JP2967184B2 - オリゴペプチド鎖のc端を両端にもつ双頭型脂質の製造方法 - Google Patents

オリゴペプチド鎖のc端を両端にもつ双頭型脂質の製造方法

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JP2967184B2
JP2967184B2 JP5008296A JP5008296A JP2967184B2 JP 2967184 B2 JP2967184 B2 JP 2967184B2 JP 5008296 A JP5008296 A JP 5008296A JP 5008296 A JP5008296 A JP 5008296A JP 2967184 B2 JP2967184 B2 JP 2967184B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、双頭型脂質の製造
方法、さらに詳しくは水中に分散させることにより有機
超薄膜、閉鎖型の小胞体(ベシクル)、あるいはバルク
状態でサーモトロピック液晶、適当な溶媒と混和させる
ことによりリオトロピック液晶を形成し、機能性材料と
して医薬・化粧品分野、電子・情報分野、さらには食品
工業、農林業、繊維工業などにおいて利用可能な、オリ
ゴペプチド鎖のC端を両端にもつ双頭型脂質の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術としては、温泉地などに生息
する好熱性の古細菌の細胞膜成分としてグリセロールと
ノニトールの二つの親水性部をもつ天然型の双頭型大環
状テトラエーテルが知られている[「アンゲバンテ・ヘ
ミー(Angewante Chemie International Edition of En
glish)」 第23巻、第107〜108ページ(198
4年)]。しかしながら、この化合物は親水部及び疎水
部骨格の分子構造が複雑多様であり、化学的合成法によ
り製造する場合、熟練した合成技術と多段階の工程を必
要とするため、工業的に利用しにくいという欠点を有し
ている。
【0003】そのほか、ポリアルコールやエチレングリ
コール鎖を両端にもつ双頭型合成脂質が知られている
[「アンゲバンテ・ヘミー(Angewante Chemie Interna
tional Edition of English)」 第33巻、第1937
ページ(1994年)]。しかしながら、この化合物は
リポソーム膜や超薄膜などに応用するための集合体物性
を発現しなかったり、発現しても適当な溶媒中でのみゲ
ル化を起こすだけなので、その利用分野が制限されるの
を免れない上、前記天然物と同様に親水部及び疎水部の
分子構造が複雑多様であり、化学的合成法により製造す
る場合、熟練した合成技術と多段階の工程を必要とする
ため、工業的に利用しにくいという欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安価な原料
から容易に製造することができ、しかも高い自己集積性
により安定な分子集合体を形成しうる機能性材料として
有用な新規な双頭型脂質の製造方法を提供することをそ
の課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、機能性材
料として有用な双頭型脂質について鋭意研究を重ねた結
果、両端にアミノ酸残基であるグリシン残基、プロリン
残基、サルコシン残基のうちのいずれかのアミノ酸残基
を含むオリゴペプチド鎖を有し、そのペプチド残基がア
ミド結合によって長鎖のアルキレン基と連結した、オリ
ゴペプチド鎖のC端を両端にもつ双頭型脂質が前記目的
に適合しうることを見出し、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、一般式
【化4】 (式中、A1、・・・、Amはグリシン残基、プロリン
残基、サルコシン残基のうちのいずれかのアミノ酸残
基、mは2〜12の整数、nは6〜18の整数である)
で表わされるオリゴペプチド鎖のC端を両端にもつ双頭
型脂質の製造方法を提供するものである
【0007】
【発明の実施の形態】前記一般式(1)で表わされる双
頭型脂質の両端はオリゴペプチド鎖のC端(カルボキシ
ル末端)を含んでおり、A1、・・・、Amはグリシン
