JP2016108389A - 光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】LED光効率向上を目的とした光学特性の改良、具体的には光拡散性および光効率に優れた樹脂組成物およびその成形体を提供する。【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)光拡散剤(B成分)0.05〜10重量部および(C)多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物(C成分)0.5〜5重量部を含有し、かつC成分における多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が4〜8の範囲にあることを特徴とする光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは光拡散性、熱安定性に優れ、LEDデバイスとした時の光効率に優れた、照明用のカバー、ディスプレイ用拡散板、ガラス代替用途などに好適に用いることができる光拡散性樹脂組成物に関する。
従来から各種照明カバー、ディスプレイ、自動車メーター、各種銘板などの光拡散性が要求される用途に、芳香族ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂といった透明性樹脂に有機物や無機物の光拡散剤を分散させた材料が広く用いられている。この様な透明性樹脂の中で特に芳香族ポリカーボネート樹脂は機械的特性、耐熱性、耐候性に優れている上、高い光線透過率を備えた樹脂として幅広く使用されている。また光拡散剤としては、架橋構造を有する有機系粒子、さらに詳しくは架橋アクリル系粒子、架橋シリコーン系粒子や架橋スチレン系粒子などが広く使用されている。さらに炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、弗化カルシウムなどの無機系粒子あるいはガラス短繊維などの無機系繊維も使用されている。芳香族ポリカーボネート樹脂に光拡散剤を分散させた材料は、光源のLED化に伴い、その良好な耐熱性と機械特性から需要が伸びてきているが、LED光効率向上を目的とした光学特性の改良について、更なる改善が求められている。光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物に安定剤を配合し、樹脂分解由来の色相改善やそれに付随する光線透過率の向上を達成させることは一般的に公知である(例えば特許文献1〜2)。一方で、特殊なポリカーボネート共重合体を用いて光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物の光学特性を改良する方法も開示されている。特許文献3〜4では、特殊なポリカーボネートを用いることで、成形時の流動性を改良し、輝度および色調に優れる光拡散性ポリカーボネート系樹脂組成物を提供することが報告されている。しかしながら、これらは溶融流動性を改良することで樹脂分解を抑制したに過ぎず、特殊なポリカーボネートによって光学特性そのものを改良したものではない。また光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物としては、光拡散性が充分ではなく、更なる改良が必要である。特許文献5では、ポリカーボネート樹脂とポリオルガノシロキサンのブロックを含む芳香族ポリカーボネート樹脂とビーズ状架橋アクリル樹脂を用いて、全光線透過率とヘーズ(全光線透過率に対する拡散光線透過率の割合)の高い光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することが報告されている。しかしながら光効率については記載がなく、また光拡散性が充分ではなく改良が必要である。
一方、多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物は、離型剤としてポリカーボネート樹脂に用いる事は公知である(非特許文献1参照)。また、特許文献6〜8では、多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物とポリカーボネート樹脂からなる帯電防止性ポリカーボネート樹脂組成物が報告されている。しかしながら、光拡散性については述べられていない。
ポリカーボネート樹脂ハンドブック(日刊工業新聞社)P155〜P156
本発明の目的はLED光効率向上を目的とした光学特性の改良、具体的には光拡散性および光効率に優れた樹脂組成物およびその成形体を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物が、光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物の光効率を向上させる事を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば(1)(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)光拡散剤(B成分)0.05〜10重量部および(C)多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物(C成分)0.5〜5重量部を含有し、かつC成分における多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が4〜8の範囲にあることを特徴とする光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
本発明のより好適な態様の一つは(2)B成分が高分子微粒子である上記構成(1)に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(3)C成分における多価アルコールが、ジグリセリンであることを特徴とする上記構成(1)または(2)に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(4)A成分100重量部に対し、(D)リン系酸化防止剤(D成分)を0.005〜1重量部含有することを特徴とする上記構成(1)〜(3)のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(5)A成分100重量部に対し、(E)グリシジル基を含むエポキシ重合体(E成分)を0.003〜0.5重量部含有することを特徴とする上記構成(1)〜(4)のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(6)上記構成(1)〜(5)のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体である。
本発明のより好適な態様の一つは(7)成形体が照明器具または表示器具である上記構成(6)に記載の成形体である。
本発明のより好適な態様の一つは(2)B成分が高分子微粒子である上記構成(1)に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(3)C成分における多価アルコールが、ジグリセリンであることを特徴とする上記構成(1)または(2)に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(4)A成分100重量部に対し、(D)リン系酸化防止剤(D成分)を0.005〜1重量部含有することを特徴とする上記構成(1)〜(3)のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(5)A成分100重量部に対し、(E)グリシジル基を含むエポキシ重合体(E成分)を0.003〜0.5重量部含有することを特徴とする上記構成(1)〜(4)のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(6)上記構成(1)〜(5)のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体である。
本発明のより好適な態様の一つは(7)成形体が照明器具または表示器具である上記構成(6)に記載の成形体である。
以下本発明について具体的に説明する。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。ビスフェノール類としては、例えば4,4’ −ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、および下記一般式〔1〕で表されるポリオルガノシロキサンブロックを含むビスフェノール類等が挙げられる。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、ビスフェノール類でも脂肪族ジオール類でも良い。ビスフェノール類としては、例えば4,4’ −ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、および下記一般式〔1〕で表されるポリオルガノシロキサンブロックを含むビスフェノール類等が挙げられる。
(上記一般式〔1〕において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R7及びR8は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、a及びbは夫々独立に1〜4の自然数でであり、cは自然数であり、dは0又は自然数であり、c+dは150以下の自然数である。Wは炭素数2〜8の二価脂肪族基である。)
脂肪族ジオール類としては、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン、1,14−テトラデカンジオール、オクタエチレングリコール、1,16−ヘキサデカンジオール、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}メタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}エタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−1−フェニルエタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}プロパン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ビフェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル}プロパン、2,2−ビス{3−t−ブチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ブタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−4−メチルペンタン、2,2−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}オクタン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}デカン、2,2−ビス{3−ブロモ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン、1,1−ビス{3−シクロヘキシル−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}ジフェニルメタン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル}フルオレン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,1−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロペンタン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ジフェニルエ−テル、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、1,3−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロピル]ベンゼン、1,4−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}シクロヘキサン、4,8−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,3−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−5,7−ジメチルアダマンタン、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(イソソルビド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(イソイディッド)等が挙げられる。
これらの中で芳香族ビスフェノール類が好ましく、なかでも1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、および上記一般式〔1〕で表されるポリオルガノシロキサンブロックを含むビスフェノール類等がより好ましく、殊に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、および上記一般式〔1〕で表されるポリオルガノシロキサンブロックを含むビスフェノール類等が好ましい。中でも強度に優れ、良好な耐久性を有する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、分岐化剤を上記のジヒドロキシ化合物と併用して分岐化ポリカーボネート樹脂としてもよい。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
これらのポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。その製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明において、重合反応においては末端停止剤を使用する。末端停止剤は分子量調節のために使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる末端停止剤としては、下記一般式〔2〕〜〔4〕で表される単官能フェノール類を示すことができる。
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アルキルフェニル基(アルキル部分の炭素数は1〜9)、フェニル基、またはフェニルアルキル基(アルキル部分の炭素数1〜9)であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である]。
[式中、Yは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
上記一般式〔2〕で表される単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、イソプロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クレゾール、p−クミルフェノール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、およびイソオクチルフェノールなどが挙げられる。また、上記一般式〔3〕〜〔4〕で表される単官能フェノール類は、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類であり、これらを用いてポリカーボネート樹脂の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、樹脂の吸水率を低くする効果があり好ましく使用される。上記一般式〔3〕の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。また、上記一般式〔4〕の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。これら単官能フェノール類の内、上記一般式〔2〕で表される単官能フェノール類が好ましく、より好ましくはアルキル置換もしくはフェニルアルキル置換のフェノール類であり、特に好ましくはp−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールまたは2−フェニルフェノールである。これらの単官能フェノール類の末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
本発明のA成分として用いられるポリカーボネート樹脂は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、12,000〜50,000の範囲が好ましく、15,000〜30,000がより好ましく、15,000〜25,000の範囲が最も好ましい。分子量が50,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が12,000未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明のA成分として使用されるポリカーボネート樹脂は、樹脂中の全Cl(塩素)量が好ましくは0〜200ppm、より好ましくは0〜150ppmである。ポリカーボネート樹脂中の全Cl量が200ppmを越えると、色相および熱安定性が悪くなる場合があるので好ましくない。
(B成分:光拡散剤)
本発明のB成分として使用される光拡散剤は、高分子微粒子に代表される有機系微粒子、並びに無機系微粒子の何れであってもよい。高分子微粒子としては、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとを重合して得られる架橋粒子が代表的に例示される。さらにかかるモノマー以外の他の共重合可能なモノマーを使用することもできる。
本発明のB成分として使用される光拡散剤は、高分子微粒子に代表される有機系微粒子、並びに無機系微粒子の何れであってもよい。高分子微粒子としては、非架橋性モノマーと架橋性モノマーとを重合して得られる架橋粒子が代表的に例示される。さらにかかるモノマー以外の他の共重合可能なモノマーを使用することもできる。
そのなかでも、高分子微粒子が好ましく、特に架橋粒子が好適に使用できる。かかる架橋粒子において、非架橋性モノマーとして使用されるモノマーとして、アクリル系モノマー、スチレン系モノマー、アクリロニトリル系モノマー等の非架橋性ビニル系モノマー及びオレフィン系モノマー等を挙げることができる。アクリル系モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2− エチルヘキシルメタクリレート、およびフェニルメタクリレート等を単独でまたは混合して使用することが可能である。このなかでも特にメチルメタクリレートが好ましい。また、スチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン(ビニルトルエン)、およびエチルスチレン等のアルキルスチレン、並びにブロモ化スチレンの如きハロゲン化スチレンを使用することができ、特にスチレンが好ましい。アクリロニトリル系モノマーとしては、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルを使用することができる。また、オレフィン系モノマーとしては、エチレンおよび各種ノルボルネン型化合物等を使用することができる。さらに、他の共重合可能な他のモノマーとして、グリシジルメタクリレート、N−メチルマレイミド、および無水マレイン酸等を例示することができる。本発明の有機架橋粒子は結果としてN−メチルグルタルイミドの如き単位を有することもできる。一方、かかる非架橋性ビニル系モノマーに対する架橋性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、およびN−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。また、他の架橋粒子としては、ポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子を挙げることができる。
本発明のB成分として使用される光拡散剤の平均粒径は0.01〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1〜30μm、さらに好ましく2〜30μm、最も好ましくは2〜10μmである。平均粒径が0.01μm未満あるいは50μmを超えると光拡散性が不足する場合がある。かかる平均粒径は、レーザー回折・散乱法で求められる粒度の積算分布の50%値(D50)で表されるものである。粒子径の分布は単一であっても複数であってもよい。即ち平均粒径の異なる2種以上の光拡散剤を組み合わせることが可能である。しかしながらより好ましい光拡散剤は、その粒径分布の狭いものである。平均粒径の前後2μmの範囲に、粒子の70重量%以上が含有される分布を有するものがより好ましい。光拡散剤の形状は、光拡散性の観点から球状に近いものが好ましく、真球状に近い形態であるほどより好ましい。かかる球状には楕円球を含む。
本発明のB成分として使用される光拡散剤の屈折率は、通常1.30〜1.80の範囲が好ましく、より好ましくは1.33〜1.70、さらに好ましくは1.35〜1.65の範囲である。これらは樹脂組成物に配合した状態において十分な光拡散機能を発揮する。
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.05〜10重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量である。B成分の含有量が0.05重量部未満である場合十分な光拡散性が得られないため光効率に優れず、10重量部より多くなると、全光線透過率および光効率が低下する。
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.05〜10重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量である。B成分の含有量が0.05重量部未満である場合十分な光拡散性が得られないため光効率に優れず、10重量部より多くなると、全光線透過率および光効率が低下する。
