JPH11328715A - 可変開口分離フィルタおよびその製造方法 - Google Patents

可変開口分離フィルタおよびその製造方法

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JPH11328715A
JPH11328715A JP10150680A JP15068098A JPH11328715A JP H11328715 A JPH11328715 A JP H11328715A JP 10150680 A JP10150680 A JP 10150680A JP 15068098 A JP15068098 A JP 15068098A JP H11328715 A JPH11328715 A JP H11328715A
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film
refractive index
layer
filter
variable aperture
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JP10150680A
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Satoru Monma
哲 門馬
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Toyo Communication Equipment Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルタ膜と位相調整膜との位相差の波長依
存性を小さくするとともに、効率良くリフトオフ処理を
行い、可変開口分離フィルタを安定かつ安価に製作する
ようにする。 【解決手段】 フィルタ膜50と位相調整膜52とが多
数の層で構成され、それぞれの膜については、TiO2
などの高屈折率材料からなる高屈折率層Hと、SiO2
などの低屈折率材料からなる低屈折率層Lとを交互に積
層したものを基本構成とし、これらの最上層と最下層と
に高屈折率層Hと低屈折率層Lとの中間の屈折率を持っ
た、Al2O 3などの中間屈折率材料からなる中間屈折率
層Mを配置する。また、これらのフィルタ膜50と位相
調整膜52とをガラス基板60上に形成する際のリフト
オフ処理工程で用いるリフトオフ用マスクとしては、ア
ルミニウム100%の層と、アルミニウムに銅が添加さ
れた少なくとも2つの層を用いるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変開口分離フィ
ルタおよびその製造方法に係り、さらに詳しくは、CD
やDVD等の光ディスクシステムに用いられる可変開口
分離フィルタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタルデータが高密度記録され
たディスクを用いる光ディスクシステムが製品化されて
いる。この光ディスクシステムに用いられるディスクに
は、プログラムデータや音声データなどが記録されたC
D(Compact Disk)の他、映像などの大容量データを高
密度に記録することができるDVD(Digital VideoDis
k)などがある。これらの光ディスクシステムに使用さ
れるディスクは、DVDの基板厚が0.6mm、CDの
基板厚が1.2mmというように異なっているため、デ
ィスクを再生する光ヘッドも各ディスクに応じたものを
使用する必要があった。そこで、利便性を高め、コスト
を低減するためには、同一の光ヘッドを用いて複数種類
のディスクを再生できるようにすることが望ましいが、
それには再生するディスクの基板厚に伴って光ヘッドの
球面収差を補正する必要があった。従来の光ヘッドの球
面収差の補正方法としては、可変開口分離フィルタを用
いた光ヘッドが提案されている。図13には、従来の光
ヘッドに用いられている可変開口分離フィルタ90の断
面図が示されている。この可変開口分離フィルタ90
は、例えば不図示の光ヘッドにおいて、再生するディス
ク表面にLD(レーザダイオード)からのレーザビーム