残基、プロリン残基、サルコシン残基のうちのいずれか
のアミノ酸残基である。これらのアミノ酸残基のうちプ
ロリン残基はD型、L型、ラセミ体のいずれであっても
よいが、天然由来のものは通常L型である。mは2以上
の整数を示すが、その上限は12である。好ましいmの
範囲は2〜6である。一方、前記一般式(1)における
アルキレン基−(CH−は、nが6〜18の長鎖
アルキレン基であり、このようなものとして、例えばヘ
キシレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、
ウンデシレン基、ドデシレン基、テトラデシレン基、ヘ
キサデシレン基、オクタデシレン基などが挙げられる。
【0008】本発明によれば、一般式(1)で表わされ
る双頭型脂質は、一般式
【化5】 (式中、A1、・・・、Amはグリシン残基、プロリン
残基、サルコシン残基のうちのいずれかのアミノ酸残
基、mは2〜12の整数、ORはアミノ酸のC端保護基
である)で表わされるN端(アミノ基末端)フリー、C
端保護のオリゴペプチド塩酸塩に、一般式
【化6】 (式中、nは6〜18の整数である)で表わされるジカ
ルボン酸を縮合させ、次いでC端保護基ORを脱離させ
ることにより、一般式
【化7】 (式中、A1、・・・、Amはグリシン残基、プロリン
残基、サルコシン残基のうちのいずれかのアミノ酸残
基、mは2〜12の整数、nは6〜18の整数である)
で表わされるオリゴペプチド鎖のC端を両端にもつ双頭
型脂質を容易に製造することができる。
【0009】前記一般式(2)で表わされるN端フリ
ー、C端保護のオリゴペプチド塩酸塩、例えば、HCl
・H−A3−A2−A1−OCH(CH)は、まず
アミノ基を保護したアミノ酸A2、をベンジルエステル
でカルボキシル基を保護したアミノ酸A1と反応させて
ジペプチドとし、次いでアミノ保護基を脱離させたの
ち、これに、アミノ基を保護したアミノ酸A1を反応さ
せてトリペプチドとし、次にこのトリペプチドのN端保
護基を脱離させることにより得られる。前記一般式
(2)で表わされる化合物のC端の保護基ORとして
は、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ベンジ
ルエステル、p−ニトロベンジルエステル、p−メトキ
シベンジルエステル、t−ブチルエステルなどの残基で
ある脂肪族オキシ基や芳香族オキシ基等であることがで
きる。オリゴペプチドを合成する際の、アミノ保護基、
カルボキシル保護基及びカップリング剤としては、通常
のペプチド合成において用いられている試薬、方法を適
当に組み合わせて用いることができる。製造中間体であ
るペプチド類は、いずれも酸及びアルカリで洗い、再結
晶、再沈殿を行うことにより、容易に単離、精製するこ
とができる。
【0010】一方、一般式(3)で表わされるジカルボ
ン酸としては、例えば、スベリン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカ
ンジカルボン酸、1,11-ウンデカンジカルボン酸、
1,12-ドデカンジカルボン酸、1,13-トリデカン
ジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、
1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタ
デカンジカルボン酸などを用いることができる。
【0011】次に、本発明に従い、前記一般式(1)の
双頭型脂質を製造するための好ましい態様について説明
する。前記一般式(2)の化合物と前記一般式(3)の
化合物とのカップリング縮合反応は、例えば、前記一般
式(3)で表わされるジカルボン酸と1−ヒドロキシベ
ンゾトリアゾール(HOBt)を低温で有機溶媒中で溶
解させ充分かきまぜながら、1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(ED
AC)を極少量の有機溶媒に溶解させたものを添加し、
低温で30分から数時間かきまぜる。その後、前記一般
式(2)で表わされるN端フリー、C端保護のオリゴペ
プチド塩酸塩を有機溶媒に溶解させたものを有機塩基と
ともに添加し、さらに一昼夜かきまぜる。
【0012】反応の際のモル比としては、一般式(2)
