JPH0953169A - 駆動軸継手用浸炭焼入部品及びその製造方法 - Google Patents

駆動軸継手用浸炭焼入部品及びその製造方法

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JPH0953169A
JPH0953169A JP22738295A JP22738295A JPH0953169A JP H0953169 A JPH0953169 A JP H0953169A JP 22738295 A JP22738295 A JP 22738295A JP 22738295 A JP22738295 A JP 22738295A JP H0953169 A JPH0953169 A JP H0953169A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い耐摩耗性,転動疲労特性を有すると共に
強度,靱性にも優れたCVJ浸炭焼入部品を安定かつ低
コストで提供する。 【構成】 CVJ用浸炭焼入部品を、基体の化学組成が
C:0.1〜0.25%, Si:0.2〜 0.4%,Mn:0.3〜 0.9%,
P:0.02%以下,S:0.001〜0.15%,Cr:0.5〜 0.9%,
Mo:0.15〜1%,Al:0.01〜 0.1%,B:0.0005〜 0.0
09%,N:0.006%未満を含むか、あるいは更にNi:0.3〜
4.0%,Ti:0.01〜 0.3%,Nb:0.01〜 0.3%,V:0.
01〜 0.3%,Zr:0.01〜 0.3%の1種以上をも含むと共
に残部が実質的にFeであり: かつ表面硬度:Hv650〜80
0, 芯部硬度:Hv250〜450, 硬化深さ:0.2〜1.2mm な
る断面硬度分布を有してなる如くに構成する。また、該
化学組成の肌焼鋼部材を、 浸炭温度:880〜 930℃,浸炭
時間:1〜3時間,焼入温度:800〜 870℃なる条件で浸炭
焼入し、上記CVJ用浸炭焼入部品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、捻り破壊強度を始めと
した強度特性や転動疲労特性等に優れる駆動軸等速継手
(以下“CVJ”と記す)用浸炭焼入部品(例えばCV
J用ボ−ルケ−ジ)及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術とその課題】例えば自動車等の駆動車軸から
被駆動車軸に動力を伝達するために使用される回転力伝
達用軸継手は“等速継手”と“不等速継手”とに大別さ
れるが、前者の代表例としてバ−フィ−ルド型継手があ
る。これは、図1に示すように、駆動軸1に固設された
アウタ−レ−ス(外輪)2と被駆動軸3に固設されたイ
ンナ−レ−ス(内輪)4との間に複数個(例えば6個)
のボ−ル5を介挿し、これらのボ−ルをボ−ルケ−ジ6
にて保持した構造のものである。このボ−ルケ−ジ6と
インナ−レ−ス4は機構上非常に大きな回転力を伝達し
ようとするものであるため、高い強度と靱性が必要であ
る上、ボ−ル5との接触面においては優れた耐摩耗性,
耐転動疲労性が要求される。
【0003】従って、このようなCVJ部品には浸炭焼
入によって高い表面硬度と転動疲労性が付与される“肌
焼鋼”が適用されており、従来はJISのSCr415,
SCM415,SNC415,SNCM415等のCr
系,Cr−Mo系,Ni−Cr系,Ni−Cr−Mo系の機械構造用合
金鋼を肌焼鋼とし、これを所要の部品形状に加工した後
浸炭焼入の処理を施して使用に供していた。
【0004】しかし、近年、自動車等の性能向上に伴い
CVJにも一段と高い強度が要求されるようになってき
たこともあって、JISに規格されている上記各鋼では
CVJ部品に望まれる強度特性を十分に満足することが
できなくなってきている。
【0005】また、一方で、製品の価格競争も激化の一
途をたどっており、CVJ部品の低コスト化が強く求め
られてもいた。勿論、CVJ部品の低コスト化にはこれ
までも多大な努力が払われてきたが、更なるコスト削減
のためには“浸炭焼入による製造コスト”の低減が是非
とも必要であると認識されている。そして、この浸炭焼
入コストの低下のためには浸炭時間の短縮が最も効果的
であるので、浸炭温度を従来よりも高くすることによっ
て浸炭時間を短縮しようと研究が重ねられてきた。しか
しながら、浸炭温度を高くすると浸炭後の焼入処理で生
じる歪が大きくなるという問題が生じ、そのため高精度
の寸法管理が必要なCVJ部品では、浸炭温度を高くす
ることは避けねばならない方策とされている。しかも、
浸炭温度を高くすると、浸炭処理時にオ−ステナイトの
