JPH11318440A - ギベレラ属由来のd−アミノ酸オキシダーゼ - Google Patents
ギベレラ属由来のd−アミノ酸オキシダーゼInfo
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- JPH11318440A JPH11318440A JP10155212A JP15521298A JPH11318440A JP H11318440 A JPH11318440 A JP H11318440A JP 10155212 A JP10155212 A JP 10155212A JP 15521298 A JP15521298 A JP 15521298A JP H11318440 A JPH11318440 A JP H11318440A
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Abstract
シダーゼを分離精製して、前記酵素の諸性質を明らかに
すること。 【解決手段】本発明に記載されたギベレラ属の生産する
D−アミノ酸オキシダーゼを培養液から分離精製するこ
とによって、臨床診断薬として有用なD−アミノ酸オキ
シダーゼ及びその生産に適した製造法が提供することが
できた。
Description
シダーゼ、その製造法および微生物、およびそれを用い
たD−アミノ酸の測定法に関し、詳しくは、診断用酵素
として有用なD−アミノ酸オキシダーゼ、その製造法お
よびギベレラ フジクロイ(Gibberella f
ujikuroi)に属する微生物、およびD−アミノ
酸オキシダーゼの働きによって消費する酸素量又は生成
する過酸化水素量、又は2−オキソ酸を定量することに
よりD−アミノ酸を測定する発明に関する。
在下D−アミノ酸を酸化し、過酸化水素、2−オキソ
酸、アンモニアを生成する酵素で、国際生化学連合(I
UB)の分類ではEC1.4.3.3に分類される。ま
た、この酵素は、哺乳動物の器官および微生物に広く存
在していることが知られている(酵素ハンドブック:丸
尾文治、田宮信雄監修、朝倉書店)。
物としては、アスペルギルス ウスタス(特公昭55−
35119号公報、特公昭59−15635号公報)、
セファロスポリウム ポトロニイ(特公昭57−304
79号公報)、トリゴノプシス バリアビリス(特公昭
59−15635号公報、特公昭62−501677号
公報、特開昭54−32694号公報、特開昭56−3
0988号公報、特開昭62−262994号公報、特
開昭63−71180号公報)、グリオクラディウム属
(特公昭60−57837号公報)等の報告がある。
る微生物としては、カンジダ属(特開昭55−2396
6号公報)、シュードモナス属(特開昭63−6337
7号公報)、フザリウム ソラニ(特開平2−2001
81号公報)、ロドトルラグルチニス(特開平5−21
1890号公報、EP517200号公開公報)、不完
全糸状菌クルブラリア(Curvularia)属、ロ
ビラーダ(Robillarda)属、ミロセシウム
トリアティスポリウム(Myrothecium st
riatisporum)属(特開平7−274957
号公報)、アスペルギルス属(特開平9−75078号
公報)、フザリウム イクイセチ(特開平10−522
65号公報)等の報告がある。
(特公昭55−35119号公報、特公昭57−188
79号公報、特公昭57−30479号公報、特公昭5
9−15635号公報、特公昭60−57837号公
報、特公昭62−501677号公報、特公平1−23
473号公報、特開昭51−112594号公報、特開
昭52−11890号公報、特開昭52−38092号
公報、特開昭54−32694号公報、特開昭55−2
3966号公報、特開昭56−30988号公報、特開
昭62−262994号公報、特開昭63−71180
号公報、特開昭63−74488号公報、特開平2−2
00181号公報、特開平4−229190号公報、特
開平4−504362号公報、特開平5−211890
号公報、EP474211号公報、EP517200号
公報)に利用されている。
らのL−アミノ酸の製造(特開昭43−65484号公
報、特開昭48−72314号公報、特開昭48−72
391号公報、特開昭63−63377号公報)、ロイ
シンアミノペプチダーゼ活性測定法(特公昭59−22
78号公報、特開昭53−65787号公報)抗生物質
の分析法(EP181102号公開公報)などに利用さ
れている。
ノ酸の測定が、腎不全の指標となる可能性が示された
(Clinical Science,73,105−
108(1987)、Journal of Chro
matography,614,7−17(199
3)、北里医学,23,51−62(1993))。ま
た、アルツハイマー病患者の脳灰白質のタンパク質では
アミノ酸のラセミ化率が高いとの報告も見られる(D’
Anielo A.et al.,Brain Re
s.,592,44(1992)、Fisher G.