の化合物:一般式(3)の化合物::EDAC:HOB
tが2:1:2:2で反応させることによって製造でき
るが、一般式(2)の化合物、EDAC及びHOBtは
一般式(3)のジカルボン酸1モル当たり、好ましくは
2.1モルから2.2モル用いるのが望ましい。反応温
度は0℃以下であれば問題ないが、反応を促進するため
には、0〜−5℃が適当である。溶媒としては、溶解
性、反応速度の点から、ジメチルホルムアミド(DM
F)、クロロホルム、塩化メチレン、テトラハイドロフ
ラン、DMF/クロロホルム混合溶媒などが用いられ
る。このなかでも、ペプチド類を良好に溶解するDM
F、クロロホルム、DMF/クロロホルム混合溶媒が望
ましい。特に、前記一般式(2)と(3)の化合物を完
全に溶解させることが反応収率を高めるために望まし
い。反応時間としては、低温で30分〜3時間かきま
ぜ、オリゴペプチドを加えたのち、徐々に室温に戻しな
がら6時間〜一昼夜が適当である。有機塩基としては一
般式(3)のジカルボン酸1モル当たり、好ましくは
2.1モルから2.2モル用い、トリメチルアミン、ト
リエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルモルホリ
ンなどを用いることができる。
【0013】また、カップリング用縮合剤として、イソ
ブチルクロロホルメ−ト(IBCF)、ベンゾトリアゾ
−ル−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホ
ニウム ヘキサフルオロホスフェ−ト(BOP試薬)、
ジエチルフォスホロシアニデ−ト(DEPC)やN−エ
トキシカルボニル−2−エトキシ−1、2−ジヒドロキ
ノリン(EEDQ)などの通常のペプチド合成において
用いられている試薬と方法を用いることができるが、収
率の点から上に述べたEDAC−HOBt法が適してい
る。さらに、ジカルボン酸をジカルボン酸ジクロリドに
変換後、ピリジンを塩基とし、DMF中で縮合反応を行
うこともできる。
【0014】前記一般式(2)のC端保護基としては、
溶解性と脱離反応における副反応がないこと、脱離が容
易であることなどから、ベンジルエステルが適当であ
る。双頭型脂質のC端保護基の脱離反応は、例えば、ベ
ンジルエステルの場合は、10%パラジウム/炭素を触
媒に用いた接触水素還元によって室温下、温和な条件で
達成することができる。さらに、C端保護基は水酸化ナ
トリウム水溶液を用いてのアルカリケン化によっても除
去することができる。双頭型脂質の二つのC端保護基を
脱離したのち、最後に、溶媒を減圧留去し、得られた粗
生成物を再沈殿、再結晶、又はシリカゲルカラムクロマ
トグラフィーによって分離精製することによって高純度
の固体または油状の本発明化合物を得ることができる。
【0015】本発明の一般式(1)の化合物は、例えば
実測の元素分析値が誤差範囲内で計算値と一致し、又、
赤外線吸収スペクトルでは1550〜1555cm−1
アミド基に由来する特性吸収(第2アミド吸収帯)、1
640〜1660cm−1にアミドカルボニル基に由来す
る特性吸収(第1アミド吸収帯)、1700〜1705
cm−1にカルボン酸の特性吸収、3295〜3300cm
−1にアミドNH伸縮振動に由来する特性吸収を示す。
さらに、H−NMR(重クロロホルムまたはジメチル
スルホキシド−d中、室温〜40℃)においては、δ
値が、1.2〜1.3ppm、1.5〜1.7ppm、
2.1〜2.2ppmに長鎖アルキレン鎖のメチレン基
に由来するシグナル、2.0〜4.6ppmにグリシ
ン、プロリン、サルコシン各アミノ酸残基のアミド基N
H水素以外のメチル基、メチレン基水素、メチン水素に
由来するシグナル、7.8〜8.1ppmにアミド基の
NH水素のシグナルがそれぞれ観測できる。また、13
C−NMR(重クロロホルムまたはジメチルスルホキシ
ド−d中、室温〜40℃)においては、δ値が、24
〜25ppm、27〜28ppm、28〜29ppm、
34〜35ppmに長鎖アルキレン鎖のメチレン基各炭
素に由来するシグナル、24.5〜25.5ppmにプ
ロリンのCγ炭素、29.0〜30.0ppmにプロリ
ンのCβ炭素、47.0〜48.0ppmにプロリンの
Cδ炭素、57.0〜60.0ppmにプロリンのCα
炭素、40.0〜45.0ppmにサルコシンまたはグ
