JPH0777805B2 - 熱転写用ｏｈｐシ−トの印字方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、熱転写方式のプリンターを使用し、印字品
質の良好な画像を得ることができる熱転写用オーバヘッ
ドプロジェクター（以下、OHPと記す）シートの印字方
法に関するものである。

（従来の技術） 情報化の進行している中で、情報の出力として各種の方
式が実用化されている。乾式、湿式の電子写真方式、ワ
イヤードット方式に代表されるインパクト方式のプリン
ター、インクジェット方式や熱転写方式に代表されるノ
ンインパクト方式のプリンター等である。

これに対して熱転写方式のプリンターも各種実用化され
ており、これに使用する被記録材としてのOHPシートも
提案されている。

例えば、透明フィルム上に、ゴム系接着剤層やアクリル
系接着剤層が塗布されたもの、又熱溶融インクと相溶性
の良い固体ろうを含む塗布層（特開昭60−154096号）を
設けたもの等が提案されてる。

（発明が解決しようとする問題点） 熱転写方式のプリンターには、シリアルタイプ、ライン
タイプがあるが、印字スピードではラインタイプが優れ
ている。

このラインタイプのカラー熱転写方式のプリンターを使
用してフルカラーの画像を得るのに、１つのインクリボ
ンに複数の色のインク材料を順次長手方向に沿って塗布
したインクリボンを使用したドラム式、スイング式、マ
ルチヘッド式等の方式が用いられるが、この場合マルチ
ヘッド式を除いて例えば３〜４色のインクを同一被記録
材に印字するため、ヘッドとプラテン又はドラムの間を
被記録材が３〜４回往復する必要がある。

これを第１図に示したドラム式のカラー熱転写方式のプ
リンターについて説明すると、被記録材６はその一端が
クランプ部1aに係止されるように回転ドラム１に巻き付
けられ、一方１つのインクリボンに複数の色のインク材
料を順次長手方向に沿って塗布したインクリボン５は、
供給ローラ２と巻取ローラ３を用いて回転ドラム外周部
1bに接触するように供給される。

そして記録時には、回転ドラム１をＥ方向に回転させる
とともに、サーマルヘッド４を回転ドラム外周1b上の被
記録材６にインクリボン５を押圧するように移動し、こ
れによりインクリボン５の１つの色のインク材料が加
熱、溶融して被記録材６上に転写される。１つの画面に
ついて１つの色の記録が終了すると、回転ドラム１を記
録時とは逆のＦ方向に回転させ、被記録材６を逆送りし
たり、或は回転ドラム１をＥ方向に回転し、被記録材６
を順送りして画面の先頭ラインをサーマルヘッド４の位
置に戻して別の色の記録を行なうのである。

第２図はドラム式のカラー熱転写方式のプリンターの他
の例を示すものであるが、この場合被記録材６は、プラ
テン７を経て供給され、その一端が回転ドラム１のクラ
ンプ部1aにおいて係止される。一方インクリボン５は、
サーマルヘッド４の移動によってプラテン７上の被記録
材６に押圧され、これによりインクリボン５の１つの色
のインク材料を溶融して被記録材６に転写される。

サーマルヘッド４による１つの色の記録が終了すると、
回転ドラム１を記録時とは反対方向に回転させ、したが
って被記録材６はプラテン７上を逆送りして画面の先頭
ラインをサーマルヘッド４の位置に戻して別の色の記録
を行なう。

即ち、ラインタイプのカラー熱転写方式のプリンターで
も単色の画像を得る場合又はマルチヘッド方式によりフ
ルカラーの画像を得る場合には、被記録材はサーマルヘ
ッドとプラテン又は回転ドラムの間を１回通過させるだ
けであるが、ドラム式乃至スイング式のカラー熱転写方
式のプリンターを使用してフルカラーの画像を得る場合
には、被記録材はサーマルヘッドとプラテン乃至回転ド
ラムの間を複数回往復することになる。

プリンター内における上述の被記録材の往復走行はベル
ト、ローラ等を使用して行なわれ、被記録材の往復走行
時には被記録材の印字面、裏面がベルト、ローラ、その
他の箇所に接触することなる。

この場合、被記録材が紙の場合には、問題にならない
が、被記録材が透明フィルムからなるOHPシートの場
合、走行中に特に裏面にフィード傷が発生し、オーバー
ヘッド、プロジェクターを使用し、投影した時、明らか
な黒い線となって投影され、映像が見難くなってしまう
欠点がある。

