JPH11322841A - 耐候性ポリオレフィン樹脂およびその製造方法、ならびに耐候性樹脂組成物 - Google Patents

耐候性ポリオレフィン樹脂およびその製造方法、ならびに耐候性樹脂組成物

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JPH11322841A
JPH11322841A JP12640998A JP12640998A JPH11322841A JP H11322841 A JPH11322841 A JP H11322841A JP 12640998 A JP12640998 A JP 12640998A JP 12640998 A JP12640998 A JP 12640998A JP H11322841 A JPH11322841 A JP H11322841A
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和浩 河野
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Koji Mori
浩司 森
Atsuo Akata
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂成形品からの紫外線吸収剤の揮散やブリー
ドアウト等がなく、長期にわたり優れた耐候性を示すポ
リオレフィン樹脂およびその製造方法、ならびに耐候性
樹脂組成物を提供することにある。 【解決手段】カルボキシル基含有変性ポリオレフィン
に、水酸基またはヒドロキシアルキル基を有する(A)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、(B)ビスベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤および(C)トリアジン系
紫外線吸収剤からなる群より選ばれた少なくとも一種で
ある紫外線吸収剤を、エステル結合を介して固定化した
耐候性ポリオレフィン樹脂。該ポリオレフィン樹脂をベ
ース樹脂に含有させた樹脂組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期にわたって優
れた耐候性を示すポリオレフィン樹脂およびその製造方
法、ならびに該ポリオレフィン樹脂をベース樹脂に含有
させた耐候性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポ
リオレフィンは、フィルム、シート、パイプ等の各種形
態に成形され、たとえば農業用フィルム、食品あるいは
工業用包装材料、カバーシート、止水シート、保護パイ
プ、被覆フェンス等のプラスチック製品として、室内の
みならず、多くの耐候性が求められる屋外にて利用され
ている。
【0003】ところが、上記ポリオレフィンは一般に、
紫外線で劣化しやすい欠点を有するため耐候性が不十分
であり、上述のようなプラスチック製品、特に太陽光に
曝される機会が多い屋外用のプラスチック製品を作製す
る場合には、該製品自体の耐候性の改善を図るために、
ポリオレフィンに紫外線吸収剤を配合する方法が採用さ
れている。
【0004】しかしながら、従来公知の紫外線吸収剤の
ほとんどは低分子化合物であるため、下記のような多く
の問題点を抱えていた。
【0005】すなわち、上記紫外線吸収剤は、低分子で
あるが故に蒸気圧が高く、樹脂にブレンドして成形加工
する際に蒸散して作業環境を汚染したり、金型を汚す等
の問題が生じることが知られている。また、上記紫外線
吸収剤は添加型であり、ベース樹脂と単に混ぜ合わせて
使用するため、一旦得られた成形品や塗膜の表面から経
時的にブリードアウトしたり、使用環境において雨や洗
剤などを含む水等により流出したりして、長期間、製品
に耐候性を付与することができないおそれがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、特開昭63−
227575号公報には、分子内に不飽和基を有する紫
外線吸収剤をポリエチレン樹脂の重合時に添加すること
によって直接、樹脂骨格内に紫外線吸収剤を導入する方
法が提唱されている。上記公報に開示の方法では、従来
の添加型紫外線吸収剤に見られるような、樹脂からの該
紫外線吸収剤の蒸散やブリードアウト等を起こすおそれ
がない樹脂成形品が得られるものと期待される。
【0007】しかしながら、チグラーナッタ(Zieg
ler−Natta)触媒等を用いる一般のポリオレフ
ィン重合反応では、添加する紫外線吸収剤が当該重合反
応を妨げるため、得られる重合体の物性が低下してしま
う等の問題が生じて、事実上、この手法を用いることは
困難であった。
【0008】また特開平7−11031号公報には、不
飽和基を有する紫外線吸収剤をラジカル開始剤や電子線
を用いてポリオレフィンに直接グラフト化させる方法が
開示されている。しかしながら、この公報に開示の方法
も反応率が低かったり、ポリオレフィンの分子鎖の切断
や架橋などが起こり、物性が低下しまう等の問題があ
る。
【0009】さらに特開平4−298505号公報に
は、水酸基を有するベンゾフェノン型紫外線吸収剤を酸
変成ポリオレフィンと反応させることにより高分子タイ
プの紫外線吸収剤へと変換する方法が開示されている。
【0010】しかしながら、上記ベンゾフェノン型紫外
線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系あるいはビスベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤と比べてカバーできる吸収
波長の領域が狭いこと、またヒンダードアミン系光安定
剤等との相乗効果が望めないことなど、樹脂に長期にわ
たる十分な耐候性を付与させるには満足できるものでは
ない。
【0011】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、樹脂成形品からの紫外線吸収剤の揮
散やブリードアウト等がなく、長期にわたり耐候性が優
れた樹脂およびその製造方法、ならびにポリオレフィン
組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、樹脂から
の紫外線吸収剤の蒸散やブリードアウト等を起こすおそ
れがない耐候性ポリオレフィン樹脂を開発すべく鋭意検
討した結果、水酸基またはヒドロキシアルキル基を有す
る特定の紫外線吸収剤を、カルボキシル基含有変性ポリ
オレフィンを用いてエステル結合によって固定化させて
得られる樹脂は、驚くべきことに長期にわたって優れた
耐候性を示すという事実を見出し、本発明を完成するに
到った。
【0013】すなわち、本発明の耐候性ポリオレフィン
樹脂は、カルボキシル基含有変性ポリオレフィンに、水
酸基またはヒドロキシアルキル基を有する(A)ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤、(B)ビスベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤および(C)トリアジン系紫外線
吸収剤からなる群より選ばれた少なくとも一種である紫
外線吸収剤を、エステル結合を介して固定化したことを
特徴とするものである。
【0014】本発明の耐候性ポリオレフィン樹脂は、紫
外線吸収剤が変性ポリオレフィンにエステル結合で固定
化されているため、従来の添加型紫外線吸収剤に見られ
るような樹脂からの該紫外線吸収剤の蒸散やブリードア
