JPH11326087A - センサチップの接合構造及びセンサの製造方法 - Google Patents

センサチップの接合構造及びセンサの製造方法

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JPH11326087A
JPH11326087A JP12780498A JP12780498A JPH11326087A JP H11326087 A JPH11326087 A JP H11326087A JP 12780498 A JP12780498 A JP 12780498A JP 12780498 A JP12780498 A JP 12780498A JP H11326087 A JPH11326087 A JP H11326087A
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JP
Japan
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silicone
sensor chip
adhesive
sealing material
group
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JP12780498A
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Shinji Usui
進二 臼井
Hitoshi Iwata
仁 岩田
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Tokai Rika Co Ltd
Original Assignee
Tokai Rika Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性及び感度特性に優れたセンサチップの
接合構造を提供すること。 【解決手段】 このセンサチップ6の接合構造では、シ
リコーン接着剤10を用いて、ダイアフラムタイプのセ
ンサチップ6がダイボンディングされる。センサチップ
6はシリコーン封止材9により封止される。シリコーン
封止材9は、シリコーン接着剤10とは有機基の分子構
造が異なる別系統のものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センサチップの接
合構造及びセンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ダイアフラムタイプの感圧センサ
チップを利用した圧力センサや加速度センサ等が多数提
案されている。
【0003】図6(a)〜図6(c)には、感圧センサ
チップ21をリードフレーム22上にダイボンディング
した状態が概略的に示されている。感圧センサチップ2
1は、肉厚の基部21aと肉薄のダイアフラム部21b
とを備えている。ダイアフラム部21bの表面側には、
不純物拡散等の手法によって複数の歪みゲージ23が形
成されている。これらの歪みゲージ23は1つのブリッ
ジ回路を構成している。感圧センサチップ21の基部2
1aは、リードフレーム22に対して接着剤24を介し
てダイボンドされている。前記接着剤24としては、熱
応力や硬化収縮応力の低減を図る必要があることから、
通常はシリコーン接着剤(具体的にはジメチルシリコー
ン系の接着剤)24を使用することが多い。また、感圧
センサチップ21は、ダイボンディング後にゲル状のシ
リコーン封止材(具体的にはジメチルシリコーン系の封
止材)で封止されるようになっている。
【0004】例えばこれが加速度センサである場合に
は、加速度の変動の影響をまずシリコーンゲルが受ける
とともに、そのシリコーン封止材を介してダイアフラム
部21bにその影響が波及する。すると、ダイアフラム
部21bにはその加速度の大小・方向に応じた撓みが生
じ、各歪みゲージ23の抵抗値にも変化が起こる。従っ
て、このときの抵抗値の変化に基づいて加速度が感知さ
れるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の接着
剤24及び封止材はともにジメチルシリコーン系、つま
り同系統のものであるため、封止を行うとシリコーン接
着剤24内にシリコーン封止材中の未硬化分(即ち液状
