JPH11327183A - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体及び電子写真装置

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JPH11327183A
JPH11327183A JP13224598A JP13224598A JPH11327183A JP H11327183 A JPH11327183 A JP H11327183A JP 13224598 A JP13224598 A JP 13224598A JP 13224598 A JP13224598 A JP 13224598A JP H11327183 A JPH11327183 A JP H11327183A
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temperature
drum
heater
photoreceptor
shaped metal
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JP13224598A
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English (en)
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Toshiyuki Ebara
俊幸 江原
Hironori Owaki
弘憲 大脇
Yuji Nakayama
雄二 中山
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Original Assignee
Canon Inc
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Priority to DE69941551T priority patent/DE69941551D1/de
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  • Discharging, Photosensitive Material Shape In Electrophotography (AREA)
  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 感光体のコスト低減、と同時に、高精度温調
による画像濃度変動防止、流れ防止。 【解決手段】 ドラム状金属基体の外径がΦ20mm以
上Φ60mm以下のものを使用することにより、ドラム
状金属基体の厚さを0.1mm以上2.5mm未満にす
る。また、感光体の内部に継ぎ目のない正抵抗温度係数
発熱体をヒーターとして用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、a−Si感光体を
用いた電子写真装置に関するものであり、さらに詳しく
は薄肉シリンダーによる低コスト感光体を用いた電子写
真装置に関するものである。
【0002】また、薄肉シリンダーを用い、ヒーターを
内蔵する電子写真装置において、継ぎ目のない構成のP
TCヒーターを用い、オーバーシュート、リップルの弊
害なく、大パワー入力が可能となる電子写真装置に関す
るものである。
【0003】
【従来の技術】像形成分野における電子写真用像形成部
材における光導電層を形成する光導電材料としては、高
感度で、SN比[光電流(Ip)/(Id)]が高く、
照射する電磁波(ここでは広義の光で、紫外光線、可視
光線、赤外光線、X線、γ線等を示す)のスペクトル特
性にマッチングした吸収スペクトル特性を有すること、
光応答性が速く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時
において人体に対して無公害であること等の特性が要求
される。殊に、事務機としてオフィスで使用される電子
写真装置内に組み込まれる電子写真用像形成部材の場合
には、上記の使用時における無公害性は重要な点であ
る。
【0004】このような観点に立脚して、水素(H)や
ハロゲン原子(X)等の一価の元素でダングリングボン
ドが修飾されたアモルファスシリコン(以後a−Si
(H,X)と表記する)は、例えば独国公開第2746
967号公報、同第2855718号公報にも電子写真
用像形成部材への応用が記載されており、その優れた光
導電性、耐摩耗性、耐熱性及び大面積化が比較的容易で
あることから電子写真用像形成部材へ応用されている。
【0005】一般に、a−Si(H,X)を含有する光
導電材料を有する電子写真用の感光体ドラムを製造する
場合には、良好な光導電特性を得るために、a−Si
(H,X)膜堆積装置内で、ドラム状金属基体を200
