JPH11322787A - ペプチド脂質微細繊維及びその製造方法 - Google Patents

ペプチド脂質微細繊維及びその製造方法

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JPH11322787A
JPH11322787A JP6625999A JP6625999A JPH11322787A JP H11322787 A JPH11322787 A JP H11322787A JP 6625999 A JP6625999 A JP 6625999A JP 6625999 A JP6625999 A JP 6625999A JP H11322787 A JPH11322787 A JP H11322787A
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Toshimi Shimizu
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 天然リン脂質からは形成することができなか
った長さが数μmで、直径が数10nmの新規なペプチ
ド脂質微細繊維を提供する。 【解決手段】 一般式 【化1】 (mは1〜3、nは6〜18)で表わされる双頭型ペプ
チド脂質をアルカリ金属塩として含む水溶液を弱酸性飽
和蒸気圧下で静置してペプチド脂質微細繊維を形成させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なペプチド脂
質の微細繊維、特に新規なオリゴ‐L‐バリン残基、又
はオリゴ‐D‐バリン残基を2個分子の両端にもつ自己
集積性の双頭型ペプチド脂質から形成される長さが数μ
mで、直径が数10nmのペプチド脂質微細繊維、及び
このものの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ペプチド脂質からなる微細繊維は、担
体、吸着材のほか、例えば生体適合材料として医療、薬
剤分野に、マイクロ電子部品材料として電子・情報・エ
レクトロニクス分野に、あるいは乳化剤、安定剤、分散
剤、湿潤剤などとして食品工業、農林業、繊維工業など
の分野において利用されている。
【0003】従来、リン脂質の分子集合体として、天然
由来のリン脂質から得られる球状の分子集合体、いわゆ
るリポソームが知られている。このものは、一般に薄膜
法、熱分散法、溶液注入法、コール酸法、逆層蒸発法な
どによって製造されている[例えば、「生体膜実験法
(下)」(共立出版刊行)第185ページ参照]。
【0004】しかしながら、このような従来の方法は、
熟練した技術を必要とし、しかも得られる分子集合体
は、単一膜ベシクル又は球状の多重膜ベシクルであり、
長繊維状集合体は得られない。他方、水中において、合
成両親媒性化合物から、微細繊維を製造する方法も知ら
れているが[例えば、「ジャーナル・オブ・アメリカン
・ケミカル・ソサエティ(J.Am.Chem.so
c.」,第119巻,第9120〜9124ページ(1
997年)]、これらの多くは、両親媒性化合物を含む
加熱した濃厚水溶液から、自然に沈殿又は結晶化させる
方法であるため、低収率になるのを免れない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、これまで、天然リン脂質からは形成する
ことができなかった長さが数μmで、直径が数10nm
の新規なペプチド脂質微細繊維を提供することを目的と
してなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ペプチド
脂質からなる微細繊維について鋭意研究を重ねた結果、
分子の両端に2個の光学活性なオリゴ‐L‐バリン残基
又はオリゴ‐D‐バリン残基がアミド結合によって適当
な長さの長鎖アルキレン基に連結した双頭型ペプチド脂
質をアルカリ金属水酸化物の水溶液に溶かし、微弱酸性
飽和蒸気圧下で徐々に結晶化又は集積化させると、微細
繊維が形成されることを見出し、この知見に基づいて本
発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、一般式
【化3】 (式中のmは1〜3、nは6〜18の整数である)で表
わされるバリン単位を有する双頭型ペプチド脂質からな
るペプチド脂質微細繊維を提供するものである。
【0008】この微細繊維は、前記一般式(I)で表わ
される双頭型ペプチド脂質をアルカリ金属塩の形で溶解
した水溶液を、微弱酸性飽和蒸気圧下に静置し、一次元
的に結晶成長又は自己集積させることにより、製造する
ことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いられる前記一
般式(I)で表わされる構造を有する双頭型ペプチド脂
質は、光学活性なL‐バリン残基又はD‐バリン残基の
オリゴマーと長鎖のジカルボン酸がアミド結合を介して
連結したものであり、オリゴペプチド鎖のC端を両端に
もつ。オリゴペプチド鎖を構成するバリン単位の光学活
性はすべてD体であるかL体であることが必要である。
異なる光学活性体のものが含まれると微細繊維が形成さ
れず、粒状のアモルファス固体となる。mは1、2又は
3の整数であり、このmが4以上であると化合物の溶解
性が悪くなり、本発明の微細繊維の製造が困難となる。
また、nは直鎖状アルキレン基の長さを与え、6〜18
の正の整数である。このアルキレン基の例としては、ヘ
キシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン
基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、テト
ラデシレン基、ヘキサデシレン基、オクタデシレン基な
どが挙げられる。nの値が6より小さいと、微細繊維は
形成しにくいし、一方、18より大きいと水性媒体中に
形成される沈殿がアモルファス球体となる。
【0010】この一般式(I)で表わされる双頭型ペプ
チド脂質は文献未載の新規な化合物であり、例えば次に
示す方法により、容易に製造することができる。まず、
一般式 HCl・H−(Val)m−OR (II) (式中のRはアミノ酸のC端保護基、ValはL型又は
D型バリン残基であり、mは前記と同じ意味をもつ)で
表わされるN端遊離、C端保護のオリゴ‐L‐バリン又
はオリゴ‐D‐バリン塩酸塩に、一般式 HOOC−(CH2n−COOH (III) (式中のnは前記と同じ意味をもつ)で表わされるジカ
ルボン酸を反応させたのち、ペプチドのC端の保護基を
脱離させることにより、目的とする一般式(I)の双頭
型ペプチド脂質が得られる。
【0011】この反応において、原料の1つとして用い
られる上記一般式(II)で表わされるN端遊離、C端
保護のオリゴ‐L‐バリン又はオリゴ‐D‐バリン塩酸
塩は、例えばトリペプチドの場合、まずアミノ基を保護
したL‐バリン又はD‐バリンを、カルボキシル基を保
護したそれぞれL‐バリン又はD‐バリンと反応させて
ジペプチドとし、次いでアミノ保護基を脱離させたの
ち、これに再びアミノ基を保護したL‐バリン又はD‐
バリンを反応させてトリペプチドとし、さらにこのトリ
ペプチドのN端保護基を脱離させることにより、製造す
ることができる。上記一般式(II)におけるC末端保
護基Rとしては、例えばメチル基、エチル基、ベンジル
基、p‐ニトロベンジル基、p‐メトキシベンジル基、
tert‐ブチル基などが挙げられる。
【0012】この反応において用いられるアミノ基保護
剤、カルボキシル基保護剤、カップリング剤及び反応方
法としては、従来、通常のペプチド合成において慣用さ
れている各試薬及び方法を用いることができる。製造中
間体であるペプチド類は、いずれも反応混合物を酸又は
アルカリ水溶液で洗い、再結晶、再沈殿を行うことによ
り、容易に単離、精製することができる。
【0013】一方、脱水縮合反応の反応体である前記一
般式(III)で表わされるジカルボン酸としては、例
えば、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9
‐ノナンジカルボン酸、1,10‐デカンジカルボン
酸、1,11‐ウンデカンジカルボン酸、1,12‐ド
デカンジカルボン酸、1,13‐トリデカンジカルボン
酸、1,14‐テトラデカンジカルボン酸、1,16‐
ヘキサデカンジカルボン酸、1,18‐オクタデカンジ
カルボン酸などを挙げることができる。このようにして
得られた一般式(I)の双頭型ペプチド脂質は通常室温
で白色の固体である。
【0014】本発明の微細繊維は、前記の双頭型ペプチ
ド脂質をアルカリ金属塩として含む水溶液から、結晶析
出又は自己集積させることにより得られる。該ペプチド
脂質のアルカリ金属塩の水溶液を調製するには、例えば
双頭型ペプチド脂質1モルに対し、2モル量のアルカリ
金属水酸化物を含有する水溶液に、双頭型ペプチド脂質
を5〜20ミリモル/リットル程度の濃度で溶解させれ
ばよい。この際、アルカリ金属水酸化物の濃度が高すぎ
るとアモルファス固体が析出しやすくなるし、濃度が低
すぎると微細繊維が析出しにくくなる。アルカリ金属水
酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムが好適である。二価のアルカリ土
類金属塩では、アモルファス固体が析出し、微細繊維が
得られない。
【0015】本発明方法においては、この双頭型ペプチ
ド脂質をアルカリ金属塩として含む水溶液を、1〜5重
量%濃度の酸水溶液飽和蒸気圧下に静置し、該ペプチド
脂質を一次元的に結晶成長又は自己集積させることによ
り、目的の微細繊維が得られる。この際の温度には特に
制限はなく、室温で行うことができる。この希酸水溶液
としては、例えば酢酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、炭酸、あ
るいはこれらの混合物などを含む水溶液が好適に用いら
れる。この希酸水溶液の濃度が高すぎるとアモルファス
固体が析出し微細繊維が形成しないし、薄すぎると微細
繊維が形成しない。例えば、1重量%の希酢酸を用いた
場合、約1〜2週間で水溶液はゲル化し、透過型電子顕
微鏡や走査型電子顕微鏡により、長さが数μmで直径が
数10nmの微細繊維を観察することができる。このよ
うな微細繊維は天然のリン脂質からは得ることができな
い。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、天然のリン脂質からは
得ることができない、長さが数μmで、直径が数10n
mの新規なペプチド脂質からなる微細繊維を、容易に高
収率で製造することができる。本発明の微細繊維は、低
分子物質の担体や吸着材のほか、例えば生体適合材料と
して医療、薬剤分野に、マイクロ電子部品材料として電
子・情報・エレクトロニクス分野に、あるいは乳化剤、
