JPH11318868A - 真空検体採取容器用栓体、真空検体採取容器、真空検体採取システム、真空検体採取ホルダ―及び栓体用熱可塑性エラストマ―組成物 - Google Patents

真空検体採取容器用栓体、真空検体採取容器、真空検体採取システム、真空検体採取ホルダ―及び栓体用熱可塑性エラストマ―組成物

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JPH11318868A
JPH11318868A JP11046670A JP4667099A JPH11318868A JP H11318868 A JPH11318868 A JP H11318868A JP 11046670 A JP11046670 A JP 11046670A JP 4667099 A JP4667099 A JP 4667099A JP H11318868 A JPH11318868 A JP H11318868A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性及び検体採取容器内の減圧度維持性に
優れ、針管刺通性及び針穴シール性に優れた真空検体採
取容器用栓体を得る。 【解決手段】 検体採取容器の開口端に着脱自在に、か
つ検体採取容器内を減圧状態に維持し得るように検体採
取容器の開口端に気密に嵌合される栓体であって、把持
部2と、ゴム弾性を有し、把持部2の貫通孔2cを埋め
るように設けられた針管刺通部3と、検体採取容器の開
口端の内面の形状に追従して該開口端に気密的に嵌め合
わされるゴム状弾性嵌合部4とを備え、把持部2が、針
管刺通部3及び嵌合部4よりも高い剛性を有しており、
把持部2の環状の側壁部2aの内面2dに、キックバッ
クを防止するための少なくとも1つの凸部2eまたは凹
部が設けられている、栓体1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液や尿などの液
状検体あるいは呼気や作業環境の雰囲気のようなガス状
検体の分析試験において、検体を採取するために用いら
れる、真空検体採取容器用栓体、該栓体を有する真空検
体採取容器、真空検体採取システム、真空検体採取用ホ
ルダー並びに栓体用熱可塑性エラストマー組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】真空検体採取システムの検体としては、
血液が最も一般的である。そこで、以下の説明において
は、真空検体採取容器として、真空採血容器を例にして
説明する。
【0003】従来の典型的な真空採血システムは、例え
ば、特開昭62−227316号公報に記載されてい
る。図18は、このような従来の真空採血システムの基
本的な構成を示す図である。図18(a)は、採血管3
2の開口端部に針穴シール性及びガスバリアー性を備え
た栓体31を取付けて密封した真空採血容器30を示し
ている。図18(b)は、真空採血容器30を挿入する
ことができる真空採血用ホルダー33を示しており、こ
のホルダー33の他方端側には採血針保持穴34が設け
られている。採血針保持穴34には雌ねじが形成されて
いる。図18(c)は、真空採血針35を示している。
真空採血針35は、両側に針先37及び38を有してお
り、針先37側には、雄ねじ部が形成されたハブ36が
設けられている。このハブ36は、図18(b)に示す
真空採血用ホルダー33の採血針保持穴34に螺合する
雄ねじ部である。
【0004】図20は、図18に示す真空採血システム
を用いて採血する際の状態を示す斜視図である。採血に
あたっては、真空採血針35を、ホルダー33の採血針
保持穴34にねじ止めし、次に真空採血容器30を、ホ
ルダー33内に挿入し、採血針35の針先37を栓体3
1内に貫通しない程度に押し込んで、針先37を一旦封
止する。これは、針先38を血管に刺入したときに、針
先37から血液が漏出するのを防ぐためである。
【0005】採血者は、図20に示すように、採血針3
5/ホルダー33/採血容器30を組み立てた全体を、
被採血者の血管軸に沿った方向に寝かせるように手に保
持し、血管刺通側の針先38を血管に刺通する。次い
で、採血容器30をホルダー33内にさらに押し込む
と、針先37が栓体31を貫通し、採血容器側と血管側
の圧力差に応じて血液が採血容器30内に流入する。両
側の圧力差がなくなれば、血液の流入は止まるので、組
立体全体を血管から抜去し、採血作業を終わる。
【0006】以上の説明で用いた採血針35は、いわゆ
るシングル採血針と呼ばれ、1本の真空採血容器にだけ
採血するときに用いられるものである。複数の採血容器
に採血するときには、採血容器の交換の際にも針を血管
に刺入したままにしておかなければならない。このよう
な場合、シングル採血針を用いると、針先37から血液
が漏出してしまうので、図19に示すようなマルチプル
採血針39が用いられる。マルチプル採血針39は、栓
体刺通側の針先37が、弾性鞘体40で気密に被覆され
ており、血液の漏出を防ぐことができるようになってい
る。このようなマルチプル採血針39を用いる場合に
は、採血針39とホルダー33のみの組立体を、血管に
刺入し、その後に採血容器30をホルダー33内に挿入
して該採血容器30と血管とを連通せしめ、採血を行う
ことができる。
【0007】図18(a)に示すような従来の栓体31
に用いられる弾性材質としては、採血容器内部の減圧度
を維持すべくガスバリアー性が要求され、かつ針先を抜
いた後の針穴シール性が必要とされる。従って、従来、
架橋イソブチレン・イソプレンゴム(架橋IIR、架橋
ブチルゴム)が多用されている。
【0008】図18(a)に示した栓体31は、従来の
最もオーソドックスな形状を有する栓体であるが、採血
後に該採血容器30内の検体を分取すべく、栓体31を
除去しようとすると、栓体31が外れる瞬間に血液飛沫
が飛ぶことがあるとされている。これは、採血容器30
内部の減圧度を維持するために、密封性のよい栓体形状
を採用していることによるものである。このような問題
を解消するため、特開平5−168611号公報、特開
平4−215961号公報、特開昭59−228831
号公報、特開昭60−242367号公報、特開昭61
−170437号公報、特開昭59−230539号公
報、特開平3−505320号公報等には、血液飛沫を
遮断するためのカバーを架橋ブチルゴム栓体に被せた複
合構造の栓体が提案されている。
【0009】上述のように、従来の栓体の材質として
は、架橋ブチルゴムが多用されているが、架橋ブチルゴ
ムは、加硫反応工程に長時間を要し、さらに溶出性物質
を水洗除去しなければならない等の問題があり、生産性
が悪いとされている。
【0010】また、架橋ブチルゴムは、カバー部材とは
接着性または融着性を示さないので、物理的な嵌め合い
組立法が採用されているが、このような組立構造では栓
体の抜け落ちが生じ易いという問題があった。そこで、
抜け落ちを防止するために、カバー部材を略二重の円筒
構造とし、内側の円筒部分を架橋ブチルゴム部材に嵌め
込み埋設した構造が提案されている。しかしながら、架
橋ブチルゴム栓体の優れた針穴シール性は、材質本来の
特性だけでなく、該栓体を採血管に嵌合させたときに栓
体が被る圧力が貫通した針穴を閉じるように作用すると
いう点にも依存する。従って、略二重の円筒構造を有す
るカバー部材を用いた場合には、針穴シール性が低下す
るおそれがある。
【0011】特開昭57−59536号公報では、ガス
バリアー性に劣る熱可塑性エラストマーからなる栓本体
にガスバリアー性の高い膜を被着させたり、あるいは埋
設した栓体が提案されている。しかしながら、このよう
な被着または埋設工程が必要となると、熱可塑性エラス
トマーを採用する最大の利点である高い生産性が犠牲に
される。
【0012】また、射出成形が可能な生産性に優れた栓
体は、特開昭58−58057号公報、特開昭61−6
4253号公報、特開昭59−28965号公報等に提
案されている。これらの公報においては、射出成形可能
な材質として、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーが
用いられているが、弾性やガスバリアー性を確保するた
めに、未架橋のブチルゴムや平板状の無機フィラー等を
配合している。しかしながら、このような配合物は、針
穴シール性に劣るため、別種の熱可塑性エラストマー部
材を針管刺通部位に組み込む必要があり、かつ刺通抵抗
も大きくなる。
【0013】さらに、特開平4−279152号公報、
及び特開平7−51253号公報では、針刺し可能な弾
性部材に熱可塑性エラストマーのような射出成形可能な
材料を用い、さらに上記の血液飛沫を遮断するカバーを
栓体に被せた複合構造が提案されている。しかしなが
ら、熱可塑性エラストマーのガスバリアー性の改善につ
いては、積極的な開示はなく、別種のガスバリアー性シ
ートを付加的にカバー上面に組み込む等の従前の対策が
図られているに過ぎない。
【0014】特開昭57−154057号公報、実開昭
62−160908号公報、特開平1−76831号公
報、特開平2−174835号公報等では、典型的なゴ
ム栓形状物とは一線を画した、アルミ箔と針穴シール性
ゴムシートあるいはゴムチップ等からなる積層シートを
直接、採血容器の開口端部に融着または接着することを
特徴とする栓体が提案されている。この新しいタイプの
シート状栓体は、アルミ箔のようなガス非透過性の材料
を用いているため、ガスバリアー性が優れる上に、その
薄さの故に、採血針の刺通抵抗が非常に小さく、採血作
業の負担を大きく軽減することができるとされている。
また、生産性も高い。しかしながら、採血容器の開口端
部に直接融着された栓体は、一旦剥がすと、当然ながら
再着脱することができないので、検体の保存には別途着
脱可能な栓体を用意する必要がある。
【0015】特開平3−97450号公報においては、
射出成形可能な熱可塑性樹脂からなる栓体の軸心線に沿
って針管が通り抜け可能な連通孔を設け、そこに注射針
を差し込める弾性密封部材を充填するか、あるいはアル
ミ箔と加硫ゴムシートの積層密封部材を密着させた栓体
が提案されている。この栓体と採血容器との嵌合は、従
来栓体に共通している弾性嵌合ではなく、硬質の熱可塑
性樹脂同士の強嵌合である。これは、ゴム弾性栓体を採
血済みの採血管から一旦抜き取り、再度挿入しようとし
ても、元来密封性が非常によいため、栓体挿入中に採血
管内部の空気が外部に逃げ出せないまま圧縮されて気圧
が高まり、栓体がその反力で浮き上がってしまうのを防
止するためとされている。弾性嵌合でなくとも、採血管
内部の減圧は維持されるとされているが、熱可塑性樹脂
の成形には、栓体と採血管内壁の密着性を損なう成形不