リシンのCα炭素、30.0〜33.0ppmにサルコ
シンのN−メチル基炭素にそれぞれ由来するシグナルが
観測できる。さらに、172.4〜173.3ppmに
ペプチド結合のカルボニル炭素に由来するシグナルが観
測できる。これらのことから、該化合物は、目的の双頭
型脂質であると同定することができる。
【0016】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られた双頭型
脂質は、クロロホルムなどの疎水性有機溶媒に極微量溶
解させ、気水界面上にラングミュアー・ブロジェット法
により展開し、適当な基板上に移しとることによって、
分子オーダーの厚さを有する有機薄膜を得ることができ
る。さらに、水中に分散させ超音波処理を施すことによ
って、球状の小胞体を得ることができる。また、バルク
状態でサーモトロピック液晶を、適当な溶媒と混和させ
ることにより、リオトロピック液晶を形成させることも
できる。本発明の製造方法により得られた双頭型脂質
は、このような性質を有することから、例えば医薬、化
粧品分野などにおけるリポソーム膜形成材料、超薄膜や
極微小構造体として、電子・情報分野などにおけるマイ
クロ電子部品と、あるいは食品工業、農林業、繊維工業
などにおける乳化剤、安定剤、分散剤、湿潤剤などとし
て有用であり、工業的利用価値が高い。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、薄層クロマトグラフィーのR
f値としては、クロロホルム/メタノール(容積比5/
1)混合溶媒を展開溶媒としたときの値をRf1、クロ
ロホルム/メタノール/酢酸(容積比95/5/1)混
合溶媒を展開溶媒としたときの値をRf2とした。
【0018】参考例1 t−ブチルオキシカルボニルグリシン・ジシクロヘキシ
ルアミン14.8g(42ミリモル)とグリシンベンジ
ルエステル・p−トルエンスルホン酸塩14.0g(4
1.5ミリモル)をクロロホルム80mlに溶解し、−
5℃でかきまぜながら、水溶性カルボジイミドである1
−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カル
ボジイミド塩酸塩(EDAC)8.75g(45.7ミ
リモル)を含むクロロホルム溶液70mlを加え、一昼
夜かきまぜた。このクロロホルム溶液を10%クエン酸
水溶液、水、4%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で各二
回ずつ洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。減圧下で溶媒を完全に留去し、得られた無色オイル
にヘキサンを加えて結晶化させ、白色固体のt−ブチル
オキシカルボニルグリシルグリシンベンジルエステル1
2.8g(収率96%)を得た。この化合物8.0g
(24.8ミリモル)を酢酸エチル100mlに溶解
し、4規定塩化水素/酢酸エチルを120ml加え、4
時間かきまぜた。減圧下で溶媒を完全に留去し、得られ
た白色沈殿にジエチルエーテルを加えよく洗浄し、白色
固体のグリシルグリシンベンジルエステル塩酸塩6.4
g(収率100%)を得た。このものの物理的性質は次
のとおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値: Rf1=0.57、Rf2=0.05 融点:158〜160℃
【0019】参考例2 参考例1におけるグリシンの代わりに、L−プロリン又
はサルコシンを用いて、参考例1と同様な操作によっ
て、次に示す化合物を得た。 L−プロリル−L−プロリンベンジルエステル塩酸塩
(白色固体) 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.55、Rf2=0.45 融点:180〜184℃ サルコシルサルコシンベンジルエステル塩酸塩(白色固
体) 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.55、Rf2=0.13 融点:134〜135℃
【0020】参考例3 t−ブチルオキシカルボニルグリシン・ジシクロヘキシ
ルアミン7.13g(20ミリモル)と参考例1で得た
グリシルグリシンベンジルエステル塩酸塩5.18g
