JPH11320828A - 転写プリンタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写基材上に塗布する受像層の層厚を薄くし
たりフィラーを混入させるなど材料的な予防策をしなく
ても、転写させる画像形成層をバリ発生なく最終被転写
体であるＩＤカード、ＩＤ通帳に転写させることができ
る機構を備えた転写プリンタを提供すること。 【解決手段】 転写基材（１３）上に画像形成層（１
１）を設けた転写媒体（１０）を使用し、被転写体（７
０）に当該画像形成層（１１）をヒートローラー（６
０）にて転写してなる転写プリンタにおいて、転写媒体
（１０）のヒートローラー（６０）送り手前の位置にて
画像形成層（１１）に対し転写送り方向にスジ目を付け
るスジ押しローラー（５２）とスジ押しプラテンローラ
ー（５４）を備えるスジ押し機構（５０）を具備するこ
とを特徴とする転写プリンタ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＩＤカードやパス
ポートなど被転写体の全面、または部分的に個々に異な
る印字・イメージをカラーで形成させるべく、所望の文
字・画像情報を転写方式にて転写形成させる転写プリン
タにおいて、転写される画像形成層がバリなく転写され
る装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、身分証明書、社員証、運転免
許証などで代表されるＩＤカードや、パスポート、ビザ
などのＩＤ通帳は、その保持人を特定しかつ偽造防止さ
れないように、顔写真や個人属性情報を地紋や細紋など
の模様とともに保護層と一体となった転写印字がその表
面全面あるいは部分領域に施されている。

【０００３】このＩＤカードやＩＤ通帳などを発行する
装置である転写プリンタとして、シアン（Ｃ）、マゼン
タ（Ｍ）、イエロー（Ｙ）、ブラック（Ｋ）のカラーリ
ボンからサーマルヘッドにて所望の文字・画像イメージ
を一旦中間媒体である転写媒体上に形成後、所定位置に
セットしたＩＤカード、ＩＤ通帳などの被転写体にヒー
トローラーにて転写させる感熱転写方式のものが、各社
メーカーから製造され所定機関などで利用されている。

【０００４】ところで、文字・画像イメージを一時的に
形成させる中間媒体である転写媒体の幅は各種サイズに
対応できるよう、最終的な被転写体であるＩＤカード、
ＩＤ通帳の幅より一般には幅広なものが用意され利用さ
れるため、図５に示すように転写印字された領域（７
４）外の部分までバリ（１８）としてＩＤカードなど被
転写体（７０）、あるいは転写プリンタ側に付着してく
ることが多く発生し、品質上、装置保守上問題とされて
きた。

【０００５】このバリ対策として従来は転写媒体の転写
基材上に塗布する受像層（１６）の層厚を薄くしたり、
繊維状のフィラーと呼ぶ添加剤を受像層（１６）中に混
入させて剥離しやすくするなどの予防策がとられてきた
が、層厚を薄くすると仕上がりのＩＤカード、ＩＤ通帳
などの被転写体（７０）の耐光性、耐可塑剤性の耐久性
が劣化し、フィラーを混入させると透明である受像層
（１６）が白濁して見え、品質上劣るという欠点があっ
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、転写基材上
に塗布する受像層の層厚を薄くしたりフィラーを混入さ
せるなど材料的な予防策をしなくても、転写させる画像
形成層をバリ発生なく最終被転写体であるＩＤカード、
ＩＤ通帳に転写させることができる機構を備えた転写プ
リンタを提供することを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明において上記の課
題を達成するために、まず請求項１の発明では、転写基
材上に画像形成層を設けた転写媒体を使用し、被転写体
に当該画像形成層をヒートローラーにて転写して所望の
画像を形成する転写プリンタにおいて、転写媒体のヒー
トローラー送り手前の位置にて画像形成層に対し転写送
り方向にスジ目を付けるスジ押しローラーとスジ押しプ
ラテンローラーを備えるスジ押し機構を具備することを
特徴とする転写プリンタである。

【０００８】また請求項２の発明では、前記スジ押しロ
ーラーとスジ押しプラテンローラーを備えるスジ押し機
構が、転写送り方向と直角方向に位置調整出来うる機構
を具備することを特徴とする転写プリンタである。

【０００９】また請求項３の発明では、前記スジ押し機
構におけるスジ押しローラーが、回転表面に２〜３ｍｍ
長の印圧突起と切り欠きを交互に持つ歯車状の形状を有
し、かつ印圧突起の先端歯厚が５０〜６０μｍである転
写プリンタである。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は本発明の転写プリンタの概
要側面図であり、ＩＤカード、ＩＤ通帳など被転写体
（７０）をステージ（８０）に置き、ＩＤカードなら片
面全面または所定部分矩形領域を、ＩＤ通帳のように帳
面形態のものはその１ページ全面または所定部分矩形領
域に対し文字・画像・模様などのカラーイメージを印字
形成させる転写プリンタであって、印字形成させるカラ
ーイメージは、サーマルヘッド（３０）を、図示しない
駆動制御部に従い駆動させて、転写媒体（１０）の受像
層（１６）上にカラーリボン（２０）からの各色ドット
の集合体として画像層（１５）が形成される。