良や残留歪みによる変形がつきものであるので、このよ
うな強嵌合を用いた栓体と採血管の嵌合は、品質管理上
問題がある。
【0016】他方、上述したいずれの従来の栓体を用い
る場合であっても、採血にあたってマルチプル採血針3
9を使用すると、採血針の栓体刺通側針管に被覆されて
いる弾性鞘体40による圧縮反発力を受ける。従って、
真空採血管が真空採血用ホルダー33から外部に弾き返
されるキックバック現象が生じ易くなる。
【0017】キックバック現象を防止するには、栓体刺
通側針管37の外表面と栓体の刺通部との摺動摩擦抵
抗、あるいはホルダー内壁面と真空採血管の外表面との
摺動摩擦抵抗をそれぞれ大きくする必要がある。しかし
ながら、前者では、必然的に刺通抵抗が増大することに
なり、後者では、ホルダー内壁面に凸条やばね弾性舌片
を設けたり、固定式または可動式のフック機構を設けた
りし、ホルダーと、採血管もしくは栓体外表面との摺動
抵抗もしくは係合保持性を高める必要がある。しかしな
がら、いずれの方法を採用するにしても、ホルダー内へ
の採血管を挿入する際の挿入抵抗及びホルダーからの引
抜き抵抗が増大する。従って、採血者は不自然な姿勢で
指先に力を加える作業を強いられ、血管内で針先がぶれ
やすくなり、採血者、被採血者の双方にとって負担が増
大する。
【0018】さらに、ホルダー内壁面と真空採血管の外
表面との摩擦抵抗もしくは係合保持性を高めるにして
も、1種類の採血管ホルダーに様々なサイズの採血管や
栓体を対応させるのが通例であり、採血管もしくは栓体
の外表面を、採血管ホルダーの内表面と摺動もしくは係
合可能な大きさとなるように一律に拡径しなければなら
ない。ところが、4〜7ml程度の小容量の採血管は、
管本体が細く、これらを保持するための試験管ラック
も、管本体に応じたサイズの収納部を有し、かつ保持さ
れるべき管本体同士の間隔も小さいのが普通である。こ
のような試験管ラックに、上記のように拡径された真空
採血管を収納し、横一列に並べようとすると、拡径され
た部分同士が互いにぶつかりあり、並べることができな
くなる。従って、やむを得ず、10ml容量用の大きな
試験管ラックを用いているのが実情であるが、採血管が
がたつきやすく、使い勝手が非常に悪かった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、真空採
血容器用の栓体として、生産性に優れ、かつ採血管内の
減圧を十分に維持することができ、針管刺通性、針穴シ
ール性及びキックバック防止性に優れた真空採血容器用
栓体が求められている。
【0020】本発明の目的は、生産性に優れ、かつ採液
管内の減圧度を十分に維持することができ、針管刺通
性、針穴シール性及びキックバック防止性に優れた着脱
自在な真空検体採取容器用栓体及び該栓体を用いた真空
検体採取容器、真空検体採取ホルダー並びに栓体用熱可
塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明に係る
真空検体採取容器用栓体は、検体採取管の開口端部に着
脱自在に嵌合し、かつ該検体採取管の内部を減圧状態に
維持することができるように検体採取管の開口端部と気
密に嵌合可能な栓体であって、栓体を把持するための環
状の側壁部、及び該側壁部から内側に向かって延びる隔
壁部を有し、隔壁部には検体採取のための針管を検体採
取管に通すための貫通孔が形成されている把持部と、前
記把持部の貫通孔を埋めるように設けられており、前記
針管を通す刺通性及び前記針管を抜いた後の再シール性
を有するゴム状弾性刺通部と、前記ゴム状弾性刺通部の
周縁部から下方に延びるように構成されており、かつ前
記検体採取管の開口端部の内面の表面形状に追従して該
内面に接し、該開口端部に気密に嵌め合わされるゴム状
弾性嵌合部とを備え、前記把持部が、前記針管刺通部及
び前記嵌合部よりも高い剛性を有しており、前記把持部
の環状の側壁部の内側には、キックバックを防止するた
めに少なくとも1つの凹部または凸部が設けられている
ことを特徴とする。
【0022】また、本発明に係る真空検体採取容器用栓
体の特定の局面では、前記隔壁部から前記嵌合部に向か
って延び、前記嵌合部中に埋め込まれる嵌合部支持部が
さらに設けられており、前記針管刺通部の下面が嵌合部
支持部の下端よりも上方に位置されており、針管刺通部
の該下面に凸部が設けられている。
【0023】本願の第2の発明に係る真空検体採取容器
用検体は、検体採取管の開口端部に着脱自在に嵌合し、
かつ該検体採取容器の内部を減圧状態に維持することが
できるように検体採取容器の開口端部と気密に嵌合可能
な栓体であって、栓体を把持するための環状の側壁部、
及び該側壁部から内側に向かって延びる隔壁部を有し、
隔壁部には検体採取のための針管を検体採取管に通すた
めの貫通孔が形成されている把持部と、ゴム弾性を有
し、前記把持部の貫通孔を埋めるように設けられてお
り、前記針管を通す刺通性及び前記針管を抜いた後の再
シール性を有する針管刺通部と、前記針管刺通部または
把持部の下方に連結されており、かつ前記検体採取管の
開口端部の内面の表面形状に追従して該内面に接し、該
開口端部に気密に嵌め合わされる嵌合部とを備え、前記
針管刺通部の下面に凸部が設けられていることを特徴と
する。
【0024】本願の第1,第2の発明に係る真空検体採
取容器用栓体では、好ましくは、前記貫通孔が前記針管
刺通部の上方に向かうにつれて径が大きくなるように構
成されている。
【0025】さらに、本発明の別の特定の局面によれ
ば、前記把持部の隔壁部の肉厚T1(mm)、及び25
℃における酸素透過係数P1(ml/cm2 ・mm-1
sec・cmHg)、前記針管刺通部の刺通方向の肉厚
T2(mm)、及び25℃における酸素透過係数P2
(ml/cm2 ・mm-1・sec・cmHg)、前記把
持部の貫通孔の最小断面積Sd(cm2 )並びに前記検
体採取管の開口端部の開口面積So(cm2 )とが、下
記の式(1)の関係を有するように構成される。
【0026】
【数2】
【0027】本発明に係る真空検体採取容器用栓体で
は、好ましくは、前記把持部は、25℃における酸素透
過係数P1が30×10-1ml/cm2 ・mm-1・se
c・cmHg以下である熱可塑性樹脂組成物からなり、
前記針管刺通部は、25℃における酸素透過係数P2が
700×10-1ml/cm2 ・mm-1・sec・cmH
g以下である熱可塑性エラストマー組成物からなり、前
記嵌合部は、25℃の酸素透過係数が10000×10
-1ml/cm2 ・mm-1・sec・cmHg以下である
熱可塑性エラストマー組成物からなり、前記把持部の貫
通孔の最小断面積Sdと前記検体採取管の開口端部の開
口面積Soとの比Sd/Soが、0.7以下とされてい
る。
【0028】また、本発明に係る真空検体採取容器用栓
体では、特に限定されるわけではないが、前記把持部
が、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリ
アセタール及びエチレン−ビニルアルコール系共重合体
からなる群から選択した少なくとも1種を主成分とし、
前記刺通部及び前記嵌合部が、把持部と接着性または融
着性を示す熱可塑性エラストマーにより構成されてい
る。
【0029】本発明に係る真空検体採取容器は、本発明
に係る真空検体採取容器用栓体と、真空検体採取管とを
備える。また、本発明に係る真空検体採取容器の特定の
局面では、第2の発明に係る栓体と、該栓体が挿入され
る開口部内面にゴム状弾性嵌合部が形成されている真空
検体採取管とが備えられる。
【0030】また、本発明に係る真空検体採取システム
は、本発明に係る真空検体採取容器用栓体と、真空検体
採取管と、一端に真空検体採取管を挿入可能な開口を有
し、他端に検体採取のための針管を保持可能とされてい
る筒状の真空検体採取用ホルダーと、真空検体採取針と
を備え、前記真空検体採取用ホルダーの針管保持側の内
奥部に、前記栓体の把持部の環状の側壁部の内側に設け
られた凹部または凸部と係合自在な凸部または凹部を有
する弾性部材が設けられている。
【0031】本発明に係る真空検体採取用ホルダーは、
本発明に係る真空検体採取容器用栓体と組み合わせて用
いられるものであり、一端に真空検体採取管を挿入可能
な開口を有し、他端に検体採取のための針管を保持可能
とされている筒状の形状を有し、該真空検体採取用ホル
ダーの針管を保持する側の内奥部に、栓体の把持部の環
状の側壁部の内側に設けられた前記凹部または凸部と係
合自在な凸部または凹部を有する弾性部材が設けられて
いることを特徴とする。
【0032】本発明のさらに他の局面では、本発明に係
る真空検体採取容器用栓体を構成するための熱可塑性エ
ラストマー組成物が提供される。この熱可塑性エラスト
マー組成物は、遷移金属酸化物を触媒として動的架橋さ
れたゴム弾性ドメインを有する熱可塑性エラストマー
と、前記遷移金属と共に水難溶性の塩もしくはキレート
を形成する化合物とを含む。
【0033】
【発明の実施の形態】以下の本発明に従う実施形態にお
いては、血液を採取する真空採血容器を例にとり説明す
る。
【0034】図1は、本発明に従う一実施形態の真空採
血容器を示す部分切欠半断面図である。真空採血容器2
0は、栓体1と採血管10とから構成されている。栓体
1の上方部分は、着脱作業時に指先で掴み保持するため
の把持部2から構成されている。把持部2は、環状の側
壁部2aと、側壁部2aの底部から内側に延びる隔壁部
2bとを有している。隔壁部2bの内側端部は上方に突
出し、その内側に貫通孔2cが形成されている。この貫
通孔2cは、採血のための針管を採血管10に通すため
形成されている。
【0035】環状の側壁部2aの内周面2dの上端部近
傍には、キックバック防止用のリング状凸部2eが全周
にわたり設けられている。該リング状凸部2eは、該リ
ング状凸部2eに平行な平面が、栓体1の軸方向すなわ
ち真空採血管20の軸方向に直交するように配置されて
いる。
【0036】リング状凸部2eは、図13を参照して後
述する真空採血用ホルダー60の真空採血針保持側の内
奥部63に設けられたばね状弾性部材64と係合し得る
ように構成されている。このリング状凸部2eは、採血
の際には後述のマルチプル採血針39の栓体刺通側の弾
性鞘体40が圧縮されることにより発生する反発力に抗
し、それによってキックバック現象を防止するように作
用する。また、採血終了時には、採血管10を上記ホル
ダー60から引き抜く力を採血管10に加えると、該力
にリング状凸部2eが抗し切れず、リング状凸部2eが
凹部64aから離脱する。
【0037】本実施態様では、リング状凸部2eが設け
られているが、キックバックを防止するためには、リン
