JPH11329723A - 有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法

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JPH11329723A
JPH11329723A JP10126016A JP12601698A JPH11329723A JP H11329723 A JPH11329723 A JP H11329723A JP 10126016 A JP10126016 A JP 10126016A JP 12601698 A JP12601698 A JP 12601698A JP H11329723 A JPH11329723 A JP H11329723A
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JP
Japan
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electrode
substrate
organic electroluminescent
temperature
light emitting
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Pending
Application number
JP10126016A
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English (en)
Inventor
Shigeo Fujimori
茂雄 藤森
Yoshio Himeshima
義夫 姫島
Toru Kohama
亨 小濱
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】素子の発光安定性を向上させ、また、微細な第
二電極パターニングを実施することが可能な有機電界発
光素子の製造方法を提供する。 【解決手段】本発明の有機電界発光素子の製造方法は、
基板上に形成された第一電極と、少なくとも有機化合物
からなる発光層を含み前記第一電極上に形成された薄膜
層と、前記薄膜層上に形成された第二電極が存在する有
機電界発光素子の製造方法であって、前記第二電極形成
時における基板表面温度が0℃以上100℃以下である
ことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示素子、フラッ
トパネルディスプレイ、バックライト、インテリアなど
の分野に利用可能な有機電界発光素子の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、新しい発光素子として有機電界発
光素子が注目されている。本素子は陽極から注入された
正孔と陰極から注入された電子とが両極に挟まれた有機
発光層内で再結合することにより発光するものであり、
低電圧で高輝度に発光することがコダック社のC.W.
Tangらによって初めて示された(Appl.Phy
s.Lett.51(12)21,p.913,198
7)。
【0003】図1は有機電界発光素子の代表的な構造を
示す断面図である。ガラス基板1に形成された透明な第
一電極(陽極)2上に正孔輸送層5、発光層6、第二電
極(陰極)8が積層され、駆動源9による駆動で生じた
発光は第一電極およびガラス基板を通じて外部に取り出
される。このような有機電界発光素子では薄型、低電圧
駆動下での高輝度発光や有機発光材料を選択することに
よる多色発光が可能であり、表示素子やディスプレイな
どの発光装置に応用する検討も盛んである。
【0004】有機電界発光素子の特徴の1つに製造の容
易さがある。一般的に真空蒸着法による薄膜形成時には
精密な基板温度制御を必要とするが、有機電界発光素子
の製造時には多くの場合それが必要なく、比較的簡単な
機構の製造装置を用いることが可能である。したがっ
て、基板温度が室温という条件、すなわち基板温度制御
をしない条件での素子の製造が従来から行われてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
薄膜層上に第二電極を蒸着する場合には、電極材料の蒸
着源からの放射熱により、基板自体の温度がそれほど上
昇していない段階でも、素子が形成される基板表面の温
度は想像以上に上昇するという問題があった。特に熱伝
導性に乏しいガラス基板でこの問題は顕著であった。こ
の温度上昇は正孔輸送層の結晶化など薄膜層の形態変化
を引き起こし、素子の発光安定性を損なう原因となって
いた。さらに、マスク蒸着法によって第二電極をパター
ニングする場合には、シャドーマスクが温度上昇により
変形することがあり、微細パターニングを達成すること
が難しいという問題もあった。
【0006】特開平6−60983号公報では基板を−
10℃以下に冷却しながら素子を製造する技術が開示さ
れている。基板を冷却すれば基板表面温度上昇の抑制効
果が期待できるが、装置的に複雑な機構を必要とするだ
けでなく、基板表面への例えば水分子などの不純物の吸
