JPH11325163A

JPH11325163A - 防振ダンパー

Info

Publication number: JPH11325163A
Application number: JP14514698A
Authority: JP
Inventors: Nobuo Katsuura; 信夫勝浦; Hiromitsu Kaga; 博光加賀; Norio Matsumoto; 典生松本
Original assignee: Nikko Kogyo KK
Current assignee: Nikko Kogyo KK
Priority date: 1998-05-12
Filing date: 1998-05-12
Publication date: 1999-11-26

Abstract

(57)【要約】【課題】対応可能な振動数の幅を広げる防振ダンパー
を提供すること。【解決手段】可撓部７を有する筒状の容器本体２と蓋
体３，４で構成する容器内に粘性流体を封入して該粘性
流体の粘性抵抗により振動を減衰せしめる防振ダンパー
１において、該容器本体２の可撓部７内に複数の室を形
成するとともに、各室に異なる材料の液体を封入した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載され
るＣＤプレーヤーやステレオ等の音響機器、パソコン等
のＯＡ機器等の振動により誤動作を発生する機器や振動
を発生させる機器における振動吸収を行うため使用され
る防振ダンパーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この誤動作の発生を防止するため用いら
れる従来の防振ダンパーは、容器状本体と、容器状本体
に固着されてその開口を閉塞する蓋体と、内部に封入さ
れた高粘性液体とを含んでなり、粘性液体の流動抵抗に
より振動減衰して防振作用するようになっている。その
容器状本体と蓋体とは通常ゴム製とされ、それらが接着
剤を介して互いの合せ面で接着・固定されて一体に組み
付けられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の防振ダンパーは、１液のみを封入していたため、対
応可能な振動数の幅が狭いという欠点があった。

【０００４】また、その組立に際して、容器状本体に粘
性液体を注入・充填した上で蓋体を容器状本体に固着す
ることから、粘性液体の注入・充填等にこれが容器状本
体の開口周縁部、即ち蓋体との合わせ面に付着したり、
蓋体を容器状本体に押圧固定する際に容器状本体内部の
粘性液体がオーバーフローして蓋体との合せ面に流出
し、接着性を阻害するとともに液漏れを起こす問題や、
気泡が残って充填率を１００％にすることができず性能
のばらつきがでやすい等の問題があり、液体封入式防振
ダンパーの品質信頼性を低下させる原因となっていた。

【０００５】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、対応可能な振動数の幅を広げる
防振ダンパーを提供することを目的とする。また、接着
性や溶着性を阻害することがなく、固着面からの液漏れ
がないとともに充填率を高めることができる防振ダンパ
ーを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するため次のような構成を採用している。つまり、可
撓部を有する筒状の容器本体と、該容器本体に固着され
る蓋部と、容器本体と蓋部からなる容器の内部に封入さ
れた粘性液体とからなる防振ダンパーにおいて、該容器
本体の可撓部内に複数の室を形成するとともに、各室に
異なる材料の液体を封入したことを特徴とするものであ
る。上記構成により、各室に異なる材料の液体を封入し
たことで、複数の減衰特性が得られる。また、共振点を
相互に打ち消す効果がある。

【０００７】また、本発明の防振ダンパーは、前記容器
本体の端部に形成した硬質樹脂からなる環状縁部または
前記蓋部に、液体注入用の孔を形成するとともに、該孔
にスチールボールを圧入して液体封止を行うことを特徴
とするものである。液体封止を液体注入用の孔にスチー
ルボールを圧入して行うため、スチールボールの断面積
を小さいので封止のさいの体積変化を小さくできるとと
もに注入用の孔に液が付着していても封止を行うことが
できるとともに、液体を注入後スチールボールで封止す
るため、液体の充填率をほぼ１００％にすることができ
る。

【０００８】また、本発明の防振ダンパーは、前記容器
本体の外周部にコイルバネを配設するとともに、該コイ
ルバネの端部を前記蓋部と環状縁部からなる取付用のフ
ランジに当接させたことを特徴とするものである。この
構成により、複数の異なる材料の液体による複数の減衰
効果と併せてコイルバネによる減衰効果を得ることがで
きる。