グ状凸部2eに代えて、リング状凹部を形成してもよ
い。この場合には、ホルダー60の内奥部63の弾性部
材64に設けられた係合部は、凸部とすればよい。ま
た、リング状凸部2eまたは凸部2eに代わる凹部は、
環状の側壁部2aの内周面2dの全周にわたり設けるこ
とが最も好ましいが、必ずしも全周にわたり設けられず
ともよい。すなわち、環状の側壁部2aの内周面2dに
設けられるキックバック防止用の凸部または凹部は、局
部的に設けられてもよく、さらに複数の凸部もしくは凹
部が設けられていてもよい。
【0038】把持部2の貫通孔2cには、貫通孔2cを
埋めるように針管刺通部3が設けられている。この針管
刺通部3は、ゴム弾性を有するように構成されている。
また、貫通孔2cは、栓体の軸方向において、上方に向
かうにつれて径が大きくなるように形成されており、す
なわち、漏斗状の形状を有するように構成されている。
後述するように、貫通孔2cの最小横断面積は、採血管
10の開口端部11の開口面積に比べて小さいことが望
ましい。従って、漏斗状の貫通孔2cの内壁は、採血の
ための真空採血針あるいは検体分取のためのサンプリン
グノズルを貫通孔2c内に正確に導くための誘導路とし
て機能する。
【0039】図1に示す実施態様においては、貫通孔2
cは栓体1の軸心、すなわち把持部2の略中心の位置に
1ヵ所設けられているが、貫通孔2cは、軸心からずれ
た位置に設けられてもよい。また、貫通孔は、必要に応
じて複数個設けられてもよい。
【0040】また、栓体1の下方部分は略円筒状の形状
を有する嵌合部4から構成されている。嵌合部4は、ゴ
ム弾性を有する略円筒状の形状を有する。また、嵌合部
4は、上記針管刺通部3の下面周縁部から下方に延びる
ように形成されている。嵌合部4は、採血管10の開口
端部11の内面11aと接して嵌め合わされる部分であ
る。すなわち、嵌合部4の外周面4aが採血管10の開
口端部11の内面11aの表面形状に追従して柔軟に接
するようにして、嵌合部4が採血管10の開口端部11
に嵌め合わされる。本実施形態では、嵌合部4は、針管
刺通部3と同一材料で一体に形成されている。
【0041】本発明においては、把持部2の隔壁部2b
の肉厚をT1(mm)、及び25℃における酸素透過係
数をP1(ml/cm2 ・mm-1・sec・cmH
g)、針管刺通部3の刺通方向の肉厚をT2(mm)、
及び25℃における酸素透過係数P2(ml/cm2
mm-1・sec・cmHg)、把持部2の貫通孔2cの
最小横断面積をSd(cm2 )とし、採血管10の開口
端11の開口面積をSo(cm2 )としたときに、下記
の式(1)の関係を満たすように設定することが望まし
い。
【0042】
【数3】
【0043】上記式(1)の左辺は、栓体1のガスバリ
アー性を示す。式(1)の左辺の値Xが、10×10
-10 よりも大きいと、真空採血管20内の減圧状態の維
持性が劣化することがある。
【0044】把持部2を構成する材料としては、各種熱
可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属、セラミックスなどを
用いることができる。もっとも、生産性及び経済性を高
めるには、熱可塑性樹脂を用いることが望ましい。
【0045】また、針管刺通部3や嵌合部4を構成する
材料としては、各種熱可塑性エラストマー、熱硬化性エ
ラストマーなどを用いることができるが、生産性や経済
性の観点から熱可塑性エラストマーを用いることが望ま
しい。
【0046】本実施形態の栓体1では、より好ましく
は、上述した式(1)を満たすだけでなく、把持部2
の25℃における酸素透過係数が30×10-10 ml/
cm2・mm-1・sec・cmHg以下である熱可塑性
樹脂組成物からなること、針管刺通部3の25℃にお
ける酸素透過係数が700×10-10 ml/cm2 ・m
-1・sec・cmHg以下である熱可塑性エラストマ
ー組成物からなること、嵌合部4の25℃における酸
素透過係数が10000×10-10 ml/cm2・mm
-1・sec・cmHg以下である熱可塑性エラストマー
組成物からなること、及び把持部2の貫通孔2cの最
小横断面積Sdと、採血管10の開口端部11の開口面
積Soとの比Sd/Soが0.7以下であることを満た
すことが望ましい。
【0047】従って、好ましくは、把持部2は、25℃
における酸素透過係数が30×10 -10 ml/cm2
mm-1・sec・cmHg以下である熱可塑性樹脂組成
物から形成される。このような熱可塑性樹脂組成物とし
ては、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミ
ド、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリアクリレー
ト、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、アクリロニトリル/スチレン系共重合体、エチ
レン/ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリ
プロピレン、高密度あるいは低密度ポリエチレン等を主
たる成分とするものが用いられ得る。これらの材料は、
単独で用いられてもよく、複数種併用されてもよい。複
数種併用する場合、複数の材料層を積層してもよく、あ
るいは複数の上記熱可塑性樹脂を混合して用いてもよ
い。
【0048】把持部2は、より好ましくは、その酸素透
過係数が15×10-10 ml/cm 2 ・mm-1・sec
・cmHg以下とされ、このような酸素透過係数を実現
する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアクリ
ロニトリル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリアセタ
ール、エチレン/ビニルアルコール系共重合体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ア
クリロニトリル−スチレン系共重合体、高密度ポリエチ
レン、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらは単独
で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0049】把持部2は、さらに好ましくは、その酸素
透過係数が5×10-10 ml/cm 2 ・mm-1・sec
・cmHg以下とされ、このような酸素透過係数を実現
する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル、ポリアクリ
ロニトリル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリアセタ
ール、エチレン/ビニルアルコール系共重合体、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ア
クリロニトリル−スチレン系共重合体、高密度ポリエチ
レンなどが挙げられ、これらは単独で用いられてもよく
2種以上併用されてもよい。
【0050】把持部2の25℃における酸素透過係数が
大きすぎると、把持部2の隔壁部2bや針管刺通部3の
肉厚を大きくしたり、あるいは針管刺通部3や嵌合部4
を構成する材料として酸素透過係数が小さいものに制約
されたりするため、針管刺通抵抗が増大したり、生産性
や経済性が劣化することがある。
【0051】針管刺通部3の25℃における酸素透過係
数は、700×10-10 ml/cm 2 ・mm-1・sec
・cmHg以下であることが好ましく、このような酸素
透過係数を実現する熱可塑性エラストマー組成物として
は、スチレン系、ウレタン系、アミド系、エステル系、
塩化ビニル系もしくはオレフィン系エラストマーのジブ
ロックあるいはトリブロック共重合体や、エチレン/酢
酸ビニル共重合体などを主たる成分とするものが挙げら
れ、これらの主たる成分とする材料は単独で用いられて
もよく、2種以上併用されてもよい。さらに、上記熱可
塑性エラストマー組成物には、各種添加剤を配合しても
よく、また2種以上の熱可塑性エラストマーを用いる場
合、その併用方法についても限定されず、2種以上のエ
ラストマーを積層してもよく、あるいは2種以上のエラ
ストマーを混合して用いてもよい。
【0052】なお、オレフィン系エラストマーと、その
他の系のエラストマーとを併用する場合、スチレン/水
添ブタジエンブロック共重合体系、スチレン/水添イソ
プレンブロック共重合体系、スチレン/イソブチレンブ
ロック共重合体系、スチレン/エチレンプロピレンブロ
ック共重合体系などの熱可塑性エラストマーを併用する
ことが好ましい。
【0053】さらに、スチレン/水添ブタジエン系熱可
塑性エラストマーを用いる場合には、ブタジエンブロッ
クが1,2結合成分を含むものであることが望ましく、
スチレン/水添イソプレン系エラストマーを用いる場合
には、イソプレンブロックが3,4結合成分を含むもの
であることがより好ましい。オレフィン系エラストマー
に対し、上述した熱可塑性エラストマーを併用すること
により、オレフィン系エラストマーと他の熱可塑性エラ
ストマーとの相溶性を高めることができる。
【0054】針管刺通部3は、好ましくは、その酸素透
過係数が200×10-10 ml/cm2 ・mm-1・se
c・cmHg以下とされる。このような酸素透過係数を
実現する材料としては、イソブチレンブロックを有する
スチレン系エラストマー、架橋イソブチレンドメインを
有するオレフィン系エラストマー、ウレタン系、アミド
系もしくはエステル系エラストマーなどを主成分とする
ものが用いられる。これらの各エラストマーは単独で用
いられてもよく、併用されてもよい。
【0055】なお、ゴム弾性を有する架橋イソブチレン
ドメインが、イソブチレン−イソプレン共重合体をいわ
ゆる動的架橋法により架橋することにより得られたもの
である場合には、酸化亜鉛などの遷移金属酸化物が架橋
反応の触媒として用いられることが多い。従って、この
ような触媒として用いられている金属酸化物から生じた
金属イオンの溶出を防止するために、該金属と難溶性の
塩、または難溶性キレートを形成する化合物を併用する
ことが望ましい。
【0056】針管刺通部3の25℃における酸素透過係
数が大きすぎると、針管刺通部3や把持部2の隔壁部2
bの肉厚を大きくしたり、把持部2を構成する樹脂とし
て、酸素透過係数が小さいものを用いる必要があること
になり、結果として、針管刺通抵抗が増大したり、生産
性や経済性が劣化することがある。
【0057】嵌合部4を構成する熱可塑性エラストマー
組成物としては、上述した針管刺通部3を構成するのに