を照射し、その反射光を集光させる対物レンズの手前に
配置されている。そして、各種のディスクを再生する場
合には、球面収差が最小となる適切な倍率を実現するた
め、偏向ビームスプリッタと波長分離プリズムとの間に
追加されたレンズから波長655nmのレーザビームを
可変開口分離フィルタ90を介して対物レンズに発散光
として入射し、基板厚0.6mmのDVD上に集光させ
るとともに、波長790nmのレーザビームを可変開口
分離フィルタ90を介して対物レンズに発散光として入
射し、基板厚1.2mmのCD上に集光するようにして
いる。
【0003】図13に示す従来の可変開口分離フィルタ
90は、ガラス基板92上に対物レンズの有効径よりも
小さい円形領域(図13を上面から見た場合)の外側
に、例えば、TiO2 などからなる高屈折率層(H)
と、SiO2 などからなる低屈折率層(L)とが交互に
積層された波長分離フィルタ膜(以下、フィルタ膜とい
う)94が形成され、円形領域の内側には、SiO2
どの単一材料からなる位相調整膜96が形成されてい
る。そして、円形領域の内側と外側を通る波長655n
mの光の位相差が0となるように設計されている。円形
領域の内側の位相調整膜96は、波長655nmと波長
790nmの両方の光を透過させるが、円形領域の外側
のフィルタ膜94は、波長655nmの光は透過させる
が、波長790nmの光を反射する特性を持っている。
このように、波長655nmの光は、可変開口分離フィ
ルタ90の円形領域の内側も外側も透過するため、対応
するNA(開口数)は対物レンズの有効径で決まるが、
波長790nmの光は、円形領域の内側のみを透過する
ため、対応する実効的なNAは、円形領域の直径で決ま
る。また、図14には、上述した従来のフィルタ膜(n
d1 )と位相調整膜(nd2 )のそれぞれの光学的膜厚
に対する波長依存性が示されており、図15には、位相
調整膜とフィルタ膜との光学的膜厚差(nd2 −nd1
)に対する波長依存性が示されており、図16には、
位相調整膜とフィルタ膜との位相差に対する波長依存性
が示されている。そして、図17は、これら図14〜図
16に示した線図の結果を一覧にまとめた図である。
【0004】次に、従来の可変開口分離フィルタの製造
方法について説明する。図18(a)〜(g)は、上記
した従来の可変開口分離フィルタ90の製造工程の一部
を示したものである。まず、図18(a)では、ガラス
基板100上にフォトレジスト102を塗布した後、フ
ォトリソグラフィ技術により円形状(図18を上面から
見た場合)にパターニングしてレジストマスク102を
形成する(図18(b))。次いで、図18(c)で
は、十数層もの多層膜で構成されるフィルタ膜104を
ここでは無加熱の蒸着工法、例えば、イオン化蒸着工法
を用いて形成する。その後、(d)のリフトオフ処理工
程においては、レジストを剥離させることによって、レ
ジストマスク102上に形成されたフィルタ膜104の
みを除去するようにする。さらに、図18(e)では、
再びフォトレジストを塗布してフォトリソグラフィ技術
により上記フィルタ膜104上にのみレジストマスク1
06が形成されるようにパターニングする。図18
(f)では、全面にSiO2 膜などからなる位相調整膜
108を形成した後、図18(g)のリフトオフ処理工
程によりレジストを剥離させてレジストマスク106上
に形成された位相調整膜108のみを除去することによ
り、上記したフィルタ膜104の間に位相調整膜108
が埋め込まれた可変開口分離フィルタを形成していた
(図13の可変開口分離フィルタ90に相当)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の可変開口分離フィルタにあっては、図15に
示されるように、フィルタ膜(nd1 )と位相調整膜
(nd2 )との光学的膜厚差による波長依存性が大きい
(線図の傾斜が大きい)ことから、図16に示されるよ
うに、光がフィルタ膜(nd1 )と位相調整膜(nd2
)とを透過する際に生じる位相差(δ)の波長依存性
も大きくなってしまうという問題があった。また、従来
の可変開口分離フィルタの製造方法にあっては、例え
