JPH11320056A - 鋼の連続鋳造用モールドパウダおよび連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造用モールドパウダおよび連続鋳造方法

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JPH11320056A
JPH11320056A JP12321198A JP12321198A JPH11320056A JP H11320056 A JPH11320056 A JP H11320056A JP 12321198 A JP12321198 A JP 12321198A JP 12321198 A JP12321198 A JP 12321198A JP H11320056 A JPH11320056 A JP H11320056A
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casting
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JP12321198A
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Masafumi Hanao
方史 花尾
Masayuki Kawamoto
正幸 川本
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中炭素鋼の高速鋳造に適した、高潤滑性と凝固
殻の緩冷却効果の特性を併せ持つ連続鋳造用モールドパ
ウダとそれを用いた連続鋳造方法の提供。 【解決手段】CaO、SiO2 およびフッ素化合物を基
本成分とし、フッ素化合物として下記(1)式で表され
る換算値でCaF2 を60〜90重量%含み、さらにN
2 Oを0〜25重量%、Cを0〜10重量%含有する
連続鋳造用モールドパウダ、およびこのパウダを用いた
連続鋳造方法。 CaF2 (重量%)=F(重量%)×(78/38)
・・・(1) ここで、F:モールドパウダ中のF含有率

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造用モ
ールドパウダ(以下、パウダと略記する)に関し、さら
に詳しくは、鋳型内の凝固殻の冷却を緩冷却状態にし
て、鋳片の表面疵等の発生を防止し、表面品質の良好な
鋳片を得ることが可能なパウダ、およびこのパウダを用
いた連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造においては、浸漬ノズルか
ら鋳型内へ溶鋼を供給するとともに、鋳造中の溶鋼の表
面にパウダを投入する。通常このパウダには、複数種類
の酸化物、炭素等の粉体を混合したものが使用される。
【0003】鋳型内へ投入されたパウダは、溶鋼からの
受熱により溶融し、溶鋼表面において溶融パウダ層が形
成される。この溶融パウダ層は鋳型内壁と凝固殻との間
隙に流入し、流入した溶融パウダは鋳型との接触で冷却
され、ガラス状態に固まるとともに、その一部が結晶化
し、鋳型内壁に沿って結晶が析出する。その固化の過程
では、鋳型内壁と凝固殻との間隙には、溶融パウダ層な
る液相と、その鋳型の内壁側に、析出した結晶とガラス
状態の固相からなるパウダフィルムが形成される。
【0004】このような挙動を示すパウダは、以下に記
載する役割を担う。 溶鋼表面の保温および溶鋼の酸化防止 溶鋼中に存在し溶鋼表面に浮上してくる気泡および介
在物の吸収 鋳型内壁と凝固殻との間の潤滑性の確保 鋳型内壁と凝固殻との間隙における伝熱抵抗の調整に
よる凝固殻の冷却速度の調整。
【0005】このような役割をもっているので、パウダ
は連続鋳造により製造される鋳片の表面品質にさまざま
な影響を及ぼす。とくに、鋳片の割れ感受性の高い亜包
晶鋼などを鋳込む場合、または鋳片の割れ感受性の低い