分子)が浸透しやすい。従って、液状分子の浸透による
シリコーン接着剤24の膨潤量はかなり大きなものとな
る。また、シリコーン接着剤24の膨潤は、通常、チッ
プ外周部からチップ中心部へと徐々に進行することが知
られている。
【0006】図6(a)は、封止前の状態を概略的に示
している。このとき、感圧センサチップ21の周囲にシ
リコーン封止材は存在しておらず、ダイアフラム部21
bにはまだ撓みが生じていない。図6(b)は、封止を
行なってから数時間経過した後の状態を概略的に示して
いる。このとき、シリコーン接着剤24においてチップ
外周部に対応する箇所が膨潤する。図中のA1 は膨潤部
である。従って、ダイアフラム部21bには同図のよう
な撓みが生じる。すると、歪みゲージ23に応力が加わ
る結果、封止前の状態に比べて抵抗値が大きく変化して
しまう。図6(c)は、封止を行なってから百数十時間
経過した後の状態を概略的に示している。このとき、シ
リコーン接着剤24の膨潤は全体に及ぶ。従って、ダイ
アフラム部21bは撓みのない元の状態に復帰する。よ
って、歪みゲージ23の抵抗値も封止前の値にほぼ等し
くなる。
【0007】つまり、従来のこの種のセンサ21では、
抵抗値が経時的に変化すること、言い換えると感度が経
時的に変化することが不可避であった。そのため、最終
製品とする前に、加熱によって膨潤の進行を加速するこ
とにより感度変化率を早期に1%以内に収束させる、と
いう安定化処理を行なう必要があった。
【0008】しかしながら、安定化処理には最低でも1
6時間を要するため、同処理を行なったとしても依然と
して生産性が低かった。本発明は上記の課題に鑑みてな
されたものであり、その目的は、生産性及び感度特性に
優れたセンサチップの接合構造を提供することにある。
【0009】また、本発明の別の目的は、安定化処理を
行うことなく感度特性に優れたセンサを確実に得ること
ができるセンサの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、シリコーン接着剤を
用いてダイアフラムタイプのセンサチップがダイボンデ
ィングされ、かつ前記シリコーン接着剤とは有機基の分
子構造が異なる別系統のシリコーン封止材により前記セ
ンサチップが封止されていることを特徴とするセンサチ
ップの接合構造をその要旨とする。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1にお
いて、前記シリコーン接着剤及び前記シリコーン封止材
の溶解度パラメータ(SP値)の差は、少なくとも1.
0以上であるとした。
【0012】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は2において、前記シリコーン接着剤は有機基内にハロ
ゲン原子を有する系統のものであり、前記シリコーン封
止材は有機基内にハロゲン原子を有しない系統のもので
あるとした。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項3にお
いて、前記シリコーン接着剤はフルオロシリコーン系で
あり、前記シリコーン封止材はジメチルシリコーン系で
あるとした。
【0014】請求項5に記載の発明では、ダイアフラム
タイプのセンサチップを利用したセンサの製造方法にお
いて、シリコーン接着剤を用いて前記センサチップをダ
イボンディングした後、前記シリコーン接着剤とは有機
基の分子構造が異なる別系統のシリコーン封止材によ
り、前記センサチップを封止することを特徴とするセン
サの製造方法をその要旨としている。
【0015】以下、本発明の「作用」について説明す
る。請求項1〜4に記載の発明の作用は次の通りであ
る。シリコーン接着剤とは有機基の分子構造が異なる別
系統のシリコーン封止材を用いたことにより、封止材中
に含まれる液状分子が接着剤内に浸透しにくくなる。従
って、封止材に晒されたとしても接着剤には殆ど膨潤が
起こらない。ゆえに、封止後におけるダイアフラム部の
撓みが防止され、感度の経時的変化も未然に回避され
る。よって、安定化処理を行わなくても感度特性に優れ
たセンサチップの接合構造とすることができる。また、
安定化処理が不要になることで大幅な時間短縮が図られ
るため、生産性に優れたセンサチップの接合構造とする