ば、図18(c)〜(d)に示されるリフトオフ処理工
程において、リフトオフ用マスクとして通常はフォトレ
ジストが使用されており、このレジストマスク102上
に蒸着されるフィルタ膜104が十数層もの多層膜で構
成されているため、イオン化蒸着工法等のように無加熱
の蒸着工法を用いたとしても蒸着中の輻射熱によって基
板温度が上昇してしまい、リフトオフ用のレジストマス
ク102が焼き付いてしまうことがあった。このため、
従来は専用の剥離液に浸けるなどしてレジストマスクの
剥離処理を行っていたが、焼き付いたレジストマスクを
剥離液に浸けただけでは完全に剥離させるのが難しく、
場合によっては手拭き等が必要となるため、リフトオフ
処理の作業効率が悪くなり、可変開口分離フィルタを安
定して製作することができないという問題があった。さ
らに、リフトオフ用マスクとしてレジストの代わりに金
属膜等(フィルタ膜がエッチングされないエッチャント
でエッチングが可能な膜)を用いる方法では、ウェット
エッチングであれば1層構成でオーバーハング状態又は
矩形形状を形成することが難しいため、通常、エッチン
グ溶液の異なる金属膜、例えば、AlとNiといった2
層構造にすることによりオーバーハング状態を形成し
て、リフトオフ処理ができるようにする必要があった。
しかし、このような製造方法では、エッチングを行う際
に、例えば上層のAlに対して下層のNiがどれだけ多
くエッチングされているかを確認することが難しいた
め、安定したリフトオフ処理を行うことができず、その
上、2種類の異なる金属膜を蒸着しなければならないこ
とから蒸着装置に制約が生じてしまい、さらにエッチン
グ処理を1度で完了させることができないという問題が
あった。本発明は、かかる従来技術の有する課題に鑑み
てなされたもので、本発明の第1の目的は、フィルタ膜
と位相調整膜とを光が透過する際に生じる位相差の波長
依存性を小さくすることができる可変開口分離フィルタ
を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、
効率良くリフトオフ処理を行うことができるとともに、
可変開口分離フィルタを安定かつ安価に製作することの
できる可変開口分離フィルタの製造方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、フィルタ膜と位相調整膜とを備えた可変開口分離フ
ィルタにおいて、前記フィルタ膜及び前記位相調整膜
は、透過光の光軸方向にそれぞれ多数の層が積層されて
構成されているものである。これによれば、従来は単一
材料で構成されていた位相調整膜についてもフィルタ膜
と同様に多層構造としたため、それぞれの層を構成する
材料や層構成を変えることによって透過光の特性を調整
することができる。請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の可変開口分離フィルタにおいて、前記フィルタ
膜及び前記位相調整膜をそれぞれ構成する多数の層は、
光の屈折率の高い高屈折率材料を用いた層と、これより
も屈折率の低い低屈折率材料を用いた層とを組み合わせ
たものを基本構成とし、その基本構成に対して前記高屈
折率材料と前記低屈折率材料との間の屈折率を持った少
なくとも1層からなる中間屈折率材料を加えて構成され
ているものである。これによれば、フィルタ膜及び位相
調整膜をそれぞれ構成する多数の層は、高屈折率材料と
低屈折率材料とを用いた層を組み合わせたものを基本構
成とし、その基本構成に対して少なくとも1層からなる
中間屈折率材料を加えて構成するようにしたため、この
中間屈折率材料が調整層として作用し、フィルタ膜及び
位相調整膜の位相差の波長依存性を小さくすることがで
きる。請求項3に記載の発明は、リフトオフ用マスクを
用いてその上に形成されたフィルタ膜及び位相調整膜
を、リフトオフ用マスクの剥離処理と同時に選択除去し
て、基板上の所定位置にフィルタ膜と位相調整膜とをそ
れぞれ形成するようにした可変開口分離フィルタの製造
方法において、前記剥離処理に用いられるリフトオフ用
マスクは、アルミニウム100%の層と、アルミニウム
に銅を添加した層の少なくとも2つの層を用いて構成さ
