JPH11326481A - パルス音の到来時間差推定方法及びその装置 - Google Patents

パルス音の到来時間差推定方法及びその装置

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JPH11326481A
JPH11326481A JP13730598A JP13730598A JPH11326481A JP H11326481 A JPH11326481 A JP H11326481A JP 13730598 A JP13730598 A JP 13730598A JP 13730598 A JP13730598 A JP 13730598A JP H11326481 A JPH11326481 A JP H11326481A
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JP
Japan
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time difference
sets
pulse
arrival time
correlation curve
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JP13730598A
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Shinji Yanai
伸治 屋内
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 的確に詳細到来時間差を求めることができる
パルス音の到来時間差推定方法及びその装置を提供す
る。 【解決手段】 相関器5により2組のパルス音の入力時
間波形の相関をとることによりこの2組のパルス音の相
関カーブを算出し、包絡線検波器8−1,8−2によ
り、2組のパルス音の入力時間波形に対してそれぞれの
包絡線波形を算出し、時刻検出器9−1,9−2により
2組のパルス音の包絡線波形の立ち上がり時刻を検出
し、2組の包絡線波形の立ち上がり時刻から概略時間差
推定器10により2組のパルス音の概略到来時間差を算
出し、この算出された概略到来時間差から、検索窓設定
器11により相関カーブにおいて詳細到来時間差を算出
するのに用いられる相関カーブの区間を限定し、この限
定された相関カーブのピーク値から2組のパルス音の詳
細到来時間差を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、艦船等から発信さ
れたPCW(Pulse ContinuousWav
e)やLFM(Linear FM)等のパルス音(探
信音)を、2組以上の音響センサないしは2組以上の音
響センサアレイ(音響センサ装置)を用いて整相した受
信ビームで受信し、各音響センサないしは受信ビーム間
のパルス音の到来時間差から発信源の方位(2組の場
合)、または発信源までの方位と距離(3組以上の場
合)を算出する音源方位測定装置、または音源位置局限
装置等に用いられるパルス音の到来時間差推定方法及び
その装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、パルス間の到来時間差を推定する
パルス音の到来時間差推定方法の一つとして、2つの波
形による相関カーブから時間差を求める手法がある。図
10は従来のパルス音の到来時間差推定装置のブロック
図である。この図において、101−1,101−2は
音響センサないしは音響センサアレイを用いて音源方向
に整相した音響ビームからの入力端子、102−1、1
02−2はバッファメモリ、103は検知器、104−
1、104−2は波形選択器、105は相関器、106
は時間差推定器、107は出力端子である。
【0003】また、図11は従来のパルス音の到来時間
差推定装置における検知器の詳細構成図である。この図
において、121は入力端子101−1(図10参照)
との接続端子、122は瞬時パワー算出器、123は短
時間積分器、124は長時間積分器、125は比較器、
126は閾値算出器、127は波形選択器104−1と
104−2(図10参照)への接続端子である。
【0004】次に、上記パルス音の到来時間差推定装置
の動作について、図10及び図11を参照しながら説明
する。音響センサないしは音響センサアレイによる音響
ビームで受信した受信信号(以下、受信信号と称する)
は、ディジタル信号の時系列データとして入力端子10
1−1及び101−2を通じてバッファメモリ102−
1、102−2にそれぞれ入力されると共に、入力端子
101−1からの時系列データは検知器103にも入力
される。
【0005】バッファメモリ102−1はFIFO形式
のメモリであり、入力端子101−1から入力した前記
受信信号のディジタル形式の時系列データを現在の時刻
から一定時間さかのぼった時刻まで記憶しておく。その
記憶サイズは相関器105の相関処理に必要なデータ量
や検知器103の応答性を考えて決定される。バッファ
メモリ102−2に関しても同様の処理となる。
【0006】次に、検知器103は入力端子101−1
から入力した前記受信信号のディジタル形式の時系列デ
ータを接続端子121を通じて、瞬時パワー算出器12
2に入力する。次に、瞬時パワー算出器122は、接続
端子121を通じて入力される前記受信信号の時系列デ
ータX1(k)に対して次式の自乗処理を行なうことに
より、瞬時パワーを算出し、その結果を短時間積分器1
23と長時間積分器124に出力する。
【0007】 Y1(k)=X1(k)・X1(k) …(1) 次に、短時間積分器123には、瞬時パワー算出器12
2からの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力さ
れ、次式の指数積分により、その短時間積分パワーZS
(k)を求め、その結果を比較器125に出力する。こ
こで、積分定数αは背景雑音の分散がある程度低減さ
れ、かつパルス音に対してはそのピークレベル低下があ
まり起こらない範囲内の値を採用する。
【0008】 ZS(k)=α・Y1(k)+(1−α)・ZS(k−1) …(2) 次に、長時間積分器124には、瞬時パワー算出器12
2からの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力さ
れ、短時間積分器と同様に次式(3)の指数積分によ
り、その長時間積分パワーZL(k)を求めることで背
景雑音レベルを推定し、その結果を閾値算出器126に
出力する。ここで、長時間積分用の積分定数βはパルス
音のピークレベルが十分小さくなり、かつ背景雑音レベ
ルの変動に十分追従できる範囲内の値を採用する。
