JPH11322985A - 透明バリア性フィルム - Google Patents

透明バリア性フィルム

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Publication number
JPH11322985A
JPH11322985A JP14830198A JP14830198A JPH11322985A JP H11322985 A JPH11322985 A JP H11322985A JP 14830198 A JP14830198 A JP 14830198A JP 14830198 A JP14830198 A JP 14830198A JP H11322985 A JPH11322985 A JP H11322985A
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JP
Japan
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film
vapor deposition
gas
transparent barrier
plasma
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Application number
JP14830198A
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English (en)
Inventor
Koichi Mikami
浩一 三上
Takanori Oboshi
隆則 大星
Yuichi Nakai
裕一 中易
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材フィルムとして、2軸延伸ナイロンフィ
ルムを使用し、更に、プラズマ化学蒸着法を利用し、黄
変あるいは劣化等がなく、かつ、ア−キング孔のなく、
更に、優れた透明性を有すると共に酸素ガス、水蒸気等
に対する優れたバリア性を有する有用な透明バリア性フ
ィルムを提供するものである。 【解決手段】 2軸延伸ナイロンフィルムの一方の面
に、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、およ
び、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成物であり、更
に、該蒸着用混合ガス組成物における酸素ガスと蒸着用
モノマ−ガスとの含有比が、酸素ガス/蒸着用モノマ−
ガスで3.5以上である蒸着用混合ガス組成物を使用し
て、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着薄膜を
設けたことを特徴とする透明バリア性フィルムに関する
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明バリア性フィ
ルムに関し、更に詳しくは、優れた透明性を有すると共
に酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性に優れた透
明バリア性フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア
性等に優れた包装用材料として、種々のものが開発さ
れ、提案されているが、それらの一つとして、近年、プ
ラスチックフィルム等の基材フィルムの一方の面に、物
理気相成長法、あるいは、化学気相成長法等を用いて、
例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物
の蒸着膜を設けた蒸着フィルムが提案されている。この
ものは、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ、
かつ、透明性を有し、更に、環境対応に適う包装用材料
として注目され、近年、他のプラスチックフィルム、あ
るいは、紙基材等の包装用材料と積層し、例えば、飲食
品、医薬品、化粧品、洗剤、その他等の種々の物品の充
填包装に適し、その需要の拡大が期待されているもので
ある。
【0003】
【発明が解決しよとする課題】ところで、上記のプラス
チックフィルム等の基材フィルムの一方の面に、物理気
相成長法、あるいは、化学気相成長法等を用いて、例え
ば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸
着膜を設けた蒸着フィルムにおいては、確かに、酸素ガ
ス、あるいは、水蒸気等に対するバリア性を向上させる
ことはできるが、このことは、プラスチックフィルム等
の全ての種類の基材フィルムに適合するというものでは
ないものである。例えば、上記のプラスチックフィルム
等の基材フィルムとして、2軸延伸ナイロンフィルムを
使用し、その一方の面に、プラズマ化学蒸着法等の化学
気相成長法を用いて、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミ
ニウム等の無機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムに
おいては、基材フィルムとして、2軸延伸ポリエチレン
テレフタレ−トフィルムを使用し、化学気相生長法を利
用して製造した蒸着フィルムと比較して、酸素ガスバリ
ア性、水蒸気バリア性等において、特に、酸素ガスバリ
ア性において劣るという問題点がある。また、基材フィ
ルムとして、2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、その
一方の面に、プラズマ化学蒸着法等の化学気相成長法を
用いて、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無
機酸化物の蒸着膜を設けた蒸着フィルムにおいては、2
軸延伸ナイロンフィルムが、耐プラズマ性に劣り、例え
ば、プラズマ化学気相生長時のプラズマ照射により、2
軸延伸ナイロンフィルム自身が、その影響を受け、例え
ば、黄変、あるいは、劣化ないし収縮する等の問題点を
引き起し、更には、プラズマ照射中に起こるア−キング
現象により、2軸延伸ナイロンフィルムに貫通孔ができ
てしまうという、いわゆる、ア−キング孔を形成すると
いう問題点があり、上記のように蒸着フィルムを製造し
たとしても、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優
れた有用な蒸着フィルムを製造することは極めて困難で
あるというのが実状である。更に、基材フィルムとし
て、2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、その一方の面
に、プラズマ化学蒸着法等の化学気相成長法を用いて、
例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物
