JPH11323487A - 被削性及び耐粗粒化特性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents
被削性及び耐粗粒化特性に優れた機械構造用鋼Info
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- JPH11323487A JPH11323487A JP12858998A JP12858998A JPH11323487A JP H11323487 A JPH11323487 A JP H11323487A JP 12858998 A JP12858998 A JP 12858998A JP 12858998 A JP12858998 A JP 12858998A JP H11323487 A JPH11323487 A JP H11323487A
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Abstract
理の際に高温短時間処理をおこなってもオーステナイト
粒の粗大化を抑制することができ、しかもケースクラッ
シュに対する抵抗性が大きい機械構造用鋼を提供する。 【解決手段】重量%で、C:0.3超〜0.5%、Si<1.0%、
Mn≦2.0%、P≦0.03%、S:0.02〜0.15%、Cr≦2.0%、
Ti≦0.4%、Zr≦0.4%で、且つ、Ti(%)+Zr(%):
0.025〜0.4%、N≦0.008%、Ni≦3.5%、Mo≦1.0%、W
≦1.0%、B≦0.005%、Nb≦0.1%、V≦0.3%、Pb≦0.3
%、Ca≦0.1%、Al≦0.1%を含有し、残部はFeと不純物
からなる被削性及び耐粗粒化特性に優れた機械構造用
鋼。
Description
化特性に優れた機械構造用鋼に関する。
の素材鋼には、従来、重量%で、0.15〜0.25%
のCを含有する肌焼鋼が用いられてきた。これは、浸炭
や浸炭窒化などの表面硬化処理によって表面の靭性が低
下するので、その靭性低下分を表面硬化されていない部
分、つまり母材の靭性で補い、部品全体としての靭性を
確保するためである。
大型軸受などの素材鋼には、重量%で、0.3〜0.5
%のCを含有する中炭素鋼が用いられることがある。こ
れは、従来の肌焼鋼を素材鋼とした場合には高い面圧を
受ける部品において表面硬化層と母材の境目から硬化層
が剥離する所謂「ケースクラッシュ」と呼ばれる現象が
生じ、部品全体が破損することがあるためである。
性は、母材の硬度を上げることによって高めることがで
きる。したがって、部品全体の靭性を幾分か犠牲にして
でも、表面硬化層と母材との境目からの破壊特性を改善
するために、前記したCを重量%で0.3〜0.5%含
む中炭素鋼に浸炭や浸炭窒化が行われるのである。
の2つの方法で製造される。
し、これに冷間伸線を施した後に冷間での鍛造と切削加
工によって所定の部品形状に成形し、次いで浸炭あるい
は浸炭窒化の表面硬化処理を施す製造方法である。
て素形材を成形し、焼準あるいは焼鈍した後、切削加工
によって所定の部品形状に成形し、次いで、浸炭あるい
は浸炭窒化の表面硬化処理を施す製造方法である。
は、切削工程と、表面硬化処理工程としての浸炭又は浸
炭窒化(以下、単に浸炭ともいう)である。つまり、こ
の両工程ともに歯車や軸受などの表面硬化させた機械部
品を製造する上で欠かせない工程である。したがって、
上記機械部品の製造コストの低減や生産性の向上のため
には、素材の被削性の向上や浸炭時間の短縮が重要であ
り、従来から様々な鋼種や浸炭法の提案がなされてき
た。
鋼に快削元素であるPbやSが添加されてきたが、被削
性の向上に寄与するのはPb添加鋼では鋼中に分散した
Pb粒子であり、S添加鋼ではMnSであって、いずれ
の粒子も鋼中に粗大に分散するという問題があった。つ
まり、こうした粗大な粒子は、機械部品の疲労破壊や衝
撃破壊の起点となるので、被削性改善を重視するあまり
粗大なPb粒子やMnSを鋼中に多量に分散させると、
疲労強度や靭性が著しく低下する場合があった。又、前
記した粗大粒子は冷間での限界圧縮率を低下させ、冷間
鍛造性の低下を招くという問題もある。
温度を上げることが最も有効である。これは、浸炭や浸
炭窒化はCやNの鋼中への拡散によって進行し、処理温
度を上げることによってCやNの拡散速度が著しく高ま
るからである。しかし、高温で浸炭や浸炭窒化を行う
と、オ−ステナイト粒が粗大化するので、次に焼入れす
ると、機械部品の歪が大きくなってしまうという問題が
あった。この高温処理での問題を解決するために、N
b、Vなどの炭窒化物を鋼中に微細分散させてオーステ
ナイト粒の粗大化を抑制する方法が提案されている。し
かし、高温処理時のオーステナイト粒の粗大化抑制効果
を充分発揮させるためにはNb、Vなどを多量に添加す
る必要があり、却って被削性を劣化させてしまうことも
あった。
れるとともに耐粗粒化特性に優れる、つまり、高温で浸
炭や浸炭窒化を行ってもオーステナイト粒の粗大化を抑
制することができる機械構造用鋼、なかでも、所謂「ケ
ースクラッシュ」に対する抵抗性の大きい中炭素の機械
構造用鋼を提供することを目的とする。
示す被削性及び耐粗粒化特性に優れた機械構造用鋼にあ
る。
えて0.5%以下、Si:1.0%未満、Mn:2.0
%以下、P:0.03%以下、S:0.02〜0.15
%、Cr:2.0%以下、Ti:0.4%以下、Zr:
0.4%以下で、且つ、Ti(%)+Zr(%):0.