着が発生するために、素子性能が損なわれるという問題
があった。
【0007】本発明はかかる問題を解決し、素子の発光
安定性を向上させ、また、微細な第二電極パターニング
を実施することが可能な有機電界発光素子の製造方法を
提供することが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の有機電界発光素
子の製造方法は、基板上に形成された第一電極と、少な
くとも有機化合物からなる発光層を含み前記第一電極上
に形成された薄膜層と、前記薄膜層上に形成された第二
電極が存在する有機電界発光素子の製造方法であって、
前記第二電極形成時における基板表面温度が0℃以上1
00℃以下であることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下では図1に示す有機電界発光
素子を例にして本発明の製造方法を説明する。基板上の
第一電極を必要に応じてパターニングした後に、正孔輸
送層や発光層などの薄膜層を真空蒸着法によって形成す
る。さらに、第二電極を真空蒸着法によって形成する
が、この際に基板表面温度の上昇を抑制することで薄膜
層の形態変化などが起こりにくくなるので素子の発光安
定性が向上する。また、基板前方にシャドーマスクを配
置した状態で電極材料を蒸着せしめることにより、第二
電極をパターニングすることがよく行われるが、この際
にもシャドーマスクの熱による変形などが起こりにくく
なるのでパターニング精度が向上する。
【0010】薄膜層の形態変化を防止するためには第二
電極形成時における基板表面温度が100℃以下である
ことが好ましい。100℃よりも高いガラス転移温度を
もつ有機材料を用いて薄膜層を形成する場合でも、真空
蒸着法などの熱的非平衡手法によって形成された薄膜は
材料のガラス転移温度以下の温度で形態変化を起こしう
るので、基板表面温度の上昇を抑制すべきである。
【0011】さらに、シャドーマスクの変形を防止する
ことが必要となる場合には、シャドーマスクは一般的に
金属など熱膨張率の比較的大きい材質からできているの
で、基板表面温度を80℃以下にすることが好ましく、
微細かつ高精度のパターニングを実施するためには60
℃以下であることがより好ましい。
【0012】基板表面温度の下限については、基板表面
への不純物の吸着を防ぎ、また、基板冷却機構を不必要
にするか、必要であっても水冷方式などの簡単な設備で
済ませるために、0℃以上であることが好ましい。
【0013】ここで、基板表面温度とは有機電界発光素
子が形成される基板表面の局所的な温度を示すものであ
り、基板全体の温度や場合によっては基板ホルダーなど
基板と接しているプレート温度を示すいわゆる基板温度
と異なることがある。特にガラス基板など熱伝導性に乏
しい基板表面に電極材料を蒸着する場合には、蒸着源か
らの放射熱によりガラス基板表面温度はかなり上昇する
が、基板全体の温度はそれほど上昇しないことがよくあ
るので注意が必要である。
【0014】基板表面温度の上昇を抑制する方法として
は、特に真空蒸着法の場合には蒸着源を放熱防止体で覆
うことが好ましい。これにより放射熱量を少なくすると
ともに蒸着源の熱利用効率を高めることができる。蒸着
源を全体的に覆う必要があれば、放熱防止体に開口部を
設けておき、そこを通じて第二電極材料を蒸着すればよ
い。放熱防止体の材料としては、比較的高融点であり、
また、真空中での脱ガス量の少ない、酸化アルミニウム
(アルミナ)、酸化チタン、窒化ホウ素、炭化ケイ素な
どのセラミックス系材料や、ステンレス鋼、銅、タンタ
ル、モリブデン、タングステンなどの高融点金属系材料
を好適な例として挙げることができる。上記材料を成型
して放熱防止体を形成してもよいが、上記材料の粉末を
蒸着源の周囲に充填することもできる。
【0015】上記以外にも、例えば、基板や蒸着源付近
に冷却あるいは放熱機能を付加したり、蒸着源と基板と
の距離を離したり、熱的に黒色の物質を利用するなどし
て蒸着装置内部での熱吸収量を高めるなどして、基板表
面への到達熱量を少なくするしてもよい。また、蒸着を
間欠的に行うことで温度上昇を抑制したり、蒸着物反射
板を用いたり蒸着物をイオン化してから電磁気的作用を
利用するなどして蒸着物を非直線的に基板表面に導くこ
とで、蒸着源から基板表面への直接的熱放射をなくすこ
ともできる。スパッタリング法の場合には、基板に電子
あるいはイオンの基板が入射することによる温度上昇を
抑制するために、スパッタイオン(プラズマ)発生源と
基板とを分離することができる。
【0016】第二電極のパターニングが必要な場合で
も、その方法については特に限定はされない。上記のマ
スク蒸着法の他に、特開平5−275172号公報や特
開平8−315981号公報で開示された隔壁法などの
公知技術を用いることが可能である。
【0017】本発明の製造方法はその他の製造条件を限
定するものではない。したがって、正孔輸送層の形成後
にその一部あるいは全部を加熱処理してから発光層と陰
極を形成することもできる。この時の加熱処理温度は1
00℃以上であってもよい。また、必要に応じて発光層