H.et al.,Neurosci.Lett.,1
43,215(1992))。白内障の悪化と共に眼レ
ンズタンパク質中のD−アミノ酸量が増加しているとい
う報告も見られる(ファルマシア,Vol.32,N
o.10,1214−1218(1996))。既に、
D−アミノ酸オキシダーゼを使用して、酵素的にD−ア
ミノ酸を測定する方法(Analytical Bio
chemistry,150,238−242(198
5)、Clinical Science,73,10
5−108(1987))が長田らにより検討されてい
るが、ブタの腎臓から抽出した酵素を使用しているた
め、酵素の安定生産および量的な確保に問題があった。
に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、D−アミノ酸オキシダ
ーゼを産生する菌を見出し、本発明に至った。即ち本発
明の目的は、腎不全、アルツハイマー、白内障等の疾病
の診断薬として有用なD−アミノ酸オキシダーゼを提供
することにある。
オキシダーゼの製造法を提供することが可能である。更
に本発明によれば、ギベレラ属に属するD−アミノ酸オ
キシダーゼ生産能を有する微生物が提供される。また、
前記D−アミノ酸オキシダーゼを用いたD−アミノ酸の
測定法も提供される。
の理化学的性質を有している。 (1)作用 酸素の存在下、D−アミノ酸を酸化
し、過酸化水素、2−オキソ酸およびアンモニアを生成
する。 (2)基質特異性 D−アラニン、D−ヒスチジン、D
−メチオニン、D−バリンに強く作用し、D−リジン、
D−セリンにも作用し、L−アミノ酸にはほとんど作用
しない。 (3)至適pH 至適pHは7〜8であり、pH6〜
9で実用的に使用が可能である。 (4)至適温度 至適pHが30〜35℃であり、2
0〜50℃で実用的に使用が可能である。 (5)分子量 ゲル濾過法で測定した分子量は約1
62,000である。
ラ属(Gibberella)に属する、D−アミノ酸
オキシダーゼ生産能を有する微生物を栄養培地に培養
し、培養微生物にD−アミノ酸オキシダーゼを生成蓄積
せしめ、これを採取することにより得ることが出来る。
微生物としては、ギベレラ フジクロイ KDK300
2(Gibberella fujikuroi KD
K3002:FERM P−16805)又はその変異
株を挙げることが出来る。
ることにより、D−アラニン、D−ヒスチジン、D−メ
チオニン、D−バリン、D−リジン、D−セリン等のD
−アミノ酸の簡易な測定が可能となる。
発明のD−アミノ酸オキシダーゼの製造法について説明
する。本発明のD−アミノ酸オキシダーゼ生産能を有す
る微生物としては、ギベレラ(Gibberella)
属に属するギベレラ フジクロイ(Gibberell
a fujikuroi)、例えば、Gibberel
la fujikuroi KDK3002(工業技術
院生命工学工業技術研究所寄託番号、FERM P−1
6805)があげられる。本発明においては、上記菌株
の変異株も使用できる。変異株は、紫外線、エックス線
などの放射線または化学的変異剤(NTG)などの処理
によって得られる。
菌学的性質は、下記の通りである。
ロ型で連鎖状に形成し、長く連接または集団となる。大
型分生子はほぼまっすぐで3〜7の隔壁を有している。
子のう胞子は紡錘型〜だ円型である。子のう果は主とし
て表在性で青色〜スミレ色である。生育は酵母MY培地
においては、発育は良好で、菌糸の色は白色〜暗紫色と
なる。本菌株は好気性であり、本発明に斯かる培養時に
は、通常、振とう培養または通気攪拌培養が適してい
る。
使用でき、炭素源、窒素源、無機物その他使用菌が必要
とする微量栄養素を程良く含有するものであれば、合成
培地、天然培地のいずれも使用可能である。炭素源とし
ては、グルコース、フルクトース、ラクトース、シュー
クロース、デキストリン、澱粉、グリセリン、糖蜜など
が使用できる。窒素源としては、ペプトン、肉エキス、
酵母エキス、麦芽エキス、コーンスチープリッカー等の
窒素含有天然物、又は、塩化アンモニウム、硝酸アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無
