JPH11320075A - シリンダブロック用成形体およびその製造方法 - Google Patents
シリンダブロック用成形体およびその製造方法Info
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- JPH11320075A JPH11320075A JP12453598A JP12453598A JPH11320075A JP H11320075 A JPH11320075 A JP H11320075A JP 12453598 A JP12453598 A JP 12453598A JP 12453598 A JP12453598 A JP 12453598A JP H11320075 A JPH11320075 A JP H11320075A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 離型性のよいシリンダブロック用成形体とそ
の製造方法の提供。 【解決手段】 金属基複合材料製シリンダブロックのシ
リンダ面の強化に使用される成形体1であって、成形体
1の内周部1aを外周部1bに比べて密に形成するか、
または内周部に空気をとじこめる凹部1bを形成した成
形体1。通気性のある筒状部材を強化材のサイズが小の
スラリーに浸漬し吸引しついで強化材のサイズが大のス
ラリーに浸漬し吸引して成形体1を製造する成形体1の
製造方法。筒状部材に可燃性多孔質部材を巻いておき強
化材のスラリーに浸漬し吸引し取り出して焼成し可燃性
多孔質部材を焼失させて凹部1bをもつ成形体1を製造
する成形体1の製造方法。
の製造方法の提供。 【解決手段】 金属基複合材料製シリンダブロックのシ
リンダ面の強化に使用される成形体1であって、成形体
1の内周部1aを外周部1bに比べて密に形成するか、
または内周部に空気をとじこめる凹部1bを形成した成
形体1。通気性のある筒状部材を強化材のサイズが小の
スラリーに浸漬し吸引しついで強化材のサイズが大のス
ラリーに浸漬し吸引して成形体1を製造する成形体1の
製造方法。筒状部材に可燃性多孔質部材を巻いておき強
化材のスラリーに浸漬し吸引し取り出して焼成し可燃性
多孔質部材を焼失させて凹部1bをもつ成形体1を製造
する成形体1の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属基複合材料製
シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される成形
体およびその製造方法に関する。
シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される成形
体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平3−268855号公報には、筒
状強化材成形体のテーパを有しない内周面を中子に嵌合
させ、溶湯を注湯し、成形体中にマトリックス金属溶湯
を浸透させることにより金属基複合材料部材(シリンダ
部に成形体を複合したシリンダブロック)を低廉かつ能
率よく製造する方法が開示されている。この場合、筒状
強化材成形体の内周面に特定厚の離型用固体潤滑材が塗
布される。
状強化材成形体のテーパを有しない内周面を中子に嵌合
させ、溶湯を注湯し、成形体中にマトリックス金属溶湯
を浸透させることにより金属基複合材料部材(シリンダ
部に成形体を複合したシリンダブロック)を低廉かつ能
率よく製造する方法が開示されている。この場合、筒状
強化材成形体の内周面に特定厚の離型用固体潤滑材が塗
布される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、金属基複合材
料製シリンダブロックの鋳造において、成形体を直接金
型のシリンダボア入子に保持すると、溶湯凝固時、成形
体が入っているため成形体部のアルミ量が少なくなって
製品全体の凝固より成形体部の凝固が速く、シリンダブ
ロック粗材の金型からの離型が困難となる場合が多い。
また、成形体内周面に固体潤滑材として黒鉛を塗布する
場合には、成形体を予熱する際に、所定温度で炭素がと
んでしまうので、成形体の予熱温度に制限が生じてしま
う。成形体の予熱温度が低いと、成形体の金型へのセッ
トまでにさらに成形体温度が低下して、十分な成形体温
度が得られず、成形体部の凝固が速く離型に問題を生じ
るほか、溶湯の成形体への浸透性が低下する。本発明の
目的は、シリンダブロック粗材の金型からの離型性をよ
くするシリンダブロック用成形体とその製造方法を提供
することにある。
料製シリンダブロックの鋳造において、成形体を直接金
型のシリンダボア入子に保持すると、溶湯凝固時、成形
体が入っているため成形体部のアルミ量が少なくなって
製品全体の凝固より成形体部の凝固が速く、シリンダブ
ロック粗材の金型からの離型が困難となる場合が多い。
また、成形体内周面に固体潤滑材として黒鉛を塗布する
場合には、成形体を予熱する際に、所定温度で炭素がと
んでしまうので、成形体の予熱温度に制限が生じてしま
う。成形体の予熱温度が低いと、成形体の金型へのセッ
トまでにさらに成形体温度が低下して、十分な成形体温
度が得られず、成形体部の凝固が速く離型に問題を生じ
るほか、溶湯の成形体への浸透性が低下する。本発明の
目的は、シリンダブロック粗材の金型からの離型性をよ
くするシリンダブロック用成形体とその製造方法を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。 (1) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体であって、繊維または繊維
と粒子からなり、ほぼ円筒状に成形されており、鋳造時
成形体の外周から溶湯が浸透してきた時に溶湯がシリン
ダボア入子の外周面に到達することを阻止する阻止手段
が成形体に形成されており、該阻止手段が、成形体の内
周部が密に形成されているかまたは成形体の内周部に空
気を閉じ込める凹部が形成されているかの何れか一方か
ら構成されている、シリンダブロック用成形体。 (2) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材をウイスカとバインダまたはウイスカと粒子とバイ
ンダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側か
ら吸引して筒状部材の外周表面に成形体の内周部を成形
しその後取り出し、ついで成形体の内周部が成形された
筒状部材を短繊維とバインダまたは短繊維と粒子とバイ
ンダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側か
ら吸引して筒状部材の外周表面に形成された成形体の内
周部の外周に成形体の外周部を成形しその後取り出し、
