JPH11319063A - 脱臭装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】確実な脱臭性能が得られると共に、安全性及び
経済的にも優れた脱臭装置を提供すること 【解決手段】フィルター１４で悪臭成分を吸着除去した
後に、オゾン灯２０でオゾンを供給して残存する悪臭成
分を酸化分解する。そして、過剰なオゾンは、紫外線灯
２２が照射する紫外線によって分解する。また、フィル
ター１４の吸着力が低下した場合には、ファン１６を逆
回転させて、オゾン灯２０が供給したオゾンをフィルタ
ー１４に吹き付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は脱臭装置に係り、特
に老人ホーム等の高齢者対応施設内のエアを脱臭する脱
臭装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】老人保護施設、老人ホーム及び老人病院
等の高齢者対応の設備では、脱臭対策が重要な課題とな
っている。この対策として、特開平７─１９０４１６号
公報には、活性炭を空調機内に設置して悪臭成分を吸着
する方法が提案され、特開昭６１─２３４８６２号公報
には、オゾンで悪臭成分を殺菌脱臭し、残ったオゾンを
活性炭で吸着する方法が提案されている。また、最近で
は、紫外線を照射して脱臭する方法が、特開平７─３５
３７３号公報に開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術では以下のような欠点がある。まず、活性炭による方
法では、脱臭原理が物理吸着のため、吸着性能に限界が
あり、吸着力が弱い悪臭成分の場合には、脱臭効果が少
ないという欠点がある。更に、吸着を行うにつれて活性
炭の吸着力が弱まるので、活性炭を頻繁に交換しなけれ
ばならず、ランニングコストが増大するという欠点があ
る。

【０００４】オゾンによる脱臭方法においては、オゾン
が０．１ｐｐｍ程度の濃度でも健康障害を引き起こす可
能性があり、安全面において問題がある。また、オゾン
による脱臭方法だけでは、高齢者対応の施設における主
な臭気成分であるアンモニアに対して大きな脱臭効果が
得られなかったり、悪臭成分の急激な濃度変化に速やか
に対応できないという欠点がある。更に、オゾンによる
脱臭方法は、オゾンの強い酸化力に耐えられるステンレ
ス等の高価な材料を必要とするので、イニシャルコスト
が増大するという欠点がある。

【０００５】紫外線を用いた方法は、紫外線照射対象の
形状や位置関係によっては、紫外線の当たらない影部が
生じたり、厚みのある物質への照射が不可能であるた
め、十分な脱臭効果を得ることは難しい。しかも、広範
囲に渡って紫外線を照射するためには、紫外線灯を複数
設置しなければならず、コストが高くなると共に、紫外
線灯に対するメンテナンスも煩雑になるという欠点があ
る。

【０００６】このように、従来の脱臭装置は、安全性や
経済的に問題があったり、十分な脱臭効果が得られない
という欠点があった。本発明はこのような事情に鑑みて
なされたもので、確実な脱臭性能が得られると共に、安
全性及び経済的にも優れた脱臭装置を提供することを目
的とする。

【０００７】

【課題を解決する為の手段】本発明は前記目的を達成す
るために、吸込口と吹出口を備えると共に、内部に前記
吸込口から前記吹出口へのエア通路が形成された装置本
体と、前記吸込口からエアを吸い込み、該吸い込んだエ
アを前記エア通路を介して前記吹出口から吹き出すエア
送気手段と、前記エア通路に設けられ、前記吸込口から
吸い込んだエアの悪臭成分を吸着して除去する吸着手段
と、前記エア通路に設けられ、前記吸着手段により悪臭
成分が吸着除去されたエアにオゾンを供給し、前記エア
中に残存する悪臭成分を酸化分解して脱臭するオゾン供
給手段と、前記エア通路に設けられ、前記酸化分解に用
いられなかったオゾンを除去するオゾン除去手段と、を
備えたことを特徴とする。