など薄膜層の一部あるいは全部をパターニングすること
もできる。さらに、水分や酸素から素子を保護するため
に封止をしたり第二電極上に保護層を形成してもよい
し、反射防止やマスク蒸着法におけるマスク傷防止のた
めにブラックマトリクスや絶縁性スペーサー層を基板上
に形成することもできる。
【0018】本発明における有機電界発光素子は図1に
例示した形式や構造に限定されるわけではない。したが
って、単一発光素子、セグメント型、単純マトリクス
型、アクティブマトリクス型などの発光装置の形式や、
カラー、モノクロなどの発光色数を問わず、本発明は任
意の構造の有機電界発光素子に適用することが可能であ
る。
【0019】第一電極もしくは第二電極は光を取り出す
ために少なくとも一方の電極が透明であることが好まし
い。透明な電極は可視光線透過率が30%以上あれば使
用に大きな障害はないが、理想的には100%に近い方
が好ましい。基本的には可視光全域において同程度の透
過率を持つことが好ましいが、発光色を変化させたい場
合には積極的に光吸収性を付与させることも可能であ
る。このような場合にはカラーフィルターや干渉フィル
ターを用いて変色させる方法が技術的には容易である。
透明電極材料としては、インジウム、錫、金、銀、亜
鉛、アルミニウム、クロム、ニッケル、酸素、窒素、水
素、アルゴン、炭素から選ばれる少なくとも一種類の元
素からなることが多いが、ヨウ化銅、硫化銅などの無機
導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニ
リンなどの導電性ポリマを用いることも可能であり、特
に限定されるものでない。
【0020】好ましい第一電極材料の例としては、透明
基板上に形成された酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウ
ム、酸化錫インジウム(ITO)などを挙げることがで
きる。パターニングを実施するディスプレイ用途などで
は、加工性に優れたITOを第一電極に用いることが特
に好ましい。導電性向上のためにITOには少量の銀や
金などの金属が含まれていてもよく、また、錫、金、
銀、亜鉛、インジウム、アルミニウム、クロム、チタ
ン、ニッケルをITOのガイド電極として使用すること
も可能である。とりわけクロムはブラックマトリックス
とガイド電極との両方の機能を持たせることができるの
で好ましいガイド電極材料である。発光装置の消費電力
の観点からITOの電気抵抗は低いことが好ましい。3
00Ω/□以下のITO基板であれば第一電極として機
能するが、現在では10Ω/□程度のITO基板の供給
も容易になっていることから、低抵抗品を使用すること
も可能である。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に
選択できるが、通常は厚みが100〜300nmのIT
Oを用いることが多い。ITOの成膜方法は、電子ビー
ム蒸着、スパッタリング、化学反応法など特に制限され
るものではない。
【0021】透明基板の材質は特に限定されず、ポリア
クリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイ
ミド、アラミドからなるプラスチック板やフィルムを用
いることができるが、好ましい例としてガラス板を挙げ
ることができる。ソーダライムガラス、無アルカリガラ
スなどが用いられ、また厚みも機械的強度を保つのに十
分な厚みがあればよいので0.5mm以上あれば十分で
ある。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオ
ンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好まし
いが、二酸化ケイ素などのバリアコートを施したソーダ
ライムガラスも市販されているのでこれを使用できる。
【0022】第二電極材料については特に限定されない
が、第一電極としてITOを使用する場合にはITOが
一般的に陽極として機能するために、第二電極には有機
電界発光素子に電子を効率良く注入できる機能が求めら
れる。したがって、第二電極材料としては、アルカリ金
属などの低仕事関数金属を使用することも可能である
が、電極の安定性を考えると、白金、金、銀、銅、鉄、
錫、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、クロ
ム、チタン、ニッケルなどの金属、またはこれら金属と
低仕事関数金属との合金を使用することが好ましい。ま
た、あらかじめ有機電界発光素子の薄膜層に低仕事関数
金属を微量にドーピングしたり、薄膜層上にフッ化リチ
ウムなどの金属塩の層を薄く形成し、その後に比較的安
定な金属を第二電極として形成することで、電子注入効
率を高く保ちながら安定な電極を得ることもできる。
【0023】第二電極の成膜方法も、抵抗加熱蒸着や電
子ビーム蒸着などの真空蒸着、スパッタリング、イオン
プレーティングなど、ドライプロセスであれば特に限定
されない。
【0024】有機電界発光素子に含まれる薄膜層として