また、OHPシートを上述のようにサーマルヘッドとプラ
テン乃至回転ドラム間を複数回走行させると、ドットの
位置ずれが発生し、このため画像が滲み易いという欠点
がある。

更に、OHPシートは透明フィルム上に設けられる塗布層
においては必ずしも熱の伝わり方が均一に行なわれず、
このためサーマルヘッド等によりインク材料を転写した
場合、色むらが発生し、良質な印字性能が得られないな
どの欠点がある。

また、OHPシート自体透明のため、これを整理する時な
ど何枚も重ねて置くと、反射光で見ずらくなり、１枚１
枚のシートの区別が困難になるなどの欠点がある。

（問題点を解決するための手段） この発明は、以上の問題点を解決するため鋭意研究の結
果、この発明ではその周面に設けられたクランプ部にOH
Pシートの一端を係止させた回転ドラムによってOHPシー
トを送出しながらOHPシートの印字面に熱転写印字を行
なう方法において、OHPシートの印字面と反対側の面に
裏面シートを重ね合せ、且つ該裏面シートを回転ドラム
のクランプ部に係止されるOHPシートの一端部の外側縁
に沿って貼り合せて、OHPシートの印字面に熱転写印字
を行なうことを特徴とする熱転写用OHPシートの印字方
法を提案するものである。

ここで、OHPシートとしては従来公知のものを使用する
ことができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレー
ト（特に、膜厚25〜100μｍの２軸延伸ポリエチレンテ
レフタレート）、ポリカーボネート、ポリアセタール等
の透明フィルム上にゴム系接着層やアクリル系接着層が
塗布されたもの、またインクリボンの熱溶融インクと相
溶性の良い固体ろうを含む塗布層が設けられたもの等を
使用することができる。

この発明で使用することができる裏面シートとしては、
紙、合成紙、若しくはプラスチックシートが用いられ
る。

この発明で使用できる紙は可撓性があり、プリンター内
を走行できる厚さであればよい。例えば、コート紙、MC
紙、中質紙、上質紙、樹脂加工紙、グラシン紙、耐油
紙、ナフキン白紙、スーパーカレンダー、ロール紙、ク
レイアート紙、カゼインアート紙、クラフト紙、カルト
ン紙、模造紙、純白ロール紙、インディアンペーパー等
を挙げることができる。

この発明で使用できる合成紙は、可撓性があり、プリン
ター内を走行できる厚さであればよく、例えばフイルム
法で製造された合成紙等が使用される。

フイルム法で製造された合成紙には、合成樹脂に充填材
や添加剤を加えて混合し、押出機で溶融混練後、フイル
ム状に押し出すものや更に延伸をかけてミクロな孔を持
つようなした所謂押し出し方式で製造されるもの、プラ
スチックフイルムの表面に顔料、充填剤を含む塗工層を
設ける表面塗工方式で製造されるもの、プラスチックフ
イルムの表面に物理的・化学的処理を施したもので、薬
品処理・サンドブラスト処理の表面処理方式で製造され
るものがあるが、この発明では何れも好適な材料として
使用できる。

この発明で使用することができるプラスチックシート
は、可撓性があり、表面が滑らかで、プリンター内を走
行できる厚さであれば、成分、構造、構成は問わない。
その一例を挙げれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリカーボネー
ト、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリスル
ホン、TPXポリマー、ポリパラキシレン、塩酸ゴム、ポ
リウレタン、イオノマー等のシートを使用することがで
きる。又ラミネート、積層、蒸着、塗工、帯電防止等の
表面処理したプラスチックシートも使用できる。

なお、ドットの位置ずれをなくすための好ましい裏面シ
ートの材質としては、上記のうち特にフィルム法で製造
された合成紙、プラスチックシート等を挙げることがで
きる。

また、色むら等をなくしてOHPシートの印字性能を向上
させるためには、上述の裏面シートの材質のうち、特に
コート紙、MC紙、中質紙、上質紙、樹脂加工紙、グラシ
ン紙、耐油紙、ナフキン白紙、スーパーカレンダー、ロ
ール紙、クレイアート紙、カゼインアート紙、クラフト
紙、カルトン紙、模造紙、純白ロール紙、インディアン
ペーパー等の紙、フィルム法で製造された合成紙、プラ
スチックシートが好ましい材質である。