【００１１】イメージ形成された画像層（１５）および
転写基材（１３）上に塗布されている受像層（１６）か
らなる画像形成層（１１）はスジ押しローラー（５２）
及びスジ押しプラテンローラー（５４）からなるスジ押
し機構（５０）により転写媒体（１０）の送り方向に平
行に端から所定量分オフセットした位置の画像形成層に
スジ目（１２）を付けられた後、ステージ（８０）上に
セットされた被転写体（７０）にヒートローラー（６
０）による熱と印圧によって、図２に示すようにスジ目
（１２）を境界として画像形成層（１１）の必要領域が
被転写体の転写領域（７４）に最終的に転写され（図５
参照）、不必要な領域は転写媒体（１０）の転写基材
（１３）に残ったまま巻き取りロール（９２）に回収さ
れる。

【００１２】本発明の転写プリンタにて作成する被転写
体の適用例としては、顔写真入りの社員証、身分証明
証、運転免許証、クレジットカードなどＩＤカードがあ
げられる。

【００１３】ＩＤカードを製作するには、通常、塩ビな
どの材質からなるカードに、共通の絵柄、文字を印刷し
ておいた半完成カードを準備し、発行する個人データ
（顔写真など画像データと、氏名、生年月日、会員番
号、有効期限など個人属性文字データ）が一定数貯まっ
た時点で、当個人情報をデジタルデータとして描画装置
に読み込み後、個別プリントして仕上げる。

【００１４】上記、半完成カードに顔写真、個人属性デ
ータイメージを形成させる描画装置として熱転写プリン
タがあり、これはシアン（Ｃ）、マゼンタ（Ｍ）、イエ
ロー（Ｙ）、ブラック（Ｋ）の印刷４原色を持つカラー
リボンからサーマルヘッドにて所望の文字・画像イメー
ジを一旦中間媒体である転写媒体（１０）の転写基材
（１３）上の画層形成層（１１）に形成させ、しかる後
にカードに画像形成層（１１）をヒートローラー（６
０）で転写させるものである。

【００１５】ところで、上記画像形成層を持つ転写媒体
（１０）はロール形に巻き取られており、使用の際はテ
ープ状に引き出して使用し、具体的には図１に示す通
り、転写プリンタの巻き出しロール（９０）に未使用の
ロールをセットし、サーマルヘッド（３０）とプラテン
ローラー（４０）の間を通した後、カードが置かれるス
テージ（８０）とヒートローラー（６０）の間を通って
転写に供した後、巻き取りロール（９２）に巻き取られ
る構成になっている。

【００１６】更に本発明の転写プリンタでは、上記転写
媒体（１０）のテープ状走行路の構成に加え、ヒートロ
ーラー（６０）とステージ（８０）の前に図３（ａ）〜
（ｂ）に示すスジ押しローラー（５２）とスジ押しプラ
テンローラー（５４）の対で構成されるスジ押し機構
（５０）を具備し、その間を転写媒体（１０）が通る構
成としており、これによりサーマルヘッド（３０）で転
写媒体（１０）上に形成された画像形成層（１１）を送
り方向に沿って転写領域と非転写領域に境界を二分する
鋭利なスジ目（または折り目のような形状でもよい）を
転写前に付加できるようになっている。

【００１７】またスジ押しローラー（５２）は図３
（ｂ）に示す通り、転写媒体（１０）の送り方向と９０
度の回転軸方向（図矢印方向）にスライド調整可能にな
っており、使用する被転写体の横幅寸法に併せて位置調
整した後、固定する機構を備えているので、ローラー印
圧にて付けられる画像形成層のスジ目（１２）は被転写
体の一端縁（７０ａ）と合致させることができる（図２
参照）。

【００１８】更にスジ押しローラー（５２）の回転表面
の好ましい形状としては図３（ｃ）〜（ｄ）に示すよう
に、円周方向には２〜３ｍｍ長の印圧突起と切り欠きを
交互に持つ歯車状の形状、印圧先端部断面では先端歯厚
が５０〜６０μｍに先細りの形状とすることで、スジ目
を付ける画像形成層（１１）のしわの発生を抑制でき、
かつ十分なローラー印圧（２００〜３００ｇ／ｍｍ² ）
を加えることができる。