鋼でも、高速で連続鋳造する場合、あるいは、これらの
条件が組合わさった場合などで、適正なパウダを選択し
ないと、鋳片表面に縦割れ疵(以下、単に縦割れと略記
する)が発生する。したがって、この縦割れを防止する
ことは、重要な課題である。
【0006】これを防止するには、上記パウダの役割の
なかでもの凝固殻の冷却速度の調整が重要である。す
なわち、これらの縦割れは、凝固殻に鋳片幅方向の引張
応力が作用し、その引張応力が鋼の限界応力を超える
と、発生することが知られている。
【0007】この鋳片幅方向の引張応力は、凝固殻の幅
方向での冷却の不均一により発生する。つまり、鋳片幅
方向、すなわち鋳型幅方向での凝固殻の冷却速度の不均
一化により、凝固殻の厚さは鋳型幅方向で不均一にな
り、凝固収縮により生じる応力が、凝固殻の各部で不均
一になるために、縦割れが発生する。
【0008】このパウダフィルムを介した凝固殻の冷却
速度を均一にするためには、以下が重要となる。 (a)パウダフィルム厚みの均一化 (b)パウダフィルム中の伝熱抵抗の増大 上記に示す伝熱抵抗は、物質の持つ熱伝導率と、物質と
物質の間の熱伝達率とを意味する。
【0009】ここで、パウダフィルム厚さは溶融パウダ
の流入量に影響され、溶融パウダの流入が過剰に促進さ
れた場合には、流入量の少ない位置と多い位置との間で
パウダフィルム厚さの差が大きくなって凝固殻の冷却速
度が不均一になる。また、流入量が過度に少ない場合に
は、パウダフィルムが全体的に薄くなり、そのためパウ
ダフィルム厚さの差がわずかでも凝固殻の冷却速度の不
均一性に大きく影響を及ぼすことになる。したがって、
パウダの溶融温度および溶融時の粘度を適正な範囲に調
整することにより溶融パウダの流入量を過不足のないよ
うに制御することが重要である。
【0010】また、パウダフィルムの伝熱抵抗が小さい
と鋳型等からの冷却効果のばらつきの影響を大きく受け
やすくなる。その結果、鋳型の各位置で凝固殻の冷却速
度のばらつきが大きくなり、凝固殻の厚さが幅方向で不
均一になる。これにより、凝固殻内で凝固収縮による応
力の局部的集中が起こりやすくなり、縦割れが出やすく
なる。したがって、逆に、パウダフィルムの伝熱抵抗を
大きくして、凝固殻の冷却速度をできるだけ緩やかに、
いわゆる緩冷却化すると、凝固殻厚さは、より均一化さ
れる。
【0011】ところで、たとえば鋳片の割れ感受性の高
い亜包晶鋼等を、ある程度高速で連続鋳造する場合に要
求されるパウダ性能は、高速鋳造に適した適度の溶融温
度と粘度と、かつ鋳片の縦割れを防止するために、高融
点の結晶析出を促進させた緩冷却作用に関する性能であ
って、これら相反する性能を併せ持つパウダが必要とさ
れる。ただし、この相反する性能を有するパウダは、従
来の技術では、まだ完成されていない。
【0012】一般にパウダの組成は、CaO−SiO2
−Na2 O−F系を基本系とし、これにMgO、Al2
3 、Li2 O等を若干含んでいる。この成分系のパウ
ダを使用した場合には、溶融パウダの冷却時に、3Ca
O・SiO2 ・CaF2 などの結晶が析出する。この結
晶析出量が多いと、パウダフィルムの伝熱抵抗が大きく
なることが知られている。
【0013】この結晶析出を促進させるには、たとえば
特開平5−15955号公報に提案されているよう
に、パウダ中に含有されるCaOと、CaF2 として存
在すると推定されるCa分をCaOに換算したものとの
和として、下記(2)式で定義されるT.CaOのSi
2 に対する重量%(以下、単に%と略記する)の比
T.CaO/SiO2 を増加することが有効であると考
えられていた。
【0014】 T.CaO(%)=CaO(%)+CaF2(%) ×(56/78) ・・・(2) 具体的には、T.CaO/SiO2 を1.2〜1.3程
度に増加したものが緩冷却用パウダとして従来から使用
されてきた。しかし、T.CaO/SiO2 の値が1.