025〜0.4%、N:0.008%以下、Ni:3.
5%以下、Mo:1.0%以下、W:1.0%以下、
B:0.005%以下、Nb:0.1%以下、V:0.
3%以下、Pb:0.3%以下、Ca:0.1%以下、
Al:0.1%以下を含有し、残部はFe及び不可避不
純物からなる被削性及び耐粗粒化特性に優れた機械構造
用鋼」である。
スクラッシュ」に対する大きな抵抗性を有するととも
に、高温で浸炭してもオーステナイト粒の粗大化を防止
できる機械構造用鋼を開発すべく、化学成分について種
々検討した。その結果、下記の知見を得た。
にはMnS粒子が寄与しているが、これは潤滑効果に基
づくものである。
発揮できれば、鋼の被削性を高めることが可能である。
効果を有するので鋼の被削性改善に有効である。しか
も、Tiの硫化物やZrの硫化物はMnSに比べて鋼中
に微細に分散し、且つ、高温でも安定であるので、オー
ステナイト粒の粗大化抑制にも寄与し得る。
を充分発揮させるためには、N含有量を低くすることが
重要である。これは、N含有量が多いとTiNやZrN
としてTiやZrが固定されてしまい、Ti硫化物やZ
r硫化物の生成が抑制されてしまうためである。
ものである。
しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「重
量%」を意味する。
化により表層部を高C化、高N化して使用されるので、
部品(鋼部材)全体の靭性を確保するために母材は低C
化するのが基本である。しかし、高い面圧がかかり「ケ
ースクラッシュ」が発生するような部品に対しては、靭
性をある程度犠牲にしてでも、母材のC含有量を高めて
硬度を確保させることが必要である。Cの含有量が0.
3%以下の場合には「ケースクラッシュ」に対する抵抗
性を高めることが難しく、0.5%を超えると靭性の低
下が大きくなり、更に被削性も低下する。したがって、
C含有量を0.3%を超えて0.5%以下とした。な
お、Cの望ましい含有量は0.35〜0.45%であ
る。
れば鋼の脱酸を促進するとともに、転動疲労寿命を向上
させる作用を有するので、適宜添加することができる。
しかし、Siを1.0%以上含有させると、冷間鍛造性
と被削性が著しく低下する。したがって、Siの含有量
を1.0%未満とした。Si含有量の上限は0.8%と
することが望ましい。なお、鋼中に微細に分散したTi
の硫化物やZrの硫化物を利用して鋼の被削性を高める
とともに、オーステナイト粒の粗大化を抑制するために
は、TiやZrの酸化物が過剰に生成することを防ぐこ
とが重要である。このため、Alを添加しない場合に
は、少なくとも0.1%程度のSiを含有させるのが良
く、0.2%以上含有させると転動疲労寿命も大きく向
上する。
れば焼入れ性を高める作用がある。この効果を確実に得
るには、Mnは0.3%以上の含有量とすることが好ま
しい。しかし、その含有量が2.0%を超えると冷間加
工性の低下をもたらす。したがって、Mnの含有量を
2.0%以下とした。なお、Mn含有量の上限は1.5
%とすることが好ましい。
(鋼部材)の靭性を劣化させてしまう。特に、その含有
量が0.03%を超えると、靭性の低下が著しくなる。
したがって、Pの含有量を0.03%以下とした。な
お、Pの含有量は0.025%以下とすることが望まし
い。
削性及び耐粗粒化特性を向上させる作用がある。しか
し、その含有量が0.02%未満では、充分な量のTi
やZrの硫化物を形成することができず、被削性向上効
果、耐粗粒化特性を確保できない。一方、硫化物は曲げ
疲労や転動疲労の起点となり、部品(鋼部材)の疲労強
度を低下させる場合があるし、部品の靭性や冷間鍛造性
を劣化させる場合もある。TiやZrの硫化物は、Mn
Sに比べ鋼中に微細に分散するので通常は上記の問題を
考慮する必要はない。しかし、Sの含有量が0.15%
を超えると前記の問題が生ずる場合もある。したがっ
て、Sの含有量を0.02〜0.15%とした。なお、
Sの望ましい含有量は、0.03%〜0.10%であ
る。