ついで成形体を筒状部材から外して成形体を焼成するシ
リンダブロック用成形体の製造方法。 (3) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中に浸漬
し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表面に成
形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒状部材
から外して成形体を焼成し、焼成まで終了した成形体の
内周面をローラーで押し付けて内周部を潰し内周部の体
積率を約30%以上に上昇させるシリンダブロック用成
形体の製造方法。 (4) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中に浸漬
し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表面に成
形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒状部材
から外して成形体を焼成し、焼成まで終了した成形体を
再度バインダの溶液に浸漬した後成形体の内周面のみに
風を当てて成形体内周部にバインダを凝集させ、内周部
の体積率を約30%以上に上昇させるシリンダブロック
用成形体の製造方法。 (5) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中に浸漬
し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表面に成
形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒状部材
から外して成形体を焼成し、ついで平均粒径1μm以下
の微粉を高濃度のスラリー状にして、焼成まで終了した
成形体の内面に塗布した後ローラで成形体の内周面の空
隙にすり込み、内周部の体積率を約30%以上に上昇さ
せるシリンダブロック用成形体の製造方法。 (6) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材を準備し、筒状部材の外周に成形体に形成すべき凹
部に相当する形状を有する可燃性多孔質部材を装着し、
ついで可燃性多孔質部材が装着された筒状部材を強化材
料とバインダーが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部
材の内側から吸引して可燃性多孔質部材が装着された筒
状部材の外周面に成形体を成形しついで取り出し、可燃
性多孔質部材および成形体を筒状部材から外して焼き可
燃性多孔質部材を消失させて成形体を焼成するシリンダ
ブロック用成形体の製造方法。
明はつぎの通りである。 (1) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体であって、繊維または繊維
と粒子からなり、ほぼ円筒状に成形されており、鋳造時
成形体の外周から溶湯が浸透してきた時に溶湯がシリン
ダボア入子の外周面に到達することを阻止する阻止手段
が成形体に形成されており、該阻止手段が、成形体の内
周部が密に形成されているかまたは成形体の内周部に空
気を閉じ込める凹部が形成されているかの何れか一方か
ら構成されている、シリンダブロック用成形体。 (2) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材をウイスカとバインダまたはウイスカと粒子とバイ
ンダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側か
ら吸引して筒状部材の外周表面に成形体の内周部を成形
しその後取り出し、ついで成形体の内周部が成形された
筒状部材を短繊維とバインダまたは短繊維と粒子とバイ
ンダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側か
ら吸引して筒状部材の外周表面に形成された成形体の内
周部の外周に成形体の外周部を成形しその後取り出し、
ついで成形体を筒状部材から外して成形体を焼成するシ
リンダブロック用成形体の製造方法。 (3) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中に浸漬
し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表面に成
形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒状部材
から外して成形体を焼成し、焼成まで終了した成形体の
内周面をローラーで押し付けて内周部を潰し内周部の体
積率を約30%以上に上昇させるシリンダブロック用成
形体の製造方法。 (4) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中に浸漬
し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表面に成
形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒状部材
から外して成形体を焼成し、焼成まで終了した成形体を
再度バインダの溶液に浸漬した後成形体の内周面のみに
風を当てて成形体内周部にバインダを凝集させ、内周部
の体積率を約30%以上に上昇させるシリンダブロック
用成形体の製造方法。 (5) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中に浸漬
し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表面に成
形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒状部材
から外して成形体を焼成し、ついで平均粒径1μm以下
の微粉を高濃度のスラリー状にして、焼成まで終了した
成形体の内面に塗布した後ローラで成形体の内周面の空
隙にすり込み、内周部の体積率を約30%以上に上昇さ
せるシリンダブロック用成形体の製造方法。 (6) 金属基複合材料製シリンダブロックのシリンダ
面の強化に使用される成形体を製造する方法であって、
成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状
部材を準備し、筒状部材の外周に成形体に形成すべき凹
部に相当する形状を有する可燃性多孔質部材を装着し、
ついで可燃性多孔質部材が装着された筒状部材を強化材
料とバインダーが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部
材の内側から吸引して可燃性多孔質部材が装着された筒
