JPH11312455A - 電界電子放出素子、電子源基板及び画像形成装置並びに電界電子放出素子の製造方法 - Google Patents

電界電子放出素子、電子源基板及び画像形成装置並びに電界電子放出素子の製造方法

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JPH11312455A
JPH11312455A JP11856498A JP11856498A JPH11312455A JP H11312455 A JPH11312455 A JP H11312455A JP 11856498 A JP11856498 A JP 11856498A JP 11856498 A JP11856498 A JP 11856498A JP H11312455 A JPH11312455 A JP H11312455A
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diamond
field
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fine particles
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JP11856498A
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Toru Den
透 田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動作駆動時に、安定で、十分な電子放出量の
ある高効率、高性能の電界電子放出素子および電子源基
板を提供する。 【解決手段】 基体上に形成された対向する一対の電
極、および電子放出部を有する電界電子放出素子におい
て、少なくとも電子放出部にダイヤモンドを主成分とす
る微粒子を有しており、且つダイヤモンド微粒子と電極
の界面に金属性炭化物或いは炭素を接合部として存在さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界電子放出素
子、該電子放出素子を用いた電子源基板、該電子源基板
を用いた画像形成装置及び該電界電子放出素子の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類
のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(以下、「FE型」という)、金属/絶縁層/金属
型(以下、「MIM型」という)や表面伝導型電子放出
素子等がある。FE型の例としてはW.P.Dyke and W.W.D
olan,“Field emission",Advance in Electron Physic
s,8(1956)89、あるいはC.A.Spindt,“Physical Properti
es of thin-film field emission cathodes withmolybd
enium cones",J.Appl.Phys.,47(1976)5248等に開示され
たものが知られている。
【0003】MIM型の例としてはC.A.Mead,“Operati
on of Tunnel-Emission Devices",J.Appl.Phys.,32(196
1)646等に開示されたものが知られている。
【0004】表面伝導型電子放出素子型の例としてはM.
I.Elinson,Radio Eng.Electron Phys.,10(1965)1290等
に開示されたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記M.I.El
inson等によるSnO2薄膜を用いたもの、Au薄
膜によるもの[G.Dittmer,“Thin Solid Films",9(1972)
317]、In23 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hart
well and C.G.Fonstad,“IEEE Trans.ED Conf.",519(19
75)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第
26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されて
いる。
【0006】更に、電界放出型としては低仕事関数或い
は負の電子親和力を有する材料としてダイヤモンド、ダ
イヤモンドライクカーボンなどを用いた素子が盛んに研
究されている。(たとえばSID 94 DIGEST p-43)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
電界電子放出素子(電界放出型の電子放出素子)におい
て、真空中での動作時において、真空中に残存する種々
のガスの電子放出素子への作用によるノイズ、長時間駆
動をおこなった時の放出電流の減少(劣化)、放出電流
値の大きさおよび効率等の問題があった。また、前述の
ダイヤモンドなどを用いた電界電子放出素子において
も、これらの問題を解決しようと研究されているが、再
現性が悪く、良質な電界電子放出素子を作製することが
出来なかった。
【0008】本発明は、これらの電界電子放出素子の問
題を解決し、動作駆動時に、安定で、十分な電子放出量
のある高効率、高性能の電界電子放出素子および電子源
基板の提供を目的とする。また、電子源基板と画像形成
部材からなる画像形成装置においては、安定で、十分な
電子放出量のある高性能の電界電子放出素子および電子
源基板を、用いることで、明るく、安定な画像形成装
置、たとえば、フラットテレビの提供を目的とする。ま
た、上記の特性を有する素子の作製方法の提供を目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決するために鋭意検討をおこなってなされたもので
あり、下述の構成のものである。
【0010】すなわち、本発明の電界電子放出素子は、
基体上に形成された対向する一対の電極と電子放出部か
らなる構成において、少なくとも電子放出部にダイヤモ
ンドを主成分とする微粒子を有しており、且つ該ダイヤ
モンド微粒子と電極の界面に金属性炭化物、もしくはグ
ラファイト、および非晶質カーボンのいずれかが接合さ
れていることを特徴とするものである。
【0011】さらに、好ましくは該ダイヤモンド微粒子
と電極の界面に結合している材料もしくは電極自身の仕
事関数が4.6eV以下であることを特徴とするもの、
また電極にTiが含まれていることを特徴とするもの、
また該ダイヤモンドを主成分とする微粒子が少なくとも
電子放出部の陰極側にあり、また電子放出部の陽極表面
の2次電子放出効率が500V以下のある電圧において
2以上であることを特徴とする電界電子放出素子であ
る。
【0012】本発明の電子源は、入力信号に応じて電子
を放出する電子源であって、本発明の電界電子放出素子
を、基体上に、複数個配置することを特徴とするもので
あって、好ましくは、基体に、複数の電子放出素子を複
数個並列に配置し、個々の素子の両端を配線に接続した
電子放出素子の行を複数もち、更に、変調手段を有する
ことを特徴とするものである。さらに、好ましくは、基
体に、互いに、電気的に、絶縁されたm本のX方向配線
とn本のY方向配線とに、該電子放出素子の一対の電極
とを接続した電子放出素子を複数個配列したことを特徴
とするものである。
【0013】本発明の画像形成装置は、入力信号に応じ
て画像を形成する画像形成装置であって、本発明の電子
源と画像形成部材を有することを特徴とするものであ
る。この際画像形成部に蛍光体を用いることが多い。
【0014】本発明は電界電子放出素子の製造方法をも
包含する。
【0015】本発明の電界電子放出素子の製造方法にお
いて、ダイヤモンド微粒子をダイヤモンドCVDなどの
成膜ではなくダイヤモンド微粒子を分散させることによ
り作製することが簡便であり、またダイヤモンドと電極
を結合させる工程を有することが有効である。また、ダ
イヤモンド表面処理工程を行うのも好ましい。
【0016】ダイヤモンド微粒子の分散膜形成工程とし
てはスプレー法やスピンコート法のようにダイヤモンド
が基板上に薄く分散される方法であればいずれでもかま
わないが、例えばダイヤモンド微粒子の分散液中での引
き上げ工程であり、この際超音波処理を並行するのが良
い。この超音波処理は凝集したダイヤモンドの付着を防
止するのに効果がある。また、ダイヤモンド膜を基板上
の特定の箇所に付着させたい場合はポリビニルアルコー
ルなどの高分子と重クロム酸塩などを用いてシャドウマ
スクの上から水銀灯などで露光する方法が有効である。
【0017】また、ダイヤモンドと電極を結合させる工
程には電磁波照射を行うのが好ましく、レーザーアニー
ルや赤外線アニールが挙げられる。勿論ダイヤモンド微
粒子を分散させた後から電極を成膜するだけで接合が得
られる場合もある。さらにダイヤモンドの表面にあらか
じめ金属性炭化物、もしくはグラファイト、および非晶
質カーボンのいずれかが結合しているダイヤモンド微粒
子を用いることによりこのアニール工程の条件を緩和、
もしくは削除することができる。以上の様にしてダイヤ
モンドへの電界印加を効果的に行われる様に金属とダイ
ヤモンドの接合層として金属性炭化物、グラファイト、
アモルファスカーボンが形成される。
【0018】また、ダイヤモンド表面処理工程には水素
分圧10-6パスカル以上の水素雰囲気中でのアニールや
水素分圧10-7パスカル以上、10-2パスカル以下の水
素雰囲気中での素子に特定の電圧を印加する初期駆動が
有効である。また、ダイヤモンド微粒子層の表面を水素
プラズマ処理することも有効である。
【0019】本発明の電界電子放出素子および製造方法
によって、負の電子親和力あるいは低仕事関数のダイヤ
モンドを主成分とする微粒子を有しているので、同じ駆
動電圧でも大きな放出電流が得られ、さらにはダイヤモ
ンド表面が化学的に安定であるため、動作駆動時の放出
電流のノイズ、および劣化による放出電流の減少を抑制
することができる。またリフトオフやレーザー加工など
のプロセスが利用可能となるので、複数の電子源を配列
させた場合に起こりやすかった放出電子量のばらつきの
問題点を低減できる。
【0020】また本発明の電子源によれば、入力信号に
応じて複数個配置された電子放出素子から任意の電子放
出素子の電子放出量を抑制できる。
【0021】また本発明の画像形成装置によれば、大き
な放出電流、動作駆動時の放出電流のばらつきやノイ
ズ、および劣化による電流減少の少ない本発明の電子放
出素子を配置することで、入力信号に応じて複数個配置
された電子放出素子から、任意の電子放出素子の電子放
出量を制御しうるので、明るく、安定なフラットカラー
テレビを提供できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、電界電子放出素子について
図1〜4を参照して説明する。
【0023】図1は、本発明の電界電子放出素子の構成
を示す模式図であり、図1aは平面図、図1bは断面図
である。
【0024】図1において、1は基板、2と3は電極、
6は電子放出部である。
【0025】図3は、電子放出部6を部分的に拡大した
模式図である。
【0026】また、図2以降で図1と同じものには同じ
番号を付した。また図2において21は絶縁層、図4に
おいて4,5は電気配線である。
【0027】本実施形態の第1の特徴は、図3a〜cに
示される様に、電子放出部6が、ダイヤモンドを主成分
とする微粒子を有しており、且つダイヤモンド微粒子と
電極2、3の界面の一部に金属性炭化物或いは炭素のい
ずれかが結合しているものである。ここで、炭素は、グ
ラファイト或いはグラファイトと非晶質カーボンの混合
物を指す。
【0028】ダイヤモンドを主成分とする微粒子は、図
3aに示される様に電極2,3の上に被膜として形成さ
れているか、もしくは図3bに示される様に、電極2,
3の下地配置してもよい。また、図3cに示される様
に、電極2,3の中にダイヤモンドを主成分とする微粒
