JPH11323120A

JPH11323120A - 帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂シート積層体およびフレネルレンズ用基材

Info

Publication number: JPH11323120A
Application number: JP15937498A
Authority: JP
Inventors: Masanao Jinno; 昌直神野
Original assignee: Teijin Chemicals Ltd
Current assignee: Teijin Ltd
Priority date: 1998-03-13
Filing date: 1998-06-08
Publication date: 1999-11-26
Anticipated expiration: 2018-06-08
Also published as: JP3390665B2

Abstract

(57)【要約】【課題】帯電防止性能に優れ、また、保護フィルムを
積層したポリカーボネート樹脂シート積層体において、
その保護フィルムを剥離した後も優れた帯電防止性能を
維持している、プロジェクションテレビジョンのフレネ
ルレンズ用基材に適したポリカーボネート樹脂組成物を
提供する。【解決手段】ポリカーボネート樹脂１００重量部、ド
デシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム
０．５〜５重量部および特定の脂肪酸モノエステル０．
１〜１重量部からなる帯電防止性ポリカーボネート樹脂
組成物、かかる樹脂組成物からなる少なくとも片面に保
護フィルムを積層したポリカーボネート樹脂シート積層
体およびフレネルレンズ用基材。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は帯電防止性ポリカー
ボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂シート積層
体およびフレネルレンズ用基材に関する。更に詳しくは
帯電防止性能に優れ、また、保護フィルムを積層したポ
リカーボネート樹脂シート積層体において、その保護フ
ィルムを剥離した後も優れた帯電防止性能を維持してい
る、プロジェクションテレビジョンのフレネルレンズ用
基材に適したポリカーボネート樹脂組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ポリカーボネート樹脂の帯電
を防止することを目的として、種々の帯電防止剤をポリ
カーボネート樹脂へ練り込む方法が用いられている。か
かる帯電防止剤として、例えばアルキルスルホン酸金属
塩、アルキルスルホン酸アミン塩（特開平３−６４３６
８号公報）およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩
（特開昭６２−２３０８３５号公報、特開昭６４−１４
２６７号公報）等が提案されている。

【０００３】また、ポリカーボネート樹脂組成物をシー
トとして使用する場合は表面が傷つきやすいために表面
に保護フィルムを貼りつけるのが一般的である。

【０００４】しかしながら、上記帯電防止剤を配合した
ポリカーボネート樹脂シートは、当初優れた帯電防止性
能を有しているが、保護フィルムを貼り付け、一定期間
経過後保護フィルムを剥離すると、保護フィルムの粘着
層に帯電防止剤が移行するために、ポリカーボネート樹
脂シートの帯電防止性能が著しく低下し、保護フィルム
を貼りつける以前の帯電防止性能を維持できないことが
判明した。

【０００５】例えば、プロジェクションテレビジョンの
スクリーン（前面板）は、ブラウン管タイプのテレビジ
ョンに比べ輝度が比較的低く、その輝度を保つために、
使用されるフレネルレンズ用基材には光拡散性とともに
優れた透明性が要求されている。本願出願人は、ポリカ
ーボネート樹脂製高透過率光拡散板を開発し、先に提案
した（特開平５−２５７００２号公報)けれども、かか
るポリカーボネート樹脂からなるスクリーン基材には光
拡散剤として無機微粒子や有機粒子が添加されているた
め、該拡散板の表面は微細な凹凸模様となっており、経
日変化とともにホコリや塵埃の付着が該拡散板の表面に
蓄積し、スクリーン表面に写し出された映像の透過率が
低下してスクリーンの映像が暗くなるという欠点を有し
ていた。