<C成分:多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物>
本発明のC成分として使用される多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物は、光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物に配合することで光効率を向上させる。その機構については明らかではないが、多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物を配合することで、光拡散剤の分散性が向上し、結果として光効率向上に寄与したものと推定される。C成分として使用される多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物の多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)は4〜8の範囲にあり、4〜6の範囲が好ましく、4〜5の範囲がより好ましい。モル比が4未満では光効率の向上効果が小さいうえに帯電防止効果も発揮されず、8を超えると成形品外観および熱安定性が悪化する。
本発明のC成分として使用される多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物は、光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物に配合することで光効率を向上させる。その機構については明らかではないが、多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物を配合することで、光拡散剤の分散性が向上し、結果として光効率向上に寄与したものと推定される。C成分として使用される多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物の多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)は4〜8の範囲にあり、4〜6の範囲が好ましく、4〜5の範囲がより好ましい。モル比が4未満では光効率の向上効果が小さいうえに帯電防止効果も発揮されず、8を超えると成形品外観および熱安定性が悪化する。
多価アルコール成分としてはジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ペンタエリストリール、イノシトール、リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース、セドヘプツロース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオース等があげられ、その中でもジグリセリンが好適に使用される。
脂肪酸としては、炭素数10〜18の脂肪酸が好適に使用される。炭素数10未満では帯電防止性能の持続性が劣る場合があり、また炭素数が18を超えると帯電防止性が劣る場合がある。炭素数10〜18の脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸が挙げられる。
多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物としての具体例としては、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノステアレート、トリグリセリンモノラウレート、トリグリセリンモノミステート、トリグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンモノラウレート、テトラグリセリンモノミリステート、テトラグリセリンモノステアレート、ペンタグリセリンモノラウレート、ペンタグリセリンモノミリステート、ペンタグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノミリステート、ヘキサグリセリンモノステアレート、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステルなどが挙げられ、好適にはジグリセリンモノラウレートが用いられる。
C成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.5〜5重量部であり、好ましくは0.7〜3重量部、より好ましくは1〜2重量部である。C成分の含有量が0.5重量部未満では帯電防止性および光効率が充分でなく、また5重量部を超えると外観および熱安定性が悪化する。
<D成分:リン系酸化防止剤>
本発明のD成分として使用されるリン系酸化防止剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる。リン系酸化防止剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
本発明のD成分として使用されるリン系酸化防止剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる。リン系酸化防止剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。更に他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。上記リン系酸化防止剤は、1種のみならず2種以上を混合して用いることができる。上記リン系安定剤の中でもトリメチルホスフェートに代表されるアルキルホスフェート化合物が配合されることが好ましい。またかかるアルキルホスフェート化合物と、ホスファイト化合物および/またはホスホナイト化合物との併用も好ましい態様である。
D成分の含有量は、A成分100重量部に対して、0.005〜1重量部であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部、特に好ましくは0.01〜0.3重量である。D成分の含有量が0.005重量部未満では良好な安定化効果を得られない場合があり、1重量を超えると物性低下を起こす場合がある。
<E成分:グリシジル基を含むエポキシ重合体>
本発明のE成分として使用されるグリシジル基を含むエポキシ重合体は、グリシジルメタクリレートを共重合体に含むエポキシ重合体であることが好ましく、共重合体のもう一方の成分にはポリスチレンが好適に用いられる。グリシジル基を含有しないエポキシ重合体を用いた場合はA成分との相溶性が悪く透明性に劣る場合がある。
本発明のE成分として使用されるグリシジル基を含むエポキシ重合体は、グリシジルメタクリレートを共重合体に含むエポキシ重合体であることが好ましく、共重合体のもう一方の成分にはポリスチレンが好適に用いられる。グリシジル基を含有しないエポキシ重合体を用いた場合はA成分との相溶性が悪く透明性に劣る場合がある。
グリシジル基を含む重合体のモノマー成分としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセン、エポキシスクシン酸などが挙げられ、重合体としては末端エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、側鎖エポキシ変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。その中でも、ポリグリシジルメタクリレート−ポリスチレン共重合体が好ましく用いられる。
E成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.003〜0.5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1重量部、さらに好ましくは0.03〜0.05重量部である。E成分の含有量が0.003未満ではアウトガスの発生が多くなる場合があり、0.5重量を超えると物性低下を起こす場合がある。
(その他の添加剤)
本発明の樹脂組成物の難燃性、酸化防止性、光安定性(紫外線安定性)の改良のために、これらの改良に使用されている添加剤が有利に使用される。以下これら添加剤について具体的に説明する。
本発明の樹脂組成物の難燃性、酸化防止性、光安定性(紫外線安定性)の改良のために、これらの改良に使用されている添加剤が有利に使用される。以下これら添加剤について具体的に説明する。
(I)難燃剤
本発明の樹脂組成物には、難燃性ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が配合されてよい。かかる化合物の配合は難燃性の向上をもたらすが、それ以外にも各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。かかる難燃剤としては、(i)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、有機ホウ酸金属塩系難燃剤、および有機錫酸金属塩系難燃剤など)、(ii)有機リン系難燃剤(例えば、有機基含有のモノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤、(iv)フィブリル化PTFEが挙げられ、その中でも有機金属塩系難燃剤、有機リン系難燃剤が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、難燃性ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が配合されてよい。かかる化合物の配合は難燃性の向上をもたらすが、それ以外にも各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。かかる難燃剤としては、(i)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、有機ホウ酸金属塩系難燃剤、および有機錫酸金属塩系難燃剤など)、(ii)有機リン系難燃剤(例えば、有機基含有のモノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤、(iv)フィブリル化PTFEが挙げられ、その中でも有機金属塩系難燃剤、有機リン系難燃剤が好ましい。
(i)有機金属塩系難燃剤
有機金属塩化合物は炭素原子数1〜50、好ましくは1〜40の有機酸のアルカリ(土類)金属塩、好ましくは有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることが好ましい。この有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩には、炭素原子数1〜10、好ましくは2〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩の如きフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに炭素原子数7〜50、好ましくは7〜40の芳香族スルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩が含まれる。金属塩を構成するアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。より好適にはアルカリ金属である。かかるアルカリ金属の中でも、透明性の要求がより高い場合にはイオン半径のより大きいルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、リチウムおよびナトリウムなどのより小さいイオン半径の金属は逆に難燃性の点で不利な場合がある。これらを勘案してスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