は、1)正孔輸送層/発光層、2)正孔輸送層/発光層
/電子輸送層、3)発光層/電子輸送層、そして、4)
以上の層構成物質を一層に混合した形態の発光層、のい
ずれであってもよい。すなわち、素子構成として有機化
合物からなる発光層が存在していれば、上記1)〜3)
の多層積層構造の他に4)のように発光材料単独または
発光材料と正孔輸送材料や電子輸送材料を含む発光層を
一層設けるだけでもよい。
【0025】正孔輸送層は正孔輸送材料単独で、あるい
は正孔輸送材料と高分子結着剤により形成される。正孔
輸送材料としては、低分子化合物ではN,N’−ジフェ
ニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−1,1’
−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)やN,
N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−
ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)などに代表
されるトリフェニルアミン類、N−イソプロピルカルバ
ゾール、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒド
ラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシア
ニン誘導体に代表される複素環化合物などを、また、ポ
リマー系では前記低分子化合物を側鎖に有するポリカー
ボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、
ポリシランなどを好ましい例として挙げることができ
る。
【0026】単純マトリクス型発光装置の用途では各有
機電界発光素子の発光時間は短く、パルス電流を流すこ
とで瞬間的に高輝度に発光させることが必要になる。こ
のような場合に正孔輸送材料には優れた正孔輸送特性と
安定した薄膜形成能だけでなく、正孔輸送層中の電子の
漏れによる発光効率低下を防ぐための良好な電子ブロッ
キング特性が要求される。上記特性をバランスよく満足
させるためには、ビスカルバゾリル骨格を含む有機化合
物からなる正孔輸送層を形成することが特に好ましい。
【0027】発光材料としては、低分子化合物では以前
から発光体として知られていたアントラセン誘導体、ピ
レン誘導体、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム誘導
体、ビススチリルアントラセン誘導体、テトラフェニル
ブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール
誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ピロロピリジン誘
導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オ
キサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体な
どを、ポリマー系ではポリフェニレンビニレン誘導体、
ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体など
を好ましい例として挙げることができる。また、発光層
にドーピングするドーパントとしては、ルブレン、キナ
クリドン誘導体、フェノキサゾン誘導体、DCM、ペリ
ノン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ジアザ
インダセン誘導体などを好ましい例として挙げることが
できる。
【0028】電子輸送材料には陰極から注入された電子
を効率良く輸送することが要求されるので、大きな電子
親和力、大きな電子移動度、安定した薄膜形成能を有す
ることが好ましい。このような特性を満足させる材料と
して、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム誘導体、ヒ
ドロキシベンゾキノリンベリリウム誘導体、2−(4−
ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,
3,4−オキサジアゾール(t−BuPBD)や1,3
−ビス(4−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサ
ジゾリル)ビフェニレン(OXD−1)、1,3−ビス
(4−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジゾリ
ル)フェニレン(OXD−7)などのオキサジアゾール
誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体
などを好ましい例として挙げることができる。
【0029】上記の正孔輸送層、発光層、電子輸送層に
用いられる材料は単独で各層を形成することができる
が、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネ
ート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリ
レート、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン
樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルフォン、ポリアミド、
エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレ
タン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キ
シレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
シリコーン樹脂などの硬化性樹脂に分散させて用いるこ
ともできる。
【0030】上記正孔輸送層、発光層、電子輸送層など
の形成方法は、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッ
タリング法など特に限定されないが、一般的には抵抗加
熱蒸着、電子ビーム蒸着などの方法が特性面で好まし
い。有機層の厚みはその抵抗値にも関係するので限定で
きないが、10〜1000nmの間から選ばれる。
【0031】また、正孔輸送層や電子輸送層の全体、も
しくは一部分に無機材料を用いることも可能である。好
ましい例として炭化ケイ素、窒化ガリウム、セレン化亜
鉛、硫化亜鉛系の無機半導体材料を挙げることができ
る。
【0032】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。
【0033】実施例1 ガラス基板(厚さ1.1mm)上のITO透明電極膜
(シート抵抗値15Ω/□、ITO膜厚170nm、可
視光透過率88%)をエッチング法により所定の形状に
パターン加工して、アセトン、セミコクリーン56(フ
ルウチ化学社製)、純水、イソプロピルアルコール、メ
タノールで洗浄した。このITO基板をUVオゾン洗浄
機(センエンジニアリング社製)で表面処理した後に、
真空蒸着機に取り付けて真空排気した。真空度3×10
-4Pa、基板温度制御なしの条件下で、それぞれ正孔輸
送層として銅フタロシアニンを20nm、ビス(m−メ
チルフェニルカルバゾール)を100nm蒸着した。次
に、発光層兼電子輸送層であるトリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(III)錯体を100nm蒸着した。
真空中で蒸着マスクを交換して、薄膜層をリチウム蒸気
にさらしてドーピング(膜厚換算量0.5nm)した
後、アルミニウムを200nm蒸着して第二電極(陰
極)を形成した。この時の基板表面温度は90〜100
℃であった。
【0034】Al蒸着源にはアルミナル製ルツボを用
い、W製バスケット型ヒーターによる抵抗線加熱方式で
蒸着した。蒸着源からの放射熱量抑制対策として、この
ルツボの側面および底面付近をアルミナ製の炉体で覆っ
た。蒸着に必要な電流値は約42Aであった。
【0035】第二電極形成時における基板表面温度は次
のように測定した。ある温度以上になると変色する複数
の熱検知部分を備えた不可逆性サーモラベル(日油技研
工業社製、5E型)をガラス基板上に温度測定面を蒸着
源に向けて固定しておき、第二電極がこの温度測定面に
も蒸着されるようにした。素子の作製後にサーモラベル
を取り出して変色した熱検知部分を確認し、その変色温
度を基板表面温度とした。
【0036】上記のようにして1つの基板上に5×5m
mサイズの有機電界発光素子を4つ作製した。これら4
つの素子はすべて安定に発光した。
【0037】比較例1 Al蒸着源の放射熱量抑制対策を行わなかった(アルミ
ナ製の炉体を使用しなかった)こと以外は実施例1と同
様に有機電界発光素子を作製した。Alの蒸着に必要な
電流値は55Aを越えて、第二電極形成時の基板表面温
度は120℃以上となった。
【0038】4つの素子のうち1つは短絡により発光し
なかった。また、残りの3つは発光したものの、リーク
電流が大きいために発光特性が不安定となった。
【0039】実施例2 発光層パターニング用として、図2に示す、マスク部分
31と補強線33とが同一平面内に形成された構造のシ
ャドーマスクを用意した。シャドーマスクの外形は12
0×84mm、マスク部分の厚さは約25μmであり、
長さ64mm、幅100μmのストライプ状開口部32
がピッチ300μmで横方向に276本配置されてい
る。各ストライプ状開口部には、開口部と直交する幅2
0μm、厚さ25μmの補強線が1.8mmおきに形成
されている。また、シャドーマスクは外形が等しい幅4
mmのステンレス鋼製フレーム34に固定されている。
【0040】第二電極パターニング用として、図3およ
び図4に示す、マスク部分31の一方の面35と補強線
33との間に隙間36が存在する、構造のシャドーマス
クを用意した。シャドーマスクの外形は120×84m
m、マスク部分の厚さは100μmであり、長さ100