用い得る熱可塑性エラストマーを用いることができ、さ
らにシリコーン系エラストマーを主たる成分とするもの
も用いることができる。このようなエラストマーは単独
で用いられてもよく、あるいは2種以上併用されてもよ
い。
【0058】針管刺通部3により果たされる気密性は、
ゴム弾性材料自身の酸素透過係数の大きさに依存する。
これに対して、嵌合部4により発揮される気密性は、採
血管10の開口端部11の内面11aの表面形状に追従
する外周面4aの柔軟性に依存するところが大きい。従
って、外周面4a近傍を形成するゴム弾性材料について
は、針管刺通部3よりも大きな酸素透過係数を有するも
のを用いることができる。
【0059】嵌合部4の25℃における酸素透過係数
は、10000×10-10 ml/cm 2 ・mm-1・se
c・cmHg以下であることが望ましい。酸素透過係数
がこれよりも大きいと、針管刺通部3や把持部2の隔壁
部2cの肉厚を大きくしたり、把持部2を構成する樹脂
として酸素透過係数が小さいものを用いる必要があった
りし、結果として、針管刺通抵抗が増大したり、生産性
や経済性が劣化することがある。
【0060】針管刺通部3と嵌合部4とは、25℃にお
ける酸素透過係数が共に700×10-10 ml/cm2
・mm-1・sec・cmHg以下である熱可塑性エラス
トマー組成物からなることが好ましく、より好ましく
は、共に200×10-10 ml/cm2 ・mm-1・se
c・cmHg以下である熱可塑性エラストマー組成物か
ら構成されることが望ましい。さらに、針管刺通部3及
び嵌合部4は、同一の熱可塑性エラストマー組成物を用
いて一体的に構成することが好ましく、それによって生
産性を高めることができる。
【0061】また、嵌合部4において採血管10の開口
端部11の内面11aと直接摺動する部分、すなわち外
周面4aの部分は、JIS硬度AまたはASTMsho
re硬度Aが80以下であることが好ましく、さらに好
ましくは60以下である。JIS硬度AまたはASTM
shore硬度Aが大きすぎると、針管刺通抵抗や採血
管への装着抵抗が増大したり、採血管10の内面11a
に対する密着性が低下することがあり、作業性や気密性
が低下することがある。
【0062】また、嵌合部4の外表面4aには、採血管
10の開口端部11への着脱を容易にするために、各種
オイル、ワックス、脂肪酸、界面活性剤、可塑剤、ある
いは滑性無機微粉末等の潤滑剤をスプレーや浸漬、塗擦
等の従来公知の方法により塗布したり、あるいは成形前
に予め配合しておくことが好ましい。
【0063】把持部2の貫通孔2cの最小横断面積Sd
と、採血管10の開口端部11の開口面積Soとの比S
d/Soは、0.7以下とすることが好ましい。Sd/
Soが0.7より大きい場合には、把持部2の隔壁部2
cや針管刺通部3の肉厚を大きくしたり、栓体構成材料
の酸素透過係数を小さいものにしたりする必要があるこ
とがあり、針管刺通抵抗が増大したり、生産性や経済性
が低下することがある。
【0064】Sd/Soは、0.5以下とすることがよ
り好ましく、その場合には、針管刺通部3や把持部2の
隔壁部2bの肉厚を小さくすることができ、針管刺通抵
抗が小さくなり、生産性や経済性も高め得る。より好ま
しくは、Sd/Soが0.3以下とされ、その場合に
は、上述した利点に加えて、酸素透過係数が比較的大き
な栓体構成材料を用いることができ、経済性をより一層
高め得る。
【0065】好ましくは、把持部2は、ポリエステル、
ポリアミド、ポリアリレート、ポリアセタール、エチレ
ン/ビニルアルコール系共重合体などの非オレフィン系
熱可塑性樹脂の少なくとも1種を主たる成分とする熱可
塑性樹脂組成物からなり、針管刺通部3及び嵌合部4が
把持部2と接着性または融着性を有する熱可塑性エラス
トマーを主成分とする熱可塑性エラストマー組成物から
構成される。この場合、熱可塑性エラストマー組成物を
構成する主成分としての熱可塑性エラストマーとして
は、把持部2と接着性または融着性を有するスチレン系
エラストマーの中でもイソブチレンブロックを有するエ
ラストマー、オレフィン系エラストマーの中でも架橋イ
ソブチレンドメインを有するオレフィン系エラストマ
ー、ウレタン系、アミド系もしくはエステル系などの熱
可塑性エラストマーを挙げることができ、これらは単独
で、あるいは種々の方法で組み合わせて用いることがで
きる。
【0066】上記非オレフィン系熱可塑性樹脂組成物や
熱可塑性エラストマー組成物を構成材料として用いるこ
とにより、焼却したときに有害なガスが発生するのを低
減することができる。
【0067】また、これらの組成物中における非燃焼性
充填剤の配合割合を10重量%以下とすれば、焼却残灰
量を低減することができ、より好ましい。また、針管刺
通部3及び嵌合部4が把持部2と接着性もしくは融着性
を有するので、これらの構成部材の界面を経由して漏洩
する外部雰囲気を遮断することができるので、採血容器
内部の減圧度をより効果的に一定にすることができる。
【0068】上記栓体1は、射出成形、真空成形、押出
成形等の従来公知の各種成形方法により製造することが
でき、その製造方法は特に限定されるものではない。例
えば、予め把持部2を射出成形しておき、これに針管刺
通部3及び嵌合部4をインサート成形してもよいし、両
者を同時に成形する、いわゆる多材射出成形法(マルチ
射出成形法)により成形してもよい。また、予め各部材
を別々に成形した後、組み合わせてもよいが、各部材が
互いに気密に保持されていることが採血管の減圧維持の
ためには望ましいので、強嵌合か、あるいはより好まし
くはホットメルト型、硬化反応型等の接着剤を用いて接
着したり、超音波、高周波等を用いた加熱融着等を行う
のが望ましい。
【0069】また、栓体1を構成する各種の異種材料間
の接着性あるいは融着性を高めるために、各成形品表面
に接着性、相溶性改質剤を塗布、積層するか、あるいは
成形前に予め配合しておくことが望ましい。
【0070】把持部2を始めとする栓体1の各部は、採
血管10の内部に収容された試薬類の区別を容易にする
ために、予め顔料や染料を配合して着色したり、あるい
は印刷したり、別に成形した着色部材の嵌め込み等によ
り識別可能にしてもよい。
【0071】採血管10の材質としては、特に限定され
るものではないが、軟質ガラス、硬質ガラス、硼珪酸ガ
ラス等やポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリ
ロニトリル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリアクリ
レート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプ
ロピレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、エチ
レン/ビニルアルコール共重合体等のような剛性を有す
る熱可塑性樹脂等が挙げられ、特に、25℃における酸
素透過係数が30×10-10 ml/cm2 ・mm-1・s
ec・cmHg以下であるように構成されたこれらの熱
可塑性樹脂の1種以上含む熱可塑性樹脂組成物を挙げる
ことができる。上記熱可塑性樹脂は単独で用いられても
よく、複数種併用されてもよく、併用する場合、複数の
熱可塑性樹脂が積層されてもよく、混練されて用いられ
てもよい。
【0072】採血管10の製造方法についても特に限定
されず、射出成形、ブロー成形などの従来より公知の方
法を用いることができる。また、パイプ状に押し出し成
形した後、所望の長さに切断し、該パイプの一端を別に
成形した部材により封止したり、あるいはパイプに栓体
1を嵌め込んで封止することにより、有底管状の容器と
してもよい。
【0073】また、採血管10の内部には、何も収容さ
れていなくてもよいが、血液凝固促進剤、抗凝固剤、解
糖阻止剤、蛋白分解酵素阻害剤、除蛋白剤、培養剤、p
H安定化剤等の各種試薬類や、血清分離剤、血液成分付
着防止剤等の検体前処理を円滑に進めるための補助剤等
の従来公知のものが収容されていてもよく、特に限定さ
れることはない。
【0074】図2は、本発明の他の実施形態に係る真空
採液容器用栓体を示す部分切欠断面図である。図2に示
す栓体では、嵌合部4の外周面4aの少なくとも採血管
の開口端部の内面と接する表層部分4bが、針管刺通部
とは異なるゴム状弾性体で構成されている。前述したよ
うに、針管刺通部3により果たされる気密性は、ゴム状
弾性体自身の酸素透過係数の大きさに依存するのに対
し、嵌合部4により果たされる気密性は、採血管10の
開口端部の内面の表面形状に追従する外周面4aの柔軟
性に負うところが大きい。従って、少なくとも外周面4
a近傍を形成するゴム弾性材料については、針管刺通部
3よりも大きな酸素透過係数を有する材料を用いること
ができる。
【0075】図3は、本発明に従う他の好ましい実施形
態の真空採血容器の栓体を示す部分切欠断面図である。
図3に示す実施形態においては、略円筒状の形状を有す
る嵌合部4の下方部分に、嵌合部4の下方端部から上方
に向かって延びる切り欠き溝5が形成されている。その
他の構成は、図1に示す実施形態と同様であるので説明
を省略する。このように切り欠き溝5を形成することに
より、採血管の開口端部に栓体2を着脱する際、採血管
内部からの気体の流出または採血管内部への気体の流入
が可能となる。従って、採血管から検体の一部を分取す
るため一旦栓体を外した後、再度栓体を挿入する際に、
余剰の外気が採血管内部に取り込まれて圧縮され、栓体
を押し出そうとする反力を生じることが軽減されるの
で、栓体が浮き上がるのを防止することができる。
【0076】切り欠き溝5の形状については、特に限定
されるものではないが、切り欠き溝5の終端の溢路部に
凝固した血液塊が滞留しないように、鋭角部や毛管部の
ない滑らかな形状にすることが望ましい。
【0077】図4は、本発明に従うさらに他の実施形態
の真空採血容器に用いられる栓体を示す部分切欠断面図
である。図4に示す実施形態においては、略円筒状の嵌
合部4の周囲に、把持部2の外周下方端から下方に向か
って延びる略円筒状のカバー6が設けられている。従っ
て、嵌合部4は、カバー6の内側に設けられており、図
1〜図3に示す実施形態に比べ、嵌合部4の径に対する
把持部2の径が相対的に大きくなっている。
【0078】図4に示す実施形態のように、カバー6を
設けることにより、栓体2を指先で摘む把持面積が増え
るため着脱作業が改善される。また、カバー6の下方端
が嵌合部4を十分に覆うようにカバー6の長さを設定し
ておくことにより、栓体1を採血管から外した時に、血
液飛沫が生じたとしても、これを遮断することができ
る。
【0079】このようなカバー6は、把持部2を成形す