結晶粒が異常成長して“粗大な結晶粒が散在した粗大粒
混粒組織”となるため浸炭部品の靱性が劣化し、衝撃破
壊強度を始めとした強度の低下を招くという問題もあっ
た。
【0006】なお、素材面から浸炭焼入部材に対する要
求に応えるべく、これまでも肌焼鋼として“B添加を行
うと共にCr,Mo,Niといった合金成分の組み合わせに工
夫を加えた改良鋼”等が幾つか提案されているが(例え
ば特開平2-170944号公報,特開平5-117806号公報等を参
照)、それでもCVJ部品用として十分に満足できるも
のはなかった。
【0007】即ち、一般に浸炭部に高い強度及び耐摩耗
性を確保しようとすると慨して靱性が犠牲にされがちと
なり、そのため衝撃荷重に対する抵抗が乏しくなって低
い荷重で破壊するようになる。特に、表面に応力集中部
が存在するような部品の場合には浸炭焼入後の強度低下
は著しい。上述のB添加鋼(特開平5-117806号公報等に
記載されている鋼)は、この欠点を改善すると共に加工
性の改善を図ったものであり、特にBの添加による改善
効果は顕著であったが、このB添加鋼によってCVJ部
品を製造した場合でもしばしば期待する程の衝撃荷重強
度,耐摩耗性,転動疲労性を確保できず、また浸炭時間
の短縮に関する問題を十分に解決することもできなかっ
た。
【0008】このようなことから、本発明の目的は、高
い耐摩耗性,転動疲労特性を有すると共に衝撃荷重強度
を始めとした強度,靱性に優れたCVJ浸炭焼入部品を
安定かつ低コストで提供することに置かれた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく、特に a) 一般に浸炭部品は浸炭後の焼戻温度が180〜20
0℃程度であり、このため焼入性が過度であると芯部の
靱性が損なわれ、焼入性が不足すると強度が損なわれる
ことから、規定成分範囲内で適当な焼入性を持つように
成分設計をする必要がある, b) 浸炭に伴って粒界の脆化を引き起こす元素は出来る
だけ低減すると共に粒界強度を向上せる元素の積極添加
を指向することで、衝撃荷重強度の低下を引き起こす粒
界破壊の発生を極力抑制するように図ることが必要であ
る, c) CVJ部品での浸炭コストの低下のためには浸炭時
間の短縮が最も効果的であるが、浸炭温度を高くするこ
とにより浸炭時間を短縮する方法では浸炭焼入処理で生
じる歪が大きくなってCVJ部品に極めて重要な製品の
寸法精度を損なうばかりか、衝撃荷重強度の低下を引き
起こす混粒組織を生成させるので、浸炭温度を上げるこ
となく浸炭時間を短縮できるように成分設計をする必要
がある, d) CVJ部品では製品の寸法精度が極めて重要である
ため、浸炭焼入処理時の熱処理歪発生を極力少なくすべ
く焼入油の種類や温度を変えて焼入歪が生じないように
焼入冷却を緩やかにした場合でも衝撃荷重強度,耐摩耗
性及び転動疲労特性の劣化をもたらす不完全焼入組織を
浸炭層に生じさせないように、その成分設計をする必要
がある, との基本思想の下に数多くの実験を繰り返しながら鋭意
研究を行った結果、次に示すような知見を得ることがで
きた。
【0010】従来、浸炭焼入処理鋼材に十分な衝撃荷重
強度,耐摩耗性,転動疲労性等を安定して確保しにくい
原因は「浸炭時に起きる粒界酸化によって浸炭異常層が
発生し、 そのため粒界近傍で鋼の焼入性低下が生じるこ
ととなって、 これが不完全焼入組織の生成につながるこ
と」にあるとされてきた。しかし、本発明者等は、上記
“浸炭時の粒界酸化”による悪影響よりも“浸炭材を焼
入する時に生成するオ−ステナイト粒界上での炭化物析
出”が一層大きな悪影響を及ぼしており、この現象が浸
炭・焼入処理において部品の表層部に不完全焼入組織を
生成する原因となっていることを突き止めた。また、こ
の“浸炭材の焼入処理時に起きる粒界への炭化物析出”
は所定量のBの添加で防止できることをも見出した。
【0011】なお、従来提案されたB添加肌焼鋼には、
浸炭時の粒界酸化を防止する目的で合金元素を減少させ
ると共に、この合金元素の減少に伴う焼入性の低下をB
添加で補う成分設計思想を採っているものもあるが、B
の焼入性向上作用は鋼中のC含有量が高くなると低下傾
向を見せる。そのため、Bによって焼入性を補うという
思想を基にして成るこのようなB添加肌焼鋼は、浸炭に
よって表層部のC量を高くするとその表層部ではBの焼
入性向上作用が消失してしまい、従って浸炭した表層部
に不完全焼入組織が生成しやすくなって、やはり衝撃荷
重強度,耐摩耗性,転動疲労性の点で十分な満足を得る
ことはできなかった。しかも、前述した「浸炭・焼入歪