状部材の外周面に成形体を成形しついで取り出し、可燃
性多孔質部材および成形体を筒状部材から外して焼き可
燃性多孔質部材を消失させて成形体を焼成するシリンダ
ブロック用成形体の製造方法。
【0005】上記(1)のシリンダブロック用成形体で
は、成形体の内周部に阻止手段が形成されているので、
鋳造時に溶湯がシリンダボア入子の外周面に到達しな
い。このため、鋳造時、成形体の内周面の収縮力が緩和
され、離型が容易になる。上記(2)のシリンダブロッ
ク用成形体の製造方法では、2回にわけてスラリーに浸
漬し初めに浸漬するスラリー中の強化材を後で浸漬する
スラリー中の強化材より密な層を形成できるものとして
おくことにより、容易に内周部が密な成形体を形成する
ことができる。上記(3)のシリンダブロック用成形体
の製造方法では、焼成まで終了した成形体の内周面をロ
ーラーで押し付けて内周部を潰し内周部の体積率を約3
0%以上に上昇させるので、容易に内周部が密な成形体
を製造することができる。上記(4)のシリンダブロッ
ク用成形体の製造方法では、焼成まで終了した成形体を
再度バインダの溶液に浸漬した後成形体の内周面のみに
風を当てて成形体内周部にバインダを凝集させ、内周部
の体積率を約30%以上に上昇させるので、容易に内周
部が密な成形体を製造することができる。上記(5)の
シリンダブロック用成形体の製造方法では、平均粒径1
μm以下の微粉を高濃度のスラリー状にして、焼成まで
終了した成形体の内面に塗布した後ローラで成形体の内
周面の空隙にすり込み、内周部の体積率を約30%以上
に上昇させるので、容易に内周部が密な成形体を製造す
ることができる。上記(6)のシリンダブロック用成形
体の製造方法では、筒状部材の外周に可燃性多孔質部材
を装着しておき成形体の成形後可燃性多孔質部材を焼成
により消失させるようにしたので、成形体の内周面に容
易に凹部を形成することができる。
は、成形体の内周部に阻止手段が形成されているので、
鋳造時に溶湯がシリンダボア入子の外周面に到達しな
い。このため、鋳造時、成形体の内周面の収縮力が緩和
され、離型が容易になる。上記(2)のシリンダブロッ
ク用成形体の製造方法では、2回にわけてスラリーに浸
漬し初めに浸漬するスラリー中の強化材を後で浸漬する
スラリー中の強化材より密な層を形成できるものとして
おくことにより、容易に内周部が密な成形体を形成する
ことができる。上記(3)のシリンダブロック用成形体
の製造方法では、焼成まで終了した成形体の内周面をロ
ーラーで押し付けて内周部を潰し内周部の体積率を約3
0%以上に上昇させるので、容易に内周部が密な成形体
を製造することができる。上記(4)のシリンダブロッ
ク用成形体の製造方法では、焼成まで終了した成形体を
再度バインダの溶液に浸漬した後成形体の内周面のみに
風を当てて成形体内周部にバインダを凝集させ、内周部
の体積率を約30%以上に上昇させるので、容易に内周
部が密な成形体を製造することができる。上記(5)の
シリンダブロック用成形体の製造方法では、平均粒径1
μm以下の微粉を高濃度のスラリー状にして、焼成まで
終了した成形体の内面に塗布した後ローラで成形体の内
周面の空隙にすり込み、内周部の体積率を約30%以上
に上昇させるので、容易に内周部が密な成形体を製造す
ることができる。上記(6)のシリンダブロック用成形
体の製造方法では、筒状部材の外周に可燃性多孔質部材
を装着しておき成形体の成形後可燃性多孔質部材を焼成
により消失させるようにしたので、成形体の内周面に容
易に凹部を形成することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1実施例のシリ
ンダブロック用成形体の製造方法を示しており、図2は
本発明の第2実施例のシリンダブロック用成形体の製造
方法を示しており、図3は本発明の第3実施例のシリン
ダブロック用成形体の製造方法を示しており、図4は本
発明の第4実施例のシリンダブロック用成形体の製造方
法を示しており、図5は本発明の第5実施例のシリンダ
ブロック用成形体の製造方法を示しており、図6は本発
明の第1〜第4実施例の製造方法で製造したシリンダブ
ロック用成形体をシリンダボア入子に装着した状態の半
断面図を示しており、図7は本発明の第5実施例の製造
方法で製造したシリンダブロック用成形体をシリンダボ
ア入子に装着した状態の半断面図を示している。本発明
の全実施例にわたって共通な構成部分には本発明の全実
施例にわたって同じ符合を付してある。
ンダブロック用成形体の製造方法を示しており、図2は
本発明の第2実施例のシリンダブロック用成形体の製造
方法を示しており、図3は本発明の第3実施例のシリン
ダブロック用成形体の製造方法を示しており、図4は本
発明の第4実施例のシリンダブロック用成形体の製造方
法を示しており、図5は本発明の第5実施例のシリンダ
ブロック用成形体の製造方法を示しており、図6は本発
明の第1〜第4実施例の製造方法で製造したシリンダブ
ロック用成形体をシリンダボア入子に装着した状態の半
断面図を示しており、図7は本発明の第5実施例の製造
方法で製造したシリンダブロック用成形体をシリンダボ
ア入子に装着した状態の半断面図を示している。本発明
の全実施例にわたって共通な構成部分には本発明の全実
施例にわたって同じ符合を付してある。
【0007】まず、本発明の全実施例に共通な部分を、
たとえば図1および図5〜図7を参照して、説明する。
本発明実施例のシリンダブロック用成形体(以下、単
に、成形体ともいう)1は、金属基複合材料製シリンダ
ブロックのシリンダ面の強化に使用される成形体であっ
て、繊維と粒子からなり、ほぼ円筒状に成形されてい
る。成形体1は、シリンダボア入子2の外周に配置さ
れ、型閉め後溶湯をキャビティ3に供給し、溶湯を凝固
させ、成形体1を鋳包んだ金属基複合材料製シリンダブ
ロックが鋳造される。成形体1の内周部には、鋳造時成
形体1の外周から溶湯が浸透してきた時に溶湯がシリン
ダボア入子2の外周面に到達することを阻止する阻止手
段が形成されている。阻止手段は、成形体1の内周部1
aが密に形成されているか、または成形体1の内周部に
空気を閉じ込める凹部1bが形成されているか、の何れ
か一方の構造からなる。鋳造後、金属基複合材料製シリ
ンダブロックは金型から離型され、阻止手段1a、1b
の部分を加工により除去するとともに、溶湯が浸透して
凝固した成形体部分の内径を所定の寸法に仕上げる。溶
湯はアルミ(たとえば、ADC10または12)であ
る。成形体1は、無機質の、繊維、または繊維と粒子の
混合物を成形したものからなる。ここで、無機質は、た
とえばアルミナ(Al2 O3 )、シリカ(SiO2)で
ある。
たとえば図1および図5〜図7を参照して、説明する。
本発明実施例のシリンダブロック用成形体(以下、単
に、成形体ともいう)1は、金属基複合材料製シリンダ