有機金属塩化合物は炭素原子数1〜50、好ましくは1〜40の有機酸のアルカリ(土類)金属塩、好ましくは有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることが好ましい。この有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩には、炭素原子数1〜10、好ましくは2〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩の如きフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに炭素原子数7〜50、好ましくは7〜40の芳香族スルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩が含まれる。金属塩を構成するアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。より好適にはアルカリ金属である。かかるアルカリ金属の中でも、透明性の要求がより高い場合にはイオン半径のより大きいルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、リチウムおよびナトリウムなどのより小さいイオン半径の金属は逆に難燃性の点で不利な場合がある。これらを勘案してスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。ここでパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18の範囲が好ましく、1〜10の範囲がより好ましく、更に好ましくは1〜8の範囲である。これらの中で特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。アルカリ金属からなるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩中には、通常少なからず弗化物イオン(F−)が混入する。かかる弗化物イオンの存在は難燃性を低下させる要因となり得るので、できる限り低減されることが好ましい。かかる弗化物イオンの割合はイオンクロマトグラフィー法により測定できる。弗化物イオンの含有量は、100ppm以下が好ましく、40ppm以下が更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。また製造効率的に0.2ppm以上であることが好適である。かかる弗化物イオン量の低減されたパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、製造方法は公知の製造方法を用い、かつ含フッ素有機金属塩を製造する際の原料中に含有される弗化物イオンの量を低減する方法、反応により得られた弗化水素などを反応時に発生するガスや加熱によって除去する方法、並びに含フッ素有機金属塩を製造に再結晶および再沈殿等の精製方法を用いて弗化物イオンの量を低減する方法などによって製造することができる。特に有機金属塩系難燃剤は比較的水に溶けやすいこことから、イオン交換水、特に電気抵抗値が18MΩ・cm以上、すなわち電気伝導度が約0.55μS/cm以下を満足する水を用い、かつ常温よりも高い温度で溶解させて洗浄を行い、その後冷却させて再結晶化させる工程により製造することが好ましい。芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の具体例としては、例えばジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド−4,4’−ジスルホン酸ジカリウム、5−スルホイソフタル酸カリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム、1−メトキシナフタレン−4−スルホン酸カルシウム、4−ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4−フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6−ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2−フルオロ−6−ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p−ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸カルシウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3,4’−ジスルホン酸ジカリウム、α,α,α−トリフルオロアセトフェノン−4−スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン−2,5−ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホキサイド−4−スルホン酸カリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、およびアントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。これら芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩では、特にカリウム塩が好適である。これらの芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の中でも、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、およびジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウムが好適であり、特にこれらの混合物(前者と後者の重量比が15/85〜30/70)が好適である。
スルホン酸アルカリ(土類)金属塩以外の有機金属塩としては、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩および芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩などが好適に例示される。硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、特に一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、およびステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩が挙げられる。芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩としては、例えばサッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN−(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。有機金属塩系難燃剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部、特に好ましくは0.03〜0.15重量部である。
(ii)有機リン系難燃剤
有機リン系難燃剤としては、アリールホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は概して色相に優れるためである。またホスフェート化合物は可塑化効果があるため、成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できる。有機リン系難燃剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部、さらに好ましくは2〜7重量部である。
有機リン系難燃剤としては、アリールホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は概して色相に優れるためである。またホスフェート化合物は可塑化効果があるため、成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できる。有機リン系難燃剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部、さらに好ましくは2〜7重量部である。
(iii)シリコーン系難燃剤
シリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、燃焼時の化学反応によって難燃性を向上させるものである。該化合物としては従来芳香族ポリカーボート樹脂の難燃剤として提案された各種の化合物を使用することができる。シリコーン化合物はその燃焼時にそれ自体が結合してまたは樹脂に由来する成分と結合してストラクチャーを形成することにより、または該ストラクチャー形成時の還元反応により、ポリカーボネート樹脂に難燃効果を付与するものと考えられている。したがってかかる反応における活性の高い基を含んでいることが好ましく、より具体的にはアルコキシ基およびハイドロジェン(即ちSi−H基)から選択された少なくとも1種の基を所定量含んでいることが好ましい。かかる基(アルコキシ基、Si−H基)の含有割合としては、0.1〜1.2mol/100gの範囲が好ましく、0.12〜1mol/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6mol/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シリコーン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。尚、アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。
シリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、燃焼時の化学反応によって難燃性を向上させるものである。該化合物としては従来芳香族ポリカーボート樹脂の難燃剤として提案された各種の化合物を使用することができる。シリコーン化合物はその燃焼時にそれ自体が結合してまたは樹脂に由来する成分と結合してストラクチャーを形成することにより、または該ストラクチャー形成時の還元反応により、ポリカーボネート樹脂に難燃効果を付与するものと考えられている。したがってかかる反応における活性の高い基を含んでいることが好ましく、より具体的にはアルコキシ基およびハイドロジェン(即ちSi−H基)から選択された少なくとも1種の基を所定量含んでいることが好ましい。かかる基(アルコキシ基、Si−H基)の含有割合としては、0.1〜1.2mol/100gの範囲が好ましく、0.12〜1mol/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6mol/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シリコーン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。尚、アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。