機塩類、又はL−リジン、L−グルタミン、L−バリ
ン、DL−アラニン等のアミノ酸類が利用可能である。
各種アミノ酸を使用する際には、各種アミノ酸のD体を
加えることにより、D−アミノ酸オキシダーゼの生産量
を向上させることも可能である。無機物としては、リン
酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウ
ム、リン酸二カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシ
ウム、塩化第二鉄などが使用できる。
培養で行う。培養温度は通常15〜40℃、好ましくは
20〜35℃の範囲であり、培地のpHは、通常3〜1
3、好ましくは5〜10の範囲である。培養期間は、通
常1〜7日間、好ましくは2〜4日間である。斯かる方
法で培養することにより、培養物中、特に菌体内にD−
アミノ酸オキシダーゼを生成蓄積することが出来る。
得る方法は、タンパク質における通常の精製方法が利用
できる。すなわち、菌を培養後培養液を濾過して菌体を
集菌し、次いで、適当な方法で菌体を破砕し、破砕液か
ら遠心分離などによって上清液を得る。この上清液中に
含まれるD−アミノ酸オキシダーゼは、塩析、透析、イ
オン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィ
ー、ゲル濾過、電気泳動などの適当な精製操作を組み合
わせることによって精製できる。
酸オキシダーゼの用途について説明する。D−アミノ酸
オキシダーゼは、酸素の存在下にD−アミノ酸の酸化反
応を触媒し、過酸化水素、2−オキソ酸およびアンモニ
アを生成する酵素であるから、この反応による変化が利
用できるものであれば、用途は特に制限されない。
2−オキソ酸の製造法および前駆原料のD−アミノ酸側
鎖を酸化し、抗生物質の原料などを製造する方法、例え
ば、セファロスポリンCからの7−セファロスポラン酸
の製造が挙げられる。また、間接的に利用するものとし
ては、DL−アミノ酸からD体だけを酸化し、L−アミ
ノ酸を製造する方法および反応生成物の量的変化を直接
または間接的にシグナルとして検出する基質のD−アミ
ノ酸、抗生物質などの測定法が挙げられる。
反応系の後にD−アミノ酸測定系を結合した、末端にD
−アミノ酸を有する前駆基質、例えば、ペプチド等の測
定法、逆に、D−アミノ酸を有する合成ペプチドを基質
として添加するエキソプロテアーゼ、ペプチダーゼ等の
酵素活性の測定法、例えば、ロイシンアミノペプチダー
ゼ活性の測定などが挙げられる。
−アミノ酸の検出に必要な後述する試薬を調整し、D−
アミノ酸の測定キットとして診断薬に組み立てることが
出来る。
活性(力価)は、下記の方法により測定できる。 (1)生成する過酸化水素を比色法により測定する方
法。 A.速度法 45mM4−アミノアンチピリン、60ユニット/ml
パーオキシダーゼ溶液、及び60mM フェノール溶液
それぞれ100μlと、0.1Mトリス−塩酸緩衝液
(pH8.0)1ml、及び酵素溶液50μlを混合
し、全量を蒸留水で3.0mlとする。30℃で2分間
インキュベートした後、100mMD−アラニン(D−
Ala)溶液50μlを添加し、505nmにおける吸
光度を経時的に測定する。生成するキノン色素の分子吸
光係数(5.16×103M-1cm-1)から、1分間に生
成する過酸化水素のマイクロモルを算出し、この数字を
酵素活性単位(ユニット:U)とする。
でインキュベートした後の505nmにおける吸光度を
測定し、予め作成された検量線に基づいて酵素活性を求
める。
基づいてD−アミノ酸の測定を行う方法である。D−ア
ミノ酸とD−アミノ酸オキシダーゼとの反応によって、
過酸化水素及び2−オキソ酸が生成される。過酸化水素
の測定には上記に示した試薬を用いる方法の他に、当該
技術分野で既知の方法、例えば、発色法や、過酸化水素
電極を用いる方法で過酸化水素を測定し、予め作成され
た検量線に基づいてD−アミノ酸を定量する方法も使用
することが出きる。ただし、D−アミノ酸オキシダーゼ
の活性量は、常に一定であることが必要であり、必要で
あれば緩衝液による希釈を行う。過酸化水素の比色法に