ウト等を起こすことがなく、樹脂に長期耐候性を付与で
きる高分子型紫外線吸収剤としての特徴を有するもので
ある。
【0015】また上記耐候性ポリオレフィン樹脂は、種
々の樹脂、とりわけポリオレフィンに対して優れた相溶
性を示すため、当該耐候性ポリオレフィン樹脂を、種々
の樹脂、とくに未変性ポリオレフィンとブレンドするこ
とにより、長期耐候性に優れた樹脂組成物を得ることが
できる。
【0016】よって本発明は、前記の耐候性ポリオレフ
ィン樹脂をマスターバッチとして、未変性ポリオレフィ
ン等のベース樹脂をブレンドすることにより得られる耐
候性樹脂組成物を得ることができる。
【0017】上記樹脂組成物は、耐候性ポリオレフィン
樹脂と同様に、高温で成型加工しても紫外線吸収剤が揮
散しにくく、かつ、得られた成型体表面から紫外線吸収
剤がブリードアウトしにくいため、長期間にわたり高度
な耐候性を有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0019】本発明で使用する水酸基またはヒドロキシ
アルキル基を有する紫外線吸収剤としては、例えばベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線
吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ジフェニル
シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外
線吸収剤などがあげられるが、特にベンゾトリアゾール
系紫外線吸収剤、ビスベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤およびトリアジン系紫外線吸収剤からなる群より選ば
れた少なくとも一種を使用することが好ましい。
【0020】本発明で使用されるベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤としては、一般式(1):
【0021】
【化1】 〔式中、R1 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、
アリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲ
ン原子を示す。R2 は水素原子、メチル基、炭素数4〜
8の第3級アルキル基、アリール基、炭素数1〜4のア
ルコキシ基またはハロゲン原子を示す。R3 は水酸基ま
たは直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1〜12のヒドロ
キシアルキル基を示す。〕で表される化合物があげられ
る。
【0022】上記一般式(1) に示される各基を具体的に
説明すると以下の通りである。
【0023】炭素数1〜4のアルキル基としては、例え
ばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、
イソブチル、t−ブチルなどのアルキル基があげられ
る。
【0024】炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例
えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシ、t−ブトキシ等のアルコキシ基があげら
れる。
【0025】ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、
臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子などがあげられる。
【0026】炭素数4〜8の第3級アルキル基として
は、例えばt−ブチル、ネオペンチル、2,2−ジメチ
ルヘプチル、2,2−ジメチルヘキシルなどの第3級ア
ルキル基があげられる。
【0027】アリール基としては、フェニル環上に炭素
数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、
ハロゲン原子等を有することのあるフェニル、ナフチル
基などがあげられる。
【0028】炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状
のヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメ
チル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピ
ル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブ
チル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、5,
5,4−トリヒドロキシペンチル、5−ヒドロキシペン
チル、6−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシイソプ
ロピル、2−メチル−3−ヒドロキシプロピル、7−ヒ
ドロキシヘプチル、8−ヒドロキシオクチル、9−ヒド
ロキシノニル、10−ヒドロキシデシル、11−ヒドロ
キシウンデシル、12−ヒドロキシドデシル等の水酸基
を1〜3個有する炭素1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖
状のアルキル基があげられる。
【0029】一般式(1) に示される紫外線吸収剤を具体
的に説明すると、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(ヒ
ドロキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾー
ル、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシエチ
ル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−
[2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシプロピル)フ
ェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒ
ドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシメチル)
フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−
ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキシエチ
ル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−
[2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(ヒドロキ
シプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、
2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−
(ヒドロキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリア
ゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−