れているものである。これによれば、リフトオフ用マス
クとしてアルミニウム100%の層と、アルミニウムに
銅を添加した少なくとも2つの層を用いているため、銅
の添加量を変えるだけでエッチングレートを適宜変更す
ることができ、このエッチングレート差を利用すること
により、効率の良いリフトオフ処理が行えるようになる
とともに、可変開口分離フィルタを安定かつ安価に製作
することができる。請求項4に記載の発明は、請求項3
に記載の可変開口分離フィルタの製造方法において、前
記剥離処理に用いられるリフトオフ用マスクは、アルミ
ニウム100%の層と、アルミニウムに銅を添加した層
の少なくとも2つの層を積層し、そのエッチングレート
差を利用して上層よりも下層の方がエッチング速度が早
くなるように構成して、エッチング後の形状がオーバー
ハング状態となるようにしたものである。これによれ
ば、リフトオフの剥離処理に用いられるリフトオフ用マ
スクは、アルミニウム100%の層と、アルミニウムに
銅が添加された少なくとも2つの層を積層したもので、
それらの層のエッチングレート差を利用して、上層より
も下層の方がエッチング速度が早くなるようにして、エ
ッチング後の形状がオーバーハング状態となるようにし
た。このため、リフトオフ用マスクを容易かつ確実に剥
離させることが可能となり、効率良くリフトオフ処理を
行うことができるとともに、その結果、可変開口分離フ
ィルタを安定かつ安価に製作することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。 (実施の形態1)図1には、本実施の形態1に係る可変
開口分離フィルタ22を含む光ヘッド10の概略構成図
が示され、図1における光ヘッド10は、波長655n
mのレーザビームを発生するレーザダイオード(以下、
LDという)12、レンズ14、偏光ビームスプリッタ
16、波長分離プリズム18、1/4波長板20、本実
施の形態1の可変開口分離フィルタ22、対物レンズ2
4、1.2mm厚のCD26、波長655nmのレーザ
ビームでDVD38から読取った信号を検出する信号検
出系28、波長790nmのレーザビームを発生するL
D30、レンズ32、偏光ビームスプリッタ34、レン
ズ36、0.6mm厚のDVD38、波長790nmの
レーザビームでCD26から読取った信号を検出する信
号検出系40などにより構成されている。
【0008】図2は、図1中の可変開口分離フィルタ2
2を光軸方向から見た図であり、図2の可変開口分離フ
ィルタ22は、波長655nmの光を透過させ、波長7
90nmの光を反射させるフィルタ膜50が対物レンズ
の有効径B(破線で示した円)よりも小さい円形領域A
の外側(ハッチング部分)にのみに形成されている。こ
のとき、波長655nmの光は、円形領域Aの内側も外
側も透過するため、波長655nmの光に対応するNA
(開口数)は対物レンズの有効径Bで決まる。また、円
形領域Aの内側には、位相調整膜52が形成されてい
て、波長790nmの光はこの円形領域Aの内側のみを
透過するため、波長790nmの光に対応する実効的な
NAは円形領域Aの直径で決まる。
【0009】図3には、図2の可変開口分離フィルタの
構成を説明する断面図が示され、その(a)は概略断面
図であり、(b)は(a)の一膜構成例を示した詳細断
面図である。すなわち、本実施の形態1の可変開口分離
フィルタ22は、ガラス基板60上の円形領域の外側に
フィルタ膜50、円形領域の内側に位相調整膜52が形
成されている。このフィルタ膜50の構成は、比較的光
の屈折率の高い、例えば、TiO2 (n=2.35)な
どの高屈折率材料からなる高屈折率層Hと、比較的光の
屈折率の低い、例えば、SiO2 (n=1.46)など
の低屈折率材料からなる低屈折率層Lとが交互に積層さ
れ、さらにこれらの層の最上層と最下層とに上記した高
屈折率層Hと低屈折率層Lとの中間の屈折率を持った、
例えば、Al2O 3(n=1.63)などの中間屈折率材
料からなる中間屈折率層Mが配置されている。ここで
は、フィルタ膜50の層構成は、13層からなり、上か
ら空気/0.4M・1.1H・(L・H)4 ・L・1.