おける発色系としては、ペルオキシダーゼの存在下で4
−アミノアンチピリン(4AA)、3−メチル−2−ベ
ンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等のカップラ
ーとフェノール等の色原体との酸化縮合により色素を生
成する系を用いることができる。
ン誘導体、トルイジン誘導体等があり、例えば、N−エ
チル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−
m−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−
ジエチルアニリン、2,4−ジクロロフェノール、N−
エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)
−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3
−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MA
PS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スル
ホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)
等が挙げられる。又ペルオキシダーゼの存在下で酸化さ
れて呈色するロイコ型発色試薬も用いることができ、そ
のようなロイコ型発色試薬は、当業者に既知であり、o
−ジアニシジン、o−トリジン、3,3−ジアミノベン
ジジン、3,3,5,5−テトラメチルベンジジン、N
−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビ
ス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、
10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7
−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA6
7)、等が挙げられる。
方法 0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)1mlとD
−アミノ酸オキシダーゼ50μlを混合し、蒸留水で全
量を3.0mlとし、ランクブラザーズ社の酸素電極の
セルに入れる。30℃で攪拌し、溶存酸素と温度を平衡
化した後、50mM D−アラニンを100μl添加
し、酸素吸収を記録計で連続的に計測し初速度を得る。
標準曲線から1分間に吸収された酸素量を求め、これを
酵素単位とする。
より測定する方法 0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)1ml、
0.1MのD−アラニン1mlおよび蒸留水0.95m
lを試験管に添加し、37℃で5分間インキュベート
後、D−アミノ酸オキシダーゼ50μlを加えて攪拌
し、10分間反応させる。反応後、30%トリクロロ酢
酸1mlを加えて反応を停止させる。反応液2mlを別
の試験管に取り、0.05%DNP(2,4−ジニトロ
フェニルヒドラジン)の2M塩酸溶液2mlを加えてよ
く攪拌し、室温下に5分間放置後、トルエン6mlを加
えて強く攪拌する。次いで、上層(トルエン層)5ml
を別の試験管に移し、これに10%炭酸ナトリウム溶液
5mlを加えて強く攪拌し、DNP反応物を水層に抽出
する。下層(水層)3mlを別の試験管に取り、これに
4M水酸化ナトリウム溶液1mlを加えてよく攪拌後、
470nmにおける吸光度を測定する。酵素活性は、あ
らかじめピルビン酸カリウム(mM単位)で作成した検
量線の値(PmM)から算出する。
ラニンの定量法を使用して詳しく説明する。D−アラニ
ンが基質の場合のD−アミノ酸オキシダーゼが触媒する
反応の式は次の通りである。
酸+H2O2+NH3
成物のピルビン酸、過酸化水素、アンモニアのいずれか
を検出してもD−アラニンを定量することが出来る。具
体的には、反応生成物のピルビン酸を検出する場合、通
常の生化学検査で使用されている乳酸脱水素酵素を利用