ブロックのシリンダ面の強化に使用される成形体であっ
て、繊維と粒子からなり、ほぼ円筒状に成形されてい
る。成形体1は、シリンダボア入子2の外周に配置さ
れ、型閉め後溶湯をキャビティ3に供給し、溶湯を凝固
させ、成形体1を鋳包んだ金属基複合材料製シリンダブ
ロックが鋳造される。成形体1の内周部には、鋳造時成
形体1の外周から溶湯が浸透してきた時に溶湯がシリン
ダボア入子2の外周面に到達することを阻止する阻止手
段が形成されている。阻止手段は、成形体1の内周部1
aが密に形成されているか、または成形体1の内周部に
空気を閉じ込める凹部1bが形成されているか、の何れ
か一方の構造からなる。鋳造後、金属基複合材料製シリ
ンダブロックは金型から離型され、阻止手段1a、1b
の部分を加工により除去するとともに、溶湯が浸透して
凝固した成形体部分の内径を所定の寸法に仕上げる。溶
湯はアルミ(たとえば、ADC10または12)であ
る。成形体1は、無機質の、繊維、または繊維と粒子の
混合物を成形したものからなる。ここで、無機質は、た
とえばアルミナ(Al2 O3 )、シリカ(SiO2)で
ある。
【0008】阻止手段が密の成形体内周部1aからなる
場合は、密な内周部1aは、その厚さが0.3mm以上
で、その体積率が30%以上とされている。成形体1
の、密な内周部1aより外周側部分1bは、内周部1a
より疎であり、溶湯が容易に浸透できる部分である。密
な内周部1aの厚さが0.3mm以上でかつ体積率が3
0%以上の場合は、成形体1の内周面(シリンダボア入
子の外周面と位置が同じ)に溶湯が到達しない。厚さが
0.3mmより小の場合は、温度条件によっては溶湯が
成形体1の内周面に到達する場合があるし、凝固収縮の
吸収能力が低下する。
場合は、密な内周部1aは、その厚さが0.3mm以上
で、その体積率が30%以上とされている。成形体1
の、密な内周部1aより外周側部分1bは、内周部1a
より疎であり、溶湯が容易に浸透できる部分である。密
な内周部1aの厚さが0.3mm以上でかつ体積率が3
0%以上の場合は、成形体1の内周面(シリンダボア入
子の外周面と位置が同じ)に溶湯が到達しない。厚さが
0.3mmより小の場合は、温度条件によっては溶湯が
成形体1の内周面に到達する場合があるし、凝固収縮の
吸収能力が低下する。
【0009】阻止手段が密の成形体内周部1aからなる
場合、成形体1の密な内周部1aを構成する繊維(ウイ
スカを含む)、粒子は、 平均径が0.2〜4μmで、平均アスペクト比が4〜
60の繊維、または 平均径が0.2〜4μmで、平均アスペクト比が4〜
60の繊維と平均粒径が30μm以下の粒子、からな
る。他方、成形体1の疎な外周部1cを構成する繊維、
粒子は、 平均径が1〜10μmで、平均アスペクト比が60以
上の繊維、または 平均径が1〜10μmで、平均アスペクト比が60以
上の繊維と平均粒径が50μm以下の粒子、からなる。
場合、成形体1の密な内周部1aを構成する繊維(ウイ
スカを含む)、粒子は、 平均径が0.2〜4μmで、平均アスペクト比が4〜
60の繊維、または 平均径が0.2〜4μmで、平均アスペクト比が4〜
60の繊維と平均粒径が30μm以下の粒子、からな
る。他方、成形体1の疎な外周部1cを構成する繊維、
粒子は、 平均径が1〜10μmで、平均アスペクト比が60以
上の繊維、または 平均径が1〜10μmで、平均アスペクト比が60以
上の繊維と平均粒径が50μm以下の粒子、からなる。
【0010】阻止手段が鋳造中にエアを封じこめる凹部
1bからなる場合は、図7に示すように、凹部1bは成
形体1の軸方向両端部の内周を除き、成形体1の内周部
に形成されている。凹部1bの厚さは0.5〜1.0m
mの範囲が最適である。0.5mmより小では溶湯を反
発するエア量が不足し、1.0mmより大では成形体1
が溶湯圧を受けた時に破損しやすくなるからである。
1bからなる場合は、図7に示すように、凹部1bは成
形体1の軸方向両端部の内周を除き、成形体1の内周部
に形成されている。凹部1bの厚さは0.5〜1.0m
mの範囲が最適である。0.5mmより小では溶湯を反
発するエア量が不足し、1.0mmより大では成形体1
が溶湯圧を受けた時に破損しやすくなるからである。
【0011】つぎに、上記シリンダブロック用成形体は
以下の本発明のいずれかの実施例の製造方法により製造
される。本発明の第1実施例のシリンダブロック用成形
体の製造方法は、図1に示すように、金属基複合材料製
シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される成形
体1を製造する方法であって、成形体の内径にほぼ等し
い外径をもつ通気性のある筒状部材11をウイスカとバ
インダまたはウイスカと粒子とバインダが混合されたス
ラリー12中に浸漬し筒状部材11の内側から吸引して
筒状部材11の外周表面に成形体の内周部1aを成形し
(図1の工程1)その後取り出し(図1の工程2)、つ
いで成形体1の内周部1aが成形された筒状部材11を
短繊維とバインダまたは短繊維と粒子とバインダが混合
されたスラリー13中に浸漬し筒状部材11の内側から
吸引して筒状部材11の外周表面に形成された成形体1
の内周部1aの外周に成形体1の外周部1cを成形し
(図1の工程3)その後取り出し、ついで成形体1を筒
状部材11から外して成形体11を乾燥、焼成する、工
程からなる。この方法で成形された成形体1は内周部1
aと外周部1cとの2層構造となる。内周部1aの厚さ
は約0.3mm以上で、体積率30%以上とする。その
後成形体1はシリンダブロック中子に装着され(図
6)、型閉め後アルミ溶湯を供給、凝固させ、その後、
内周部1aは機械加工により除去され、成形体1の部分
がMMCとなった金属基複合材料製シリンダブロックを
製造する。上記のシリンダブロック用成形体の製造方法
では、2回にわけてスラリーに浸漬し初めに浸漬するス
ラリー中の強化材を後で浸漬するスラリー中の強化材よ
り密な層を形成できるものとしておくことにより、容易
に内周部が密な成形体を形成することができる。
以下の本発明のいずれかの実施例の製造方法により製造
される。本発明の第1実施例のシリンダブロック用成形
体の製造方法は、図1に示すように、金属基複合材料製
シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される成形
体1を製造する方法であって、成形体の内径にほぼ等し
い外径をもつ通気性のある筒状部材11をウイスカとバ
インダまたはウイスカと粒子とバインダが混合されたス
ラリー12中に浸漬し筒状部材11の内側から吸引して
筒状部材11の外周表面に成形体の内周部1aを成形し
(図1の工程1)その後取り出し(図1の工程2)、つ
いで成形体1の内周部1aが成形された筒状部材11を
短繊維とバインダまたは短繊維と粒子とバインダが混合