2〜1.3のパウダでは、鋳造速度が、たとえば3m/
分程度まで高速になると、パウダによる凝固殻の緩冷却
効果、すなわちパウダの結晶析出が不十分で、鋳片に縦
割れが発生する問題点があった。
【0015】このため特開平3−193248号公報に
は、T.CaO/SiO2 を1.2〜1.3程度に増加
したパウダにZrO2 、TiO2 、Sc2 3 、Y2
3 等の IIIA族およびIV族元素の酸化物を結晶析出促進
剤として添加する方法が提案されている。このパウダを
用いた場合、鋳造速度がせいぜい2m/分程度までの範
囲では凝固殻を緩冷却する効果があり、表面品質の良好
な鋳片が得られる。しかし、3m/分を超える速度の高
速鋳造用としては、溶融温度が高過ぎるため、鋳型と凝
固殻の間隙への溶融パウダの流入量が少なくなり過ぎ
て、連続鋳造作業が困難になるという問題点があった。
【0016】一般にT.CaO/SiO2 を1.2〜
1.3程度に増加したパウダは、高速鋳造になると緩冷
却効果が不十分となる。また、この値を1.2〜1.3
からさらに大きくすると、パウダの融点が上昇し、パウ
ダが溶融しにくくなるため、連続鋳造操業が困難にな
る。
【0017】このように、高速鋳造に適した適度の溶融
温度と粘度、および鋳片の縦割れを防止するための高融
点の結晶析出によって得られる緩冷却効果とを併せ持つ
パウダが必要とされる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】近年、製鋼工程の生産
性向上を目的とした連続鋳造の高速鋳造化が可能なこと
はむろんのこと、鋼種によらず高速鋳造可能なパウダが
要求されている。
【0019】ところが、上述のとおり、一般に連続鋳造
の高速化に伴って鋳型内壁と凝固殻との間隙への溶融パ
ウダの流入量が減少するので、パウダフィルムの厚さは
不均一になりやすい。そのため、凝固殻の冷却速度が不
均一になり、鋳片表面に縦割れが発生しやすくなる。
【0020】その上、C含有率が0.08〜0.20%
の中炭素鋼は、通常の鋳造速度で鋳造する場合でも、包
晶変態反応特有の不均一凝固を起こす傾向があり、鋳片
表面に縦割れが発生しやすい。これらの鋼を連続鋳造す
る際に、さらに高速鋳造による不均一冷却の影響が重な
ると、鋳片表面に縦割れが発生しやすく、鋳造速度の高
速化が困難であった。
【0021】したがって、炭素含有率が0.08〜0.
20%の亜包晶鋼などを含む中炭素鋼を高速鋳造する場
合、鋳型内の潤滑を良好に保ちつつ、鋳型内壁と凝固殻
との間に流入するパウダフィルムの厚さが鋳片幅方向で
一定になるように制御し、かつ凝固殻を緩冷却化し鋳片
表面の縦割れ発生を抑制するということが同時に可能な
パウダが望まれている。
【0022】本発明は、炭素含有率が0.08〜0.2
0%の亜包晶鋼などを含む中炭素鋼などの連続鋳造にお
いて、鋳造速度の高速化が可能であるとともに、表面疵
が少ない高品質の鋳片を得るのに好適な連続鋳造用パウ
ダおよび、このパウダを用いる連続鋳造方法を提供する
ことを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
(1)に示す連続鋳造用パウダおよび(2)に示す連続
鋳造方法にある。
【0024】(1)CaO、SiO2 およびフッ素化合
物を基本成分とする鋼の連続鋳造用モールドパウダであ
って、フッ素化合物として下記(1)式で表される換算
値でCaF2 を60〜90重量%含み、さらにNa2
を0〜25重量%、Cを0〜10重量%含有することに
よる鋼の連続鋳造用モールドパウダ。
【0025】 CaF2 (重量%)=F(重量%)×(78/38) ・・・(1) ここで、F:モールドパウダ中のF含有率 (2)上記(1)に記載のモールドパウダを用いること
によるC含有率が0.08〜0.20重量%の鋼の連続
鋳造方法。
【0026】本発明のパウダは、次の特徴を持ってい
る。すなわち、CaO、SiO2 およびフッ素化合物と