5’−(ヒドロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾ
トリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブ
チル−5’−(ヒドロキシプロピル)フェニル]−2H
−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’
− t−オクチル−5’−(ヒドロキシメチル)フェニ
ル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロ
キシ−3’− t−オクチル−5’−(ヒドロキシエチ
ル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−
[2’−ヒドロキシ−3’−t−オクチル−5’−(ヒ
ドロキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾ
ール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−
5’−(ヒドロキシエチル)フェニル]−5−クロロ−
2H−ベンゾトリアゾール等の化合物が例示できる。
【0030】本発明で使用されるビスベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤、すなわちビス(ヒドロキシアルキル
−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)化合物として
は、一般式(2):
【0031】
【化2】 [式中、Aは直接結合するかあるいは炭素数1〜6のア
ルキレン基、基:−C(CH3 2 −、基:−C(C2
5 )(CH3 )−、基:−O−または基:−NH−、
基:−S−、基:−SO2 −または基:−SO−を示
す。R4 およびR5は、同一または異なって水酸基また
は炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキ
シアルキル基を示す。R6 およびR7 は、同一または異
なって水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール
基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を
示す。]で表されるものがあげられる。
【0032】上記一般式(2) に示される各基を具体的に
説明すると以下の通りである。
【0033】炭素数1〜6のアルキレン基としては、例
えばメチレン、エチレン、トリメチレン、2−メチルト
リメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、1−メチ
ルトリメチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、テ
トラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレンなどの
アルキレン基があげられる。
【0034】炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状
のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、
炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アリール
基としては、上述と同様な基があげられる。
【0035】一般式(2) に示される紫外線吸収剤を具体
的に説明すると、2, 2’−メチレンビス[6−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)−2, 4−ジヒドロ
キシベンゼン]、2, 2’−メチレンビス[6−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(ヒドロキシ
メチル)フェノール]、2, 2’−メチレンビス[6−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−
ヒドロキシエチル)フェノール]、2, 2’−メチレン
ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノー
ル]、2, 2’−メチレンビス[6−(5−ブロモ−2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒド
ロキシエチル)フェノール]、2, 2’−メチレンビス
[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−
(3−ヒドロキシプロピル)フェノール]、2, 2’−
メチレンビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)
フェノール]、2, 2’−メチレンビス[6−(5−ブ
ロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−
(3−ヒドロキシプロピル)フェノール]、2, 2’−
メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−
イル)−4−(2−ヒドロキシプロピル)フェノー
ル]、2, 2’−メチレンビス[6−(5−クロロ−2
H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒド
ロキシプロピル)フェノール]、2, 2’−メチレンビ
ス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)−4−(2−ヒドロキシプロピル)フェノー
ル]、2, 2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾト
リアゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチ
ル)フェノール]、2, 2’−メチレンビス[6−(5
−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−(4−ヒドロキシブチル)フェノール]、2, 2’−
メチレンビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フ
ェノール]、3, 3−{2, 2’−ビス[6−(2H−
ベンゾトリアゾール−2−イル)−1−ヒドロキシ−4
−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]}プロパン、
2, 2−{2, 2’−ビス[6−(2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒド
ロキシエチル)フェニル]}ブタン、2, 2’−ビス
[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−
(2−ヒドロキシエチル)フェノール]エーテル、2,
2’−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]アミ
ン、2, 2’−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノー
ル]スルフィド、2, 2’−ビス[6−(2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチ
ル)フェノール]スルホキシド、2, 2’−ビス[6−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−
ヒドロキシエチル)フェノール]スルホン等があげられ
る。
【0036】本発明で使用されるトリアジン系紫外線吸
収剤としては、一般式(3):
【0037】
【化3】 〔式中、R8 およびR9 は同一または異なって、水素原
子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、
炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を示
す。R10は水酸基、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1
〜12のヒドロキシアルコキシ基、または直鎖若しくは
分岐鎖状の炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示
す。〕で表される化合物があげられる。
【0038】上記一般式(3) に示される各基を具体的に
説明すると以下の通りである。
【0039】炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、
炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、直鎖状も
しくは分岐鎖状の炭素数1〜12のヒドロキシアルキル
基としては、上述と同様の基があげられる。
【0040】炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状
のヒドロキシアルコキシ基としては、例えばヒドロキシ
メトキシ、2−ヒドロキシエチルオキシ、3−ヒドロキ
シプロピルオキシ、2−ヒドロキシプロピルオキシ、
2,3−ジヒドロキシプロピルオキシ、4−ヒドロキシ
ブチルオキシ、5−ヒドロキシペンチルオキシ、3,
4,5−トリヒドロキシペンチルオキシ、6−ヒドロキ
シヘキシルオキシ、1−ヒドロキシイソプロピルオキ
シ、2−メチル−3−ヒドロキシプロピルオキシ、7−
ヒドロキシヘプチルオキシ、8−ヒドロキシオクチルオ
キシ、9−ヒドロキシノニルオキシ、10−ヒドロキシ
デシルオキシ、11−ヒドロキシウンデシルオキシ、1
2−ヒドロキシドデシルオキシ等の水酸基を1〜3個有
する炭素1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルコキ
シ基があげられる。
【0041】一般式(3) に示される紫外線吸収剤を具体
的に説明すると、2−(2, 4−ジヒドロキシフェニ
ル)−4, 6−ジフェニル−s −トリアジン、2−
(2, 4−ジヒドロキシフェニル)−4, 6−ビス
(2, 4−ジメチルフェニル)−s −トリアジン、。2
−(2, 4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス
(2−メトキシフェニル)−s −トリアジン、2−
(2, 4−ジヒドロキシフェニル)−4, 6−ビス(4
−メトキシフェニル)−s −トリアジン、2−(2, 4
−ジヒドロキシフェニル)−4, 6−ビス(2, 4−ジ
メトキシフェニル)−s −トリアジン、2−(2−ヒド
ロキシ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−4, 6−ジ
フェニル−s −トリアジン、2−(2ヒドロキシ−4−
ヒドロキシメチルフェニル)−4, 6−ビス(2, 4−
ジメチルフェニル)−s −トリアジン、2−(2−ヒド
ロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)−
4, 6−ジフェニル−s −トリアジン、2−(2ヒドロ
キシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)−4,
6−ビス(2, 4−ジメチルフェニル)−s −トリアジ
ン、2−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチ
ルオキシ)フェニル)−4, 6−ジフェニル−s −トリ
アジン、2−(2ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエ
チルオキシ)フェニル)−4, 6−ビス(2, 4−ジメ
チルフェニル)−s −トリアジン、2−(2−ヒドロキ
シ−4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)−4,
6−ジフェニル−s −トリアジン、2−(2ヒドロキシ
−4−(2−ヒドロキシプロピル)フェニル)−4, 6
−ビス(2, 4−ジメチルフェニル)−s −トリアジ
ン、2−(2−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロ
ピル)フェニル)−4, 6−ジフェニル−s −トリアジ
ン、2−(2ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピ
ル)フェニル)−4, 6−ビス(2, 4−ジメチルフェ
ニル)−s −トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−
(2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル)−4, 6
−ジフェニル−s −トリアジン、2−(2ヒドロキシ−
4−(2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル)−
4, 6−ビス(2, 4−ジメチルフェニル)−s −トリ
アジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ
ブチル)フェニル)−4, 6−ジフェニル−s −トリア
ジン、2−(2ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチ
ル)フェニル)−4, 6−ビス(2, 4−ジメチルフェ
ニル)−s −トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−
(3−ヒドロキシブチル)フェニル)−4, 6−ジフェ
ニル−s −トリアジン、2−(2ヒドロキシ−4−(3
−ヒドロキシブチル)フェニル)−4, 6−ビス(2,
4−ジメチルフェニル)−s −トリアジン、2−(2−
ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)フェ
ニル)−4, 6−ジフェニル−s −トリアジン、2−
(2ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシブルオキシ)フ
ェニル)−4,6−ビス(2, 4−ジメチルフェニル)
−s −トリアジン、、2−(2, 4−ジヒドロキシフェ
ニル)−4, 6−ビス(2, 4−ジヒドロキシフェニ
ル)−s −トリアジン、、2−(2, 4−ジヒドロキシ
フェニル)−4, 6−ビス(2−ヒドロキシフェニル)
−s −トリアジン、2−(2, 4−ジヒドロキシフェニ
ル)−4, 6−ビス(2−ヒドロキシ−4−ジメチルフ
ェニル)−s −トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4
−ヒドロキシメチルフェニル)−4, 6−ビス(2−ヒ