(20ミリモル)をクロロホルム/塩化メチレン/酢酸
エチル(容積比7/5/1)380mlに溶解し、−5
℃でかきまぜながら、EDAC4.22g(20ミリモ
ル)を含むクロロホルム溶液50mlを加え、一昼夜か
きまぜた。このクロロホルム溶液を10%クエン酸水溶
液、水、4%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で各二回ず
つ洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減
圧下で溶媒を完全に留去し、得られた無色オイルにヘキ
サンを加え結晶化させ、白色固体のt−ブチルオキシカ
ルボニル−グリシルグリシルグリシンベンジルエステル
6.52g(収率86%)を得た。この化合物を酢酸エ
チル300mlに懸濁し、4規定塩化水素/酢酸エチル
を130ml加え、4時間撹拌した。溶媒を減圧下で留
去したのち、生じた白色沈殿にジエチルエーテルを加え
よく洗浄し、白色固体のグリシルグリシルグリシンベン
ジルエステル塩酸塩4.63g(収率85%)を得た。
このものの物理的性質は次のとおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.25、Rf2=0.63 融点:190〜193℃
【0021】参考例4 参考例3におけるグリシルグリシンベンジルエステル塩
酸塩の代わりに、L−プロリル−L−プロリンベンジル
エステル塩酸塩を用いて、参考例3と同様な操作によっ
て吸湿性半固体のグリシル−L−プロリル−L−プロリ
ンベンジルエステル塩酸塩を得た。このものの物理的性
質は次のとおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.55、Rf2=0.15
【0022】実施例1 1,10−デカンジカルボン酸0.50g(2.17ミ
リモル)とHOBt0.65g(4.77ミリモル)を
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)10mlに溶
解し、−5℃でかきまぜながら、EDAC0.915g
(4.77ミリモル)を含むクロロホルム溶液10ml
を加えた。1時間後、参考例1で得たグリシルグリシン
ベンジルエステル塩酸塩1.24g(4.77ミリモ
ル)を含むメタノール溶液10ml、引き続きトリエチ
ルアミン0.67ml(4.77ミリモル)を加え、徐
々に室温に戻しながら一昼夜かきまぜた。減圧下、溶媒
を完全に留去し、得られた白色沈殿を濾紙上で10%ク
エン酸水溶液50ml、水20ml、4%炭酸水素ナト
リウム水溶液50ml、水20mlの順に洗浄した。沈
殿物はDMFから再結晶し、白色固体としてN,N’−
ビス(グリシルグリシンペンジルエステル)デカン−
1,10−ジカルボキサミド1.15g(収率83%)
を得た。この化合物0.5g(0.78ミリモル)を5
0℃の水浴上でDMF200mlに溶解し、触媒として
10%パラジウム/炭素を0.25g加え、接触水素還
元を行った。6時間後、触媒をセライトを用いて濾別
し、溶媒を減圧下留去した。生じた白色沈殿をDMFか
ら再結晶し、白色固体のN,N’−ビス(グリシルグリ
シン)デカン−1,10−ジカルボキサミド0.14g
(収率39%)を得た。
【0023】このものの物理的性状及び元素分析値を次
に示す。 融点:220℃以上で分解 元素分析値(C2034) C H N 計算値(%) 52.38 7.47 12.22 実測値(%) 52.40 7.46 12.11 また、この化合物のH−NMRスペクトル(ジメチル
スルホキシド−d6中、40℃)チャートを図1に示
す。
【0024】実施例2 実施例1において、1,10−デカンジカルボン酸を用
いる代わりに、スベリン酸を用いた以外は、実施例1と
同様な操作によって、白色固体のN,N’−ビス(グリ
シルグリシン)ヘキサン−1,6−ジカルボキサミドを
得た。このものの物理的性質は次のとおりである。 融点:210℃以上で分解
【0025】実施例3 実施例1において、1,10−デカンジカルボン酸を用
いる代わりに、1,18−オクタデカンジカルボン酸を
用いた以外は、実施例1と同様な操作によって、白色固
体のN,N’−ビス(グリシルグリシン)オクタデカン
−1,18−ジカルボキサミドを得た。このものの物理