℃〜350℃のSe系の場合に比べて極めて高い温度に
加熱し続けるという条件でドラム状金属基体上にa−S
i(H,X)膜堆積を1〜100μの膜厚に形成してい
る。この基体の高温加熱維持は電子写真特性に優れたa
−Si系感光ドラムを製造する上で必要であり、a−S
i(H,X)膜の堆積速度を考慮すれば、この高温加熱
維持は、数時間から十数時間までに及ぶのが現状であ
る。
【0006】電子写真用光導電部材は、その好ましい実
施態様例においては、電子写真用光導電部材の金属製の
支持体としてのドラム状、すなわち円筒状のAlもしく
はAl合金等の金属基体(以下Al系基体という)と、
このドラム状Al系金属基体上に設けられ、ケイ素原子
を母体とし、好ましくは水素原子及びハロゲン原子のい
ずれか少なくとも一方をその構成原子として含む非晶質
材料を含有する光導電層とが形成されて構成される。該
光導電層は、ドラム状金属基体に接して障壁層、さらに
は該光導電層の表面に表面障壁層を有してもよい。
【0007】図10に本発明のa−Si感光体の概略図
を示す。
【0008】(A)は概観図であり、2100は、肉厚
を示している。
【0009】(B)は模式的断面図であり、図におい
て、アルミ等の導電性支持体2101には、該導電性支
持体2101からの電荷の注入を阻止するための、電荷
注入阻止層2102、光照射により電子と正孔を発生
し、画像情報を電位情報に変換するための光導電層21
03が順次積層されており、これらはいずれもアモルフ
ァスシリコンを母体とし、必要に応じて水素原子、ハロ
ゲン原子等のダングリングボンドの中和剤、III 族、V
族等の価電子制御剤、酸素原子、炭素原子、窒素原子等
の修飾物質等を含有させた材料により構成されている。
前記光導電層2103の図示上面には現像剤、転写紙、
クリーニング装置等による摩擦等から光導電層を保護
し、かつ表面から光導電層への電荷注入を防止するため
の表面保護層2104が設けられており、該表面保護層
2104は、光導電層への優れた透光性をもち、機械的
強度、上部からの電荷注入防止等に優れたa−SiC:
Hの材料を用いている。
【0010】ドラム状金属基体の基材として好ましく用
いられるのは、例えば、NiCr,ステンレス、Al,
Cr,Mo,Au,Nb,Ta,V,Ti,Pt,Pd
等の金属またはこれらの合金が挙げられ、殊に、Al及
びAl系合金が好適に用いられる。
【0011】ドラム状基体の基材としてアルミニウムま
たはアルミニウム系合金を使用するのが好ましいのは、
比較的簡易に真円性、表面平滑性等の精度のよいものが
得られ、製造時のa−Si(H,X)の堆積表面部の温
度制御が容易であり、かつ経済的であるからである。
【0012】光導電部材の光導電層中に含有されてもよ
いハロゲン原子(X)としては、具体的にはフッ素、塩
素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、特に塩素、とりわけ
フッ素を好適なものとして挙げることができる。光導電
層中に含有されるケイ素原子、水素原子、ハロゲン原子
以外の成分としては、フェルミ準位や禁止帯幅等を調整
する成分として、ホウ素、ガリウム等の周期律表第III
族原子、(III 族原子という)、窒素、リン、ヒ素等の
周期律表第V族原子、(V族原子という)、酸素原子、
炭素原子、ゲルマニム原子等を単独もしくは適宜組み合
わせて含有させることができる。
【0013】障壁層は、光導電層とドラム状金属基体と
の密着性向上あるいは電荷受容能の調整等の目的で設置
されるものであり、該障壁層は目的に応じてIII 族原
子、V族原子、酸素原子、炭素原子、ゲルマニウム原子
等を含むa−Si(H,X)層もしくは多結晶−Si層
で、一層あるいは多層に構成される。
【0014】また、光導電層の上部に表面電荷注入防止
層あるいは保護層として、シリコン原子を母体とし、炭
素原子、窒素原子、酸素原子等を、好ましくは多量に含
有し、必要に応じて水素原子またはハロゲン原子を含有
する非晶質材料からなる層あるいは高抵抗有機物質から
なる層を設置してもよい。
【0015】a−Si(H,X)で構成される光導電層
を形成するには、例えばグロー放電法、スパッタリング
法、あるいはイオンプレーティング法等の従来公知の種
々の放電現象を利用する真空堆積法が適用される。
【0016】次にグロー放電分解法によって作成される
電子写真用の光導電部材の製造方法の例について説明す
る。
【0017】図1にグロー放電分解法による電子写真用
光導電部材の製造装置を示す。堆積槽1は、ベースプレ
ート2と槽壁3とトッププレート4とから構成され、こ
の堆積槽1内には、カソード電極5が設けられており、
a−Si(H,X)堆積膜が形成されるドラム状金属基
体6はカソード電極5の中央部に設置され、アノード電
極も兼ねている。