ドロキシ−4−ジメチルフェニル)−s −トリアジン、
2−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)
フェニル)−4, 6−ビス(2−ヒドロキシ−4−ジメ
チルフェニル)−s −トリアジン、2−(2−ヒドロキ
シ−4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル)−
4, 6−ビス(2−ヒドロキシ−4−ジメチルフェニ
ル)−s −トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−
(3−ヒドロキシプロピル)フェニル)−4, 6−ビス
(2−ヒドロキシ−4−ジメチルフェニル)−s −トリ
アジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ
プロピル)フェニル)−4, 6−ビス(2−ヒドロキシ
−4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2
−ヒドロキシ−4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)
フェニル)−4, 6−ビス(2−ヒドロキシ−4−ジメ
チルフェニル)−s−トリアジンなどがあげられる。
【0042】本発明で用いるカルボキシル基含有変性ポ
リオレフィンは、分子内にカルボキシル基を少なくとも
一つ有することを必須要件とし、オレフィンとα,βー
エチレン性不飽和カルボン酸、またはその誘導体との共
重合体を意味するものである。
【0043】なお、上記カルボキシル基としては、モノ
カルボン酸またはジカルボン酸、あるいはそのエステル
誘導体、もしくはその無水物のいずれの状態であっても
かまわない。
【0044】上記カルボキシル基含有変性ポリオレフィ
ンは、オレフィンとα,βーエチレン性不飽和カルボン
酸、またはその誘導体とを共重合する方法、ポリオレフ
ィンにα,βーエチレン性不飽和カルボン酸、またはそ
の誘導体をグラフト共重合する方法、ポリオレフィンに
α,βーエチレン性不飽和カルボン酸、またはその誘導
体をブロック共重合する方法などによって得ることがで
きる。
【0045】また本発明では、市販のα,βーエチレン
性不飽和カルボン酸誘導体変性ポリオレフィンを入手し
て用いてもよい。
【0046】オレフィンとしては、例えばエチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1
−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンな
どのいわゆるα−オレフィンを含むモノマーがあげられ
る。
【0047】また、α,β−エチレン性不飽和カルボン
酸またはその誘導体としては、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ
ール酸、メザコン酸、シトラコン酸、またはこれら化合
物の低級アルキルエステルや無水マレイン酸などがあげ
られる。
【0048】本発明において、カルボキシル基含有変性
ポリオレフィンの共重合に使用されるオレフィンとα,
βーエチレン性不飽和カルボン酸等との使用割合は、変
性オレフィンと紫外線吸収剤とを反応して得られる耐候
性ポリオレフィン樹脂を単独で使用する場合と、この耐
候性ポリオレフィン樹脂をマスターバッチとして使用す
る場合とでは異なるが、通常オレフィン100重量部に
対してα,βーエチレン性不飽和カルボン酸を0.01
〜100重量部程度、好ましくは0.1〜70重量部程
度であるのがよい。
【0049】本発明の耐候性ポリオレフィン樹脂は、水
酸基またはヒドロキシアルキル基を有する特定の紫外線
吸収剤と、変性ポリオレフィンとをエステル化あるいは
エステル交換反応に付すことによって容易に得ることが
できる。その際、両者を溶融条件下で混合するだけでも
よいが、必要に応じて溶媒及び触媒等を適宜使用しても
よい。
【0050】上記溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプ
タン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テト
ラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等があげられ
る。これらは単独で使用するか、もしくは目的に応じて
2種類以上組み合わせた混合溶媒を使用してもよい。
【0051】また、溶媒の使用量は特に制限されるもの
ではなく、撹拌の容易さ、反応温度、基質の溶解度に応
じて適宜選定できるが、基質全量に対して50〜500
重量部用いるのが好ましい。
【0052】触媒としては、通常エステル交換反応に使
用されるものであれば特に限定されないが、硫酸、p−
トルエンスルホン酸、モリブデン酸等の酸性化合物を使
用するのが好ましい。これらは単独で使用するか、もし
くは目的に応じて2種類以上混合して使用することがで
きる。また、触媒の使用量は特に限定されないが、基質
全量に対して0.01〜10重量部用いるのが好まし
い。
【0053】また本発明では、上述の溶融条件下の混合
を、押出成形機または混練機等を用いて行えば、(i) 耐
候性ポリオレフィン樹脂の大量生産が可能である、(ii)
製品の型を該押出成形機等に設置することによって直接
成形品を製造することができる。(iii) 溶媒を使用しな
いことから製造環境を汚染しない等の、利点を有するも
のである。
【0054】本発明の、耐候性ポリオレフィン樹脂を得
るに際して紫外線吸収剤の配合量は、変性ポリオレフィ
ン100重量部に対して0.01〜70重量部程度とす
ればよい。
【0055】ただし、上記耐候性ポリオレフィン樹脂
を、例えば成形材料として単独で使用する場合には、紫
外線吸収効果のより一層の発現、および物性低下のさら
なる防止を図るために、紫外線吸収剤は、好ましくは変
性ポリオレフィン100重量部に対して1〜30重量部
配合される。
【0056】また、上記耐候性ポリオレフィン樹脂をマ
スターバッチ化し、樹脂添加剤などとして使用する場合
には、やはり紫外線吸収効果をより一層発現させたり、
物性低下や外観不良をさらに防止するために、紫外線吸
収剤は、好ましくは変性ポリオレフィン100重量部に
対して5〜50重量部配合される。
【0057】上述の反応により得られる本発明の耐候性
ポリオレフィン樹脂は、紫外線吸収剤が変性ポリオレフ
ィンにエステル結合で固定化されているため、従来のベ
ース樹脂と単に混合した添加型紫外線吸収剤ではなく、
高分子型紫外線吸収剤としての側面を有するものであ
る。
【0058】従って、上記耐候性ポリオレフィン樹脂を
高温で成型加工する際しても、紫外線吸収剤が揮散しに
くく、かつ、得られた成型体表面からブリードアウトし
にくいため長期にわたって高度な耐候性を有するもので
ある。
【0059】また上記耐候性ポリオレフィン樹脂は、種
々の公知樹脂、とりわけ未変性ポリオレフィンに対して
優れた相溶性を示すため、かかる耐候性ポリオレフィン
樹脂を未変性ポリオレフィン等の樹脂をベース樹脂とし
てブレンドすることにより、長期にわたって耐候性に優
れた樹脂組成物を得ることができる。
【0060】本発明の樹脂組成物において使用される樹
脂としては、公知の種々の樹脂が使用できる。
【0061】上記未変性ポリオレフィンとしては、例え
ばポリエチレンやポリプロピレン、あるいはそれらと1
