を形成するものである。この乾式
法では、通常、前記のアンカー層6が、CrまたはCr
の合金膜により、耐半田層7がNiまたはNiの合金膜
により、さらに、半田濡れ層9がAg、SnまたはSn
の合金膜により形成される。前者の湿式法は、狭いピッ
チで高精度の外部電極5、5を形成しにくく、しかも、
メッキに際して電子部品素体1の内部にメッキ液が浸入
して信頼性を低下するという問題がある。そのため、今
日では乾式法が採用されることが次第に多くなってい
る。
【0010】
【発明が解決しようとしている課題】前記電子部品素体
1の表面に導出した内部電極3、4の導出面は、数μm
レベルの凹凸を有する。そのため、真空蒸着やスパッタ
リングの手段でアンカー層6を形成する場合、内部電極
3、4の導出面に対してアンカー層6を形成する金属分
子が斜めに入射するとき、内部電極3、4の導出面の凹
凸により、アンカー層6を形成する金属分子が付着しな
い、いわゆる陰となる部分が生じる。このため、アンカ
ー層6と内部電極3、4の導出面との密着性が得られ
ず、外部電極5、5の界面が剥離する可能性がある。こ
れにより、内部電極3、4と外部電極5、5との接続の
信頼性を得ることができない。
【0011】また、内部電極3、4を形成するのに使用
される金属は、酸化雰囲気中で電子部品素体1と同時焼
成されるため、PdやAg等の貴金属が使用される。他
方、アンカー層6は、比較的酸素と反応しやすいCrや
Cr合金が使用される。このため、内部電極3、4の内
部やその表面に酸素等の軽元素が存在していると、この
酸素は内部電極3、4の結晶粒界や内部電極3、4の導
出部表面とアンカー層6との界面を移動しやすい。その
結果、アンカー層6の内部電極3、4の導出部表面とア
ンカー層6との界面側から酸化が進み、高い抵抗を有す
る層が形成される。特に、外部電極5、5を乾式メッキ
法により形成した場合、アンカー層6と内部電極3、4
の導出部表面との間に酸素等の軽元素が移動しやすい界
面ができるため、アンカー層6と軽元素との反応はその
界面に沿って広がっていく。この点でも、内部電極3、
4と外部電極5、5との間の電気的接続の信頼性を得る
ことができない。
【0012】本発明は、前記従来の電子部品における課
題に鑑み、外部電極と内部電極との剥離が起こりにく
く、且つこれら外部電極と内部電極との間に高抵抗の酸
化層が形成されにくく、これによって内部電極と外部電
極との電気的接続について高い信頼性を得ることができ
る電子部品とそのような電子部品を製造する方法を提供
するものである。特に、本発明では、乾式法により外部
電極を形成するの場合に好適である。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明では、電子部品素体11の表面に被着され
る外部電極15、15のアンカー層16と、電子部品素
体11の表面に導出した内部電極13、14の導出部表
面との間に、少なくとも一部が内部電極13、14との
相互拡散により合金化された中間層17を設けたもので
ある。このような中間層17は、電子部品素体11の表
面に導出されている内部電極13、14の導出部表面
に、同内部電極13、14の金属と相互拡散しやすい金
属をその融点以上の温度で被着させることにより形成す
ることができる。
【0014】本発明による電子部品は、内部に導体膜か
らなる内部電極13、14を有する電子部品素体11
と、この電子部品素体11の表面に導出された前記内部
電極13、14に接続されるように同電子部品素体11
の表面に形成された金属膜からなる外部電極15、15
とを有する。前記外部電極15、15は、電子部品素体
11の表面に被着されるアンカー層16を有し、このア
ンカー層16と前記内部電極13、14との間に中間層
17が設けられ、この中間層17は、少なくともその一
部が前記内部電極13、14との相互拡散により合金化
されていることを特徴とする。
【0015】ここで、中間層17は外部電極15、15
のアンカー層16とも相互拡散により合金化されている
のが好ましい。この中間層17は、内部電極13、14
より空隙が少ない金属層であり、内部電極13、14よ
り酸化傾向が強い。例えば、内部電極13、14がAg
を含む金属からなり、アンカー層16がCrまたはCr
を含む合金からなるとき、中間層17はAgと相互拡散
しやすく、且つAgより酸化傾向が強いSnまたはSn
合金により形成する。
【0016】このような電子部品では、中間層17と内
部電極13、14とが相互拡散して合金化されているた
め、中間層17と内部電極13、14との間には実質的
に界面が存在しない。このため、中間層17側に内部電
極13、14側から酸素等の軽元素が移動してきても、