低減のための処置」によりこの傾向は次第に顕著化する
と考えられた。
【0012】これに対して、“浸炭材の焼入処理時に起
きる粒界への炭化物の析出”を防止し、これによって浸
炭・焼入した表層部に不完全焼入組織が生成するのを抑
えようとの考えの下にBを添加した肌焼鋼では、特に
「浸炭によりC量を高くした部位における“Bの焼入性
向上作用”の消失」という問題を懸念する必要がなく、
浸炭部のC量にそれほど左右されることなく安定して衝
撃荷重強度,耐摩耗性,転動疲労性の向上効果を確保す
ることが可能である。
【0013】しかしながら、B添加による“浸炭材の焼
入処理時に起きる粒界への炭化物析出を防止する効果”
の確保には、鋼中のN含有量を特定の領域にまで低減す
ることが必須である。即ち、本発明者等は、鋼中に 0.0
07重量%程度(通常鋼の下限値程度)のNが含有されて
いる場合でもB添加による“浸炭材の焼入処理時に起き
る粒界への炭化物析出を防止する効果”を安定して確保
することは難しいが、鋼中のN含有量が特に 0.006重量
%未満の領域にまで低減されるとB添加による前記効果
が顕著化し、衝撃荷重強度特性等の諸強度や靱性が十分
に改善されるようになることをも明らかにすることがで
きた。
【0014】また、鋼中のN含有量が 0.006重量%未満
になると転動疲労特性が著しく向上することも判明し
た。即ち、転動疲労特性については、従来、B添加鋼で
は必ずTiが同時に添加されているため鋼中に生成するTi
Nが転動疲労特性を劣化させていると考えられていた
が、Ti無添加の鋼においても鋼中のNが転動疲労特性に
悪影響を及ぼすことが確認され、しかも、この悪影響は
N含有量を 0.006重量%未満の範囲に抑えることによっ
て実質的に無くし得ることが明らかとなったのである。
【0015】そこで、肌焼鋼の構成成分としてC,Si,
Mn,Cr,Mo,Al,Sを組み合わせると共に、その含有量
優割合を調整し、かつそのN含有量を 0.006重量%未満
に制限した上で適量のBを添加すると、低温短時間の浸
炭や、その後の焼入処理で緩冷却を施した場合でも、優
れた衝撃荷重強度,耐摩耗性,転動疲労性を備えた高強
度鋼材が安定して得られるようになることも分かった。
【0016】しかも、上述のように化学組成を調整した
浸炭焼入鋼材において、その断面の硬度プロフィ−ル
(硬度分布)が特に 表面硬度:Hv 650〜800, 芯部硬度:Hv 250〜450, 表層部硬化深さ: 0.2〜 1.2mm なる条件を満たした場合には、近年のCVJ用浸炭焼入
部品に求められていた前述の特性を十分に満たすように
なることも確認された。
【0017】本発明は、上記数々の知見事項等に基づい
て完成されたものであり、「CVJ用浸炭焼入部品を、
基体の化学組成がC: 0.1〜0.25%(以降、 成分割合を
表す%は重量%とする),Si: 0.2〜 0.4%, Mn:
0.3〜 0.9%, P:0.02%以下,S: 0.001〜0.15
%, Cr: 0.5〜 0.9%, Mo:0.15〜1%,Al:0.
01〜 0.1%, B:0.0005〜 0.009%, N: 0.006
%未満を含むか、 あるいは更にNi: 0.3〜 4.0%,
Ti:0.01〜 0.3%, Nb:0.01〜 0.3%,V:0.01〜
0.3%, Zr:0.01〜 0.3%の1種又は2種以上をも
含むと共に残部が実質的にFeであり、 かつ 表面硬度:Hv 650〜800, 芯部硬度:Hv 250〜450, 硬化深さ: 0.2〜 1.2mm なる断面硬度分布を有してなる如くに構成することによ
って、 優れた耐摩耗性,転動疲労特性並びに寸法精度を
確保し得るようにし、しかも低コスト化を実現した点」
に大きな特徴を有し、更には「C: 0.1〜0.25%,
Si: 0.2〜 0.4%, Mn: 0.3〜 0.9%,P:0.02%
以下, S: 0.001〜0.15%, Cr: 0.5〜 0.9
%,Mo:0.15〜1%, Al:0.01〜 0.1%, B:
0.0005〜 0.009%,N: 0.006%未満を含むか、 あるい
は更にNi: 0.3〜 4.0%, Ti:0.01〜 0.3%,
Nb:0.01〜 0.3%,V:0.01〜 0.3%, Zr:0.01〜
0.3%の1種又は2種以上をも含むと共に残部が実質的
にFeからなる化学組成の肌焼鋼部材を、 浸炭温度:880〜930℃, 浸炭時間:1〜3時間, 焼入温度:800〜870℃ なる条件で浸炭焼入し、 表面硬度:Hv 650〜800, 芯部硬度:Hv 250〜450, 硬化深さ: 0.2〜 1.2mm なる断面硬度分布とすることにより、 優れた耐摩耗性,