子が形成されてもよい。
【0029】電子放出部6は、電極2,3の一部に形成
されたギャップ部6およびその近傍より構成され、素子
特性は電極2,3の膜厚、膜質、材料及びギャップ幅、
ダイヤモンドを主成分とする微粒子の特性や駆動電圧に
依存したものとなる。
【0030】ここで電子放出部6の電極の下地をエッチ
ングにより抜いておくのも有効である。一例として図2
で示される様に絶縁層21を作成することにより得られ
る。これはリーク電流の発生や電界による下地層(基板
表面のこと)の破壊やそこへの電子衝突を防止する役目
を果たす。しかし絶縁層21はなくても本質的には変わ
らない。
【0031】また、図4の様に、電極2、3の各々を電
極2(3)及び電気配線4(5)の2つの部分に分ける
ことが可能である。この方法は複数の電子源を作製した
い場合に特に有効である。
【0032】ここで言うダイヤモンドを主成分とする微
粒子とは、天然ダイヤモンド微粒子、人口合成ダイヤモ
ンド微粒子を主体とする微粒子である。ダイヤモンドを
主成分とする微粒子は、部分的に{111}面、もしく
は{100}面を有しているのが好ましい。これは、ダ
イヤモンド結晶の{111}面もしくは{100}面
は、電子親和力が小さく良好な電子放出特性を示すこと
による。また、その粒子径は、10μm以下、好ましく
は、1μm以下、最適には、0.5μm以下である。こ
れは、微細なダイヤモンド粒子の方が、電子放出特性に
優れるためである。そのダイヤモンド微粒子の存在密度
は、特に、電子放出部6の近傍において、106 個/
cm2 以上、好ましくは、108 個/cm2 以上で
ある。
【0033】また、金属性炭化物とはTiCやNbC,
TaC,MoC,VC,ZrC,W 2 Cなどの炭化物
をさすが、ダイヤモンドとの接合性に優れているのは特
にTiCである。
【0034】尚、非晶質カーボンとは、アモルファスカ
ーボン及び、例えばグラファイト的なPG,GCと呼ば
れるもの(PGは結晶粒が20nm程度で結晶構造がや
や乱れたもの、GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構
造の乱れがさらに大きくなったものを指す)、及びそれ
ら材料の混合物を指す。
【0035】また、2次電子放出効率とは、電子を真空
中で、ある材料の表面に入射させた場合の表面から放出
される電子の入射電子に対する割合と考えてよく、ダイ
ヤモンド膜では500eVの入射エネルギーを有する電
子に対して4〜8という高い値がApplied Physics Lett
ers 65(1994)2702〜2704に示されている。この様な材料
を電子放出部6の陽極側に用いることにより電界電子放
出素子の電子放出効率は改善される。
【0036】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量が減少したガラス、青板ガラス、青板ガラス
にスパッタ法等により形成したSiO2 を積層したガ
ラス基板及びアルミナ等のセラミックス及びSi基板等
を用いることができる。
【0037】対向する電極2,3の材料としては、良好
な電子放出特性を得るためにダイヤモンドとの接合を考
慮し、金属性炭化物、金属性炭化物をつくる金属、或い
は炭素(グラファイトとグラファイト+非結晶カーボン
を包含する)が含有されていることが好ましく、前述し
たTiやNb,Ta,Mo,V,Zr,Wやその炭化
物、特にTiが含まれている膜を用いるのが好ましい。
その膜厚はダイヤモンド微粒子の粒径や電極2,3への
ステップカバレージ等を考慮して適宜設定されるが、通
常は、数10nmから数100nmの範囲とするのが好
ましい。
【0038】『微粒子』なお、本明細書では頻繁に「微
粒子」という言葉を用いるので、その意味について説明
する。
【0039】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく原子の数が数百個程度以下のものを「ク
ラスター」と呼ぶことは広く行われている。しかしなが
ら、それらの境界は厳密なものではなく、どの様な性質
に注目して分類するかにより変化する。また「微粒子」
と「超微粒子」を一括して「微粒子」と呼ぶ場合もあ
り、本明細書中での記述はこれに沿ったものである。
【0040】「実験物理学講座14 表面・微粒子」
(木下是雄 編、共立出版 1986年9月1日発行)
では次のように記述されている。
【0041】「本稿で微粒子と言うときにはその直径が
だいたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特
に超微粒子というときは粒径は10nm程度から2〜3
nm程度までを意味することにする。両者を一括して単
に微粒子と書くこともあってけっして厳密なものではな
く、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が
2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(195ページ 22〜26行目)付言すると、
新技術開発事業団の“林・超微粒子プロジェクト"での
「超微粒子」の定義は、粒径の下限はさらに小さく、次
のようなものであった。
【0042】「創造科学技術推進制度の“超微粒子プロ
ジェクト"(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子"(ultra fine particle)と呼ぶことにした。すると1
個の超微粒子はおよそ100〜108 個くらいの原子
の集合体という事になる。原子の尺度でみれば超微粒子
は大〜巨大粒子である。」(「超微粒子−創造科学技術
−」林主税、上田良二、田崎明 編;三田出版 198
8年 2ページ1〜4行目)「超微粒子よりさらに小さ
いもの、すなわち原子が数個〜数百個で構成される1個
の粒子は、ふつうクラスターと呼ばれる」(同書2ペー
ジ12〜13行目)上記のような一般的な呼び方をふま
えて、本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分
子の集合体で、粒径の下限は数nm程度、上限は10μ
m程度のものを指すこととする。
【0043】『製造方法例』上述の電界電子放出素子の
製造方法としては様々な方法があるが、その一例を図5
に模式的に示す。
【0044】以下、図5を参照して製造方法の一例につ
いて説明する。図5においても、図1に示した部位と同
じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付してい
る。
【0045】(1)基板1を洗剤、純水および有機溶剤
等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等に
より配線材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技
術を用いて基板1上に電気配線4,5を形成する(図5
(a))。
【0046】(2)電気配線4,5を設けた基板1に、
ダイヤモンド微粒子7を付着させる(図5(b))。そ
れには蛍光体の塗布に利用されている沈降法、スラリー
法、ダスティング法なども利用可能である。ただし、こ
の工程は配線を作製する前でも可能であり、また後述す
る電極の作製後でも可能である。いくつかのダイヤモン
ド微粒子付着方法を以下に列挙すると、 (A)粒子径10μm以下のダイヤモンド粒子を含む水
または有機溶媒等の液体を、基板または電極または電気
配線上に塗布し液体を乾燥させ、ダイヤモンド微粒子を
付着させる。
【0047】(B)(沈降法)基板を最初に硫酸カリウ
ムや酢酸バリウムなどの電解質水溶液に浸しておき、そ
こにダイヤモンド微粒子が分散しているけい酸カリウム
の水溶液を入れ静置しておきダイヤモンド微粒子を沈降
させ、上澄み液を排出して乾燥させる。
【0048】(C)(スラリー法)ポリビニルアルコー
ルと重クロム酸塩との水溶液に粒子径10μm以下のダ
イヤモンド微粒子を分散させ(スラリーと呼ぶ)、その
スラリーをスピンコートなどで塗布し乾燥後シャドウマ
スクの上から水銀灯などで露光する。その後、純水で洗
浄すると紫外線が照射された部分だけダイヤモンド微粒
子が残り、不要部分は除去される。
【0049】(D)(ダスティング法)スラリー法に似
ているが、ダイヤモンドを含まないポリビニルアルコー
ルと重クロム酸塩との水溶液を基板に塗布した後、乾燥
する前にダイヤモンド微粒子をエアスプレーにより付着
させ、その後、スラリー法と同様に露光して所望の位置
にダイヤモンド微粒子を付着させる。
【0050】(E)粒子径10μm以下のダイヤモンド
粒子を含む水または有機溶媒等の液体中に基板を挿入し
徐々に引き上げ乾燥させ、ダイヤモンド微粒子を付着さ
せる。この際スラリー法と組み合わせることも可能であ
る。また引き上げ途中に超音波処理を行うのも有効であ
る。
【0051】もちろんパターニングはリフトオフ等によ
り作製することも可能である。
【0052】(3)続いて、電極2,3となる膜8を成
膜する。成膜にはスパッタ法、CVD法、蒸着法など一
般的な方法が利用可能である(図5(c))。
【0053】(4)次に、電子放出部6の作製方法を示
す。例えばリフトオフ等などのフォトリソグラフィー技
術を用いてパターニングできるが、この時、ダイヤモン
ドは電子放出部6のギャップ部分に残留してもかまわな
い。また、レーザーによるカッティングでも可能である
(図5(d))。
【0054】その後、ダイヤモンド微粒子と電極の結合
性を改善しておくことが有効である。これには電磁波照
射を行うのが好ましく、例えば、レーザーアニールや赤
外線アニールが挙げられる。ここでアニール温度は10
0〜1000℃程度が好ましい。また原料ダイヤモンド
の時点でダイヤモンド表面の一部に金属性炭化物、もし
くはグラファイト、および非晶質カーボンのいずれかが
結合しているものを用いることも有効である。
【0055】このような工程を経て得られた電子放出素
子を、表面安定化工程に通すことが好ましい。この工程
にはダイヤモンド表面の水素処理が挙げられる。方法と
しては水素分圧10-6パスカル以上の雰囲気でアニール
する工程や、また水素分圧10-7パスカル以上、10-2
パスカル以下の雰囲気下で素子を初期駆動する工程、お
よびダイヤモンド微粒子層表面を水素プラズマ処理する
ことが有効であり、その結果電子放出の増大や安定化が
もたらされる。ここでアニール温度は100〜1000
℃程度が好ましい。水素プラズマでは水素以外のガス、
例えばアルゴン、ヘリウム、窒素などが混合されていて
もかまわない。この効果の原因としてはダイヤモンド表
面の表面洗浄、および表面にでているダングリングボン
ドの水素結合の促進が考えられる。
【0056】表面安定化工程を行った後の駆動時の雰囲
気は有機物質が十分除去されていれば、真空度自体は多
少低下しても十分安定な特性を維持することが出来る。
ただし10-3パスカルより高真空、好ましくは10-4
スカルより高真空であることがよい。真空容器を排気す
る真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特
性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを
用いるのが好ましい。具体的には、ソープションポン
プ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることが出来
る。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着し
た有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。この
ときの加熱条件は、150℃以上が望ましいが、特にこ
の条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、
電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条
件により行う。このような真空雰囲気を採用することに