mm、幅250μmのストライプ状開口部32がピッチ
300μmで横方向に200本配置されている。マスク
部分の上には、幅40μm、厚さ35μm、対向する二
辺の間隔が200μmの正六角形構造からなるメッシュ
状の補強線が形成されている。隙間の高さはマスク部分
の厚さと等しく100μmである。また、シャドーマス
クは外形が等しい幅4mmのステンレス鋼製フレーム3
4に固定されている。
【0041】はじめに、第一電極を以下のとおりパター
ニングした。厚さ1.1mmの無アルカリガラス基板表
面に、スパッタリング法によって厚さ120nmのIT
O透明電極が形成されたITOガラス基板(ジオマテッ
ク社製)を120×100mmの大きさに切断した。I
TO基板上にフォトレジストを塗布して、通常のフォト
リソ法による露光、現像によってフォトレジストをパタ
ーニングした。ITOの不要部分をエッチングした後に
フォトレジストを除去することで、ITOを長さ90m
m、幅70μmのストライプ形状にパターニングした。
このストライプ状第一電極は100μmピッチで横方向
に816本配置されている。
【0042】ITO基板を洗浄し、UV−オゾン処理を
施した後で真空蒸着装置内にセットした。また、上記の
発光層用シャドーマスク3枚、第二電極用シャドーマス
ク1枚を真空蒸着装置内にセットした。本装置では、真
空中においてそれぞれが10μm程度の精度で基板と位
置合わせができるように、これら4種類のシャドーマス
クを交換することが可能である。
【0043】薄膜層は抵抗線加熱方式による真空蒸着法
によって以下のように形成した。なお、蒸着時の真空度
は2×10-4Pa以下であり、蒸着中は蒸着源に対して
基板を回転させた。
【0044】まず、銅フタロシアニンを20nm、ビス
(N−エチルカルバゾール)を100nm基板中央全面
に蒸着して正孔輸送層を形成した。
【0045】次に、第一の発光層用シャドーマスクを基
板前方に配置して両者を密着させ、基板後方にはフェラ
イト系板磁石(日立金属社製、YBM−1B)を配置し
た。この際、ストライプ状第一電極がシャドーマスクの
ストライプ状開口部の中心に位置するように、両者は位
置合わせされている。この状態で8−ヒドロキシキノリ
ン−アルミニウム錯体(Alq3)を30nm蒸着し
て、G発光層をパターニングした。次に、前記G発光層
のパターニングと同様にして第二の発光層用シャドーマ
スクを使用し、1wt%の4−(ジシアノメチレン)−
2−メチル−6−(パラジメチルアミノスチリル)−4
−ピラン(DCM)をドーピングしたAlq3を30n
m蒸着して、R発光層をパターニングした。さらに、同
様にして第三の発光層用シャドーマスクを使用し、4,
4’−ビス(2,2’ジフェニルビニル)ビフェニル
(DPVBi)を30nm蒸着して、B発光層をパター
ニングした。それぞれの発光層はストライプ状第一電極
2の3本おきに配置されている。
【0046】さらに、DPVBiを60nm、Alq3
を30nm基板中央全面に蒸着して電子輸送層を形成し
た。この後に、有機薄膜層をリチウム蒸気にさらしてド
ーピング(膜厚換算量0.5nm)した。
【0047】第二電極はAl蒸着源を用いた抵抗線加熱
方式による真空蒸着法によって次のように形成した。上
記発光層のパターニングと同様に、第二電極用シャドー
マスクを基板前方に配置して両者を密着させ、基板後方
には磁石を配置した。この際、発光層の存在しない部分
とマスク部分の位置が一致するように両者を位置合わせ
した。この状態で基板を回転させながらAlを300n
mの厚さに蒸着して、シャドーマスクの隙間を利用して
補強線の裏側に蒸着物を回り込ませることで、補強線に
分断されることなく第二電極をパターニングしたなお、
Al蒸着源は実施例1と同様であるが、放射熱量抑制対
策としてルツボの側面および底面だけでなく上部付近も
アルミナ製の炉体で覆った。蒸着に必要な電流値は約3
2Aであり、基板表面温度は70〜80℃であった。
【0048】上記のようにして、図5〜図7に示したよ
うに、幅70μm、ピッチ100μm、本数816本の
ITOストライプ状第一電極2上に、パターニングされ
たRGB発光層6を含む薄膜層10が形成され、前記第
一電極と直交するように幅250μm、ピッチ300μ
mのストライプ状第二電極8が200本配置された単純
マトリクス型カラーディスプレイを作製した。RGBか
らなる3つの発光領域が1画素を形成するので、本発光
装置は300μmピッチで272×200画素を有する
ことになる。
【0049】この発光装置を第二電極を走査ラインとし
てデューティー比1/200の線順次駆動によって発光
させたところ、明瞭な文字表示が可能であった。また、
ストライプ状第二電極同士の短絡はなかったが、電極幅
が270μm程度まで太くなった部分が発生した。微細
な構造のシャドーマスクが若干ではあるが熱的に変形し
たことが原因と考えられる。
【0050】実施例3 Al蒸着源の放射熱量抑制対策として、さらに、ルツボ
と炉体との間にSiC粉末を充填したこと以外は実施例
2と同様に有機電界発光装置を作製した。Alの蒸着に