転動疲労特性を有したCVJ用浸炭焼入部品を寸法精度
良く、 しかも低コストで安定製造できるようにした点」
をも特徴とするものである。
【0018】
【作用】以下、本発明において部材の化学組成や製造条
件等を前記の如くに限定した理由を説明する。 (A) 化学組成 a) C Cは鋼の硬度・強度を確保する基本的成分である。そし
て、浸炭・焼入部品としての使用中に変形しないだけの
強度を鋼に確保するにはHv250以上の硬度を必要と
するが、この必要硬度の確保にはC含有量を 0.1%以上
とする必要がある。一方、0.25%を超えてCを含有させ
ると鋼の芯部靱性が劣化する。従って、C含有量は 0.1
〜0.25%と定めた。
【0019】b) Si 従来、肌焼鋼においては、Siは浸炭時の粒界酸化による
粒界脆化に寄与する元素であるとして添加量を抑制する
ことが多かった。しかし、本発明品では、浸炭層の焼入
性を確保して高い耐衝撃破壊強度を達成するためにSiの
焼入性向上作用を積極的に利用する。そして、Si含有量
が 0.2%未満であると所望する浸炭層の焼入性を確保で
きず、一方、 0.4%を超えてSiを含有させると“浸炭時
の粒界近傍でのSiの酸化による脆弱化”が顕著化するこ
とから、Si含有量は 0.2〜 0.4%と定めた。
【0020】c) Mn Mnも、Siと同様、浸炭時の粒界酸化による粒界脆化を抑
制するために添加量を抑制する場合が多いが、Mnを低減
すると浸炭層の焼入性低下作用が大きくなって本発明が
狙いとする高い耐衝撃破壊強度の確保が困難となること
が判明した。即ち、本発明品ではMn含有量が 0.3%未満
では所望する浸炭層の焼入性を確保することができな
い。なお、“浸炭時の粒界近傍でのMnの酸化による脆弱
化”はMn含有量が 0.9%を超えても実用上問題のないこ
とが判明したが、 0.9%を超えてMnを含有させると打抜
き加工性と砥石研削性の劣化が顕著化する。従って、Mn
含有量は 0.3〜 0.9%と定めた。
【0021】d) P Pは“浸炭・焼入時にオ−ステナイト粒界上にセメンタ
イトが析出することによる粒界の脆弱化”を著しく促進
するので肌焼鋼においては極めて有害な不純物元素であ
り、従ってP量は極力低減することが好ましい。ただ、
Pの低減には原料や精錬工程でのコスト増大を招くの
で、目標性能とコストとのバランスから許容値が設計さ
れる。本発明では、後述するBの効果を勘案して許容で
きる上限値を0.02%とした。
【0022】d) S Sは、鋼の靱性劣化を招く一方で、機械加工性(被削
性,打抜き性)を改善するという点では積極添加が望ま
れる成分でもある。そして、S含有量が 0.001%未満で
あると機械加工性改善効果が顕著化せず、一方、0.15%
を超えてSを含有させると鋼の靱性劣化が著しくなるの
で、本発明ではS含有量を 0.001〜0.15%と定めた。た
だ、機械加工性をあまり要求されなくて済むような使わ
れ方の場合にはS含有量は低めに抑えることが得策であ
る。
【0023】e) Cr Crは、鋼基地の焼入性確保や、浸炭層の炭素濃度を短時
間で確保するために欠かせない成分であるが、そのため
には 0.5%以上の含有量が必要である。しかしながら、
Crは同時に“浸炭・焼入時にオ−ステナイト粒界上にセ
メンタイトが析出することによる粒界の脆弱化”を著し
く促進するので、多くてもその含有量を0.9 %以下に制
限する必要がある。ただ、Cr含有量を 0.9%以下に制限
すると鋼の焼入性、とりわけC量の高い浸炭部分の焼入
性が不十分となるので、本発明では粒界の脆弱化を招く
ことのないB,Mo,Niの添加でこれを補うこととした。
このようなことからCr含有量は 0.5〜 0.9%と定めた
が、好ましくは 0.5〜0.65%に調整するのが良い。
【0024】f) Mo Moは、鋼基地及び浸炭部の強度・靱性の向上、並びに浸
炭層の炭素濃度を短時間で確保するために必須の成分で
ある。特に、Moの焼入性向上効果は鋼基地のC量に殆ど
影響を受けないため、高炭素になった浸炭部においても
焼入性向上効果は安定して発揮される。なお、浸炭に伴
う粒界の脆弱化を抑制すべくCr含有量を低減しBで焼入
性の補充を図った鋼では、高炭素になっても焼入性が著
しく低下するので、Moによる浸炭部の焼入性補償は非常
に重要である。この場合、Mo含有量が0.15%未満では十
分な焼入性補償ができないだけでなく、短時間の浸炭処
理で浸入するCの量も低下する。そして、上記効果を付
与する観点からはMo含有量は多い方が好ましいが、1%
までの添加で十分な効果が得られるのでこれを超える添
加は経済的でないと判断される。従って、Mo含有量は0.