の蒸着膜を設けた蒸着フィルムにおいては、基材フィル
ムとして、通常の2軸延伸ナイロンフィルムを使用する
と、このフィルムが、縦横の延伸率にむらがあることか
ら、エボルブ時(蒸着時)等において、そのフィルムの
表面に皺等を発生し、見た目が非常に悪く、著しく商品
価値が劣る蒸着フィルムしか製造し得ないという問題点
がある。そこで本発明は、基材フィルムとして、2軸延
伸ナイロンフィルムを使用し、更に、プラズマ化学蒸着
法を利用し、黄変あるいは劣化等がなく、かつ、ア−キ
ング孔のなく、更に、優れた透明性を有すると共に酸素
ガス、水蒸気等に対する優れたバリア性を有する有用な
透明バリア性フィルムを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決すべく種々研究の結果、基材フィルムと
して、2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、該2軸延伸
ナイロンフィルムの表面に、プラズマ化学蒸着法を利用
して酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成するに
際し、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、お
よび、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成物であり、
更に、該蒸着用混合ガス組成物における酸素ガスと蒸着
用モノマ−ガスとの含有比が、酸素ガス/蒸着用モノマ
−ガスで3.5以上である蒸着用混合ガス組成物を使用
して、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着薄膜
を設けたところ、2軸延伸ナイロンフィルムの黄変、劣
化ないし収縮等の発生を防止し、かつ、いわゆる、ア−
キング孔等の発生等も防止し、更に、2軸延伸ナイロン
フィルムの表面に、無機酸化物の蒸着薄膜の蒸着、生長
が極めて良好に行われ、緻密な無機酸化物の蒸着薄膜を
形成することができ、かつ、2軸延伸ナイロンフィルム
の表面に対する無機酸化物の蒸着薄膜の密接着性に優
れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対する優れたバリア性
を有し、かつ、優れた透明性を有し、例えば、飲食品、
医薬品、化粧品、洗剤、その他等の種々の物品の充填包
装に適する有用な透明バリア性フィルムを製造し得るこ
とを見出して本発明を完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、2軸延伸ナイロンフ
ィルムの一方の面に、少なくとも、蒸着用モノマ−ガ
ス、酸素ガス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合ガ
ス組成物であり、更に、該蒸着用混合ガス組成物におけ
る酸素ガスと蒸着用モノマ−ガスとの含有比を酸素ガス
/蒸着用モノマ−ガスで3.5以上である蒸着用混合ガ
ス組成物を使用して、プラズマ化学蒸着法による無機酸
化物の蒸着薄膜を設けたことを特徴とする透明バリア性
フィルムに関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の本発明について以下に図面
等を用いて更に詳しく説明する。まず、本発明にかかる
透明バリア性フィルムの構成について、その一例を例示
して図面を用いて説明すると、図1は、本発明にかかる
透明バリア性フィルムについてその一例の層構成を示す
模式的断面図である。
【0007】すなわち、本発明にかかる透明バリア性フ
ィルム1は、図1に示すように、2軸延伸ナイロンフィ
ルム2の表面に、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸
素ガス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成
物であり、更に、該蒸着用混合ガス組成物における酸素
ガスと蒸着用モノマ−ガスとの含有比が、酸素ガス/蒸
着用モノマ−ガスで3.5以上である蒸着用混合ガス組
成物を使用して、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物
の蒸着薄膜3を設けた構成からなるものである。
【0008】上記の本発明において、本発明にかかる透
明バリア性フィルムを構成する2軸延伸ナイロンフィル
ムとしては、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の非
結晶性の蒸着薄膜を保持し得るフィルムないしシ−トで
あればいずれのものでも使用することができ、例えば、
ナイロン46フィルム、ナイロン6フィルム、ナイロン
66フィルム、ナイロン610フィルム、ナイロン61
2フィルム、ナイロン11フィルム、ナイロン12フィ
ルム、その他等の各種のポリアミド系樹脂のフィルムな
いしシ−トを使用することができる。而して、本発明に
おいて、上記のポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−
トは、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等の
通常の2軸延伸方法で2軸方向に延伸されているものを
使用することができる。本発明において、上記の2軸延
伸ナイロンフィルムとしては、縦横の延伸率がほぼ同等
であるポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用
することが望ましく、而して、かかる場合には、このフ
ィルムが、縦横の延伸率にむらがないことから、エボル
ブ時(蒸着時)等において、そのフィルムの表面に皺等
の発生を防止することができ、見た目が非常に良い、商
品価値に優れた蒸着フィルムを製造することができると
いう利点を有するものである。本発明において、上記の
ような2軸延伸ナイロンフィルムを基材として使用する
ことにより、それが有する強度、耐衝撃性、耐突き刺し
性等の強靱性を利用して、それらの特性を有する透明バ
リアフィルムを製造するものである。而して、本発明に
おいて、上記の2軸延伸ナイロンフィルムの厚さとして
は、製造時の安定性等から適宜に設定することが可能で
あるが、約6μmないし100μm位が好ましくは、更
には、10μmないし50μm位が望ましいものであ
る。また、本発明において、上記の2軸延伸ナイロンフ
ィルムとしては、必要ならば、予め、例えば、コロナ放
電処理、プラズマ放電処理、オゾン処理、フレ−ム処理
等の任意の前処理を施すことができ、また、イソシアネ
−ト系(ウレタン系)、有機チタン系、ポリエチレンイ
ミン系、あるいは、ポリブタジエン系等の公知のアンカ
−コ−ト剤を任意にコ−ティングして、アンカ−コ−ト
剤層を形成することができる。なお、本発明において、
用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可
塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤を、その
透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含
有する2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを使用する
ことができる。
【0009】次に、上記の本発明において、本発明にか
かる透明バリア性フィルムを構成する少なくとも、蒸着
用モノマ−ガス、酸素ガス、および、不活性ガスを含む
蒸着用混合ガス組成物であり、更に、該蒸着用混合ガス
組成物における酸素ガスと蒸着用モノマ−ガスとの含有
比が、酸素ガス/蒸着用モノマ−ガスで3.5以上であ
る蒸着用混合ガス組成物を使用して、プラズマ化学蒸着
法による無機酸化物の蒸着薄膜を説明すると、まず、本
発明において、上記のような蒸着用混合ガス組成物とし
ては、具体的には、プラズマ化学蒸着を行う際に、少な
くとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、および、不活
性ガスを含み、更に、その他等を含む蒸着用混合ガス組
成物であり、更に、酸素ガスの含有量として、酸素ガス
と蒸着用モノマ−ガスとの含有比が、酸素ガス/蒸着用
モノマ−ガス=3.5以上である蒸着用混合ガス組成物
の組成を使用するというものである。上記の蒸着用混合
ガス組成物において、酸素ガスと蒸着用モノマ−ガスと
の含有比が、酸素ガス/蒸着用モノマ−ガス=3.5未
満であると、酸素ガスバリア性が悪い蒸着薄膜質が形成
される傾向にあり、更に、プラズマ発生電圧が上がるた
め、プラズマのア−キングが起こりやすい雰囲気なるこ
とから好ましくないものである。なお、上記の蒸着用混
合ガス組成物において、酸素ガス/蒸着用モノマ−ガス
との含有比の上限としては、約5.0位が好ましいもの
である。
【0010】更に、本発明において、上記の蒸着用混合
ガス組成物としては、具体的には、少なくとも、酸素ガ
ス42〜60%の範囲、蒸着用モノマ−ガス12%以下
の範囲、および、不活性ガス46%以下の範囲を含み、
その他等からなる蒸着用混合ガス組成物を使用して、プ
ラズマ化学蒸着を行うというものである。上記の蒸着用
混合ガス組成物において、酸素ガス量としては、42%
未満であると、酸素ガスバリア性に優れた蒸着薄膜質を
得ることが困難になり、更に、2軸延伸ナイロンフィル
ムに皺等が発生する傾向にあることから好ましくないも
のであり、また、60%を越えると、今度は、逆に、優
れた水蒸気バリア性をえることが困難となることから好
ましくないものである。次に、上記の蒸着用混合ガス組
成物において、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス
としては、約12%以下位の範囲を含むことが好まし
く、また、不活性ガスとしては、46%以下位の範囲を
含むことが好ましく、更に、必要ならば、その他等の成
分を含むことがが好ましいものである。なお、上記の蒸
着用混合ガス組成物において、有機珪素化合物等の蒸着
用モノマ−ガスの含有量の下限値としては、約8%以
上、また、不活性ガスの下限値としては、20%以上位
が好ましい。上記の%の単位は、体積比に基づくもので
ある。
【0011】本発明においては、2軸延伸ナイロンフィ
ルムを蒸着用基材フィルムとして使用して、物理気相成
長法(PVD法)で酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄
膜を形成することも考えられるが、該2軸延伸ナイロン
フィルムが、熱劣化あるいは熱収縮等の現象が生じ、十
分に満足し得る蒸着薄膜を形成することが困難であるの
で、低温で蒸着薄膜の形成が可能なプラズマ化学蒸着法
(CVD法)を利用して蒸着薄膜を形成するものであ
る。而して、本発明においては、上記のプラズマ化学蒸
着法(CVD法)において、有機珪素化合物等の蒸着用
モノマ−ガス、酸素ガス、不活性ガス、その他等からな
る蒸着用混合ガス組成物を原料供給ノズルを通して真空
チャンバ−内に導入する際に、その蒸着用混合ガス組成
物の組成において、酸素ガスの含有量を上げることによ
り、プラズマパワ−の電流値が大きくなり、他方、その
電圧値が減少し、これにより、酸素ガスバリア性、水蒸
気バリア性等に優れている酸化ケイ素等の無機酸化物の
蒸着薄膜を有する2軸延伸ナイロンフィルムからなる透
明バリア性フィルムを製造可能とするものである。
【0012】而して、本発明においては、上記のプラズ
マ化学蒸着法(CVD法)において、有機珪素化合物等
の蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、不活性ガス、その他
等からなる蒸着用混合ガス組成物を原料供給ノズルを通
して真空チャンバ−内に導入する際に、その蒸着用混合
ガス組成物の組成において、酸素ガスの含有量を上げる
と、形成される蒸着薄膜の極性部分の割合が増加し、そ
の結果、基材フィルムと蒸着薄膜、すなわち、2軸延伸
ナイロンフィルムと酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄
膜との密着性が向上し、而して、そのように両者の密着
性が向上することにより、酸素ガスバリア性も向上する
ものである。更に、本発明において、上記のように酸素
ガスの含有量を上げてプラズマ化学蒸着を行うと、酸化
ケイ素の蒸着薄膜の場合には、該酸化ケイ素の蒸着薄膜
が、式SiOX で表される酸化ケイ素の蒸着連続薄膜か
らなり、更に、Xの値を増加させることができ、極めて
透明性に優れた蒸着薄膜を形成することができるもので
ある。更にまた、本発明において、上記のように酸素ガ
スの含有量を上げてプラズマ化学蒸着を行う、蒸着膜を
形成する際に、酸素プラズマガスが多くなることから、
基材フィルムとしての2軸延伸ナイロンフィルムの黄変
等が抑制され、その結果、酸化ケイ素等の無機酸化物の
蒸着薄膜を有する2軸延伸ナイロンフィルムからなる透
明バリア性フィルムの透明性を向上させることができる
という利点を有するものである。
【0013】また、本発明においては、上記のような蒸
着用混合ガス組成物を原料供給ノズルを通して真空チャ
ンバ−内に導入し、グロ−放電プラズマによって、酸化
ケイ素の蒸着薄膜を、2軸延伸ナイロンフィルムの上に
形成し製膜化することが好ましいものであるが、その際
に、冷却・電極ドラムに、チャンバ−外に配置されてい
る電源から電力を印加してプラズマ化学蒸着を行い、無
機酸化物の蒸着連続薄膜を有する透明バリア性フィルム
を製造することが望ましいものである。上記において、
製膜時ガス量、ガス比、製膜時圧力を変えたとしても、
電圧値が上がると、プラズマが不安定となり、ア−キン
グ現象が非常に起こり易くなるため、耐プラズマ性に劣
る2軸延伸ナイロンフィルムに多数の穴を生じやすくな