【００１９】またスジ押しローラー（５２）の材質とし
ては画像形成層（１１）と接着しにくいステンレスが、
スジ押しプラテンローラー（５４）の材質としては硬
さ、耐摩耗性などの特性よりプラスチックの一種である
デルリンが望ましい。

【００２０】図４は転写媒体（１０）の断面をその構成
層別に示したもので、転写基材（１３）としてポリエチ
レンテフタレート（ＰＥＴ）などを材質とする、ベース
となるフィルムの上にまず剥離層（１７）が設けられて
おり、転写時にはヒートローラー（６０）にて加えられ
る熱にてこの剥離層（１７）が溶融して当層から上の画
像形成層（１１）が被転写体（７０）側に転写され、自
然冷却後固着する。

【００２１】また、サーマルヘッド（３０）にて描画さ
れる実際の文字・画像イメージは画像層（１５）であ
り、この層を覆うように受像層（１６）が被転写体（７
０）の最外皮に転写され、文字・画像イメージの保護層
の役割も受像層（１６）が担うことになる。

【００２２】

【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に
示す如き効果がある。即ち、本発明においては、ヒート
ローラー送り手前の位置で画像形成層に転写送り方向に
スジ目を付けるスジ押しローラーおよびスジ押しプラテ
ンローラーからなるスジ押し機構を具備するので、被転
写体に転写形成される画像形成層に不要なバリが発生す
ることがなくなり、バリ除去を後加工処理としてしなく
ても高品位な被転写体の仕上がりが望め、またバリが転
写プリンタ内に付着することもなくなるので機械のまめ
な清掃が不要になるなどメンテナンス性も向上する。

【００２３】更には、使用する転写媒体上の受像層もバ
リ発生予防のため薄手にする必要がなくなり厚手に塗布
したものが使用できるので、被転写体の耐光性、耐可塑
剤性など耐久性の向上の効果がある。

【００２４】また本発明によれば、被転写体の一端縁な
ど希望する境界線に沿った画像形成層のスジ目を入れる
ことができるので、上記のようにバリがない真に直線状
の転写画像形成層のエッジ部が仕上げられるとともに、
被転写体の端縁と完全に一致させ見映え良く仕上げるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示す転写プリンタの概
要側面図である。

【図２】本発明に係わる転写プリンタにおける転写前で
の、スジ押しローラーによる転写媒体へのスジ押し動作
の説明図である。

【図３】本発明に係わるスジ押し機構の一実施の形態を
示すもので、（ａ）は、スジ押し機構を側面からみた側
面断面図。（ｂ）は、スジ押し機構を転写媒体送りの前
面からみた前面図。（ｃ）は、スジ押しローラーの側面
を一部拡大してみた側面拡大図。（ｄ）は、スジ押しロ
ーラーの回転表面切り欠き部分を転写媒体送りの前面か
ら拡大してみた前面拡大図である。

【図４】本発明に使用する転写媒体の断面を構成層別に
示した断面拡大図である。

【図５】従来技術による転写プリンタを使用して製作さ
れた通帳形態の被転写体の説明図である。

【符号の説明】 １０・・・・転写媒体 １１・・・・画像形成層 １２・・・・スジ押しされたスジ目 １３・・・・転写基材 １５・・・・画像層 １６・・・・受像層 １７・・・・剥離層 １８・・・・バリ ２０・・・・カラーリボン ３０・・・・サーマルヘッド ４０・・・・プラテンローラー ５０・・・・スジ押し機構 ５２・・・・スジ押しローラー ５４・・・・スジ押しプラテンローラー ６０・・・・ヒートローラー ７０・・・・被転写体 ７０ａ・・・・被転写体の一端縁 ７２・・・・被転写体の非転写領域 ７４・・・・転写印字された領域 ８０・・・・ステージ ９０・・・・巻き出しロール ９２・・・・巻き取りロール

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】転写基材上に画像形成層を設けた転写媒体
   を使用し、被転写体に当該画像形成層をヒートローラー
   にて転写して所望の画像を形成する転写プリンタにおい
   て、転写媒体のヒートローラー送り手前の位置にて画像
   形成層に対し転写送り方向にスジ目を付けるスジ押しロ
   ーラーとスジ押しプラテンローラーを備えるスジ押し機
   構を具備することを特徴とする転写プリンタ。
2. 【請求項２】前記スジ押しローラーとスジ押しプラテン
   ローラーを備えるスジ押し機構が、転写送り方向と直角
   方向に位置調整出来うる機構を具備することを特徴とす
   る請求項１記載の転写プリンタ。
3. 【請求項３】前記スジ押し機構におけるスジ押しローラ
   ーが、回転表面に２〜３ｍｍ長の印圧突起と切り欠きを
   交互に持つ歯車状の形状を有し、かつ印圧突起の先端歯
   厚が５０〜６０μｍである請求項１または請求項２のい
   ずれかに記載の転写プリンタ。