電気伝導を阻害するような膜状の異層を形成することな
く、軽元素は中間層17の中を拡散していく。従って、
中間層17と内部電極13、14との間に高い抵抗を有
する層が形成されない。
【0017】中間層17に入った軽元素は、何れアンカ
ー層16に達する可能性があるが、中間層17が内部電
極13、14より酸化傾向が強い金属からなるので、中
間層17の中での軽元素の移動は内部電極13、14の
内部に比較すると遅い。むしろ、中間層17内部に軽元
素がトラップされる可能性が高い。従って、アンカー層
16と中間層17との間において、アンカー層16を形
成している金属と軽元素との化合物である高い抵抗を有
する層が形成される速度は極めて遅く、むしろ通常の条
件では殆ど形成されることはない。
【0018】さらに、アンカー層16と中間層17との
間も、相互拡散により合金化した場合は、前述の内部電
極13、14と中間層17との間で起こるのと同様にし
て、その部分にも高抵抗の層が発生しない。また、中間
層17が内部電極13、14より空隙が少なく、凹凸の
無い滑らかな表面を有する場合は、内部電極13、14
の導出面に対してアンカー層6を形成する金属分子の入
射が斜めになったときでも、内部電極13、14の導出
面の凹凸により、アンカー層16を形成する金属分子が
付着しない、いわゆる陰となる部分が生じない。このた
め、アンカー層6と内部電極3、4の導出面との密着性
が得られる。
【0019】前記のような電子部品は、電子部品素体1
1の表面に導出した前記内部電極13、14の表面に、
同内部電極13、14と相互拡散しやすい金属を溶融状
態で被着することにより中間層17を形成し、さらにこ
の中間層17の表面を含む電子部品素体11の表面にア
ンカー層16及びその他の金属層からなる外部電極1
5、15を形成することにより得られる。
【0020】中間層17は、電子部品素体11の表面に
導出した内部電極13、14の表面に金属を真空蒸着す
るか、或いは電子部品素体11の表面に導出した内部電
極13、14の表面を溶融金属に浸漬し、この金属を硬
化させることにより形成することができる。例えば、内
部電極13、14がAgを含む金属からなるとき、中間
層16はAgと相互拡散しやすいSnまたはSn合金に
より形成する。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照しながら、本発
明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1〜図3は、外部電極15、15を有する電子部品の
例として、積層セラミックコンデンサを示している。積
層セラミックコンデンサの電子部品素体11は、セラミ
ックの積層体であり、各セラミック層を分解した状態で
その層構造を図3に示してある。既に述べた通り、この
電子部品素体11は、2組の内部電極13、14がセラ
ミック層12を介して交互に多数積み重ねられ、各組の
内部電極13、14はセラミック層12の電子部品素体
11の対向する一対の端面に交互に引き出されている。
内部電極13、14は、電子部品素体11を酸化雰囲気
で焼成する時に同時焼成されるため、酸化されにくいP
dやAg等の貴金属やそれらの合金が使用される。
【0022】図1に示すように、これらの内部電極1
3、14が引き出された電子部品素体11の端面に導体
膜からなる外部電極15、15がそれぞれ形成されてい
る。このような積層セラミックコンデンサを製造する工
程は、後に説明する外部電極15、15を形成する工程
の一部を除いて、前述した従来の積層セラミックコンデ
ンサの製造方法と基本的に同じである。
【0023】図2は、この積層セラミックコンデンサの
内部電極14と外部電極15との接続部分の構造を模式
的に示すものである。他方の内部電極13と外部電極1
5との接続部分の構造も図2と実質的に同じであるので
図示を省略する。まず、セラミックの積層体である電子
部品素体11の端面に導出された内部電極13、14の
導出面に中間層17を設ける。この中間層17は、それ
を構成する金属材料と内部電極13、14を構成する金
属材料とが相互拡散することにより、少なくとも一部が
合金化したものである。そのため、内部電極13、14
の導出面と中間層17との間には、実質的な界面は存在
しない。
【0024】このような中間層17は、内部電極13、
14を形成する金属材料と相互拡散しやすい金属材料を
その融点より高い温度の溶融状態で被着させることによ
り形成することができる。例えば、内部電極13、14
がAgで形成されている場合、SnやSn合金はその溶
融状態においてAgと相互拡散しやすいことが知られて
いる。