1H・0.4M/ガラス基板のように構成されており、
ndは840mm/4である。上記した中間屈折率層M
に用いられる中間屈折率材料は、上記高屈折率材料と低
屈折率材料の中間的な分散作用を有している。また、位
相調整膜52の構成は、上記したフィルタ膜50を構成
しているものと同じ材料からなる高屈折率層H、低屈折
率層L及び中間屈折率層Mによって構成したもので、こ
こでは高屈折率層Hと低屈折率層Lとを交互に積層させ
た層の最上層と最下層とに中間屈折率層Mを配置してい
る。但し、各層の膜厚については、図3(b)に示され
るように、フィルタ膜50と位相調整膜52とで異なる
ように構成されている。ここでは、位相調整膜52の層
構成は、11層からなり、上から空気/1.225×
{0.42M・H・0.9L・1.08H・0.9L・
(H・L)2 ・1.08H・0.42M}/ガラス基板
のように構成されており、ndは840mmである。
【0010】図4には、上記のように構成されたフィル
タ膜50の分光特性の線図が示され、縦軸に光の透過率
T(%)をとり、横軸に光の波長(nm)をとってい
る。また、図5には、上記のように構成された位相調整
膜52の分光特性の線図が示され、縦軸に光の透過率T
(%)をとり、横軸に光の波長(nm)をとっている。
この図5の位相調整膜52については、波長655nm
と波長790nmの両方の光を透過させなければならな
いという条件を満たしている。そして、図6には、上記
したフィルタ膜と位相調整膜とを構成するSiO2 (低
屈折率材料)と、Al2 O3中間屈折率材料)と、TiO
2(高屈折率材料)とのそれぞれの光学的総合膜厚と機
械的総合膜厚とを示したもので、図7には、上記したフ
ィルタ膜(nd1 )と位相調整膜(nd2 )のそれぞれ
の光学的膜厚に対する波長依存性が示され、図8には、
位相調整膜とフィルタ膜との光学的膜厚差(nd2 −n
d1 )に対する波長依存性が示され、図9には、フィル
タ膜と位相調整膜の位相差に対する波長依存性が示さ
れ、図10は、図7〜図9に示した線図の結果を一覧に
まとめた図である。上記図9に示したフィルタ膜と位相
調整膜との位相差(δ)は、n1 d1 をフィルタ膜の光
学的総合膜厚とし、n2d 2を位相調整膜の光学的総合膜
厚とした場合に、次式(1)のように表すことができ
る。 (δ)=2π/λ(n1 d1 −n2 d2 ) ……………(1) この位相差は、波長分散によって各膜の屈折率nが変化
することにより、波長依存性が生じたものである。そこ
で、この波長依存性をできるだけ抑えるように、本実施
の形態1では、高屈折率材料Hと低屈折率材料Lの中間
的な分散作用を持った中間屈折率材料Mを調整層とし、
フィルタ膜50及び位相調整膜52を形成するようにし
ている。このため、図9に示すように、本実施の形態1
の可変開口分離フィルタ22の位相差(δ)の波長依存
性は、従来例(図16参照)の場合と比較するとわかる
ように、大幅に改善することができた。
【0011】以上説明したように、本実施の形態1によ
れば、可変開口分離フィルタを構成するフィルタ膜と位
相調整膜とがそれぞれ多層に構成され、各膜が高屈折率
材料と低屈折率材料とを基本構成として、これに調整層
としての中間屈折率材料を加えることによって、フィル
タ膜と位相調整膜との位相差の波長依存性を大幅に改善
することができた。その結果、CDやDVDなどを同じ
光ヘッドを用いて再生する場合であっても、基板厚の違
いに伴う球面収差を適正に補正することが可能となる。
なお、上記実施の形態1では、可変開口分離フィルタを
構成するフィルタ膜と位相調整膜のそれぞれの層構成と
その膜厚について、図3(b)のように構成したが、必
ずしもこれに限定されるものではなく、中間屈折率層M
を配置する層は交互に配置した高屈折率層Hと低屈折率
層Lのどの層であっても良く、また使用する層の数も1
層、あるいは3層以上であっても良く、膜厚についても
各層構成に応じて適宜変化する。さらに、各層の使用材
料については、高屈折率材料としてTiO2 、低屈折率
材料としてSiO2 、中間屈折率材料として、Al2O 3
