JPH11313632A - 筍水煮製品及びその製造方法 - Google Patents

筍水煮製品及びその製造方法

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JPH11313632A
JPH11313632A JP10140552A JP14055298A JPH11313632A JP H11313632 A JPH11313632 A JP H11313632A JP 10140552 A JP10140552 A JP 10140552A JP 14055298 A JP14055298 A JP 14055298A JP H11313632 A JPH11313632 A JP H11313632A
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Takahiro Tozawa
孝大 戸澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】筍の長期保存を変質せずに行う 【構成】筍を酸液で処理することにより、チロシンを主
成分とした白濁や白斑の発生を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、筍水煮においてチロシ
ンを主成分とした白色固形物が析出して商品価値が低下
したり、異物と誤認されることを防止する方法及び製造
物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】筍の収穫時期は3月〜6月であるが、筍
を一年中安定して市場に供給する手段として、筍水煮が
作られてきた。また、近年は中国など海外からも筍水煮
は輸入されている。しかしながら、筍を水煮にするとチ
ロシンを主成分として蛋白質、ペクチン、微細繊維等か
らなる白色固形物が発生する。白色固形物が筍の表面や
組織内で生成した場合は、カビの様に見える。また、液
中で発生した場合は、液の白濁を生じる。この様に白色
固形物が生じると筍水煮の商品価値は著しく低下する、
さらに、白色固形物が硬く、大きくなると異物となる場
合もある。
【0003】筍には、0.5%程度のチロシンが含まれ
ているが、チロシンの溶解度は低く、0℃で0.196
(g/1000ml)、25℃で0.453(g/10
00ml)、50℃で1.052(g/1000m
l)、75℃で2.438(g/1000ml)、10
0℃で5.650(g/1000ml)である。従来、
白色固形物発生を防止方法としては筍水煮製造時に30
〜40時間の水さらしによる乳酸醗酵による方法がとら
れてきたが、風味の劣化、色調の褐色化、微生物汚染な
どの原因となっていた。また、白色固形物の析出を完全
に防止するものでもなかった。
【0004】チロシンを主成分とした白色固形物の析出
防止方法としては、特開平8−89182号にある、チ
ロシン脱酸素酵素を含有する乳酸菌でチロシンを分解可
溶化する方法、特開平3−198755号にある、乳清
及び/又は乳清由来の副生成物を添加してチロシンの析
出を防止する方法がある。さらに、特開昭56−785
74号公報には、サイクロデキストリンを添加してチロ
シンの析出を防止する方法がある。しかし サイクロデ
キストリンや乳清及び/又は乳清由来の副生成物を用い
た方法では、主に筍表面の析出防止効果しかない。ま
た、乳酸菌の酵素よる方法では、微生物である乳酸菌と
筍をいっしょにして、高温(30℃)で長時間(5日
間)処理しなければならず費用と時間が沢山かかるばか
りでなく、他の腐敗細菌の混入による汚染の可能性も考
えられる。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの
欠点を解決することを目的に精査検討し開発されたもの
である。本発明の目的は、筍水煮中にあるチロシンを主
成分とした白色固形物の析出を防止する方法及び防止し
た筍水煮を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、鋭意研究
の結果、従来の乳酸菌醗酵では筍のpHが3.5程度ま