より、真空中残留ガスによる電子放出面の汚染を抑制で
き、結果として素子電流If、放出電流Ieが安定す
る。
【0057】尚、上述の電界電子放出素子の製造法は1
例であり、本発明はこれに限るものでない。
【0058】『基本特性』上述した工程を経て得られた
本実施形態による電界電子放出素子の基本特性について
図6、図7を参照して説明する。
【0059】図6は、真空処理装置の一例を示す模式図
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図6においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。図6において、65は真空容器であり、66は
排気ポンプである。真空容器65内には電界電子放出素
子が配されている。即ち、1は電界電子放出素子を構成
する基体であり、2及び3は電極、4,5は電気配線、
6は電子放出部である。61は、電子放出素子に素子電
圧Vfを印加するための電源、60は電極2−3間を流
れる素子電流Ifを測定するための電流計、64は素子
の電子放出部6より放出される放出電流Ieを捕捉する
ためのアノード電極である。63はアノード電極64に
電圧を印加するための高圧電源、62は放出電流Ieを
測定するための電流計である。一例として、アノード電
極64の電圧を1kV〜10kVの範囲とし、アノード
電極64と電界電子放出素子との距離Hを2mm〜8m
mの範囲として測定を行うことができる。
【0060】真空容器65内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。排気ポンプ66は、ターボポンプ、ロータリーポ
ンプからなる通常の高真空装置系と、更に、イオンポン
プ等からなる超高真空装置系とにより構成されている。
ここに示した電界電子放出素子が形成された電子源基板
を配した真空処理装置の全体は、不図示のヒーターによ
り800℃まで加熱できる。従って、この真空処理装置
を用いると、前述の水素アニール処理の工程も行うこと
もできる。
【0061】図7は、図6に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧V
fの関係を模式的に示した図である。図7においては、
放出電流Ieが素子電流Ifに比べて小さいので、任意
単位で示している。なお縦、横軸ともリニアスケールで
ある。
【0062】図7からも明らかなように、本実施形態に
よる電界電子放出素子は、放出電流Ieに関して対する
三つの特徴的性質を有する。即ち、 (1)本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図7中
のVth)以上の素子電圧Vfを印加すると急激に放出
電流Ieが増加し、一方、しきい値電圧Vth以下では
放出電流Ieがほとんど検出されない。つまり、放出電
流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線
形素子である。
【0063】(2)放出電流Ieが素子電圧Vfに単調
増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御
できる。
【0064】(3)アノード電極64に捕捉される放出
電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つま
り、アノード電極64に捕捉される電荷量は、素子電圧
Vfを印加する時間により制御できる。
【0065】以上の説明より理解されるように、本実施
形態による電界電子放出素子は、入力信号に応じて、電
子放出量を容易に制御できることになる。この性質を利
用すると複数の電界電子放出素子を配して構成した電子
源、画像形成装置等、多方面への応用が可能となる。図
7においては、素子電流Ifが素子電圧Vfに対して単
調増加する(以下、「MI特性」という)例を実線に示
した。従来例の通電フォーミングした表面伝導型電子放
出素子では素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制
御型負性抵抗特性(以下、「VCNR特性」という)を
示す場合もある(不図示)。これらの特性は電界電子放
出型の本発明の素子では見られない。
【0066】『応用例』本実施形態による電界電子放出
素子の応用例について以下に述べる。本実施形態による
電界電子放出素子の複数個を基板上に配列した電子源、
及びその電子源を用いた画像形成装置が構成できる。
【0067】電界電子放出素子の配列としては、種々の
ものが採用できる。一例として、行方向に配置した多数
の電界電子放出素子の個々の電気配線4、5を接続配線
により接続して形成される電子放出素子の行を多数行配
し、この接続配線と直交する方向(列方向と呼ぶ)に沿
い、電界電子放出素子の上方に並べた複数の制御電極
(グリッドとも呼ぶ)により、電界電子放出素子からの
放出電子Ieを制御駆動するはしご状配置のものがあ
る。これとは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に
行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出
素子の一方の電極を、X方向の配線に共通に接続し、同
じ列に配された複数の電子放出素子の他方の電極を、Y
方向の配線に共通に接続するものが挙げられる。このよ
うなものは所謂単純マトリクス配置である。まず単純マ
トリクス配置について以下に詳述する。
【0068】本実施形態による電界電子放出素子につい
ては、前述したとおり(1)〜(3)の特性がある。即
ち、電界電子放出素子からの放出電子Ieは、しきい値
電圧Vth以上では、対向する電極2、3間に印加する
パルス状電圧の波高値と時間巾で制御できる。一方、し
きい値電圧Vth以下では、殆ど放出電子Ieは放出さ
れない。この特性によれば、多数の電界電子放出素子を
配置した場合においても、個々の素子に、パルス状電圧
を適宜印加すれば、入力信号に応じて、電界電子放出素
子を選択して電子放出量を制御できる。
【0069】以下、この原理に基づき、本実施形態によ
る電界電子放出素子を複数配して得られる電子源基板に
ついて、図8を参照して説明する。図8において、81
は電子源基板、82はX方向配線、83はY方向配線で
ある。84は電界電子放出素子、85は結線である。
【0070】m本のX方向配線82は、Dx1,Dx
2,...,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、ス
パッタ法等を用いて形成された導電性金属等で構成する
ことができる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設計され
る。Y方向配線83は、Dy1,Dy2,...,Dy
nのn本の配線よりなり、X方向配線82と同様に形成
される。これらm本のX方向配線82とn本のY方向配
線83との間には、不図示の層間絶縁層が設けられてお
り、層間絶縁層はX方向配線82とY方向配線83を電
気的に分離している(m,nは、共に正の整数)。
【0071】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構
成される。例えば、X方向配線82を形成した基板81
の全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向
配線82とY方向配線83の交差部の電位差に耐え得る
ように、膜厚、材料、製造方法が適宜設定される。X方
向配線82とY方向配線83は、それぞれ外部端子とし
て引き出されている。
【0072】電界放出素子84を構成する一対の電極
2、3(図8では不図示)は、m本のX方向配線82と
n本のY方向配線83とに導電性金属等からなる結線8
5によって電気的に接続されている。
【0073】配線82と配線83を構成する材料、結線
85を構成する材料及び一対の電極を構成する材料は、
その構成元素の一部あるいは全部が同一であっても、ま
たそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例えば前述
の電極の材料より適宜選択される。電極を構成する材料
と配線材料が同一である場合には、電極に接続した配線
は電極であるということもできる。
【0074】X方向配線82には、X方向に配列した電
界電子放出素子84により構成される行を走査信号を印
加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、
Y方向配線83には、Y方向に配列した電界電子放出素
子84により構成される各列に入力信号に応じて変調し
た変調信号を印加するための不図示の変調信号発生手段
が接続される。各電界電子放出素子に印加される駆動電
圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電
圧として供給される。
【0075】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。このような単純マトリクス配置の電子
源を用いて構成した画像形成装置について、図9と図1
0及び図11を参照して説明する。図10は、画像形成
装置の表示パネルの一例を示す模式図であり、図9は、
図10の画像形成装置に使用される蛍光膜104の模式
図である。図11は、NTSC方式のテレビ信号に応じ
て表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロック図
である。
【0076】図10において、81は電界電子放出素子
を複数配した電子源基板、101は電子源基板81を固
定したリアプレート、106はガラス基板103の内面
に蛍光膜104とメタルバック105等が形成されたフ
ェースプレートである。102は支持枠であり該支持枠
102には、リアプレート101、フェースプレート1
06がフリットガラス等を用いて接続されている。10
8は外囲器であり、例えば大気中あるいは窒素中で、4
00〜500℃の温度範囲で10分以上焼成すること
で、封着して構成される。6は、図1における電子放出
部である。82,83は、電界電子放出素子の一対の電
極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。外囲
器108は上述の如く、フェースプレート106、支持
枠102、リアプレート101で構成される。リアプレ
ート101は主に基板81の強度を補強する目的で設け
られるため、基板81自体で十分な強度を持つ場合は別
体のリアプレート101は不要とすることができる。即
ち、基板81に直接支持枠102を封着し、フェースプ
レート106、支持枠102及び基板81で外囲器10
8を構成しても良い。一方、フェースプレート106、
リアプレート101間に、スペーサーとよばれる不図示
の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な
強度を持つ構成にすることもできる。
【0077】図9は、蛍光膜104を示す模式図であ
る。蛍光膜104は、モノクロームの場合は蛍光体のみ
から構成することができる。カラーの蛍光膜の場合は、
蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラッ
クマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体9
2とから構成することができる。ブラックストライプ、
ブラックマトリクスを設ける目的は、カラー表示の場
合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体92間の塗り分
け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、
蛍光膜104における外光反射によるコントラストの低
下を抑制することにある。ブラックストライプの材料と
しては、通常用いられている黒鉛を主成分とする材料の
他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料を用