一般的にシリコーン化合物の構造は、以下に示す4種類のシロキサン単位を任意に組み合わせることによって構成される。すなわち、M単位:(CH3)3SiO1/2、H(CH3)2SiO1/2、H2(CH3)SiO1/2、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2、(CH3)2(C6H5)SiO1/2、(CH3)(C6H5)(CH2=CH)SiO1/2等の1官能性シロキサン単位、D単位:(CH3)2SiO、H(CH3)SiO、H2SiO、H(C6H5)SiO、(CH3)(CH2=CH)SiO、(C6H5)2SiO等の2官能性シロキサン単位、T単位:(CH3)SiO3/2、(C3H7)SiO3/2、HSiO3/2、(CH2=CH)SiO3/2、(C6H5)SiO3/2等の3官能性シロキサン単位、Q単位:SiO2で示される4官能性シロキサン単位である。シリコーン系難燃剤に使用されるシリコーン化合物の構造は、具体的には、示性式としてDn、Tp、MmDn、MmTp、MmQq、MmDnTp、MmDnQq、MmTpQq、MmDnTpQq、DnTp、DnQq、DnTpQqが挙げられる。この中で好ましいシリコーン化合物の構造は、MmDn、MmTp、MmDnTp、MmDnQqであり、さらに好ましい構造は、MmDnまたはMmDnTpである。ここで、前記示性式中の係数m、n、p、qは各シロキサン単位の重合度を表す1以上の整数であり、各示性式における係数の合計がシリコーン化合物の平均重合度となる。この平均重合度は好ましくは3〜150の範囲、より好ましくは3〜80の範囲、更に好ましくは3〜60の範囲、特に好ましくは4〜40の範囲である。かかる好適な範囲であるほど難燃性において優れるようになる。更に後述するように芳香族基を所定量含むシリコーン化合物においては透明性や色相にも優れる。その結果良好な反射光が得られる。またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、その係数の付いたシロキサン単位は、結合する水素原子や有機残基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。
シリコーン化合物は、直鎖状であっても分岐構造を持つものであってもよい。またシリコン原子に結合する有機残基は炭素数1〜30、より好ましくは1〜20の有機残基であることが好ましい。かかる有機残基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、およびデシル基などのアルキル基、シクロヘキシル基の如きシクロアルキル基、フェニル基の如きアリール基、並びにトリル基の如きアラルキル基を挙げることがでる。さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基またはアリール基である。アルキル基としては、特にはメチル基、エチル基、およびプロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。さらにシリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物はアリール基を含有することが好ましい。一方、二酸化チタン顔料の有機表面処理剤としてのシラン化合物およびシロキサン化合物は、アリール基を含有しない方が好ましい効果が得られる点で、シリコーン系難燃剤とはその好適な態様において明確に区別される。シリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、前記Si−H基およびアルコキシ基以外にも反応基を含有していてもよく、かかる反応基としては例えば、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基、およびメタクリロキシ基などが例示される。
シリコーン系難燃剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。
シリコーン系難燃剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。
(iv)フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(フィブリル化PTFE)
フィブリル化PTFEは、フィブリル化PTFE単独であっても、混合形態のフィブリル化PTFEすなわちフィブリル化PTFE粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体であってもよい。フィブリル化PTFEは極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その数平均分子量は、150万〜数千万の範囲である。かかる下限はより好ましくは300万である。かかる数平均分子量は、特開平6−145520号公報に開示されているとおり、380℃でのポリテトラフルオロエチレンの溶融粘度に基づき算出される。即ち、B成分のフィブリル化PTFEは、かかる公報に記載された方法で測定される380℃における溶融粘度が107〜1013poiseの範囲であり、好ましくは108〜1012poiseの範囲である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル化PTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。また、特開平6−145520号公報に開示されているとおり、かかるフィブリル化PTFEを芯とし、低分子量のポリテトラフルオロエチレンを殻とした構造を有するものも好ましく利用される。かかるフィブリル化PTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン化学工業(株)のポリフロンMPA FA500、F−201Lなどを挙げることができる。混合形態のフィブリル化PTFEとしては、(1)フィブリル化PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)フィブリル化PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)フィブリル化PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)フィブリル化PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号公報などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のフィブリル化PTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3000」(商品名)「メタブレン A3700」(商品名)、「メタブレン A3800」(商品名)で代表されるメタブレンAシリーズ、Shine polymer社のSN3300B7(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLENDEX B449」(商品名)などが例示される。
フィブリル化PTFEは、フィブリル化PTFE単独であっても、混合形態のフィブリル化PTFEすなわちフィブリル化PTFE粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体であってもよい。フィブリル化PTFEは極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その数平均分子量は、150万〜数千万の範囲である。かかる下限はより好ましくは300万である。かかる数平均分子量は、特開平6−145520号公報に開示されているとおり、380℃でのポリテトラフルオロエチレンの溶融粘度に基づき算出される。即ち、B成分のフィブリル化PTFEは、かかる公報に記載された方法で測定される380℃における溶融粘度が107〜1013poiseの範囲であり、好ましくは108〜1012poiseの範囲である。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル化PTFEは樹脂中での分散性を向上させ、更に良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。また、特開平6−145520号公報に開示されているとおり、かかるフィブリル化PTFEを芯とし、低分子量のポリテトラフルオロエチレンを殻とした構造を有するものも好ましく利用される。かかるフィブリル化PTFEの市販品としては例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)のテフロン(登録商標)6J、ダイキン化学工業(株)のポリフロンMPA FA500、F−201Lなどを挙げることができる。混合形態のフィブリル化PTFEとしては、(1)フィブリル化PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60−258263号公報、特開昭63−154744号公報などに記載された方法)、(2)フィブリル化PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4−272957号公報に記載された方法)、(3)フィブリル化PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06−220210号公報、特開平08−188653号公報などに記載された方法)、(4)フィブリル化PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9−95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、更に該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11−29679号公報などに記載された方法)により得られたものが使用できる。これらの混合形態のフィブリル化PTFEの市販品としては、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3000」(商品名)「メタブレン A3700」(商品名)、「メタブレン A3800」(商品名)で代表されるメタブレンAシリーズ、Shine polymer社のSN3300B7(商品名)、およびGEスペシャリティーケミカルズ社製 「BLENDEX B449」(商品名)などが例示される。
混合形態におけるフィブリル化PTFEの割合としては、かかる混合物100重量%中、フィブリル化PTFEが1重量%〜95重量%であることが好ましく、10重量%〜90重量%であるのがより好ましく、20重量%〜80重量%が最も好ましい。混合形態におけるフィブリル化PTFEの割合がかかる範囲にある場合は、フィブリル化PTFEの良好な分散性を達成することができる。
