JPH11322922A - 芳香族ポリエーテルの精製方法 - Google Patents

芳香族ポリエーテルの精製方法

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JPH11322922A
JPH11322922A JP15389998A JP15389998A JPH11322922A JP H11322922 A JPH11322922 A JP H11322922A JP 15389998 A JP15389998 A JP 15389998A JP 15389998 A JP15389998 A JP 15389998A JP H11322922 A JPH11322922 A JP H11322922A
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JP
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polymer
acid
film
aromatic polyether
ppm
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JP15389998A
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Masakatsu Kuroki
正勝 黒木
Kohei Kita
孝平 北
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電気特性、低誘電率、低吸水性、耐熱性、成
膜性などに優れた芳香族ポリエーテルの精製方法及びそ
の方法から得られた芳香族ポリエーテル並びにその芳香
族ポリエーテルから形成され、電気、電子材料、特にL
SI多層配線の層間絶縁膜、バッファ膜として有用な被
膜を提供することである。 【解決手段】 芳香族ポリエーテルに、加熱乾燥後に不
純物を残さない有機酸を作用させてポリマー中の金属不
純物を除くことを特徴とする精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気特性、低誘電
率、低吸水性、耐熱性、成膜性などに優れた芳香族ポリ
エーテルの精製方法及びその方法から得られた芳香族ポ
リエーテル並びにその芳香族ポリエーテルから形成さ
れ、電気、電子材料、特にLSI多層配線の層間絶縁
膜、バッファ膜として有用な被膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来最も一般的に用いられているLSI
多層配線構造の絶縁被膜としては、二酸化シリコン膜が
用いられている。しかし半導体デバイスの高密度化・高
集積化にともない配線の微細化・多層化が進み、従来の
方法で形成される多層配線構造では、配線層における信
号遅延、クロストーク等が問題となってきている。これ
は二酸化シリコン膜の比誘電率が高いということが一因
となる問題点である。そこで誘電率を低減するためにフ
ッ素をドープすることも行われているが、熱安定性との
トレードオフの関係にあって低誘電率化には限界があ
る。このため、絶縁材料として、二酸化シリコンに代え
て有機ポリマーを用いる試みがなされている。電子材料
に用いられる有機ポリマーとしては、一般に耐熱性が高
いこと、誘電率が低いこと、吸水性が小さいことなどが
要求され、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド
系樹脂、フッ素系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、ポリフ
ェニレンエーテル樹脂等が用いられてきた。しかしフェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂は耐熱性が低く、また誘電率
も高い。ポリイミド系樹脂は耐熱性は高いが強い極性を
有するために吸水性が大きく、また誘電率も高いという
欠点を有する。フッ素系樹脂は誘電率及び吸水性はきわ
めて低いが、基板材料への密着性が低いという欠点を有
する。
【0003】これらの点から多層配線の絶縁膜材料な
ど、半導体基板と直接触れる部分の電子材料用ポリマー
として、主鎖に芳香族を含むポリエーテルが有力な候補
として注目されてきた。電子材料用途として開発された
ポリアリーレンエーテルとして、特開平9−20282
3号公報記載の下記式(1)やWO97/01594記
載の下記式(2)がある。
【0004】
【化1】
【0005】
【化2】
【0006】またRaychem Corporati
onは、架橋及び/または末端キャップすることができ
る種々のフッ素化ポリアリールエーテルの特許を取得し
ている。これらの特許には、米国特許第5108840
号、同第5114780号、同第5145936号、同
第5155175号、同第5173542号、同第52
04416号,同第5235044号、同第52704
53号、及び同第5179188号が含まれる。さらに
ポリ−2、6−ジフェニルフェノールはガラス転移温度