【0018】この製造装置を使用してa−Si(H,
X)堆積膜をドラム状金属基体上に形成するには、ま
ず、原料ガス流入バルブ7及びリークバルブ8を閉じ、
排気バルブ9を開け、堆積槽1内を排気する。真空計1
0の読みが約5×10-6torrになった時点で原料ガ
ス流入バルブ7を開いて、マスフローコントローラ11
内で所定の混合比に調整された、例えばSiH4 ガス、
Si26 ガス、SiF4ガス等の原料混合ガスを堆積
槽1内に流入させる。このとき堆積槽1内の圧力が所望
の値になるように真空計10の読みを見ながら排気バル
ブ9の開口度を調整する。そしてドラム状金属基体6の
表面温度が加熱ヒーター12により所定の温度に設定さ
れていることを確認した後、高周波電源13を所望の電
力に設定して堆積槽1内にグロー放電を生起させる。
【0019】また、層形成を行っている間は、層形成の
均一化を計るためにドラム状金属基体6をモーター14
により一定速度で回転させる。このようにしてドラム状
金属基体6上に、a−Si(H,X)堆積膜を形成する
ことができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ドラム状金
属基体とa−Si(H,X)膜の熱膨張係数に差がある
ことと、a−Si(H,X)膜の内部応力が大きいこと
とから、前記のようにドラム状金属基体を高温加熱維持
するa−Si(H,X)膜の堆積中だけでなく、堆積後
外気温度まで冷却する際にも、堆積したa−Si(H,
X)膜がドラム状金属基体から剥離することが認められ
ることが少なくなかった。さらに、電子写真用の感光ド
ラムとしての使用時に使用環境温度如何によってはドラ
ムが加熱されることによってもa−Si(H,X)膜が
剥がれる場合が少なくはなかった。本発明者らの多くの
実験によれば、a−Si(H,X)膜の場合の膜剥がれ
は、a−Si(H,X)膜の膜厚が厚くなればなるほど
生じ易く、また従来のSe系電子写真用感光ドラムでは
膜剥がれが生じない程度のドラム状金属基体の熱変形
(殊に、光導電層の形成時に起こり易い)によっても、
a−Si(H,X)系感光体ドラムの場合には前記熱膨
張係数の差とa−Si(H,X)膜の内部応力の大きさ
との理由から膜剥がれが生じる場合が少なくはなかっ
た。a−Si(H,X)膜の内部応力については、a−
Si(H,X)膜の製造条件(原料ガスの種類、ガス流
量比、放電パワー、基体の加熱温度、製造装置の内部構
造等)によって、ある程度は緩和することはできるが、
生産性、量産性のことを考慮すると未だ不充分である。
そして、この膜剥がれは、電子写真用感光体ドラムとし
て使用した場合には、画像欠陥の原因となり致命的なも
のである。
【0021】また、a−Si(H,X)膜の製造時にお
けるドラム状金属基体の長時間にわたる高温加熱は、上
記の膜剥がれの原因となるばかりでなく、ドラム状金属
基体の熱変形をも生じさせ易く、この熱変形は、a−S
i(H,X)堆積膜の製造時の放電の不均一を引き起こ
して、これによりa−Si(H,X)堆積膜の膜厚の均
一性が失われ、画像欠陥の原因となる。
【0022】上記の諸点に鑑み、例えば、特公平6−1
4189号公報に記載されているように、ドラム状金属
基体がアルミニウムまたはアルミニウム系合金からな
り、2.5mm以上の厚さにすることで、画像欠陥を低
減する電子写真用光導電部材が開示されている。
【0023】しかし、近年の熾烈な価格競争、特に中低
速機への展開を考慮すると、ランニングコストが安いだ
けでは不充分であり、イニシャルコストを何処まで下げ
られるかが争点になるため、該光導電部材のコストを大
きく引き下げることが、急務であった。
【0024】光導電部材のコストに占める原材料費の割
合は大きく、ドラム状金属基体の肉厚を薄くすること
は、単純な原材料費低減だけでなく、薄肉であるが故の
低熱容量から、a−Si(H,X)膜の製造時における
加熱時間短縮による省電力化及びタクト短縮、高温維持
電力の削減、そして冷却時間短縮によるタクト短縮、等
のコストダウンが見込まれるため、ドラム状金属基体の
薄肉化が急がれていた。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、a−Si
(H,X)に関し電子写真用像形成部材に使用される光
導電部材としての適用性とその応用性という観点から総
括的に鋭意研究検討を重ねた結果、特定の外径を有する
ドラム状金属基体をa−Si(H,X)堆積膜の支持体
として使用することによって、薄肉基体においても膜剥
がれ等の上記問題点を解決できることを見出し、それに
基づいて、本発明に至ったものである。
【0026】本発明は、a−Si(H,X)堆積膜の膜
剥がれによる白抜け等の画像欠陥が少なく、高品質な画
像を得ることができ、かつ低コストの光導電部材を用い