してのCaF2 を主成分とするパウダにおいて、CaF
2 含有率を60〜90重量%の範囲に調整することによ
り、緩冷却に必要な結晶の析出量が大幅に増加するこ
と。結晶の析出量が多いとパウダフィルムは伝熱抵抗が
大きくなるので、凝固殻の緩冷却効果が大きくなる。
【0027】本発明では、従来のT.CaO/SiO2
という指標に代えて、CaO−SiO2 −CaF2 の三
元系表示を採用することによって、この結晶化しやすい
パウダ組成を選択している。
【0028】また本発明のパウダは、結晶析出量が多い
にもかかわらず、CaF2 含有率を適切に調整すること
により、パウダの溶融温度を低くしている。
【0029】さらに、必要によりNa2 Oを配合するこ
とにより、溶融温度を適正な範囲に調整することが可能
であり、また必要によりCを配合することにより、パウ
ダの溶融速度を適切に調整することが可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明のパウダを構成する基本的
な化合物は、CaO、SiO2 およびフッ素化合物とし
てのCaF2 である。
【0031】本発明のパウダを製造する際に使用する原
料は、工業的に使用されているもので構わない。CaO
原料として生石灰、石灰石、SiO2 原料としては珪
砂、軽藻土、CaF2 原料としては蛍石、さらにNa2
O原料としてはソーダ灰、炭酸ナトリウム、フッ化ナト
リウムなどが挙げられる。CaOやSiO2 原料にセメ
ント材やプリメルト材(事前に溶解して組成を均一にし
た原料)等の複合酸化物を用いても良い。本発明では、
フッ化ナトリウム等のCaF2 以外の化合物として配合
されるF分は、蛍石等CaF2 原料中のF分と同等の作
用を持つものとする。また、原料の粒径は100μm以
下の粉末が望ましい。なお、これらの原料にはAl2
3 、MgO、Fe2 3 、Fe3 4 等の酸化物が含有
され、パウダにも不可避的に含まれるようになるが、こ
れらの不純物が存在しても、とくに差し支えない。
【0032】CaOは、5〜35%程度、SiO2 は、
5〜35%程度含有させるが、これは含有率の目安を示
すもので、本発明でとくに重要なのはCaF2 の含有率
であり、CaF2 含有率を60〜90%にする必要があ
る。
【0033】本発明のパウダの組成を、主成分であるC
aO、SiO2 、CaF2 の三元系状態図を用いて説明
する。図1は、このCaO−SiO2 −CaF2 三元系
状態図を示す図である。本発明のパウダの化学組成範囲
は、CaF2 が60%の直線と、90%の直線で囲まれ
た、図中の斜線部で示す組成範囲である。
【0034】この範囲の組成では、溶融パウダを冷却す
ると、主としてCaF2 の結晶相が安定して多く析出す
る。そのため、パウダフィルムによる伝熱抵抗が大きく
なり、凝固殻の緩冷却効果が大きくなる。
【0035】図1に示すようにCaF2 含有率が60%
未満で、境界線1(CaO・SiO2 とCaF2 とを結
んだ直線)よりSiO2 側の領域、すなわち、従来使用
されているパウダ組成範囲であり、CaOに対してSi
2 が多い範囲のパウダは、パウダが溶融状態から冷却
されても、本発明のパウダほど多くのCaF2 の結晶析
出が起こらない。
【0036】また、CaF2 含有率が60%未満で、境
界線1よりCaO側の領域のパウダの場合は、本発明の
パウダほどの多くのCaF2 の結晶の析出は起こりにく
いが、条件によっては、別の結晶析出が起こる場合があ
る。
【0037】CaF2 が90%を超える場合には、この
CaF2 の結晶相が過剰に析出し、操業が困難になる。
【0038】なお、従来、パウダ組成を表示するときに
はT.CaO/SiO2 の表示が使用されており、本発
明のパウダを前記の(2)式を用いてこれらの指標に換
算すると、本発明パウダの組成範囲は、T.CaO/S
iO2 が1.0以上に相当する。