的性質は次のとおりである。 融点:220℃以上で分解
【0026】実施例4 1,10−デカンジカルボン酸0.50g(2.17ミ
リモル)とHOBt0.65g(4.77ミリモル)を
DMF10mlに溶解し、−5℃でかきまぜながら、水
溶性カルボジイミド塩酸塩0.915g(4.77ミリ
モル)を含むクロロホルム溶液10mlを加えた。1時
間後、参考例2で得たL−プロリル−L−プロリンベン
ジルエステル塩酸塩1.62g(4.77ミリモル)を
含むクロロホルム溶液20ml、引き続きトリエチルア
ミン0.67ml(4.77ミリモル)を加え、徐々に
室温に戻しながら一昼夜かきまぜた。減圧下、溶媒を留
去し、得られた淡黄色オイルにクロロホルム50mlを
加え、10%クエン酸水溶液、水、4%炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、水の順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナト
リウムで乾燥し、減圧下、溶媒を完全に留去して淡黄色
オイルとしてN,N’−ビス(L−プロリル−L−プロ
リンペンジルエステル)デカン−1,10−ジカルボキ
サミド1.53gを得た。このオイルをクロロホルム5
0mlに溶解し、触媒として10%パラジウム/炭素を
0.75g加え、接触水素還元を行った。6時間後、触
媒をセライトを用いて濾別した。溶媒を減圧下留去し、
得られたオイル状物質をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー[溶出液:クロロホルム/メタノール/水=5/
4/1(容積比)]によって精製し、無色オイルのN,
N’−ビス(L−プロリル−L−プロリン)デカン−
1,10−ジカルボキサミド0.24g(収率19%)
を得た。このものの物理的性質は以下のとおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.30、Rf2=0.30 また、この化合物の13C−NMRスペクトル(重クロ
ロホルム中、27℃)チャートを図2に示す。
【0027】実施例5 実施例4におけるL−プロリル−L−プロリンベンジル
エステル塩酸塩の代わりに、参考例2で得られたサルコ
シルサルコシンベンジルエステル塩酸塩を用いた以外
は、実施例と同様にして、無色オイルのN,N’−ビ
ス(サルコシルサルコシン)デカン−1,10−ジカル
ボキサミド0.26g(収率23%)を得た。このもの
の物理的性質は以下のとおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.05、Rf2=0.13
【0028】実施例6 1,10−デカンジカルボン酸0.50g(2.17ミ
リモル)とHOBt0.65g(4.77ミリモル)を
DMF10mlに溶解し、−5℃でかきまぜながら、E
DAC0.92g(4.77ミリモル)を含むクロロホ
ルム溶液10mlを加えた。1時間後、参考例3で得ら
れたグリシルグリシングリシンベンジルエステル塩酸塩
1.51g(4.77ミリモル)を含むメタノール溶液
50ml、引き続きトリエチルアミン0.67ml
(4.77ミリモル)を加え、徐々に室温に戻しながら
一昼夜かきまぜた。減圧下、溶媒を完全に留去し、得ら
れた白色沈殿を濾紙上で10%クエン酸水溶液50m
l、水20ml、4%炭酸水素ナトリウム水溶液50m
l、水20mlの順に洗浄した。沈殿物はDMFから再
結晶し、白色固体としてN,N’−ビス(グリシルグリ
シルグリシンペンジルエステル)デカン−1,10−ジ
カルボキサミド1.17g(収率94%)を得た。この
もの0.5g(0.66ミリモル)を80℃の水浴上で
DMFに溶解し、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液1
6.6mlを加えた。2時間後、1規定塩酸15mlで
pHを3にした後、溶媒を除去した。最後に、生じた白
色沈殿を水でよく洗浄して、白色固体としてN,N’−
ビス(グリシルグリシルグリシン)デカン−1,10−
ジカルボキサミド0.35g(収率92%)を得た。
【0029】このものの物理的性状及び元素分析値を次