【0009】 ZL(k)=β・Y1(k)+(1−β)・ZL(k−1) …(3) 次に、閾値算出器126には、長時間積分器124から
背景雑音レベルの推定結果ZL(k)が入力され、次式
によりパルス音を検知するための閾値を算出し、その結
果を比較器125に出力する。ここで、定数γは、検知
確率、誤警報確率を考慮して設定する。
【0010】 THL(k)=γ・ZL(k) …(4) 次に、比較器125には短時間積分器123からの短時
間積分結果ZS(k)と、閾値算出器126からの閾値
THL(k)が入力され、両者を比較し、次式(5)の
条件を満足した場合、すなわち閾値THL(k)を超え
るZS(k)が一定期間NW続いた場合、前記受信信号
内にパルス音が存在すると判定し、パルス音の開始時刻
KSと終了時刻KEを接続端子127を通じて波形選択
器104−1および104−2に出力する。
【0011】 ZS(k)>THL(k) …(5) k=KS,KS+1,・・・,KE−1,KE KE−KS≧NW 次に、波形選択器104−1に検知器103内の比較器
125からパルス音の開始時刻KSと終了時刻KEを接
続端子127を通じて入力すると、波形切り出し開始時
刻JSと波形切り出し終了時刻JEを算出し、バッファ
メモリ102−1から該当する時間分の切り出し波形W
1(k)(k=JS,JS+1,…,JE−1,JE)
を読み出し、その結果を相関器105に出力する。JS
とJEは次式で与えられる。
【0012】 JS=KS−M1 …(6) JE=KE+M2 …(7) ただし、M1およびM2は、区間[JS,JE]で波形
を切り出した場合、対象としている全ての到来方位に関
して、受信波形内のパルス音が区間[JS,JE]内に
包含する形で切り出されるように、かつ相関処理に必要
なサイズを考慮して決定される。
【0013】波形選択器104−2にも同様に検知器1
03内の比較器125からパルス音の開始時刻KSと終
了時刻KEを接続端子127を通じて入力すると、波形
切り出し開始時刻JSと波形切り出し終了時刻JEを算
出し、バッファメモリ102−2から該当する時間分の
切り出し波形W2(k)(k=JS,JS+1,…,J
E−1,JE)を読み出し、その結果を相関器105に
出力する。ここで、JS,JEは基本的に波形選択器1
04−1と同一時刻での切り出しとする。
【0014】次に、相関器105には、波形選択器10
4−1から切り出し波形W1(k)(k=JS,JS+
1,…,JE−1,JE)が、波形選択器104−2か
ら切り出し波形W2(k)(k=JS,JS+1,…,
JE−1,JE)が入力され、例えば、次式の時間領域
での相関処理の手法を用いる等して相関カーブを算出
し、その結果を時間差推定器106に出力する。
【0015】
【数1】
【0016】次に、時間差推定器106には、相関器1
05からの相関カーブが入力され、相関カーブがピーク
となる位置と相関処理における基準時刻との差を到来時
刻差として検出し、その結果を出力端子107に出力す
る。例えば、到来したパルス音がLFM(Linear
FM)の場合についての切り出し波形と相関カーブの
例を図12に示す。図12(a)は切り出し波形図、図
12(b)はその相関カーブを示す図である。
【0017】相関カーブのピーク位置を検出し、相関カ
ーブの基準時刻〔図12(b)の破線〕との差を算出す
ることにより、到来時刻差を求めることができる。相関
カーブのピーク位置はサンプリングの単位で求めるか、
必要に応じて2次曲線フィッテング等を行なうことによ
り、そのピーク位置を精測する。出力端子107から出
力された到来時間差は、方位を算出するのに利用した
り、もう一組の音響センサないしは音響センサアレイを
用いて音源方向に整相した音響ビームで受信した受信波
形から算出した到来時間差と組み合わせて、パルス音を
放射した発信源までの距離と方位を算出することで音源
位置を局限する等、各種の信号処理に利用される。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のパルス音の到来時間差推定方法では、以下のよ
うな問題点があった。図13は従来の構成例の問題点を
説明する図であり、図13(a)は入力時間波形を示す
図、図13(b)はその相関カーブを示す図である。
【0019】例えば、図12のようなLFMの場合に
は、比較的その周波数成分が広がっていることから、相
関カーブは、図12(b)に示すように、鋭いピークを
持ち、ピーク値の周りのサイドローブの相関値は非常に
低い値となる。しかしながら、PCW(Pulse C
ontinuous Wave)のように、周波数成分
がある周波数に集中しているパルス音に関してはその相
関カーブは、図13(b)に示すように、多くの副極を
持ち、SN比が無限大の状況においても、そのサイドロ
ーブの相関値はメインローブの相関値と遜色が無いくら
い十分大きい。
【0020】よって、切り出した波形のSN比の低下に
伴い、相関カーブのメインローブとサイドローブの相関
値は逆転する場合が発生しうる。その結果、時間差推定
器106で検出する到来時間差は本来検出すべきメイン
ローブのピーク位置と基準時刻の差ではなく、たまたま
ピーク値が逆転したサイドローブのピーク値と基準時刻
の差を検出してしまうことで到来時間差を大きく誤って
検出し、ひいては、その誤った到来時間差を用いる後段
の音源方位算出処理や音源位置極限処理等に大きな影響
を与える。
【0021】本発明は、上記問題点を除去し、的確に詳
細到来時間差を求めることができるパルス音の到来時間
差推定方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕2組の音響センサ装置を用い、音響ビームによ
り、時間的にエネルギーが制限されたパルス音を受信
し、この2組のパルス音の相関をとることにより、この
パルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差
推定方法において、前記2組のパルス音の入力時間波形
の相関をとることによりこの2組のパルス音の相関カー
ブを算出し、前記2組のパルス音の入力時間波形に対し
てそれぞれの包絡線波形を算出し、前記2組のパルス音
の包絡線波形の立ち上がり時刻を検出し、前記2組の包
絡線波形の立ち上がり時刻から該2組のパルス音の概略
到来時間差を算出し、この算出された概略到来時間差か
ら前記相関カーブにおいて詳細到来時間差を算出するの
に用いられる相関カーブの区間を限定し、この限定され
た相関カーブのピーク値から2組のパルス音の詳細到来
時間差を算出するようにしたものである。
【0023】〔2〕2組の音響センサ装置を用い、音響
ビームにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス
音を受信し、この2組のパルス音の相関をとることによ