た電子写真装置を提供することを目的とする。
【0027】本発明の他の目的は、電気的、光学的、光
導電的特性が常時安定し、繰り返し使用に際しても劣化
現象を起こさず、耐久性に優れた電子写真用光導電部材
を用いた電子写真装置を提供することにある。
【0028】本発明におけるドラム状金属基体は、その
厚さが0.1mm以上2.5mm未満、外径がΦ20m
m以上Φ60mm以下のものである。すなわち、外径が
Φ20mm以上Φ60mm以下のものを使用することに
よって、光導電部材の製造時にa−Si(H,X)膜堆
積装置内で、あるいは電子写真用の感光体ドラムとして
の使用時にドラム状金属基体が加熱されても、ドラム状
金属基体の熱変形の程度を充分小さく抑えることができ
るので、a−Si(H,X)堆積膜の膜剥がれの程度を
実用範囲内においては問題がない程度以下に減少させ、
あるいは皆無にすることが可能である。
【0029】一方、従来から、コロナ帯電を用いた電子
写真装置においては、感光体の表面にオゾン生成物が付
着し、特に高湿時において画像ボケを生ずることが知ら
れている。有機感光体(OPC)のように比較的表面の
摩耗しやすい感光体の場合は、表面に形成したオゾン生
成物等が研磨手段によって摩耗除去されやすいが、あま
り研磨効果を高めると、感光体としての機能が低下し寿
命を短くしてしまう。アモルファスシリコン感光体(以
下a−Si感光体)やNP方式に使用されるCdS感光
体の表面絶縁層のような場合は、非常に硬く、表面に形
成されたオゾン酸化物等が摩耗除去されにくいこと等が
ある。
【0030】そこで、感光体内部、近傍にヒーターを配
置し感光体表面の温度を35〜45℃程度に加温するこ
とが行われている。この感光体加温は、様々の目的で行
われているが、主要目的としては、高湿時に発生する画
像ボケの防止及び除去である。これは、コロナ帯電器内
で発生したオゾンが感光体表面を化学的に変質させ、親
水基(−OH等)等が形成されるため吸湿しやくなり、
これが表面電位の横流れといった電子写真として致命的
な現象を引き起こすため、これを加温し、水分を除去す
る。また、オゾンにより生成したNOX等の物質が感光
体表面に付着し、これが同様に吸湿するため、同様に加
温し水分を除去するといった目的が主である。
【0031】加温手段としては、温風吹き付け等もある
が、感光体内面からの電熱ヒーター加熱が主流である。
従来、感光体の回転軸として感光体を支持するシャフト
内に棒状ヒーターを配置し、温調する方法がとられてい
たが、近年、特にa−Si感光体において、感光体表面
温度の温調精度を上げ、かつ感光体全面について温度ム
ラをなくすために、面状ヒーターを感光体内面に配置す
る方式が多くとられている。
【0032】以下、具体的に従来の加温手段について説
明する。
【0033】図6において、601Aは装着前の感光体
用平板状ヒーター、601Bは装着後の感光体用平板状
ヒーターである。感光体用ヒーターとしては不図示の感
光体内面に密着しない棒状のタイプと本図のように感光
体内面に密着する面状のタイプが一般的であるが、温調
精度に関していえば後者の面状タイプの方が精度が高
い。
【0034】一般に用いられている温度制御ブロック図
を図4、図5に示す。
【0035】図4において、401は感光体用ヒータ
ー、402は電力供給用AC電源、403は温度フィー
ドバック用サーミスタ、404はサーミスタ403の抵
抗に応じてヒーターへの電力供給をon−offもしく
は数段回で切り換えるための制御回路である。図中の波
線は電子写真装置本体と感光体ユニットの境界を示すも
のであり、通常スリップリング等で接触している。サー
ミスタ403は高温になると低抵抗になるといった特性
を有するため、温度を制御回路にフィードバックして温
度制御を行うものである。
【0036】図5において、501は感光体用ヒータ
ー、502は電力供給用AC電源、503は温度制御用
サーモスイッチである。図中の波線は電子写真装置本体
と感光体ユニットの境界を示すものであり、通常スリッ
プリング等で接触している。サーモスイッチ503は高
温になるとoffするように接続してあり温度制御を行
うものである。サーモスイッチがoffする温度は、サ
ーモスイッチ固有の特性である。
【0037】構成上、図4のようなサーミスタ制御のほ
うが温調精度はよい。特にa−Si感光体の場合は、暗
部電位(300〜500V)で1〜6V/deg、明部
電位(50〜200V)で1〜3V/degの電位の温
度依存性があるため、加温温度のコントロールは±1℃
程度の精度を求められており、こちらを用いる場合が多
い。
【0038】感光体単独あるいは電子写真装置の中にあ
っても感光体が静止しているような静的状態においては
この精度を実現しているが、動的状態、すなわち、実際
に電子写真装置の中で使用するような通紙を伴う状態に