【０００９】また、本発明の防振ダンパーは、前記可撓
部は弾性材料からなるリング状の容器を軸方向と直角に
内外２重に形成してなり、該可撓部の内側と外側に前記
蓋部や環状縁部に相当する取付部を硬質樹脂にてそれぞ
れ形成してなることを特徴とするものである。この構成
により、防振ダンパーの高さを低くすることができ、高
さ方向に省スペース化をはかることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】次に本発明に係わる防振ダンパー
の実施の形態（以下、「実施例」という）を添付図面に
基づいて説明する。図１は本発明の実施例を示す正面図
であり、図２は図１の縦断面図であり、図３は図１の底
面図である。

【００１１】防振ダンパー１は、可撓部７を有する筒状
の容器本体２と、該容器本体に固着される上下の蓋部
３，４と、前記容器本体２と蓋部３，４からなる容器の
内部に封入された高粘性の粘性液体１９，２０とからな
り、粘性液体１９，２０の流動抵抗により振動を吸収す
るようになっている。

【００１２】容器本体２は適度の弾性を有するプラスチ
ック（例えばポリプロピレン）からなり、上下に配設さ
れた厚肉の環状縁部５，６と、環状縁部５，６の間に設
けられた熱可塑性エラストマーからなる薄肉の可撓部７
とを、インサート成形または２色成形により一体に接合
（熱融着）している。可撓部７は椀の底部同士をくっつ
けて対称にしたような形状であり、中央がくびれてい
る。なお、上方の蓋部３で受けた重量を分散して容器本
体２にかかる荷重を軽減する上で可撓部７の上部８より
も下部９の体積（断面積）を大きく形成することが望ま
しい。

【００１３】前記容器本体２の環状縁部５，６には、縁
部３，４が超音波溶着により一体に固着される。この固
着のため、前記環状縁部５，６に凸部１０，１１を形成
するとともに蓋部３，４には、前記環状縁部の凸部１
０，１１に嵌合する凹部１２，１３を形成して、環状縁
部５，６の凸部１０，１１と蓋部３，４の凹部１２，１
３を嵌合させることにより超音波溶着の作業を行いやす
くしている。なお、環状縁部５，６のフランジ部と蓋部
３，４のフランジ部を合わせて取付用のフランジ部１
４，１５を形成している。

【００１４】前記可撓部７の中央付近（くびれ部分）に
は、膜１６を形成して蓋部３，４と容器本体２からなる
容器内を第一の室１７と第二の室１８の２室を分けると
ともに、各室１７，１８に異なる材料の液体１９，２０
を封入している。各室１７，１８に異なる材料の液体１
９，２０を封入したことで、複数の減衰特性が得られ
る。また、共振点を相互に打ち消す効果がある。

【００１５】前記蓋部３，４に液体注入用の孔２１，２
２を形成するとともに、該孔２１，２２をスチールボー
ル２３で封止する。液体封止を液体注入用の孔２１，２
２にスチールボール２３を圧入して行うため、スチール
ボール２３の断面積が小さいので封止のさいの体積変化
を小さくできるとともに注入用の孔２１，２２に液が付
着していても封止を行うことができる。さらに液体を注
入後スチールボール２３で封止するため、液体の充填率
をほぼ１００％にすることができる。

【００１６】前記注入用の孔２１，２２にはスチールボ
ール２３を圧入しやすくするためテーパーが設けられて
いるが、樹脂の硬度が硬いものは圧入したスチールボー
ル２３を抜けにくくするため孔２１，２２のテーパーを
小さくする必要があり、スチールボール２３を圧入する
のに支障がないほど樹脂の硬度が柔らかければ孔２１，
２２のテーパーが無くても良い。

【００１７】なお、スチールボールによる封止は、球の
径が小さい場合、温度変化による内圧の増加があっても
球の断面積と球の抜け力との関係で十分内圧に耐えられ
る。計算上直径１ｍｍのスチールボールで球の抜け力を
２ｋｇとすると耐圧（ｋｇ／ｃｍ² ）＝２ｋｇ／０．０５ｃｍ×０．０５ｃｍ×π ＝２５４．６ｋｇ／ｃｍ² となる。つまり、直径１ｍｍ程度のスチールボールで封
止ができるため、従来技術の蓋を固着して封止する場合
に比較して断面積が小さくてすみ、封止のさいの体積変
化が小さく液体の充填率のばらつきを小さくできる。