【０００６】そこで、このポリカーボネート樹脂に上記
帯電防止剤を配合したポリカーボネート樹脂シートから
なるスクリーン基材が提案されるけれども、上述したよ
うに、かかるスクリーン基材は、当初帯電防止性能を有
していても、積層した保護フィルムにより、この保護フ
ィルムを剥離した後の帯電防止性能が低下するという問
題があった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明者は、保護フィ
ルムを積層した帯電防止剤を含有するポリカーボネート
樹脂シート積層体、例えば、ポリカーボネート樹脂シー
トからなるプロジェクションテレビジョンのフレネルレ
ンズ用基材において、ポリカーボネート樹脂シート積層
体の保護フィルムを剥離した後の帯電防止性能の低下を
防止することを目的として鋭意研究を重ねた結果、ポリ
カーボネート樹脂に帯電防止剤としてドデシルベンゼン
スルホン酸テトラブチルホスホニウムを使用し、これと
ともに脂肪酸モノエステルを併用することにより、ポリ
カーボネート樹脂シートに積層した保護フィルムを剥離
した後も帯電防止性能が維持されることを見い出し、本
発明に到達した。

【０００８】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、ポリカーボネート樹脂１００重量部、ドデシルベン
ゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム０．５〜５重
量部および下記式（１）

【０００９】

【化２】

【００１０】（但し、式中、Ｒ¹は炭素数１２〜２０の
アルキル基である。）で示される脂肪酸モノエステル
０．１〜１重量部からなる帯電防止性ポリカーボネート
樹脂組成物が提供される。

【００１１】また、本発明によれば、かかるポリカーボ
ネート樹脂組成物からなるポリカーボネート樹脂シート
であって、該シートの少なくとも片面に保護フィルムを
積層したポリカーボネート樹脂シート積層体が提供され
る。

【００１２】本発明で使用されるポリカーボネート樹脂
は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法ま
たは溶融法で反応させて得られるものである。二価フェ
ノールの代表的な例としては２，２−ビス（４−ヒドロ
キシフェニル）プロパン［通称ビスフェノールＡ］、
１，１−ビス（４−ヒドロキシフェニル）エタン、１，
１−ビス（４−ヒドロキシフェニル）シクロヘキサン、
２，２−ビス（３−メチル−４−ヒドロキシフェニル）
プロパン、２，２−ビス（３，５−ジメチル−４−ヒド
ロキシフェニル）プロパン、ビス（４−ヒドロキシフェ
ニル）サルファイド、ビス（４−ヒドロキシフェニル）
スルホン等が挙げられ、なかでもビスフェノールＡが好
ましい。これらの二価フェノールは単独または２種以上
を混合して使用できる。

【００１３】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。

【００１４】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を溶液法または溶融法によって反応させてポリカーボネ
ート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末
端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用しても
よい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能
性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂
であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸
を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であっても
よく、また、得られたポリカーボネート樹脂の２種以上
を混合した混合物であってもよい。

【００１５】ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平
均分子量（Ｍ）で１０，０００〜１００，０００が好ま
しく、１５，０００〜３５，０００がより好ましい。か
かる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、
十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好
であり好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メ
チレン１００ｍＬにポリカーボネート樹脂０．７ｇを２
０℃で溶解した溶液から求めた比粘度（η_sp）を次式に
挿入して求めたものである。 η_sp／ｃ＝［η］＋０．４５×［η］²ｃ（但し［η］は極限粘度）［η］＝１．２３×１０^-4Ｍ^0.83 ｃ＝０．７

【００１６】本発明で使用される帯電防止剤は、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウムであ
る。帯電防止剤として、アルキルスルホン酸金属塩やア
ルキルスルホン酸アミン塩等を使用しても、本発明の目
的は達成されない。かかるドデシルベンゼンスルホン酸
テトラブチルホスホニウムは、ポリカーボネート樹脂１
００重量部に対して０．５〜５重量部、好ましくは１〜
４．５重量部、より好ましくは２〜４重量部の範囲で配
合される。０．５重量部未満では充分な帯電防止効果が
得られず、５重量部を越えると成形する際にドローダウ
ンが発生したり、得られるポリカーボネート樹脂成形品
の機械的物性に劣り、透明性および外観が低下し好まし
くない。