ことができる。さらに、シリコーン接着剤は元来軟接着
が可能な接着剤であるため、熱応力や硬化収縮応力が緩
和され、結果としてダイアフラム部の撓みが防止され
る。ここで軟接着が可能な接着剤とは、硬化後に弾性体
となる性質を有するため、センサチップをダイエリアに
対して弾性的に接着することができる接着剤のことを指
している。
【0016】請求項2に記載の発明によると、シリコー
ン接着剤及びシリコーン封止材のSP値に一定以上の差
を設けておくことにより、両者間での溶解性を低く保つ
ことができる。よって、接着剤内に液状分子がより浸透
しにくくなり、接着剤の膨潤を確実に防止することがで
きる。
【0017】請求項3に記載の発明によると、シリコー
ン接着剤及びシリコーン封止材における有機基の分子構
造が大きく異なるものとなるので、封止材中に含まれる
液状分子が接着剤内に浸透しにくくなる。従って、接着
剤内に液状分子がより浸透しにくくなり、接着剤の膨潤
を確実に防止することができる。
【0018】請求項4に記載の発明によると、SP値の
差が2.1という大きな値になるので、両者間での溶解
性を極めて低く保つことができる。また、接着剤に比較
して多量に使用さる封止材を廉価なジメチルシリコーン
系とすることにより、高コスト化が防止される。この場
合、前記シリコーン封止材をゲル状物とすれば、液状物
を用いたときの「おどり現象」が回避される結果、感度
特性の向上を図ることができる。
【0019】請求項5に記載の発明によると、シリコー
ン接着剤とは有機基の分子構造が異なる別系統のシリコ
ーン封止材を用いたことにより、封止材中に含まれる液
状分子が接着剤内に浸透しにくくなる。従って、封止材
に晒されたとしても接着剤には殆ど膨潤が起こらない。
ゆえに、封止後におけるダイアフラム部の撓みが防止さ
れ、感度の経時的変化も未然に回避される。よって、安
定化処理を行わなくても感度特性に優れたセンサを確実
に得ることができる。また、安定化処理が不要になるこ
とで大幅な時間短縮が図られるため、生産性も確実に向
上する。さらに、シリコーン接着剤は軟接着が可能な接
着剤であるため、熱応力や硬化収縮応力が緩和され、ダ
イアフラム部の撓みが防止される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を加速度センサの製
造方法に具体化した一実施の形態を図1〜図5に基づき
詳細に説明する。
【0021】図1には、本実施形態の加速度センサ1が
示されている。この加速度センサ1は、いわゆるプラス
ティックモールドパッケージの形態を採っている。即
ち、プラスティックからなるモールド材2によって、リ
ードフレーム3をモールドした構成となっている。リー
ドフレーム3はダイパッド4,5を有している。ダイパ
ッド4には感圧センサチップ6がダイボンディングさ
れ、ダイパッド5には信号処理用のICチップ7がダイ
ボンディングされている。リードフレーム3のインナー
リード部3aはダイパッド4,5を包囲している。リー
ドフレーム3のアウターリード部3bは、モールド材2
から突出しており、外部接続端子として使用されるよう
になっている。
【0022】モールド材2の一部には有底筒状のゲル収
容部8が形成されている。前記ダイパッド4は、ゲル収
容部8の底面中央部に位置している。そして、このゲル
収容部8内の空間には、ゲル状のシリコーン封止材9が
充填されている。その結果、ダイパッド4に搭載された
感圧センサチップ6の封止が図られている。なお、シリ
コーン封止材9は加速度を感圧センサチップ6に伝達す
る媒体としての役割も果たす。
【0023】図2に概略的に示されるように、感圧セン
サチップ6は、肉厚の基部6aと肉薄のダイアフラム部
6bとを備えている。ダイアフラム部6bの表面側に
は、不純物拡散等の手法によって複数の歪みゲージ11
が形成されている。これらの歪みゲージ11は1つのブ
リッジ回路を構成している。ブリッジ回路からの出力信
号は、信号処理用のICチップ7において処理された後
にセンサ外部に出力されるようになっている。そして、
感圧センサチップ6の基部6aは、リードフレーム3の
ダイパッド4に対してシリコーン接着剤10を介してダ
イボンドされている。
【0024】本実施形態において用いられるシリコーン
接着剤10及びシリコーン封止材9は、互いに有機基の