れば焼入れ性を高める作用がある。この効果を確実に得
るには、Crは0.3%以上の含有量とすることが好ま
しい。しかし、その含有量が2.0%を超えると冷間加
工性の低下をもたらす。したがって、Crの含有量を
2.0%以下とした。なお、Cr含有量の上限は1.5
%とすることが好ましい。
重要な元素であって、それぞれSと結合してTi硫化物
やZr硫化物を形成し、被削性を高めるとともにオース
テナイト粒の粗大化を抑制する作用を有する。
Zr(%)の値が0.025%以上で前記の作用が充分
に発揮されて被削性が大きく高まるとともに、オーステ
ナイト粒の粗大化が抑制される。一方、Ti(%)+Z
r(%)の値で0.4%を超えるTiとZrを含有させ
ると、部品(鋼部材)の疲労強度が低下したり、部品の
靭性や冷間鍛造性が劣化する場合がある。
025〜0.4%でありさえすれば良いので、必ずしも
TiとZrを複合して含有させる必要はない。Zrを添
加しない、つまりTiを単独で添加する場合に、Tiを
0.4%を超えて含有させると部品(鋼部材)の疲労強
度が低下したり、部品の靭性や冷間鍛造性が劣化する場
合がある。逆に、Tiを添加しない、つまりZrを単独
で添加する場合に、Zrを0.4%を超えて含有させる
と部品(鋼部材)の疲労強度が低下したり、部品の靭性
や冷間鍛造性が劣化する場合がある。したがって、本発
明にあっては、TiとZrの含有量をいずれも0.4%
以下で、且つ、Ti(%)+Zr(%)の値を0.02
5〜0.4%とした。なお、Ti(%)+Zr(%)の
値は0.05〜0.3%とすることが望ましい。
ることが極めて重要である。すなわち、NはTiやZr
との親和力が大きいために容易にTiやZrと結合して
TiNやZrNを生成し、TiやZrを固定してしまう
ので、Nを多量に含有する場合には前記したTi硫化物
やZr硫化物の被削性向上効果及び耐粗粒化特性が充分
に発揮できないこととなる。特に、TiやZrの含有量
が低めの場合には、N含有量の影響が顕著となる。更
に、粗大なTiNやZrNは被削性を低下させてしま
う。N含有量が0.008%を超えると前記したTi硫
化物やZr硫化物の効果が確保されない。したがって、
Nの含有量を0.008%以下とした。なお、Ti硫化
物やZr硫化物の効果を高めるために、N含有量の上限
は0.006%とすることが好ましい。
れば、浸炭あるいは浸炭窒化した部品(鋼部材)の靭性
を向上させる作用を有する。この効果を確実に得るに
は、Niは0.3%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、Niを3.5%を超えて含有させても靭性
向上効果が飽和しコストが嵩むばかりか、被削性の劣化
を招く。したがって、Niの含有量を3.5%以下とし
た。なお、Ni含有量の上限は2.5%とすることが好
ましい。
れば、浸炭あるいは浸炭窒化した部品(鋼部材)の靭性
を向上させる作用を有する。この効果を確実に得るに
は、Moは0.1%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、Moを1.0%を超えて含有させても靭性
向上効果が飽和しコストが嵩むばかりか、被削性の劣化
をきたす。したがって、Moの含有量を1.0%以下と
した。なお、Mo含有量の上限は0.8%とすることが
好ましい。
ば、浸炭あるいは浸炭窒化した部品(鋼部材)の靭性を
向上させる作用を有する。この効果を確実に得るには、
Wは0.2%以上の含有量とすることが好ましい。しか
し、Wを1.0%を超えて含有させても靭性向上効果が
飽和しコストが嵩むばかりか、被削性の劣化を招く。し
たがって、Wの含有量を1.0%以下とした。なお、W
含有量の上限は0.8%とすることが好ましい。
ば、浸炭あるいは浸炭窒化した部品(鋼部材)の靭性を
向上させる作用を有する。この効果を確実に得るには、
Bは0.0005%以上の含有量とすることが好まし
い。しかし、Bを0.005%を超えて含有させても靭
性向上効果が飽和しコストが嵩むばかりである。したが