に示す。 融点:220℃以上で分解 元素分析値(C244010) C H N 計算値(%) 50.34 7.04 14.68 実測値(%) 50.46 7.10 14.52 また、この化合物のH−NMRスペクトル(ジメチル
スルホキシド−d中、40℃)チャートを図3に示
す。
【0030】実施例7 実施例6において、1,10−デカンジカルボン酸を用
いる代わりに、スベリン酸を用いた以外は、実施例
同様な操作によって、白色固体のN,N’−ビス(グリ
シルグリシルグリシン)ヘキサン−1,6−ジカルボキ
サミドを得た。融点:220℃以上で分解
【0031】実施例8 1,10−デカンジカルボン酸0.50g(2.17ミ
リモル)とHOBt0.65g(4.77ミリモル)を
DMF10mlに溶解し、−5℃でかきまぜながら、E
DAC0.92g(4.77ミリモル)を含むクロロホ
ルム溶液10mlを加えた。1時間後、参考例4で得た
グリシル−L−プロリル−L−プロリンベンジルエステ
ル塩酸塩1.89g(4.77ミリモル)を含むクロロ
ホルム溶液20ml、引き続きトリエチルアミン0.6
7ml(4.77ミリモル)を加え、徐々に室温に戻し
ながら一昼夜かきまぜた。減圧下、溶媒を完全に留去
し、得られた淡黄色オイルにクロロホルム50mlを加
え、10%クエン酸水溶液、水、4%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液、水の順に洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去して淡黄色オイルの
N,N’−ビス(グリシル−L−プロリル−L−プロリ
ンペンジルエステル)デカン−1,10−ジカルボキサ
ミド1.24gを得た。このオイル状物質をクロロホル
ム50mlに溶解し、触媒として10%パラジウム/炭
素を0.60g加え、接触水素還元を行った。6時間
後、触媒をセライトを用いて濾別した。溶媒を減圧下、
完全に留去し、淡黄色オイルのN,N’−ビス(グリシ
ルL−プロリル−L−プロリン)デカン−1,10−ジ
カルボキサミドを得た。このものの物理的性質は以下の
とおりである。 薄層クロマトグラフィーのRf値:Rf1=0.23、Rf2=0.23
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得たN,N’−ビス(グリシルグリ
シン)デカン−1,10−ジカルボキサミドのH−N
MRスペクトルチャート。
【図2】実施例4で得たN,N’−ビス(L−プロリル
−L−プロリン)デカン−1,10−ジカルボキサミド
13C−NMRスペクトルチャート。
【図3】実施例6で得たN,N’−ビス(グリシルグリ
シルグリシン)デカン−1,10−ジカルボキサミドの
H−NMRスペクトルチャート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C11B 11/00 C11B 11/00 C11C 3/00 C11C 3/00 (56)参考文献 特開 平5−320190(JP,A) Khim.−Farm.Zh.,Vo l.26(2),p.43−45(1992) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 5/06 C07K 1/02 C07K 1/06 C07K 5/08 C11B 11/00 C11C 3/00 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、A1、・・・、Amはグリシン残基、プロリン
    残基、サルコシン残基のうちのいずれかのアミノ酸残
    基、mは2〜12の整数、ORはアミノ酸のC端保護基
    である)で表わされるN端フリー、C端保護のオリゴペ
    プチド塩酸塩に、一般式 【化2】 (式中、nは6〜18の整数である)で表わされるジカ
    ルボン酸を縮合させ、次いでC端保護基を脱離させるこ
    とを特徴とする、一般式 【化3】 (式中、A1、・・・、Amはグリシン残基、プロリン
    残基、サルコシン残基のうちのいずれかのアミノ酸残
    基、mは2〜12の整数、nは6〜18の整数である)
    で表わされるオリゴペプチド鎖のC端を両端にもつ双頭
    型脂質の製造方法。
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