いることができる。
【0078】ガラス基板103に蛍光体92を塗布する
方法は、モノクローム、カラーによらず沈降法、スラリ
ー法、印刷法等が採用できる。
【0079】蛍光膜104の内面側には、通常メタルバ
ック105が設けられる。メタルバックを設ける目的
は、蛍光体92の発光のうち内面側への光をフェースプ
レート106側へ鏡面反射させることにより輝度を向上
させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極
として作用させること、外囲器内で発生した負イオンの
衝突によるダメージから蛍光体92を保護すること等で
ある。メタルバック105は、蛍光膜104を作製後、
蛍光膜104の内面側表面の平滑化処理(通常、「フィ
ルミング」と呼ばれる。)を行い、その後Alを真空蒸
着等を用いて堆積させることで作製できる。
【0080】更に、蛍光膜104の導電性を高めるた
め、フェースプレート106の蛍光膜104の外面側に
透明電極(不図示)を設けてもよい。前述の封着を行う
際には、カラーの場合は各色蛍光体92と電界電子放出
素子84とを対応させる必要があり、十分な位置合わせ
が不可欠となる。
【0081】図10に示した画像形成装置は、例えば以
下のようにして製造される。
【0082】外囲器108は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の
排気管を通じて排気し、10-5パスカル程度の真空度の
有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止が成され
る。外囲器108の封止後の真空度を維持するために、
ゲッター処理を行なうこともできる。これは、外囲器1
08の封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱ある
いは高周波加熱等を用いた加熱により、外囲器108内
の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱
し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba
等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえ
ば1×10-乃至1×10-5パスカルの真空度を維持す
るものである。
【0083】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図11を用いて説明する。図11において、
111は画像表示パネル、112は走査回路、113は
制御回路、114はシフトレジスタである。115はラ
インメモリ、116は同期信号分離回路、117は変調
信号発生器、VxおよびVaは直流電圧源である。
【0084】表示パネル111は、端子Dox1乃至D
oxm、端子Doy1乃至Doyn、及び高圧端子Hv
を介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1
乃至Doxmには、表示パネル内に設けられている電子
源、即ち、m行n列の行列状にマトリクス配線された電
界電子放出素子群を一行(n素子)ずつ順次駆動する為
の走査信号が印加される。
【0085】端子Dy1乃至Dynには、前記走査信号
により選択された一行の電界電子放出素子の各素子の出
力電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高
圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、例えば10kV
の直流電圧が供給されるが、これは電界電子放出素子か
ら放出される電子ビームに蛍光体92を励起するのに十
分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0086】走査回路112について説明する。同回路
は、内部にm個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1乃至Smで模式的に示している)ある。各スイ
ッチング素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0
[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、表
示パネル111の端子Dx1ないしDxmと電気的に接
続される。S1乃至Smの各スイッチング素子は、制御
回路113が出力する制御信号Tscanに基づいて動
作するものであり、例えばFETのようなスイッチング
素子を組み合わせることにより構成することができる。
直流電圧源Vxは、本例の場合には電界電子放出素子の
特性(電子放出しきい値電圧)に基づき走査されていな
い素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい値電圧以
下となるような一定電圧を出力するよう設定されてい
る。
【0087】制御回路113は、外部より入力する画像
信号に基づいて適切な表示が行なわれるように各部の動
作を整合させる機能を有する。制御回路113は、同期
信号分離回路116より送られる同期信号TSYNCに基づ
いて、各部に対してTSCANおよびTSFTおよびTMRYの各
制御信号を発生する。
【0088】同期信号分離回路116は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離する為の回路である。同期信号分離
回路116により分離された同期信号は、垂直同期信号
と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上T
SYNC信号として図示した。前記テレビ信号から分離され
た画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表した。
該DATA信号はシフトレジスタ114に入力される。
シフトレジスタ114は、時系列的にシリアルに入力さ
れる前記DATA信号を、画像の1ライン毎にシリアル
/パラレル変換するためのもので、前記制御回路113
より送られる制御信号TSFTに基づいて動作する(即
ち、制御信号TSFTは、シフトレジスタ114のシフト
クロックであるということもできる)。シリアル/パラ
レル変換された画像1ライン分(電子放出素子n素子分
の駆動データに相当)のデータは、Id1乃至Idnの
N個の並列信号として前記シフトレジスタ114より出
力される。
【0089】ラインメモリ115は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路113より送られる制御信号TMRYに従っ
て適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶された
内容は、I′d1乃至I′dnとして出力され、変調信
号発生器117に入力される。
【0090】変調信号発生器117は、画像データI′
d1乃至I′dnの各々に応じて電界電子放出素子84
の各々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その出
力信号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パネ
ル101内の電界電子放出素子84に印加される。
【0091】前述したように、本実施形態による電子放
出素子84は放出電流Ieに対して以下の基本特性を有
している。即ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vt
hがあり、Vth以上の電圧を印加された時のみ電子放
出が生じる。電子放出しきい値Vth以上の電圧に対し
ては、素子への印加電圧の変化に応じて放出電流Ieも
変化する。このことから、本素子にパルス状の電圧を印
加する場合、例えば電子放出しきい値Vth以下の電圧
を印加しても電子放出は生じないが、電子放出しきい値
Vth以上の電圧を印加する場合には電子ビームが出力
される。その際、パルスの波高値Vmを変化させる事に
より出力電子ビームの強度を制御することが可能であ
る。また、パルスの幅Pwを変化させることにより出力
される電子ビームの電荷の総量を制御する事が可能であ
る。
【0092】従って、入力信号に応じて、電界電子放出
素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅
変調方式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際
しては、変調信号発生器117として、一定長さの電圧
パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルス
の波高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0093】パルス幅変調方式を実施するに際しては、
変調信号発生器117として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0094】シフトレジスタ114やラインメモリ11
5としては、デジタル信号式のものもアナログ信号式の
ものも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換
や記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0095】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路116の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには116の出力部にA/D変
換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ11
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器117に用いられる回路が若干異なった
ものとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式
の場合、変調信号発生器117には、例えばD/A変換
回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パ
ルス幅変調方式の場合、変調信号発生器117には、例
えば高速の発振器および発振器の出力する波数を計数す
る計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリ
の出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合わ
せた回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパ
ルス幅変調された変調信号を電界電子放出素子84の駆
動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加すること
もできる。アナログ信号を用いた電圧変調方式の場合、
変調信号発生器117には、例えばオペアンプなどを用
いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト回
路などを付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を採用
でき、必要に応じて電界電子放出素子84の駆動電圧ま
で電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0096】このような構成をとり得る本実施形態によ
る画像表示装置においては、各電界電子放出素子84
に、容器外端子Dox1乃至Doxm、Doy1乃至D
oynを介して電圧を印加することにより、電子放出が
生ずる。高圧端子Hvを介してメタルバック105、あ
るいは透明電極(不図示)に高圧を印加し、電子ビーム