り、更に、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ
た蒸着薄膜質を形成することが困難になる傾向があるこ
とから好ましくないものである。本発明において、製膜
時圧力が、4.0×10-4mbar以下になると、プラ
ズマの活性化が進み、基材フィルムとしての2軸延伸ナ
イロンフィルムの黄変が大きくなるという傾向があり、
好ましくないものである。
【0014】次にまた、上記の本発明において、本発明
にかかる透明バリア性フィルムを構成するプラズマ化学
蒸着法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法について説
明すると、かかるプラズマ化学蒸着法による無機酸化物
の蒸着薄膜の形成法としては、具体的には、例えば、有
機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、これ
と、更に、酸素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス、そ
の他等を含む蒸着用混合ガス組成物を調整し、該蒸着用
混合ガス組成物を使用して、低温プラズマ発生装置等を
利用するプラズマ化学蒸着法(CVD法)を用いて酸化
ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する方法により
製造することができる。上記において、低温プラズマ発
生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プ
ラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用するこ
とがてき、而して、本発明においては、高活性の安定し
たプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による
発生装置を使用することが望ましい。
【0015】本発明において、具体的に、プラズマ化学
蒸着法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法についてそ
の一例を例示して説明すると、図2は、本発明にかかる
プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成
法についてその概要を示すプラズマ化学蒸着装置の概略
的構成図である。本発明においては、図2に示すよう
に、まず、プラズマ化学蒸着装置11の真空チャンバ−
12内に配置された巻き出しロ−ル13から、前述の2
軸延伸ナイロンフィルム2を繰り出し、更に、該2軸延
伸ナイロンフィルム2を、補助ロ−ル14を介して所定
の速度で冷却・電極ドラム15周面上に搬送する。而し
て、本発明においては、ガス供給装置16、17、およ
び、原料揮発供給装置18等から酸素ガス、不活性ガ
ス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等
を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整
しなから原料供給ノズル19を通して真空チャンバ−1
2内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記
の冷却・電極ドラム15周面上に搬送された上記の2軸
延伸ナイロンフィルム2の上に、グロ−放電プラズマ2
0によってプラズマを発生させて、これを照射して、酸
化ケイ素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成し、製膜化す
る。本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム1
5は、真空チャンバ−12外に配置されている電源21
から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ド
ラム15の近傍には、マグネット22を配置してプラズ
マの発生が促進されており、次いで、上記で酸化ケイ素
等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成した2軸延伸ナイロン
フィルム2は、補助ロ−ル23を介して巻き取りロ−ル
24に巻き取って、本発明にかかる透明バリア性フィル
ムを製造することができるものである。なお、図中、2
5は、真空ポンプを表す。上記の例示は、本発明にかか
る透明バリア性フィルムの製造法の一例を例示するもの
であり、これによって本発明は限定されるものではない
ことは言うまでもないことである。
【0016】上記の本発明にかかるプラズマ化学蒸着法
による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法において、蒸着用
混合ガス組成物を構成する蒸着用モノマ−ガスとしての
有機珪素化合物等としては、例えば、1.1.3.3−
テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサ
ン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラ
ン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシ
ラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシ
ラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロ
キサン、その他等を使用することができる。本発明にお
いて、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.
3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメ
チルジシロキサンを原料として使用することが、その取
り扱い性、形成された蒸着膜の特性等から、特に、好ま
しい原料である。
【0017】次に、本発明において、上記のプラズマ化
学蒸着法による無機酸化物の蒸着薄膜としては、例え
ば、酸化ケイ素の蒸着薄膜の場合には、式SiOX (た
だし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化ケイ素
を主体とする連続状の蒸着薄膜からなるものであり、更
に、透明性、バリア性等の点から、式SiOX (ただ
し、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸
化ケイ素の蒸着膜を主体とする薄膜である。また、上記
の酸化ケイ素の蒸着薄膜は、珪素および酸素を構成元素
とする珪素酸化物からなり、かつ、炭素、水素、珪素、
または、酸素からなる微量構成元素の1種ないし2種以
上からなる化合物の少なくとも1種以上を含有する酸化
ケイ素の蒸着連続薄膜からなるものである。更に、上記