フィブリル化PTFEの配合量は、A成分100重量部に対して、好ましくは0.001〜1重量部であり、0.01〜0.7重量部がより好ましく、0.1〜0.7重量部がさらに好ましい。
フィブリル化PTFEの配合量は、A成分100重量部に対して、好ましくは0.001〜1重量部であり、0.01〜0.7重量部がより好ましく、0.1〜0.7重量部がさらに好ましい。
(II)ヒンダードフェノール系安定剤
本発明の樹脂組成物には、更にヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかる配合は例えば成形加工時の色相悪化や長期間の使用における色相の悪化などを抑制する効果が発揮される。ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。ヒンダードフェノール系安定剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.0001〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部である。
本発明の樹脂組成物には、更にヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかる配合は例えば成形加工時の色相悪化や長期間の使用における色相の悪化などを抑制する効果が発揮される。ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。ヒンダードフェノール系安定剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.0001〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、さらに好ましくは0.005〜0.3重量部である。
(III)前記以外の熱安定剤
本発明の樹脂組成物には、前記リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤が好適に例示される。かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば前記社製のIrganoxHP−2921が好適に例示される。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分100重量部に対して好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、A成分100重量部に対して好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。
本発明の樹脂組成物には、前記リン系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤が好適に例示される。かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば前記社製のIrganoxHP−2921が好適に例示される。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分100重量部に対して好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、A成分100重量部に対して好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.08重量部である。
(IV)紫外線吸収剤
本発明の樹脂組成物においては、耐光性を付与することを目的として紫外線吸収剤の配合も可能である。紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−p,p’−ジフェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。またシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。前記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。前記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。具体的には例えばケミプロ化成(株)「ケミソーブ79」などが挙げられる。前記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。紫外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部、特に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
本発明の樹脂組成物においては、耐光性を付与することを目的として紫外線吸収剤の配合も可能である。紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。ベンゾトリアゾール系では、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ル、並びに2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどが例示される。さらに2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示化合物のフェニル基が2,4−ジメチルフェニル基となった化合物が例示される。環状イミノエステル系では、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、および2,2’−p,p’−ジフェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などが例示される。またシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。さらに上記紫外線吸収剤は、ラジカル重合が可能な単量体化合物の構造をとることにより、かかる紫外線吸収性単量体および/または光安定性単量体と、アルキル(メタ)アクリレートなどの単量体とを共重合したポリマー型の紫外線吸収剤であってもよい。前記紫外線吸収性単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルのエステル置換基中にベンゾトリアゾール骨格、ベンゾフェノン骨格、トリアジン骨格、環状イミノエステル骨格、およびシアノアクリレート骨格を含有する化合物が好適に例示される。前記の中でも紫外線吸収能の点においてはベンゾトリアゾール系およびヒドロキシフェニルトリアジン系が好ましく、耐熱性や色相の点では、環状イミノエステル系およびシアノアクリレート系が好ましい。具体的には例えばケミプロ化成(株)「ケミソーブ79」などが挙げられる。前記紫外線吸収剤は単独であるいは2種以上の混合物で用いてもよい。紫外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部、特に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
(V)蛍光増白剤
本発明の樹脂組成物において蛍光増白剤は、樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限はなく、例えばスチルベン系、ベンズイミダゾール系、ベンズオキサゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。具体的には例えばCI Fluorescent Brightener 219:1や、イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1やハッコールケミカル(株)製「ハッコールPSR」、などを挙げることができる。ここで蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。蛍光増白剤の含有量はA成分100重量部に対し、0.001〜0.1重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜0.05重量部である。0.1重量部を超えても該組成物の色調の改良効果は小さい。
本発明の樹脂組成物において蛍光増白剤は、樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限はなく、例えばスチルベン系、ベンズイミダゾール系、ベンズオキサゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。具体的には例えばCI Fluorescent Brightener 219:1や、イーストマンケミカル社製EASTOBRITE OB−1やハッコールケミカル(株)製「ハッコールPSR」、などを挙げることができる。ここで蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。蛍光増白剤の含有量はA成分100重量部に対し、0.001〜0.1重量部が好ましく、より好ましくは0.001〜0.05重量部である。0.1重量部を超えても該組成物の色調の改良効果は小さい。
(VI)その他
上記以外にも本発明の樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を少割合配合することができる。これら添加物は本発明の目的を損なわない限り、通常の配合量である。かかる添加剤としては、強化充填剤、摺動剤(例えばPTFE粒子)、蛍光染料、無機系蛍光体、E成分を除く帯電防止剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤、C成分を除く離型剤、流動改質剤、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、並びにフォトクロミック剤などが挙げられる。
上記以外にも本発明の樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を少割合配合することができる。これら添加物は本発明の目的を損なわない限り、通常の配合量である。かかる添加剤としては、強化充填剤、摺動剤(例えばPTFE粒子)、蛍光染料、無機系蛍光体、E成分を除く帯電防止剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤、C成分を除く離型剤、流動改質剤、ラジカル発生剤、赤外線吸収剤(熱線吸収剤)、並びにフォトクロミック剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、単軸押出機、二軸押出機の如き押出機を用いて、溶融混練することによりペレット化することができる。かかるペレットを作製するにあたり、上記各種難燃剤、添加剤を配合することもできる。本発明の樹脂組成物は、通常前記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。更にペレットを経由することなく、押出機で溶融混練された樹脂を直接シート、フィルム、異型押出成形品、ダイレクトブロー成形品、および射出成形品にすることも可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また本発明の樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、およびフィルムなどの形で利用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