を加速する。加速された電子は、蛍光膜104に衝突
し、発光が生じて画像が形成される。
【0097】次に、はしご型配置の電子源及び画像形成
装置について図12及び図13を用いて説明する。
【0098】図12は、はしご型配置の電子源の一例を
示す模式図である。図12において120は電子源基
板、84は電界電子放出素子である。122のDx1〜
Dx10は、電子放出素子84を接続するための共通配
線である。電子放出素子84は、基板120上にX方向
に並列に複数個配されている(これを素子行と呼ぶ)。
この素子行が複数個配されて電子源を構成している。各
素子行の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各素
子行を独立に駆動させることができる。即ち、電子ビー
ムを放出させたい素子行には電子放出しきい値以上の電
圧を、電子ビームを放出しない素子行には電子放出しき
い値以下の電圧を印加する。各素子行間の共通配線Dx
2〜Dx9は、例えばDx2,Dx3を同一配線とする
こともできる。
【0099】図13は、はしご型配置の電子源基板12
0を備えた画像形成装置におけるパネル構造の一例を示
す模式図である。130はグリッド電極、131は電子
が通過するための空孔、132はDox1,Dox
2,...Doxmよりなる走査用容器外端子である。
133は、グリッド電極130と接続されたG1,G
2,...Gnからなるグリッド用容器外端子、120
は各素子行間の共通配線を同一配線とした前述の電子源
基板である。図13においては、図8、図10に示した
部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一の符
号を付している。ここに示したはしご型配置の画像形成
装置と、図10に示した単純マトリクス配置の画像形成
装置との大きな違いは、はしご型配置の画像形成装置の
電子源基板120とフェースプレート106の間にある
グリッド電極130を単純マトリクス配置の画像形成装
置が備えていないことある。
【0100】図13においては、電子源基板120とフ
ェースプレート106の間には、グリッド電極130が
設けられている。グリッド電極130は、電界電子放出
素子84から放出された電子ビームを変調するためのも
のであり、はしご型配置の素子行と直交して設けられた
ストライプ状の電極に電子ビームを通過させるため、各
素子に対応して1個ずつ円形の空孔131が設けられて
いる。グリッドの形状や設置位置は図13に示したもの
に限定されるものではない。例えば、空孔としてメッシ
ュ状に多数の通過口を設けることもでき、グリッド電極
130を電界電子放出素子84の周囲や近傍に設けるこ
ともできる。
【0101】走査用容器外端子132およびグリッド用
容器外端子133は、不図示の制御回路と電気的に接続
されている。
【0102】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0103】上述の2種の画像形成装置の構成は、本実
施形態による画像形成装置の一例であり、本発明の技術
思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号につ
いてはNTSC方式を挙げたが入力信号はこれに限られ
るものではなく、PAL,SECAM方式などの他、こ
れよりも多数の走査線からなるTV信号(例えば、高品
位TV)方式をも採用できる。
【0104】また、これらの画像形成装置は、テレビジ
ョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコンピュー
ター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成さ
れた光プリンターとしての画像形成装置等としても用い
ることができる。
【0105】
【実施例】以下に、実施例をあげて、本発明をさらに詳
述する。
【0106】[実施例1]本実施例による基本的な電界
電子放出素子84の構成は、図1(a),(b)の平面
図及び断面図と同様である。尚、基板は特性測定用と形
状観察用に2枚同じものを作製した。また、本実施例に
おける電界電子放出素子84の製造法は、基本的には図
5と同様である。以下、図1、図4、図5を用いて、本
発明に関わる素子の基本的な構成及び製造法を説明す
る。
【0107】図において1は基板、2と3は電極、4と
5は電気配線、6は電子放出部、7はダイヤモンド微粒
子分散膜、8は電極膜である。
【0108】以下、順をおって製造方法の説明を図1及
び図5に基づいて具体的に説明する。
【0109】(工程−a)清浄化した青板ガラス上に厚
さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した
基板1上に、配線4,5のパターンをホトレジスト(RD
-2000N 日立化成製)形成し、真空蒸着法により厚さ5
0nmのPtを堆積した。ホトレジストパターンを有機
溶剤で溶解し、堆積膜をリフトオフし、配線間隔L′=
20μm、配線の幅W′=2mmを有する配線4,5を
形成した(図5(a),図4)。
【0110】(工程−b)電界電子放出素子84用のダ
イヤモンド分散をおこなうために、基板1の全体を水、
イソプロピルアルコール(IPA)、ポリビニルアルコ
ール、ダイヤモンド微粒子(デビアス社、天然ダイヤモ
ンドSND 0〜1/4μm)を適度に混合した溶液を
用意し、その液に浸した後、ゆっくり引き上げ、更に空
気中350℃でアニールしダイヤモンド微粒子を全面に
付着させ、ダイヤモンド微粒子分散膜7を作成した。こ
うして形成されたダイヤモンド微粒子の密度は1μm2
あたり平均2個程度であった(図5(b))。
【0111】(工程−c)電界電子放出素子84の電極
2,3とギャップLとなるべきパターンをホトレジスト
(RD-2000N 日立化成社製)形成し、真空蒸着法により
厚さ80nmのTiCの電極膜8を堆積した(図5
(c))。
【0112】(工程−d)ホトレジストパターンを有機
溶剤で溶解し、堆積膜をリフトオフし、ギャップ間隔L
は3μmとし、300μmの幅Wを有する電極2,3を
形成した。このリフトオフの際にTiCが成膜された場
所以外の場所に付着していたダイヤモンド微粒子は剥離
した(図5(d))。
【0113】次に、図6の測定装置内に作製した電界電
子放出素子84を設置し、真空ポンプにて排気し、10
-4パスカルの真空度に達した後、水素4%アルゴン96
%のガスを導入し100パスカルの圧力にした状態で6
00℃アニールを1時間施した。
【0114】こうして、実施例1の電界電子放出素子8
4を作製し、一方の素子を電界電子放出素子84の特性
の評価の為に上述の図6の測定評価装置で測定し、また
残りの一方を形態を把握するために電子顕微鏡で形態を
観察した。なお、評価条件としてアノード電極64と電
子放出素子間84の距離を4mm、アノード電極64の
電位を1kV、電子放出特性測定時の真空装置内の真空
度を10-6パスカルとした。電極2及び3の間に素子電
圧を50V印加し、その時に流れる素子電流If及びア
ノードに到達する放出電流Ieを測定した。その結果
0.2mA程度の素子電流Ifが流れ、放出電流Ieは
10μAであった。また、電子顕微鏡で観察した形態
は、図3−bに示したものと同様であった。
【0115】次に、これらの素子の動作安定性をみるた
めに、50Vを印加して動作し、素子電流If、放出電
流Ieの時間変化を測定した。この結果、100時間駆
動後も減少がほとんど見られなかった。
【0116】以上より、特定の電極のギャップ部にダイ
ヤモンドを分散させ、ダイヤモンドにTiCなどの炭化
物を接合させることにより、効率が良く安定した素子電
流If、放出電流Ieが長時間得られる電界電子放出素
子84が作製できた。
【0117】[実施例2]実施例1と同様な方法で電極
の種類を変えた素子を作製した。電極膜にはC(カーボ
ン),Ti,Nb,Ta,Mo,V,Zr,W,Cr,
Cu,Auを用いた。続いて実施例1と同様の評価装置
にて素子電流Ifと放出電流Ieを測定した。その結果
を電極にCを用いた場合を基準値として表1にまとめ
た。
【0118】
【表1】 電極膜にC,Ti,Nb,Ta,Mo,V,Zr,W,
Crを用いた場合は実施例1と同様の素子電流Ifと放
出電流Ieが観測されたが、電極膜にCu,Auを用い
た場合ではかなり少ない素子電流と放出電流しか得られ
なかった。その原因をしらべるために素子のギャップ部
の形態を電子顕微鏡で観察した結果、電極膜にTi,N
b,Ta,Mo,V,Zr,W,Crを用いた場合はダ
イヤモンドと電極膜の間にTiCなどの炭化物ができて
いることがわかった。また電極膜にCを用いた素子では
ダイヤモンドと電極膜の間に非晶質カーボンと思われる
層とグラファイトが観察された。また電極膜にCu,A
uを用いた場合ではそのような中間層は見られなかっ
た。以上の結果から電子放出部6の電極膜とダイヤモン
ド微粒子の間に金属性炭化物、或いははグラファイトと
非晶質カーボンの混合物のいずれかが接合されている素
子において、効率が良く安定した素子電流If、放出電
流Ieが得られる電子放出源が作製できることがわか
る。
【0119】さらに表1から電極膜にC,Ti,Nb,
Ta,Mo,V,Zr,Wを用いた場合に特に同じ電圧
で比較した場合、素子電流Ifや放出電流Ieが大きい
ことがわかる。これらの材料の炭化物の仕事関数が4.
6eV(C)、2.35eV(TiC)、4.1eV
(NbC)、3.05eV(TaC)、3.54eV
(MoC)、3.85eV(VC)、3.8eV(Zr
C)、4.6eV(W2C)と全て4.6eV以下であ
り、かつ放出電流Ieがほぼ仕事関数の少ない順に大き
くなっていることがわかる。
【0120】[実施例3]実施例1と同様な方法で電極
膜にC,TiC,Pdを用いて素子を作製した。ただし
アニールに関しては、真空中でアニール温度を上昇させ
ながら測定を行った。測定は実施例1と同様の評価装置
にて素子電流Ifと放出電流Ieを測定した。その際、
素子電圧100Vで放出電流Ieが1μAに達するまで
アニール温度を上昇させた。その結果、到達温度は電極
にCを用いた場合は600℃、Tiを用いた場合は52
0℃でありPdを用いた場合は800℃まで温度上昇さ
せても、1μAに達しなかった。
【0121】以上の結果から電子放出部6の電極膜には
Tiを含有する膜を用いるとダイヤモンドと電極膜の接
合を改善するためのアニール温度を低くすることができ
ることがわかる。
【0122】[実施例4]実施例1と同様な方法で電極
膜にTiを用いた素子を2つ作製した。電界電子放出素
子84の1つはそのままで、またもう一方は再度ダイヤ
モンドを実施例1の工程−bと同様の方法で素子の上に
付着させた。そして2つの素子を実施例1と同様の評価
装置6に設置し、真空ポンプにて排気し、10-4パスカ
ルの真空度に達した後、水素4%アルゴン96%のガス
を導入し10パスカルの圧力にした状態で250℃アニ
ールを10時間施した。そして2つの素子を評価装置に
て素子電流Ifと放出電流Ieを測定した。その結果1
50Vの素子電圧ではダイヤモンドを再付着させない素
子に比べて再付着させた素子では素子電流Ifが10%
程度減少したものの放出電流Ieは25%上昇し、結果
的に効率が高くなった。これは電子放出部6の陰極から
出た電子が電子放出部6の陽極に到達した際に2次電子
放出を起こし電子放出量を増加させているものと考えら
れる。
【0123】以上の結果からダイヤモンドを主成分とす
る微粒子が少なくとも電子放出部6の陰極側にあり、且
つ電子放出部6の陽極表面の駆動電圧における2次電子
放出効率が高い材料を用いることにより素子の電子放出
効率を増大させることができることがわかる。
【0124】[実施例5]実施例1と同様な方法で1つ
の基板に24個の電界電子放出84素子作成し、素子に
よる放出電流Ieのばらつきを測定した。ただし素子作
製工程−bを以下の様に変更した。
【0125】(A)ダイヤモンドが分散した溶液をスプ
レーにより基板1に塗布し、そのまま自然乾燥させた。
【0126】(B)ダイヤモンドが分散した溶液をスピ