の酸化ケイ素の蒸着薄膜は、炭素からなる化合物を含有
する場合には、その膜厚の深さ方向において炭素の含有
量が減少していることを特徴とするものである。更にま
た、上記の酸化ケイ素の蒸着薄膜は、珪素原子の含有割
合を100としたときに、炭素原子の含有割合を85以
下とすることを特徴とするものである。なお、本発明に
おいて、酸化ケイ素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚40
0Å以下であることが望ましく、具体的には、その膜厚
としては、50〜400Å位、より好ましくは、100
〜300Å位が望ましく、而して、上記において、30
0Å、更には、400Åより厚くなると、その膜にクラ
ック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、10
0Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を
奏することが困難になることから好ましくないものであ
る。
【0018】上記のようにして製造した本発明にかかる
透明バリア性フィルムは、例えば、樹脂のフィルム、紙
基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等の包装用
容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わせて、例
えば、ラミネ−トして種々の複合フィルムを製造し、種
々の物品を充填包装するに適した包装材料を製造可能と
するものである。上記の樹脂のフィルムとしては、具体
的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸
またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオレフィン系
樹脂、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化
ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリ
ル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ス
チレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブ
タジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエ
ステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系
樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹
脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニト
ロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないし
シ−トから任意に選択して使用することができる。本発
明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、
一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのもの
でも使用することができる。また、その厚さは、任意で
あるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使
用することができる。更に、本発明においては、フィル
ムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−シ
ョン成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよ
い。また、上記において、紙基材としては、例えば、強
サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル
紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を
使用することができる。上記において、紙層を構成する
紙基材としては、坪量約80〜600g/m2位のも
の、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のも
のを使用することが望ましい。また、上記にといて、金
属素材としては、例えば、アルミニウム箔、あるいは、
アルミニウム蒸着膜を有する樹脂のフィルム等を使用す
ることができる。
【0019】次に、上記の本発明において、上記のよう
な材料を使用して複合フィルムを製造する方法について
説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラ
ミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション
法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−
ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し
成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ショ
ン法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行う
ことができる。而して、本発明においては、上記の積層
を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン
処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施
すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシ
アネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポ
リブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティン
グ剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリ
エステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−
ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ
−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0020】次に、本発明において、上記のような複合
フィルムを使用して製袋ないし製函する方法について説
明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム
等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造し
た複合フィルムを使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹
脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはそ
の二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ル
してシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。而
して、その製袋方法としては、上記の複合フィルムを、
その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその
二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例え
ば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方
シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ
−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ
−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−
ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造
することができる。その他、例えば、自立性包装袋(ス
タンディングパウチ)等も製造することが可能であり、
更に、本発明においては、上記の複合フィルムを使用し
てチュ−ブ容器等も製造することができる。上記におい
て、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−
ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−
ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行う
ことができる。なお、本発明においては、上記のような
包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ
−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ
−等を任意に取り付けることができる。
【0021】次にまた、包装用容器として、紙基材を含
む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙
基材を積層した複合フィルムを製造し、これから所望の
紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブラ
ンク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例え
ば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベル
トップタイプの液体用紙容器等を製造することができ
る。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙
缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0022】本発明において、上記のようにして製造し
た包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するガス
バリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、
印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、
また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、か
つ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止
して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、
飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、
接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種
々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているもの
である。
【0023】
【実施例】上記の本発明について実施例を挙げて更に詳
しく本発明を説明する。 実施例1 (1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン
フィルム(縦横延伸率むらなし)を使用し、これをプラ
ズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、下記
の条件で厚さ160Åの酸化ケイ素の蒸着薄膜を上記の
2軸延伸ナイロンフィルムの上に形成して、本発明にか
かる透明バリア性フィルムを製造した。 反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:ヘリウム=0.8:3:3(単位:slm、スタン
ダ−ド リッタ− ミニット standardlit
ter minute) 真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar 蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-3mbar 冷却・電極ドラム供給電力:10kW (2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの
酸化ケイ素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処
理した。その結果、酸化ケイ素の蒸着薄膜表面の表面張
力は、35dynから62dynになり濡れ性が向上し
た。 出力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でプラズマ処理した透明バリア性フ
ィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の
一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化ケイ素の蒸着
薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルム
である厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム
を使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しか
る後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複
合フィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50) (混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0024】比較例1 (1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン
フィルム(縦横延伸率ややむらあり)を使用し、これを
プラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、
下記の条件で厚さ160Åの酸化ケイ素の蒸着薄膜を上
記の2軸延伸ナイロンフィルムの上に形成して、透明バ
リア性フィルムを製造した。 反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:ヘリウム=0.8:3:3(単位:slm) 真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar 蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-3mbar 冷却・電極ドラム供給電力:10kW (2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの
酸化ケイ素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処
理した。その結果、酸化ケイ素の蒸着薄膜表面の表面張
力は、35dynから64dynになり濡れ性が向上し
た。 出力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でプラズマ処理した透明バリア性フ
ィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の
一方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化ケイ素の蒸着
薄膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルム
である厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム
を使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しか
る後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複
合フィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50) (混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0025】比較例2 (1).基材として、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン
フィルム(縦横延伸率むらなし)を使用し、これをプラ
ズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、下記
の条件で厚さ160Åの酸化ケイ素の蒸着薄膜を上記の
2軸延伸ポリプロピレンフィルムの上に形成して、透明
バリア性フィルムを製造した。 反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガ
ス:ヘリウム=1:3:3(単位:slm) 真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar 蒸着チャンバ−内の真空度:3.0×10-3mbar 冷却・電極ドラム供給電力:10kW(電圧値 460
V) (2).次に、上記で製造した透明バリア性フィルムの
酸化ケイ素の蒸着薄膜の面を、下記の条件でプラズマ処
理した。その結果、酸化ケイ素の蒸着薄膜表面の表面張
力は、35dynから64dynになり、濡れ性が向上
した。 出力:3kw プラズマガス:ヘリウム(He)と酸素(O2 )との混
合ガス (3).次に、上記でコロナ処理した透明バリア性フィ
ルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一
方の送り出しロ−ルに装着し、その酸化ケイ素の蒸着薄
膜面に接着剤層を形成し、他方、シ−ラントフィルムで
ある厚さ40μmの線状低密度ポリエチレンフィルムを
使用し、これを他方の送り出しロ−ルに装着し、しかる
後その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、複合
フィルムを製造した。 接着剤層:ウレタン系接着剤を使用 (主剤)ウレタン系(武田薬品工業株式会社製、商品
名、タケネ−トA−515) (硬化剤)イソシアネ−ト系(武田薬品工業株式会社
製、商品名、A−50) (混合比)主剤:硬化剤=10:1 (溶剤)酢酸エチル (塗布量)4.0g/m2 (ドライ)
【0026】実験例1 上記の実施例1〜2、および、比較例1で製造した各透
明バリア性フィルムおよび複合フィルムについて、下記
のデ−タを測定した。 (1).酸素透過度の測定 これは、透明バリア性フィルムと複合フィルムについ
て、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコ
ン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン
(OXTRAN)〕にて測定した。 (2).水蒸気透過度の測定 これは、透明バリア性フィルムと複合フィルムについ
て、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコ
ン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン
(PERMATRAN)〕にて測定した。 (3).色評価 これは、目視による着色観察、マクベス濃度計による測
定、および、スガ試験機株式会社製のカラ−コンピュ−
タ−による測定で評価した。 ・目視による着色観察は、透明バリア性フィルムを10
枚重ねて目視により、直接観察した。 ・マクベス濃度計による測定は、透明バリア性フィルム
1枚について、波長が500nmの全光線透過率で測定
した。 ・カラ−コンピュ−タ−による測定は、透明バリア性フ
ィルム10枚で測定した。 測定条件:(光源)C2度 (測定モ−ド)透過モ−ド (評価値)黄色度(Yi:値が大きい程黄色い) (4).ラミネ−ト強度の測定 これは、複合フィルムについて、エ−ジング後、テンシ