おいては、感光体の温度は、室温とコピーモードに大き
く左右される。つまり、通紙する際感光体から紙にもっ
ていかれる熱量は紙の温度に影響するが、紙の温度は室
温及びコピーモード(つまりこれからコピーされる紙が
電子写真装置の外部から新たに供給される紙か、両面コ
ピー・多重コピー等のように定着器を通った後の紙か)
に影響される。また、感光体から紙にもっていかれる熱
量は、紙と感光体が接する頻度にも影響されるため、コ
ピーモード(片面・両面、設定枚数、紙サイズ[大きさ
・厚さ]等)の影響は大である。したがって、動的状態
において、感光体の温度を一定に制御するには、温度平
衡状態になるよりはるかに高い電力をヒーターに供給
し、応答性を向上させることが必要になる。
【0039】しかし、電力供給を高くする場合、従来の
方式では、次の2つの理由により温度ムラを生じてしま
う。
【0040】1つ目は、形状の問題であり、平面状ヒー
ターを丸めて円筒状感光体の内側から密着させる方式で
は、ヒーターの継ぎ目に当たる部分は温度応答性が悪
く、ヒーター部分と温度差を生じてしまうため、実開平
4−109776号公報では、継ぎ目のないヒーターを
開示しいる。
【0041】2つ目は、制御方式の問題であり、サーミ
スタを用いた回路により、スイッチングする制御方式で
は、温度検出位置、制御回路により様々であるが、一般
的に電力を大きくすると、オーバーシュート、温調リッ
プルが増大する傾向にあり、軽減するには制御回路が高
価になり、コスト的に見合わないものになってしまうた
め、温度ムラはある程度割り切らざるを得なかった。
【0042】そこで、ヒーターの抵抗自体に温度依存性
をもつ正抵抗温度係数発熱体(以下PTCと称す)を用
いること、それは高温になると高抵抗になる抵抗体自体
の特性を生かし、抵抗体の温度を一定に制御できるもの
であるため、温度制御回路は不要であり、原理的にオー
バーシュート、リップルは発生しない。
【0043】PTCヒーターとは、電極間のPTC抵抗
体のPTC特性により、適宜な温度に自己制御されてい
るもので、例えば、発熱体層及び電極がフィルム状の絶
縁体層に対し、熱接着性樹脂を介し、ラミネート装置あ
るいは加熱加圧接着することにより一体にした面状発熱
体が知られている。構成としては特公昭57−4399
5号公報や特公昭55−40161号公報に示されてい
るような一対の電極により構成されているものをはじ
め、高温度、高電力等、ニーズに合わせた様々の構成の
ものがあるが、基本的な構成は同じである。
【0044】しかし、実開平4−109776号公報の
ような継ぎ目のない構成のPTCヒーターにまで言及し
ているものはない。
【0045】したがって、前述したような大きい電力を
用いて制御しなければならない電子写真装置において、
継ぎ目のない構成でPTCヒーターを用いることは、極
めて有効な手段といえる。
【0046】以上のように、ドラム状金属基体は、その
外径がΦ20mm以上Φ60mm以下のものを使用する
ことにより、光導電部材の製造時及び電子写真用感光体
ドラムとしての使用時にドラム状金属基体が加熱されて
も、ドラム状金属基体の熱変形の程度を充分小さく抑え
ることができるので、a−Si(H,X)堆積膜の膜剥
がれの程度を実用範囲内においては問題がない、あるい
は皆無にすることが可能であり、ドラム状金属基体の厚
さを0.1mm以上2.5mm未満にすることができ製
造コストを大幅に削減することができる。
【0047】また、0.1mm以上2.5mm未満の厚
さを有するドラム状金属基体において、ヒータ−を用い
る場合にはヒーターと感光体表面の温度勾配が少ないた
め、高精度温調が可能となる。
【0048】さらに、継ぎ目のない構成のPTCヒータ
ーを用いることにより、温度平衡状態になるよりはるか
に高い大電力の投入が可能になるため、応答性が向上
し、高速昇温を可能にしつつ、通紙を伴うような動的状
態においてもオーバーシュート、温調リップルのない温
度制御が可能になる。
【0049】
【発明の実施の形態及び実施例】本発明をさらに以下の
実施例により説明するが、本発明はこれらにより何ら制
限されるものではない。
【0050】実施例1 図1に示した電子写真用光導電部材の製造装置を用い、
先に詳述したグロー放電分解法にしたがい、外径がΦ3
0mm,60mm,80mm及び108mm、肉厚が
1.5mm,2.0mm,2.5mm,3.0mm,
3.5mm及び5.0mmのそれぞれの異なるアルミニ
ウム製のドラム状基体上に、下記の条件によりa−S
i:H堆積膜を形成した。
【0051】ドラム状基体温度: 250℃ 堆積膜形成時の堆積室内内圧: 0.03Torr 放電周波数: 13.56MHz 堆積膜形成速度: 20オングストローム/sec 放電電力: 0.18W/cm2 膜厚: 20μ こうして得られた電子写真感光体ドラムの膜剥がれの状