【０００８】本発明によれば、先ず、悪臭成分を含んだ
エアを活性炭等の吸着手段に通過させて、吸着手段に悪
臭成分を吸着させる。次に、このエアにオゾン供給手段
で低濃度のオゾンを供給し、残存する悪臭成分を酸化分
解する。このように、吸着手段で吸着除去した後にオゾ
ンによる脱臭を行うので、悪臭成分の濃度に関係なく確
実に脱臭効果を得ることができる。次に、酸化分解に用
いられずにエア中に残存する過剰のオゾンをオゾン除去
手段で除去する。供給されたオゾンは少量なので、簡単
に除去でき、安全性が十分に確保される。これにより、
安全性において優れた脱臭装置を得ることができる。

【０００９】また、本発明では、吸着手段に吸着した悪
臭成分に、オゾン供給手段でオゾンを吹き付けることに
より、前記悪臭成分を酸化分解して除去することが可能
である。これにより、吸着手段の吸着力が蘇生し、吸着
手段の寿命が延命するので、ランニングコストを減少さ
せることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下添付図面に従って、本発明に
係る脱臭装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図１は、本発明に係る脱臭装置の側面断面図である。図
中、矢印は、脱臭運転モードに切り換えた際のエアの流
れを示している。

【００１１】同図に示すように、脱臭装置１０は主とし
て、装置本体１２、フィルター１４、ファン１６、ペル
チェ冷却器１８、オゾン灯２０及び紫外線灯２２とから
構成される。装置本体１２は、略矩形状に形成され、下
面にストッパー付きのキャスタ３０、３０…が設けられ
る。これにより、脱臭装置１０を容易に移動することが
できる。また、装置本体１２は、手前側の側面上部に傾
斜が設けられ、この傾斜部分に吹出口２６が設けられ
る。この吹出口２６は、ベッドの床面の高さに配置さ
れ、特にベッドで寝ている人物に対して効果的に無臭エ
アを吹き出すことができる。吹出口２６の下方、即ち、
手前の垂直な側面には、エアの吸込口２４が設けられ
る。この吸込口２４と前記吹出口２６は、スリット状に
開口し、大きな埃やゴミが装置本体１２内に入り込まな
いように構成される。

【００１２】また、装置本体１２の内部には、吸込口２
４と吹出口２６とを連通するエア通路が、内壁２８によ
って略コの字状に形成される。フィルター１４は、吸込
口２４の奥側に設けられ、吸込口２４から装置本体１２
内に吸い込まれるエアが全てフィルター１４を通過する
ように設置される。これにより、エア中の悪臭成分は、
フィルター１４により効果的に吸着される。更に、フィ
ルター１４は、界面を酸性に調製した添着活性炭で加工
されており、塩基性の悪臭成分を化学吸着することがで
きる。これにより、アンモニアを主とする悪臭成分を効
果的に吸着除去することができる。

【００１３】フィルター１４の奥側には、ファン１６が
設置され、エア通路を通過するエアが全てファン１６を
介して送られるように設けられる。ファン１６は、正逆
回転が可能であり、正回転すると吸込口２４からエアを
吸い込んでエア通路を介して吹出口２６から吹き出し、
逆回転すると吹出口２６からエアを吸い込んで吸込口２
４から吹き出すことができる。

【００１４】ペルチェ冷却器１８は、ファン１６の奥側
の下部に設けられ、ファン１６によって送風されたエア
が効果的に触れるように配置される。このペルチェ冷却
器１８は、ペルチェ効果を利用したもので、２本の異な
る金属をそれぞれ吸熱部３２と放熱部３４で繋ぐことに
より構成される。従って、ペルチェ冷却器１８を電源に
接続すると、２本の異なる金属に電流が流れ、吸熱部３
２で吸熱反応が発生し、放熱部３４で発熱反応が発生す
る。ペルチェ冷却器１８は、吸熱部３２のみがエア通路
のエアに触れるように着脱自在に取り付けられている。
これにより、ペルチェ冷却器１８を電源に接続すると、
エア通路を通過するエアを冷却することができる。尚、
本実施の形態では、エア通路を通過するエアを冷却する
例で説明するが、ペルチェ冷却器１８を取り外して放熱
部３４をエア通路に配置すると、暖房することも可能で
ある。また、エア通路を吸熱部３２側と放熱部３４側に
分岐させ、エアがそのどちらか一方を通過するように切
り換えてもよい。