【００１７】本発明で使用される脂肪酸モノエステルは
上記式（１）で示される脂肪酸モノエステルであり、具
体例としてはステアリン酸モノグリセライド、ラウリル
酸モノグリセライド等が挙げられる。かかる脂肪酸エス
テルは、ポリカーボネート樹脂１００重量部に対して
０．１〜１重量部、好ましくは０．１５〜０．７重量
部、より好ましくは０．２〜０．５重量部の範囲で配合
される。０．１重量部未満では保護フィルムを剥離した
後の帯電防止性能が低下し、１重量部を越えると成形す
る際に発泡し、得られるポリカーボネート樹脂の機械的
物性が低下するようになり好ましくない。

【００１８】また、本発明のポリカーボネート樹脂シー
トに使用される保護フィルムは、厚み２０〜１００μｍ
のポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）等の
透明な基材に、１０〜３０μｍのエチレン酢酸ビニルコ
ポリマー（ＥＶＡ）、ＰＥオリゴマー等の粘着層を有す
るものが好ましく用いられ、特にＰＥ製の基材にＥＶＡ
の粘着層を有するものが好ましく使用される。また、ポ
リカーボネート樹脂シートと保護フィルムとの接着力は
１０〜１００ｇｆ／５０ｍｍ幅が好ましい。かかる範囲
の接着力を持つ保護フィルムは、十分な接着力を有して
いるため保護フィルムとしての機能を果たし、また、剥
離した際に糊残り等が発生し難いため好ましい。ここ
で、接着力とは、ポリカーボネート樹脂シートに５０ｍ
ｍ幅で接着した保護フィルムにおいて、温度２０度で、
ポリカーボネート樹脂シートに対して垂直に（剥離角度
９０度で）保護フィルムの端を、剥離速度２００ｍｍ／
分の速さで剥離した際の接着強度を測定した値である。

【００１９】さらに、本発明によれば、ポリカーボネー
ト樹脂１００重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸テト
ラブチルホスホニウム０．５〜５重量部、上記式（１）
で示される脂肪酸モノエステル０．１〜１重量部、燐系
酸化防止剤０．０１〜１重量部および光拡散剤０．０１
〜０．５重量部からなるポリカーボネート樹脂シートで
あって、該シートの少なくとも片面に保護フィルムを積
層したポリカーボネート樹脂シート積層体が提供され
る。

【００２０】また、かかるポリカーボネート樹脂シート
であって、厚み０．２〜２．０ｍｍ、表面固有抵抗が１
０¹⁵Ω未満、全光線透過率が８５％以上、且つヘイズが
５〜３０％であるプロジェクションテレビジョンのフレ
ネルレンズ用基材が提供される。

【００２１】本発明で使用される燐系酸化防止剤として
は、亜燐酸エステルまたは燐酸エステルが用いられる。
かかる亜燐酸エステルは、例えばトリフェニルホスファ
イト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス
（２，４−ジ−ｔｅｒｔ−ブチルフェニル）ホスファイ
ト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイ
ト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシル−モノフ
ェニルホスファイト、ジオクチル−モノフェニルホスフ
ァイト、ジイソプロピル−モノフェニルホスファイト、
モノブチル−ジフェニルホスファイト、モノデシル−ジ
フェニルホスファイト、モノオクチル−ジフェニルホス
ファイト、ビス（２，６−ジ−ｔｅｒｔ−ブチル−４−
メチルフェニル）ペンタエリスリトール−ジ−ホスファ
イト、２，２−メチレンビス（４，６−ジ−ｔｅｒｔ−
ブチルフェニル）オクチルホスファイト、ビス（ノニル
フェニル）ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、
ビス（２，４−ジ−ｔｅｒｔ−ブチルフェニル）ペンタ
エリスリトール−ジ−ホスファイトおよびテトラキス
（２，４−ジ−ｔｅｒｔ−ブチルフェニル）−４，４−
ジフェニレンホスホナイト等の亜燐酸のトリエステルま
たはエステル部をアルキル基、フェニル基、アルキルア
リール基等で置換したジエステル、モノエステルであ
り、これらは単独で使用してもまたは２種以上併用して
もよい。なかでもトリスノニルフェニルホスファイトが
好ましく用いられる。