ロンで測定した。 (5).孔数の測定 これは、オムロン株式会社製の孔検査機を用いて、透明
バリア性フィルムについて測定した。 (6).シ−ル部の皺の発生状況の測定 これは、複合フィルムを使用し、製袋機(商品名、エボ
ルブ)を用いて包装用袋を作製し、その際に、包装用袋
のシ−ル部の皺の発生を目視で確認して測定した。上記
のの測定結果について、下記の表1、表2、表3、およ
び、表4に示す。
【0027】
【表1】 酸素透過度および水蒸気透過度の測定 上記の表1において、酸素透過度は、cc/m2 /da
y・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透
過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単
位である。
【0028】
【表2】 色評価
【0029】
【表3】 ラミネ−ト強度の測定 上記の表3において、Ny/SiOx は、剥離界面が、
2軸延伸ナイロンフィルムと酸化ケイ素の蒸着薄膜との
界面であることを意味するものである。
【0030】
【表4】 孔数および皺の発生状況の測定
【0031】上記の測定結果から明らかなように、実施
例1にかかる透明バリア性フィルム、複合フィルムは、
酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性、および、孔数等に
おいて、比較例2のそれよりもはるかに優れいることが
確認できた。特に、酸素ガスバリア性、および、透明性
については、プロセスガスである酸素ガス/蒸着用モノ
マ−ガス比を上げることにより、向上した(なお、水蒸
気バリア性は、若干低下した。)。更に、ア−キングに
よる孔数は、大幅に減った。これは、酸素ガス/蒸着用
モノマ−ガス比を上げることにより、電圧値は、減少
し、ア−キングの発生をおさえたためである。また、実
施例1のものは、比較例1のそれと比べて、包装用袋の
シ−ル部に皺の発生がなく、外観は良好であった。これ
は、2軸延伸ナイロンフィルムに延伸率のほぼ同じフィ
ルムを用いたためである。
【0032】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、基材フィルムとして、2軸延伸ナイロンフィルムを
使用し、該2軸延伸ナイロンフィルムの表面に、プラズ
マ化学蒸着法を利用して酸化ケイ素等の無機酸化物の蒸
着薄膜を形成するに際し、少なくとも、蒸着用モノマ−
ガス、酸素ガス、および、不活性ガスを含む蒸着用混合
ガス組成物であり、更に、該蒸着用混合ガス組成物にお
ける酸素ガスと蒸着用モノマ−ガスとの含有比が3.5
以上である蒸着用混合ガス組成物を使用して、プラズマ
化学蒸着法による無機酸化物の蒸着薄膜を設けて、2軸
延伸ナイロンフィルムの黄変、劣化ないし収縮等の発生
を防止し、かつ、いわゆる、ア−キング孔等の発生等も
防止し、更に、2軸延伸ナイロンフィルムの表面に、無
機酸化物の蒸着薄膜の蒸着、生長が極めて良好に行わ
れ、緻密な無機酸化物の蒸着薄膜を形成することがで
き、かつ、2軸延伸ナイロンフィルムの表面に対する無
機酸化物の蒸着薄膜の密接着性に優れ、更に、酸素ガ
ス、水蒸気等に対する優れたバリア性を有し、かつ、優
れた透明性を有し、例えば、飲食品、医薬品、化粧品、
洗剤、その他等の種々の物品の充填包装に適する有用な
透明バリア性フィルムを製造し得ることができるという
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる透明バリア性フィルムの層構成
の概略を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる透明バリア性フィルムの製造法
についてその概要を示すプラズマ化学蒸着装置の概略的
構成図である。
【符号の説明】
1 透明バリア性フィルム 2 2軸延伸ナイロンフィルム 3 無機酸化物の蒸着薄膜 11 プラズマ化学蒸着装置 12 真空チャンバ− 13 巻き出しロ−ル 14 補助ロ−ル 15 冷却・電極ドラム 16 ガス供給装置 17 ガス供給装置 18 原料揮発供給装置 19 原料供給ノズル 20 グロ−放電プラズマ 21 電源 22 マグネット 23 補助ロ−ル 24 巻き取りロ−ル 25 真空ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B65D 65/02 B65D 65/02 E C08J 7/00 306 C08J 7/00 306 C23C 16/40 C23C 16/40 // B29K 77:00 B29L 7:00 C08L 77:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2軸延伸ナイロンフィルムの一方の面
    に、少なくとも、蒸着用モノマ−ガス、酸素ガス、およ
    び、不活性ガスを含む蒸着用混合ガス組成物であり、更
    に、該蒸着用混合ガス組成物における酸素ガスと蒸着用
    モノマ−ガスの含有比が、酸素ガス/蒸着用モノマ−ガ
    スで3.5以上である蒸着用混合ガス組成物を使用し
    て、プラズマ化学蒸着法による無機酸化物の蒸着薄膜を
    設けたことを特徴とする透明バリア性フィルム。
  2. 【請求項2】 2軸延伸ナイロンフィルムが、縦横の延
    伸率がほぼ同等である2軸延伸ナイロンフィルムである
    ことを特徴とする上記の請求項1に記載する透明バリア
    性フィルム。
  3. 【請求項3】 蒸着用混合ガス組成物が、酸素ガス42
    〜60%の範囲、蒸着用モノマ−ガス12%以下の範
    囲、および、不活性ガス46%以下の範囲からなること
    を特徴とする上記の請求項1または2に記載する透明バ
    リア性フィルム。
  4. 【請求項4】 無機酸化物の蒸着薄膜が、酸化ケイ素の
    蒸着連続薄膜からなることを特徴とする上記の請求項
    1、2または3に記載する透明バリア性フィルム。
  5. 【請求項5】 プラズマ化学蒸着法が、製膜時の圧力を
    4.0×10-3mbarから8.0×10-3mbarの
    範囲内に調整した条件によることを特徴とする上記の請
    求項1、2、3または4に記載する透明バリア性フィル
    ム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007203530A (ja) * 2006-01-31 2007-08-16 Mitsubishi Plastics Ind Ltd ポリアミド系樹脂フィルム
JP2008274385A (ja) * 2007-05-07 2008-11-13 Toppan Printing Co Ltd 真空成膜装置、および高分子フィルム積層体の製造方法、ならびに高分子フィルム積層体

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