【0039】Na2 Oは、必要により配合する化合物
で、含有率の範囲は0〜25%である。本発明の基本組
成のパウダであっても、溶融温度が1250℃になる場
合がある。鋳造速度の高速化のために、溶融温度は12
50℃を超えないことが望ましい。Na2 Oを配合する
ことにより、溶融温度を低下させることができる。
【0040】Na2 Oを配合する場合には、Na2 O含
有率が2%未満では溶融温度を低下させる効果が少な
く、また25%を超えると鋳型内の浸漬ノズルが溶損さ
れ、操業が困難となりやすい。したがって、配合する場
合のNa2 O含有率は2〜25%の範囲が望ましい。よ
り好ましくは、2〜15%である。
【0041】Cは、パウダの溶融速度を調整する目的
で、必要により配合する原料であり、含有率の範囲は0
〜10%である。Cを配合する場合には、C含有率が1
%未満ではパウダの溶融速度を遅らせる効果が少ない。
また10%を超えて配合すると、パウダの溶融速度が著
しく低下し、鋳型内壁と凝固殻の間の溶融パウダが不足
し、凝固殻の鋳型内壁への拘束による鋳片表面欠陥が発
生しやすく、極端な場合、ブレークアウトのような操業
事故が発生する。したがって、配合する場合のC含有率
は、1〜10%が望ましい。より好ましくは、1〜5%
である。
【0042】パウダとしては、溶融温度が1000〜1
250℃程度であることが望ましく、また1300℃に
おける粘度が1.5poise程度以下が望ましい。
【0043】パウダの溶融温度が1000℃未満になる
と、高速の鋳造速度の場合に鋳型内壁の表面温度が上昇
しすぎて鋳片に表面割れが生じやすい。一方、パウダの
溶融温度が、1250℃を超えたり、1300℃の粘度
が1.5poiseを超えると、溶鋼流動によってパウ
ダが凝固殻に巻き込まれて鋳片に表面欠陥が生じること
がある。
【0044】溶融温度または粘度を上記範囲に調整する
ため、たとえばLi2 O、ZrO2、MgO、BaO、Al2 3
を適宜配合して構わない。
【0045】次に、本発明の連続鋳造方法について説明
する。本発明のパウダは、とくにC含有率が0.08〜
0.20%の亜包晶鋼を含む中炭素鋼を連続鋳造するの
に適している。
【0046】C含有率が0.08%以上の鋼は、溶鋼か
らの凝固過程で包晶反応と呼ばれる相変態を起こす。な
かでもC含有率が0.08〜0.16%程度の鋼の場合
には、この相変態は亜包晶反応と呼ばれ、これ以上のC
含有率の鋼の場合には過包晶反応と呼ばれている。これ
らの包晶反応を起こす鋼は、溶鋼からの凝固過程で、凝
固殻の成長がが不均一になりやすい。その上に、鋳型等
の外部からの不均一冷却の影響が重なると、鋳片表面に
縦割れが発生しやすい。これら包晶反応による縦割れを
起こしやすい鋼のC含有率の上限は0.20%程度であ
る。
【0047】したがって、本発明のパウダを、C含有率
が0.08〜0.20%の鋼の連続鋳造に適用すると、
縦割れの発生を効果的に防止することができる。
【0048】鋳造速度は、通常のパウダを用いる場合に
は、速くても2〜3m/分程度までが一般的である。し
かし、本発明のパウダを使用する場合には、5.0m/
分前後の高速の鋳造速度でも、十分操業可能であり、凝
固殻の緩冷却効果も得られる。なお、鋳造速度が2.0
m/分程度の遅い場合でも、その緩冷却効果があること
に加えて、潤滑性能も十分確保できることはいうまでも
ない。
【0049】
【実施例】湾曲型連続鋳造機によって、表1に示す化学
組成の中炭素鋼を対象に、表2に示す本発明例のパウダ
14種類と比較例としてのパウダ2種類を用いて鋳造試
験を行った。鋳片の厚さは100mm、幅は1000m
mで、鋳造速度は5.0m/分とした。得られた鋳片の
表面を調査し、発生した縦割れの長さから、各パウダの
性能を評価した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】表2に示す本発明例のNo.1〜4のパウ