ンコートにより塗布した。
【0127】但し、スピンコートの条件は1500回転
/分で1分間である。
【0128】(C)実施例1同様にダイヤモンドが分散
した溶液に基板1を垂直に浸し、そのまま基板1を5m
m/secのスピードで引き上げた。
【0129】(D)上記Bの方法と同様であるが、基板
1が溶液中にある間は溶液に超音波処理を行った。
【0130】上記A,B,C,Dの4種類の基板の素子
を作製しアニールした後、実施例1と同様に素子電圧1
00Vでの放出電流Ieを測定し24個の素子でのばら
つきを調べた。その結果A→B→C→Dの順でばらつき
は小さくなった。この原因を調べるために各素子のギャ
ップ部の形態を電子顕微鏡で観察した結果、Aの方法で
作製した素子はダイヤモンド微粒子がかなり凝集してお
り、ギャップ部が凸状になるほどダイヤモンドが付着す
る場合や、まったくダイヤモンドが見られない場合など
均一性がかなり悪かった。またBの方法で作製した素子
はダイヤモンド微粒子がスピンコートする際の回転中心
から筋状に付着しており、回転中心付近と中心から離れ
た場所での付着の様子がかなり異なっていた。これは溶
液の比重に比べてダイヤモンドの比重が3倍程度あった
ためと考えられる。またCの方法で作製した素子はダイ
ヤモンド微粒子がかなり均一に付着していたが、ところ
どころ数個のダイヤモンドが凝集しているのがわかっ
た。またDの方法で作製した素子はダイヤモンド微粒子
がほぼ均一に付着しているのがわかった。これは超音波
により若干の凝集が防げたものと考えられる。
【0131】[実施例6]実施例5と同様な方法で1つ
の基板に24個の電界電子放出素子84を作成した。た
だし素子作製工程−bを以下の様に変更した。
【0132】(A)ポリビニルアルコールと重クロム酸
塩との水溶液に実施例1と同じダイヤモンド微粒子を分
散させ、そのスラリーをスピンコートで塗布し乾燥後シ
ャドウマスクの上から水銀灯で露光した。その後、純水
で洗浄し不要部分は除去した。
【0133】(B)ダイヤモンドを含まないポリビニル
アルコールと重クロム酸塩との水溶液を基板1に塗布し
た後、乾燥する前に実施例1と同じダイヤモンド微粒子
をエアスプレーにより付着させ、その後(A)と同様に
露光し洗浄し乾燥させた。
【0134】上記A,Bの2種類の基板1の電界電子放
出素子84を作製しアニールした後、実施例5と同様に
素子電圧100Vでの放出電流Ieを測定した結果、同
様の電子放出の特性が得られた。また各素子のダイヤモ
ンド付着の様子を電子顕微鏡で観察した結果、両方とも
紫外線照射した部分だけダイヤモンドが付着しているこ
とがわかった。
【0135】以上の結果からポリビニルアルコールなど
の高分子と重クロム酸塩などの混合された膜に紫外線照
射することによりダイヤモンド微粒子膜のパターニング
が出来ることがわかった。また、洗浄した溶液を回収す
ることによりダイヤモンドなどの再利用でき、コスト的
にも有効であることがわかる。
【0136】[実施例7]実施例1と同様な方法で1つ
の基板に2個の素子作成し、素子の素子電流Ifを放出
電流Ieを測定した。ただし素子作製工程を以下の様に
変更した。
【0137】(A)ダイヤモンド微粒子の一部を真空中
1300℃にて熱処理し若干炭化させたものを原料にし
た。
【0138】(B)実施例1と同様であるが実施例1の
水素アニール前にYAGレーザーにて電子放出部を溶融
しない程度の出力にしてアニールした。
【0139】上記A,Bの2種類の基板1の電界電子放
出素子84を作製した後、実施例1と同様に電界電子放
出素子84の特性の評価の為に図6の測定評価装置にて
素子電圧100Vで素子電流If、放出電流Ieの測定
を行った。その結果A,Bのどちらの方法においてもこ
れらの処置をしなかった素子に比べ素子電流If、放出
電流Ieの増大が見られた。この原因を調べるために各
素子の電子放出部6の形態を電子顕微鏡で観察した結
果、どちらの方法で作製した素子でもダイヤモンド微粒
子と電極の接触面積が大きくなっているように観察され
た。
【0140】以上の結果からダイヤモンド層形成工程に
用いるダイヤモンド微粒子の表面にあらかじめ金属性炭
化物、グラファイトや非晶質カーボンを結合させておく
ことや、ダイヤモンド微粒子および電極膜にレーザーな
どの電磁波を照射することにより素子特性が改善される
ことがわかる。
【0141】[実施例8]実施例1と同様な方法で1つ
の基板に2個の電界電子放出素子84を作成し、図6の
測定評価装置にて素子電圧100Vで素子電流If、放
出電流Ieの測定を行った。ただし素子作製工程を以下
の様に変更した。
【0142】(A)素子作製後の水素4%中アニールを
行わなかった。
【0143】(B)実施例1と同様であるが実施例1の
水素アニールの際の水素分圧を低い方から増大させなが
ら素子評価を行った。
【0144】(C)素子作製後の水素4%中アニールを
行わなかったが、素子の初期駆動を水素分圧を低い方か
ら増大させながら素子評価を行った。
【0145】(D)素子作製後の水素4%中アニールを
行わなかったが、その代わりに1パスカルの圧力にて素
子表面の水素プラズマ処理をおこなった。
【0146】上記A,B,C,Dの4種類の方法で作製
した素子において、(A)の方法で作製した素子では素
子電流If、放出電流Ieともに約3分の1に減少した
が、(B)の方法で作製した素子では水素分圧10-6
スカル以上の雰囲気で、(C)の方法で作製した素子で
は水素分圧10-7パスカル以上10-2パスカル以下の雰
囲気では素子電流If、放出電流Ieともに実施例1の
方法で作製した素子に比べて遜色はなく、(D)の方法
においても同様であった。この原因としてダイヤモンド
微粒子の表面性の改善が考えられる。
【0147】[実施例9]本実施例は、多数の電界電子
放出素子84を単純マトリクス配置した画像形成装置の
例である。
【0148】電子源基板81の一部の平面図を図14に
示す。また、図中のA−A′断面図を図15に示す。但
し、図14、図15、図16で、同じ記号を示したもの
は、同じものを示す。ここで1は基板、82は図8のD
xi(1≦i≦m)に対応するX方向配線(下配線とも
呼ぶ)、83は図8のDyj(1≦j≦n)に対応する
Y方向配線(上配線とも呼ぶ)、2,3は電極、151
は層間絶縁層、152は電極2と下配線82と電気的接
続のためのコンタクトホールであり、153はダイヤモ
ンド微粒子層である。
【0149】次に、製造方法を図16を参照して工程順
に従って具体的に説明する。
【0150】(工程−a)清浄化した青板ガラス上に厚
さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した
基板1上に、真空蒸着により厚さ5nmのCr、厚さ6
00nmのAuを順次積層した後、ホトレジスト(AZ
1370 ヘキスト社製)をスピンナーにより回転塗
布、ベークした後、ホトマスク像を露光、現像して、下
配線82のレジストパターンを形成し、Au/Cr堆積
膜をウエットエッチングして、所望の形状の下配線82
を形成する。
【0151】(工程−b)次に厚さ1.0μmのシリコ
ン酸化膜からなる層間絶縁層151をRFスパッタ法に
より堆積する。
【0152】(工程−c)工程bで堆積したシリコン酸
化膜にコンタクトホール152を形成するためのホトレ
ジストパターンを作り、これをマスクとして層間絶縁層
151をエッチングしてコンタクトホール152を形成
する。エッチングはCF4 とH2 ガスを用いたRIE
(Reactive Ion Etching)法によった。
【0153】(工程−d)その後、電極2,3と電子放
出部6となるべきパターンをホトレジスト(RD−20
00N−41 日立化成製)形成し、真空蒸着法によ
り、厚さ100nmのTiを堆積した。ホトレジストパ
ターンを有機溶剤で溶解し、Ti堆積膜をリフトオフ
し、電極2,3のギャップ幅(L)を5μmとし、電極
の幅Wを300μm、を有する電極2,3および電子放
出部6を形成した。
【0154】(工程−e)電極2,3の上に上配線83
のホトレジストパターンを形成した後、厚さ500nm
のAuを真空蒸着により堆積し、リフトオフにより不要
の部分を除去して、所望の形状の上配線83を形成し
た。
【0155】(工程−f)電極2,3の上にダイヤモン
ド微粒子分散層152用のホトレジストパターンを形成
した後、そのうえに基板全体を水、イソプロピルアルコ
ール(IPA)、ポリビニルアルコール、ダイヤモンド
微粒子(デビアス社製、天然ダイヤモンドSND 0〜
1/4μm、ダイヤモンドは1重量%)を混合した溶液
中に浸し、その液に浸した後ゆっくり引き上げ乾燥して
ダイヤモンドを付着させリフトオフにより不要の部分を
除去して、更に空気中350℃でアニールしダイヤモン
ド微粒子の付着強度を上げ、所望の形状のダイヤモンド
微粒子分散層153を形成した。
【0156】(工程−g)その後、YAGレーザーによ
り基板をX,Y方向に操作させながらダイヤモンド微粒
子層153の部分をレーザーアニールした。
【0157】以上の工程により絶縁性基板1上に下配線
82、層間絶縁層151、上配線83、電極2,3、電
子放出部6、ダイヤモンド微粒子層153等を形成し
た。
【0158】つぎに、以上のようにして作成した電子源
基板81を用いて画像表示装置を構成した例を、図8と
図10を参照して説明する。
【0159】上記のようにして多数の電界電子放出素子
84を作製した基板1(電子源基板81)をリアプレー
ト101上に固定した後、電子源基板81の3mm上方
に、フェースプレート106(ガラス基板103の内面
に蛍光膜104とメタルバック105が形成されて構成
される)を支持枠102を介し配置し、フェースプレー
ト106、支持枠102、リアプレート101の接合部
にフリットガラスを塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気
中で400℃で10分以上焼成することで封着した。ま
たリアプレート101への電子源基板81の固定もフリ
ットガラスで行った。
【0160】蛍光膜104は、本実施例では蛍光体は図
9(a)に示すストライプ形状を採用し、先にブラック
ストライプ(黒色導電材)91を形成し、その間隙部に
各色蛍光体92を塗布し、蛍光膜104を作製した。ブ
ラックストライプ91の材料として通常良く用いられて
いる黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガラス基板10
3に蛍光体92を塗布する方法としてはスラリー法を用
いた。また、蛍光膜104の内面側には通常メタルバッ
ク105が設けられる。メタルバックは、蛍光膜104
の作製後、蛍光膜104の内面側表面の平滑化処理を行
い、その後Alを真空蒸着することで作製した。更に蛍
光膜104の導電性を高めるため、フェースプレート1
06の蛍光膜104の外面側に透明電極(不図示)が設
けられる場合もあるが、本実施例では、メタルバックの
みで十分な導電性が得られたので省略した。
【0161】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行った。
【0162】(工程−h)以上のようにして完成した外
囲器108内の雰囲気を排気管(図示せず)を通じ真空
ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、水素4%
アルゴン96%のガスを導入し、100パスカルの圧力
にした状態で250℃アニールを1時間施した。
【0163】次に10-5パスカル程度の真空度まで排気
し、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着
し外囲器108の封止を行った。
【0164】最後に封止後の真空度を維持するために、
高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0165】以上のように完成した本実施例による画像
表示装置において、各電子放出素子84には、容器外端
子Dx1乃至Dxm及びDy1乃至Dynを通じ、走査
信号及び変調信号を図11のの信号発生手段よりそれぞ