15〜1%と定めた。
【0025】g) Al Alは、鋼の脱酸及び結晶粒微細化に有効な成分である
が、その含有量が0.01%未満ではその効果が十分でな
く、一方、 0.1%を超えて含有させると靱性に有害な介
在物が増加することから、Al含有量は0.01〜 0.1%と定
めた。
【0026】h) B Bは、“浸炭材を焼入する時に生成するオ−ステナイト
粒界上での炭化物(Cr炭化物等)の析出”を抑え、これ
により浸炭部の不完全焼入組織,粒界脆化を防止して浸
炭・焼入材に十分な衝撃荷重強度,耐摩耗性,転動疲労
特性等を確保するために欠かせない成分である。また、
本発明では“浸炭・焼入時に粒界上に炭化物が析出する
ことにより粒界の脆弱化を著しく促進するというCrの弊
害”を防止するためにCr含有量を制限しているが、B
は、このようにCr含有量を低減した結果起きる“鋼基地
の焼入性低下”を補って鋼芯部の焼入性を確保する作用
も分担する。しかし、B含有量が0.0005%未満であると
上記作用による所望の効果が得られず、一方、 0.009%
を超えてBを含有させると逆にBによる粒界脆化が起き
るようになるので、B含有量は0.0005〜 0.009%と定め
た。なお、“浸炭・焼入時の粒界への炭化物析出”を抑
えるためにBを添加した鋼であっても、鋼中のN含有量
が通常の 0.007%程度のものではBによる上記効果を十
分に確保することはできない。
【0027】i) N 上述のように、鋼中のN量はBの作用を有効ならしめる
ために非常に重要である。即ち、鋼中のN量が 0.006%
未満の領域にまで低減された場合に初めてB添加による
“浸炭材の焼入処理時に起きる粒界への炭化物析出を防
止する効果”が顕著化し、十分な衝撃荷重強度が確保さ
れるばかりか、転動疲労特性も著しく改善される。な
お、鋼中のN含有量は少ないほど望ましいが、大気中で
の工業的生産においては現在の製鋼技術でN量を 0.001
%未満にすることは極めて困難である。
【0028】j) Ni CVJ部品として更に苛酷な使用が予想される場合に
は、前記成分に加えてNiや次に説明するTi,Nb,V又は
Zrのの1種又は2種以上を含有させるのが有効である。
なお、Niは鋼基地の強度と靱性の向上に有効な成分であ
り、またMoと協働して浸炭部の強度・靱性の向上にも大
いに寄与する。しかし、Ni含有量が 0.3%未満では前記
効果が不十分であり、一方、 4.0%を超えて含有させて
もその効果が飽和することから、Niを添加する場合には
その含有量を 0.3〜 4.0%と定めた。
【0029】k) Ti,Nb,V及びZr これらの元素には鋼の結晶粒を微細化して靱性を向上さ
せる効果があるので、苛酷な使用が予想される場合に1
種又は2種以上を含有させるのが好ましい。しかしなが
ら、これら各成分の含有量がそれぞれ0.01%未満では上
記効果が不十分であり、一方、各々 0.3%を超えて含有
させると逆に鋼の靱性や転動疲労特性の劣化を招くこと
から、Ti,Nb,V又はZrの含有量はそれぞれ0.01〜 0.3
%と定めた。
【0030】(B) 部品断面の硬度分布 CVJ部品のうち浸炭焼入して製造されるものは主とし
てインナ−レ−スとボ−ルケ−ジであるが、これらは、
CVJに衝撃的な回転力が負荷された際に浸炭されて多
少脆くなっている表層部が欠けることが多い。このよう
な欠損トラブルが起きるとCVJは円滑に作動しなくな
くなるので、浸炭層の欠損は是非とも避けねばならない
事項である。本発明者等の研究の結果、本発明に係る化
学組成の部品では浸炭焼入後の表面硬度がHv 800を
超えると上述のような欠損トラブルが頻発するようにな
ることが判明した。また、ボ−ルケ−ジに設ける窓枠の
柱の部分は、表面硬度がHv 800を超えると衝撃引張
強度が低下してCVJ部品として必要な破壊強度を持つ
ことができなくなることも分かった。一方、本発明に係
る化学組成のCVJ用浸炭焼入部品の表面硬度がHv6
50未満であると転動疲労特性が劣化し、従来よりも高
い面圧で使用される高強度CVJ部品では転動疲労寿命
が不足する。従って、CVJ用浸炭焼入部品の表面硬度
をHv650〜800と限定した。
【0031】また、浸炭焼入処理後の硬化深さが 0.2mm
未満の場合にも従来よりも高い面圧で使用される高強度
CVJ部品では転動疲労寿命が不足し、一方、この硬化
深さが 1.2mmを超えると本発明に係る化学組成のCVJ
用浸炭焼入部品では衝撃引張強度が低下してやはり高強
度CVJ部品として必要な衝撃破壊強度特性を持つこと
ができなくなる。従って、浸炭焼入処理後の硬化深さは