ダは、CaF2 含有率が本発明で規定する範囲である。
また、CaO/SiO2 の値が1以下、T.CaO/S
iO2 の値が5以下で塩基度が低い。その中で、本発明
例のNo.4は、本発明例のNo.3にNa2 Oを配合
して、溶融温度を低下させたパウダである。
【0053】本発明例のNo.5〜9のパウダは、Ca
2 含有率が本発明で規定する範囲内である。また、C
aO/SiO2 の値が1以上、T.CaO/SiO2
値が5以上で塩基度が高く、それぞれNa2 Oを含み、
溶融温度が下げられている。
【0054】本発明例のNo.10〜14のパウダは、
Cの影響を調査するために、上述の本発明例の低塩基度
および高塩基度のパウダの一部にCを配合したものであ
る。
【0055】比較例のNo.15は、CaF2 含有率が
本発明で規定する下限よりも少なく、かつ低塩基度のパ
ウダであり、比較例のNo.16は、CaF2 含有率が
本発明で規定する上限よりも多く、かつ高塩基度のパウ
ダである。
【0056】表2には、製造した鋳片表面に発生した縦
割れ発生評点も示す。ここで、この評点の意味を説明す
る。鋳片の鋳造長さ1m当たりの縦割れ発生長さの合計
長さ(m)を、縦割れ発生長さ指数として評価を行う。
すなわち評点Aは、この指数が0.005未満である。
評点Bは、0.005以上で0.01未満である。ま
た、評点Cは、0.01以上である。
【0057】本発明例のパウダを用いた場合には、鋳片
表面の縦割れ発生長さ評点がすべてAとBで良好であっ
た。すなわち、縦割れ発生長さ指数が0.010m/m
未満であり、縦割れは極くわずかしか観察されなかっ
た。
【0058】一方、比較例のNo.15のパウダを用い
た場合には、鋳片表面の縦割れ発生長さ評点がCで、縦
割れ発生長さ指数が0.010〜0.10m/mであ
り、縦割れが顕著であった。比較例のNo.16のパウ
ダを用いた場合には、パウダの溶融温度が1400℃以
上であったため操業に支障をきたした。
【0059】
【発明の効果】本発明のパウダは、縦割れの発生しやす
い亜包晶鋼を含む中炭素鋼等の鋼を、高速で連続鋳造す
るのに好適である。本発明のパウダを用いることによ
り、高い潤滑性を維持しつつ凝固殻の緩冷却が可能とな
るため、表面品質の良好な鋳片を連続鋳造することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】CaO−SiO2 −CaF2 三元系状態図にお
ける本発明のパウダおよび従来のパウダの組成範囲を比
較して示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】CaO、SiO2 およびフッ素化合物を基
    本成分とする鋼の連続鋳造用モールドパウダであって、
    フッ素化合物として下記(1)式で表される換算値でC
    aF2 を60〜90重量%含み、さらにNa2 Oを0〜
    25重量%、Cを0〜10重量%含有することを特徴と
    する鋼の連続鋳造用モールドパウダ。 CaF2 (重量%)=F(重量%)×(78/38) ・・・(1) ここで、F:モールドパウダ中のF含有率
  2. 【請求項2】請求項1に記載のモールドパウダを用いる
    ことを特徴とするC含有率が0.08〜0.20重量%
    の鋼の連続鋳造方法。
JP12321198A 1998-05-06 1998-05-06 鋼の連続鋳造用モールドパウダおよび連続鋳造方法 Pending JPH11320056A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007229803A (ja) * 2006-02-01 2007-09-13 Nippon Steel Corp 連続鋳造用パウダー及び鋼の連続鋳造方法

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