されたスラリー13中に浸漬し筒状部材11の内側から
吸引して筒状部材11の外周表面に形成された成形体1
の内周部1aの外周に成形体1の外周部1cを成形し
(図1の工程3)その後取り出し、ついで成形体1を筒
状部材11から外して成形体11を乾燥、焼成する、工
程からなる。この方法で成形された成形体1は内周部1
aと外周部1cとの2層構造となる。内周部1aの厚さ
は約0.3mm以上で、体積率30%以上とする。その
後成形体1はシリンダブロック中子に装着され(図
6)、型閉め後アルミ溶湯を供給、凝固させ、その後、
内周部1aは機械加工により除去され、成形体1の部分
がMMCとなった金属基複合材料製シリンダブロックを
製造する。上記のシリンダブロック用成形体の製造方法
では、2回にわけてスラリーに浸漬し初めに浸漬するス
ラリー中の強化材を後で浸漬するスラリー中の強化材よ
り密な層を形成できるものとしておくことにより、容易
に内周部が密な成形体を形成することができる。
【0012】本発明の第2実施例のシリンダブロック用
成形体の製造方法は、図2に示すように、金属基複合材
料製シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される
成形体1を製造する方法であって、成形体の内径にほぼ
等しい外径をもつ通気性のある筒状部材を強化材とバイ
ンダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側か
ら吸引して筒状部材の外周表面に成形体を成形しその後
取り出し、ついで成形体を筒状部材から外して成形体を
乾燥、焼成し、焼成まで終了した成形体1の内周面をロ
ーラー21で押し付けて成形体1の内周部1a(内周面
から深さで0.3mm以上の部分)を潰し内周部1aの
体積率を約30%以上に上昇させる、工程からなる。そ
の後成形体1はシリンダブロック中子に装着され(図
6)、型閉め後アルミ溶湯を供給、凝固させ、その後、
内周部1aは機械加工により除去され、成形体1の部分
がMMCとなった金属基複合材料製シリンダブロックを
製造する。上記のシリンダブロック用成形体の製造方法
では、焼成まで終了した成形体1の内周面をローラーで
押し付けて内周部1aを潰し内周部1aの体積率を約3
0%以上に上昇させるので、容易に内周部1aが密な成
形体を製造することができる。
成形体の製造方法は、図2に示すように、金属基複合材
料製シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される
成形体1を製造する方法であって、成形体の内径にほぼ
等しい外径をもつ通気性のある筒状部材を強化材とバイ
ンダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側か
ら吸引して筒状部材の外周表面に成形体を成形しその後
取り出し、ついで成形体を筒状部材から外して成形体を
乾燥、焼成し、焼成まで終了した成形体1の内周面をロ
ーラー21で押し付けて成形体1の内周部1a(内周面
から深さで0.3mm以上の部分)を潰し内周部1aの
体積率を約30%以上に上昇させる、工程からなる。そ
の後成形体1はシリンダブロック中子に装着され(図
6)、型閉め後アルミ溶湯を供給、凝固させ、その後、
内周部1aは機械加工により除去され、成形体1の部分
がMMCとなった金属基複合材料製シリンダブロックを
製造する。上記のシリンダブロック用成形体の製造方法
では、焼成まで終了した成形体1の内周面をローラーで
押し付けて内周部1aを潰し内周部1aの体積率を約3
0%以上に上昇させるので、容易に内周部1aが密な成
形体を製造することができる。
【0013】本発明の第3実施例のシリンダブロック用
成形体の製造方法は、図3に示すように、金属基複合材
料製シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される
成形体1を製造する方法であって、成形体1の内径にほ
ぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状部材を強化材とバ
インダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側
から吸引して筒状部材の外周表面に成形体を成形しその
後取り出し、ついで成形体を筒状部材から外して成形体
を乾燥、焼成し、焼成まで終了した成形体1を外周面を
マスキング部材31で覆って再度バインダの溶液32に
浸漬(図3の工程1)した後バインダ溶液32から取り
出し、成形体1の内周面のみに温風33を当てて(図3
の工程2)成形体内周部1aにバインダを凝集させ、内
周部1aの体積率を約30%以上に上昇させる、工程か
らなる。その後成形体1はシリンダブロック中子に装着
され(図6)、型閉め後アルミ溶湯を供給、凝固させ、
その後、内周部1aは機械加工により除去され、成形体
1の部分がMMCとなった金属基複合材料製シリンダブ
ロックを製造する。上記のシリンダブロック用成形体の
製造方法では、焼成まで終了した成形体1を再度バイン
ダの溶液32に浸漬した後成形体1の内周面のみに風を
当てて成形体内周部1aにバインダを凝集させ、内周部
1aの体積率を約30%以上に上昇させるので、容易に
内周部1aが密な成形体1を製造することができる。
成形体の製造方法は、図3に示すように、金属基複合材
料製シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される
成形体1を製造する方法であって、成形体1の内径にほ
ぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状部材を強化材とバ
インダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側
から吸引して筒状部材の外周表面に成形体を成形しその
後取り出し、ついで成形体を筒状部材から外して成形体
を乾燥、焼成し、焼成まで終了した成形体1を外周面を
マスキング部材31で覆って再度バインダの溶液32に
浸漬(図3の工程1)した後バインダ溶液32から取り
出し、成形体1の内周面のみに温風33を当てて(図3
の工程2)成形体内周部1aにバインダを凝集させ、内
周部1aの体積率を約30%以上に上昇させる、工程か
らなる。その後成形体1はシリンダブロック中子に装着
され(図6)、型閉め後アルミ溶湯を供給、凝固させ、
その後、内周部1aは機械加工により除去され、成形体
1の部分がMMCとなった金属基複合材料製シリンダブ
ロックを製造する。上記のシリンダブロック用成形体の
製造方法では、焼成まで終了した成形体1を再度バイン
ダの溶液32に浸漬した後成形体1の内周面のみに風を
当てて成形体内周部1aにバインダを凝集させ、内周部