【００２２】かかる燐酸エステルは、例えばトリブチル
ホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロル
フェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフ
ェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキ
セニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェー
ト、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートお
よびジイソプロピルホスフェート等が挙げられ、これら
は単独で使用してもまたは２種以上併用してもよい。ま
た、亜燐酸エステルと燐酸エステルを併用して使用して
もよい。なかでもトリメチルホスフェートが好ましく用
いられる。

【００２３】かかる燐系酸化防止剤は、ポリカーボネー
ト樹脂１００重量部に対して０．０１〜１重量部、好ま
しくは０．０１５〜０．７重量部、より好ましくは０．
０２〜０．５重量部の範囲で配合される。燐系酸化防止
剤の配合量が、かかる範囲内であると、酸化防止の目的
が達成され、ポリカーボネート樹脂の着色もなく、ま
た、押出成形する際にシルバーが発生し難く、発泡する
おそれも少なくなる。

【００２４】本発明で使用される光拡散剤は、一般にプ
ラスチックの光拡散板に使用されている無機粒子や有機
粒子でよく、例えばカオリンに代表されるシリカアルミ
ナ系粘土鉱物（含水珪酸アルミニウム類）、タルクに代
表されるシリカマグネシウム系粘土鉱物(含水珪酸マグ
ネシウム類)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カ
ルシウム、シリカアルミナ等が挙げられる。また、有機
粒子としては架橋構造を有する架橋ポリアクリレート、
架橋ポリスチレン等が挙げられる。なかでも、炭酸カル
シウム、硫酸バリウム、架橋ポリアクリレートおよび架
橋ポリスチレンがポリカーボネート樹脂への分散が優れ
好ましく、特に、炭酸カルシウムおよび架橋ポリアクリ
レートが好ましく使用される。かかる光拡散剤は、ポリ
カーボネート樹脂１００重量部に対して０．０１〜０．
５重量部、好ましくは０．０３〜０．３重量部、より好
ましくは０．０５〜０．１重量部の範囲で配合される。
光拡散剤の配合量が、かかる範囲内であると、ヘイズが
５％以上となり拡散性能が十分となり、また、全光線透
過率が８５％以上で、且つヘイズが３０％以下になり、
画面が明るくプロジェクションテレビジョンのフレネル
レンズ用基材として好ましい。また、光拡散剤の平均粒
径は５〜５０μｍの範囲が好ましい。かかる範囲内の平
均粒径を有する光拡散剤は、ポリカーボネート樹脂に配
合して溶融押出する際にスクリューの喰い込みが安定で
あり好ましい。

【００２５】本発明において対象とするプロジェクショ
ンテレビジョンは、本体内に投射型プロジェクター等の
光学ユニットがあり、この光学ユニットより出た光は鏡
で反射され、スクリーンの輝度斑を抑えるためのフレネ
ルレンズ、光を整合させ輝度を向上させるためのレンチ
キュラーレンズを通してスクリーン（前面板）に投影さ
れるものである。かかるフレネルレンズは、表面がＵＶ
樹脂加工されたフレネルレンズ部と高光線透過・拡散性
基板からなり、鏡より反射された光を画面全体に均一拡
散し、スクリーン端部等で起こる輝度斑を抑えることが
できる。このプロジェクションテレビジョンのスクリー
ン（前面板）、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ
の概略構成を図１および図２に示す。