【0025】例えば、電子部品素体11をSnの融点近
くの温度(融点±20℃)に保った状態で、電子部品素
体11の表面に導出した内部電極13,14の導出部表
面に真空蒸着する。これにより、蒸発源から内部電極の
導出部に飛来したSn分子は、内部電極13、14の導
出部表面においてそれを構成するAg分子と相互拡散し
て合金化される。これにより、中間層17はAg−Sn
の合金層となり、その組成は内部電極13,14の導出
部から中間層の表面にいくに従って連続的に変化する。
【0026】中間層17を形成する他の手段としては、
電子部品素体11を溶融されているSnまたはSn合金
に浸漬することをあげることができる。内部電極13,
14を形成しているAgはSnとの拡散性が高いため、
溶融したSnまたはSn合金は内部電極13,14が電
子部品素体11の表面に導出した導出部表面に付着す
る。そして、内部電極を形成しているAgは溶融したS
nまたはSn合金に拡散しやすいため、中間層はAg−
SnまたはAg−Snとその他の金属との合金となる。
その組成は内部電極13,14の導出部から中間層17
の表面にいくに従って連続的に変化する。また、この中
間層17は溶融したSnまたはSn合金が硬化してでき
たものであり、その表面は滑らかとなる。
【0027】電子部品素体11の端部の表面上には、同
素体11の表面への密着性及び内部電極13、14(図
1参照)との導通性の良好なアンカー層16が形成され
る。アンカー層16は、前記中間層17と相互拡散し、
合金化しやすい金属により形成するが、一般には従来の
電子部品と同様に、CrまたはCr合金が使用される。
このCrまたはCr合金を真空蒸着等の手段で、電子部
品素体11の表面に被着する。被着する部分は、もちろ
ん電子部品素体11の内部電極13、14が導出した表
面部分を含む領域である。これにより、内部電極13、
14が導出した表面部分に設けられた前記中間層17を
形成する金属とアンカー層16を形成するCrまたはC
r合金等の金属とが相互拡散し、合金化される。
【0028】アンカー層16の上には、溶融半田に金属
粒子が流出しにくい、いわゆる耐半田喰われ性のある耐
半田層18が形成される。耐半田層18は、例えば半田
耐熱性に優れたNiまたはNi合金を使用し、真空蒸着
やスパッタリングの手段により形成される。さらに、こ
の耐半田層18の上に溶融半田に対して濡れ性の良好な
半田濡れ層19が形成される。この半田濡れ層19は、
例えば半田に対して濡れ性が良好なSnまたはSnを含
む合金を使用し、真空蒸着やスパッタリングの手段によ
り形成される。
【0029】図6は、電子部品の他の例として、積層チ
ップインダクタである積層電子部品の電子部品素体の構
造を示す概念図である。このような電子部品素体は、通
常次のようにして多数のものが同時に製造される。ま
ず、フェライト粉末等の磁性体粉末をバインダー中に分
散した磁性体スラリーを用い、ドクターブレード法、押
出成形法等の手段で薄い磁性体セラミックグリーンシー
トを作る。これらのセラミックグリーンシートの所定の
位置に予めスルーホールを打ち抜く。その後、Agペー
スト等の導電ペーストを使用し、このセラミックグリー
ンシートの上に周回状の内部電極電極パターンを縦横に
列べて多数組分印刷すると共に、上記スルーホールに導
電ペーストを吸引し、スルーホール導体を印刷する。
【0030】必要とするコイルの巻数により、異なる形
状の内部電極パターンを有するセラミックグリーンシー
トを適当な組数用意し、これらを順次積層する。そし
て、これらセラミックグリーンシートの両側に内部電極
パターンが印刷されていないセラミックグリーンシート
を積層する。この積層体を圧着した後、個々のチップ毎
に裁断し、この未焼成の積層チップを焼成することによ
り、焼成済みの電子部品素体11を得る。
【0031】こうして得られた電子部品素体11は、図
6に示すように、複数のセラミック層21、21…、2
1’、21’…が積層され、一体となったものである。
セラミック層11には、インダクタとしての電子部品要
素を構成する周回状の内部電極25a、25b…が形成
されている。これら内部電極25a、25b…は、スル
ーホール26、26…に設けられたスルーホール導体を
介して順次接続され、電子部品素体11の内部でコイル
状に連なっている。磁性体セラミックからなるセラミッ
ク層21、21…は、このコイルの磁芯となる。内部電
極25a、25b…を有するセラミック層21、21…
のうち、図6において上下の端のセラミック層21、2
1に形成された内部電極積25e、25fは、電子部品
素体11の対向する一対の端面にそれぞれ導出してい
る。
【0032】さらに、前記内部電極25a、25b…が
形成されたセラミック層21、21…の両側に、内部電
極が形成されていないセラミック層21’、21’…、
いわゆるブランクのセラミック層21’、21’…が積
層されている。通常の場合、このブランクのセラミック
層21’、21’…は、前記内部電極25a、25b…
を有するコイル磁芯となるセラミック層21、21…と
同じ磁性体材料からなる。
【0033】前記電子部品素体11の端面に導出された
内部電極25e、25fの導出部表面には、前記積層セ
ラミックコンデンサの内部電極13,14の導出部表面
に形成されたのと同様の中間層が形成される。さらに図
7に示すように、このような電子部品素体11の両端
に、真空蒸着法やスパッタリング法により、外部電極1
5、15が形成される。この外部電極15、15は、既
に述べた積層セラミックコンデンサと基本的に同じであ
り、図2に示すように、アンカー層16、耐半田層18
及び半田濡れ層19からなる。前記中間層は、アンカー
層16と相互拡散することにより、その一部が合金化さ
れている。
【0034】なお前記の例では、電子部品素体11の端
部にそれぞれ単一の外部電極15、15を形成した例に
ついて説明したが、本発明は、電子部品素体11の側面
に複数の外部電極15、15を分離して設けた、いわゆ
るアレイ形電子部品にも当然のことながら本発明を適用
することができる。このようなアレイ形電子部品に本発
明を適用したものでは、外部電極15、15を半田付け
したときの密着強度の増大の効果が顕著である。
【0035】
【実施例】次に、本発明の実施例について、具体的数値
をあげて詳細に説明する。 (実施例1)フェライト系磁性体粉末を仮焼きした後、
これらを有機バインダー中に分散し、磁性体スラリを作
った。この磁性体スラリをドクターブレード法により成
形し、磁性体セラミックグリーンシートを作った。これ
らセラミックグリーンシートの一部の所定の位置に予め
スルーホールを打ち抜いた後、Agペーストを使用し、
このセラミックグリーンシートの上に周回状の内部電極
電極パターンを縦横に列べて多数組分印刷すると共に、
上記スルーホールにAgペーストを吸引し、スルーホー
ル導体を印刷した。
【0036】まず、前記内部電極パターンが印刷されて
いないブランクのセラミックグリーンシートを積層し、
次に内部電極パターンを有するセラミックグリーンシー
トを、スルーホールを介してそれらがコイル状に連なる
ように順次積層した。さらに、これらセラミックグリー
ンシートの上に内部電極パターンが印刷されていないブ
ランクのセラミックグリーンシートを積層した。この電
子部品素体を圧着した後、個々のチップ毎に裁断した。
この未焼成の積層チップを、脱バインダー処理した後、
焼成することにより、図6に示すような層構造を有する
焼成済みの電子部品素体11を得た。この電子部品素体
11は、約1.6mm×0.8mm×0.8mmの概ね
直方体形のものである。
【0037】この電子部品素体11を260℃の温度で
溶融されている共晶半田に3分間浸漬した。内部電極を
形成しているAgは半田濡れ性がよいため、半田は内部
電極が電子部品素体11の表面に導出した導出部表面に
付着し、中間層が形成される。そして、内部電極を形成
しているAgは溶融半田中に拡散しやすいため、中間層
はAg−Pb−Snの合金となる。その組成は内部電極
25e、25fの導出部から中間層の表面にいくに従っ
て連続的に変化する。また、この中間層は溶融半田が硬
化してできたものであり、その表面は滑らかである。電
子部品素体11の内部電極が導出した部分以外の部分
は、磁性体セラミックの表面部分であり、半田濡れ性が
極めてわるく、半田層は形成されない。
【0038】次に、電子部品素体11の内部電極25
e、25fが導出した端面を含む端部以外の部分が陰に
なるように電子部品素体11を治具にセットした。電子
部品素体11をセットした治具を真空チャンバにセット
し、この真空チャンバ内を1.3×10-3Pa前後の気
圧に減圧した。この状態で、EBガンにより蒸発源にセ
ットした材料を、加熱、蒸発させて、前記電子部品素体
11の端部に真空蒸着した。
【0039】この真空蒸着工程において、金属材料が入
ったるつぼを回転機構により回転し、校正された水晶振
動子膜厚計により膜厚をモニタリングしながら、次に説
明する3種類の金属材料を順次連続して成膜した。まず
Crを50nm前後の膜厚に成膜し、アンカー層を形成
した。このアンカー層の上にNiを1μm前後の膜厚に
成膜し、耐半田層を形成した。次にSnを1.5μmの
膜厚に成膜し、半田濡れ層を形成した。これにより、外
部電極が形成され、積層セラミックインダクタが完成し
た。なお、真空チャンバは常に常温に維持した。