り、このパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到
来時間差推定装置において、前記2組のパルス音の入力
時間波形の相関をとることによりこの2組のパルス音の
相関カーブを算出する手段と、前記2組のパルス音の入
力時間波形に対してそれぞれの包絡線波形を算出する手
段と、前記2組のパルス音の包絡線波形の立ち上がり時
刻を検出する手段と、前記2組の包絡線波形の立ち上が
り時刻からこの2組のパルス音の概略到来時間差を算出
する手段と、この算出された概略到来時間差から前記相
関カーブにおいて詳細到来時間差を算出するのに用いら
れる相関カーブの区間を限定する手段と、この限定され
た相関カーブのピーク値から2組のパルス音の詳細到来
時間差を算出する手段とを具備し、前記概略到来時間差
を用いて前記相関カーブのピーク位置を特定することに
より、前記詳細到来時間差を算出するようにしたもので
ある。
【0024】〔3〕2組の音響センサ装置を用い、音響
ビームにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス
音を受信し、この2組のパルス音の相関をとることによ
り、このパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到
来時間差推定方法において、前記2組のパルス音の入力
時間波形の相関をとることによりこの2組のパルス音の
相関カーブを算出し、前記2組のパルス音の入力時間波
形の立ち上がり時刻を検出し、前記2組の入力時間波形
の立ち上がり時刻から2組のパルス音の概略到来時間差
を算出し、この算出された概略到来時間差から前記相関
カーブにおいて詳細到来時間差を算出するのに用いられ
る相関カーブの区間を限定し、この限定された相関カー
ブのピーク値から2組のパルス音の詳細到来時間差を算
出するようにしたものである。
【0025】〔4〕2組の音響センサ装置を用い、音響
ビームにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス
音を受信し、この2組のパルス音の相関をとることによ
り、このパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到
来時間差推定装置において、前記2組のパルス音の入力
時間波形の相関をとることによりこの2組のパルス音の
相関カーブを算出する手段と、前記2組のパルス音の入
力時間波形の立ち上がり時刻を検出する手段と、前記2
組の入力時間波形の立ち上がり時刻から2組のパルス音
の概略到来時間差を算出する手段と、この算出された概
略到来時間差から前記相関カーブにおいて詳細到来時間
差を算出するのに用いられる相関カーブの区間を限定す
る手段と、この限定された相関カーブのピーク値から2
組のパルス音の詳細到来時間差を算出する手段とを具備
し、前記概略到来時間差を用いて前記相関カーブのピー
ク位置を特定することにより、前記詳細到来時間差を算
出するようにしたものである。
【0026】〔5〕2組の音響センサ装置を用い、音響
ビームにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス
音を受信し、この2組のパルス音の相関をとることによ
り、このパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到
来時間差推定方法において、前記2組のパルス音の入力
時間波形の相関をとることによりこの2組のパルス音の
相関カーブを算出し、前記2組のパルス音の入力時間波
形の零クロス時刻を検出し、前記2組の入力時間波形の
零クロス時刻から2組のパルス音の概略到来時間差を算
出し、この算出された概略到来時間差から前記相関カー
ブにおいて詳細到来時間差を算出するのに用いられる相
関カーブの区間を限定し、この限定された相関カーブの
ピーク値から2組のパルス音の詳細到来時間差を算出す
るようにしたものである。
【0027】〔6〕2組の音響センサ装置を用い、音響
ビームにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス
音を受信し、この2組のパルス音の相関をとることによ
り、このパルス音の到来時間差を推定するパルス音の到
来時間差推定装置において、前記2組のパルス音の入力
時間波形の相関をとることによりこの2組のパルス音の
相関カーブを算出する手段と、前記2組のパルス音の入
力時間波形の零クロス時刻を検出する手段と、前記2組
の入力時間波形の零クロス時刻から2組のパルス音の概
略到来時間差を算出する手段と、この算出された概略到
来時間差から前記相関カーブにおいて詳細到来時間差を
算出するのに用いられる相関カーブの区間を限定する手
段と、この限定された相関カーブのピーク値から2組の
パルス音の詳細到来時間差を算出する手段とを具備し、
前記概略到来時間差を用いて前記相関カーブのピーク位
置を特定することにより、前記詳細到来時間差を算出す
るようにしたものである。
【0028】本発明によれば、上記したように、概略到
来時間差を用いて前記相関カーブのピーク位置を特定す
ることにより、詳細到来時間差を算出することができ
る。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。図1は本発明の第1実施例を示すパ
ルス音の到来時間差推定装置のブロック図である。この
図において、1−1は音響センサないしは音響センサア
レイ(音響センサ装置)を用いて音源方向に整相した音
響ビームからの第1の入力端子、1−2は音響センサな
いしは音響センサアレイ(音響センサ装置)を用いて音
源方向に整相した音響ビームからの第2の入力端子、2
−1は第1のバッファメモリ、2−2は第2のバッファ
メモリ、3は検知器、4−1は第1の波形選択器、4−
2は第2の波形選択器、5は相関器、7は出力端子、8
−1は第1の包絡線検波器、8−2は第2の包絡線検波
器、9−1は第1の時刻検出器、9−2は第2の時刻検
出器、10は概略時間差推定器、11は検索窓設定器、
12は詳細時間差推定器である。
【0030】図2は、本発明の第1実施例を示すパルス
音の到来時間差推定装置における時刻検出器の詳細構成
図である。この図において、31は第1の包絡線検波器
8−1または第2の包絡線検波器8−2からの接続端
子、32は平均振幅レベル算出器、33は閾値算出器、
34は立ち上がり時刻算出器、35は概略時間差推定器
10への接続端子である。
【0031】図3は本発明の第1実施例を示すパルス音
の到来時間差推定装置における時刻検出器の動作説明
図、図4は本発明の第1実施例を示すパルス音の到来時
間差推定装置における検知器の構成図である。図4にお
いて、21は第1の入力端子1−1との接続端子、22