230℃、融点480℃、熱分解開始温度515℃と優
れた耐熱性を持ち、電気、電子材料として高いポテンシ
ャルを有するものであることが知られている(Macr
omolecules4,5,643(1971))。
【0007】しかしながら、主鎖に芳香環を有するこれ
らの芳香族ポリエーテルは合成時に銅、ナトリウムなど
の金属化合物を触媒または反応剤として用いている。こ
のため貧溶媒からの再沈殿などによる一般的な高分子精
製法では、得られたポリマーは数ppm程度の金属不純
物を含んでおり、極めて高い純度を必要とする半導体材
料としてこれを用いることはできない。例えば、銅など
の重金属は1ppm程度でもpn接合リークや少数キャ
リアライフタイム劣化、耐圧不良などを引き起こすし、
ナトリウムなどのアルカリ金属はトランジスタのしきい
値電圧を変動させる。この点を解決するために各種の精
製法が試みられてきたが、いずれも多段の工程を必要と
し、しかも半導体材料として用いるためにはポリマー中
の金属不純物の除去効果が十分ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のような現状を考
慮して、本発明の目的は電子用材料として優れた耐熱
性、誘電特性などの特性を有する芳香族ポリエーテルの
精製法およびその方法を用いた電子材料、半導体素子を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を行った結果、主鎖に芳香環を
含むポリマーを、加熱乾燥後に不純物を残さない有機酸
の共存下で処理することでポリマー中の金属イオンを効
果的に低減できることを見いだした。すなわち本発明は
以下の通りである。 (1)芳香族ポリエーテルに、加熱乾燥後に不純物を残
さない有機酸を作用させてポリマー中の金属不純物を除
くことを特徴とする芳香族ポリエーテルの精製方法。 (2)芳香族ポリエーテルが2,6−ジフェニルフェノ
ールユニットを含むポリマーであることを特徴とする
(1)に記載の精製方法。 (3)(1)又は(2)の精製方法により得られた、ナ
トリウムと銅の濃度が夫々0.08ppm以下であるこ
とを特徴とする芳香族ポリエーテル。
【0010】(4)ナトリウムと銅の濃度が夫々0.0
8ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリエーテ
ル。 (5)(3)又は(4)に記載のポリマーに必要に応じ
てラジカル発生剤を添加したポリマー溶液。 (6)(5)に記載の溶液を膜状にした後、溶媒を除去
して得られる膜厚が0.1μm〜500μmの重合体被
膜。 (7)(6)に記載の重合体被膜を架橋することにより
得られる架橋重合体被膜。 (8)(7)に記載の重合体被膜を絶縁体として用いる
ことを特徴とする半導体素子。 (9)(8)に記載の重合体被膜をバッファ膜として用
いることを特徴とする半導体素子。
【0011】本発明で用いられる芳香族ポリエーテル
は、半導体材料として十分な耐熱性や低誘電率が得られ
るものについては特に限定されるものではない。こうし
た芳香族ポリエーテルの代表的な例としては、例えば電
子材料用途として開発された、特開平9−202823
号公報記載の下記式(1)やWO97/01594記載
の下記式(2)が好ましい例として挙げられる。
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】またRaychem Corporati
onによる種々のフッ素化ポリアリーレンエーテル特
許、例えば、米国特許第5108840号、同第511
4780号、同第5145936号、同第515517
5号、同第5173542号、同第5204416号,
同第5235044号、同第5270453号、及び同
第5179188号明細書等に記載のものも好ましい例
として挙げられる。また十分な耐熱性や低い誘電率が保
たれる範囲では、ポリマー鎖がエーテル結合と、エーテ
ル結合とは異なる結合との組合せで構成されていても構
わないし、脂肪族鎖を含んでいても構わない。
【0015】(2)の2,6−ジフェニルフェノールユ
ニットを含むポリマーは、2,6−ジフェニルフェノー
ル単独重合体または2,6−ジフェニルフェノールと単
独または複数のフェノール性モノマーから得られる重合
体である。このポリマーは(A)2,6−ジフェニルフ
ェノール繰り返し単位、及び(B)該2,6−ジフェニ
ルフェノール単位の繰り返し中に挿入されたフェノール
性コモノマー単位を包含する。
【0016】本発明において、該フェノール性コモノマ
ー単位(B)は(i)単素数6〜18の1価の芳香族基
及びハロゲン原子よりなる群より選ばれる置換基1個を
有する一置換フェノールに由来するコモノマー単位、
(ii)α−ナフトールに由来するコモノマー単位、
(iii)β−ナフトールに由来するコモノマー単位及
び(iv)炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜1
0のアルコキシル基、炭素数2〜10のアルケニル基及