分子構造が異なる別系統のシリコーンからなるものであ
る必要がある。これを図5に基づき具体的に説明する。
【0025】図5には、シリコーンの分子構造式が示さ
れている。シリコーンはジオルガノシロキサン単位が高
度に重合してなるものである。つまり、1つのシロキサ
ン単位中に2つの有機基を有した構造となっている。
【0026】図5においてRで表わされる有機基として
は、例えばメチル基、ビニル基、フェニル基、エチル
基、プロピル基等のように基内にハロゲン原子を有しな
いもののほか、トリフルオロプロピル基、トリクロロプ
ロピル基等のように基内にハロゲン原子を有するものが
挙げられる。シロキサン単位中には2つの有機基がある
ことから、これをもとにすると1つのシロキサン単位に
おけるRの組み合わせとしては次のようなものが考えら
れる。即ち、 1)メチル基−メチル基、2)メチル基−ビニル基、
3)メチル基−フェニル基、4)メチル基−エチル基、
5)メチル基−プロピル基、6)メチル基−トリフルオ
ロプロピル基、7)メチル基−トリクロロプロピル基、
8)ビニル基−ビニル基、9)ビニル基−フェニル基、
10)ビニル基−エチル基、11)ビニル基−プロピル
基、12)ビニル基−トリフルオロプロピル基、13)
ビニル基−トリクロプロピル基、14)フェニル基−フ
ェニル基、15)フェニル基−エチル基、16)フェニ
ル基−プロピル基、17)フェニル基−トリフルオロプ
ロピル基、18)フェニル基−トリクロプロピル基、1
9)エチル基−エチル基、20)エチル基−プロピル
基、21)エチル基−トリフルオロプロピル基、22)
エチル基−トリクロプロピル基、23)プロピル基−プ
ロピル基、24)プロピル基−トリフルオロプロピル
基、25)プロピル基−トリクロプロピル基、26)ト
リフルオロプロピル基−トリフルオロプロピル基、2
7)トリフルオロプロピル基−トリクロロプロピル基、
28)トリクロロプロピル基−トリクロロプロピル基、
という各種の組み合わせである。
【0027】上記の1)〜28)をそれぞれ系統の異な
るものであると定義すると、接着剤10用のシリコーン
(便宜上S1 とする。)及び封止材9用のシリコーン
(便宜上S2 とする。)は、それら28種の中から任意
の2つを選択して組み合わせればよいことになる。つま
り、S1 −S2 :1−2、1−3、1−4・・・、1−
28、2−2、2−3、2−4・・・、2−28、3−
1・・・、26−27、26−28、27−28、のご
とくである。
【0028】なお、シリコーン接着剤10及びシリコー
ン封止材9のSP値の差は、少なくとも1.0以上、よ
り好ましくは1.5以上、特に好ましくは2.0以上で
あることがよい。SP値が小さすぎると、シリコーン接
着剤10及びシリコーン封止材9間での溶解性を低く保
てなくなり、シリコーン接着剤10内への液状分子の浸
透を有効に阻止することができなくなる。従って、シリ
コーン接着剤10の膨潤を防止することができなくなる
からである。
【0029】以上の事情に鑑みて本実施形態では、具体
的には有機基R内にハロゲン原子を有するフルオロシリ
コーン系のもの(上記6のもの)を、接着剤10として
用いている。また、有機基R内にハロゲン原子を有しな
いジメチルシリコーン系のもの(上記1のもの)を、封
止材9として用いている。なお、フルオロシリコーン系
の接着剤10のSP値は9.6であり、ジメチルシリコ
ーン系の封止材9のSP値は7.5である。ゆえに、両
者のSP値の差は2.1という大きな値になっている。
【0030】上記の加速度センサ1では、加速度の変動
の影響をまずゲル状のシリコーン封止材9が受けるとと
もに、そのシリコーン封止材9を介してダイアフラム部
6bにその影響が波及する。すると、ダイアフラム部6
bにはその加速度の大小・方向に応じた撓みが生じる。
より具体的にいうと、図1において加速度センサ1が上
側から下側に向かって加速されたとき(正圧時)には、
ダイアフラム部6bは下面側に撓むようになる。図1に
おいて加速度センサ1が下側から上側に向かって加速さ
れたとき(負圧時)には、ダイアフラム部6bは上面側
に撓むようになる。このような撓みが生じると、各歪み
ゲージ11の抵抗値にも変化が起こる。従って、このと
きの抵抗値の変化に基づいて加速度が感知されるように
なっている。