1aの体積率を約30%以上に上昇させるので、容易に
内周部1aが密な成形体1を製造することができる。
【0014】本発明の第4実施例のシリンダブロック用
成形体の製造方法は、図4に示すように、金属基複合材
料製シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される
成形体1を製造する方法であって、成形体1の内径にほ
ぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状部材を強化材とバ
インダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側
から吸引して筒状部材の外周表面に成形体を成形し、そ
の後取り出し、ついで成形体を筒状部材から外して成形
体1を乾燥、焼成し、ついで平均粒径1μm以下の微粉
(たとえば、アルミナ、シリカの微粉)を高濃度のスラ
リー状41にして、焼成まで終了した成形体1の内面に
塗布(図4の工程1)した後、ローラ42で成形体の内
周面の空隙にすり込み(図4の工程2)、内周部1aの
体積率を約30%以上に上昇させる、工程からなる。そ
の後成形体1はシリンダブロック中子に装着され(図
6)、型閉め後アルミ溶湯を供給、凝固させ、その後、
内周部1aは機械加工により除去され、成形体1の部分
がMMCとなった金属基複合材料製シリンダブロックを
製造する。上記のシリンダブロック用成形体の製造方法
では、平均粒径1μm以下の微粉を高濃度のスラリー状
にして、焼成まで終了した成形体1の内面に塗布した後
ローラ42で成形体の内周面の空隙にすり込み、内周部
の体積率を約30%以上に上昇させるので、容易に内周
部1aが密な成形体1を製造することができる。
成形体の製造方法は、図4に示すように、金属基複合材
料製シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される
成形体1を製造する方法であって、成形体1の内径にほ
ぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状部材を強化材とバ
インダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の内側
から吸引して筒状部材の外周表面に成形体を成形し、そ
の後取り出し、ついで成形体を筒状部材から外して成形
体1を乾燥、焼成し、ついで平均粒径1μm以下の微粉
(たとえば、アルミナ、シリカの微粉)を高濃度のスラ
リー状41にして、焼成まで終了した成形体1の内面に
塗布(図4の工程1)した後、ローラ42で成形体の内
周面の空隙にすり込み(図4の工程2)、内周部1aの
体積率を約30%以上に上昇させる、工程からなる。そ
の後成形体1はシリンダブロック中子に装着され(図
6)、型閉め後アルミ溶湯を供給、凝固させ、その後、
内周部1aは機械加工により除去され、成形体1の部分
がMMCとなった金属基複合材料製シリンダブロックを
製造する。上記のシリンダブロック用成形体の製造方法
では、平均粒径1μm以下の微粉を高濃度のスラリー状
にして、焼成まで終了した成形体1の内面に塗布した後
ローラ42で成形体の内周面の空隙にすり込み、内周部
の体積率を約30%以上に上昇させるので、容易に内周
部1aが密な成形体1を製造することができる。
【0015】本発明の第5実施例のシリンダブロック用
成形体の製造方法は、図5に示すように、金属基複合材
料製シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される
成形体1を製造する方法であって、成形体1の内径にほ
ぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状部材51を準備
し、筒状部材51の外周に成形体1に形成すべき凹部1
bに相当する断面形状を有する可燃性多孔質部材(多孔
質ペーパーや有機繊維のシート)52を装着し(図5の
工程1)、ついで可燃性多孔質部材52が装着された筒
状部材51を強化材料とバインダーが混合されたスラリ
ー53中に浸漬し筒状部材51の内側から吸引して可燃
性多孔質部材52が装着された筒状部材51の外周面に
成形体1を成形し(図5の工程2)、ついで取り出し、
可燃性多孔質部材52および成形体1を筒状部材51か
ら外して(図5の工程3)焼き可燃性多孔質部材52を
消失させて、凹部1bを有する成形体1を焼成する(図
5の工程4)、工程からなる。可燃性多孔質部材52の
厚さは、0.5〜1.0mmが最適である。その後、成
形体1はシリンダボア中子2に装着され(図7)、型閉
め後アルミ溶湯をキャビティ3に供給、凝固させ、その
後、凹部1bに対応する内周部分は機械加工により除去
され、成形体1の部分がMMCとなった金属基複合材料
製シリンダブロックを製造する。図7において、成形体
1はシリンダボア入子2より短くし、成形体1の両端5
3、54に溶湯が回り込むようにし、これによって凹部
1b内の空気が金型と成形体の合わせ面から逃げないよ
うにして凹部1b内の空気を封じこめる。成形体1とシ
リンダボア入子2の間に空気を封じこめることにより、
その空気の反発で溶湯がシリンダボア入子2の外周まで
到達しないようにする。上記のシリンダブロック用成形
体の製造方法では、筒状部材1の外周に可燃性多孔質部
材52を装着しておき成形体の成形後可燃性多孔質部材
52を焼成により消失させるようにしたので、成形体1
の内周面に容易に凹部1bを形成することができる。
成形体の製造方法は、図5に示すように、金属基複合材
料製シリンダブロックのシリンダ面の強化に使用される
成形体1を製造する方法であって、成形体1の内径にほ
ぼ等しい外径をもつ通気性のある筒状部材51を準備
し、筒状部材51の外周に成形体1に形成すべき凹部1
bに相当する断面形状を有する可燃性多孔質部材(多孔
質ペーパーや有機繊維のシート)52を装着し(図5の
工程1)、ついで可燃性多孔質部材52が装着された筒
状部材51を強化材料とバインダーが混合されたスラリ
ー53中に浸漬し筒状部材51の内側から吸引して可燃
性多孔質部材52が装着された筒状部材51の外周面に
成形体1を成形し(図5の工程2)、ついで取り出し、
可燃性多孔質部材52および成形体1を筒状部材51か
ら外して(図5の工程3)焼き可燃性多孔質部材52を
消失させて、凹部1bを有する成形体1を焼成する(図
5の工程4)、工程からなる。可燃性多孔質部材52の
厚さは、0.5〜1.0mmが最適である。その後、成
形体1はシリンダボア中子2に装着され(図7)、型閉
め後アルミ溶湯をキャビティ3に供給、凝固させ、その
後、凹部1bに対応する内周部分は機械加工により除去
され、成形体1の部分がMMCとなった金属基複合材料
製シリンダブロックを製造する。図7において、成形体
1はシリンダボア入子2より短くし、成形体1の両端5