安定剤、分散剤、湿潤剤などとして食品工業、農林業、
繊維工業などの分野において利用される。
【0017】
【実施例】次に、実施例及び参考例により本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってな
んら限定されるものではない。なお、薄層クロマトグラ
フィーのRf値としては、クロロホルム/メタノール
(5/1、容積比)混合溶媒を展開溶媒としたときの値
をRf1、クロロホルム/メタノール/酢酸(95/5
/1、容積比)混合溶媒を展開溶媒としたときの値をR
f2とした。
【0018】参考例1 t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐バリン10.9g
(50.0ミリモル)、L‐バリンベンジルエステル・
p‐トルエンスルホン酸塩19.0g(50.0ミリモ
ル)とトリエチルアミン7.0ml(50.0ミリモ
ル)をジクロロメタン150mlに溶解し、−5℃でか
きまぜながら、水溶性カルボジイミドである1‐エチル
‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
塩酸塩10.5g(55.0ミリモル)を含むジクロロ
メタン溶液100mlを加え、一昼夜かきまぜた。この
ジクロロメタン溶液を10重量%クエン酸水溶液、水、
4重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で各2回ずつ洗
浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下
で溶媒を完全に留去し、無色透明オイルのt‐ブチルオ
キシカルボニル‐L‐バリル‐L‐バリンベンジルエス
テルを得た。このオイルを酢酸エチル100mlに溶解
し、4N−塩化水素/酢酸エチル120mlを加え、4
時間かきまぜた。減圧下で溶媒を完全に留去し、得られ
た白色沈殿にジエチルエーテルを加えよく洗浄し、白色
固体のL‐バリル‐L‐バリンベンジルエステル塩酸塩
13.8g(収率80%)を得た。このものの物理的性
質は次のとおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.58、
Rf2=0.05 融点:182〜183℃
【0019】参考例2 t‐ブチルオキシカルボニル‐L‐バリン5.43g
(25ミリモル)と参考例1で得たL‐バリル‐L‐バ
リンベンジルエステル塩酸塩5.18g(25ミリモ
ル)とトリエチルアミン3.5ml(25ミリモル)を
ジクロロメタン300mlに溶解し、−5℃でかきまぜ
ながら、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド塩酸塩5.27g(27.5ミリモ
ル)を含むジクロロメタン溶液50mlを加え、一昼夜
かきまぜた。このジクロロメタン溶液を10重量%クエ
ン酸水溶液、水、4重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、
水で各2回ずつ洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。減圧下で溶媒を完全に留去し、淡黄色オイル
のt‐ブチルオキシカルボニル‐L‐バリル‐L‐バリ
ル‐L‐バリンベンジルエステルを得た。この化合物を
酢酸エチル100mlに溶解し、4N−塩化水素/酢酸
エチルを60ml加え、4時間かきまぜた。溶媒を減圧
下で留去し無色オイルのL‐バリル‐L‐バリル‐L‐
バリンベンジルエステル塩酸塩9.28g(収率84
%)を得た。このものの物理的性質は次のとおりであ
る。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.25、
Rf2=0.05
【0020】参考例3 1,10‐デカンジカルボン酸0.46g(2ミリモ
ル)と1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール0.674g
(4.4ミリモル)をN,N‐ジメチルホルムアミド1
0mlに溶解し、−5℃でかきまぜながら、1‐エチル
‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
塩酸塩0.90g(4.4ミリモル)を含むジクロロメ
タン溶液10mlを加えた。1時間後、参考例1で得た
L‐バリル‐L‐バリンベンジルエステル塩酸塩1.5
1g(4.4ミリモル)を含むジクロロメタン溶液10
ml、引き続きトリエチルアミン0.62ml(4.4
ミリモル)を加え、徐々に室温に戻しながら一昼夜かき
まぜた。減圧下、溶媒を完全に留去し、得られた白色沈
殿をろ紙上で10重量%クエン酸水溶液50ml、水2
0ml、4重量%炭酸水素ナトリウム水溶液50ml、
水20mlの順に洗浄した。白色固体としてN,N′‐
ビス(L‐バリル‐L‐バリンベンジルエステル)デカ
ン‐1,10‐ジカルボキサミド0.98g(収率61
%)を得た。この化合物0.5g(0.62ミリモル)
をジメチルホルムアミド100mlに溶解し、触媒とし
て10重量%パラジウム/炭素を0.25g加え、接触
水素還元を行った。6時間後、触媒をセライトを用いて
ろ別したのち、溶媒を減圧下で留去し無色オイルを得
た。得られたオイルを水‐エタノール混合溶媒を用いて
結晶化させ、白色固体のN,N′‐ビス(L‐バリル‐
L‐バリン)デカン‐1,10‐ジカルボキサミド0.