態を観察した後、実験用に改造した実験用複写装置にこ
れら感光体ドラムを設置して画出しを行い、膜剥がれの
影響を表わすために画像評価を実施した。その結果を表
1に示す。
【0052】
【表1】 評価基準:◎非常によい、○よい、△実用上問題無、×実用上問題有、―測定 不能 肉厚0.05mmのものは、強度不足のため、成膜時あ
るいは測定に剥がれが生じてしまい、測定不能であっ
た。
【0053】肉厚を上げていくと、膜剥がれは減少する
傾向にある公知の事実が確認できた一方、外径を小さく
することも膜剥がれが減少する傾向にあることが新たに
わかった。
【0054】また、外径がΦ80mm,108mmのも
のに関して、肉厚が1.5mmと2.0mmの上記感光
体ドラムの真円度を測定したところ、一番へこんでいる
箇所と一番突出している箇所の差が100μm近くあっ
たのに対して、肉厚2.5mm及び3.0mmの感光体
ドラム及び、外径がΦ30mm,60mmの感光体ドラ
ムではその差は約30μm、肉厚3.5mm及び5.0
mmの感光体ドラムでは10〜20μmであった。真円
度の評価結果を表2に示す。
【0055】
【表2】 評価基準:◎非常によい、○よい、△実用上問題無、×実用上問題有、―測定 不能 2.5mm未満の薄肉導電性基体の感光体に関しても、
外径がΦ60mm以下のものは膜剥がれレベルは、2.
5mm以上の厚肉導電性基体の感光体と同レベルであっ
た。
【0056】実施例2 温調回路を用いず、図2のように継ぎ目のない円筒状で
フレキシブルなタイプで感光体内面に密着するPTCヒ
ーターを使用して、導電性基体の肉厚及び円筒の外径の
異なる感光体を何種類か作成し、実験機にセットし、感
光体の熱容量に応じた最適パワーをヒーターに通電開始
し、ヒーターに通電開始してから感光体の温度が45℃
になるように制御している静的状態で、温度の時間変化
を測定した結果が図7であり、判定結果が表3である。
【0057】
【表3】 評価基準:◎非常によい、○よい、―測定不能 肉厚0.05mmのものは、強度不足のため、成膜時あ
るいは測定時に剥がれが生じてしまい。測定不能であっ
た。
【0058】図2において、(A)は装着前の感光体用
ヒーター、(B)は装着後の感光体用ヒーターであり、
脱着時はヒーターの1部を変形させることにより、実質
外径を小さくして行う。感光体装着時にはヒーターは復
元力で円筒状に戻り感光体の内面に密着するようにヒー
ターの外径は感光体の内径と同じになっている。
【0059】実測の代表例が図7の通りであるが、感光
体上の測定した全ての部分は、ほぼ同傾向であり、大パ
ワーで高速昇温させる場合においても、スイッチング時
に場所による温度差も、測定箇所における温度の時間変
化(温調リップル)も生じなかった。
【0060】表3に示すように、感光体の熱容量に応じ
た最適パワーを用いれば外径の依存性はほとんどなく、
全てについて良好な結果となた。特に肉厚の2.5mm
未満のものについてはより良好であった。
【0061】比較例1 図4のような温調回路を用い、図6のように平板状で丸
めて感光体内面に密着させる継ぎ目のあるタイプのヒー
ター、及び図2のように継ぎ目のない円筒状でフレキシ
ブルなタイプで感光体内面に密着するヒーターを使用し
て、導電性基体の肉厚及び円筒の外径の異なる感光体を
何種類か作成し、実験機にセットし、感光体の熱容量に
応じた実施例2のパワーをヒーターに通電し、ヒーター
に通電開始してから感光体の温度が45℃になるように
制御している静的状態で、温度の時間変化を測定した結
果が図8であり、判定結果が表4である。
【0062】
【表4】 評価基準:◎非常によい、○よい、△実用上問題無、―測定不能 肉厚0.05mmのものは、強度不足のため、成膜時あ
るいは測定時に剥がれが生じてしまい、測定不能であっ
た。
【0063】図8において、継ぎ目のあるタイプのヒー
ターにおいては、ヒーターの継ぎ目でない部分が実線、
ヒーターの継ぎ目部分が破線のようになり、スイッチン
グ時に大きな温度差ができてしまった。一方、継ぎ目の
ないタイプのヒーターにおいては、測定した全ての部分
は、実線のようになり、スイッチング時に場所による温
度差はできなかったが、測定箇所における温度の時間変
化(温調リップル)は生じてしまった。
【0064】従来の実使用条件において実用上問題のな
かった、これらのタイプのヒーターにおいても、表4に
示すように、大パワーで高速昇温させる場合において
は、特に肉厚の厚いものに関しては、以上のような傾向
がより顕著になった。
【0065】実施例3 温調回路を用いず、図2のように継ぎ目のない円筒状で
フレキシブルなタイプで感光体内面に密着するPTCヒ
ーターを使用して、導電性基体の肉厚及び円筒の外径の
異なる感光体を何種類か作成し、実験機にセットし、感