って、Bの含有量を0.005%以下とした。なお、B
含有量の上限は0.004%とすることが好ましい。
れば、炭窒化物を形成しオーステナイト粒の粗大化を抑
制する作用を有する。したがって、TiやZrの硫化物
の作用と合わせれば耐粗粒化特性を一段と高めることが
できる。この効果を確実に得るには、Nbは0.01%
以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Nbを
0.1%を超えて含有させてもオーステナイト粒の粗大
化抑制効果は飽和してコストが嵩むし、被削性が低下す
るようになる。したがって、Nbの含有量を0.1%以
下とした。なお、Nbの含有量の上限は0.06%とす
ることが好ましい。
ば、炭窒化物を形成しオーステナイト粒の粗大化を抑制
する作用を有する。したがって、TiやZrの硫化物の
作用と合わせれば耐粗粒化特性を一段と高めることがで
きる。この効果を確実に得るには、Vは0.05%以上
の含有量とすることが好ましい。しかし、Vを0.3%
を超えて含有させてもオーステナイト粒の粗大化抑制効
果は飽和してコストが嵩むし、被削性が低下するように
なる。したがって、Vの含有量を0.3%以下とした。
なお、V含有量の上限は0.2%とすることが好まし
い。
れば、鋼の被削性を一段と高める作用がある。したがっ
て、TiやZrの硫化物の作用と合わせれば極めて良好
な被削性を確保することができる。この効果を確実に得
るには、Pbは0.05%以上の含有量とすることが好
ましい。しかし、その含有量が0.3%を超えると前記
の効果が飽和するばかりか、却って部品(鋼部材)の疲
労強度が低下する。したがって、Pbの含有量を0.3
%以下とした。なお、Pb含有量の上限は0.2%とす
ることが好ましい。
れば、鋼の被削性を一段と高める作用がある。したがっ
て、TiやZrの硫化物の作用と合わせれば極めて良好
な被削性を確保することができる。この効果を確実に得
るには、Caは0.001%以上の含有量とすることが
好ましい。しかし、その含有量が0.1%を超えると前
記の効果が飽和しコストが嵩むばかりである。したがっ
て、Caの含有量を0.1%以下とした。なお、Ca含
有量の上限は0.05%とすることが好ましい。
れば鋼の脱酸を促進する作用を有する。この効果を確実
に得るには、Alは0.01%以上の含有量とすること
が望ましい。しかし、その含有量が0.1%を超えると
前記の効果が飽和しコストが嵩むばかりである。したが
って、Alの含有量を0.1%以下とした。Al含有量
の上限は0.05%とすることが望ましい。なお、鋼中
に微細に分散したTiの硫化物やZrの硫化物を利用し
て鋼の被削性を高めるとともに、オーステナイト粒の粗
大化を抑制するためには、TiやZrの酸化物が過剰に
生成することを防ぐことが重要である。このため、Si
を添加しない場合には、0.015%程度のAlを含有
させるのが良い。
r(%)−1.2S(%)で表される値が0%を超える
場合に、前記したTi硫化物やZr硫化物の効果が一層
確実に発揮される。したがって、Ti(%)+Zr
(%)−1.2S(%)の値を0%を超えるようにする
ことが好ましい。
の大型歯車や大型軸受などの素材鋼としてのものであ
り、所定の部品形状に成形された後、高温で浸炭や浸炭
窒化を受けることが前提である。なお、浸炭や浸炭窒化
は種々の手法によって行われており、大まかには、黒鉛
による固体浸炭、塩浴浸炭、ガス浸炭、イオン浸炭、塩
浴浸炭窒化、ガス浸炭窒化及びイオン浸炭窒化に分類で
きる。上記の各手法は、鋼中へのC、Nの浸透機構が異
なるものの高温処理であることには変わりはなく、いず
れの処理においても本発明鋼の有する特性の1つである
「耐粗粒化」の効果が失われるものではない。
低温での焼戻しをするような機械構造部品、例えば各種
のシャフト類やジョイント類の素材鋼としても本発明鋼
を使用することが可能である。上記の機械構造部品にも
切削加工は必須であり、したがって、被削性に優れた本
発明鋼を使用することで切削コストの低減を行うことが