【００２６】本発明におけるポリカーボネート樹脂製の
プロジェクションテレビジョンのフレネルレンズ用基材
は、その厚さが０．２〜２．０ｍｍのものが好ましい。
この範囲内の厚みの基材は、強度が十分であり、透視性
能も好ましい。また、表面固有抵抗が１０¹⁵Ω未満の基
材が好ましい。この範囲内の表面固有抵抗を有する基材
は、ホコリや塵埃の付着堆積を十分に防止できる。ま
た、全光線透過率が８５％以上の基材が好ましい。この
範囲内の全光線透過率を有する基材は、スクリーンの輝
度が十分となる。さらに、ヘイズが５〜３０％の基材が
好ましい。この範囲内のヘイズを有する基材は、透過光
線量およびスクリーンの輝度が十分であり好ましい。

【００２７】本発明のポリカーボネート樹脂およびポリ
カーボネート樹脂シートにおいて、本発明の目的および
効果を損なわない範囲で、着色剤、難燃剤、凝集防止剤
を配合してもよい。

【００２８】本発明のポリカーボネート樹脂シートおよ
びプロジェクションテレビジョンのフレネルレンズ用基
材は、通常のシートの製造法、例えばＴダイ押出機によ
る溶融押出法で製造することができる。具体的には、ポ
リカーボネート樹脂に、所定量のドデシルベンゼンスル
ホン酸テトラブチルホスホニウム、脂肪酸モノエステル
若しくはこれに燐系酸化防止剤、光拡散剤、さらには必
要に応じて上記添加剤を、例えばタンブラー、スーパー
ミキサー、ナウタミキサー等を用いてドライブレンドし
た後にそのまま又は一旦ペレット状にしてからＴダイ押
出機により所定の厚さのシートに成形する方法等が採用
される。

【００２９】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお、実施例中の部は重量部であり、また、表面固
有抵抗、塵埃付着性、透明性（全光線透過率、ヘイ
ズ）、色相（成形時の耐熱性）、スクリーン画面の評価
は下記の方法に従った。

【００３０】（１）表面固有抵抗Ｔダイ押出機により成形した直後のシートの表面固有抵
抗およびかかるシートの表面に材質がＥＶＡである粘着
層（厚み１０μｍ）を有するＰＥ製保護フィルム（厚み
５０μｍ）を６０ｇｆ／５０ｍｍの接着力で貼り付け、
１ヶ月常温で放置して、保護フィルムを剥離した後のシ
ートの表面固有抵抗を、東亜電波工業（株）製ＳＭ−８
２１０極超絶縁計により測定した。数値が小さいほど帯
電防止性能が優れていることを示す。

【００３１】（２）塵埃付着性塵埃付着性は、シートを９５０×１３００ｍｍに裁断し
て室内に２ヶ月間吊るし、塵埃が付着する程度を目視で
判断した。○は塵埃の付着が殆ど見られないことを表
し、×はシートに塵埃が付着してシートが曇って見える
ことを表す。

【００３２】（３）透明性（全光線透過率、ヘイズ）透明性は、厚さ１．０ｍｍ、幅６０ｍｍ、長さ８０ｍｍ
の成形板の全光線透過率（Ｔｔ）、ヘイズを日本電色
（株）製ＮＤＨ―Σ８０により測定した。全光線透過率
の数値は大きいほど透明性が高いことを示し、ヘイズの
数値が大きいほど光の拡散が高いことを示す。

【００３３】（４）色相（成形時の耐熱性）色相は、厚さ１．０ｍｍ、幅６０ｍｍ、長さ８０ｍｍの
成形板のｂ値を日本電色（株）製色差計により測定し
た。ｂ値が大きいほど耐熱性が悪いことを示す。