は瞬時パワー算出器、23は短時間積分器、24は長時
間積分器、25は比較器、26は閾値算出器、27は第
1の波形選択器4−1および第2の波形選択器4−2へ
の接続端子である。
【0032】以下、本発明の第1実施例を示すパルス音
の到来時間差推定装置の動作について図1乃至図4を参
照しながら説明する。音響センサないしは音響センサア
レイによる音響ビームで受信した受信信号(以下、受信
信号と称する)は、ディジタル信号の時系列データとし
て第1の入力端子1−1及び第2の入力端子1−2を通
じて第1のバッファメモリ2−1、第2のバッファメモ
リ2−2にそれぞれ入力されると共に、第1の入力端子
1−1からの時系列データは検知器3にも入力される。
【0033】第1のバッファメモリ2−1は、FIFO
形式のメモリであり、第1の入力端子1−1から入力し
た前記受信信号のディジタル形式の時系列データを、現
在の時刻から一定時間さかのぼった時刻まで記憶してお
く。その記憶サイズは相関器5の相関処理に必要なデー
タ量や検知器3の応答性を考えて決定される。第2のバ
ッファメモリ2−2に関しても同様の処理となる。
【0034】検知器3は第1の入力端子1−1から入力
した前記受信信号のディジタル形式の時系列データを、
接続端子21を通じて瞬時パワー算出器22に入力す
る。瞬時パワー算出器22は、接続端子21を通じて入
力される前記受信信号の時系列データX1(k)に対し
て式(1)の自乗処理を行なうことにより、瞬時パワー
を算出し、その結果を短時間積分器23と長時間積分器
24に出力する。
【0035】短時間積分器23には瞬時パワー算出器2
2からの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力さ
れ、上記式(2)の指数積分により、その短時間積分パ
ワーZS(k)を求め、その結果を比較器25に出力す
る。ここで、積分定数αは背景雑音の分散がある程度低
減され、かつ、パルス音に対しては、そのピークレベル
低下があまり起こらない範囲内の値を採用する。
【0036】長時間積分器24には、瞬時パワー算出器
22からの前記受信信号の瞬時パワーY1(k)が入力
され、短時間積分器23と同様に上記式(3)の指数積
分により、その長時間積分パワーZL(k)を求めるこ
とにより背景雑音レベルを推定し、その結果を閾値算出
器26に入力する。ここで、長時間積分用の積分定数β
はパルス音のピークレベルが十分小さくなり、かつ背景
雑音レベルの変動に十分追従できる範囲内の値を採用す
る。
【0037】次に、上記したように、閾値算出器26に
は長時間積分器24から背景雑音レベルの推定結果ZL
(k)が入力され、上記式(4)によりパルス音を検知
するための閾値を算出し、その結果を比較器25に出力
する。ここで、定数γは検知確率、誤警報確率を考慮し
て設定する。比較器25には短時間積分器23からの短
時間積分結果ZS(k)と閾値算出器26からの閾値T
HL(k)が入力され、両者を比較し、上記式(5)の
条件を満足した場合、すなわち、閾値THL(k)を超
えるZS(k)が一定期間NW続いた場合、前記受信信
号内に、パルス音が存在すると判定し、パルス音の開始
時刻KSと終了時刻KEを接続端子27を通じて第1の
波形選択器4−1および第2の波形選択器4−2に出力
する。
【0038】第1の波形選択器4−1には検知器3内の
比較器25からパルス音の開始時刻KSと終了時刻KE
が接続端子27を通じて入力されると、波形切り出し開
始時刻JSと波形切り出し終了時刻JEを算出し、第1
のバッファメモリ2−1から該当する時間分の切り出し
波形W1(k)(k=JS,JS+1,…,JE−1,
JE)を読み出し、その結果を相関器5と第1の包絡線
検波器8−1に出力する。
【0039】JSとJEは上記式(6)と上記式(7)
で与えられる。ただし、上記式(6)のM1および上記
式(7)のM2は、区間[JS,JE]で波形を切り出
した場合、対象としている全ての到来方位に関して、受
信波形内の、パルス音が区間[JS,JE]内に包含す
る形で切り出されるように、かつ、相関処理及び包絡線
検波処理に必要なサイズを考慮して決定される。
【0040】第2の波形選択器4−2も同様に検知器3
内の比較器25からパルス音の開始時刻KSと終了時刻
KEが接続端子27を通じて入力されると、波形切り出
し開始時刻JSと波形切り出し終了時刻JEを算出し、
第2のバッファメモリ2−2から該当する時間分の切り
出し波形W2(k)(k=JS,JS+1,…,JE−
1,JE)を読み出し、その結果を相関器5と第2の包
絡線検波器8−2に出力する。ここで、JS,JEは基
本的に波形選択器4−1と同一時刻での切り出しとす
る。
【0041】相関器5には第1の波形選択器4−1から
切り出し波形W1(k)(k=JS,JS+1,…,J
E−1,JE)と、第2の波形選択器4−2から切り出
し波形W2(k)(k=JS,JS+1,…,JE−
1,JE)が入力され、例えば上記式(8)の時間領域
での相関処理の手法を用いる等して相関カーブを算出
し、その結果を詳細時間差推定器12に出力する。
【0042】一方、第1の包絡線検波器8−1には第1
の波形選択器4−1から切り出し波形W1(k)(k=
JS,JS+1,…,JE−1,JE)が入力され、例
えば下記式(9)および下記式(10)の自乗検波手段
により包絡線検波を行ない、その結果を第1の時刻検出
器9−1に出力する。 P1(k)=W1(k)・W1(k) …(9) Pe1(k)=LPF[P1(k)] …(10) ここで、LPF[ ]はP1(k)に対する低減濾波処
理で、低減濾波のカットオフ周波数は、パルス音の周波
数が十分低減でき、かつ包絡線の周波数が通過できる値
に設定する。
【0043】第2の包絡線検波器8−2も同様に第2の
波形選択器4−2から切り出し波形W2(k)(k=J
S,JS+1,…,JE−1,JE)が入力され、上記
式(9)および上記式(10)の自乗検波手段により包
絡線検波を行ない、その結果を第2の時刻検出器9−2
に出力する。第1の時刻検出器9−1は、第1の包絡線
検波器8−1で算出したパルス音の包絡線波形を接続端
子31を通じて、平均振幅レベル算出器32と立ち上が
り時刻算出器34に入力する。
【0044】平均振幅レベル算出器32は接続端子31
を通じて入力される包絡線波形に対して、図3に示すよ
うに、その包絡線のピーク近傍の平均振幅レベルを算出
し、その結果を閾値算出器33に出力する。閾値算出器
33は平均振幅レベル算出器32から入力した平均振幅
レベルを用いて、包絡線波形においてパルス音の存在し
ない区間の背景雑音レベルを勘案して閾値を設定し、そ
の結果を立ち上がり時刻算出器34に出力する。例え
ば、前記背景雑音レベルが十分に小さければ、平均振幅
レベルの1/2に設定する等、自由に選択することがで