できる。又、TiやZrの硫化物は鋼中に微細分散し、
且つ、高温でも安定で基地のオーステナイトに固溶しな
いので、焼入れと低温焼戻しを行うことで微細な焼戻し
マルテンサイト組織が得られ、高強度で優れた靭性を有
する機械構造部品が得られる。
真空溶解炉を用いて溶製した。なお、Ti酸化物及びZ
r酸化物の生成を防ぐために、Si及びAlで充分脱酸
し種々の元素を添加した最後にTi、Zrを添加した。
が本発明で規定する範囲内にある本発明例の鋼であり、
表3における鋼B1〜C7はその化学組成のいずれかが本発
明で規定する含有量の範囲から外れた比較例の鋼であ
る。
SCr440鋼にTiを添加し、S量とN量を調整した
鋼(基本鋼)である。鋼A2〜 A12は、本発明で規定する
C、Si、Mn、P、Cr、S、Ti+Zr、Nの上下
限量を狙った鋼である。鋼 A13〜 A31は、Ni、Mo、
B、V、Nb、Pb、Caを含有させた鋼である。この
中で鋼 A13と鋼 A20はそれぞれJIS G 4102のSNC83
6鋼とJIS G 4103のSNCM439鋼にTiを添加し、
S量とN量を調整した鋼である。
が本発明で規定する範囲外にある鋼である。鋼C1〜C7は
従来鋼で、それぞれ鋼A1、鋼 A13、鋼 A14、鋼 A20、鋼
A24、鋼 A18、及び鋼 A16のS、Ti+Zr、N含有量
を通常レベルにした鋼である。
てから熱間鍛造し、1000℃で仕上げて直径65mm
の丸棒にした。次に、これらの丸棒を925℃で1時間
加熱したあと、600℃の炉に挿入して1時間保持して
空気中で放冷した。なお、この処理は熱間鍛造の後に通
常行う焼なまし工程をシミュレ−ションしたものであ
る。この後、直径が60mmで長さが45mmの円柱状
の被削性試験片と、直径が10mmで長さが20mmの
粗粒化試験片を作製し、下記の被削性試験と疑似浸炭後
の粗粒化調査を行った。
いて、その長さ方向に深さ40mmの穴を開け、ドリル
刃先の摩耗により加工不能となるまでの穴の数を被削性
の指標とし、200個以上であれば被削性に優れている
と判断した。加工条件は、JIS G 4403に規定される高速
度工具鋼SKH51の直径10mmのドリルを使用し、
水溶性の潤滑剤を用いて、送り0.20mm/rev、
回転数980rpmの条件で行った。
000℃で3時間加熱した後、油焼入れして浸炭条件を
模擬した。焼入れの後、オ−ステナイト結晶粒度を測定
し、JIS粒度番号で6番以上、且つ、整粒であれば耐
粗粒化特性に優れているとした。
も耐粗粒化特性も優れていることを、「△」は被削性と
耐粗粒化特性のどちらか一方が劣っていることを、
「×」は被削性と耐粗粒化特性の両方ともが劣っている
ことを示す。
C、Si、Mn、P、Cr、S、Ti+Zr、Nの上下
限量を狙った鋼であるが、いずれの鋼でも目標の被削性
と耐粗粒化特性とが得られている。比較例の鋼のうち従
来鋼である鋼C1〜C6は、それぞれ鋼A1、鋼 A13、鋼 A1
4、鋼 A20、鋼 A24及び鋼 A18のS、Ti+Zr、N含
有量を通常レベルにした鋼であるが、被削性、耐粗粒化
特性ともに目標未達となった。このことから、S、Ti
+Zr、N含有量の調整が重要であることがわかる。鋼
C7は鋼 A16のS、Ti+Zr、N含有量を通常レベルに
した鋼であり、Nb添加により粒度は目標粒度になった
が、被削性が著しく劣化している。
で規定する値を下回ると硫化物の量が減少し被削性が劣
化することが明らかである。
r)量が本発明で規定する値を下回るとTi硫化物の代
わりにMnSが生成するので、被削性は良好であるが耐
粗粒化特性が劣っている。
発明で規定する値を上回るとTiNが生成し耐粗粒化特
性は良好であるが被削性が劣化している。
た鋼においては、鋼 A13〜 A15、鋼A20 、鋼 A21の比較
から、これらの合金元素の添加により、被削性は多少劣
化するものもあるが、いずれも許容範囲内であることが
わかる。
においては、鋼 A16、鋼 A17、鋼 A22の比較から、これ
らの合金元素の添加により、被削性を許容範囲内とし、