【００１８】図４は別の実施例を示す正面図であり、図
５は図４の中央縦断面図である。前記筒状の容器本体２
の外周部にコイルバネ２４を配設するとともに、該コイ
ルバネ２４の端部を取付用のフランジ１４，１５に当接
させて、複数の異なる材料の液体による複数の減衰効果
と併せてコイルバネ２４による減衰効果を得ることがで
きるようにしている。

【００１９】なお、可撓部７と環状縁部５，６とを熱融
着にて接合する場合の材料としては、環状縁部５，６は
ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタ
レートなどがあげられる。可撓部７を構成する熱可塑性
エラストマーの材料としては、ポリアミド系エラストマ
ー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エ
ラストマー、ポリエステル系のエラストマー、エポキシ
系熱可塑性エラストマーなどがあげられる。この熱可塑
性エラストマーの硬度（ＪＩＳ−Ａ）は、適度な弾性を
得るため１０から９０程度が望ましい。

【００２０】上記本発明の防振ダンパー１は、材料とし
て粘性溶液等への耐薬品性、吸水による寸法変化等を考
慮すると、蓋部３，４と環状縁部５，６は吸水性が無い
ポリプロピレンが好ましく、可撓部７を構成する熱可塑
性エラストマーとしてはポリオレフィン系のエラストマ
ーが好ましい。

【００２１】次に、本発明に係わる防振ダンパー１の製
造方法の実施例を説明する。まず、環状縁部５，６と可
撓部７とをインサート成形または２色成形により熱融着
して容器本体２形成する。熱融着で行うことにより、後
加工により接着する場合と比較して、接着ミスがないか
ら高い密閉性を得ることができるとともに、後述するよ
うに生産性を向上することができる。

【００２２】まずインサート成形により成形する場合に
は、まず予め成形された環状縁部５，６を金型にセット
する。この際、可撓部７の形状となる空間部を形成して
おく。次に前記空間部に熱可塑性エラストマーを加圧し
ながら射出充填すると、当該空間部に可撓部７が形成さ
れ、環状縁部５，６と可撓部７が接合される。この製造
方法によれば、環状縁部５，６と可撓部７とが接合され
る時間は、熱可塑性エラストマーを射出成形する時間で
あるから、接着剤により接合する場合と比較して、時間
を短縮することができる。

【００２３】また、このインサート成形に代えて、金型
を回転またはスライド方式にして、二色成形機を使用し
て射出成形しても良い。この場合には環状縁部５，６を
一次成形し、続いて二次成形で可撓部７を成形すれば良
く、インサート成形のように環状縁部５，６を金型にセ
ットする手間がいらないので、一層製造工程を簡略化す
ることができる。

【００２４】続いて、インサート成形または２色成形に
より形成した容器本体２の環状縁部５，６の凹部１２，
１３に、蓋部３，４を前記凹部１２，１３に凸部１０，
１１がはまり込むように組み立てる。その後、高音波溶
着により蓋部３，４と環状縁部５，６とを接合した容器
を完成する。容器を完成した後、注入用の孔２１，２２
から各室１７，１８にそれぞれ異なる液体１９，２０を
注入した後、スチールボール２３にて封止して防振ダン
パー１の組立が完了する。

【００２５】本発明の防振ダンパーをＣＤプレーヤー等
の筐体等の固定する部材（図示せず）に固定しておけ
ば、振動が減衰されて、音飛び等の誤動作の発生を防止
するとともに、耐用年数を延ばすことができる。特に光
学ピックアップには有効である。

【００２６】次に、本発明は上記実施例に限定されるわ
けではなく、例えば上記実施例においては、可撓部７は
椀状で椀の底を合わせて対称にした形状を示したが、図
６に別の実施例として中央縦断面図で示したように鼓状
であっても良い。上記実施例の椀状や鼓状のように可撓
部７を円錐形状とすることにより、非直線のバネ特性に
より制振効果を高めることができる。