び炭素数2〜10のアルキニル基よりなる群より選ばれ
る少なくとも1個の脂肪族基で置換されたフェノールに
由来するコモノマー単位よりなる群から選ばれる少なく
とも1種のフェノール性コモノマー単位である。
【0017】上記のコモノマー単位(i)として用いる
ことのできる一置換フェノールの具体例としては、2−
フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フ
ェニルフェノール、ナフチルフェノール、ビフェニルフ
ェノール、フルオロフェノール及びクロロフェノール等
が挙げられる。本発明において特に好ましいコモノマー
単位(i)は2−フェニルフェノールに由来するコモノ
マー単位である。
【0018】上記のコモノマー単位(iv)として用い
ることのできる少なくとも1個の脂肪族基で置換された
フェノールの例としては、2,6−ジメチルフェノール
及びクレゾール等が挙げられる。本発明の芳香族共重合
体は必ずしもコモノマー単位(iv)を含む必要はな
く、本発明の共重合体が特に高い耐熱性を有することを
要求される場合にはコモノマー単位(iv)を含まない
ことが好ましい。本発明の芳香族共重合体がコモノマー
単位(iv)を含む際には、その量は上記該フェノール
性コモノマー単位(B)の量に対して20重量%以下で
ある必要があり、好ましくは10重量%以下である。コ
モノマー単位(iv)の量が20重量%を超すと、芳香
族共重合体の熱分解温度が低下するという不利が生じ
る。
【0019】本発明においては、該フェノール性コモノ
マー単位(B)がいずれも2−フェニルフェノールに由
来するコモノマー単位であることが好ましい。本発明の
2,6−ジフェニルフェノール共重合体において、該
2,6−ジフェニルフェノール繰り返し単位(A)の量
が該芳香族共重合体の重量に対して50〜98重量%で
あり、該フェノール性コモノマー単位(B)の量が該
2,6−ジフェニルフェノール共重合体の重量に対して
2〜50重量%である。但し、上記したように、該コモ
ノマー単位(iv)が存在する場合には、該コモノマー
単位(iv)の量は該フェノール性コモノマー単位
(B)の重量に対して20重量%以下である。
【0020】上記の2,6−ジフェニルフェノール繰り
返し単位(A)の含有量は、好ましくは60〜95重量
%であり、更に好ましくは70〜90重量%である。
2,6−ジフェニルフェノール繰り返し単位(A)の含
有量が50重量%より小さいと耐熱性が十分ではなく、
また98重量%より大きいと十分に非晶性とならない。
芳香族ポリエーテルは通常の高分子の成形に用いられる
種々の成形方法で成形し実用に供することができる。射
出成形、押し出し成形などで構造部品、フィルムとして
用いることもできるが、適当な溶媒に溶解して流延法、
キャスト法、スピンコート法などの公知の方法で膜状に
成形することにより電気、電子部品用の絶縁膜等として
有利に用いることができる。
【0021】本発明における芳香族ポリエーテルの精製
において、例えば精製に硫酸や硝酸などの鉱酸を用いる
とポリマー中にイオンが残留したり、芳香族環に置換反
応を起こすために好ましくない。また、主鎖にラジカル
を発生しやすい基を持つ有機酸は、加熱時に残存してい
ると芳香族ポリエーテルと反応するおそれがあり、好ま
しくない。また、高温加熱時に重合または炭化するよう
な化合物は成膜後に不純物を残すために好ましくない。
【0022】すなわち、本発明においてポリマー精製の
ために用いる、加熱乾燥後に不純物を残さない有機酸と
は、好ましくは蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚
酸、マロン酸、コハク酸などのカルボン酸である。その
外にアルコール類、ジオール類、フェノール類、チオー
ル類などの活性水素化合物も、カルボン酸に比べて酸性
度は小さいが、金属イオンを取り除くという意味ではカ
ルボン酸に近い効果を持っており、一般に活性水素基を
持つ有機化合物で金属除去効果が期待できるので、これ
も本発明の有機酸の範疇に含めることができる。
【0023】これらは、ポリマーに加えた後、水や有機
溶剤で簡単にポリマーから抽出できるものであり、たと
えわずかに残存していたとしても、ポリマーを熱架橋す
る350〜450℃で容易に蒸発もしくは分解するため
に、最終的な半導体部品の性質に影響を及ぼさない。上
記の条件を満たす有機酸はいずれも金属不純物を除く目
的に使えるが、沸点が低く水に溶けやすいため、真空乾
燥やトルエン等のポリマー溶液を水洗するなどで簡単に
除去できるという点、純度の高い市販品が安価に入手で
きるという点から酢酸が特にこのましい。
【0024】本発明において、酢酸などの有機酸を添加
することによってポリマーを精製する場合、ポリマー溶
液に酸を加えた状態で加熱還流し、イオンと共に酸を洗
浄して除く、というのが一般的であるが、精製手法はこ
れに限られるものではない。例えば、室温でポリマー溶
液に酸を加えて直ちに水抽出をおこなっても良いし、重
合物固体をカラムに詰めて酸で洗浄する、重合体固体を