【００３４】（５）スクリーン画面実施例および比較例にて得られたシートをプロジェクシ
ョンテレビジョンのフレネルレンズ用基材として使用し
た。これらのスクリーンを用いたプロジェクションテレ
ビジョンの画面の明るさおよび鮮明度を目視で評価し
た。○は長期間の使用においても、画面が明るく鮮明な
画像であり、×は最初からまたは長期間使用すると、画
面が暗く不鮮明な画像になることを示す。

【００３５】［実施例１〜７および比較例１〜７］ビス
フェノールＡとホスゲンから溶液法により製造された粘
度平均分子量２４，５００のポリカーボネート樹脂１０
０部に、表１記載の帯電防止剤、脂肪酸モノエステル、
燐系酸化防止剤および光拡散剤を表１記載の量配合し、
タンブラーにて混合した後、径１２０ｍｍのＴダイ押出
機で厚み１．０ｍｍ、幅１０００ｍｍのシートを２８０
℃で成形した。得られたシートの特性値を表１に示し
た。なお、表１中の各成分を示す記号は下記の通りであ
る。Ａ−１；ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホス
ホニウムＡ−２；ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムＡ−３；ドデシルベンゼンスルホン酸ジドデシルメチル
アミンＢ−１；ステアリン酸モノグリセライドＢ−２；ラウリル酸モノグリセライドＣ−１；炭酸カルシウムＣ−２；架橋ポリアクリレートＤ−１；トリスノニルフェニルホスファイトＤ−２；トリメチルホスフェート

【００３６】

【表１】

【００３７】

【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂組成物か
らなるポリカーボネート樹脂シートは、保護フィルムを
貼り付け、これを剥離した後においても帯電防止性能を
維持したままであり、表面固有抵抗が１×１０¹⁵Ω未満
で塵埃の付着が殆ど見られず、安価で優れたプロジェク
ションテレビジョンのフレネルレンズ用基材として極め
て有用である。

【図面の簡単な説明】

【図１】プロジェクションテレビジョンのスクリーン部
の概略斜視図である。

【図２】プロジェクションテレビジョンのスクリーン部
の概略断面図である。

【符号の説明】

１．プロジェクションテレビジョンのスクリーン（前面
板）２．レンチキュラーレンズ３．フレネルレンズ４．フレネルレンズ用基材（拡散シート）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号ＦＩＧ０３Ｂ 21/00 Ｇ０３Ｂ 21/00

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ポリカーボネート樹脂１００重量部、ド
デシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム
０．５〜５重量部および下記式（１）【化１】（但し、式中、Ｒ¹は炭素数１０〜２０のアルキル基で
ある。）で示される脂肪酸モノエステル０．１〜１重量
部からなる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項２】ポリカーボネート樹脂１００重量部、ド
デシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム
０．５〜５重量部および上記式（１）で示される脂肪酸
モノエステル０．１〜１重量部からなるポリカーボネー
ト樹脂シートであって、該シートの少なくとも片面に保
護フィルムを積層したポリカーボネート樹脂シート積層
体。
【請求項３】ポリカーボネート樹脂１００重量部、ド
デシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム
０．５〜５重量部、上記式（１）で示される脂肪酸モノ
エステル０．１〜１重量部、燐系酸化防止剤０．０１〜
１重量部および光拡散剤０．０１〜０．５重量部からな
るポリカーボネート樹脂シートであって、該シートの少
なくとも片面に保護フィルムを積層したポリカーボネー
ト樹脂シート積層体。
【請求項４】光拡散剤が、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、架橋ポリアクリレートおよび架橋ポリスチレンか
らなる群より選ばれた少なくとも１種の光拡散剤である
請求項３記載のポリカーボネート樹脂シート積層体。
【請求項５】請求項３記載のポリカーボネート樹脂シ
ートであって、厚み０．２〜２．０ｍｍ、表面固有抵抗
が１０¹⁵Ω未満、全光線透過率が８５％以上、且つヘイ
ズが５〜３０％であるプロジェクションテレビジョンの
フレネルレンズ用基材。