3、54に溶湯が回り込むようにし、これによって凹部
1b内の空気が金型と成形体の合わせ面から逃げないよ
うにして凹部1b内の空気を封じこめる。成形体1とシ
リンダボア入子2の間に空気を封じこめることにより、
その空気の反発で溶湯がシリンダボア入子2の外周まで
到達しないようにする。上記のシリンダブロック用成形
体の製造方法では、筒状部材1の外周に可燃性多孔質部
材52を装着しておき成形体の成形後可燃性多孔質部材
52を焼成により消失させるようにしたので、成形体1
の内周面に容易に凹部1bを形成することができる。
【0016】
【発明の効果】請求項1のシリンダブロック用成形体に
よれば、成形体の内周部に溶湯がシリンダボア入子外周
に到達するのを阻止する阻止手段(密な内周部または凹
部)が形成されているので、鋳造時に溶湯がシリンダボ
ア入子の外周面に到達しない。このため、鋳造時、成形
体の内周面の収縮力が緩和され、離型が容易になる。請
求項2のシリンダブロック用成形体の製造方法によれ
ば、成形体を2回にわけてスラリーに浸漬し初めに浸漬
するスラリー中の強化材を後で浸漬するスラリー中の強
化材より密な層を形成できるものとしておくことによ
り、容易に内周部が密な成形体を形成することができ
る。請求項3のシリンダブロック用成形体によれば、焼
成まで終了した成形体の内周面をローラーで押し付けて
内周部を潰し内周部の体積率を約30%以上に上昇させ
るので、容易に内周部が密な成形体を製造することがで
きる。請求項4のシリンダブロック用成形体の製造方法
によれば、焼成まで終了した成形体を再度バインダの溶
液に浸漬した後成形体の内周面のみに風を当てて成形体
内周部にバインダを凝集させ、内周部の体積率を約30
%以上に上昇させるので、容易に内周部が密な成形体を
製造することができる。請求項5のシリンダブロック用
成形体の製造方法によれば、平均粒径1μm以下の微粉
を高濃度のスラリー状にして、焼成まで終了した成形体
の内面に塗布した後ローラで成形体の内周面の空隙にす
り込み、内周部の体積率を約30%以上に上昇させるの
で、容易に内周部が密な成形体を製造することができ
る。請求項6のシリンダブロック用成形体の製造方法に
よれば、筒状部材の外周に可燃性多孔質部材を装着して
おき成形体の成形後可燃性多孔質部材を焼成により消失
させるようにしたので、成形体の内周面に容易に凹部を
形成することができる。
よれば、成形体の内周部に溶湯がシリンダボア入子外周
に到達するのを阻止する阻止手段(密な内周部または凹
部)が形成されているので、鋳造時に溶湯がシリンダボ
ア入子の外周面に到達しない。このため、鋳造時、成形
体の内周面の収縮力が緩和され、離型が容易になる。請
求項2のシリンダブロック用成形体の製造方法によれ
ば、成形体を2回にわけてスラリーに浸漬し初めに浸漬
するスラリー中の強化材を後で浸漬するスラリー中の強
化材より密な層を形成できるものとしておくことによ
り、容易に内周部が密な成形体を形成することができ
る。請求項3のシリンダブロック用成形体によれば、焼
成まで終了した成形体の内周面をローラーで押し付けて
内周部を潰し内周部の体積率を約30%以上に上昇させ
るので、容易に内周部が密な成形体を製造することがで
きる。請求項4のシリンダブロック用成形体の製造方法
によれば、焼成まで終了した成形体を再度バインダの溶
液に浸漬した後成形体の内周面のみに風を当てて成形体
内周部にバインダを凝集させ、内周部の体積率を約30
%以上に上昇させるので、容易に内周部が密な成形体を
製造することができる。請求項5のシリンダブロック用
成形体の製造方法によれば、平均粒径1μm以下の微粉
を高濃度のスラリー状にして、焼成まで終了した成形体
の内面に塗布した後ローラで成形体の内周面の空隙にす
り込み、内周部の体積率を約30%以上に上昇させるの
で、容易に内周部が密な成形体を製造することができ
る。請求項6のシリンダブロック用成形体の製造方法に
よれば、筒状部材の外周に可燃性多孔質部材を装着して
おき成形体の成形後可燃性多孔質部材を焼成により消失
させるようにしたので、成形体の内周面に容易に凹部を
形成することができる。
【図1】本発明の第1実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の、工程順に
示した断面図である。
ダブロックの製造方法を実施している装置の、工程順に
示した断面図である。
【図2】本発明の第2実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の断面図であ
る。
ダブロックの製造方法を実施している装置の断面図であ
る。
【図3】本発明の第3実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の、工程順に
示した断面図である。
ダブロックの製造方法を実施している装置の、工程順に
示した断面図である。
【図4】本発明の第4実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の、工程順に
示した断面図である。
ダブロックの製造方法を実施している装置の、工程順に
示した断面図である。
【図5】本発明の第5実施例の金属基複合材料製シリン
ダブロックの製造方法を実施している装置の、工程順に
示した断面図である。
ダブロックの製造方法を実施している装置の、工程順に
示した断面図である。
【図6】本発明の第1〜第4実施例の方法で製造した成
形体を用いて鋳造している状態を示す断面図である。
形体を用いて鋳造している状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第5実施例の方法で製造した成形体を
用いて鋳造している状態を示す断面図である。
用いて鋳造している状態を示す断面図である。
1 成形体 1a 内周部 1b 凹部 1c 外周部 2 シリンダボア入子
Claims (6)
- 【請求項1】 金属基複合材料製シリンダブロックのシ
リンダ面の強化に使用される成形体であって、繊維また
は繊維と粒子からなり、ほぼ円筒状に成形されており、
鋳造時成形体の外周から溶湯が浸透してきた時に溶湯が
シリンダボア入子の外周面に到達することを阻止する阻
止手段が成形体に形成されており、該阻止手段が、成形
体の内周部が密に形成されているかまたは成形体の内周
部に空気を閉じ込める凹部が形成されているかの何れか
一方から構成されている、シリンダブロック用成形体。 - 【請求項2】 金属基複合材料製シリンダブロックのシ
リンダ面の強化に使用される成形体を製造する方法であ
って、成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のあ
る筒状部材をウイスカとバインダまたはウイスカと粒子
とバインダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の
内側から吸引して筒状部材の外周表面に成形体の内周部
を成形しその後取り出し、ついで成形体の内周部が成形
された筒状部材を短繊維とバインダまたは短繊維と粒子
とバインダが混合されたスラリー中に浸漬し筒状部材の
内側から吸引して筒状部材の外周表面に形成された成形
体の内周部の外周に成形体の外周部を成形しその後取り
出し、ついで成形体を筒状部材から外して成形体を焼成
するシリンダブロック用成形体の製造方法。 - 【請求項3】 金属基複合材料製シリンダブロックのシ
リンダ面の強化に使用される成形体を製造する方法であ
って、成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のあ
る筒状部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中
に浸漬し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表
面に成形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒
状部材から外して成形体を焼成し、焼成まで終了した成
形体の内周面をローラーで押し付けて内周部を潰し内周
部の体積率を約30%以上に上昇させるシリンダブロッ
ク用成形体の製造方法。 - 【請求項4】 金属基複合材料製シリンダブロックのシ
リンダ面の強化に使用される成形体を製造する方法であ
って、成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のあ
る筒状部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中
に浸漬し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表
面に成形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒
状部材から外して成形体を焼成し、焼成まで終了した成
形体を再度バインダの溶液に浸漬した後成形体の内周面
のみに風を当てて成形体内周部にバインダを凝集させ、
内周部の体積率を約30%以上に上昇させるシリンダブ
ロック用成形体の製造方法。 - 【請求項5】 金属基複合材料製シリンダブロックのシ
リンダ面の強化に使用される成形体を製造する方法であ
って、成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のあ
る筒状部材を強化材とバインダが混合されたスラリー中
に浸漬し筒状部材の内側から吸引して筒状部材の外周表
面に成形体を成形しその後取り出し、ついで成形体を筒
状部材から外して成形体を焼成し、ついで平均粒径1μ
m以下の微粉を高濃度のスラリー状にして、焼成まで終
了した成形体の内面に塗布した後ローラで成形体の内周
面の空隙にすり込み、内周部の体積率を約30%以上に
上昇させるシリンダブロック用成形体の製造方法。 - 【請求項6】 金属基複合材料製シリンダブロックのシ
リンダ面の強化に使用される成形体を製造する方法であ
って、成形体の内径にほぼ等しい外径をもつ通気性のあ
る筒状部材を準備し、筒状部材の外周に成形体に形成す
べき凹部に相当する形状を有する可燃性多孔質部材を装
着し、ついで可燃性多孔質部材が装着された筒状部材を
強化材料とバインダーが混合されたスラリー中に浸漬し
筒状部材の内側から吸引して可燃性多孔質部材が装着さ
れた筒状部材の外周面に成形体を成形しついで取り出
し、可燃性多孔質部材および成形体を筒状部材から外し
て焼き可燃性多孔質部材を消失させて成形体を焼成する
シリンダブロック用成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12453598A JPH11320075A (ja) | 1998-05-07 | 1998-05-07 | シリンダブロック用成形体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12453598A JPH11320075A (ja) | 1998-05-07 | 1998-05-07 | シリンダブロック用成形体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11320075A true JPH11320075A (ja) | 1999-11-24 |
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ID=14887887
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12453598A Pending JPH11320075A (ja) | 1998-05-07 | 1998-05-07 | シリンダブロック用成形体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11320075A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7215015B2 (en) * | 2003-04-07 | 2007-05-08 | Micron Technology, Inc. | Imaging system |
JP2010207833A (ja) * | 2009-03-09 | 2010-09-24 | Chuo Motor Wheel Co Ltd | 複合材用プリフォームの製造方法および金属複合体の製造方法 |
CN107962157A (zh) * | 2017-11-29 | 2018-04-27 | 南昌大学 | 一种制备金属半固态浆料的方法 |
-
1998
- 1998-05-07 JP JP12453598A patent/JPH11320075A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7215015B2 (en) * | 2003-04-07 | 2007-05-08 | Micron Technology, Inc. | Imaging system |
JP2010207833A (ja) * | 2009-03-09 | 2010-09-24 | Chuo Motor Wheel Co Ltd | 複合材用プリフォームの製造方法および金属複合体の製造方法 |
CN107962157A (zh) * | 2017-11-29 | 2018-04-27 | 南昌大学 | 一种制备金属半固态浆料的方法 |
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