でしか下がらない為に充分な問題解決に至らないことを
見いだし、筍を酸液と共に水煮することにより上記課題
を解決した。
【0007】本発明の筍に析出するチロシンを主成分と
した白色固形物の析出防止方法は、pH3.0以下に調
製された酸液とともに筍を水煮にし、筍中に含まれるチ
ロシンを酸液中に溶解させることで、筍の組織内部及び
表面さらには溶液中でのチロシンを主成分とした白色結
晶の析出を防止する。
【0008】酸液に使用する酸は、塩酸などの無機酸で
もクエン酸、乳酸などの有機酸のいずれを選択しても良
いが、望ましくは、筍は乳酸醗酵による前処理を多くの
場合行うので、乳酸を用いた方が風味が自然で良い。
【0009】使用する筍については、生の筍でも、加熱
処理済みの筍でもいずれでも良い。pHが3.0を超え
る値に調製された酸液を大量に使用してチロシンを溶解
させる方法も考えられるが、高コストになり実用性が無
い。
【0010】本発明の筍に析出するチロシンを主成分と
した白色固形物の析出防止方法は、pH3.0以下に調
製された酸液とともに筍を水煮にし、筍中のチロシンを
溶解し、白色固形物の析出を防止することを特徴とす
る。
【0011】pHの差異によるチロシンの溶解性を以下
のように試験した。pH1.0から13.0の範囲の溶
液(各200ml)をpH1.0刻みに塩酸と水酸化ナ
トリウムを用いて調製し、各々の溶液にチロシン(L−
チロシン:関東化学特級試薬、純度99.0%)を20
0mgを添加して、透明なレトルトパウチに充填し密封
した。 5分間沸騰水中でボイル処理し、20℃で1ヵ
月間保管して溶解性を確認した。
【0012】その結果、pH1.0から3.0のパウチ
とpH12.0から13.0のパウチにおいて、ボイル
直後に溶解が確認されたが、pH12.0から13.0
のアルカリ性のパウチは1週間で褐変したのでテストを
中止した。pH1.0から3.0の酸性のパウチは1ヵ
月後でも結晶の析出や溶液の褐変化はなく良好であっ
た。
【0013】次に、pH2.5の溶液を塩酸と乳酸を用
いて別々に調製し、チロシンの溶解性を試験した。pH
2.5の溶液200mlにチロシンを0.10gから
0.60gまで0.10g刻みで添加して、各溶液を透
明なレトルトパウチに充填し密封して、5分間沸騰水中
でボイル処理し、放冷後保管し溶解性を確認した。
【0014】塩酸溶液と乳酸溶液は同じ結果であった。
0.20g以下では、20℃で1ヵ月保管しても結晶の
析出は無かったが、0.30gから0.50gではボイ
ル直後は溶解していたが20℃まで放冷すると結晶が析
出してきた。また、0.60gではボイルしても溶解し
なかった。
【0015】次に塩酸を用いてpH1.0からpH4.
0に調製したの水溶液におけるチロシンの溶解度を精査
検討した。その結果pH1.0の塩酸水溶液における溶
解度は、20℃で6.5(g/1000ml)、pH
2.0では、20℃で1.5(g/1000ml)、p
H2.5では、20℃で1.1(g/1000ml)、
pH3.0では、20℃で0.8(g/1000m
l)、pH4.0では、20℃で0.015(g/10
00ml)であった。
【0016】これをもとに、筍水煮を作製する場合にチ
ロシンを析出させない水溶液の量は、生筍1kgを原料
(チロシン含量は5gと仮定)にすると、pH1.0の
溶液では769ml、pH2.0では3333ml、p
H2.5では4545ml、pH3.0では6250m
lとなる。
【0017】また、中国より輸入された1斗缶入りの筍
水煮の筍中のチロシン含量を測定したら0.1%であっ
た。これを1kgずつ分封して再度水煮にする場合にチ
ロシンを析出させない水溶液の量は、前述の各pHにお
けるチロシンの溶解度から、pH1.0の溶液では15
4ml、pH2.0では666ml、pH2.5では9
09ml、pH3.0では1250mlとなる。
【0018】次に、各pHで筍を処理した場合に、官能
上どの様な差異が生じるか検討する為に、pH1.0か
ら6.0の範囲の塩酸溶液(各200ml)をpH0.
5刻みに調製し、各々の溶液に市販の水煮筍(pH4.