0.2〜 1.2mmと限定した。
【0032】そして、浸炭焼入部品の芯部硬度について
は、Hv 250〜450の範囲を外れると、本発明に係
る化学組成の場合、やはり近年の高強度CVJに要求さ
れる衝撃破壊強度特性が安定して発揮されなくなる。
【0033】なお、CVJ用浸炭焼入部品断面の硬度分
布の調整は、化学組成の微調整や浸炭焼入焼戻条件の制
御によって可能であることは言うまでもない。
【0034】(C) 軸継手用浸炭焼入部品の製造条件 a) 浸炭温度 既に述べたように、CVJ部品は非常に高い寸法精度を
必要とするので浸炭焼入での変形歪の発生は可能な限り
防止しなければならない。なお、CVJ用浸炭焼入部品
で発生する変形には浸炭処理の温度が非常に大きく影響
しており、浸炭温度を低くすると熱処理歪が大幅に改善
される。そして、本発明に係る化学組成の鋼の場合に
は、従来実施されていた“930℃を超える領域”を下
回る温度で浸炭を行っても短時間で深い硬化深さが得ら
れ、所望特性を安定して確保することが可能である。し
かしながら、浸炭温度が880℃を下回ると、本発明に
係る化学組成品であっても所望浸炭深さを達成するのに
長時間を要しコストの増大を招くばかりか、CVJ部品
として必要な浸炭硬化深さ 0.2mm以上が実現しなくなる
おそれもある。従って、浸炭温度は880〜930℃と
定めた。
【0035】b) 浸炭時間 従来のように4時間程度もの長時間の浸炭処理を実施す
ると、浸炭焼入時に析出生成するオ−ステナイト粒界上
の炭化物の量が増加してCVJ部品の破壊強度が低下す
る。この傾向は、特にボ−ルケ−ジ窓枠の場合に著し
い。本発明に係る化学組成の鋼の場合には、3時間以下
の浸炭処理であっても低温で所望の浸炭深さを達成する
ことができ、CVJ用浸炭焼入部品に望まれる特性の確
保が可能である。しかも、低温で短時間の処理を実施す
ることによって製造コストの低減もなされる。しかしな
がら、浸炭時間を1時間未満とすると、本発明に係る化
学組成の鋼であってもCVJ部品として必要な浸炭硬化
深さ 0.2mm以上が実現しなくなる。従って、浸炭時間は
1〜3時間と定めた。
【0036】c) 焼入温度 浸炭に引き続いて急冷焼入を行う際の温度が870℃を
超えるとCVJ部品で最も重要な寸法精度を劣化させる
原因になる熱処理歪が増大するので、焼入までの保熱温
度(焼入温度)の上限を870℃と定めた。一方、この
温度が800℃未満になると浸炭焼入するCVJ部品の
芯部でフェライトが発生し部品の強度が低下するので、
焼入前の保熱温度(焼入温度)の下限値は800℃とし
た。
【0037】上述のように、CVJ部品においては寸法
精度が極めて重要で、とりわけ浸炭熱処理時における変
形歪の発生を極力抑制することが大きな技術課題であ
り、この課題を解決するために本発明では浸炭温度を8
80〜930℃とし、浸炭時間も1〜3時間としてい
る。しかしながら、このような浸炭処理条件でCVJ部
品を製造すると、変形歪の問題は解決できても浸炭層の
硬化深さがCVJの寿命維持のために必要な 0.2〜1.2m
m の範囲に入らずに 0.2mm未満になる懸念が強くなる。
この事態を防止するには、浸炭時のカ−ボンポテンシャ
ルを上げる方法があるが、この手立てを採用すると最表
面の硬度がHv800を超えてしまい、前述した欠損ト
ラブルが頻発するようになる。
【0038】そこで、鋭意検討の結果、前述した浸炭処
理条件の範囲で既に述べたような部品断面の硬度分布を
実現することが高強度CVJの製造にとって最良の手段
であることを確認した訳である。このような高強度CV
J部品のより安定した実現のためには、“浸炭時のカ−
ボンポテンシャルの安定した厳密な管理”や“浸炭中の
部品の浸炭炉内での均一な温度管理”等の浸炭技術の改
善に負うところが大であるが、既述したように素材鋼の
化学成分組成の改善も重要である。
【0039】続いて、本発明を実施例によって説明す
る。
【実施例】
〔実施例1〕まず、真空溶製鋳込みによって表1及び表
2に示す化学成分組成の150kg鋼塊を得た後、これに
熱間鍛造と焼準しの処理を施し、更に各鋼から機械加工
によって“平行部直径:8.0mmφの平滑丸棒引張試験片”
と図2に示す“切欠付き引張試験片試験片”を作成し
た。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】次に、上記各試験片を図3に示す条件で低
温短時間浸炭・焼入焼戻処理したものについて引張試験
を行い、平滑引張強度と切欠引張強度を測定して浸炭焼
入後の延靱性を評価した。また、同じ浸炭処理を施した