するピルビン酸の測定方法、前述の2−オキソ酸のDN
P検出法などが利用出来る。
過酸化水素の検出法として公知の方法が利用でき、例え
ば、前述の速度法および終末法を例示することが出来
る。反応生成物のアンモニアを検出する場合、通常のア
ンモニア測定法が利用でき、例えば、グルタミン酸脱水
素酵素を使用するアンモニアの測定系がある。
含有する試料およびD−アミノ酸オキシダーゼを約pH
7〜8の緩衝液に加えて反応させればよい。D−アミノ
酸オキシダーゼは、溶液状態の他、必要に応じて凍乾
品、マイクロカプセル化または担体に固定し、不溶化し
て使用することも出来る。緩衝液としては、リン酸緩衝
液、トリス−塩酸緩衝液、グリシン−NaOH緩衝液、
グッドバッファーなどが使用される。
蛍光法、化学発光法、電極法などのいずれも使用出来
る。前述の通り、比色法では、ペルオキシダーゼ等の触
媒により、過酸化水素でペルオキシダーゼの基質を酸化
発色させ、発色濃度を分光光度計で測定する。
より、過酸化水素で基質を酸化して蛍光物質を生成さ
せ、その蛍光強度を蛍光光度計で測定する。ペルオキシ
ダーゼの基質としては、p−ヒドロキシフェニル酢酸、
p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸などが利用でき
る。
媒により、過酸化水素で基質を酸化して発光させ、その
発光光度をルミノメーターで測定する。化学発光する基
質としては、ルミノール化合物、ルシゲニン、アリルシ
ュウ酸エステル類の化合物などが利用出来る。
により、過酸化水素の定量が可能となる。D−アミノ酸
の量が微量である場合、又は試料中に電極への影響を与
える妨害物質が共存する場合には、作用極(陽極)、対
照極(陰極)に加えて参照極を加えた3極法の電極を使
用することにより、正確な定量が可能となる。
ロイ KDK3002によるD−アミノ酸オキシダーゼ
の製造 検討には、ギベレラ フジクロイ KDK3002(F
ERM P−16805)を使用した。同菌株を10m
lのGPYM培地に接種し、30℃で2日間振とう培養
し、これを種培養液とした。振とう速度は111rpm
とした。GPYM培地は下記に示す組成とした。 Glucose 1.0% Pepton 0.5% Yeast extract 0.3% Malt extract 0.3% (pH5.5〜6.0、120℃・20minオートクレイブにて滅菌)
ぎ、さらに2日間の培養を行った。本培養はジャーファ
ーメンター(丸菱バイオエンジ社製)を用いて通気攪拌
培養により行った。攪拌の速度は300rpmとし、3
0℃にて培養した。本培養の培地は下記に示す組成とし
た。 Glucose 2.0% Lysine 1.0% K2HPO4 0.1% NaH2PO4 0.1% MgSO4・7H2O 0.05% CaCl2・2H2O 0.01% Yeast extract 0.2% (pH5.5〜6.0、120℃・20minオートクレイブにて滅菌) 培養終了後、濾過により菌体を集菌して重量(湿重量)
の測定を行った。7Lの培地を用いた培養により、14
9.9gの菌体が得られた。
トールを含む0.1Mトリス-塩酸緩衝液(pH8.0)
に懸濁し、冷却下にビードビーダーを用いて破砕した。
破砕には直径0.5mmのガラスビーズを使用し、1分
間の破砕と2分間の冷却を6度繰り返した。破砕終了後
ガラスビーズを濾過により分離した後、濾液を4℃、8
000rpm、40分で遠心分離して菌体残渣を取り除
いた。
シダーゼ活性を測定した。反応液の組成については下に
示した。測定時のブランクは、D−アラニンの変わりに
蒸留水を加え、前述の過酸化水素の測定法(速度法)か
ら活性値を求めた。 蒸留水 395μl 0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 300μl 3mM 4−Aminoantipyrine 30μl 3mM TOOS 30μl 60U/ml POD 30μl 0.1M D−アラニン 15μl 遠心上清 100μl その結果、0.0391U/mlの活性が得られ、総活
性は15.64Uであった。
DK3002由来D−アミノ酸オキシダーゼの精製 次いで、上記遠心上清からのD−アミノ酸オキシダーゼ