【0031】次に、図1の加速度センサ1を製造する手
順について説明する。まず、42アロイ等の導電性金属
板をプレス加工またはエッチング加工することによっ
て、所定パターンを備えるリードフレーム3を製造す
る。
【0032】リードフレーム製造工程の後、従来公知の
方法によりダイパッド5上に接着剤を塗布する。塗布方
法としては転写法またはディスペンス法がある。前記塗
布工程の後、リードフレーム3をダイボンダにセットし
て、ICチップ7をダイパッド5上にダイボンディング
する。この後、接着剤を熱硬化させ、ICチップ7をダ
イパッド5上に完全に接着する。
【0033】ダイボンディング工程の後、リードフレー
ム3をワイヤボンダにセットして、第1回めのワイヤボ
ンディングを行う。その結果、複数本のボンディングワ
イヤを介して、ICチップ7がインナーリード部3aに
電気的に接続される。
【0034】第1回めのワイヤボンディング工程の後、
リードフレーム3を成形用金型内にセットして、モール
ド材2によるモールドを行う。モールドを行うと、IC
チップ7は完全にモールド材2の中に封入されてしま
う。一方、ダイパッド4の周囲にはゲル収容部8が形成
される。
【0035】モールド工程の後、上記従来公知の方法に
よりダイパッド4上に液状(即ち未硬化状態)のシリコ
ーン接着剤10を所定厚さに塗布する。このとき、塗布
厚は数十μm程度に設定される。塗布工程の後、リード
フレーム3をダイボンダにセットして、感圧センサチッ
プ6をダイパッド4上にダイボンディングする。この
後、シリコーン接着剤10を所定温度に加熱することに
より熱硬化を行う。従って、シリコーン接着剤10には
熱硬化性が付与されていることが望ましい。そして、こ
のような熱硬化処理を行うと、シリコーン接着剤10の
流動性が失われて弾性体化する。その結果、感圧センサ
チップ6がダイパッド4に対して軟接着される。
【0036】ダイボンディング工程後、リードフレーム
3をワイヤボンダにセットして、第2回めのワイヤボン
ディングを行う。その結果、複数本のボンディングワイ
ヤを介して、感圧センサチップ6がインナーリード部3
aに電気的に接続される。
【0037】第2回めのワイヤボンディング工程の後、
ゲル収容部8内にシリコーン封止材9を充填し、感圧セ
ンサチップ6をそのシリコーン封止材9によって完全に
封止する。そして、ゲル充填工程の後、アウターリード
部3bを略L字状に屈曲させるリードフォーミング工程
を実施する。勿論、それ以前の時点においてリードフォ
ーミング工程を実施しても構わない。以上の結果、図1
に示す所望の加速度センサ1を得ることができる。
【0038】図4は、封止工程を完了してからの経過時
間(時間)と、封止工程実施前の感度を基準とした場合
の感度変化率(%)との関係を示したグラフである。同
グラフにおいて、黒塗りの四角(■)は、上記フルオロ
シリコーン系の接着剤10と、ジメチルシリコーン系の
封止材9とを組み合わせて使用した実施形態の加速度セ
ンサ1(サンプル1)における負圧時のデータをプロッ
トしたものである。
【0039】白抜きの四角(□)は、上記フルオロシリ
コーン系の接着剤10と、ジメチルシリコーン系の封止
材9とを組み合わせて使用した実施形態の加速度センサ
1(サンプル2)における正圧時のデータをプロットし
たものである。
【0040】一方、黒塗りの丸(●)は、ジメチルシリ
コーン系の接着剤と、ジメチルシリコーン系の封止材9
とを組み合わせて使用した従来の加速度センサ(サンプ
ル3)における負圧時のデータをプロットしたものであ
る。
【0041】白抜きの丸(○)は、ジメチルシリコーン
系の接着剤と、ジメチルシリコーン系の封止材9とを組
み合わせて使用した従来の加速度センサ(サンプル4)
における正圧時のデータをプロットしたものである。
【0042】図4のグラフによると、比較例である従来
の加速度センサ(サンプル3,4)では、感度変化率は
封止工程実施直後から急激に増大し、20時間経過後に
おいて約5.6%というピーク値を記録した。その後、
感度変化率は減少傾向に転じ、約150時間を経過した
段階でようやく1%以内の値に落ち着くことがわかっ
た。即ち、感度の経時的変化が起こることがあらためて
確認された。
【0043】それに対して実施形態の加速度センサ1
(サンプル1,2)では、感度変化率の顕著な増大は確