【0040】こうして製造された約1,000個の積層
セラミックインダクタのから無作為に100個選択し、
これを125℃の温度環境下に置き、その時間毎の外部
電極間の直流抵抗値を測定し、その平均値を求めた。そ
の結果、図6において「実施例1」として示したような
結果が得られた。なお、図6では初期直流抵抗に対する
各高温放置時間後の直流抵抗の差としての直流抵抗上昇
値をもって示している。
【0041】(実施例2)前記実施例1と同様にして、
約1.6mm×0.8mm×0.8mmの概ね長方体形
の電子部品素体11を得た。この電子部品素体11を2
60℃の温度で溶融されている共晶半田に3分間浸漬し
た。前述したように、半田が内部電極が電子部品素体1
1の表面に導出した導出部表面に付着し、中間層が形成
され、この中間層はAg−Pb−Snの合金となり、そ
の組成は内部電極25e、25fの導出部から中間層の
表面にいくに従って連続的に変化する。また、この中間
層は溶融半田が硬化してできたものであり、その表面は
滑らかである。
【0042】次に、電子部品素体11の内部電極25
e、25fが導出した端面を含む端部以外の部分が陰に
なるように電子部品素体11を治具にセットした。電子
部品素体11をセットした治具を真空チャンバにセット
し、この真空チャンバ内を1.3×10-3Pa前後の気
圧に減圧した。この状態で、EBガンにより蒸発源にセ
ットした材料を、加熱、蒸発させて、前記電子部品素体
11の端部に真空蒸着した。
【0043】この真空蒸着工程においては、金属材料が
入ったるつぼを回転機構により回転し、校正された水晶
振動子膜厚計により膜厚をモニタリングしながら、次に
説明する3種類の金属材料を順次連続して成膜した。ま
ず、真空チャンバを205℃に加熱し、Crを50nm
前後の膜厚に成膜し、アンカー層を形成した。その後、
真空チャンバを常温まで自然冷却した後、アンカー層の
上にNiを1μm前後の膜厚に成膜し、耐半田層を形成
した。次にSnを1.5μmの膜厚に成膜し、半田濡れ
層を形成した。これにより、外部電極が形成され、積層
セラミックインダクタが完成した。
【0044】試料が205℃に保たれていることと、ア
ンカー層を形成するためのCr分子が入射するときのエ
ネルギーで、中間層を形成する半田がその融点より高い
温度に加熱されるため、アンカー層を形成するCrと中
間層を形成する半田とが相互拡散し、合金化する。こう
して製造された約1,000個の積層セラミックインダ
クタのから無作為に100個選択し、これを125℃の
温度環境下に置き、その時間毎の直流抵抗値を測定し、
その平均値を求めた。その結果、図6において「実施例
2」として示したような結果が得られた。
【0045】(比較例)前記実施例1において、中間層
を形成する工程を経ずに、同実施例1と同様にして電子
部品素体11の端部に直接アンカー層、耐半田層、半田
濡れ層からなる外部電極を形成し、積層セラミックイン
ダクタを作った。この電子部品についても、前記実施例
と同様にして、約1,000個の積層セラミックインダ
クタのから無作為に選択した100個を125℃の温度
環境下に置き、その時間毎の直流抵抗値を測定し、その
平均値を求めた。その結果、図6において「比較例」と
して示したような結果が得られた。
【0046】図8の結果から明らかな通り、実施例1と
実施例2とでは、積層セラミックインダクタを125℃
の温度環境下に置いたときでも、外部電極間の直流抵抗
の上昇が小さい。これに対して、中間層を設けない比較
例では、高温下での直流抵抗の増大が顕著に表れ、外部
電極と内部電極間の接続抵抗の増大が推測される。
【0047】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、外
部電極と内部電極との間に高抵抗の酸化層が形成されに
くく、これによって内部電極と外部電極との電気的接続
についても高い信頼性を得ることができる電子部品を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子部品の例としての積層セラミ
ックコンデンサを示す一部縦断斜視図である。
【図2】同積層セラミックコンデンサの内部電極と外部
電極との接続部分を模式的に示す要部格段縦断側面図で
ある。
【図3】同積層セラミックコンデンサの電子部品素体の
層構造を示す各層を分解して示した分解斜視図である。
【図4】電子部品の従来例としての積層セラミックコン
デンサを示す一部縦断斜視図である。
【図5】同積層セラミックコンデンサの外部電極の層構
造を模式的に示す要部格段縦断側面図である。
【図6】積層セラミックインダクタの例を示すその電子
部品素体の分解斜視図である。