39g(収率100%)を得た。このものの物理的性状
及び元素分析値を次に示す。 融点:132−136℃ 元素分析値(C325884・0.5H2O) C H N 計算値(%) 60.44 9.35 8.81 実測値(%) 60.24 9.27 8.97 また、この化合物の1H−NMRスペクトル(ジメチル
スルホキシド−d6中)チャートを図1に示す。
【0021】実施例1 参考例3で得たN,N′‐ビス(L‐バリル‐L‐バリ
ン)デカン‐1,10‐ジカルボキサミド62.7mg
(0.1ミリモル)をサンプル瓶にとり、これに水酸化
ナトリウム8.0mg(0.20ミリモル)を含む蒸留
水10mlを加え、超音波照射(バス型)を施すことに
より双頭型ペプチド脂質を溶解させた。この水溶液を1
重量%希酢酸の蒸気圧雰囲気下に室温にて静置すると、
2週間で溶液がゲル化した。また、水溶液を5重量%希
酢酸の蒸気圧雰囲気下に静置した場合、5日でゲル化し
た。ゲルを透過型電子顕微鏡観察することにより、長さ
が数μmで直径が数10nmの微細繊維の形成を確認し
た。図2に双頭型ペプチド脂質の微細繊維の透過型電子
顕微鏡写真の模写図を示す。
【0022】実施例2 参考例3の1,10‐デカンジカルボン酸の代わりに
1,8‐オクタンジカルボン酸とL‐バリル‐L‐バリ
ンベンジルエステル塩酸塩を結合させたN,N′‐ビス
(L‐バリル‐L‐バリン)オクタン‐1,8‐ジカル
ボキサミド59.9mg(0.1ミリモル)をサンプル
瓶にとり、これに水酸化ナトリウム8.0mg(0.2
ミリモル)を含む蒸留水10mlを加え、超音波照射
(バス型)を施すことにより双頭型ペプチド脂質を溶解
させた。この水溶液を2重量%希酢酸の蒸気圧雰囲気下
に室温にて静置すると、3週間で溶液がゲル化した。ま
た、水溶液を5重量%希酢酸の蒸気圧雰囲気下に静置し
た場合、1週間でゲル化した。ゲルを透過型電子顕微鏡
観察することにより、長さが数μmで直径が数10nm
の微細繊維の生成を確認した。
【0023】実施例3 参考例3の1,10‐デカンジカルボン酸の代わりに
1,6‐ヘキサンジカルボン酸とL‐バリル‐L‐バリ
ンベンジルエステル塩酸塩を結合させたN,N′‐ビス
(L‐バリル‐L‐バリン)ヘキサン‐1,6‐ジカル
ボキサミド57.1mg(0.1ミリモル)をサンプル
瓶にとり、これに水酸化ナトリウム8.0mg(0.2
ミリモル)を含む蒸留水10mlを加え、超音波照射
(バス型)を施すことにより双頭型ペプチド脂質を溶解
させた。この水溶液を1重量%希酢酸の蒸気圧雰囲気下
に室温にて静置すると、3週間で溶液がゲル化した。ゲ
ルを透過型電子顕微鏡観察することにより、長さが数μ
mで直径が数10nmの微細繊維の生成を確認した。
【0024】実施例4 参考例3の1,10‐デカンジカルボン酸の代わりに
1,18‐オクタデカンジカルボン酸とL‐バリル‐L
‐バリンベンジルエステル塩酸塩を結合させたN,N′
‐ビス(L‐バリル‐L‐バリン)オクタデカン‐1,
18‐ジカルボキサミド73.9mg(0.1ミリモ
ル)をサンプル瓶にとり、これに水酸化ナトリウム8.