3)を10g添加して、透明なレトルトパウチに充填し
密封して、110℃で20分間の加圧加熱殺菌を行っ
た。2週間20℃で保存した後に、流水で5分間洗浄し
喫食した。その結果は再加熱処理されたにも関わらず、
pH2.5以上では、硬さの差は殆ど無く、またpH
2.0以下でもやや軟らかい程度で、十分筍の食感を保
持していた。
【0019】次に、各種酸の種類の違いによる風味と色
調の差異を検討した。各種酸の1.0%水溶液(各20
0ml)を調製し、各々の溶液に市販の水煮筍(pH
4.0)を100g添加して、透明なレトルトパウチに
充填し密封して、121℃で20分間加圧加熱殺菌を行
った。2週間20℃で保存した後に、流水で5分間洗浄
し喫食し官能評価を行った。結果は下表のように乳酸、
グルコン酸、塩酸が良好な結果であった。
【0020】
【表1】
【0021】
【実施例】(実施例1)生の孟宗筍を剥離し、可食部
(100g)を縦に切って2分割し流水で洗った。試験
区はpH2.0に調製したクエン酸溶液(500g)を
加えて、レトルトパウチに入れ、60分間ボイル処理し
て、20℃で1ヶ月間保管した。保管後は、白色固形物
の析出はなく、筍をスライスして10分間水さらしをし
て喫食したが、風味も食感も良好であった。
【0022】(比較例1)実施例1において加えたクエ
ン酸溶液の代わりに蒸留水500gを加えその他は実施
例1と同様に処理したものを作成し、同様に20℃で1
ヶ月間保管した。保管後、節の間に多数の白色固形物が
析出し液も白色に濁っていた。筍をスライスして10分
間水さらしをして、表面の白色固形物を取り除いて喫食
したが、筍の組織内に残存した白色固形物が歯にあた
り、異物として認識され、嚥下されるものではなかっ
た。
【0023】(実施例2)中国から輸入された一斗缶詰
めの筍水煮をスライスして、透明なレトルトパウチに5
kgづつ入れ、pH2.0の乳酸(50%乳酸、食品添
加物)水溶液を1kg注入し脱気密封後、90℃で25
分間の加熱殺菌を行った。加熱殺菌後のパウチ内の水溶
液のpHは、2.8であった。対照区は、pH調整をし
ていない水を注入し、試験区と同様に加熱殺菌を行い、
20℃で120日間の保管を行った。保管後、パウチの
外観からは変化は確認されず、開封して白色固形物の析
出状態を確認したが白色固形物の析出は無く、保管後の
スライス筍を流水で5分間洗浄し喫食したが、試験区
は、筍の風味、食感ともに良好であった。
【0024】(比較例2)実施例2において注入したp
H2.0の乳酸の代わりに蒸留水を注入し実施例2と同
様の加熱殺菌と保管を行った。加熱殺菌後のpHは4.
3であった。保管後1週間で白色固形物がスライス筍表
面に析出した。保管終了後、開封して白色固形物の析出
状態を確認したところ、多数の白色固形物の析出が筍ス
ライス表面及び筍の組織内に見られた。また液も白色に
濁っていた。保管後のスライス筍を流水で5分間洗浄し
喫食したが、筍の組織内に残存した白色固形物が歯にあ
たり、異物のように感じられるものもあった。
【0025】
【効果】本発明により、従来の水にさらす方法や積極的
に乳酸菌醗酵を行う方法に比べ、より大量、且つ高品質
を維持したまま、チロシンの析出を防止する処理を行え
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】pH3.0以下に調製された酸液とともに
    水煮にした筍製品
  2. 【請求項2】酸液として、乳酸、グルコン酸、塩酸のう
    ちいずれか1種以上を用いることを特徴とする請求項1
    記載の筍製品
  3. 【請求項3】筍にpH3.0以下に調製された酸液を加
    えて加熱処理をほどこし、筍に含有されたチロシンを溶
    解し、チロシンを主成分とした白色固形物の析出を防止
    する筍製品の製造方法
  4. 【請求項4】酸液として、乳酸、グルコン酸、塩酸のう
    ちいずれか1種以上を用いることを特徴とする請求項3
    記載の筍製品の製造方法
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