で説明してきたが、これらに限定されるものではなく、
基本構成である高屈折率材料(H)と低屈折率材料
(L)の屈折率nH ,nL に対し、それ以外に使用する
中間屈折率材料(M)の屈折率nM がnH >nM >nL
の関係にある材料を用いる場合であれば、全て含まれる
ものとする。
【0012】(実施の形態2)次に、実施の形態2に係
る可変開口分離フィルタの製造方法について説明する。
図11には、可変開口分離フィルタの製造工程中のリフ
トオフ処理に用いるリフトオフ用マスクの断面図が示さ
れており、図12には、実施の形態2の可変開口分離フ
ィルタの製造工程図が示されている。本実施の形態2で
は、図11に示されるように、リフトオフ用マスク76
として2層構造のものを用いている。例えば、リフトオ
フ用マスク76として、ガラス基板70上に銅(Cu)
入りのアルミニウム(Al)からなる下層72と、10
0%アルミニウム(Al)からなる上層74とで構成し
たものである。これは、Cu入りAlの下層72は、1
00%Alの上層74と比べると、同じエッチャントで
あってもエッチングレートが速く、さらにCuの添加量
が多くするとその差が大きくなり、例えば、Cuの添加
量を4.5%とした場合、エッチングレートが100%
Alの約2倍にもなる。このように、リフトオフ用マス
ク76として、上層74を100%Al、下層72をC
u入りAlとして、エッチングレートに差をつけること
により、図11に示すようなオーバーハング状態に形成
することができる。そこで、本実施の形態の可変開口分
離フィルタの製造方法では、図12(a)に示されるよ
うに、ガラス基板70上に下層としてCu入りAlを、
上層として100%Alを金属膜蒸着することにより、
2層構造からなる金属膜(リフトオフ用マスクとなる)
76を形成する。そして、図12(b)に示されるよう
に、その金属膜76上にフォトレジストを塗布した後、
フォトマスク1を使用してフォトレジストパターン78
を形成する。
【0013】次いで、図12(c)に示されるように、
フォトレジストパターン78をエッチングマスクとし
て、金属膜76をエッチングすることにより、図11に
示したようなオーバーハング状態のリフトオフ用マスク
76を形成した後、フォトレジストパターン78を剥離
させる。そして、図12(d)に示されるように、全面
に対して上述の実施の形態1で説明した多層構造からな
るフィルタ膜80を蒸着する。この場合の蒸着工法とし
ては、無加熱蒸着工法(例えば、イオン化蒸着工法)を
用いている。次いで、図12(e)に示されるように、
リフトオフ用マスク76を金属膜剥離(リフトオフ)処
理を行って除去する。さらに、図13(f)に示される
ように、全面に下層がCu入りAlで、上層に100%
Alからなる2層構造からなる金属膜(リフトオフ用マ
スクとなる)82を蒸着し、その上にフォトレジストを
塗布した後、フォトマスク2を使用してフォトレジスト
パターン84を形成する。そして、図13(g)に示さ
れるように、フォトレジストパターン84をエッチング
マスクとして金属膜82をエッチング除去して位相調整
膜を形成する溝が形成されるとともに、図11に示した
オーバーハング状態の2層構造からなる金属膜でリフト
オフ用マスク82が形成され、そのリフトオフ用マスク
82上のフォトレジストパターン84が剥離される。
【0014】次いで、図13(h)に示されるように、
全面に対して上述した実施の形態1の多層構造からなる
位相調整膜86が蒸着される。この場合の蒸着も無加熱
蒸着工法(イオン化蒸着工法)を用いて行なっている。
最後に、図13(i)に示されるように、リフトオフ用
マスク82を金属膜剥離(リフトオフ)処理することに
より、リフトオフ用マスク82上に形成された位相調整
膜86のみが除去され、フィルタ膜80の内側に位相調
整膜86を確実に形成することができる。以上説明した
ように、本実施の形態2によれば、可変開口分離フィル
タを製造する際のリフトオフ用のマスクとして、下層に
Cu入りのAlを用い、上層に100%のAlをそれぞ
れ蒸着した2層構造の金属膜によりリフトオフ用マスク