−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4
−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなど他のα−オ
レフィンとの共重合体、酢酸ビニル等とのビニル共重合
体、メタクリル酸メチル等とのアクリル系共重合体及び
これらの組成物があげられる。
【0062】本発明の耐候性ポリオレフィン樹脂を未変
性ポリオレフィン等のベース樹脂にブレンドする際に使
用する配合割合は、未変性ポリオレフィン100重量部
に対して耐候性ポリオレフィン樹脂が1〜100重量部
程度、好ましくは5〜70重量部の範囲にあるのがよ
い。
【0063】耐候性ポリオレフィン樹脂の配合量が上記
範囲を下回ると、本発明で期待する耐候性が得られない
おそれがある。逆に、上記範囲を上回るとブレンドする
未変性ポリオレフィンとの相溶性が不十分となり、外観
不良や物性低下等を引き起こすおそれがある。また必要
以上に配合しても経済的ではない。本発明の耐候性樹脂
組成物は、耐候性ポリオレフィン樹脂と未変性ポリオレ
フィン等のベース樹脂とを公知の適当な方法、たとえば
V型ブレンダー、ヘンシェルミキサーなどにより混合
し、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等通常の混
練装置により均一に分散して得ることができる。その
際、例えば樹脂安定剤、過酸化物分解剤、抗酸化剤、光
安定剤、銅害防止剤、粉砕性改良剤、帯電防止剤、難燃
剤、スリップ剤、顔料等の公知の添加剤を同時に配合し
てもよい。
【0064】本発明の耐候性ポリオレフィン樹脂および
耐候性樹脂組成物は、既知の方法で容易にフィルム、シ
ート、パイプ等の各種形成品に形成され、たとえば農業
用フィルム、食品あるいは工業用包装材料、カバーシー
ト、止水シート、保護パイプ、被覆フェンス等、多くの
耐候性が求められる屋外用途のプラスチック製品に利用
することができる。
【0065】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をより具体的に
説明する。 実施例1 変性ポリオレフィン(商品名:ダイヤカルナPAR12
4、三菱化学(株)製)100gに対し、ヒドロキシア
ルキル基を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシエチル)フェ
ニル−2H−ベンゾトリアゾール)10gと硫酸1gと
を加えて減圧下、130℃で7時間撹拌した。得られた
粗生成物をクロロホルムに溶解し、そのクロロホルム溶
液をメタノール中に滴下する、いわゆる再沈法を経過し
て精製することにより、未反応の紫外線吸収剤モノマー
を完全に除去した。
【0066】このようにして得た生成物を、減圧下で乾
燥することにより106gの耐候性ポリオレフィン樹脂
を淡黄白色粉末として得た。
【0067】上記得られた耐候性ポリオレフィン樹脂
を、クロロホルムに溶解して紫外可視分光光度計を用い
て345nmにおける吸光度の値、および元素分析の結
果から、得られた耐候性ポリオレフィン樹脂は分子内に
紫外線吸収剤を8.2重量部固定化したものであること
を確認した。
【0068】次に、得られた耐候性ポリオレフィン樹脂
を、安定剤不含のポリプロピレン100gに対し10g
添加し、ドライブレンドを行った後、押出機で溶融混練
を行い耐候性ポリオレフィンの押出ペレットを得た。
【0069】このペレットを油圧プレスを用いて190
℃,150気圧の条件で300μm厚のシートとした。 実施例2 変性ポリオレフィン(商品名:ハイワックス1105
A、三井石油化学工業(株)製)100gに対し、ヒド
ロキシアルキル基を有するベンゾトリアゾール系紫外線
吸収剤(2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシエチ
ル)フェニル−2H−ベンゾトリアゾール)10gとp
−トルエンスルホン酸1gとを加えて減圧下、160℃
で7時間撹拌した。得られた粗耐候性ポリオレフィン樹
脂は、実施例1と同様の方法で精製し、105gの耐候
性ポリオレフィン樹脂を淡黄白色粉末として得た。
【0070】また、実施例1と同様の測定を行うことに
より、得られた耐候性ポリオレフィン樹脂は分子内に紫
外線吸収剤を8.1重量部固定化したものであることを
確認した。
【0071】次に、得られた耐候性ポリオレフィン樹脂
を、安定剤不含のポリプロピレン100gに対し10g
添加し、実施例1と同様な条件で押出ペレットを得、実
施例1と同様にして300μm 厚のシートを得た。 実施例3 変性ポリオレフィン(商品名:ハイワックス1105
A、三井石油化学工業(株)製)100gに対し、ヒド
ロキシアルキル基を有するビスベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤(2, 2’−メチレンビス[6−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシ
エチル)フェノール])10gとp−トルエンスルホン
酸1gを加えて減圧下、160℃で7時間撹拌した。
【0072】得られた粗耐候性ポリオレフィン樹脂を、
実施例1と同様の方法で精製し、107gの耐候性ポリ
オレフィン樹脂を淡黄白色粉末として得た。また実施例
1と同様の測定を行うことにより、得られた耐候性ポリ
オレフィン樹脂は分子内に紫外線吸収剤を8.2重量部
固定化したものであることを確認した。
【0073】次に、得られた耐候性ポリオレフィン樹脂
を、安定剤不含のポリプロピレン100gに対し10g
添加し、実施例1と同様な条件で押出ペレットを得、実
施例1と同様にして300μm 厚のシートを得た。
【0074】なお、使用したビスベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤は、特開平9−316060号公報に開示
の方法に従って合成した。 実施例4 変性ポリオレフィン(商品名:ハイワックス1105
A、三井石油化学工業(株)製)100gに対し、ヒド
ロキシアルキル基を有するトリアジン系紫外線吸収剤
(2−(2, 4−ジヒドロキシフェニル)−4, 6−ジ
フェニル−s −トリアジン)10gとpートルエンスル
ホン酸1gとを加えて減圧下、160℃で7時間撹拌し
た。得られた粗耐候性ポリオレフィン樹脂を、実施例1
と同様の方法で精製し、101gの耐候性ポリオレフィ
ン樹脂を淡黄白色粉末として得た。
【0075】また実施例1と同様の測定を行うことによ
り、得られた耐候性ポリオレフィン樹脂は分子内に紫外
線吸収剤を8.0重量部固定化したものであることを確
認した。
【0076】次に、得られた耐候性ポリオレフィン樹脂
を、安定剤不含のポリプロピレン100gに対し10g
添加し、実施例1と同様な条件で押出ペレットを得、実
施例1と同様にして300μm 厚のシートを得た。
【0077】なお、使用したトリアジン系紫外線吸収剤
は、特開平9−323980号公報に開示の方法に従っ
て合成した。 実施例5 変性ポリオレフィン(商品名:ハイワックス1105
A、三井石油化学工業(株)製)100重量部に対し、
2’−ヒドロキシ−5’−(ヒドロキシエチル)フェニ
ル−2H−ベンゾトリアゾール1重量部、触媒としてp
−トルエンスルホン酸0.001重量部の配合割合でド
ライブレンドしたものを、押出成形機に投入し、減圧
下、190℃で加熱して溶融混練を行い、約3分間エス
テル化反応させた後、押出成形することにより、厚さ3