る際に、一体的に形成することができる。図5は、本発
明に従うさらに他の実施形態の真空採血容器に用いられ
る栓体を示す部分切欠断面図である。本実施形態におい
ては、図3に示す実施形態と同様に、嵌合部4に切り欠
き溝5を形成すると共に、図4に示す実施形態と同様
に、把持部2の径を相対的に大きくし、把持部2の下方
端に嵌合部4を包囲するカバー6を設けている。従っ
て、栓体を外し、再び栓体を挿入する際に、栓体が浮き
上がるのを防止することができると共に、栓体の着脱作
業性の改善が図られ、栓体を採血管から外したときの血
液飛沫を遮断することができる。
【0080】本実施形態のように、切り欠き溝5を形成
すると共に、カバー6を設ける場合には、カバー6の下
方端が、切り欠き溝5の上方端より下方に位置するよう
にカバー6を設けることが好ましい。このようにカバー
6を十分な長さにすることにより、切り欠き溝5の上方
端の近傍を遮蔽することができ、栓体1を採血管から取
り外す際、切り欠き溝5の上方の終端部付近が、採血管
の開口端部から外部に抜け出た瞬間に、血液の飛沫が外
部に飛散したとしても、その飛沫をカバー6によって遮
断し得る。従って、検査従事者が飛沫を浴びる可能性を
無くすことができる。
【0081】また、切り欠き溝5を形成すると、血液飛
沫が飛散する箇所が切り欠き溝5の上方端部近傍となる
ので、上述のようにカバー6の長さは、図4に示す実施
形態に比べると短くすることが可能になる。カバー6の
長さを相対的に短くすることにより、栓体1を採血管に
装着したときに、カバー6が採血管開口端部を覆う面積
が少なくなるので、採血管の壁面に貼付されたり、印刷
された検体識別用ラベルやバーコードなどを覆い隠すこ
とが生じ難くなる。
【0082】図6は、本発明に従うさらに他の実施形態
の真空採血容器の栓体を示す部分切欠図である。本実施
形態においては、把持部2の隔壁部2bから、下方に向
かって延び、嵌合部4中に挿入された嵌合部支持部7が
設けられている。この嵌合部支持部7は、略円筒状の形
状を有しており、略円筒状の形状を有する嵌合部4中に
埋設された状態となっている。
【0083】嵌合部支持部7の下端よりも、針管刺通部
3の採血管側の内表面8が上方に位置されており、内表
面8には略半球状の凸部8aが形成されている。嵌合部
支持部7は、把持部2と嵌合部4との複合構造を強固に
するために設けられている。もっとも、嵌合部支持部7
は、栓体1の着脱の際にゴム状弾性嵌合部4が過度に変
形するのを防止する効果も有する。
【0084】しかしながら、嵌合部支持部7が設けられ
ていると、針管刺通部3に穿たれた針穴を閉じるように
作用する嵌合部4と、採血管10の開口端部11との間
の嵌合応力を遮断する作用があり、針穴シール性が弱め
られるおそれがある。
【0085】採血管10の内部に収容された検体の内圧
が何らかの原因で高まると、針管刺通部3の内表面8に
対して法線方向に静水圧が作用する。針穴の貫通する方
向は内表面8と略垂直であるため、静水圧は針穴が貫通
する方向と同じ方向に作用する。従って、検体は針穴を
容易に押し広げつつ逆流し、針管刺通部3の外表面に漏
出するおそれがある。
【0086】しかしながら、本実施形態では、針管刺通
部3の内表面8に凸部8aが設けられているので、該凸
部8aの表面の法線方向に作用する静水圧は針穴とは異
なる方向、すなわち針穴を閉じる方向に作用することに
なる。従って、針穴シール性が高められる。
【0087】上記凸部8aの形状については、特に限定
されず、略半球状の形状の他、略円柱状や略円錐台状と
してもよい。また、凸部8aは、針管刺通部3と一体に
形成されていることが好ましい。
【0088】なお、支持部7は、埋設ではなく嵌合部4
の内壁面上に沿うように設けてもよいし、略円筒状とす
る代わりに柱列状としてもよい。図7は、本発明に従う
さらに他の実施形態の真空採血容器において用いられる
栓体を示す部分切欠断面図である。本実施形態では、図
6に示す実施形態と同様に、嵌合部4を補強するための
嵌合部支持部7が把持部2に設けられており、さらに嵌
合部4に切り欠き溝5が形成されている。従って、栓体
1を一旦採血管から外した後、再度採血管に挿入する際
に、栓体1が浮き上がるのを防止することができる。
【0089】図8は、本発明に従うさらに他の実施形態
の真空採血容器に用いられる栓体を示す部分切欠断面図
である。本実施形態においては、嵌合部4を補強するた
めの嵌合部支持部7が設けられると共に、嵌合部4の周
囲を包囲するカバー6が設けられている。このようなカ
バー6を設けることにより、図4に示す実施形態と同様
の作用効果を得ることができる。嵌合部支持部7及びカ
バー6は、把持部2を成形する際に一体的に形成するこ
とができる。
【0090】図9は、本発明に従うさらに他の実施形態
の真空採血容器に用いられる栓体を示す部分切欠断面図
である。本実施形態においては、嵌合部4を補強する嵌
合部支持部7を設けると共に、嵌合部4に切り欠き溝5
を形成し、嵌合部4の周囲を包囲するカバー6が設けら
れている。このように切り欠き溝5及びカバー6を設け
ることにより、図5に示す実施形態と同様の作用効果を
得ることができる。
【0091】図10は、上記の各実施形態の真空採血容
器に用いられる採血管を示す斜視図であり、図1に示す
採血管と同様の採血管を示している。本発明において用
いられる採血管の形状は、図10に示すような採血管に
限定されるものではなく、例えば、図11に示すような
開口部側が細く底部側が太いボトル状の採血管など、従
来公知のものを含め種々の採血管を用いることができ
る。
【0092】図13(a)は、本発明に従う真空採血用
ホルダーの他の実施形態を示す部分切欠断面図である。
真空採血用ホルダー60は、一端に真空採血管20を挿
入することが可能とされている開口61を有し、他端に
は真空採血針39を保持するための保持部62を有す
る。ホルダー60の保持部62の内奥部63には、バネ
状弾性部材64が配置されている。バネ状弾性部材64
は、凹部64aを有し、該凹部64aは、栓体1の前述
したキックバック防止用の凸部2eと係合自在とされて
いる。バネ状弾性部材64の凹部64aは、内奥部63
の内面と隔てられて、該内面に沿って設けられている。
【0093】弾性部材64は、少なくとも1つ設けられ
ておればよいが、略円筒形状に沿って複数箇所に弾性部
材を配置することが好ましい。また、栓体1側のキック
バック防止用の形状を、凸部から凹部に変更した場合に
は、ホルダー60側の凹部64aは凸状とすればよい。
【0094】バネ状弾性部材64を構成する材料につい
ては、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂あるいは金属な
どを挙げることができ、特に限定されるわけではない
が、生産性を高める上では熱可塑性樹脂を用いることが
好ましい。すなわち、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
アリレート、ポリオキシメチレン(ポリアセタール)、
ポリカーボネート、ポリプロピレン、アクリロニトリル
/ブタジエン/スチレン共重合体(アクリロニトリル/
スチレン共重合体)などの靱性と剛性とを兼ね備えた熱
可塑性樹脂が好ましい。
【0095】バネ状弾性部材64は、ホルダー60と一
体的に成形されてもよいが、ホルダー60とは別部材と
して構成されたものをホルダー60に固定してもよい。
この場合固定方法についても特に限定されず、嵌合構造
を両者の間に設ける方法、あるいは接着もしくは融着等
の方法を用いることができる。
【0096】弾性部材64は、図13(b)に示すよう
に、凹部64aが外周面に沿ってリング状に配置されて
いる略円筒形状としてもよい。この場合には、剛性を高
めることができるので、熱可塑性エラストマーや熱硬化
性エラストマーなどのゴム弾性体により弾性部材64を
別部材として構成することができ、このような弾性部材
64をホルダーの内奥部63に固定すればよい。
【0097】上記ホルダー60の使用に際しては、ホル
ダー60に真空採血針39を固定した後、針管38を血
管に刺し入れる。しかる後、栓体1を装着した真空採血
管20をホルダー60に挿入すると、栓体1の針管刺通
部3に針管37が入り込むにつれ、弾性鞘体40が圧縮
されて、該圧縮に伴う反発力が真空採血管20に作用し
始める。しかしながら、栓体1の把持部2の側壁部2a
の先端が、弾性部材64と内面との間の隙間に入り込
み、栓体側の凸部2eとホルダー側の凹部64aとが係
合する位置に達すると、弾性鞘体40の圧縮反発力に逆
らって、真空採血管20がホルダー60内に保持され
る。従って、採血が円滑に行われる。
【0098】採血終了時には、真空採血管20をホルダ
ー60から引き抜くように力を作用させればよく、それ
によって凸部2eと凹部64aとの係合が解除され、真
空採血管20がホルダー60外に取り出される。
【0099】上記のように、キックバックの防止は、栓
体1の把持部2の側壁部2aの内表面を利用して行われ
る。従って、把持部2の外表面をホルダー内表面と摺動
させるように、把持部2の外径を大きくする必要がな
い。従って、4〜7ml少容量の小型真空採血管を用い
る場合であっても、拡径する必要がないので、通常の試
験管ラックに支障なく挿入し、正立させることができ
る。
【0100】図14は、本発明に従う他の実施形態に係
る真空採血管を示す部分切欠半断面図である。真空採血
管90は、栓体70と、採血管80とを有する。栓体7
0は、キックバック防止用の凸部2eが設けられていな
いこと、並びに針管刺通部3の下面8に突出部8aが設
けられていること、さらに隔壁72bの下面から下方に
嵌合部74が延ばされていることを除いては、図1に示
した栓体1と同様に構成されている。
【0101】従って、同一部分については、同一の参照
番号を付することにより、その説明は省略する。栓体7
0においては、針管刺通部3は、貫通孔2cを埋めるよ
うに設けられているが、さらに、針管刺通部3の下面8
には、略半球状の凸部8aが設けられている。この凸部
8aが設けられていることにより、針穴シール性が高め
られている。
【0102】採血管80では、剛性を有する有底の管状
容器82と、ゴム弾性を有する有底の管状容器83とが
管状容器83が内側となるように入れ子構造とされて重
ねられており、それによって採血管80の開口部内面に
ゴム弾性を有する嵌合部が構成されている。採血管80
の内表面80aは、剛性を有する栓体の嵌合部74の外
表面74aの表面形状に追従する柔軟性を有しているの
で、栓体70が気密に装着され、採血管80内部の減圧
を維持することができる。
【0103】もっとも、ゴム弾性を有する管状容器83