酸でソックスレー抽出する、重合体の溶液に有機酸を加
えて重合体固体を沈殿させる、有機酸を溶媒としてイオ
ン交換樹脂にかける、などの手法が可能であるが、これ
らに限定されるものではなく、各種の一般的なポリマー
精製法に有機酸を用いる手法を幅広く応用できる。
【0025】また、上記のような加熱還流、洗浄、再沈
殿などの手法は、外部からの汚染がない場合、複数回繰
り返すことでより好ましい結果を得ることはいうまでも
ない。酢酸などの有機酸が金属イオンを除くのに特に有
効である機構は明らかではないが、酸と重合体の両方が
有機物であるため、ポリマーと親和性があり、重合体内
部に取り込まれたイオンをも効率的に除去できるためで
あると考えられる。有機酸を用いた上記のような手法
に、イオン交換樹脂、無機イオン吸着剤を併用すること
も有効であるが、有機酸を用いる手法は、吸着剤などか
らの逆汚染がないという点で優れている、と云える。
【0026】本発明において、これを半導体の層間絶縁
膜またはバッファコート膜として用いる場合には、ポリ
マー中の金属イオンの濃度は、0.5ppm以下、好ま
しくは0.08ppm以下、さらに好ましくは0.05
ppm以下とすることが望ましい。これ以上の金属イオ
ンが存在する場合、例えば、銅などの重金属はpn接合
リークや少数キャリアライフタイム劣化、耐圧不良など
を引き起こすし、ナトリウムなどのアルカリ金属はトラ
ンジスタのしきい値電圧を変動させるので望ましくな
い。 絶縁膜の界面にバリア層を形成してイオンの拡散
を抑えるなどの対策をとれば、重合体固形物中の金属濃
度が0.08ppmを越えるものでも半導体素子として
使用可能であるが、製造ラインの汚染や信頼性を考える
と、可能な限り金属濃度を下げることが望ましいことは
云うまでもない。
【0027】上記の本発明の芳香族ポリマーの溶液につ
いて以下に説明する。成膜に当たり使用する溶媒は重合
体を溶解するものなら特に限定するものではないが、ト
ルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、テトラリン
などの芳香族炭化水素系、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロ
エタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロ
ゲン化炭化水素系、シクロヘキサノン、シクロペンタノ
ン、アセトフェノンなどのケトン系、乳酸エチルなどの
エステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソ
ールなどのエーテル系、その他N−メチルピロリドン、
テトラメチルウレア、プロピレングリコール−1−モノ
メチルエーテル−2−アセテート、1−メトキシ−2−
プロパノ−ルなどを挙げることができる。これらのう
ち、作業性、安全性、経済性、成膜性などを考慮して好
ましいものとしてはトルエン、キシレン、メシチレン、
シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソ−ル、N
−メチルピロリドン、乳酸エチル、プロピレングリコー
ル−1−モノメチルエーテル−2−アセテートが挙げら
れる。これらの溶媒は単独で用いてもよいが、成膜性、
基板への濡れ性、作業性などを改良するために数種類の
溶媒を混合して用いることも好ましい。
【0028】適当な芳香族ポリエーテル溶液の濃度は使
用目的や重合体の分子量などによって異なるが、2〜5
0重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲が用いられ
る。得られた重合体溶液を前述したような方法で膜状に
した後、溶媒を蒸発することにより、重合体被膜が得ら
れる。この重合体被膜はこのままでは実用に供すること
ができない。多くの電気・電子材料を使用するプロセス
においては300〜450℃程度の熱が加えられる。重
合体被膜に加熱架橋をおこなうことで耐熱性、電気特
性、耐水性、耐溶剤性などに優れた膜を得ることができ
る。架橋は加熱処理、光照射、電子線照射など公知の方
法で行うことができるが、多くの電気、電子材料を使用
する製造プロセスにおいて加熱処理がすでに用いられて
おり、もっとも簡便なのは加熱処理である。加熱による
架橋は重合体膜を適当な温度で加熱するだけでも進行す
るが、ラジカル発生剤を添加することにより効果的に行
うことができる。
【0029】本発明におけるラジカル発生剤としては一
般にラジカル発生剤として知られているものを用いるこ
とができる。たとえば過酸化物としてベンゾイルペルオ
キシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ
イソブチレ−ト、ジーt−ブチルペルオキシ−2−メチ
ルシクロヘキサン、1、1−ビス(t−ヘキシル)−
3、3、5−トリメチルシクロヘキサン、1、1−ビス
(t−ブチルペルオキシ)3、3、5−トリメチルシク
ロヘキサン、1、1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シ