00μm のポリオレフィン樹脂フィルムを得た。これを
GPCを用いて反応率を測定したところ、約83%であ
った。また上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の含
量を、実施例1と同様の方法で算出したところ、0.8
2重量%であることを確認した。 比較例1 実施例1において用いた安定剤不含のポリプロピレン
を、実施例1と同様な条件で押出ペレットを得、実施例
1と同様にして300μm 厚のシートを作製した。 比較例2 実施例1において用いた安定剤不含のポリプロピレン1
00gに対し、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商
品名:チヌビンP、チバガイギー(株)製)を実施例
1、2で得られたシート中の紫外線吸収剤量と同量の
1.0g添加してドライブレンドを行った後、実施例1
と同様な条件で押出ペレットを得、実施例1と同様にし
て300μm 厚のシートを作製した。 比較例3 変性ポリオレフィン(商品名:ダイヤカルナPAR12
4、三菱化学(株)製)100重量部に対し、2−ヒド
ロキシ−4−(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノ
ン10重量部と硫酸1重量部とを加えて減圧下、130
℃で7時間撹拌した。
【0078】得られた耐候性ポリオレフィン樹脂の反応
率を、ガスクロマトグラフィーにより未反応の紫外線吸
収剤を測定して求めたところ、92.2%がエステル結
合により変性ポリオレフィンに固定化されていることを
確認した。
【0079】得られた耐候性ポリオレフィン樹脂をマス
ターバッチとして、安定剤含有のポリプロピレン100
重量部に対し10重量部添加し、実施例1と同様な条件
で押出ペレットを得、実施例1と同様にして300μm
厚のシートを得た。 比較例4 変性ポリオレフィン(商品名:ハイワックス1105
A、三井石油化学工業(株)製)100重量部に対し、
ヒドロキシアルキル基を有する2−ヒドロキシ−4−
(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン10重量部
とp−トルエンスルホン酸1重量部とを加えて減圧下、
160℃で7時間撹拌した。
【0080】得られた耐候性ポリオレフィン樹脂の反応
率を、ガスクロマトグラフィーにより未反応の紫外線吸
収剤を測定して求めたところ、86.3%がエステル結
合により変性ポリオレフィンに固定化されていることを
確認した。
【0081】得られた耐候性ポリオレフィン樹脂をマス
ターバッチとして、安定剤含有のポリプロピレン100
重量部に対し10重量部添加し、実施例1と同様な条件
で押出ペレットを得、実施例1と同様にして300μm
厚のシートを得た。
【0082】上記実施例および比較例で作製したシート
について、下記の試験を行い、その物性について評価し
た。 (耐候性試験)上記各シートを、デューサイクルサンシ
ャインウエザーメーター(WEL−SUN−DC、スガ
試験機(株)製、ブラックパネル温度63℃、120分
毎に18分間降雨)を用いて1000時間の耐候促進試
験を行い、試験前後のシート表面の60゜光沢度を測定
し、光沢度保持率(%)を求めた。
【0083】また、試験前後のシートをオートグラフに
かけ、試験前の伸び(cm)を100%とした場合の伸
び保持率(%)を測定した。 (耐抽出性試験)上記各シートを、溶剤としてメタノー
ルを使用して8時間ソックスレー抽出を行い、抽出後の
各シートの350nmにおける紫外線透過率を測定し、
試験前後の紫外線吸収剤の保持率(%)を求めた。
【0084】以上の試験結果を下記表1に示す。
【0085】
【表1】 表1の結果から明らかなように、実施例のシートは、比
較例のシートに比べて高い光沢保持率を有すると共に、
伸び保持率も良好であることがわかる。
【0086】また、実施例のシートは、比較例のシート
に比べてソックスレー抽出後の紫外線の吸収剤の保持率
が良好であり、シート中の紫外線吸収剤が紫外線を吸収
して低い透過率を示している。
【0087】
【発明の効果】本発明の耐候性ポリオレフィン樹脂は、
(A)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、(B)ビス
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤および(C)トリア
ジン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれた少なくとも
一種である紫外線吸収剤が、変性ポリオレフィンに、該
紫外線吸収剤および変性ポリオレフィンが有する所定の
置換基によってエステル結合を介して固定化しているた
め、樹脂表面から前記特定の紫外線吸収剤がブリードア
ウトする等のおそれがない高分子型の紫外線吸収剤とし
て効果を有するものである。
【0088】また上記耐候性ポリオレフィン樹脂は、ベ
ース樹脂、とくにポリオレフィンへの相溶性が極めて高
いので、これをポリオレフィン等のベース樹脂に含有さ
せれば、外観、機械物性および耐候性に優れた樹脂組成
物が得られる。
【0089】従って、かかる樹脂および樹脂組成物は、
従来の単にベース樹脂に添加した紫外線吸収剤含有の樹
脂成形品からは得ることができなかった長期間安定した
耐候性を有する成形品材料として期待できるものであ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年4月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 〔式中、R1 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、
アリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲ
ン原子を示す。R2 は水素原子、メチル基、炭素数4〜
8の第3級アルキル基、アリール基、炭素数1〜4のア
ルコキシ基またはハロゲン原子を示す。R3 は直鎖状も
しくは分岐鎖状の炭素数1〜12のヒドロキシアルキル
基を示す。〕で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤、(B)一般式(2):
【化2】 [式中、Aは直接結合するかあるいは炭素数1〜6のア
ルキレン基、基:−C(CH3 2 −、基:−C(C2
5 )(CH3 )−、基:−O−または基:−NH−、
基:−S−、基:−SO2 −または基:−SO−を示
す。R4 およびR 5 は、同一または異なって水酸基また
は炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキ
シアルキル基を示す。R6 およびR7 は、同一または異
なって水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール
基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を
示す。]で表されるビスベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤および(C)一般式(3):
【化3】 〔式中、R8 およびR9 は同一または異なって、水素原
子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、
炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を示