<樹脂組成物の製造について>
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分、C成分および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分、C成分および任意に他の成分をそれぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行い、その後ベント式二軸ルーダーに代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
<成形品の製造>
本発明の樹脂組成物は通常かかるペレットを射出成形して成形品を得ることができる。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造することも可能である。また射出成形においても、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形、射出プレス成形、二色成形、サンドイッチ成形、インモールドコーティング成形、インサート成形、発泡成形(超臨界流体を利用するものを含む)、急速加熱冷却金型成形、断熱金型成形および金型内再溶融成形、並びにこれらの組合せからなる成形法等を使用することができる。さらに樹脂組成物から形成された成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、加飾塗装、ハードコート、撥水・撥油コート、親水コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、電磁波吸収コート、発熱コート、帯電防止コート、制電コート、導電コート、並びにメタライジング(メッキ、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、溶射など)などの各種の表面処理を行うことができる。殊に透明シートに透明導電層が被覆されたものは好適である。
本発明の樹脂組成物は通常かかるペレットを射出成形して成形品を得ることができる。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造することも可能である。また射出成形においても、通常の成形方法だけでなくガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形、射出プレス成形、二色成形、サンドイッチ成形、インモールドコーティング成形、インサート成形、発泡成形(超臨界流体を利用するものを含む)、急速加熱冷却金型成形、断熱金型成形および金型内再溶融成形、並びにこれらの組合せからなる成形法等を使用することができる。さらに樹脂組成物から形成された成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、加飾塗装、ハードコート、撥水・撥油コート、親水コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、電磁波吸収コート、発熱コート、帯電防止コート、制電コート、導電コート、並びにメタライジング(メッキ、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、溶射など)などの各種の表面処理を行うことができる。殊に透明シートに透明導電層が被覆されたものは好適である。
本発明において得られる光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物は、優れた光拡散性を有し、光源の光を効率よく使うことができるため、光学部品、電気・電子機器分野、自動車分野において幅広く使用することができる。具体例としては照明用のカバー、ディスプレイ用拡散板、ガラス代替用途において幅広く使用することができる。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げてさらに説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
尚、評価としては以下の項目について実施した。
尚、評価としては以下の項目について実施した。
(i)光学特性
(1)全光線透過率、ヘーズ
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度280℃、金型温度80℃にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)である3段型プレートを成形した。この3段型プレートの厚み2.0mm部分の全光線透過率およびヘーズをJIS−K 7161−1、JIS−K−7136に従い測定した。
(1)全光線透過率、ヘーズ
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度280℃、金型温度80℃にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)である3段型プレートを成形した。この3段型プレートの厚み2.0mm部分の全光線透過率およびヘーズをJIS−K 7161−1、JIS−K−7136に従い測定した。
(2)光拡散度
上記3段型プレートの厚み2mm部分の光拡散度を、日本電色工業(株)製の分散度測定計を使用して測定した。その際の測定方法を図1に示す。尚、光拡散度とは図1において光線を上方から垂直に試験片面に当てたときγ=0度のときの透過光量を100とした場合、その透過光量が50になるときのγの角度をいう。
上記3段型プレートの厚み2mm部分の光拡散度を、日本電色工業(株)製の分散度測定計を使用して測定した。その際の測定方法を図1に示す。尚、光拡散度とは図1において光線を上方から垂直に試験片面に当てたときγ=0度のときの透過光量を100とした場合、その透過光量が50になるときのγの角度をいう。
(3)光効率
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度280℃、金型温度90℃にて直径6cm、厚み1.2mmの半球状の成形体を得た。この成形体を市販のLED電球(40Wタイプ)のカバーを除去したものにかぶせ全光束を測定した。[測定システム:CSLMS−4021(labsphere Inc社製)、積分球:LMS−400(labsphere Inc社製)]光効率Eは、以下の式(1)より算出した数値で評価を行った。
光効率E = E1/E2 ×100 (%) (1)
E1:半球状の成形品をかぶせた状態で測定した全光束
E2:半球状の成形品をかぶせない状態で測定した全光束
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度280℃、金型温度90℃にて直径6cm、厚み1.2mmの半球状の成形体を得た。この成形体を市販のLED電球(40Wタイプ)のカバーを除去したものにかぶせ全光束を測定した。[測定システム:CSLMS−4021(labsphere Inc社製)、積分球:LMS−400(labsphere Inc社製)]光効率Eは、以下の式(1)より算出した数値で評価を行った。
光効率E = E1/E2 ×100 (%) (1)
E1:半球状の成形品をかぶせた状態で測定した全光束
E2:半球状の成形品をかぶせない状態で測定した全光束
(4)外観
上記半球状の成形体の外観を以下の基準で判定した。
○ : 成形品に表面剥離、スジ、ムラが見られない
× : 成形品に表面剥離、スジ、ムラのうち少なくとも一つが見られる
上記半球状の成形体の外観を以下の基準で判定した。
○ : 成形品に表面剥離、スジ、ムラが見られない
× : 成形品に表面剥離、スジ、ムラのうち少なくとも一つが見られる
(5)熱安定性
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度300℃、金型温度80℃にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)である3段型プレートを成形した。判定は以下の基準で行った。
○:色相が良好で、シルバー、ヤケが見られない
×:色相が良好でなく、シルバー、ヤケが見られる
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて、成形温度300℃、金型温度80℃にて幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)である3段型プレートを成形した。判定は以下の基準で行った。
○:色相が良好で、シルバー、ヤケが見られない
×:色相が良好でなく、シルバー、ヤケが見られる
(6)帯電防止性
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて90mm×50mm×2mmの平板を成形し、以下の条件にて測定を行った。平板を23℃、50%相対湿度の条件で24時間以上状態調整した後、超絶縁計(日置電気製ディジタル超絶縁 DSM−8104)を使用し、測定電圧100Vの条件で表面固有抵抗率を測定した。表面抵抗率が1×1014Ω/□以下を合格とした。
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風乾燥機にて乾燥し、射出成形機[住友重機械工業(株)SG150U・S−M IV]を用いて90mm×50mm×2mmの平板を成形し、以下の条件にて測定を行った。平板を23℃、50%相対湿度の条件で24時間以上状態調整した後、超絶縁計(日置電気製ディジタル超絶縁 DSM−8104)を使用し、測定電圧100Vの条件で表面固有抵抗率を測定した。表面抵抗率が1×1014Ω/□以下を合格とした。
(7)難燃性
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[東芝機械(株)IS150EN−5Y]によりシリンダー温度300℃、金型温度90℃で難燃性評価用の試験片を成形した。UL規格94の垂直燃焼試験を、厚み1.0mmで行いその等級を評価した。なお、判定がV−0、V−1、V−2のいずれの基準も満たすことが出来なかった場合「notV」と示すこととする。
実施例の各組成から得られたペレットを120℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥し、射出成形機[東芝機械(株)IS150EN−5Y]によりシリンダー温度300℃、金型温度90℃で難燃性評価用の試験片を成形した。UL規格94の垂直燃焼試験を、厚み1.0mmで行いその等級を評価した。なお、判定がV−0、V−1、V−2のいずれの基準も満たすことが出来なかった場合「notV」と示すこととする。
[実施例1〜14、および比較例1〜7]