れ、印加することにより、電子放出させ、高圧端子Hv
を通じ、メタルバック105、あるいは透明電極(不図
示)に数kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速
し、蛍光膜104に衝突させ、励起・発光させることで
画像を表示した。
【0166】本実施例の画像表示装置は、明るくかつ安
定な表示が行えた。
【0167】[実施例10]図17は、前記説明の電子
源基板81の電界電子放出素子84を電子ビーム源とし
て用いたディスプレイパネルに、たとえばテレビジョン
放送をはじめとする種々の画像情報源より提供される画
像情報を表示できるように構成した表示装置の一例を示
すための図である。図中3300はディスプレイパネ
ル、3301はディスプレイパネルの駆動回路、330
2はディスプレイコントローラ、3303はマルチプレ
クサ、3304はデコーダ、3305は入出力インター
フェース回路、3306はCPU、3307は画像生成
回路、3308乃至3310は画像メモリーインターフ
ェース回路、3311は画像入力インターフェース回
路、3312および3313はTV信号受信回路、33
14は入力部である。(なお、本表示装置は、たとえば
テレビジョン信号のように映像情報と音声情報の両方を
含む信号を受信する場合には、当然映像の表示と同時に
音声を再生するものであるが、本発明の特徴と直接関係
しない音声情報の受信、分離、再生、処理、記憶などに
関する回路やスピーカーなどについては説明を省略す
る。)以下、画像信号の流れに沿って各部の機能を説明
してゆく。
【0168】まず、TV信号受信回路3313は、たと
えば電波や空間光通信などのような無線伝送系を用いて
伝送されるTV画像信号を受信する為の回路である。受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、た
とえば、NTSC方式、PAL方式、SECAM方式な
どの諸方式でもよい。また、これらよりさらに多数の走
査線よりなるTV信号(たとえばいわゆる高品位TV)
は、大面積化や大画素数化に適した前記ディスプレイパ
ネルの利点を生かすのに好適な信号源である。TV信号
受信回路3313で受信されたTV信号は、デコーダ3
304に出力される。
【0169】また、TV信号受信回路3312は、たと
えば同軸ケーブルや光ファイバーなどのような有線伝送
系を用いて伝送されるTV画像信号を受信するための回
路である。前記TV信号受信回路3313と同様に、受
信するTV信号の方式は特に限られるものではなく、ま
た本回路で受信されたTV信号もデコーダ3304に出
力される。
【0170】また、画像入力インターフェース回路33
11は、たとえばTVカメラや画像読み取りスキャナー
などの画像入力装置から供給される画像信号を取り込む
ための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ330
4に出力される。
【0171】また、画像メモリーインターフェース回路
3310はビデオテープレコーダー(以下、VTRと略
す)に記憶されている画像信号を取り込むための回路
で、取り込まれた画像信号はデコーダ3304に出力さ
れる。
【0172】また、画像メモリーインターフェース回路
3309は、ビデオディスクに記憶されている画像信号
を取り込むための回路で、取り込まれた画像信号はデコ
ーダ3304に出力される。
【0173】また、画像メモリーインターフェース回路
3308は、いわゆる静止画ディスクのように、静止画
像データを記憶している装置から画像信号を取り込むた
めの回路で、取り込まれた静止画像データはデコーダ3
304に入力される。
【0174】また、入出力インターフェース回路330
5は、本表示装置と、外部のコンピュータもしくはコン
ピュータネットワークもしくはプリンターなどの出力装
置とを接続するための回路である。画像データや文字・
図形情報の入出力を行うのはもちろんのこと、場合によ
っては本表示装置の備えるCPU3306と外部との間
で制御信号や数値データの入出力などを行うことも可能
である。
【0175】また、画像生成回路3307は、前記入出
力インターフェース回路3305を介して外部から入力
される画像データや文字・図形情報や、あるいはCPU
3306より出力される画像データや文字・図形情報に
もとづき表示用画像データを生成するための回路であ
る。本回路の内部には、たとえば画像データや文字・図
形情報を蓄積するための書き換え可能メモリーや、文字
コードに対応する画像パターンが記憶されている読み出
し専用メモリーや、画像処理を行うためのプロセッサー
などをはじめとして画像の生成に必要な回路が組み込ま
れている。
【0176】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ3304に出力されるが、場合によっては
前記入出力インターフェース回路3305を介して外部
のコンピュータネットワークやプリンターに出力するこ
とも可能である。
【0177】また、CPU3306は、主として本表示
装置の動作制御や、表示画像の生成や選択や編集に関わ
る作業を行う。
【0178】たとえば、マルチプレクサ3303に制御
信号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号
を適宜選択したり組み合わせたりする。また、その際に
は表示する画像信号に応じてディスプレイパネルコント
ローラ3302に対して制御信号を発生し、画面表示周
波数や走査方法(たとえばインターレースかノンインタ
ーレースか)や一画面の走査線の数など表示装置の動作
を適宜制御する。
【0179】また、前記画像生成回路3307に対して
画像データや文字・図形情報を直接出力したり、あるい
は前記入出力インターフェース回路3305を介して外
部のコンピュータやメモリーをアクセスして画像データ
や文字・図形情報を入力する。なお、CPU3306
は、むろんこれ以外の目的の作業にも関わるものであっ
て良い。たとえば、パーソナルコンピュータやワードプ
ロセッサなどのように、情報を生成したり処理する機能
に直接関わっても良い。あるいは、前述したように入出
力インターフェース回路3305を介して外部のコンピ
ュータネットワークと接続し、たとえば数値計算などの
作業を外部機器と協同して行っても良い。
【0180】また、入力部3314は、前記CPU33
06に使用者が命令やプログラム、あるいはデータなど
を入力するためのものであり、たとえばキーボードやマ
ウスのほか、ジョイスティック、バーコードリーダー、
音声認識装置など多様な入力機器を用いる事が可能であ
る。
【0181】また、デコーダ3304は、前記3307
乃至3313より入力される種々の画像信号を3原色信
号、または輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するため
の回路である。なお、同図中に点線で示すように、デコ
ーダ3304は内部に画像メモリーを備えるのが望まし
い。これは、たとえばMUSE方式をはじめとして、逆
変換するに際して画像メモリーを必要とするようなテレ
ビ信号を扱うためである。また、画像メモリーを備える
事により、静止画の表示が容易になる、あるいは前記画
像生成回路3307およびCPU3306と協同して画
像の間引き、補間、拡大、縮小、合成をはじめとする画
像処理や編集が容易に行えるようになるという利点が生
まれるからである。
【0182】また、マルチプレクサ3303は、前記C
PU3306より入力される制御信号にもとづき表示画
像を適宜選択するものである。すなわち、マルチプレク
サ3303はデコーダ3304から入力される逆変換さ
れた画像信号のうちから所望の画像信号を選択して駆動
回路3301に出力する。その場合には、一画面表示時
間内で画像信号を切り替えて選択することにより、いわ
ゆる多画面テレビのように、一画面を複数の領域に分け
て領域によって異なる画像を表示することも可能であ
る。
【0183】また、ディスプレイパネルコントローラ3
302は、前記CPU3306より入力される制御信号
にもとづき駆動回路3301の動作を制御するための回
路である。
【0184】まず、ディスプレイパネル3300の基本
的な動作に関わるものとして、たとえばディスプレイパ
ネルの駆動用電源(図示せず)の動作シーケンスを制御
するための信号を駆動回路3301に対して出力する。
また、ディスプレイパネル3300の駆動方法に関わる
ものとして、たとえば画面表示周波数や走査方法(たと
えばインターレースかノンインターレースか)を制御す
るための信号を駆動回路3301に対して出力する。
【0185】また、場合によっては表示画像の輝度やコ
ントラストや色調やシャープネスといった画質の調整に
関わる制御信号を駆動回路3301に対して出力する場
合もある。
【0186】また、駆動回路3301は、ディスプレイ
パネル3300に印加する駆動信号を発生するための回
路であり、前記マルチプレクサ3303から入力される
画像信号と、前記ディスプレイパネルコントローラ33
02より入力される制御信号にもとづいて動作するもの
である。
【0187】以上、各部の機能を説明したが、図17に
例示した構成により、本表示装置においては多様な画像
情報源より入力される画像情報をディスプレイパネル3
300に表示する事が可能である。すなわち、テレビジ
ョン放送をはじめとする各種の画像信号はデコーダ33
04において逆変換された後、マルチプレクサ3303
において適宜選択され、駆動回路3301に入力され
る。一方、ディスプレイコントローラ3302は、表示
する画像信号に応じて駆動回路3301の動作を制御す
るための制御信号を発生する。駆動回路3301は、上
記画像信号と制御信号にもとづいてディスプレイパネル
3300に駆動信号を印加する。これにより、ディスプ
レイパネル3300において画像が表示される。これら
の一連の動作は、CPU3306により統括的に制御さ
れる。
【0188】また、本表示装置においては、前記デコー
ダ3304に内蔵する画像メモリや、画像生成回路33
07および情報の中から選択したものを表示するだけで
なく、表示する画像情報に対して、たとえば拡大、縮
小、回転、移動、エッジ強調、間引き、補間、色変換、
画像の縦横比変換などをはじめとする画像処理や、合
成、消去、接続、入れ換え、はめ込みなどをはじめとす
る画像編集を行う事も可能である。また、本実施例の説
明では特に触れなかったが、上記画像処理や画像編集と
同様に、音声情報に関しても処理や編集を行なうための
専用回路を設けても良い。
【0189】したがって、本表示装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像およ
び動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機
器、ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、
ゲーム機などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、
産業用あるいは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0190】なお、上記図17は、電界電子放出素子8
4を電子ビーム源とするディスプレイパネル3300を
用いた表示装置の構成の一例を示したにすぎず、これの
みに限定されるものでない事は言うまでもない。たとえ
ば、図17の構成要素のうち使用目的上必要のない機能
に関わる回路は省いても差し支えない。またこれとは逆
に、使用目的によってはさらに構成要素を追加しても良
い。たとえば、本表示装置をテレビ電話機として応用す
る場合には、テレビカメラ、音声マイク、照明機、モデ
ムを含む送受信回路などを構成要素に追加するのが好適
である。
【0191】本表示装置においては、とりわけ電界電子
放出素子84を電子ビーム源とするディスプレイパネル
3300の薄形化が容易なため、表示装置の奥行きを小
さくすることができる。それに加えて、本実施例の電界