引張試験片について、その平行部の断面における硬度分
布を測定し、表面硬度,硬化深さ及び芯部硬度を求め
た。なお、「硬化深さ」は“表面硬化層の硬度がHv5
13となる位置”の表面からの距離とした。これらの結
果を表1及び表2に併せて示す。
【0043】上記表1及び表2に示される結果からも、
本発明で規定する条件を満たす低温短時間浸炭・焼入焼
戻処理後の鋼材は何れも120kgf/mm2 以上の平滑引張
強度を示し、かつ切欠引張強度も130kgf/mm2 以上で
あるなど、優れた破壊強度を有していることが分かる。
【0044】また、これらとは別に、前記低温短時間浸
炭・焼入焼戻処理後の各鋼材について、平均表面粗さ
(Ra)が0.05μmの鏡面研磨仕上げ加工したものにつ
き、#60スピンドル油潤滑で室温でのスラスト式転動
疲労試験を実施した。この際、転動疲労特性の評価は、
面圧を変えて試験を行い剥離寿命までの応力負荷繰り返
し数を求め、S−N線図から転動疲労限の面圧を求めて
比較する方法を採った。前記表1及び表2にこれらの結
果もまとめて併記した。これらの結果からも、本発明で
規定する条件を満たす低温短時間浸炭・焼入焼戻処理後
の鋼材は何れも優れた転動疲労特性を示すことを確認で
きる。
【0045】〔実施例2〕真空溶製鋳込みによって表3
に示す各化学成分組成の150kg鋼塊を得た後、これら
に熱間鍛造と焼準しの処理を施し、更に機械加工によっ
て“重要なCVJ部品の1つであるボ−ルケ−ジの窓枠
の柱”の部分をシュミレ−トした図4に示す如き“ 6.0
mm× 5.0mm平行部断面を持つ四角柱引張試験片”を作成
した。
【0046】次に、これら試験片に図5及び表4,表5
で示す各種条件の浸炭焼入焼戻処理を施し、その平行部
の断面における硬度分布を測定し、表面硬度,硬化深さ
及び芯部硬度を求めた。なお、「硬化深さ」は実施例1
の場合と同様に“表面硬化層の硬度がHv513となる
位置”の表面からの距離とした。また、同じ浸炭焼入焼
戻処理を施した引張試験片について引張試験を行い、破
壊荷重も測定した。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】更に、浸炭焼入処理によってボ−ルケ−ジ
の柱の部分に生じる歪を図6に示す形状・寸法の試験片
でシュミレ−トした。この試験では、高精度ダイアルゲ
−ジを用い、図7で示したように柱の各辺の5位置での
厚さを浸炭焼入の前と後とで測定し、その差を求めて変
形量とした。また、5位置での各変形量の最大値から最
小値を引いた差を最大変形量として算出し、評価に用い
た。これらの結果を表4及び表5に併せて示す。
【0050】表4及び表5に示される結果からは、まず
本発明で規定する条件を満たす浸炭焼入処理部材は優れ
た破壊強度を示すことが確認される。また、熱処理歪に
ついても、本発明で規定する条件を満たす浸炭焼入処理
部材は全体に歪量が小さくなっていることも分かる。更
に、表4及び表5での浸炭条件の影響を見ると、低温短
時間の浸炭処理でも浸炭焼入処理部材断面の硬化分布に
は殆ど差がなく、本発明の条件を採用することによって
浸炭コストの低減を達成できることも明らかである。
【0051】〔実施例5〕真空溶製鋳込みによって表6
に示す各化学成分組成の1トン鋼塊を得た後、これらを
丸鋼片に熱間鍛造し、更にマンドレルミル製管法で熱間
製管した後、「冷間抽伸→応力除去焼鈍」を施してシ−
ムレス鋼管を得た。また、一部の鋼片は熱間鍛造で30
mmφの鋼棒に鍛伸した。
【0052】
【表6】
【0053】次いで、この鋼管と鋼棒を用いて2種類の
サイズのCVJ部品を試作した。なお、前記シ−ムレス
鋼管からはボ−ルケ−ジを、前記鋼棒からはインナ−レ
−スをそれぞれ実際の量産機械で試作した。そして、こ
れらボ−ルケ−ジとインナ−レ−スを表7に記載した浸
炭焼入条件で熱処理した後、他の部品と共にCVJに組
み立てた。
【0054】
【表7】
【0055】このようにして試作したCVJは、捻り試
験機でゆっくりと回転力を負荷し、準静的捻り破壊強度
を求めた。これらの結果と、別に調査した各ボ−ルケ−
ジ及びインナ−レ−ス断面の硬度分布をまとめて表7に
併記した。
【0056】表7に示される結果からも、どちらのサイ
ズのCVJも本発明で規定する条件に従って製造された
本発明部品を組み込んだものの方が、比較品(従来条件
を適用したもの)のそれよりも13〜14%も高い準静
的捻り破壊強度を有していることが分かる。
【0057】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、高い破壊強度,耐摩耗性及び転動疲労性を有すると