に代えて、管状容器82の内面において、嵌合部74の
外表面74aが接する領域近傍のみをゴム状弾性材料で
構成してもよいことはいうまでもない。
【0104】また、本実施形態に係る真空採血容器にお
いても、栓体70に、キックバック防止用の凸部または
凹部を形成してもよい。本実施形態における栓体70の
把持部72、針管刺通部3を構成する材料については、
図1に示した真空採血容器20の場合と同様とすること
ができ、好ましい材料についても同様である。
【0105】採血管80のうち、剛性を有する管状容器
82は、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂により構成す
ることができるが、25℃における酸素透過係数や材料
についての好ましい例は、図1に示した真空採血容器の
採血管10の場合と同様である。
【0106】他方、ゴム状弾性を有する管状容器83に
ついては、スチレン系、ウレタン系、アミド系、エステ
ル系、塩化ビニル系、オレフィン系エラストマーなどの
ジブロックもしくはトリブロック以上の共重合体や、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性エラストマ
ーを主成分とする熱可塑性エラストマー組成物を用いる
ことができる。この場合、上記熱可塑性エラストマー
は、単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよ
い。
【0107】また、2種以上の熱可塑性エラストマーを
併用する場合、その併用方法についても決定されず、2
種以上のエラストマーを積層したり、2種以上のエラス
トマーを混合したりする方法など、任意である。また、
上記熱可塑性エラストマー組成物には、各種添加剤を配
合してもよい。
【0108】さらに、ゴム状弾性を有する管状容器83
は、シリコーン系エラストマーのような熱硬化性エラス
トマーを用いて構成してもよい。ゴム状弾性を有する管
状容器83は、剛性の管状容器82と接着もしくは融着
されていることが必要である。この場合、各種接着性改
質剤や融着性改質剤を両者の界面に適用することができ
る。もっとも、上記熱可塑性もしくは熱硬化性エラスト
マー自身が接着性もしくは融着性を有していることが好
ましい。従って、ウレタン系、アミド系、エステル系も
しくはスチレン系などの熱可塑性エラストマーを1種以
上主成分とするもの、あるいはスチレン系エラストマー
とのトリブロック以上の複合共重合体としたもの、さら
にこれらに各種添加剤を配合したものなどが好適に用い
られる。あるいは、プライマーを配合したシリコーン系
熱硬化性エラストマーが好適に用いられる。
【0109】採血管80の製造に際しては、別々に成形
された管状容器82にゴム状弾性管状容器83を嵌め込
み、接着もしくは融着してもよいが、マルチ射出成形な
どの公知の方法を用いて製造することができる。
【0110】また、図15に示すように、上記熱可塑性
樹脂と熱可塑性エラストマーとを共押出法により、二層
パイプ状に押出成形した後、所望の長さに切断し、該二
層パイプ状の一端を同じく上記熱可塑性樹脂を用いて別
に成形された封止部材84を嵌合させることにより封止
してもよい。この方法によれば、任意の長さの採血管を
製造することができる。
【0111】また、図15の右下方に示すように、封止
部材84に代えて、栓体70を嵌め込み着脱自在に封止
すれば、採血管の上下端いずれからも検体を分取するこ
とができる採血管を構成することができる。
【0112】本発明においては、上記熱可塑性エラスト
マー組成物としては、好ましくは、架橋されたゴム弾性
ドメインを有する熱可塑性エラストマーを含む組成物で
あって、該組成物が遷移金属と共に水難溶性の塩もしく
はキレートを形成する化合物を含んでいるものが用いら
れる。
【0113】上記ゴム弾性ドメインの動的架橋の触媒と
して、しばしば用いられる金属酸化物は、架橋反応終了
後も、過剰量がエラストマー中に残存する。従って、上
記エラストマーを用いて栓体を構成すると、水性検体に
接触したときに、金属酸化物由来の金属イオンが検体中
に溶出するおそれがある。
【0114】上記のような金属イオンの検体中への溶出
を防止するには、上記エラストマーの原料段階で、また
はエラストマーを栓体に成形した後に、希塩酸などによ
り金属イオンを抽出すればよい。しかしながら、より好
ましくは、上記遷移金属に対して水難溶性の塩、または
キレートを形成する化合物を、栓体の成形の前にエラス
トマーに配合しておけば、金属イオンの溶出を抑制する
ことができる。
【0115】水難溶性の塩を形成する化合物の例として
は、ナフテン酸、オクチル酸、オレイン酸、エルカ酸、
ステアリン酸、もしくは大豆油脂肪酸等の疎水性残基と
カルボキシル基とを含む高級脂肪酸、またはアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸もしくは無水マレイン酸
などのカルボン酸残基を含む高分子化合物などが挙げら
れる。
【0116】水難溶性のキレートを形成する化合物の例
としては、疎水性残基とO,O配位子、O,N配位子、
O,S配位子、N,N配位子、N,S配位子、S,S配
位子などを含む低分子もしくは高分子化合物を適宜用い
ることができ、このような化合物の例としては、ジエチ
レントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢
酸、2−メルカプトベンゾチアゾール、N−ベンゾイル
−N−フェニルヒドロキシルアミン、N−シンナモイル
−N−フェニルヒドロキシルアミン、o−(サリチリデ
ンアミノ)チオフェノール等の低分子化合物、あるい
は、これらに加えてエチレンジアミン四酢酸、ポルフィ
リンなどの残基やアミド結合を含む高分子化合物などが
挙げられる。
【0117】これらの化合物を上記熱可塑性エラストマ
ー中に含ませるには、適当な有機溶媒を用いて溶解し、
混合したり、押出混練機を用いて溶融混練したりする方
法を用いることができる。また、上記エラストマーを成
形する前に、バンバリーミキサーや成形機中のホッパー
中に上記化合物を投入し、攪拌してもよい。
【0118】これらの水難溶性の塩、またはキレートを
形成する化合物は、上記熱可塑性エラストマー中に粒状
に分散させてもよいが、残存する遷移金属とそれぞれ、
塩やキレートを形成するのを促進するには、エラストマ
ー中に良好に分散させることが望ましい。従って、上記
化合物としては、エラストマーの成形温度以下の融点を
有するものを用いることがより好ましい。
【0119】上記本発明に係る熱可塑性エラストマー組
成物は、本発明に係る真空検体採取容器用栓体の全体を
構成する材料として用いられてもよいが、少なくともゴ
ム弾性を有する針管刺通部及びゴム状弾性嵌合部が上記
熱可塑性エラストマー組成物により構成されておれば、
検体中への金属イオンの溶出を防止することができ、好
ましい。
【0120】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を挙げること
により、本発明をより詳細に説明する。
【0121】以下の実施例においては、図9に示す実施
形態の栓体のうち、針管刺通部3の下面8に設けた半球
状の凸部8aを除いたものを用いている。図12は、図
9に示す栓体の各部の寸法を示すための部分切欠断面図
である。aは貫通孔2cの最小部分の直径を、bは嵌合
部4の直径を、cは針管刺通部3の厚みを、dは隔壁部
2bの厚みを、eは切欠溝5の長さを、fはカバー6の
長さを、gは嵌合部4の一定直径部分の長さを、hは嵌
合部4の先端のテーバー部分の長さを、iは栓体1の全
体の長さを、jは栓体1の全体の直径を各々示してい
る。
【0122】1.減圧度維持性についての実施例/比較
例 〔実施例1〜19〕 (真空採血管の作成)各実施例につき、図12の各部の
寸法(単位:mm)、カバー部並びに嵌合部支持部を有
する把持部の材質と酸素透過係数(単位:ml/cm2
・mm-1・sec・cmHg)、針管刺通部並びに嵌合
部の材質とショアー硬度A及び酸素透過係数(単位:m
l/cm2 ・mm-1・sec・cmHg)を各々、表1
〜3に示す。また、両者の接合面の接着性を改善するた
めの接着剤、栓体着脱時の潤滑性を付与するための潤滑
剤を同じく表2,3に示す。さらに、針管刺通部の最小
断面積Sdと採血管の開口端部の断面積Soの比Sd/
So、式(1)の値を併せて表2,3に示す。
【0123】各栓体を作成するにあたっては、把持部を
射出成形した後、必要な場合は接合面に接着剤を少量塗
布して乾燥させた後、針管刺通部並びに嵌合部をインサ
ート成形した。最後に潤滑剤を嵌合部表面に少量塗布し
た。なお、把持部の環状側壁部の内周面には、リング状
にキックバック防止用の凸部を設けた。
【0124】別途、ポリエチレンテレフタレートを用い
て、開口端部の内径10.7mm、全100mm、容量
7mlの採血管を射出成形し、これに減圧状態で前述の
各栓体を打栓して、6ml採血用の真空採血管を作成し
た。
【0125】(評価)市販の21Gのマルチプル真空採
血針及び同じく市販のキックバック防止機構のない真空
採血用ホルダーを用い、通常の真空採血法に従って、先
に作成した各真空採血管に30℃の水を吸引採取した。
吸引中は、採血管底部を指先で押さえて、キックバック
を防止した。吸引前後の重量変化から、実際に吸引する
ことのできた水の量を算出した。かかる吸引量測定を真
空採血管の試作直後と50℃のオーブン中で1週間保存
した後の2回実施し、吸引量の経時変化を評価した。ま
た、真空採血針の栓体刺通時の抵抗について官能評価を
行った。さらに水を吸引採取させた採血管を30秒管逆
さまに保持したときの針穴からの水滴の漏出の有無を目
視観察し、針穴シール性について評価した。
【0126】〔比較例1〕 (真空採血管の作成)一般に市販されている典型的な真
空採血管用ゴム栓として、図13の各部の寸法(単位:
mm)を表2の通りとし、加熱プレス成形法によって、
酸素透過係数が約30×10-10 ml/cm2 ・mm-1
・sec・cmHgの架橋ブチルゴム製の栓体を作成し
た。構成を表4に示す。その後、着脱時の潤滑性を付与
するために、嵌合部表面にポリジメチルシロキサンを少
量塗布した。本栓体を用いて、実施例1〜19と同様に
して6ml採血用の真空採血管を作成した。
【0127】(評価)実施例1〜19と同様にして評価
した。 〔実施例20〜22〕 (真空採血管の作成)表1に記載した構成で、実施例1
〜19と同様にして6ml採血用の真空採血管を作成し
た。
【0128】(評価)実施例1〜19と同様にして評価
した。 (実施例1〜22及び比較例1の結果)各々の実施例の
結果を表5にまとめて示す。実施例1〜19では、真空