認されず、数百時間にわたって感度変化率が1%以内に
抑えられることがわかった。即ち、感度の経時的変化が
起こらないことが裏付けられる結果となった。
【0044】なお、図3のグラフには、温度(℃)と感
度変化率(%)との関係が示されている。ここでは室温
(25℃)の値を基準(0%)としている。同グラフに
よると、温度が高くなるほど感度変化率がマイナス側に
推移し、温度が低くなるほど感度変化率がプラス側に推
移する傾向が、4種のサンプル全てについて確認され
た。もっとも、実施形態であるサンプル1,2のほう
が、比較例であるサンプル3,4に比べて高温における
感度変化率が小さくなる傾向がみられた。
【0045】さて、以下に本実施形態において特徴的な
作用効果を列挙する。 (1)本実施形態の加速度センサ1では、シリコーン接
着剤10とは有機基の分子構造が異なる別系統のシリコ
ーン封止材9を用いているため、封止材9中に含まれる
液状分子が接着剤10内に浸透しにくくなっている。従
って、シリコーン封止材9に晒されたとしてもシリコー
ン接着剤10には殆ど膨潤が起こらない。ゆえに、封止
後におけるダイアフラム部6bの撓みが防止され、感度
の経時的変化も未然に回避される。よって、安定化処理
を行わなくても感度特性に優れたセンサチップ1の接合
構造とすることができる。また、安定化処理が不要にな
ることで大幅な時間短縮が図られるため、生産性に優れ
たセンサチップ1の接合構造とすることができる。さら
に、シリコーン接着剤10は元来軟接着が可能なもので
あるため、熱応力や硬化収縮応力が緩和され、結果とし
てダイアフラム部6bの撓みが防止される。
【0046】(2)本実施形態の加速度センサ1では、
シリコーン接着剤10及びシリコーン封止材9のSP値
に一定以上の差を設けているため、両者間での溶解性を
低く保つことができる。よって、シリコーン接着剤10
内に液状分子がより浸透しにくくなり、シリコーン接着
剤10の膨潤を確実に防止することができる。勿論、こ
のことはダイアフラム部6bにおける撓み発生の防止、
ひいては安定化処理の省略による生産性の向上に寄与す
る。
【0047】特に本実施形態では、シリコーン接着剤1
0をフルオロシリコーン系とし、かつシリコーン封止材
9をジメチルシリコーン系としているので、SP値の差
が2.1という大きな値になっている。ゆえに、両者間
での溶解性を極めて低く保つことができる。また、接着
剤10に比較して多量に使用さる封止材9を廉価なジメ
チルシリコーン系とすることにより、加速度センサ1の
高コスト化を防止することができる。
【0048】(3)本実施形態の加速度センサ1では、
シリコーン封止材9をゲル状物としている。そのため、
シリコーンオイル等の液状物を用いたときのような「お
どり現象」、即ち加速度印加時にオイルの振動が一定時
間継続してしまう現象を確実に回避することができる。
従って、加速度センサ1の感度特性の向上を図ることが
できる。
【0049】なお、本発明の実施形態は以下のように変
更してもよい。 ・ 前記実施形態において使用したフルオロシリコーン
系の接着剤10には、少量であれば、上記6のもの以外
のシロキサン単位が共重合されていても構わない。同様
に、前記実施形態において使用したジメチルシリコーン
系の封止材9には、少量であれば、上記1のもの以外の
シロキサン単位が共重合されていても構わない。
【0050】・ シリコーン封止材9は実施形態のよう
なゲル状物に限定されることはなく、例えばシリコーン
オイル等の液状物であってもよい。 ・ ブリッジ回路を構成する抵抗体である歪みゲージ1
1は、不純物拡散以外の手法によって形成されたもので
あっても勿論よい。例えば、印刷法や貼付法などにより
形成された抵抗体によってブリッジ回路を構成してもよ
い。
【0051】・ 前記実施形態はリードフレーム3に感
圧センサチップ6を軟接着する場合について例示した
が、リードフレーム3に代えて例えばアルミナ基板等の
セラミックス基板に感圧センサチップ6を軟接着する場
合に具体化しても同様の作用効果が得られる。
【0052】・ 前記実施形態では本発明を加速度セン
サ1の製造方法として具体化したが、その他にも例えば
センサチップ6を使用した圧力センサの製造方法として
具体化することも勿論許容される。
【0053】次に、特許請求の範囲に記載された技術的