更に、反射光によって重ねられたOHPシートが見にくく
なるのを防止するために裏面シートとしては、無色透明
シートよりも着色シート又は不透明シート、特に白色シ
ートが望ましく、合成紙、白色プラスチックシートは何
れも不透明であるため、好適な材質である。

なお、印字時に重ね合されたOHPシートと裏面シートの
剥離を防ぐために、例えば重ね合せられたOHPシートと
裏面シートの上端部を貼り合せるようにしてもよいが、
OHPシートと裏面シートが静電気的に吸着するような材
質を選択するのであれば、特に両シートを貼り合せる必
要もない。

また、重ね合せたOHPシートと裏面シートを貼り合せれ
ば、印字時におけるドットの位置ずれをなくすのに、よ
り効果的であるが、本願発明者等の研究によれば、第
１、２図に示すようなドラム式のカラー熱転写方式のプ
リンターにおいては回転ドラム１のクランプ部1a上にOH
Pシート８と裏面シート９の貼り合わせ位置があったの
では、ドットの位置ずれはさほど解決されないことが判
明した。

これに対して、第３図に示すように重ね合されたOHPシ
ート８と裏面シート９が回転ドラム１のクランプ部1aに
係止される際に、クランプ部1aの外側縁に沿って接着部
10があるように、両シートを貼り合せて印字すれば、ド
ットの位置ずれがなくなることが明らかになった。

上述のようなOHPシート８と裏面シート９の貼り合わせ
態様を例示したのが第４図である。

これによれば、回転ドラム１のクランプ1aの外側縁に位
置する距離をａ、印字開始部を11とすれば、OHPシート
８と裏面シート９の貼り合せ接着部10は第４図（ａ）に
示すように、距離ａの線上に沿って線状に設けてもよ
く、第４図（ｂ）に示すように距離ａの線上に鎖線状に
設けてもよく、第４図（ｃ）に示すように距離ａの線上
の両端部に設けてもよく、第４図（ｄ）に示すように距
離ａの線の上方の全面に設けてもよく、第４図（ｅ）に
示すように距離ａの線上とOHPシートと裏面シートの重
ね合わせた上端部との両方に線状に設けるようにしても
よく、更に第４図（ｆ）に示すように、距離ａの線上に
沿って両端をあけて線状に設けてもよい。

（発明の効果） この発明によれば、OHPシート裏面は裏面シートにより
保護されているため、プリンター内部を走行中に起こる
裏面のフィード傷から守られ、印字されたOHPシートに
は傷が付かず、したがって鮮明な映像が得られる。

また、裏面シートとして、特に着色シート、合成紙、プ
ラスチックシートのような不透明乃至白色シートを使用
することによって、反射光によって重ねられたOHPシー
トが見にくくなるのを防止することができる。

更に、裏面シートとして上述のような紙、フィルム法で
製造された合成紙、プラスチックシート等を使用するこ
とによって、色むらがなくなり、印字性能を向上させる
ことができる。

この発明において色むらがなくなり、印字性能が向上す
る機構については不明な点が多いが、裏面シートとして
上述のような緻密な材料を使用した場合には、OHPシー
トの印字面にインクリボンを押圧してサーマルヘッドを
加熱すると、インクリボンからはインク材料が溶融して
OHPシートの印字面に転写されると同時に、裏面シート
には均一に熱が流れる。そこで、OHPシートに転写され
たインクが均一に冷却され、更にインクリボンとOHPシ
ートの印字面が均一に剥離され、このため、色むらが発
生しないものと考えられる。

また、この発明ではOHPシートの印字面とは反対側に裏
面シートを設けることにより、OHPシートとプラテン乃
至回転ドラムとの密着性を高めることができる。このた
め、OHPシートがヘッドとプラテン乃至回転ドラムとの
間を往復しても同じ位置に戻り、したがってOHPシート
に印字した時、ドットの位置ずれが起こらない。

更に、特にドラム式のカラー熱転写方式のプリンターを
使用する場合においては、第３図、第４図に示すように
重ね合されたOHPシートと裏面シートとが回転ドラムの
クランプ部の外側縁に当る回転ドラムの外周上で貼り合
すことにより、印字時におけるドットの位置ずれをなく
すことができる。