採血管の減圧度の維持性、採血針の刺通抵抗、針穴シー
ル性ともに良好であり、比較例1と遜色がなかった。こ
れに対して、実施例20〜22は、式(1)を満足しな
い栓体構成であるため、真空採血管としての減圧度の維
持性に乏しい。ただし、実施例20〜22では、真空採
血針の栓体刺通時の抵抗や針穴シール性については、比
較例1と比べて遜色のない結果であった。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】2.改良された針穴シール性についての実
施例/比較例 以下、具体的な実施例を挙げて、本発明の別の態様をさ
らに詳細に説明する。以下の実施例においては、図9に
示す実施形態の栓体を用いている。針管刺通部の採血管
側の表面8に設けた半球状の凸部8aを除くその他の寸
法説明は、図12と同じであるので省略する。
【0135】〔実施例23〕 (真空採血管の作成)図12の各部の寸法、材料特性等
について表6,7に示す。半球状の凸部8aの直径は、
図12のaと同じである。本栓体を用いて、実施例1〜
19と同様にして6ml採血用の真空採血管を20本作
成した。
【0136】(評価)実施例1と同様にして30℃の水
を吸引採取させた後、実施例1〜19よりも過酷な条件
下での針穴シール性を評価するために、40℃の恒温水
槽に20秒間、垂直に埋没させた。この時、針穴から漏
れ出る気泡の有無を目視観察した。
【0137】〔比較例2〕 (真空採血管の作成)比較例1と同様の6ml採血用の
真空採血管を20本作成した。
【0138】(評価)実施例23と同様にして、針穴か
ら漏れ出る気泡の有無を目視観察した。 〔比較例3〕 (真空採血管の作成)半球状の凸部8aを設けなかった
こと以外は、実施例23と同様の6ml採血用の真空採
血管を20本作成した。
【0139】(評価)実施例23と同様にして、針穴か
ら漏れ出る気泡の有無を目視観察した。 (実施例23及び比較例2,3の結果)結果を表6,7
に示す。実施例23において、気泡漏出率は1/20で
あり、比較例2と同等であった。これに対して、比較例
3では、気泡漏出率は12/20であり、過酷な条件下
ではあるが、針穴シール性が不完全であった。
【0140】
【表6】
【0141】
【表7】
【0142】3.真空採血用ホルダーについての実施例
/比較例 〔実施例24〕 (真空採血用ホルダーの作成)図13(a)に示した真
空採血用ホルダーのバネ状弾性部材64について、図1
6(b)のように、ホルダー本体とは別の組み込み用部
品としてポリオキシメチレンを用いて射出成形した。こ
れを、図18(b)に示したような、一般に市販されて
いるポリプロピレン製真空採血用ホルダーの内奥部に嵌
め込み固定した。図16(a)は、作成した真空採血用
ホルダーの部分切欠断面図である。
【0143】(評価)実施例1と同様の真空採血管と市
販の21Gマルチプル採血針を本ホルダーと組み合わせ
て、実施例1〜19と同様にして30℃の水を吸引採取
し、吸引中のキックバック防止性能を目視観察した。
【0144】(結果)真空採血管をホルダー奥まで挿入
すると、栓体把持部のキックバック防止リング状凸部と
ホルダー内奥部のキックバック防止弾性部材の凹部が弾
性的に係合し、マルチプル採血針のゴム鞘の反発力に抗
して、良好な状態で採血管をホルダー内に保持すること
ができた。吸引終了後は、採血管を引き抜くような力を
作用させると、該凹凸の係合が外れ、採血管をホルダー
外に取り出すことができた。
【0145】〔比較例4〕 (真空採血用ホルダーの作成)図18(b)に示したよ
うな、キックバック防止部材を有しない一般に市販され
ているポリプロピレン製真空採血用ホルダーをそのまま
使用した。
【0146】(評価)実施例24と同様に行った。 (結果)ホルダーに本発明の真空採血管を挿入するにつ
れて、マルチプル採血針のゴム鞘の反発力による強いキ
ックバック力を生じ、採血管底部を指先で押さえていな
いと吸水作業を続けることができなかった。
【0147】4.動的架橋の触媒として遷移金属酸化物
を含む熱可塑性エラストマーからの金属イオンの溶出を
低減する配合物についての実施例/比較例 〔実施例25,26〕 (配合ぺレットの作成)配合組成について表8に示す。
実施例25では、難溶性の金属塩を形成する添加剤とし
て、エチレン−メタクリル酸共重合体(ニュクレル、三
井・デュポンポリケミカル製)を、また実施例26で
は、難溶性の金属キレートを形成する添加剤として、ス
チレン/アミド系の熱可塑性エラストマー(プリマロイ
E、三菱化学製)を使用した。オレフィン/架橋イソブ
チレン系の熱可塑性エラストマー(トレフシン、AES
ジャパン製)で使用されている動的架橋触媒は、酸化亜
鉛であった。各配合成分同士を攪拌して大まかに混和し
た後、押出機を用いて溶融混練を行い、押し出されたス
トランドを水中冷却して配合ぺレットを作成した。
【0148】(評価)ぺレットの重量の10倍量のイオ
ン交換水にぺレットを浸漬して、40℃で24時間抽出
した。次いで、該イオン交換水中の亜鉛イオン濃度を原
子吸光法により測定した。
【0149】〔比較例5〕 (配合ぺレットの作成)オレフィン/架橋イソブチレン
系の熱可塑性エラストマー(トレフシン、AESジャパ
ン製)のぺレットをそのまま使用した。
【0150】(評価)実施例25,26と同様に行っ
た。 (実施例25,26及び比較例5の結果)実施例の測定
値をオレフィン/架橋イソブチレン系の熱可塑性エラス
トマー(トレフシン、AESジャパン製)の配合割合で
除し、さらに比較例5の測定値で除して、比較例5での
溶出亜鉛濃度を1.0としたときの換算値を表9に示
す。実施例では、いずれも溶出濃度が1/4に低減され
ており、効果が確認された。
【0151】
【表8】
【0152】
【表9】
【0153】
【発明の効果】第1の発明に係る真空検体採取容器用栓
体では、把持部、ゴム弾性を有する針管刺通部及びゴム
状弾性嵌合部を備える構造を有し、複雑な複合構造を有
しないため、生産性に優れている。また、上記把持部の
環状側壁部の内側には、キックバックを防止するために
少なくとも1つの凹部または凸部が設けられているの
で、真空検体採取ホルダーの針管保持部の内奥部に該凹
部または凸部と係合し得る凸部または凹部を形成してお
くことにより、例えばマルチプル採血針を用いた場合の
弾性鞘体によるキックバック現象を確実に防止すること
ができる。
【0154】加えて、ゴム状の弾性嵌合部が栓体採取管
の開口端部の内面に気密的に嵌め合わされるので、真空
検体採取容器内の減圧度維持性を効果的に高めることが
できる。
【0155】また、上記針管刺通部は、刺通性及び再シ
ール性を有するので、それによっても真空検体採取容器
内の密封性を確実に維持することができる。第1の発明
に係る真空検体採取容器用栓体において、嵌合部中に埋
め込まれる嵌合部支持部が設けられている場合には、嵌
合部と栓体の複合強度が高められ、それによって栓体の
着脱の際の弾性嵌合部の過度の変形を抑制することがで
きる。
【0156】加えて、嵌合部支持部が設けられているこ
とによる針穴シール性の低下が、上記針管刺通部の下面
に設けられた凸部により抑制される。すなわち、針管刺
通部の下面に凸部が設けられているので、前述したよう
に、該凸部により針穴シール性が確保される。
【0157】第2の発明に係る真空検体採取容器用栓体
では、第1の発明と同様に、把持部、ゴム弾性を有する
針管刺通部及び嵌合部を有し、複雑な構造を必要としな
いので、生産性に優れている。加えて、針管刺通部の下
面に凸部が設けられているので、該凸部の存在によって
針穴シール性が高められ、それによって真空検体採取容
器内の密封性が確実に維持される。
【0158】本発明に係る真空検体採取容器用栓体にお
いて、貫通孔が針管刺通部の上方に向かうにつれて径が
大きくなるように構成されている場合には、例えば真空
採血針や検体分取のためのサンプリングノズルを貫通孔
内に、ひいては真空採血針やサンプリングノズルの先端
を真空検体採取容器内に容易に導くことができる。
【0159】また、把持部の隔壁部の肉厚T1、及び2
5℃における酸素透過係数P1、針管刺通部の刺通方向
の肉厚T2及び25℃における酸素透過係数P2、把持
部の貫通孔の最小断面積Sd並びに検体採取管の開口端
部の開口面積Soが、式(1)を満たすように構成され
ている場合には、栓体のガスバリアー性が十分な大きさ
とされており、それによって真空検体採取容器内の減圧
度を確実に維持することができる。
【0160】本発明に係る真空検体採取容器用栓体にお
いて、把持部が上記特定の熱可塑性樹脂組成物からな
り、針管刺通部、及び嵌合部が上記特定の各熱可塑性エ
ラストマー組成物からなり、Sd/Soが0.7以下で
ある場合には、ガスバリアー性に優れており、真空検体
採取容器内の減圧度を確実に維持することができる。加
えて、上記熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性エラストマ
ー組成物を用いて構成されているので、射出成形等によ
り容易に生産することができ、真空検体採取容器用栓体
の生産性を高めることもできる。
【0161】把持部が、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リアリレート、ポリアセタール及びエチレン−ビニルア
ルコール系共重合体からなる群から選択した少なくとも
1種を主成分とし、刺通部及び嵌合部が、把持部と接着
性または融着性を示す熱可塑性エラストマーにより構成
されている場合には、ガスバリアー性に優れ、真空検体
採取容器内の減圧度を確実に維持することができるだけ
でなく、把持部に対し、刺通部及び嵌合部を容易に接着
または融着することができ、真空検体採取容器用栓体の
生産性を高め得る。
【0162】本発明に係る真空検体採取容器は、本発明
の栓体と、真空検体採取管とを備えるので、生産性及び
ガスバリアー性に優れた栓体を有し、内部の減圧度を確
実に維持し得る真空検体採取容器を提供することができ
る。
【0163】本発明に係る真空検体採取容器が、本願の
第2の発明に係る栓体と、該栓体が挿入される開口部内
面にゴム状弾性嵌合部が形成されている真空検体採取管
とを備える場合には、真空検体採取管側にゴム状弾性嵌
合部が形成されているので、第2の発明に係る栓体を用
いた場合であっても、該栓体を真空検体採取管に容易に
挿入することができ、かつ栓体の嵌合部を真空検体採取
管の開口部内面に確実に密着させることができる。
【0164】本発明に係る真空検体採取システムは、本
発明の真空検体採取容器用栓体と、真空検体採取管と、
真空検体採取用ホルダーと、真空検体採取針とを備えて
おり、真空検体採取用ホルダーの針管保持側の内奥部