きる。
【0045】立ち上がり時刻算出器34には、接続端子
31を通じて包絡線波形を第1の包絡線検波器8−1か
ら取り込むとともに、閾値算出器33から算出した閾値
が入力され、図3に示すように前記包絡線波形がその閾
値以上となる時刻を立ち上がり時刻t1として検出し、
その結果を接続端子35を通じて、概略時間差推定器1
0に出力する。
【0046】第2の時刻検出器9−2も同様に第2の包
絡線検波器8−2で算出したパルス音の包絡線波形が入
力され、その立ち上がり時刻t2を検出し、その結果を
概略時間差推定器10に出力する。概略時間差推定器1
0には第1の時刻検出器9−1からは立ち上がり時刻t
1が、第2の時刻検出器9−2からは立ち上がり時刻t
2が入力され、下記式(11)で与えられる両者の時刻
差を概略到来時間差ηとして算出し、その結果を検索窓
設定器11に出力する。
【0047】 η=t2−t1 …(11) 検索窓設定器11に概略時間差推定器10から概略到来
時間差ηが入力されると、相関器5からの相関波形出力
C(τ)に対して詳細時間差推定器12がピーク検出に
より到来時間差を検出する際の検索窓を下記式(12)
のように設定し、その結果を詳細時間差推定器12に出
力する。
【0048】 η−T1〜η+T2 …(12) ここで、T1、T2は検索時間の範囲を示すパラメータ
であり、例えば、T1=T2=1/(2f)に設定する
など自由に設定できる。この場合、fはパルス音の中心
周波数で事前に分かっている場合にはその値を、分かっ
ていない場合には周波数分析などの手法で検出した周波
数を設定する。
【0049】詳細時間差推定器12は相関器5からは2
つのパルス音の相関波形C(τ)を、検索窓設定器11
からはその相関波形C(τ)のピーク値を検出する際の
検索窓の時間幅を入力し、検索窓内における相関波形の
ピーク位置を詳細到来時間差τとして検出し、その結果
を出力端子7に出力する。例えば、図13(a)に示す
ようなPCWの場合、相関カーブは図13(b)のよう
になる。この相関カーブに対して、図14に示すように
概略到来時間差に対して検索窓が設定され、該検索窓の
範囲内において相関カーブのピーク位置を検出し、相関
カーブの基準時刻との差を算出することにより、詳細到
来時刻差を算出する。ここで、相関カーブのピーク位置
はサンプリングの単位で求めるか、必要に応じて2次曲
線フィッティング等を行なうことにより、そのピーク位
置を精測する。
【0050】出力端子7から出力された詳細到来時間差
は、方位を算出するのに利用したりもう一組の音響セン
サないしは音響センサアレイを用いて音源方向に整相し
た音響ビームで受信し、受信波形から算出した詳細到来
時間差と組み合わせて、パルス音を放射した発信源まで
の距離と方位を算出することで音源位置を局限する等、
各種の信号処理に利用される。
【0051】このように、第1実施例によれば、PCW
のように周波数成分がある周波数に集中しているパルス
音に関して、その相関カーブはメインローブとのレベル
差が小さい多くの副極を持ち、SN比の低下やパルス長
の延伸に伴い、メインローブのピーク位置の特定が困難
となり、結果としてサイドローブのピーク位置を誤って
検出してしまうという問題を解決するために、前記パル
ス音の包絡線波形の立ち上がり時刻の時間差を概略到来
時間差として算出し、この概略到来時間差に対して検索
窓を設定することで前記メインローブの位置を特定し、
前記特定したメインローブに対してピーク位置を検出す
ることで詳細到来時間差を算出するようにしたので、雑
音レベルが高い場合や長いパルス長のPCWにおいて
も、相関カーブの副極のピーク位置を誤って検出するこ
との少ない、かつ精度の良い到来時間差を推定すること
ができる。
【0052】次に本発明の第2実施例について説明す
る。図5は本発明の第2及び第3実施例を示すパルス音
の到来時間差推定装置のブロック図である。なお、第1
実施例と同じ部分については同一の番号を付与してい
る。図5において、13−1は第1の時刻検出器、13
−2は第2の時刻検出器である。
【0053】図6は第2実施例における第1の時刻検出
器13−1、第2の時刻検出器13−2の詳細構成図で
あり、41は第1の波形選択器4−1または第2の波形
選択器4−2からの接続端子、42は平均自乗レベル算
出器、43は閾値算出器、44は立ち上がり時刻算出
器、45は概略時間差推定器への接続端子である。第1
実施例と異なる点は、第1の包絡線検波器8−1と第1
の時刻検出器9−1の代わりに、図5に示す第1の時刻
検出器13−1を第1の波形選択器4−1の出力側と概
略時間差推定器10の入力側に、第2の包絡線検波器8
−2と第2の時刻検出器9−2の代わりに、第2の時刻
検出器13−2を第2の波形選択器4−2の出力側と概
略時間差推定器10の入力側に設けた点である。
【0054】第1の波形選択器4−1および第2の波形
選択器4−2までは、第1実施例と全く同一であるの
で、以下、第1実施例と異なる点を中心に、その動作を
説明する。第1の波形選択器4−1に検出器3内の比較
器25からパルス音の開始時刻KSと終了時刻KEが接
続端子27を通じて入力されると、波形切り出し開始時
刻JSと波形切り出し終了時刻JEを算出し、第1のバ
ッファメモリ2−1から該当する時間分の切り出し波形
W1(k)(k=JS,JS+1,…,JE−1,J
E)を読み出し、その結果を相関器5と第1の時刻検出
器13−1に出力する。ここで、JSとJEの決定方法
は第1実施例の場合と基本的には変わらない。
【0055】第2の波形選択器4−2にも同様に検出器
3内の比較器25からパルス音の開始時刻KSと終了時
刻KEが接続端子27を通じて入力されると、波形切り
出し開始時刻JSと波形切り出し終了時刻JEを算出
し、第2のバッファメモリ2−2から該当する時間分の
切り出し波形W2(k)(k=JS,JS+1,…,J
E−1,JE)を読み出し、その結果を相関器5と第2
の時刻検出器13−2に出力する。ここで、JS,JE
は基本的に第1の波形選択器4−1と同一時刻での切り
出しとする。
【0056】相関器5は第1の波形選択器4−1から切
り出し波形W1(k)(k=JS,JS+1,…,JE
−1,JE)が、第2の波形選択器4−2から切り出し
波形W2(k)(k=JS,JS+1,…,JE−1,
JE)が入力され、例えば、上記式(8)の時間領域で
の相関処理の手法を用いる等して相関カーブを算出し、
その結果を詳細時間差推定器12に出力する。
【0057】第1の時刻検出器13−1は第1の波形選
択器4−1で選択したパルス音を接続端子41を通じ
て、平均自乗レベル算出器42と立ち上がり時刻算出器
44に入力する。平均自乗レベル算出器42は接続端子
41を通じて入力されるパルス音に対して、図7に示す
ように、このパルス音の平均自乗レベルを算出し、その