の精製を行った。遠心上清に氷冷下、攪拌を行いながら
40%飽和になるように硫安を添加した。硫安添加時に
はpHをモニターし、pH8.0を維持するように適時
塩酸又は水酸化カリウム溶液を添加した。硫安添加終了
後、氷冷下に1時間の攪拌を行った後、4℃、8500
rpm、40分間の遠心を行い、沈殿を除去した。上清
にはさらに上記と同様の方法で硫安を75%飽和になる
ように添加し、氷冷下1時間の攪拌の後、4℃、850
0rpm、40分間の遠心分離を行い、沈殿を回収し
た。
を含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に溶
解し、同緩衝液で1夜透析した。透析の外液は6時間毎
に2回交換した。次いで、透析を終了した酵素液をスト
リームライン(ファルマシア社)で精製した。ストリー
ムラインには、ストリームラインDEAEゲル(ファル
マシア社)を使用し、流速15ml/minでアプライ
を行った。次に2mMジチオスレイトールを含む50m
Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)でゲルの洗浄を行
った。流速は15ml/minとした。D−アミノ酸オ
キシダーゼの溶出には、あらかじめ、0.05MKCl
及び2mMジチオスレイトールを含む50mMトリス−
塩酸緩衝液(pH8.0)で不要なタンパク質を溶出さ
せた後、0.1MKCl及び2mMジチオスレイトール
を含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を用
いて行った。この際の流速も上記と同様15ml/mi
nとした。
ゲル濾過によりD−アミノ酸オキシダーゼを精製した。
ゲル濾過を行うにあたり、Centriprep(アミ
コン社)を用いて、ストリームライン溶出液の濃縮を行
った。Centriprp使用の条件は、4℃、300
0rpm、40分間とした。ゲル濾過は以下の条件で行
った。 使用カラム Superdex 200pg 26/60 (ファルマシア社製) 溶出液 2mMジチオスレイトールを含む 50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 溶出条件 2ml/min 温度 4℃ 検出 UV検出 (220nm) 試料添加量 5ml 上記の条件でゲル濾過を行い、フラクションは17ml
ずつ回収した。
する活性を確認した。活性の確認には下記の反応液を用
いた。 蒸留水 465μl 0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 300μl 3mM 4−Aminoantipyrine 30μl 3mM TOOS 30μl 60U/ml POD 30μl 0.1M D−アラニン 15μl 各フラクション 30μl その結果、フラクションNo.11および12において
活性が見られた。総活性は9.86Uで、細胞破砕液の
遠心上清からの精製の収率は約63.1%であった。
DK3002由来D−アミノ酸オキシダーゼの諸性質の
確認 ギベレラ フジクロイ KDK3002由来D−アミノ
酸オキシダーゼの基質特異性について検討を行った。測
定に際しては0.1Mに調整した各種アミノ酸、D−ア
ラニン、D−ヒスチジン、D−リジン、D−メチオニ
ン、D−バリン、D−セリン、D−アスパラギン酸を用
意し、下記に示す反応液を用いてそれぞれのD−アミノ
酸に対する活性を測定した。 蒸留水 485μl 0.1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 300μl 3mM 4−Aminoantipyrine 30μl 3mM TOOS 30μl 60U/ml POD 30μl 0.1M D−アミノ酸 15μl D−アミノ酸オキシダーゼ 10μl
フジクロイ KDK3002由来D−アミノ酸オキシダ
ーゼは、D−アラニン、D−ヒスチジン、D−メチオニ
ン、D−バリンに強く作用し、D−リジン、D−セリン
にも作用し、D−アスパラギン酸にはほとんど作用しな
いことが判明した。また、L−アミノ酸には対しても活