【図7】同積層セラミックインダクタの完成品を示す斜
視図である。
【図8】本発明による実施例と比較例の積層セラミック
インダクタにおける125℃の温度下での放置時間と外
部電極間の直流抵抗上昇値との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
11 電子部品素体 12 セラミック層 13 内部電極 14 内部電極 15 外部電極 16 外部電極のアンカー層 18 中間層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に導体膜からなる内部電極(1
    3)、(14)を有する電子部品素体(11)と、この
    電子部品素体(11)の表面に導出された前記内部電極
    (13)、(14)に接続されるように同電子部品素体
    11の表面に形成された金属膜からなる外部電極(1
    5)、(15)とを有する電子部品において、前記外部
    電極(15)、(15)が、電子部品素体(11)の表
    面に被着されるアンカー層(16)を有し、このアンカ
    ー層(16)と前記内部電極(13)、(14)との間
    に中間層(17)が設けられ、この中間層(17)は、
    少なくともその一部が前記内部電極(13)、(14)
    との相互拡散により合金化されていることを特徴とする
    電子部品。
  2. 【請求項2】 アンカー層(16)がCrまたはCrを
    含む合金からなることを特徴とする請求項(1に記載の
    電子部品。
  3. 【請求項3】 中間層(17)が内部電極(13)、
    (14)より空隙が少ない金属層であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 【請求項4】 中間層(17)は、内部電極(13)、
    (14)より酸化傾向が強いことを特徴とする請求項1
    〜3の何れかに記載の電子部品。
  5. 【請求項5】 中間層(17)は、外部電極(15)、
    (15)のアンカー層(16)との相互拡散により合金
    化されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに
    記載の電子部品。
  6. 【請求項6】 内部電極(13)、(14)がAgを含
    む金属からなり、中間層(17)がAgと相互拡散しや
    すいSnまたはSnを含む合金からなることを特徴とす
    る請求項1〜5の何れかに記載の電子部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 内部に内部電極(13)、(14)を有
    する電子部品素体(11)の表面に導出された前記内部
    電極(13)、(14)に接続されるように同電子部品
    素体(11)の表面に金属膜からなる外部電極(1
    5)、(15)を設けて電子部品を製造する方法におい
    て、電子部品素体(11)の表面に導出した前記内部電
    極(13)、(14)の表面に、同内部電極(13)、
    (14)と相互拡散しやすい金属を溶融状態で被着する
    ことにより中間層(17)を形成し、さらにこの中間層
    (17)の表面を含む電子部品素体(11)の表面に被
    着したアンカー層(16)を有する外部電極(15)、
    (15)を形成することを特徴とする電子部品の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 中間層(17)を形成する工程が、電子
    部品素体(11)の表面に導出した内部電極(13)、
    (14)の表面に金属を乾式法により形成する工程であ
    ることを特徴とする請求項7に記載の電子部品の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 中間層(17)を形成する工程が、電子
    部品素体(11)の表面に導出した内部電極(13)、
    (14)の表面を溶融金属に浸漬し、この金属を硬化さ
    せる工程であることを特徴とする請求項7に記載の電子
    部品の製造方法。
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JP2021057455A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 太陽誘電株式会社 コイル部品、回路基板及び電子機器

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