【００２７】また、上記実施例においては容器本体２の
可撓部７の中央部に膜１６を設けて上下に２室１７，１
８を形成したが、別の実施例として図７に斜視図で、図
８に中央縦断面図で示したように、全体がリング状であ
って、可撓部２８は弾性部材からなるリング状の容器２
９，３０を軸方向と直角に内外２重に形成してなるとと
もに、該可撓部２８の内側と外側に前記蓋部３，４や環
状縁部５，６に相当する取付部３１，３２を硬質樹脂に
てそれぞれ形成し、各容器２９，３０内の２室３３，３
４にそれぞれ異なる液体を封入しても良い。この防振ダ
ンパーを製造する場合には、内側の取付部３１と内側の
リング状の容器２９または外側の取付部３２と外側の容
器２０をインサート成形または二色成形にて成形した
後、各成形品を接合する方法と、リング状の容器２９，
３０を二色成形で一体に成形した後、この成形品の内側
と外側に取付部３１，３２をそれぞれ接合する方法があ
る。この実施例の防振ダンパーは高さを低くすることが
可能で、周囲の部品の実装密度を高くすることができ
る。

【００２８】この実施例の防振ダンパーの公的な使用例
として、取付部３１の内側（中心孔）にシャフトを通し
てシャフトの所定の位置にこの防振ダンパーを固定し、
このシャフトの振動吸収及び、外からのシャフトに伝わ
る振動を吸収することがあげられる。上述したように内
外２重の容器の２室にそれぞれ異なる液体を封入してい
るので複数の減衰特性が得られ、シャフトに伝わる複数
の振動を効果的に吸収することができる。

【００２９】

【発明の効果】本発明は上記のとおり構成されているの
で、次に記載する効果を奏する。請求項１の発明によれ
ば、各室に異なる材料の液体を封入したことで、複数の
減衰特性が得られるとともに共振点を相互に打ち消すこ
とができる防振ダンパーを提供することができる。請求
項２の発明によれば、液体封止を液体注入用の孔にスチ
ールボールを圧入して行うため、スチールボールの断面
積が小さいので封止のさいの体積変化を小さくできると
ともに注入用の孔に液が付着していても封止を行うこと
ができ、液漏れを防止することができるとともに、注入
後スチールボールで封止を行うため液体の充填率をほぼ
１００％にすることができる防振ダンパーを提供するこ
とができる。請求項３に係わる発明は、複数の異なる材
料の液体による複数の減衰効果と併せてコイルバネによ
る減衰効果を得ることができる防振ダンパーを提供する
ことができる。請求項４に係わる発明は、高さ方向に省
スペース化をはかることができ、高さ方向に取り付けス
ペースが少ない場合に使用できるとともに周囲の部品の
実装密度を高めることができる防振ダンパーを提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図である。

【図２】図１の中央縦断面図である。

【図３】図１の底面図である。

【図４】本発明の別の実施例を示す正面図である。

【図５】図５の中央縦断面図である。

【図６】本発明の別の実施例を示す中央縦断面図であ
る。

【図７】本発明の別の実施例を示す斜視図である。

【図８】図７の中央縦断面図である。

【符号の説明】

１防振ダンパー２容器本体３上部蓋部４下部蓋部５環状縁部６環状縁部７可撓部１４取付用のフランジ１５取付用のフランジ１９第一の液体２０第二の液体２１注入用の孔２２注入用の孔２３スチールボール２４コイルバネ２８可撓部２９リング状の容器３０リング状の容器３１取付部３２取付部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】可撓部を有する筒状の容器本体と、該容
器本体に固着される蓋部と、容器本体と蓋部からなる容
器の内部に封入された粘性液体とからなる防振ダンパー
において、該容器本体の可撓部内に複数の室を形成する
とともに、各室に異なる材料の液体を封入したことを特
徴とする防振ダンパー。
【請求項２】前記容器本体の端部に形成した硬質樹脂
からなる環状縁部または前記蓋部に、液体注入用の孔を
形成するとともに、該孔にスチールボールを圧入して液
体封止を行うことを特徴とする請求項１記載の防振ダン
パー。
【請求項３】前記容器本体の外周部にコイルバネを配
設するとともに、該コイルバネの端部を前記蓋部と環状
縁部からなる取付用のフランジに当接させたことを特徴
とする請求項１または請求項２記載の防振ダンパー。
【請求項４】前記可撓部は弾性材料からなるリング状
の容器を軸方向と直角に内外２重に形成してなり、該可
撓部の内側と外側に前記蓋部や環状縁部に相当する取付
部を硬質樹脂にてそれぞれ形成してなることを特徴とす
る請求項１または請求項２記載の防振ダンパー。