クロヘキサン、2、2−ビス(4、4−ジ−t−ブチル
ペルオキシシクロヘキシル)プロパン、1、1−ビス
(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシ
ルペルオキシイソプロピルモノカ−ボネ−ト、t−ブチ
ルペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシ−3、
5、5−トリメチルヘキサノエ−ト、t−ブチルペルオ
キシラウレ−ト、2、5−ジメチル−2、5−ジ(m−
トルイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシ
イソプロピルモノカ−ボネ−ト、t−ブチルペルオキシ
−2−エチルヘキシルモノカ−ボネ−ト、t−ヘキシル
ペルオキシベンゾエ−ト、2、5−ジメチル−2、5−
ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペル
オキシアセテ−ト、2、2−ビス(t−ブチルペルオキ
シ)ブタン、t−ブチルペルオキシベンゾエ−ト、n−
ブチル−4、4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレ
−ト、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレ−ト、α、
α´ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベン
ゼン、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキサン、t−ブチルヒドロペルオキシド、p
−メンタンヒドロペルオキシド、2、5−ジメチル−
2、5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ
イソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、t−ブチル
トリメチルシリルペルオキシド、1、1、3、3−テト
ラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペル
オキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、t−ブチ
ルヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシ
ド、p−サイメンヒドロペルオキシド、ジアセチルペル
オキシド、ジイソブチリルペルオキシド、ジオクタノイ
ルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロ
イルペルオキシド、m−トルイルペルオキシド、t−ブ
チルペルオキシラウレ−ト、t−ブチルペルオキシベン
ゾエ−ト、1、3−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプ
ロピル)ベンゼン、t−ブチルパ−オキシトリメチルシ
ランが挙げられる。また、次式(3)に示すビベンジル
化合物をラジカル発生剤として使用することができる。
【0030】
【化5】 (式中のRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数が1〜2
0の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20
のアルコキシル基、またはハロゲン原子のいずれかを表
す。) 前式(3)に示すビベンジル化合物として具体的には
2、3−ジメチル−2、3−ジフェニルブタン、α、
α’−ジメトキシ−α、α’−ジフェニルビベンジル、
α、α’−ジフェニル−α−メトキシビベンジル、α、
α’−ジメトキシ−α、α’ジメチルビベンジル、α、
α’−ジメトキシビベンジル、3、4−ジメチル−3、
4−ジフェニル−n−ヘキサン、2、2、3、3−テト
ラフェニルコハク酸ニトリル、ジベンジルなどを挙げる
ことができる。
【0031】本発明のラジカル発生剤の分解温度は高い
方が好ましい。低い分解温度のラジカル発生剤を用いる
とポットライフが短くなるばかりでなく、溶媒の乾燥時
などにラジカル発生剤が急速に分解するため効果的に架
橋が起こらず、また膜質も低下する。高温で分解するラ
ジカル発生剤を用いた方が優れた特性の膜を与える理由
は明らかではないが、本発明の重合体のガラス転移温度
は200℃以上と高く、また280℃付近に結晶化温度
を有することを考えると200℃以上、280℃以下で
分解しラジカルを発生する能力を有するラジカル発生剤
を用いることが好ましい。重合体鎖の運動性の乏しい低
温でラジカルが発生しても架橋反応を引き起こす前に失
活してしまうものと考えられる。好ましくは1分間の半
減期温度が150℃以上、さらに好ましくは200℃以
上のラジカル発生剤が用いられる。
【0032】添加するラジカル発生剤の量は重合体に対
して0.1〜200重量%が好ましく、更に好ましくは
1〜50重量%、5〜30重量%であることが最も好ま