必要な電流値は約21Aであり、第二電極形成時の基板
表面温度は60℃以下であった。
【0051】この発光装置を実施例2と同様に発光させ
たところ、明瞭な文字表示が可能であった。また、スト
ライプ状第二電極同士の短絡はなく、電極幅も250μ
mでほぼ一定であった。シャドーマスクの熱的変形が十
分に抑えられたために、高精度の第二電極パターニング
が実現された。
【0052】比較例2 Al蒸着源の放射熱量抑制対策を行わなかった(アルミ
ナ製の炉体を使用しなかった)こと以外は実施例2と同
様に有機電界発光装置を作製した。Alの蒸着に必要な
電流値は55Aを越えて、第二電極形成時の基板表面温
度は120℃以上となった。
【0053】ストライプ状第二電極同士が短絡を起こし
たために発光装置による文字表示は不可能であった。シ
ャドーマスクが熱的に大きく変形したことが原因と考え
られる。
【0054】
【発明の効果】本発明の有機電界発光素子の製造方法に
は以下の効果がある。
【0055】(1)基板表面温度が100℃以下の条件
で第二電極を蒸着するために、先に形成された有機薄膜
層の形態変化が起こりにくい。したがって、素子におけ
る電流リーク部分などの発生が抑制され、発光安定性が
向上する。
【0056】(2)シャドーマスクの熱的な変形が起こ
りにくいので、第二電極のパターニングを高精度に実現
することができる。特に、ディスプレイ用途で必要とな
る微細なパターニングを達成する際に効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機電界発光素子の一例を示す平面図。
【図2】実施例2で使用した発光層パターニング用のシ
ャドーマスクを示す平面図。
【図3】実施例2で使用した第二電極パターニング用の
シャドーマスクを示す平面図。
【図4】図3のXX′断面図。
【図5】実施例2で作製した有機電界発光装置を示す平
面図。
【図6】図5のXX′断面図。
【図7】図6のYY′断面図。
【符号の説明】
1 基板 2 第一電極 5 正孔輸送層 6 発光層 7 電子輸送層 8 第二電極 9 駆動源 10 薄膜層 31 マスク部分 32 開口部 33 補強線 34 フレーム 35 マスク部分の一方の面 36 隙間

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された第一電極と、少なくと
    も有機化合物からなる発光層を含み前記第一電極上に形
    成された薄膜層と、前記薄膜層上に形成された第二電極
    が存在する有機電界発光素子の製造方法であって、前記
    第二電極形成時における基板表面温度が0℃以上100
    ℃以下であることを特徴とする有機電界発光素子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】第二電極形成時における基板表面温度が0
    ℃以上80℃以下であることを特徴とする請求項1記載
    の有機電界発光素子の製造方法。
  3. 【請求項3】第二電極形成時における基板表面温度が0
    ℃以上60℃以下であることを特徴とする請求項1記載
    の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 【請求項4】蒸着源を放熱防止体で覆い、前記放熱防止
    体に設けられた開口部から第二電極材料を蒸着せしめる
    ことを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子の製
    造方法。
  5. 【請求項5】基板前方にシャドーマスクを配置した状態
    で前記基板上に電極材料を蒸着せしめることにより第二
    電極をパターニングすることを特徴とする請求項1記載
    の有機電界発光素子の製造方法。
  6. 【請求項6】第二電極材料としてAlを主成分とする金
    属を用いることを特徴とする請求項1記載の有機電界発
    光素子の製造方法。
  7. 【請求項7】第一電極を横方向に間隔をあけて配置され
    た複数のストライプ状電極にパターニングして、かつ、
    第二電極を横方向に間隔をあけて配置された前記第一電
    極に対して交差する複数のストライプ状電極にパターニ
    ングすることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光
    素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002299063A (ja) * 2001-04-03 2002-10-11 Japan Science & Technology Corp 臭化鉛系層状ペロブスカイト化合物を発光層とした電界発光素子
JP2006085933A (ja) * 2004-09-14 2006-03-30 Toshiba Matsushita Display Technology Co Ltd 表示装置の製造方法及び製造装置

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