を形成したため、エッチングレートの差によって容易に
オーバーハング状態が得られることから、効率の良いリ
フトオフ処理を行うことが可能となり、可変開口分離フ
ィルタを安定かつ安価に製作することができる。なお、
上記実施の形態2では、リフトオフ処理で用いられるリ
フトオフ用マスクに用いたCu入りのAlのCuの添加
量を4.5%としたが、Cuの添加量はこれに限定され
るものではなく、状況に応じたエッチングレート差が得
られるように適宜Cuの添加量を変更しても良い。ま
た、逆にリフトオフ用マスクに用いるCu入りのAlの
Cuの添加量を固定すれば、エッチングにより形成され
るオーバーハング状態を正確に予測できることから、一
定のオーバーハング状態のリフトオフ用マスクを形成す
ることができるため、常に安定した可変開口分離フィル
タを製作することができる。また、上記実施の形態2で
は、リフトオフ用マスクとして100%AlとCu入り
Alの2層構成で説明したが、必ずしも2層に限定され
るものではなく、3層以上を用いて上記のようなオーバ
ーハング状態が得られるように構成しても勿論良い。さ
らに、上記実施の形態2では、可変開口分離フィルタの
製造フローにおけるリフトオフ処理の場合で説明した
が、必ずしもこの製造フローに限定されるものではな
く、リフトオフ用マスクとして100%AlとCu入り
Alとを使用することができるものについては全てに適
用することができる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
発明によれば、フィルタ膜と位相調整膜とが多層化さ
れ、それぞれの層を構成する材料や層構成を変えること
によって透過光の特性をある程度調節することができ
る。請求項2に記載の発明によれば、高屈折率材料と低
屈折率材料とを組み合わせた基本構成に少なくとも1層
の中間屈折率材料を加えたので、この中間屈折率材料が
調整層として作用して、フィルタ膜及び位相調整膜の位
相差の波長依存性を小さくすることができる。請求項3
に記載の発明によれば、リフトオフ用マスクとしてアル
ミニウム100%の層と、アルミニウムに銅を添加した
少なくとも2つの層を用いているので、銅の添加量を変
えるだけでエッチングレートが適宜変更することがで
き、このエッチングレート差を利用して、効率の良くリ
フトオフ処理を行うことができるとともに、可変開口分
離フィルタを安定かつ安価に製作することができる。請
求項4に記載の発明によれば、リフトオフ用マスクとし
てアルミニウム100%の層と、アルミニウムに銅が添
加された少なくとも2つの層を積層し、上層よりも下層
の方がエッチング速度が早くなるようにして、エッチン
グ後の形状をオーバーハング状態となるようにしたの
で、リフトオフ用マスクの剥離を容易かつ確実に行っ
て、効率良くリフトオフ処理を行うことができるととも
に、可変開口分離フィルタを安定かつ安価に製作するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態1に係る可変開口分離フィルタを
含む光ヘッドの概略構成図である。
【図2】図1中の可変開口分離フィルタを光軸方向から
見た図である。
【図3】(a)及び(b)は図2の可変開口分離フィル
タの構成を説明する断面図である。
【図4】フィルタ膜の分光特性の線図である。
【図5】位相調整膜の分光特性の線図である。
【図6】フィルタ膜と位相調整膜とを構成するSiO
(低屈折率材料)と、Al (中間屈折率材
料)と、TiO (高屈折率材料)とのそれぞれの光
学的総合膜厚と機械的総合膜厚とを示す図である。
【図7】フィルタ膜と位相調整膜のそれぞれの光学的膜
厚に対する波長依存性を示す図である。
【図8】位相調整膜とフィルタ膜との光学的膜厚差に対
する波長依存性を示す図である。
【図9】フィルタ膜と位相調整膜の位相差に対する波長
依存性を示す図である。
【図10】図7〜図9に示した線図の結果を一覧にまと
めた図である。
【図11】可変開口分離フィルタの製造工程中のリフト
オフ処理に用いるリフトオフ用マスクの断面図を示す図
である。
【図12】(a)乃至(i)は実施の形態2に係る可変