結果を閾値算出器43に出力する。
【0058】閾値算出器43は平均自乗レベル算出器4
2から入力された平均自乗レベルを用いて、パルス音の
存在しない区間の背景雑音レベルを勘案して閾値を設定
し、その結果を立ち上がり時刻算出器44に出力する。
例えば、図7に示すように、平均自乗レベル値そのもの
を閾値として設定する等、自由に選択することができ
る。
【0059】立ち上がり時刻算出器44には、接続端子
41を通じてパルス音を第1の波形選択器4−1から取
り込むとともに、閾値算出器43から算出した閾値が入
力され、図7に示すように前記パルス音がその閾値以上
となる時刻を立ち上がり時刻t1として検出し、その結
果を接続端子45を通じて、概略時間差推定器10に出
力する。
【0060】第2の時刻検出器13−2にも同様に第2
の波形選択器4−2で選択したパルス音が入力され、そ
の立ち上がり時刻t2を検出し、その結果を概略時間差
推定器10に出力する。概略時間差推定器10には第1
の時刻検出器13−1からは立ち上がり時刻t1、第2
の時刻検出器13−2からは立ち上がり時刻t2が入力
され、上記式(11)で与えられる両者の時刻差を概略
到来時間差ηとして算出し、その結果を検索窓設定器1
1に出力する。以後、第1実施例と同様に処理されてい
く。
【0061】このように、第2実施例によれば、第1実
施例と同様に、前記パルス音の立ち上がり時刻の時間差
を概略到来時間差として算出し、この概略到来時間差に
対して検索窓を設定することにより、前記メインローブ
の位置を特定し、前記特定したメインローブに対してピ
ーク値を検出することで詳細到来時間差を算出するよう
にしたので、第1実施例と同様の効果を期待することが
できる。
【0062】次に、本発明の第3実施例の動作について
説明する。第3実施例が第2実施例と異なる点は第1の
時刻検出器13−1および第2の時刻検出器13−2の
構造のみであるので、図8を参照しながらその動作を説
明する。図8は本発明の第3実施例を示す時刻検出器の
詳細構成図である。
【0063】この図において、51は第1の波形選択器
4−1または第2の波形選択器4−2からの接続端子、
52は平均自乗レベル算出器、53は閾値算出器、54
は立ち上がり時刻算出器、55は概略時間差推定器10
への接続端子、56は零クロス時刻算出器である。以
下、時刻検出器13−1および13−2の動作について
のみ説明する。
【0064】第1の時刻検出器13−1内の平均自乗レ
ベル算出器52は接続端子51を通じて入力されるパル
ス音に対して、図9に示すように、パルス音の平均自乗
レベルを算出し、その結果を閾値算出器53に出力す
る。閾値算出器53は平均自乗レベル算出器52から入
力した平均自乗レベルを用いて、パルス音の存在しない
区間の背景雑音レベルを勘案して閾値を設定し、その結
果を立ち上がり時刻算出器54に出力する。例えば、図
9に示すように、平均自乗レベル値そのものを閾値とし
て設定する等、自由に選択することができる。
【0065】立ち上がり時刻算出器54は、接続端子5
1を通じて、パルス音を第1の波形選択器4−1から取
り込むとともに、閾値算出器53で算出した閾値を入力
し、図9に示すように前記パルス音がその閾値以上とな
る時刻を立ち上がり時刻t1として検出し、その結果を
零クロス時刻算出器56に出力する。零クロス時刻算出
器56には、接続端子51を通じて、パルス音を第1の
波形選択器4−1から取り込むとともに、立ち上がり時
刻算出器54で算出した立ち上がり時刻t1が入力さ
れ、例えばt1から時刻的に進んで初めて零とクロスす
る時刻を零クロス時刻κ1として算出し、その結果を接
続端子55を通じて、概略時間差推定器10に出力す
る。ここで、零クロス時刻は時刻的に進んで初めて零と
クロスする時刻として説明したが、時刻的に戻って初め
て零クロスする時刻でも構わないし、その他の零クロス
時刻を用いても構わない。また零クロス時刻にサンプル
点がない場合は、最も零に近いサンプル点の時刻を零ク
ロス時刻としても構わないし、その前後のサンプルから
直線補間等の補間操作により零クロス時刻を算出しても
構わない。
【0066】第2の時刻検出器13−2にも同様に第2
の波形選択器4−2で選択したパルス音が入力され、そ
の零クロス時刻κ2を検出し、その結果を、概略時間差
推定器10に出力する。概略時間差推定器10には第1
の時刻検出器13−1からは零クロス時刻κ1を、第2
の時刻検出器13−2からは零クロス時刻κ2が入力さ
れ、上記式(11)と同様の式で両者の時刻差を概略到
来時間差ηとして算出し、その結果を検索窓設定器11
に出力する。以後、第1実施例と同様に処理されてい
く。
【0067】このように、第3実施例によれば、前記パ
ルス音の零クロス時刻の時間差を概略到来時間差として
算出し、この概略到来時間差に対して検索窓を設定する
ことにより、前記メインローブの位置を特定し、前記特
定したメインローブに対してピーク位置を検出すること
で詳細到来時間差を算出するようにしたので、第1実施
例と同様の効果を期待することができる。
【0068】なお、本発明は、以下のような利用形態を
有する。第1〜第3実施例において、検知器3では長時
間積分器24を用いて設定した閾値と短時間積分器23
との比較処理によりパルス音開始時刻KSとパルス音終
了時刻KEを算出していたが、このパルス音の一部また
は全部が包含されるような検出方法であればどんな検知
方法を用いても構わない。
【0069】第1〜第3実施例において、検知器3は第
1の入力端子1−1に接続されている場合について説明
したが、第2の入力端子1−2に接続されていても構わ
ないし、検知器3の構造を2重に持てば、第1の入力端
子1−1及び第2の入力端子1−2の両方に接続されて
いても構わない。第1〜第3実施例において、相関器5
では時間領域の相関処理により相関カーブを算出する方
法を説明したが、第1の波形選択器4−1および第2の
波形選択器4−2の出力をそれぞれフーリエ変換するこ
とで周波数領域に変換し、両者のクロススペクトラムを
求めた後、逆フーリエ変換により相関カーブを算出する
方法を用いても構わない。
【0070】第1実施例において、第1の時刻検出器9
−1および第2の時刻検出器9−2では包絡線波形の立
ち上がり時刻を算出するのに、この包絡線波形の平均振
幅レベルから算出する方法を例に説明したが、包絡線波
形の立ち上がり時刻を精度良く推定できる方法であれば
どんな手法を用いても構わない。第2実施例において、
第1の時刻検出器13−1及び第2の時刻検出器13−
2ではパルス音の立ち上がり時刻を算出するのに、該パ
ルス音の平均自乗レベルから算出する方法を例に説明し
たが、パルス音の立ち上がり時刻を精度良く推定できる
方法であればどんな手法を用いても構わない。