0mg(0.2ミリモル)を含む蒸留水10mlを加
え、超音波照射(バス型)を施すことにより双頭型ペプ
チド脂質を溶解させた。この水溶液を1重量%希酢酸の
蒸気圧雰囲気下に室温にて静置すると、3週間で溶液が
ゲル化した。ゲルを透過型電子顕微鏡観察することによ
り、長さが数μmで直径が数10nmの微細繊維の生成
を確認した。
【0025】実施例5 参考例3のL‐バリル‐L‐バリンベンジルエステル塩
酸塩の代わりに、L‐バリル‐L‐バリル‐L‐バリン
ベンジルエステル塩酸塩を1,10‐デカンジカルボン
酸と結合させたN,N′‐ビス(L‐バリル‐L‐バリ
ル‐L‐バリン)デカン‐1,10‐ジカルボキサミド
82.5mg(0.1ミリモル)をサンプル瓶にとり、
これに水酸化ナトリウム8.0mg(0.2ミリモル)
を含む蒸留水10mlを加え、超音波照射(バス型)を
施すことにより双頭型ペプチド脂質を溶解させた。この
水溶液を1重量%希酢酸の蒸気圧雰囲気下に室温にて静
置すると、1週間で溶液がゲル化した。このゲルを透過
型電子顕微鏡観察することにより、長さが数μmで直径
が数10nmの微細繊維の生成を確認した。
【0026】実施例6 参考例3のL‐バリル‐L‐バリンベンジルエステル塩
酸塩の代わりに、D‐バリル‐D‐バリンベンジルエス
テル塩酸塩と、1,10‐デカンジカルボン酸を結合さ
せたN,N′‐ビス(D‐バリル‐D‐バリン)デカン
‐1,10‐ジカルボキサミド62.7mg(0.1ミ
リモル)をサンプル瓶にとり、これに水酸化ナトリウム
8.0mg(0.2ミリモル)を含む蒸留水10mlを
加え、超音波照射(バス型)を施すことにより双頭型ペ
プチド脂質を溶解させた。この水溶液を2重量%希酢酸
の蒸気圧雰囲気下に室温にて静置すると、3週間で溶液
がゲル化した。また、水溶液を5重量%希酢酸の蒸気圧
雰囲気下に静置した場合、1週間でゲル化した。ゲルを
透過型電子顕微鏡観察することにより長さが数μmで直
径が数10nmの微細繊維の生成を確認した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例3の1H−NMRスペクトル。
【図2】 実施例1で得られた微細繊維の透過型電子顕
微鏡写真の模写図。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中のmは1〜3、nは6〜18の整数である)で表
    わされるバリン単位を有する双頭型ペプチド脂質からな
    るペプチド脂質微細繊維。
  2. 【請求項2】 一般式中のバリン単位がすべてL体又は
    D体である請求項1記載のペプチド脂質微細繊維。
  3. 【請求項3】 一般式 【化2】 (式中のmは1〜3、nは6〜18の整数である)で表
    わされる双頭型ペプチド脂質をアルカリ金属水酸化物の
    水溶液に溶解し、該双頭型ペプチド脂質のアルカリ金属
    塩の水溶液とし、これを1〜5重量%濃度の酸水溶液の
    飽和蒸気圧下に静置することを特徴とするペプチド脂質
    微細繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式中のバリン単位がすべてL体又は
    D体の同じ立体異性構造である請求項3記載のペプチド
    脂質微細繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属水酸化物が水酸化リチウ
    ム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである請求項
    3記載のペプチド脂質微細繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸が酢酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、炭酸又
    はこれらの混合物である請求項3記載のペプチド脂質微
    細繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 水溶液中の双頭型ペプチド脂質の濃度が
    5〜20ミリモル/リットルの範囲内にある請求項3記
    載のペプチド脂質微細繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006232606A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Japan Science & Technology Agency 遷移金属酸化物ナノチューブ
JP2008508215A (ja) * 2004-07-30 2008-03-21 マイコス イタリアーナ ディ コミーニ ミロ アンド チ. エッセ.ア.エッセ アミノ酸及び植物タンパク加水分解物でのジカルボン酸のn−アシル化誘導体ならびに化粧品及び医薬におけるそれらの使用

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