耐粗粒化特性を一層改善できることがわかる。
においては、鋼 A18、鋼 A19、鋼 A23の比較から、これ
らの元素の添加により、結晶粒度を許容範囲内とし、被
削性をさらに改善することができることがわかる。
B)、細粒化元素(Nb、V)、被削性向上元素(P
b、Ca)の複合添加鋼においても、本発明で規定する
範囲内であれば、被削性、耐粗粒化特性ともに優れるこ
とが明らかである。
て、鋼塊を1250℃に加熱してから熱間鍛造し、10
00℃で仕上げて直径150mmと35mmの丸棒にし
た。次に、これらの丸棒を925℃で1時間加熱したあ
と、600℃の炉に挿入して1時間保持して空気中で放
冷した。この後、直径が150mmの丸棒からは外径1
30mm、内径45mmで厚さが18mmの円盤状の試
験片(大ローラー)を、又、直径が35mmの丸棒から
は図1に示す棒状の試験片(小ローラー)と直径30m
mのオーステナイト結晶粒度測定用試験片を切り出し
た。
00℃×3hr(炭素ポテンシャル:0.9%)のガス
浸炭処理を施し、860℃から油焼入れした。この後、
180℃で2時間の焼戻しを行い、ケースクラッシュに
対する抵抗性を評価するためにローラーピッチング試験
を行った。すなわち、接触点の最大面圧350kgf/
mm2 、すべり率40%、回転数1000rpm、潤滑
油ありの条件の下に、常温でローラーピッチング試験を
行い、ケースクラッシュに到る迄の回転数でケースクラ
ッシュに対する抵抗性を評価した。又、オーステナイト
結晶粒度測定用試験片を上記の条件で浸炭焼入れした
後、浸炭層のオーステナイト粒度番号(JIS粒度番
号)を測定した。
考として、同じ処理を施して同じ条件で試験したJIS G
4105のSCM420鋼の結果も併せて示した。
化特性に優れる本発明鋼はケースクラッシュに対する抵
抗性が優れていることが明らかである。
ており、浸炭など高温での表面硬化処理でオ−ステナイ
ト粒が粗大化することがない。このため、浸炭、浸炭窒
化される部品の切削工程と浸炭あるいは浸炭窒化に要す
る処理時間の短縮が可能で、製造コストを低減させるこ
とができる。更に、母材硬度が高くなって「ケースクラ
ッシュ」に対する抵抗性が大きくなるので、高面圧仕様
の大型歯車や大型軸受などの素材鋼として利用すること
ができる。
の試験片(小ローラー)の形状を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、C:0.3%を超えて0.5%
以下、Si:1.0%未満、Mn:2.0%以下、P:
0.03%以下、S:0.02〜0.15%、Cr:
2.0%以下、Ti:0.4%以下、Zr:0.4%以
下で、且つ、Ti(%)+Zr(%):0.025〜
0.4%、N:0.008%以下、Ni:3.5%以
下、Mo:1.0%以下、W:1.0%以下、B:0.
005%以下、Nb:0.1%以下、V:0.3%以
下、Pb:0.3%以下、Ca:0.1%以下、Al:
0.1%以下を含有し、残部はFe及び不可避不純物か
らなる被削性及び耐粗粒化特性に優れた機械構造用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12858998A JP3534166B2 (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | 被削性、耐粗粒化特性及びケースクラッシュに対する抵抗性に優れた機械構造用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12858998A JP3534166B2 (ja) | 1998-05-12 | 1998-05-12 | 被削性、耐粗粒化特性及びケースクラッシュに対する抵抗性に優れた機械構造用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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