に、栓体の把持部の環状の側壁部の内側に設けられた凹
部または凸部と係合自在な凸部または凹部を有する弾性
部材が設けられているので、マルチプル真空検体採取針
を使用した場合の上述したキックバック現象を確実に防
止することができると共に、ガスバリアー性に優れかつ
生産性に優れた真空検体採取システムを構成することが
可能となる。
【0165】本発明に係る真空検体採取用ホルダーは、
本発明に係る真空検体採取容器用栓体と組み合わせて用
いられるものであり、栓体の把持部の環状の側壁部の内
側に設けられた凹部または凸部と係合自在な凸部または
凹部を有する弾性部材が備えられているので、マルチプ
ル真空検体採取針と共に使用した際の上述したキックバ
ック現象を確実に防止することができる。
【0166】本発明に係る栓体用熱可塑性エラストマー
組成物は、本発明に係る真空検体採取容器用栓体の少な
くとも針管刺通部及びゴム状弾性嵌合部を構成するのに
用いられ、その場合には、遷移金属が水難溶性の塩もし
くはキレートを形成しているため、検体中への遷移金属
イオンの溶出を確実に防止することができ、測定の信頼
性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施形態の真空採血管を示す部
分切欠断面図。
【図2】本発明に従う他の実施形態の真空採血管の栓体
を示す部分切欠断面図。
【図3】本発明に従うさらに他の実施形態の真空採血管
の栓体を示す部分切欠断面図。
【図4】本発明に従うさらに他の実施形態の真空採血管
の栓体を示す部分切欠断面図。
【図5】本発明に従うさらに他の実施形態の真空採血管
の栓体を示す部分切欠断面図。
【図6】本発明に従うさらに他の実施形態の真空採血管
の栓体を示す部分切欠断面図。
【図7】本発明に従うさらに他の実施形態の真空採血管
の栓体を示す部分切欠断面図。
【図8】本発明に従うさらに他の実施形態の真空採血管
の栓体を示す部分切欠断面図。
【図9】本発明に従うさらに他の実施形態の真空採血管
の栓体を示す部分切欠断面図。
【図10】本発明の真空採血管に用いられる採血管の一
例を示す斜視図。
【図11】本発明の真空採血管に用いられる採血管の他
の例を示す斜視図。
【図12】本発明に従う実施例の栓体の寸法を示すため
の部分切欠断面図。
【図13】(a)及び(b)は、本発明に従う他の実施
形態の真空採血ホルダーを示す部分切欠斜視図であり、
(b)は、本発明に従うさらに他の実施形態の真空採血
ホルダーを示す部分切欠断面斜視図。
【図14】本発明の他の実施形態に係る真空採血容器を
示す部分断面斜視図。
【図15】本発明に従うさらに他の真空採血容器を説明
するための分解斜視図。
【図16】(a)及び(b)は、それぞれ、本発明に従
うさらに他の実施形態に係る真空採血ホルダーを説明す
るための図であり、(a)は部分切欠斜視図、(b)は
弾性部材を示す斜視図。
【図17】従来例の栓体の寸法を示すための部分切欠断
面図。
【図18】従来の真空採血システムの基本的な構成を示
す図。
【図19】マルチプル採血針を示す側面図。
【図20】真空採血システムを用いて採血する際の状態
を示す斜視図。
【符号の説明】
1…栓体 2…把持部 2a…側壁部 2b…隔壁部 2c…貫通孔 2d…側壁部内面 2e…キックバック防止用凸部 3…針管刺通部 4…嵌合部 4a…嵌合部の外周面 4b…嵌合部の外周部 5…切り欠き溝 6…カバー 7…嵌合部支持部 8…針管刺通部の下面 8a…凸部 10…採血管 11…採血管の開口端部 11a…開口端部の内面

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体採取管の開口端部に着脱自在に嵌合
    し、かつ該検体採取管の内部を減圧状態に維持すること
    ができるように検体採取管の開口端部と気密に嵌合可能
    な栓体であって、 栓体を把持するための環状の側壁部、及び該側壁部から
    内側に向かって延びる隔壁部を有し、隔壁部には検体採
    取のための針管を検体採取管に通すための貫通孔が形成
    されている把持部と、 ゴム弾性を有し、前記把持部の貫通孔を埋めるように設
    けられており、前記針管を通す刺通性及び前記針管を抜
    いた後の再シール性を有する針管刺通部と、 前記針管刺通部または把持部の下方に連結されており、
    かつ前記検体採取管の開口端部の内面の表面形状に追従
    して該内面に接し、該開口端部に気密に嵌め合わされる
    ゴム状弾性嵌合部とを備え、 前記把持部が、前記針管刺通部及び前記嵌合部よりも高
    い剛性を有しており、 前記把持部の環状の側壁部の内側には、キックバックを
    防止するために少なくとも1つの凹部または凸部が設け
    られていることを特徴とする真空検体採取容器用栓体。
  2. 【請求項2】 前記隔壁部から前記嵌合部に向かって延
    び、前記嵌合部中に埋め込まれる嵌合部支持部がさらに
    設けられており、前記針管刺通部の下面が嵌合部支持部
    の下端よりも上方に位置されており、針管刺通部の該下
    面に凸部が設けられていることを特徴とする請求項1に
    記載の真空検体採取容器用栓体。
  3. 【請求項3】 検体採取管の開口端部に着脱自在に嵌合
    し、かつ該検体採取容器の内部を減圧状態に維持するこ
    とができるように検体採取容器の開口端部と気密に嵌合
    可能な栓体であって、 栓体を把持するための環状の側壁部、及び該側壁部から
    内側に向かって延びる隔壁部を有し、隔壁部には検体採
    取のための針管を検体採取管に通すための貫通孔が形成
    されている把持部と、 ゴム弾性を有し、前記把持部の貫通孔を埋めるように設
    けられており、前記針管を通す刺通性及び前記針管を抜
    いた後の再シール性を有する針管刺通部と、 前記針管刺通部または把持部の下方に連結されており、
    かつ前記検体採取管の開口端部の内面の表面形状に追従
    して該内面に接し、該開口端部に気密に嵌め合わされる
    嵌合部とを備え、 前記針管刺通部の下面に凸部が設けられていることを特
    徴とする真空検体採取容器用栓体。
  4. 【請求項4】 前記貫通孔が前記針管刺通部の上方に向
    かうにつれて径が大きくなるように構成されている請求
    項1〜3のいずれかに記載の真空検体採取容器用栓体。
  5. 【請求項5】 前記把持部の隔壁部の肉厚T1(m
    m)、及び25℃における酸素透過係数P1(ml/c
    2 ・mm-1・sec・cmHg)、前記針管刺通部の
    刺通方向の肉厚T2(mm)、及び25℃における酸素
    透過係数P2(ml/cm2 ・mm-1・sec・cmH
    g)、前記把持部の貫通孔の最小断面積Sd(cm2
    並びに前記検体採取管の開口端部の開口面積So(cm
    2 )が、下記の式(1)を満たす請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の真空検体採取容器用栓体。 【数1】
  6. 【請求項6】 前記把持部は、25℃における酸素透過
    係数P1が30×10-1ml/cm2 ・mm-1・sec
    ・cmHg以下である熱可塑性樹脂組成物からなり、前
    記針管刺通部は、25℃における酸素透過係数P2が7
    00×10-1ml/cm2 ・mm-1・sec・cmHg
    以下である熱可塑性エラストマー組成物からなり、前記
    嵌合部は、25℃の酸素透過係数が10000×10-1
    ml/cm2 ・mm-1・sec・cmHg以下である熱
    可塑性エラストマー組成物からなり、前記把持部の貫通
    孔の最小断面積Sdと前記検体採取管の開口端部の開口
    面積Soとの比Sd/Soが、0.7以下である請求項
    5に記載の真空検体採取容器用栓体。
  7. 【請求項7】 前記把持部が、ポリエステル、ポリアミ
    ド、ポリアリレート、ポリアセタール及びエチレン−ビ
    ニルアルコール系共重合体からなる群から選択した少な
    くとも1種を主成分とし、 前記刺通部及び前記嵌合部が、把持部と接着性または融
    着性を示す熱可塑性エラストマーにより構成されてい
    る、請求項1〜6のいずれかに記載の真空検体採取容器
    用栓体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の栓体
    と、真空検体採取管とを備えることを特徴とする真空検
    体採取容器。
  9. 【請求項9】 請求項3に記載の栓体と、該栓体が挿入
    される開口部内面にゴム状弾性嵌合部が形成されている
    真空検体採取管とを備えることを特徴とする真空検体採
    取容器。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれかに記載の真空
    検体採取容器用栓体と、真空検体採取管と、一端に真空
    検体採取管を挿入可能な開口を有し、他端に検体採取の
    ための針管を保持可能とされている筒状の真空検体採取
    用ホルダーと、真空検体採取針とを備え、 前記真空検体採取用ホルダーの針管保持側の内奥部に、
    前記栓体の把持部の環状の側壁部の内側に設けられた凹
    部または凸部と係合自在な凸部または凹部を有する弾性
    部材が設けられていることを特徴とする真空検体採取シ
    ステム。
  11. 【請求項11】 請求項1〜7のいずれかに記載の真空
    検体採取容器用栓体と組み合わせて用いられる真空検体
    採取用ホルダーであって、 一端に真空検体採取管を挿入可能な開口を有し、他端に
    検体採取のための針管を保持可能とされている筒状の形
    状を有し、該真空検体採取用ホルダーの針管保持側の内
    奥部に、栓体の把持部の環状の側壁部の内側に設けられ
    た前記凹部または凸部と係合自在な凸部または凹部を有
    する弾性部材が設けられていることを特徴とする真空検
    体採取用ホルダー。
  12. 【請求項12】 請求項1〜7のいずれかに記載の栓体
    の少なくとも針管刺通部及び/またはゴム状弾性嵌合部
    を構成するための栓体用熱可塑性エラストマー組成物で
    あって、遷移金属酸化物を触媒として動的架橋されたゴ
    ム弾性ドメインを有する熱可塑性エラストマーと、前記
    遷移金属に対して水難溶性の塩もしくはキレートを形成
    する化合物とを含むことを特徴とする栓体用熱可塑性エ
    ラストマー組成物。
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