す。R10は水酸基、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1
〜12のヒドロキシアルコキシ基、または直鎖若しくは
分岐鎖状の炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示
す。〕で表されるトリアジン系紫外線吸収剤からなる群
より選ばれた少なくとも一種である紫外線吸収剤を、エ
ステル結合を介して固定化したことを特徴とする耐候性
ポリオレフィン樹脂。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】 〔式中、R1 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、
アリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲ
ン原子を示す。R2 は水素原子、メチル基、炭素数4〜
8の第3級アルキル基、アリール基、炭素数1〜4のア
ルコキシ基またはハロゲン原子を示す。R3 は直鎖状も
しくは分岐鎖状の炭素数1〜12のヒドロキシアルキル
基を示す。〕で表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤、(B)一般式(2):
【化2】 [式中、Aは直接結合するかあるいは炭素数1〜6のア
ルキレン基、基:−C(CH3 2 −、基:−C(C2
5 )(CH3 )−、基:−O−または基:−NH−、
基:−S−、基:−SO2 −または基:−SO−を示
す。R4 およびR5は、同一または異なって水酸基また
は炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐鎖状のヒドロキ
シアルキル基を示す。R6 およびR7 は、同一または異
なって水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール
基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を
示す。]で表されるビスベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤および(C)一般式(3):
【化3】 〔式中、R8 およびR9 は同一または異なって、水素原
子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、
炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を示
す。R10は水酸基、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭素数1
〜12のヒドロキシアルコキシ基、または直鎖若しくは
分岐鎖状の炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を示
す。〕で表されるトリアジン系紫外線吸収剤からなる群
より選ばれた少なくとも一種である紫外線吸収剤とを、
溶融、混練することにより、カルボキシル基含有変性ポ
リオレフィンに、前記紫外線吸収剤を、エステル結合を
介して固定化することを特徴とする耐候性ポリオレフィ
ン樹脂の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】すなわち、本発明の耐候性ポリオレフィン
樹脂は、カルボキシル基含有変性ポリオレフィンに、水
酸基またはヒドロキシアルキル基を有する、一般式
(1)で表される(A)ベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤、一般式(2)で表される(B)ビスベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤および一般式(3)で表される
(C)トリアジン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれ
た少なくとも一種である紫外線吸収剤を、エステル結合
を介して固定化したことを特徴とするものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】本発明で使用する水酸基またはヒドロキシ
アルキル基を有する紫外線吸収剤としては、例えばベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線
吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、ジフェニル
シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外
線吸収剤などがあげられるが、特に一般式(1)で表さ
れるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、一般式(2)
で表されるビスベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤およ
一般式(2)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤か
らなる群より選ばれた少なくとも一種を使用することが
好ましい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤田 充生 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚化 学株式会社徳島研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル基含有変性ポリオレフィン
    に、水酸基またはヒドロキシアルキル基を有する(A)
    ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、(B)ビスベンゾ
    トリアゾール系紫外線吸収剤および(C)トリアジン系
    紫外線吸収剤からなる群より選ばれた少なくとも一種で
    ある紫外線吸収剤を、エステル結合を介して固定化した
    ことを特徴とする耐候性ポリオレフィン樹脂。
  2. 【請求項2】カルボキシル基含有変性ポリオレフィン
    と、水酸基またはヒドロキシアルキル基を有する(A)
    ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、(B)ビスベンゾ
    トリアゾール系紫外線吸収剤および(C)トリアジン系
    紫外線吸収剤からなる群より選ばれた少なくとも一種で
    ある紫外線吸収剤とを、溶融、混練することにより、カ
    ルボキシル基含有変性ポリオレフィンに、前記紫外線吸
    収剤を、エステル結合を介して固定化することを特徴と
    する耐候性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の耐候性ポリオレフィン樹脂
    を、ベース樹脂に含有させたことを特徴とする耐候性樹
    脂樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記ベース樹脂が、ポリオレフィンである
    請求項3記載の耐候性樹脂組成物。
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