共に、熱処理変形の少ない高強度,高靱性,高寸法精度
のCVJ浸炭焼入部品を従来よりも短時間の浸炭焼入処
理により低コストで提供することができ、これら部品の
適用によってCVJの性能(捻り破壊強度等)を顕著に
向上することが可能となるなど、産業上有用な効果がも
たらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボ−ルケ−ジとインナ−レ−スを有するバ−フ
ィ−ルド型継手例の説明図である。
【図2】切欠付き引張試験片の説明図である。
【図3】実施例で採用した浸炭・焼入・焼戻処理の条件
を示したグラフである。
【図4】実施例で作成した四角柱引張試験片の説明図で
ある。
【図5】別の実施例で採用した浸炭・焼入・焼戻処理条
件を示したグラフである。
【図6】実施例で作成した熱処理変形歪測定試験片の説
明図である。
【図7】熱処理変形歪測定試験片の測定方法についての
説明図である。
【符号の説明】
1 駆動軸 2 被駆動軸 3 アウタ−レ−ス 4 インナ−レ−ス 5 ボ−ル 6 ボ−ルケ−ジ
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 和彦 静岡県袋井市広岡1905−37 (72)発明者 後藤 竜宏 静岡県磐田市千手堂1031番地 (72)発明者 脇田 明 静岡県磐田市上岡田1039−1

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の化学組成が、重量割合にてC:
    0.1〜0.25%, Si: 0.2〜 0.4%, Mn: 0.3〜
    0.9%,P:0.02%以下, S: 0.001〜0.15%,
    Cr: 0.5〜 0.9%,Mo:0.15〜1%, Al:0.01
    〜 0.1%, B:0.0005〜 0.009%,N: 0.006%未
    満を含むと共に残部が実質的にFeであり、かつ、 表面硬度:Hv 650〜800, 芯部硬度:Hv 250〜450, 表層部硬化深さ: 0.2〜 1.2mm なる断面硬度分布を有して成ることを特徴とする、駆動
    軸等速継手用高強度浸炭焼入部品。
  2. 【請求項2】 基体が、重量割合にて更にNi: 0.3〜
    4.0%をも含む化学組成を有して成ることを特徴とす
    る、請求項1に記載の駆動軸等速継手用高強度浸炭焼入
    部品。
  3. 【請求項3】 基体が、重量割合にて更にTi:0.01〜
    0.3%, Nb:0.01〜 0.3%, V:0.01〜 0.3
    %,Zr:0.01〜 0.3%の1種又は2種以上をも含む化学
    組成を有して成ることを特徴とする、請求項1又は2に
    記載の駆動軸等速継手用高強度浸炭焼入部品。
  4. 【請求項4】 重量割合にてC: 0.1〜0.25%, S
    i: 0.2〜 0.4%, Mn: 0.3〜 0.9%,P:0.02%
    以下, S: 0.001〜0.15%, Cr: 0.5〜 0.9
    %,Mo:0.15〜1%, Al:0.01〜 0.1%,
    B:0.0005〜 0.009%,N: 0.006%未満を含み、残部
    が実質的にFeから成る化学組成の肌焼鋼部材を、 浸炭温度:880〜930℃, 浸炭時間:1〜3時間, 焼入温度:800〜870℃ なる条件で浸炭焼入し、 表面硬度:Hv 650〜800, 芯部硬度:Hv 250〜450, 表層部硬化深さ: 0.2〜 1.2mm なる断面硬度分布とすることを特徴とする、駆動軸等速
    継手用高強度浸炭焼入部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 肌焼鋼部材として、重量割合で更にNi:
    0.3〜 4.0%をも含む化学組成を有して成るものを用い
    ることを特徴とする、請求項4に記載の駆動軸等速継手
    用高強度浸炭焼入部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 肌焼鋼部材として、重量割合で更にTi:
    0.01〜 0.3%, Nb:0.01〜 0.3%, V:0.01〜
    0.3%,Zr:0.01〜 0.3%の1種又は2種以上をも含む
    化学組成を有して成るものを用いることを特徴とする、
    請求項4又は5に記載の駆動軸等速継手用高強度浸炭焼
    入部品の製造方法。
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