性を持たなかった。 ギベレラ フジクロイ KDK3002由来D−アミノ酸オキシダーゼの基質 特異性 D−アミノ酸 基質特異性(%) D−アラニン 100 D−ヒスチジン 60.9 D−リジン 9.3 D−メチオニン 126.4 D−バリン 53.0 D−セリン 33.8 D−アスパラギン酸 0.03
002由来D−アミノ酸オキシダーゼの至適pHについ
て測定を行った。至適pHの測定は、50mMリン酸カ
リウム緩衝液(pH4〜7.5)、50mMトリス−塩
酸緩衝液(pH7.0〜9.5)、50mMグリシン−
NaOH緩衝液(pH9〜13)を用意し、これらの緩
衝液を酵素活性測定時に用いることにより、測定した。
測定には下記の反応液を用いた。 蒸留水 485μl 各緩衝液 300μl 3mM 4−Aminoantipyrine 30μl 3mM TOOS 30μl 60U/ml POD 30μl 0.1M D−アラニン 15μl D−アミノ酸オキシダーゼ 10μl 検討の結果、ギベレラ フジクロイ KDK3002由
来D−アミノ酸オキシダーゼは、図1に示す通り、pH
5〜10の間で活性を有し、その至適pHは7〜8であ
ることが確認できた。
2由来D−アミノ酸オキシダーゼの至適温度の確認を行
った。測定に際しては、上記反応液の緩衝液を50mM
トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に固定し、0℃(氷
冷)〜65℃の範囲において5℃間隔で測定を行った。
その結果、図2に示す通り、ギベレラ フジクロイKD
K3002由来D−アミノ酸オキシダーゼの至適温度は
30〜35℃であり、20〜45℃の広い範囲で高い活
性を持つ酵素であることが確認できた。
来D−アミノ酸オキシダーゼの分子量を測定するため、
ゲル濾過クロマトグラフィーを行った。カラムはYMC
−Pack Diol−200を使用し、30秒毎にフ
ラクションを回収した。ゲル濾過の条件は回収したフラ
クションの活性を測定することにより、そのフラクショ
ンの溶出時間からギベレラ フジクロイ KDK300
2由来D−アミノ酸オキシダーゼの分子量を推定した。
ゲル濾過により得られたフラクションのD−アミノ酸オ
キシダーゼ活性を前述と同様の測定法により測定したと
ころ、ギベレラフジクロイ KDK3002由来D−ア
ミノ酸オキシダーゼの分子量はおよそ162,000で
あることが推察された。ゲル濾過の条件は以下の通りに
行った。 使用カラム YMC−Pack Diol−200 (600×8.0mm I.D.)(ワイエムシィ社製) 溶出液 20mM KH2PO4−K2HPO4+0.2M NaCl 溶出条件 0.5ml/min 温度 室温 (23℃) 検出 UV検出 (220nm) 試料添加量 50μl
−アミノ酸オキシダーゼ及びその工業的生産に適した製
造法が提供された。
おける測定値を100として、各pHにおける測定値を
換算値で示したグラフである。
度における測定値を換算値で示したグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 ギベレラ属(Gibberella)が
生産するD−アミノ酸オキシダーゼ。 - 【請求項2】 前記ギベレラ属がギベレラ フジクロイ
KDK3002(Gibberella fujik
uroi KDK3002:FERM P−1680
5)である請求項1に記載するD−アミノ酸オキシダー
ゼ。 - 【請求項3】 前記D−アミノ酸オキシダーゼの至適p
Hが7〜8であり、至適温度が30〜35℃であること
を特徴とする請求項1〜2に記載するD−アミノ酸オキ
シダーゼ。 - 【請求項4】 前記D−アミノ酸オキシダーゼの分子量
が162,000程度である請求項1〜3に記載するD
−アミノ酸オキシダーゼ。
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1998
- 1998-05-20 JP JP15521298A patent/JP4068722B2/ja not_active Expired - Fee Related
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