電子放出素子を電子ビーム源とするディスプレイパネル
3300は大輝度が高く、駆動時の安定性の高い表示装
置であった。
【0192】
【発明の効果】本発明の電界電子放出素子は、以下の効
果を奏する。 (1)素子の電子放出量、および放出効率を増大でき
る。 (2)素子の駆動電圧を下げることができる。 (3)動作駆動時の放出電流のノイズや揺らぎを少なく
し、且つ再現性、均一性も向上する。
【0193】本発明の電界電子放出素子の製造方法は、
以下の効果を奏する。 (4)簡便にダイヤモンド微粒子分散層を形成できる。 (5)ダイヤモンド微粒子分散層を均一に形成でき、凝
集も抑えられる。 (6)ダイヤモンド微粒子分散層を所望のパターンに簡
便に形成できる。
【0194】更に、本発明の電界電子電子源によれば、
入力信号に応じて、複数個配置された電解電子放出素子
から、任意の電界電子放出素子の電子放出素子を制御で
きる。
【0195】本発明の画像形成装置によれば、大きな放
出電流、動作駆動時の放出電流のノイズおよび減少の少
ない本発明の電界電子放出素子を配置することで、入力
信号に応じて複数個配置された電界電子放出素子の中か
ら、任意の電界電子放出素子の電子放出量を制御しうる
ので、画面が明るく、特性が安定したフラットカラーテ
レビが提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】a,bは本発明の実施形態による電界電子放出
素子の構成を示す模式的平面図及び断面図である。
【図2】本発明の実施形態による電界電子放出素子の絶
縁層21を用いた素子の断面図である。
【図3】本発明の実施形態による電界電子放出素子の電
子放出部の拡大図である。
【図4】本発明の実施形態による電界電子放出素子の配
線4、5がある場合の平面図である。
【図5】本発明の実施形態による電界電子放出素子の製
造方法の1例を示す模式図である。
【図6】測定評価機能を備えた真空処理装置の一例を示
す模式図である。
【図7】本発明の実施形態による電界電子放出素子の放
出電流Ie、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の一例
を示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態による単純マトリクス配置し
た電子源基板の一例を示す模式図である。
【図9】蛍光膜一例を示す模式図である。
【図10】本発明の実施形態による画像形成装置の表示
パネルの一例を示す模式図である。
【図11】本発明の実施形態による実施形態による画像
形成装置にNTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行
なうための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施形態による梯子配置の電子源基
板の一例を示す模式図である。
【図13】図12の電子源基板を使用した画像形成装置
の表示パネルの一例を示す模式図である。
【図14】本発明の実施例9の電子源基板の一部の平面
図である。
【図15】本発明の実施例9の電子源基板の一部の断面
図である。
【図16】本発明の実施例9の工程図である。
【図17】本発明の実施例10の表示装置の模式図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 2、3 電極 4、5 電気配線 6 電子放出部 7 ダイヤモンド微粒子分散膜 8 電極膜 21 絶縁層 60 電極2,3間を流れる素子電流Ifを測定するた
めの電流計 61 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電
源 62 素子の電子放出部6より放出される放出電流Ie
を測定するための電流計 63 アノード電極64に電圧を印加するための高圧電
源 64 素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを
捕捉するためのアノード電極 65 真空装置 66 排気ポンプ 81 電子源基板 82 X方向配線 83 Y方向配線 84 電界電子放出素子 85 結線 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 リアプレート 102 支持枠 103 ガラス基板 104 蛍光膜 105 メタルバック 106 フェースプレート 107 高圧端子 108 外囲器 111 表示パネル 112 走査回路 113 制御回路 114 シフトレジスタ 115 ラインメモリ 116 同期信号分離回路 117 変調信号発生器 Vx,Va 直流電圧源 120、134 電子源基板 122 Dx1〜Dx10は、前記電子放出素子を配線
するための共通配線 130 グリッド電極 131 電子が通過するための空孔 132 Dox1,Dox2,...,Doxmよりな
る容器外端子 133 グリッド電極130と接続されたG1,G2 151 層間絶縁層 152 電極2と下配線82と電気的接続のためのコン
タクトホール 153 ダイヤモンド微粒子分散膜 3300 ディスプレイパネル 3301 ディスプレイパネルの駆動回路 3302 ディスプレイコントローラ 3303 マルチプレクサ 3304 デコーダ 3305 入出力インターフェース回路 3306 CPU 3307 画像生成回路 3308、3309、3310 画像メモリーインター
フェース回路 3311 画像入力インターフェース回路 3312、3313 TV信号受信回路 3314 入力部

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に形成された対向する一対の電
    極、および電子放出部を有する電界電子放出素子におい
    て、少なくとも電子放出部にダイヤモンドを主成分とす
    る微粒子を有しており、且つ該ダイヤモンド微粒子と該
    電極の界面に金属性炭化物又は炭素が接合部として存在
    していることを特徴とする電界電子放出素子。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電界電子放出素子にお
    いて、前記ダイヤモンド微粒子と前記電極の界面の材料
    の仕事関数が4.6eV以下であることを特徴とする電
    界電子放出素子。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の電界電子放出素子にお
    いて、前記電極にTiが含まれていることを特徴とする
    電界電子放出素子。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の電界電子放出素子にお
    いて、前記ダイヤモンドを主成分とする微粒子が少なく
    とも前記電子放出部の陰極側にあり、且つ前記電子放出
    部の陽極表面の2次電子放出効率が500V以下の電圧
    において2以上であることを特徴とする電界電子放出素
    子。
  5. 【請求項5】 入力信号に応じて電子を放出する電子源
    基板であって、請求項1乃至4の電界電子放出素子を、
    基体上に、複数個配置したことを特徴とする電子源基
    板。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の電子源基板において、
    前記基体に、行方向に配列した複数の前記電界電子放出
    素子と個々の素子の両端に接続する配線よりなる行を複
    数有し、更に、前記複数の電界電子放出素子より放出さ
    れる電子を変調する変調手段を有することを特徴とする
    電子源電子源。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の電子源基板において、
    前記基体に、前記複数の電界電子放出素子は行列状に配
    置され、同一行の複数の電界電子放出素子の一方の電極
    を接続する複数の行方向配線と、同一列の複数の電界電
    子放出素子の他方の電極を接続する複数の列方向配線と
    を更に有することを特徴とする電子源基板。
  8. 【請求項8】 入力画像信号に基づいて画像を形成する
    装置であって、画像形成部材と請求項5乃至7のいずれ
    か1項に記載の電子源基板を有することを特徴とする画
    像形成装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の画像形成装置におい
    て、前記画像形成部材が、蛍光体であることを特徴とす
    る画像形成装置。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載
    の電界電子放出素子の製造方法において、前記ダイヤモ
    ンド微粒子の形成工程が、前記ダイヤモンド微粒子を分
    散する工程であることを特徴とする電界電子放出素子の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の電界電子放出素子
    の製造方法において、前記ダイヤモンド微粒子の形成工
    程が、前記電界電子放出素子のダイヤモンド微粒子分散
    液中からの引き上げ工程であることを特徴とする電界電
    子放出素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の電界電子放出素子
    の製造方法において、前記ダイヤモンド微粒子分散液中
    からの引き上げ工程中に超音波処理を施すことを特徴と
    する電界電子放出素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項10乃至12のいずれか1項に
    記載の電界電子放出素子の製造方法において、前記ダイ
    ヤモンド微粒子分散のパターニングに紫外線照射による
    高分子の反応を用いることを特徴とする電界電子放出素
    子の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項10乃至13のいずれか1項に
    記載の電界電子放出素子の製造方法において、前記ダイ
    ヤモンド微粒子の形成工程に用いるダイヤモンド微粒子
    の表面にあらかじめ金属性炭化物又は炭素が結合してい
    ることを特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項10乃至14のいずれか1項に
    記載の電界電子放出素子の製造方法において、前記ダイ
    ヤモンド微粒子層形成工程の後に、前記ダイヤモンド微
    粒子および前記電極に電磁波の照射工程を有することを
    特徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項10乃至14のいずれか1項に
    記載の電界電子放出素子の製造方法において、前記ダイ
    ヤモンド微粒子層形成工程の後に、水素分圧10-6パス
    カル以上の雰囲気でアニールする工程を有することを特
    徴とする電界電子放出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項10乃至14のいずれか1項に
    記載の電界電子放出素子の製造方法において、前記ダイ
    ヤモンド微粒子層形成工程の後に、水素分圧10-7パス
    カル以上、10-2パスカル以下の雰囲気で電子放出素子
    を初期駆動する工程を有することを特徴とする電界電子
    放出素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項10乃至14のいずれか1項に
    記載の電界電子放出素子の製造方法において、前記ダイ
    ヤモンド微粒子層形成工程の後に、ダイヤモンド微粒子
    層の表面を水素プラズマ処理する工程を有することを特
    徴とする電界電子放出素子の製造方法。
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