JPH11310769A - 耐熱性ボンディングシート用接着剤、耐熱性ボンディングシート、およびそれらを用いた耐熱性フレキシブル銅張積層板の製造方法 - Google Patents

耐熱性ボンディングシート用接着剤、耐熱性ボンディングシート、およびそれらを用いた耐熱性フレキシブル銅張積層板の製造方法

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JPH11310769A
JPH11310769A JP11853998A JP11853998A JPH11310769A JP H11310769 A JPH11310769 A JP H11310769A JP 11853998 A JP11853998 A JP 11853998A JP 11853998 A JP11853998 A JP 11853998A JP H11310769 A JPH11310769 A JP H11310769A
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resistant
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resistant bonding
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JP11853998A
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Shoichi Tajima
正一 田嶋
Hiroyuki Furuya
浩行 古谷
Yoichi Hosokawa
洋一 細川
Kosuke Kataoka
孝介 片岡
Naoki Hase
直樹 長谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分な機械的強度を有しつつ、耐熱性、接着
性、寸法安定性、低誘電特性に優れ、特に加工性に優れ
た耐熱性ボンディングシート用接着剤、耐熱性ボンディ
ングシート、およびそれらを用いたフレキシブル銅張積
層板の製造方法の提供を目的とする。 【解決手段】 固有粘度(η)が、0.05〜5.0の
範囲である耐熱性ボンディングシート用接着剤を調製
し、耐熱性ベースフィルムの片面又は両面に接着剤層と
して塗布して加熱乾燥することで、耐熱性ボンディング
シートを得る。特には、この耐熱性ボンディングシート
用接着剤は、熱融着性のポリイミド共重合体の前駆体か
らなる。本発明の耐熱性ボンディングシートは、特にフ
レキシブル銅張積層板の製造に用いることができる。こ
のとき、真空加熱圧着法が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベースフィルムの片面
または両面に接着剤層を設けて2層または3層構造を有
する耐熱性ボンディングシートの製造に用いられる接着
剤およびそれを含む耐熱性ボンディングシ─ト、それを
用いた耐熱性フレキシブル銅張積層板の製造方法に関
し、さらに詳しくは、耐熱性、接着性に優れ、さらに熱
可塑性の性質を有する耐熱性ボンディングシート用接着
剤、それを含むボンディングシ─ト、およびそれを用い
た耐熱性フレキシブル銅張積層板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の高性能化、高機能化、
小型化が急速に進んでおり、電子機器に用いられる電子
部品の小型化、軽量化の要請が高まっている。これに伴
い、電子部品の素材についても、耐熱性、機械的強度、
電気特性等の諸物性が求められ、半導体素子パッケージ
方法やそれらを実装する配線板にも、より高密度、高機
能、かつ高性能なものが求められるようになってきた。
特に、半導体パッケージ、COL(チップオンリ─ド)
及びLOC(リ─ドオンチップ)パッケージやMCM
(マルチチップモジュ─ル)等の高密度実装材料、多層
FPC(フレキシブルプリント回路)等のプリント配線
板材料、さらには航空宇宙材料として好適に用いること
のできる良好な接着特性を示す接着剤が求められてい
る。
【0003】一般に電子部品や電子材料に用いられる接
着剤としては、低温での処理が容易であることから、エ
ポキシ系樹脂やアクリル系樹脂が用いられている。これ
らの接着剤は半導体素子を製造するときにリードフレー
ムと素子とを接着する用途にも用いられている。
【0004】しかし、これらの接着剤は、低温での処理
は容易ではあるが、耐熱性に劣るという問題を有してお
り、高温時の接着強度や信頼性が低い。さらにこれらの
接着剤を用いた接着には、高温度での長時間のキュアを
必要とするため、電気・電子機器の故障を誘発し、電気
・電子材料には不向きであった。そのため、特に半導体
素子を製造するときのような高密度実装材料用途には、
高い耐熱性などの優れた特性を有する接着剤が望まれて
いる。
【0005】一方、このような要望に応える接着剤とし
て、高い耐熱性、機械的特性を有しており、しかも低誘
電特性に優れるポリイミドは、有望である。ポリイミド
は、固体または溶液の状態であるポリアミド酸を加熱重