（実施例） 以下、この発明の実施例を示す。

A4判OHPフィルム（熱転写用:50μPET）を使用し、このO
HPフイルムの裏側にA4判の大きさの裏面シート材料を両
面テープを使って丁度重なる様に一部を貼り合わせて、
この発明に使用するOHPシートを作成した。

フルカラー熱転写プリンターを使って印字し、各試験項
目毎に評価した。その結果を下記の表１に示す。

［試験項目］ １）フィード傷：漢字を印字し、終了後のOHPシートの
うち、印字シートを目視で、フィードによる縦傷の有無
を調べた。

○：フィード傷 無 ×：フィード傷 有 ２）反射光による見易さ：漢字を印字し、終了後のOHP
シートを新聞紙の上に置き、室内で2m離れて印字された
漢字の見易さを調べた。

○：全ての漢字が明瞭に読み取れた。

△：全ての漢字は読み取れるが、地色が暗いので読み取
りにくい。

×：新聞紙の文字と区別が出来ず、全く読み取れなかっ
た。

３）ドットの位置ずれ：線間隔1mmの縦横の掛線を赤
（マゼンタとイエロー）で印字し、ドットの相対位置を
顕微鏡を使用して測定した。

４）色むら：緑（イエロー＋シァン）でべた印字し、終
了後のシートを目視により色むらの大小を判定した。

○：色むらの全くないもの △：色むらが僅かにあるもの ×：色むらが全面にあるもの ［印字試験に使用したもの］ １）プリンター：シャープ製のカラースキャナープリン
ターCX−5000 ２）裏面シート 実施例12、13 A4判OHPフィルム（熱転写用：タイホー試作品NoT206 50
μPET）の裏面に同じ大きさの裏面シート（商品名ユポF
PG80厚さ80μ王子油化製合成紙）を重ね合せてホットメ
ルト接着剤（再剥離可能なタイプ）を用いて、第４図
（ａ）に示すように、上端より一定距離離しOHPフィル
ムと裏面シートを貼り合せて複数枚の熱転写用のOHPシ
ートを作成した。

このように作成したOHPシートの上端部をドラム式の熱
転写プリンター（シャープ製 機種：カラースキャナプ
リンターCX−5000回転ドラムのクランプ部の巾:255mm）
のクランプ部に係止させてOHPシートの回転ドラムに巻
き付けて印字し、ドットの位置ずれを評価した。その結
果を表２に示す。

［評価基準］ １）線間隔1mmの縦横の罫線を緑（イエローとシァン）
で印字し、ドットの相対位置を顕微鏡を使用して測定し
た。

２）紫色（マゼンタとシァン）で漢字を印字して滲み具
合を目視で判定した。

○：漢字がはっきり読み取れた。

×：漢字の輪郭は分るが、はっきりとは読み取れなかっ
た。

［評価結果］

【図面の簡単な説明】

第１図は、ドラム式のカラー熱転写方式のプリンターを
使用したフルカラー画像印字の概略説明図、第２図は他
のドラム式のカラー熱転写方式のプリンターを使用した
フルカラー画像印字の概略説明図、第３図は熱転写方式
のプリンターの回転ドラムに、この発明に使用するOHP
シートを巻き付けた状態を示す斜視図、第４図はドラム
式のカラー熱転写方式のプリンターを使用して行なうこ
の発明の印字方法において、OHPシートと裏面シートの
貼り合せ態様を示す斜視図である。 図中、１は回転ドラム、1aは回転ドラムのクランプ部、
２はインクリボンの供給ローラ、３はインクリボンの巻
取ローラ、４はサーマルヘッド、５はインクリボン、６
は被記録材、７はプラテン、８はOHPシート、９は裏面
シート、10は貼り合せ接着部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭60−143448（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−32443（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−49973（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−135662（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−37255（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−182940（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】その周面に設けられたクランプ部にOHPシ
   ートの一端を係止させた回転ドラムによってOHPシート
   を送出しながらOHPシートの印字面に熱転写印字を行な
   う方法において、OHPシートの印字面と反対側の面に裏
   面シートを重ね合せ、且つ該裏面シートを回転ドラムの
   クランプ部に係止されるOHPシートの一端部の外側縁に
   沿って貼り合せて、OHPシートの印字面に熱転写印字を
   行なうことを特徴とする熱転写用OHPシートの印字方
   法。