光体の熱容量に応じた最適パワーをヒーターに通電開始
して、感光体の温度が45℃になるように制御し、15
℃環境で連続通紙した際の温度の時間変化を測定した結
果が図3であり、測定結果が表5である。
【0066】
【表5】 評価基準:◎非常によい、○よい、△実用上問題無、―測定不能 肉厚0.05mmのものは、強度不足のため、成膜時あ
るいは測定時に剥がれが生じてしまい、測定不能であっ
た。
【0067】図3は実測の代表例であるが、表5に示す
ように、感光体の熱容量に応じた最適パワーを用いれば
外径の依存性はほとんどなく、全てについて良好な結果
となった。特に肉厚の厚いものについては、熱容量が大
きいため、より良好であった。
【0068】この構成を用いることによって、動的状態
においても、温度の時間変化(温調リップル)がなくな
り、前述温度特性に起因する電位ムラがなくなり、従
来、連続通紙時に発生していた微弱な画像濃度ムラがな
くなった。
【0069】また、電位ムラがなくなったため、電位測
定手段を有し、潜像条件を帯電量・光量等でコントロー
ルする、いわゆる『電位制御』において、従来の、温度
特性に起因する電位ムラによる電位制御バラツキ、すな
わち制御電位変動、がなくなって電位の収束性が向上
し、画像濃度安定性がより向上した。
【0070】比較例2 図4のような温調回路を用い、図2のように継ぎ目のな
い円筒状でフレキシブルなタイプで感光体内面に密着す
るヒーターを使用して、導電性基体の肉厚及び円筒の外
径の異なる感光体を何種類か作成し、実験機にセット
し、感光体の熱容量に応じた実施例3のパワーをヒータ
ーに通電開始して、感光体の温度が45℃になるように
制御し、15℃環境で連続通紙した際の温度の時間変化
を測定した結果が図9であり、測定結果が表6である。
【0071】
【表6】 評価基準:○よい、△実用上問題無、×実用上問題有、―測定不能 肉厚0.05mmのものは、強度不足のため、成膜時あ
るいは測定時に剥がれが生じてしまい、測定不能であっ
た。
【0072】図9に示すように、通紙による温度低下を
補償するために、大パワーを供給するため、温調リップ
ルが発生し、前述温度特性に起因する電位ムラ、画像濃
度ムラが発生した。
【0073】
【発明の効果】本発明では、ドラム状金属基体として、
その外径がΦ20mm以上Φ60mm以下のものを使用
することにより、光導電部材の製造時及び電子写真用の
感光体ドラムとしての使用時にドラム状金属基体が加熱
されても、ドラム状金属基体の熱変形の程度を充分小さ
く抑えることができるので、a−Si(H,X)堆積膜
の膜剥がれの程度を実用範囲内においては問題がない、
あるいは皆無にすることが可能であり、ドラム状金属基
体の厚さを0.1mm以上2.5mm未満にすることが
でき製造コストを大幅に削減することができる。
【0074】また、0.1mm以上2.5mm未満の厚
さを有するドラム状金属基体において、ヒーターを用い
る場合にはヒーターと感光体表面の温度勾配が少ないた
め、高精度温調が可能となる。
【0075】さらに、継ぎ目のない構成のPTCヒータ
ーを用いることにより、温度平衡状態になるよりはるか
に高い大電力の投入が可能になるため、応答性が向上
し、高速昇温を可能にしつつ、通紙を伴うような動的状
態においてもオーバーシュート。
【図面の簡単な説明】
【図1】グロー放電分解法による光導電部材の製造装置
を示す模式図。
【図2】本発明で使用する感光体用ヒーターを示す模式
図で、(A)は感光体ドラム内面に装着前、(B)は装
着後を示す。
【図3】実施例3の形態において、15℃環境で連続通
紙した際(動的状態)のドラム表面温度の変化を示す。
【図4】従来からの温調基板を用いた場合の感光体の温
度制御用回路のブロック図。
【図5】従来からのサーモスイッチを用いた場合の感光
体の温度制御用回路のブロック図。
【図6】従来の感光体用ヒーターを示す模式図で、
(A)は装着前、(B)は装着後を示す。
【図7】実施例2の形態において、感光体が静止した状
態(静的状態)のドラム表面温度変化を示す。
【図8】比較例1の形態において、感光体が静止した状
態(静的状態)のドラム表面温度の変化を示す。
【図9】比較例2の形態において、15℃環境で連続通
紙した際(動的状態)のドラム表面温度の変化を示す。
【図10】a−Si感光体の模式図で、(A)は概観
図、(B)は断面図である。
【符号の説明】
1 堆積膜 2 ベースプレート 3 槽壁 4 トッププレート 5 カソード電極 6 ドラム状金属基体 7 原料ガス流入バルブ 8 リークバルブ 9 排気バルブ 10 真空計 11 マスフローコントローラ 12 加熱ヒーター 13 高周波電源 14 モーター 101,401,501,601 感光体用ヒーター 402,502 ヒーター用電源 403 ヒーター温度フィールドバック用サーミスタ 404 温調用制御回路 503 ヒーター温度制御用サーモスイッチ 2100 a−Si感光体またはその肉厚 2101 導電性支持体 2102 電荷注入阻止層 2103 光導電層 2104 表面保護層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に少なくとも非晶質珪素を