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 請求項1において、前記シリコーン接着剤及び
前記シリコーン封止材の溶解度パラメータ(SP値)の
差は、少なくとも1.5以上(好ましくは2.0以上)
であることを特徴とするセンサチップの接合構造。従っ
て、この技術的思想1に記載の発明によれば、極めて生
産性に優れ、かつ感度特性に優れたセンサチップの接合
構造を提供することができる。
【0054】(2) 請求項1または2において、前記
シリコーン封止材は、メチルシリコーン系、エチルシリ
コーン系、プロピルシリコーン系及びビニルシリコーン
系から選択される1つであることを特徴とするセンサチ
ップの接合構造。
【0055】(3) 請求項1または2において、前記
シリコーン封止材はジメチルシリコーン系であることを
特徴とするセンサチップの接合構造。従って、この技術
的思想2に記載の発明によれば、高コスト化を防止する
ことができる。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜4に記
載の発明によれば、生産性及び感度特性に優れたセンサ
チップの接合構造を提供することができる。
【0057】請求項2,3に記載の発明によれば、接着
剤の膨潤が確実に防止される結果、より生産性に優れた
ものとすることができる。請求項4に記載の発明によれ
ば、よりいっそうの生産性の向上及び高コスト化の防止
を図ることができる。
【0058】請求項5に記載の発明によれば、安定化処
理を行うことなく感度特性に優れたセンサを確実に得る
ことが可能なセンサの製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の加速度センサを示す断面図。
【図2】前記加速度センサの感圧センサチップをダイパ
ッドに接着した状態を概略的に示した断面図。
【図3】温度と感度変化率との関係を示したグラフ。
【図4】経過時間と感度変化率との関係を示したグラ
フ。
【図5】シリコーンの分子構造を説明するための構造
式。
【図6】(a)は封止前の状態を概略的に示した断面
図、(b)は封止を行なってから数時間経過した後の状
態を概略的に示した断面図、(c)は封止を行なってか
ら百数十時間経過した後の状態を概略的に示した断面
図。
【符号の説明】
1…センサとしての加速度センサ、6…センサチップと
しての感圧センサチップ、9…シリコーン封止材、10
…シリコーン接着剤。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーン接着剤を用いてダイアフラムタ
    イプのセンサチップがダイボンディングされ、かつ前記
    シリコーン接着剤とは有機基の分子構造が異なる別系統
    のシリコーン封止材により前記センサチップが封止され
    ていることを特徴とするセンサチップの接合構造。
  2. 【請求項2】前記シリコーン接着剤及び前記シリコーン
    封止材の溶解度パラメータ(SP値)の差は、少なくと
    も1.0以上であることを特徴とする請求項1に記載の
    センサチップの接合構造。
  3. 【請求項3】前記シリコーン接着剤は有機基内にハロゲ
    ン原子を有する系統のものであり、前記シリコーン封止
    材は有機基内にハロゲン原子を有しない系統のものであ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサチ
    ップの接合構造。
  4. 【請求項4】前記シリコーン接着剤はフルオロシリコー
    ン系であり、前記シリコーン封止材はジメチルシリコー
    ン系であることを特徴とする請求項3に記載のセンサチ
    ップの接合構造。
  5. 【請求項5】ダイアフラムタイプのセンサチップを利用
    したセンサの製造方法において、 シリコーン接着剤を用いて前記センサチップをダイボン
    ディングした後、前記シリコーン接着剤とは有機基の分
    子構造が異なる別系統のシリコーン封止材により、前記
    センサチップを封止することを特徴とするセンサの製造
    方法。
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