しい。少ないと添加効果が見られず、多すぎると架橋後
の膜物性にかえって悪影響を与える。ラジカル発生剤の
添加方法に関しては重合体溶液調製時に重合体とともに
溶媒に溶解させるのがもっとも簡便である。このとき、
密着性改良剤、レベリング剤などの作業性、膜特性を改
良するための添加剤を加えることもできる。
【0033】一般に電気、電子材料ではいわゆるパーテ
ィクルの混入は極力さける必要があり、前記の方法で得
られた重合体、あるいは重合体とラジカル発生剤の溶液
は使用前にあらかじめ0.1μm〜1μm程度のフィル
ターでろ過しておくことが好ましい。本発明の重合体溶
液を用いてLSI多層配線の層間絶縁膜、パッシベーシ
ョン膜などを得るためには、一般にスピンコート法が適
用される。この際、濡れ性、密着性などを改良するため
に基板を表面処理しておくこともよく行われる。一度の
スピンコートによって通常0.1〜10μmの膜を得る
ことができる。もちろん膜厚を大きくしたいときには溶
液中における重合体濃度を高くするか、あるいは加熱硬
化後にスピンコートを繰り返せばよい。
【0034】得られた膜の乾燥温度は溶媒の種類によっ
て異なるが、一般に室温〜200℃である。あまり急速
に揮発させると膜表面の平滑性が悪くなる。溶媒の揮発
速度を制御するためには、2段階に加熱乾燥する等の方
法も好ましい。例えばトルエンを溶媒として用いた場合
には、トルエンの沸点以下の40〜80℃で予備乾燥し
たあとに、トルエンの沸点以上の180℃程度で完全に
トルエンを揮発させる等の方法を用いることができる。
【0035】上記のようにして得られた膜を架橋する場
合にはこの後、さらに加熱などの処理を行う。熱架橋を
行う場合加熱温度は通常は200℃以上、好ましくは3
00℃以上、さらに好ましくは350℃以上である。架
橋条件の例としては窒素雰囲気下、350〜450℃で
1分〜3時間程度である。加熱雰囲気に酸素が存在する
方が架橋反応速度は大きいが、例えば配線材料としてア
ルミニウムを用いた半導体素子のバッファ膜や、半導体
素子に用いる配線構造体の絶縁膜等として本発明の架橋
重合体膜を用いる場合、酸素存在下で加熱すると配線材
料のアルミニウムが酸化されてしまう。このように酸素
存在下での加熱が好ましくない場合には、窒素、ヘリウ
ムまたはアルゴン雰囲気下などの不活性雰囲気下でも実
用上全く問題ない速度で架橋が進行する。
【0036】本発明のような反応性の高い官能基を含有
しない芳香族重合体においてこのような架橋反応が起こ
る理由は明らかでないが、架橋した膜は架橋前の膜に比
べて耐溶剤性が著しく改善されている。架橋前の該重合
体は一般的な有機溶媒に可溶であるが、十分に架橋した
重合体においては溶媒に対してほとんど溶解、膨潤する
ことがない。本発明の架橋重合体膜においては、N−メ
チルピロリドン等の溶媒に可溶な未架橋ポリマーの含有
率は該架橋重合体膜の重量に対して5重量%以下である
ことが好ましく、1重量%以下であることが更に好まし
い。
【0037】この膜は必要に応じて、通常のレジストを
用いてパターンニングする事は容易である。また分子
量、濃度を適切に設定することにより、多孔質支持体へ
の含浸性、微細配線パターンへの埋め込み性に優れた材
料である。さらにアルミニウム、銅などの配線材料、ガ
ラス、シリカなどのセラミックス材料への密着性にもき
わめて優れている。このようにして得られる架橋薄膜は
きわめて優れた耐熱性、電気特性、力学特性、低吸水性
を持ち、LSI多層配線の層間絶縁膜、LSIパッシベ
ーション膜、など電子材料として有利に用いることがで
きる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例により本発
明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定
されるものではない。ポリマー中の金属イオンの濃度を
定量するために、ポリマーの一部を秤量し、硫酸と硝酸
を加えてマイクロウェーブ処理装置で加熱分解した。分
解後室温まで冷却した後、超純水で濃度を調製して分析
試料とした。ナトリウムについてはフレームレス原子吸
光光度計(日立社製Z−8270)を使用し、銅その他
の金属元素についてはICP−MS(ファイソン社製P
QΩ)を使用し、検量線法で定量した。
【0039】
【実施例】(参考例1)酸素導入管、攪拌装置のついた
500mLセパラブルフラスコに350gのトルエンを
秤り取り、30g(121.8mmol)の2、6−ジ
フェニルフェノ−ルと5.18g(30.43mmo
l)の2−フェニルフェノールを加え窒素気流下で攪拌
し溶解させた。これに臭化銅0.5g、N、N、N’、
N’−テトラメチルエチレンジアミン400μl及び
8.72gの無水硫酸マグネシウムを加え60℃で液面
下より酸素を導入しながら約10時間酸化重合を行っ
た。反応終了後、反応液中の不溶分をPTFE0.5μ
mのフィルタ−でろ過し、溶媒を真空乾燥して高分子固
形分を単離した。乾燥後の収量は29g(収率98%)
であり、定量的に溶媒可溶性の共重合体が得られた。ポ