【0071】第3実施例において、第1の時刻検出器1
3−1及び第2の時刻検出器13−2ではパルス音の零
クロス時刻を算出するのに、このパルス音の平均自乗レ
ベルからパルス音の立ち上がり時刻をまず求め、その立
ち上がり時刻から零クロス時刻を算出する方法を例に説
明したが、第1の波形選択器4−1および第2の波形選
択器4−2のパルス音の同じ位置に相当する零クロス時
刻を精度良く推定できる方法であればどんな手法を用い
ても構わない。
【0072】上記した実施例の装置は、集積回路を用い
た個別回路で構成しても構わないし、ディジタル・シグ
ナル・プロセッサ(DSP)やマイコン等でソフト的に
構成しても構わない。なお、本発明は、上記実施例に限
定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の
変形が可能でありこれらを本発明の範囲から排除するも
のではない。
【0073】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、次のような効果を奏することができる。 〔1〕請求項1又は2記載の発明によれば、PCWのよ
うに、周波数成分がある周波数に集中しているパルス音
に関しては、その相関カーブはメインローブとのレベル
差が小さい多くの副極を持ち、SN比の低下やパルス長
の延伸に伴い、メインローブのピーク位置の特定が困難
となり、結果として、サイドローブのピーク位置を誤っ
て検出してしまうという問題に対して、前記パルス音に
対してまず包絡線検波を行なうことで包絡線波形を算出
し、この包絡線波形の立ち上がり時刻の時間差を概略到
来時間差として算出し、この概略到来時間差に対して検
索窓を設定することで前記メインローブの位置を特定
し、前記特定したメインローブに対してピーク位置を検
出することで詳細到来時間差を算出するようにしたの
で、雑音レベルが高い場合や長いパルス長のPCWの場
合等、相関カーブの副極のピークレベルがメインローブ
のピークレベルを超えてしまう場合においても、相関波
形のメインローブのピーク位置を正しく検出し、かつ精
度良い到来時間差を推定することができる。
【0074】〔2〕請求項3又は4記載の発明によれ
ば、前記パルス音の立ち上がり時刻の時間差を概略到来
時間差として算出し、概略到来時間差に対して検索窓を
設定することで前記メインローブの位置を特定し、前記
特定したメインローブに対してピーク位置を検出するこ
とで詳細到来時間差を算出するようにしたので、上記
〔1〕の発明と同様の効果が期待できる。
【0075】〔3〕請求項5又は6記載の発明によれ
ば、前記パルス音の零クロス時刻の時間差を概略到来時
間差として算出し、この概略到来時間差に対して検索窓
を設定することで前記メインローブの位置を特定し、前
記特定したメインローブに対してピーク位置を検出する
ことで詳細到来時間差を算出するようにしたので、上記
〔1〕の発明と同様の効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すパルス音の到来時間
差推定装置のブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すパルス音の到来時間
差推定装置における時刻検出器の詳細構成図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すパルス音の到来時間
差推定装置における時刻検出器の動作説明図である。
【図4】本発明の第1実施例を示すパルス音の到来時間
差推定装置における検知器の構成図である。
【図5】本発明の第2及び第3実施例を示すパルス音の
到来時間差推定装置のブロック図である。
【図6】本発明の第2実施例における時刻検出器の詳細
構成図である。
【図7】本発明の第2実施例における時刻検出器の動作
説明図である。
【図8】本発明の第3実施例における時刻検出器の詳細
構成図である。
【図9】本発明の第3実施例における時刻検出器の動作
説明図である。
【図10】従来のパルス音の到来時間差推定装置のブロ
ック図である。
【図11】従来のパルス音の到来時間差推定装置におけ
る検知器の詳細構成図である。
【図12】LFMの場合の入力時間波形と相関カーブを
示す図である。
【図13】従来の構成例の問題点を説明する図である。
【図14】本発明にかかる概略到来時間差に対する検索
窓の設定の説明図である。
【符号の説明】
1−1 第1の入力端子 1−2 第2の入力端子 2−1 第1のバッファメモリ 2−2 第2のバッファメモリ 3 検知器 4−1 第1の波形選択器 4−2 第2の波形選択器 5 相関器 7 出力端子 8−1 第1の包絡線検波器 8−2 第2の包絡線検波器 9−1,13−1 第1の時刻検出器 9−2,13−2 第2の時刻検出器 10 概略時間差推定器 11 検索窓設定器 12 詳細時間差推定器 21 第1の入力端子との接続端子 22 瞬時パワー算出器 23 短時間積分器 24 長時間積分器 25 比較器 26 閾値算出器 27 波形選択器への接続端子 31 包絡線検波器からの接続端子 32 平均振幅レベル算出器 33,43,53 閾値算出器 34,44,54 立ち上がり時刻算出器 35,45,55 概略時間差推定器への接続端子 41,51 波形選択器からの接続端子 42,52 平均自乗レベル算出器 56 零クロス時刻算出器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2組の音響センサ装置を用い、音響ビー
    ムにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス音を
    受信し、該2組のパルス音の相関をとることにより、該
    パルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差
    推定方法において、(a)前記2組のパルス音の入力時
    間波形の相関をとることにより該2組のパルス音の相関
    カーブを算出し、(b)前記2組のパルス音の入力時間
    波形に対してそれぞれの包絡線波形を算出し、(c)前
    記2組のパルス音の包絡線波形の立ち上がり時刻を検出
    し、(d)前記2組の包絡線波形の立ち上がり時刻から
    該2組のパルス音の概略到来時間差を算出し、(e)該
    算出された概略到来時間差から前記相関カーブにおいて
    詳細到来時間差を算出するのに用いられる相関カーブの
    区間を限定し、(f)該限定された相関カーブのピーク
    値から2組のパルス音の詳細到来時間差を算出すること
    を特徴とするパルス音の到来時間差推定方法。
  2. 【請求項2】 2組の音響センサ装置を用い、音響ビー
    ムにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス音を