【００１５】ペルチェ冷却器１８の上方には、３本のオ
ゾン灯２０が設置される。オゾン灯２０は、人体に影響
しない程度の極低濃度のオゾンを発生し、エア通路を通
過するエアにオゾンを供給する。これにより、エア中に
残存する悪臭成分は、オゾン灯２０が発生したオゾンに
よって酸化分解されて除去される。尚、オゾン灯２０
は、極低濃度のオゾンを供給するのであれば、何本設置
してもよい。

【００１６】オゾン灯２０の上方には、オゾン灯２０と
同容量且つ同数の紫外線灯２２が設置される。紫外線灯
２２は、オゾンを分解することのできる波長の紫外線を
照射するように構成される。これにより、前記オゾン灯
２０が供給したオゾンのうち、酸化分解せずにエア中に
残存するオゾンを分解して除去することができる。尚、
上述したオゾン灯２０と紫外線灯２２には、それぞれス
イッチが設けられており、個別に運転させることも可能
である。

【００１７】以下に、上記の如く構成された脱臭装置１
０の作用について説明する。上述した脱臭装置１０は、
脱臭運転モードとフィルター蘇生モードを備えており、
定期的にこの脱臭運転モードとフィルター蘇生モードを
切り換えて運転する。脱臭運転モードでは、先ず、キャ
スタ３０、３０…により脱臭装置１０を悪臭が発生した
位置まで移動する。そして、ファン１６を正回転し、オ
ゾン灯２０及び紫外線灯２２をＯＮにすると共に、必要
に応じてペルチェ冷却器１８を電源に接続する。

【００１８】ファン１６を正回転させると、悪臭成分を
含んだエアは、図１に示したように吸込口２４から装置
本体１２内に吸い込まれる。吸い込まれたエアは全て、
フィルター１４を通過するので、エア中の悪臭成分が効
率よくフィルター１４に吸着除去される。このときの悪
臭成分の除去率は、フィルター１４の吸着力やエア中の
悪臭成分の濃度によって異なるが、９０％程度である。

【００１９】フィルター１４を通過したエアは、ペルチ
ェ冷却器１８によって温度調節された後、オゾン灯２０
によって極低濃度のオゾンが供給される。このとき、エ
ア中の残存する悪臭成分は、フィルター１４で除去され
た後であるので低濃度であり、極低濃度のオゾンであっ
ても、簡単に酸化分解して除去することができる。オゾ
ンが供給されたエアには、紫外線灯２２によって紫外線
が照射される。これにより、酸化分解に用いられなかっ
た過剰のオゾンは、完全に分解される。そして、悪臭成
分及びオゾンが除去された無臭エアが、ベッドの床面高
さに配置された吹出口２６から吹き出される。

【００２０】このように、脱臭運転モードでは、エア中
の悪臭成分をフィルターによって吸着除去すると共にオ
ゾンによって酸化分解するので、確実な脱臭効果を得る
ことができる。また、オゾン灯２０で供給されたオゾン
を紫外線灯２２で分解するので、安全性に優れた脱臭装
置を得ることができる。尚、上記の例では、脱臭運転モ
ード中、常にオゾン灯２０と紫外線灯２２をＯＮにした
が、悪臭が少ない場合は、ＯＦＦにしてもよい。

【００２１】次に、フィルター蘇生モードについて説明
する。図２は、フィルター蘇生モードに切り換えた脱臭
装置１０の側面断面図である。尚、図中、紫外線灯２２
はＯＦＦであるので省略する。フィルター蘇生モードで
は、ファン１６を逆回転すると共に、オゾン灯２０をＯ
Ｎにし、紫外線灯２２をＯＦＦにする。ファン１６を逆
回転すると、エアは吹出口２６から吸い込まれ、エア通
路を介して吸込口２４から吹き出される。従って、オゾ
ン灯２０で供給したオゾンは、ファン１６を介してフィ
ルター１４に吹き付けられる。このフィルター１４に
は、脱臭運転モードの際に吸着した悪臭成分が存在して
いるので、オゾンを吹き付けると塩基性の悪臭成分、特
にアンモニアが酸化分解される。これにより、フィルタ
ー１４に吸着した塩基性の悪臭成分が除去されるので、
フィルター１４の吸着力は蘇生する。