リスチレン換算での重量平均分子量は約30万であっ
た。この粗製ポリマーは銅を660ppm、ナトリウム
を3ppm含有するものであった。
【0040】(参考例2)50mlのフラスコに入れた
キノリン20gに、窒素ブランケット下で3.0g
(0.22mol)の塩化第一銅を加えた。この混合物
を25℃で48時間かき混ぜた。デカンテーションした
液のうちの10ml分を触媒として使用した。35.0
4g(0.10mol)の9,9−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)フルオレン、75gのトルエン、及び10
0gのベンゾフェノンの混合物を、Dean−Star
kトラップ、冷却器、窒素入口、機械式撹拌機及び温度
計を取り付けた500mlの三つ口丸底フラスコに入れ
た。撹拌しながら窒素雰囲気下で混合物を60℃に加熱
した。均一になってから水酸化ナトリウムの50重量%
水溶液16.00g(水酸化ナトリウム0.20mo
l)を10分かけてゆっくり加えた。この反応混合物を
約140℃に加熱し、水の共沸混合物を集めた。4時間
後、且つ完全な脱水が確実になってから、反応混合物の
温度を200℃に上昇させ、蒸留によりトルエンを除去
した。反応混合物を80℃に冷却し、31.20g
(0.10mol)の4,4'−ジブロモビフェニルを
加えた。次に、反応混合物を200℃に加熱した。上記
の塩化第一銅/キノリン触媒のうちの10ml分を反応
混合物に加えた。反応混合物を200℃で17時間保持
した。この後、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレンの二ナトリウム塩の大部分が溶液になっ
た。0.15g分の乾燥した塩化第一銅粉末を反応混合
物に加えた。反応混合物を100℃まで冷却し、200
gのトルエンを加えた。次いで、1000gのメタノー
ル中を添加して反応混合物を急冷した。沈殿物を分離
し、2リットルの沸騰水中に8時間入れた。沈殿物をま
ずオーブン(100℃)で乾燥させ、次いで300gの
テトラヒドロフランに溶解させ、次いで1リットルのア
セトン中で沈殿させた。沈殿物を集め、300gのテト
ラヒドロフランに溶解させ、次いで1リットルのアセト
ン中で再沈殿させた。ポリマーを集めてから、真空オー
ブン(100℃)中で一晩乾燥させた、ポリマーが42
gを得た。このポリマーは銅を3.0ppm、ナトリウ
ムを5.5ppm含有するものであった。
【0041】(実施例1)参考例1で得られた重合体5
gをトルエン(関東化学、電子材料グレード)95gに
溶解し、空冷管と攪拌装置のついた100mLフラスコ
に入れる。これに酢酸(関東化学、電子材料グレード)
10gを加えて攪拌しながら60分加熱還流する。得ら
れた溶液に純水を加えて攪拌し、水相とともに酢酸を捨
てる。水相が中性を示すまでこの操作を繰り返し、有機
相をエタノール1000gに滴下し、PTFE0.5μ
mのフィルターで高分子固形分を単離し真空乾燥した。
こうして精製されたポリマーは銅を0.2ppm、ナト
リウムは0.1ppm含むものであった。
【0042】(比較例1)参考例1で得られたポリマー
5gを、トルエン(関東化学、電子材料グレード)95
gに溶解して5%溶液とし、この溶液を攪拌しながら貧
溶媒としてエタノール(関東化学、電子材料グレード)
50gを滴下してポリマーを塊状に沈殿させ、上澄みを
捨てた。沈殿を再び95gのトルエンに溶かして、一連
の再沈殿操作を3回繰り返した。こののち、95gのト
ルエンに溶かしたポリマー溶液を1000gのエタノー
ル中に攪拌しながら滴下して粉末状のポリマー沈殿を
得、PTFE0.5μmのフィルターでろ過して真空乾
燥した。こうして得られたポリマーは銅を60ppm、
ナトリウムを2.9ppm含有するものであった。再沈
殿を繰り返しているにも関わらず、実施例1と比べて金
属不純物が多いことから、実施例1における酢酸の洗浄
効果が明白である。
【0043】(実施例2)参考例1で得られた重合体5
gに対して実施例1の酢酸洗浄操作を二度繰り返して施
し、エタノールから再沈殿して高分子固形分を単離し真
空乾燥した。こうして得られたポリマーは銅を0.07
ppm、ナトリウムを0.05ppm含有するものであ
った。
【0044】(実施例3)参考例2で得られた重合体を
実施例2と同様に酢酸で繰り返して洗浄し、エタノール
中にトルエン溶液を滴下して高分子固形分を単離し真空
乾燥した。こうして精製されたポリマーは銅を0.06
ppm、ナトリウムは0.06ppm含むものであっ
た。
【0045】(実施例4)参考例1で得られた重合体5
gにトルエン(関東化学、電子材料グレード)95gを
加えて均一溶液とし、酢酸(関東化学、電子材料グレー
ド)10gを加えて室温で5分間攪拌する。これに水を
加えて攪拌し、水相とともに酢酸を捨て、水相が中性を
示すまで水洗を繰り返す。上記の一連の操作を5回繰り
返し、最後に有機相をエタノール1000gに滴下して
高分子固形分を単離し真空乾燥した。 こうして精製さ
れたポリマーは銅を0.05ppm、ナトリウムは0.