    含有する感光層を備え、該導電性基体の肉厚が0.1m
    m以上2.5mm未満である円筒状感光体において、該
    円筒の外径がΦ20mm以上Φ60mm以下であること
    を特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電子写真感光体を具備
    する電子写真装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の電子写真装置におい
    て、前記電子写真感光体がその内部にヒーターを具備し
    ており、該ヒーターが正抵抗温度係数発熱体からなり、
    該感光体の内周面の全周にわたり密着されている電子写
    真装置。
  4. 【請求項4】 前記導電性基体の基材がアルミニウムま
    たはアルミニウム系合金である請求項1に記載の電子写
    真感光体。
  5. 【請求項5】 前記導電性基体の基材がアルミニウムま
    たはアルミニウム系合金である請求項2または3に記載
    の電子写真装置。
JP13224598A 1998-05-14 1998-05-14 電子写真感光体及び電子写真装置 Pending JPH11327183A (ja)

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JP13224598A JPH11327183A (ja) 1998-05-14 1998-05-14 電子写真感光体及び電子写真装置
DE69929371T DE69929371T2 (de) 1998-05-14 1999-05-11 Elektrophotographischer Bildherstellungsapparat
EP99109423A EP0957404B1 (en) 1998-05-14 1999-05-11 Electrophotographic image forming apparatus
EP99109499A EP0957405B1 (en) 1998-05-14 1999-05-12 Image forming apparatus
EP04006392A EP1429193A3 (en) 1998-05-14 1999-05-12 Image forming apparatus
DE69941551T DE69941551D1 (de) 1998-05-14 1999-05-12 Bildherstellungsapparat
US09/310,986 US6122467A (en) 1998-05-14 1999-05-13 Image forming apparatus using an amorphous silicon photosensitive member having a thin cylinder
US09/310,987 US6110629A (en) 1998-05-14 1999-05-13 Electrophotographic, photosensitive member and image forming apparatus

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7751754B2 (en) 2006-02-24 2010-07-06 Kyocera Corporation Image forming apparatus provided with an electrophotographic photosensitive member
US7941070B2 (en) 2006-02-24 2011-05-10 Kyocera Corporation Electrophotographic photosensitive member and image forming apparatus using same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7751754B2 (en) 2006-02-24 2010-07-06 Kyocera Corporation Image forming apparatus provided with an electrophotographic photosensitive member
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