ポリカーボネート樹脂、表1および表2記載の各種添加剤を各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。使用する各種添加剤は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口から第二供給口まで270℃、第二供給口からダイス部分まで290℃とした。次に、得られたペレットを用いて、上記の各評価を実施した。その結果を表1および表2に示す。
ポリカーボネート樹脂、表1および表2記載の各種添加剤を各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。使用する各種添加剤は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口から第二供給口まで270℃、第二供給口からダイス部分まで290℃とした。次に、得られたペレットを用いて、上記の各評価を実施した。その結果を表1および表2に示す。
なお、使用した各成分の詳細は以下の通りである。
(A成分)
A−1:ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人(株)製:パンライトL−1225WX(商品名)、粘度平均分子量19,700)
A−2:ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人(株)製:L−1250WP(商品名)、粘度平均分子量23,900)
A−3:分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人(株)製:Z−2200WP(商品名)、粘度平均分子量20000、分岐率0.9mol%)
A−4:分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人(株)製:Z−2601WP(商品名)、粘度平均分子量24800、分岐率0.9mol%)
A−5:下記製法により得られた粘度平均分子量19,100のポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂
(A成分)
A−1:ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人(株)製:パンライトL−1225WX(商品名)、粘度平均分子量19,700)
A−2:ビスフェノールAおよび末端停止剤としてp−tert−ブチルフェノール、並びにホスゲンから界面重縮合法で合成した直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人(株)製:L−1250WP(商品名)、粘度平均分子量23,900)
A−3:分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人(株)製:Z−2200WP(商品名)、粘度平均分子量20000、分岐率0.9mol%)
A−4:分岐構造を有する芳香族ポリカーボネート樹脂(帝人(株)製:Z−2601WP(商品名)、粘度平均分子量24800、分岐率0.9mol%)
A−5:下記製法により得られた粘度平均分子量19,100のポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21591部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3674部を入れ、上記式〔1〕で表されるカーボネート構成単位を構成するジヒドロキシ化合物(I)として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3880部、およびハイドロサルファイト7.6部を溶解した後、塩化メチレン14565部(ジヒドロキシ化合物(I)1モルに対して14モル)を加え、撹拌下22〜30℃でホスゲン1900部を60分要して吹き込んだ。次に、48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131部、p−tert−ブチルフェノール108部を塩化メチレン800部に溶解した溶液を加え、攪拌しながら下記式〔5〕で表されるポリジオルガノシロキサン化合物204部を塩化メチレン1600部に溶解した溶液を、ジヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)が二価フェノール(I)の量1モルあたり0.0008モル/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3部を加えて温度26〜31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後、有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥し、ポリカーボネートーポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を得た。(ポリジオルガノシロキサン成分含有量4.1%、ポリジオルガノシロキサンドメイン10nm)
(B成分)
B−1:ビーズ状架橋シリコーン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社(株)製:TSR9002(商品名)、平均粒子径2μm)
B−2:ビーズ状架橋アクリル粒子(積水化成品工業(株)製:MBX−5(商品名)、平均粒子径5μm)
B−3:ビーズ状架橋アクリル粒子(東亞合成(株)製:SDP−S225(商品名)、平均粒子径2μm)
B−1:ビーズ状架橋シリコーン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン合同会社(株)製:TSR9002(商品名)、平均粒子径2μm)
B−2:ビーズ状架橋アクリル粒子(積水化成品工業(株)製:MBX−5(商品名)、平均粒子径5μm)
B−3:ビーズ状架橋アクリル粒子(東亞合成(株)製:SDP−S225(商品名)、平均粒子径2μm)
(C成分)
C−1:ジグリセリンモノラウレート(多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が4)(理研ビタミン社製:ポエムDL−100(商品名))
C−2:ショ糖脂肪酸エステル(多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が8)(第一工業株式会社製:DKエステルSS(商品名))
C−3:グリセリンモノステアレート(多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が3)(理研ビタミン社製:リケマールS−100A(商品名))
C−4:デカグリセリンラウリン酸エステル(多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が約10)(三菱化学フーズ株式会社製:リョートーポリグリエステルL−10D(商品名))
C−1:ジグリセリンモノラウレート(多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が4)(理研ビタミン社製:ポエムDL−100(商品名))
C−2:ショ糖脂肪酸エステル(多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が8)(第一工業株式会社製:DKエステルSS(商品名))
C−3:グリセリンモノステアレート(多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が3)(理研ビタミン社製:リケマールS−100A(商品名))
C−4:デカグリセリンラウリン酸エステル(多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が約10)(三菱化学フーズ株式会社製:リョートーポリグリエステルL−10D(商品名))
(D成分)
D−1:亜リン酸エステル系酸化防止剤(クラリアントジャパン(株)製:P−EPQ(商品名))
(E成分)
E−1:ポリグリシジルメタクリレート―ポリスチレンブロック共重合体(日油社製マープルーフ製:G0250SP(商品名))
(その他の成分)
FR:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学(株)製:メガファックF−114P(商品名))
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン粒子とスチレン−アクリル系共重合体からなる混合物(Shine Polymer 製:SN3307(商品名))
UV:UV吸収剤(ケミプロ化成(株)製:ケミソーブ79(商品名))
PSR:蛍光増白剤(昭和化学(株)製:ハッコールPSR(商品名))
D−1:亜リン酸エステル系酸化防止剤(クラリアントジャパン(株)製:P−EPQ(商品名))
(E成分)
E−1:ポリグリシジルメタクリレート―ポリスチレンブロック共重合体(日油社製マープルーフ製:G0250SP(商品名))
(その他の成分)
FR:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(大日本インキ化学(株)製:メガファックF−114P(商品名))
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン粒子とスチレン−アクリル系共重合体からなる混合物(Shine Polymer 製:SN3307(商品名))
UV:UV吸収剤(ケミプロ化成(株)製:ケミソーブ79(商品名))
PSR:蛍光増白剤(昭和化学(株)製:ハッコールPSR(商品名))
A 樹脂板
B 光源
γ 拡散度
B 光源
γ 拡散度
Claims (7)
- (A)ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)光拡散剤(B成分)0.05〜10重量部および(C)多価アルコールと脂肪酸からなるエステル化合物(C成分)0.5〜5重量部を含有し、かつC成分における多価アルコールのヒドロキシ基と脂肪酸のカルボキシル基とのモル比(ヒドロキシ基/カルボキシル基)が4〜8の範囲にあることを特徴とする光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
- B成分が高分子微粒子である請求項1に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分における多価アルコールが、ジグリセリンであることを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
- A成分100重量部に対し、(D)リン系酸化防止剤(D成分)を0.005〜1重量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
- A成分100重量部に対し、(E)グリシジル基を含むエポキシ重合体(E成分)を0.003〜0.5重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散性ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 成形体が照明器具または表示器具である請求項6に記載の成形体。
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