03ppmであった。
【0046】(実施例5)参考例1で得られた重合体5
gをトルエン(関東化学、電子材料グレード)95gに
溶解し、これに酢酸(関東化学、電子材料グレード)1
00gを加えてポリマーを塊状に沈殿させ、上澄みを捨
てる。一連の操作を5回繰り返し、最後に95gのトル
エンを加えて均一溶液とし、これをエタノール1000
gに滴下して高分子固形分を単離し真空乾燥した。こう
して得られたポリマーは銅を0.05ppm、ナトリウ
ムを0.03ppm含有するものであった。
【0047】(実施例6)実施例1で得られた重合体2
gとラジカル発生剤として2、3−ジメチル−2、3−ジフ
ェニルブタン0.3gをアニソール20gに溶解し両者
を混合した後、ガラス板上に塗布し、乾燥して膜厚80
μmの被膜を得た。この被膜を窒素中200℃1時間乾
燥して溶剤を揮散させ、窒素中240℃でさらに1時間
架橋を行い、その後窒素中450℃の熱処理を行った。
得られた薄膜は目視及び光学顕微鏡による観察では全く
ヒビ割れ等の欠陥が見られなかった。またN−メチルピ
ロリドン浸漬でも外観上は変化なく、溶出量は0.2%
であった。さらにアニール後の被膜の5%重量減少温度
は553℃であり、また400℃で2時間維持した際の
1時間あたりの重量減少は0.8%であることから、こ
のラジカル発生剤で耐熱性がさらに向上したことを確認
した。
【0048】(実施例7)ラジカル発生剤としてジベン
ジル0.3gを用いる以外は実施例6と同様の操作を行
った。アニール後の被膜ではN−メチルピロリドン浸漬
でも外観上は変化なく、溶出量は0.2%であった。さ
らにアニール後の被膜の5%重量減少温度は550℃で
あり、このラジカル発生剤で耐熱性が向上したことを確
認した。
【0049】(実施例8)ラジカル発生剤として過酸化
ベンゾイルを用いる以外は実施例6と同様の操作を行っ
た。アニール被膜ではDSCによるガラス転移温度は観
測されず、またN−メチルピロリドン浸漬でも外観上は
変化なく、溶出量は0.8%であった。またアニール後
の被膜の5%重量減少温度は540℃であった。
【0050】(実施例9)実施例1で得た重合体0.9
gと2、3−ジメチル−2、3−ジフェニルブタン0.
1gをメシチレン15gに溶解しアルミニウムでコ−ト
したシリコン基板上に3000rpmで30秒間回転塗
布した後窒素雰囲気下200℃、230℃、450℃の
各温度で30分ずつ1時間乾燥・架橋することにより、
0.98μmの全くヒビ割れ等の欠陥のない均質な被膜
を形成した。この被膜上にアルミニウム電極を形成し測
定した1MHzでの誘電率は2.70であった。またこ
のシリコン基板上の被膜を65℃のN−メチルピロリド
ンに1時間浸漬したが膜剥れ等は生じず、浸漬後の膜厚
は0.98μmであり全く変化していなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明により、耐熱性と誘電特性に優れ
た芳香族ポリエーテルを高純度で得ることができる。該
高分子から得られた架橋被膜は、誘電率の低いLSI多
層配線用絶縁膜、バッファコートとして用いることが可
能であり、産業上、大いに有用である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリエーテルに、加熱乾燥後に不
    純物を残さない有機酸を作用させてポリマー中の金属不
    純物を除くことを特徴とする芳香族ポリエーテルの精製
    方法。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリエーテルが2,6−ジフェニ
    ルフェノールユニットを含むポリマーであることを特徴
    とする請求項1に記載の精製方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2の精製方法により
    得られた、ナトリウムと銅の濃度が夫々0.08ppm
    以下であることを特徴とする芳香族ポリエーテル。
  4. 【請求項4】 ナトリウムと銅の濃度が夫々0.08p
    pm以下であることを特徴とする芳香族ポリエーテル。
  5. 【請求項5】 請求項3又は請求項4に記載のポリマー
    に必要に応じてラジカル発生剤を添加したポリマー溶
    液。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の溶液を膜状にした後、
    溶媒を除去して得られる膜厚が0.1μm〜500μm
    の重合体被膜。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の重合体被膜を架橋する
    ことにより得られる架橋重合体被膜。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の重合体被膜を絶縁体と
    して用いることを特徴とする半導体素子。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の重合体被膜をバッファ
    膜として用いることを特徴とする半導体素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006328412A (ja) * 2002-04-22 2006-12-07 Jsr Corp ポリアリーレンエーテルの製造方法、膜形成用組成物、膜の形成方法および有機膜
JP2009026810A (ja) * 2007-07-17 2009-02-05 Asahi Glass Co Ltd パターン形成方法
JP2015180856A (ja) * 2014-03-06 2015-10-15 株式会社神戸製鋼所 腐食モニタリングセンサ並びに腐食深さ算出システム及び金属腐食速度算出システム
JP2016516871A (ja) * 2013-04-29 2016-06-09 エボニック デグサ ゲーエムベーハーEvonik Degussa GmbH ポリ(アリーレンエーテル)の精製方法

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