【００２２】図３は、フィルター蘇生モードの作用を説
明する作用説明図であり、悪臭成分の除去率の経時変化
を示している。図中、ａ点までは、オゾン灯２０と紫外
線灯２２をＯＦＦにして脱臭運転モードで運転し、ａ点
で脱臭運転モードからフィルター蘇生モードに切り換え
ている。同図に示すように、脱臭運転モードで脱臭し続
けると、フィルター１４による悪臭成分の除去率は、時
間と共に徐々に減少する。これは、フィルター１４に悪
臭成分が吸着して、フィルター１４の吸着力が低下した
ためである。そして、ａ点になると、フィルター１４が
破過して吹出口２６から悪臭が漏れてしまう。

【００２３】フィルター１４が破過した後にフィルター
蘇生モードに切り換えると、前述したようにフィルター
１４に吸着した塩基性の悪臭成分が除去されるので、フ
ィルター１４の吸着力は蘇生される。従って、フィルタ
ー１４に再び悪臭成分を吸着できるので、フィルター１
４の除去率は向上する。このように、フィルター蘇生モ
ードでは、オゾンによってフィルター１４に吸着した塩
基性の悪臭成分を酸化分解するので、フィルター１４の
吸着力を蘇生することができる。これにより、フィルタ
ー１４の寿命は延長されるので、フィルター１４の交換
頻度が少なくなり、ランニングコストを減少することが
できる。

【００２４】尚、フィルター蘇生モードでも、脱臭運転
モードと同様に必要に応じてペルチェ冷却器１８で温度
調節してもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る脱臭
装置では、吸着手段で吸着脱臭した後に低濃度のオゾン
で脱臭すると共に過剰のオゾンをオゾン除去手段で除去
するので、安全で確実な脱臭効果を得ることができる。
また、吸着手段に吸着した悪臭成分をオゾン供給手段で
供給したオゾンで分解除去するので、吸着手段の吸着力
を蘇生することができ、ランニングコストを低減させる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る脱臭装置の側面断面図

【図２】フィルター蘇生モードに切り換えた脱臭装置の
側面断面図

【図３】フィルター蘇生モードの作用を説明する説明図

【符号の説明】

１０…脱臭装置 １２…装置本体 １４…フィルター １６…ファン １８…ペルチェ冷却器 ２０…オゾン灯 ２２…紫外線灯 ２４…吸込口 ２６…吹出口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｂ０１Ｄ 53/74

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吸込口と吹出口を備えると共に、内部に前
   記吸込口から前記吹出口へのエア通路が形成された装置
   本体と、 前記吸込口からエアを吸い込み、該吸い込んだエアを前
   記エア通路を介して前記吹出口から吹き出すエア送気手
   段と、 前記エア通路に設けられ、前記吸込口から吸い込んだエ
   アの悪臭成分を吸着して除去する吸着手段と、 前記エア通路に設けられ、前記吸着手段により悪臭成分
   が吸着除去されたエアにオゾンを供給し、前記エア中に
   残存する悪臭成分を酸化分解して脱臭するオゾン供給手
   段と、 前記エア通路に設けられ、前記酸化分解に用いられなか
   ったオゾンを除去するオゾン除去手段と、 を備えたことを特徴とする脱臭装置。
2. 【請求項２】前記装置本体は、下部に車輪等が設けら
   れ、移動可能であることを特徴とする請求項１の脱臭装
   置。
3. 【請求項３】前記エア通路にペルチェ効果を用いた温度
   調節器を備え、前記エア通路を通過するエアを温度調節
   することを特徴とする請求項１又は２の脱臭装置。
4. 【請求項４】前記送気手段のエアの送気方向を逆転させ
   て、前記オゾン供給手段で供給したオゾンを前記吸着手
   段に吹き付けることにより、前記吸着手段の吸着力を蘇
   生することを特徴とする請求項１、２又は３の脱臭装
   置。