    受信し、該2組のパルス音の相関をとることにより、該
    パルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差
    推定装置において、(a)前記2組のパルス音の入力時
    間波形の相関をとることにより該2組のパルス音の相関
    カーブを算出する手段と、(b)前記2組のパルス音の
    入力時間波形に対してそれぞれの包絡線波形を算出する
    手段と、(c)前記2組のパルス音の包絡線波形の立ち
    上がり時刻を検出する手段と、(d)前記2組の包絡線
    波形の立ち上がり時刻から該2組のパルス音の概略到来
    時間差を算出する手段と、(e)該算出された概略到来
    時間差から前記相関カーブにおいて詳細到来時間差を算
    出するのに用いられる相関カーブの区間を限定する手段
    と、(f)該限定された相関カーブのピーク値から2組
    のパルス音の詳細到来時間差を算出する手段とを具備
    し、(g)前記概略到来時間差を用いて前記相関カーブ
    のピーク位置を特定することにより、前記詳細到来時間
    差を算出するようにしたことを特徴とするパルス音の到
    来時間差推定装置。
  3. 【請求項3】 2組の音響センサ装置を用い、音響ビー
    ムにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス音を
    受信し、該2組のパルス音の相関をとることにより、該
    パルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差
    推定方法において、(a)前記2組のパルス音の入力時
    間波形の相関をとることにより該2組のパルス音の相関
    カーブを算出し、(b)前記2組のパルス音の入力時間
    波形の立ち上がり時刻を検出し、(c)前記2組の入力
    時間波形の立ち上がり時刻から2組のパルス音の概略到
    来時間差を算出し、(d)該算出された概略到来時間差
    から前記相関カーブにおいて詳細到来時間差を算出する
    のに用いられる相関カーブの区間を限定し、(e)該限
    定された相関カーブのピーク値から2組のパルス音の詳
    細到来時間差を算出することを特徴とするパルス音の到
    来時間差推定方法。
  4. 【請求項4】 2組の音響センサ装置を用い、音響ビー
    ムにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス音を
    受信し、該2組のパルス音の相関をとることにより、該
    パルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差
    推定装置において、(a)前記2組のパルス音の入力時
    間波形の相関をとることにより該2組のパルス音の相関
    カーブを算出する手段と、(b)前記2組のパルス音の
    入力時間波形の立ち上がり時刻を検出する手段と、
    (c)前記2組の入力時間波形の立ち上がり時刻から2
    組のパルス音の概略到来時間差を算出する手段と、
    (d)該算出された概略到来時間差から前記相関カーブ
    において詳細到来時間差を算出するのに用いられる相関
    カーブの区間を限定する手段と、(e)該限定された相
    関カーブのピーク値から2組のパルス音の詳細到来時間
    差を算出する手段とを具備し、(f)前記概略到来時間
    差を用いて前記相関カーブのピーク位置を特定すること
    により、前記詳細到来時間差を算出するようにしたこと
    を特徴とするパルス音の到来時間差推定装置。
  5. 【請求項5】 2組の音響センサ装置を用い、音響ビー
    ムにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス音を
    受信し、該2組のパルス音の相関をとることにより、該
    パルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差
    推定方法において、(a)前記2組のパルス音の入力時
    間波形の相関をとることにより該2組のパルス音の相関
    カーブを算出し、(b)前記2組のパルス音の入力時間
    波形の零クロス時刻を検出し、(c)前記2組の入力時
    間波形の零クロス時刻から2組のパルス音の概略到来時
    間差を算出し、(d)該算出された概略到来時間差から
    前記相関カーブにおいて詳細到来時間差を算出するのに
    用いられる相関カーブの区間を限定し、(e)該限定さ
    れた相関カーブのピーク値から2組のパルス音の詳細到
    来時間差を算出することを特徴とするパルス音の到来時
    間差推定方法。
  6. 【請求項6】 2組の音響センサ装置を用い、音響ビー
    ムにより、時間的にエネルギーが制限されたパルス音を
    受信し、該2組のパルス音の相関をとることにより、該
    パルス音の到来時間差を推定するパルス音の到来時間差
    推定装置において、(a)前記2組のパルス音の入力時
    間波形の相関をとることにより該2組のパルス音の相関
    カーブを算出する手段と、(b)前記2組のパルス音の
    入力時間波形の零クロス時刻を検出する手段と、(c)
    前記2組の入力時間波形の零クロス時刻から2組のパル
    ス音の概略到来時間差を算出する手段と、(d)該算出
    された概略到来時間差から前記相関カーブにおいて詳細
    到来時間差を算出するのに用いられる相関カーブの区間
    を限定する手段と、(e)該限定された相関カーブのピ
    ーク値から2組のパルス音の詳細到来時間差を算出する
    手段とを具備し、(f)前記概略到来時間差を用いて前
    記相関カーブのピーク位置を特定することにより、前記
    詳細到来時間差を算出するようにしたことを特徴とする
    パルス音の到来時間差推定装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005049153A (ja) * 2003-07-31 2005-02-24 Toshiba Corp 音声方向推定装置及びその方法
JP2014035235A (ja) * 2012-08-08 2014-02-24 Hitachi Ltd パルス検出装置
WO2022158205A1 (ja) * 2021-01-22 2022-07-28 株式会社デンソー 物体検知装置

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