開口分離フィルタの製造工程を示す図である。
【図13】従来の光ヘッドに用いられている可変開口分
離フィルタの断面図である。
【図14】従来のフィルタ膜と位相調整膜のそれぞれの
光学的膜厚に対する波長依存性を示す図である。
【図15】位相調整膜とフィルタ膜との光学的膜厚差に
対する波長依存性を示す図である。
【図16】位相調整膜とフィルタ膜との位相差に対する
波長依存性を示す図である。
【図17】図14〜図16に示した線図の結果を一覧に
まとめた図である。
【図18】(a)乃至(g)は従来の可変開口分離フィ
ルタの製造工程の一部を示したものである。
【符号の説明】
10 光ヘッド 12、30 レーザダイオード(LD) 14、32、36 レンズ 16、34 偏光ビームスプリッタ 18 波長分離プリズム 20 1/4波長板 22 可変開口分離フィルタ 24 対物レンズ 26 CD 38 DVD 28、40 信号検出系 50 フィルタ膜 52 位相調整膜 60 ガラス基板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルタ膜と位相調整膜とを備えた可変
    開口分離フィルタにおいて、 前記フィルタ膜及び前記位相調整膜は、透過光の光軸方
    向にそれぞれ多数の層が積層されて構成されていること
    を特徴とする可変開口分離フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記フィルタ膜及び前記位相調整膜をそ
    れぞれ構成する多数の層は、 光の屈折率の高い高屈折率材料を用いた層と、これより
    も屈折率の低い低屈折率材料を用いた層とを組み合わせ
    たものを基本構成とし、その基本構成に対して前記高屈
    折率材料と前記低屈折率材料との間の屈折率を持った少
    なくとも1層からなる中間屈折率材料を加えて構成され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の可変開口分離
    フィルタ。
  3. 【請求項3】 リフトオフ用マスクを用いてその上に形
    成されたフィルタ膜及び位相調整膜を、リフトオフ用マ
    スクの剥離処理と同時に選択除去して、基板上の所定位
    置にフィルタ膜と位相調整膜とをそれぞれ形成するよう
    にした可変開口分離フィルタの製造方法において、 前記剥離処理に用いられるリフトオフ用マスクは、アル
    ミニウム100%の層と、アルミニウムに銅を添加した
    層の少なくとも2つの層を用いて構成されていることを
    特徴とする可変開口分離フィルタの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記剥離処理に用いられるリフトオフ用
    マスクは、アルミニウム100%の層と、アルミニウム
    に銅を添加した層の少なくとも2つの層を積層し、その
    エッチングレート差を利用して上層よりも下層の方がエ
    ッチング速度が早くなるように構成して、エッチング後
    の形状がオーバーハング状態となるようにしたことを特
    徴とする請求項3に記載の可変開口分離フィルタの製造
    方法。
JP10150680A 1998-05-14 1998-05-14 可変開口分離フィルタおよびその製造方法 Pending JPH11328715A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210041134A (ko) * 2014-06-18 2021-04-14 비아비 솔루션즈 아이엔씨. 금속-유전체 광학 필터, 센서 디바이스, 및 제조 방법
US11782199B2 (en) 2012-12-19 2023-10-10 Viavi Solutions Inc. Metal-dielectric optical filter, sensor device, and fabrication method

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