縮合して得られる。しかし、一般にポリイミドは閉環状
態ではほとんど不溶、不融で流動性を示さなくなるた
め、有機合成高分子の絶縁材料として、FPCやTAB
(テ−プボンディング)用ベースフィルム等には利用さ
れているが、接着剤としての利用はほとんどなかった。
【0006】最近ポリイミド系で、接着剤として使用さ
れている例が提案されている。例えば、特開平2138
789号では、3,3’, 4,4’ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとから得られる
芳香族ポリイミドとポリマレイミドとを混合した樹脂組
成物から得られる接着フィルムを用い、ポリイミドフィ
ルム等の基材と銅箔とを接着させるFPCの製造方法が
提案されている。また、特開平5179224号や特開
平5112768号では、種々の加熱加圧圧着法で接着
できる熱可塑性ポリイミド接着剤について提案されてい
る。
【0007】しかし、これらのポリイミド系の接着剤
は、ポリイミドの溶融流動性を改善して接着剤としての
利用を可能としているが、接着に高温・長時間を要し、
加工性に問題があった。また吸湿しやすく吸湿後の電気
特性が悪くなるという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】そこで、本発明者ら
は、上記問題を解決し、充分な機械的強度を有しつつ、
耐熱性、接着性、寸法安定性、低吸水率、低誘電特性に
優れる等の諸特性を有し、特に加工性に優れた耐熱性ボ
ンディングシート用の接着剤および耐熱性ボンディング
シートを提供することを目的とし、鋭意研究を行った結
果、本発明を完成するに至った。
【0009】さらに、本発明者らは、このような耐熱性
ボンディングシートを用いた耐熱性フレキシブル銅張積
層板を製造するにあたり、従来の加熱圧着による方法で
は接着剤層の泡抜け性が悪く、耐熱性、耐ハンダ性、吸
湿性、および電気特性などの諸性質に影響が出て、電子
材料の劣化および材料の破壊が進むことを見いだした。
そして、新規な接着剤の優れた性質を最大限に活かし、
優れた耐熱性フレキシブル銅張積層板を製造する方法を
提供することを別の目的とし、鋭意検討を行った結果、
本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
【0011】本発明の耐熱性ボンディングシート用接着
剤の要旨とするところは、固有粘度(η)が0.05〜
5.0の範囲であることにある。
【0012】さらに、上記本発明の耐熱性ボンディング
シート用接着剤の要旨とするところは、数平均分子量
(Mn)が60,000〜150,000、重量平均分
子量(Mw)が、80,000〜200,000、分子
量分布(Mn/Mw)が、1.4〜2.5であることに
ある。
【0013】さらに、上記本発明の耐熱性ボンディング
シート用接着剤の要旨とするところは、一般式(1)
【0014】
【化7】
【0015】(式中、mおよびnは、各反復単位モル分
率に等しく、mは0.00〜0. 95、nは、1. 00
〜0. 05であり、mとnとの和は1.00であり、A
およびBは4価の有機基、XおよびYは2価の有機基を
示す)で表される、熱融着性を有するポリアミド酸溶液
であることにある。
【0016】さらに、上記耐熱性ボンディングシート用
接着剤の要旨とするところは、上記ポリアミド酸溶液を
ポリイミドに変換した後のガラス転移温度が350℃以
下であることにある。
【0017】さらに、上記耐熱性ボンディングシート用
接着剤の要旨とするところは、前記一般式(1)中のA
およびBが、それぞれ
【0018】
【化8】
【0019】に示す4価の有機基の群から選択される少
なくとも1種であり、XおよびYが、それぞれ、
【0020】
【化9】
【0021】に示す2価の有機基の群から選択される少
なくとも1種であることにある。
【0022】本発明の耐熱性ボンディングシートの要旨
とするところは、耐熱性ベ─スフィルムの片面あるいは
両面に耐熱性接着層を積層してなり、該耐熱性接着層
が、固有粘度(η)が0.05〜5.0の範囲である耐
熱性ボンディングシート用接着剤あるいは該接着剤の反
応硬化物からなることにある。
【0023】さらに、本発明の耐熱性ボンディングシー
トの要旨とするところは、耐熱性ベ─スフィルムの片面
あるいは両面に上記耐熱性接着層を積層してなり、その
耐熱性接着層が、数平均分子量(Mn)が60,000
〜150,000、重量平均分子量(Mw)が、80,
000〜200,000、分子量分布(Mn/Mw)
が、1.4〜2.5の接着剤あるいは該接着剤の反応硬
化物からなることにある。
【0024】上記耐熱性接着層が、一般式(1)
【0025】
【化10】
【0026】(式中、mおよびnは、各反復単位モル分
率に等しく、mは0.00〜0. 95、nは、1. 00
〜0. 05であり、mとnとの和は1.00であり、A
およびBは4価の有機基、XおよびYは2価の有機基を
示す)で表される、熱融着性を有するポリアミド酸溶液
あるいはそれを前駆体とするポリイミドであることにあ
る。
【0027】さらに本発明の耐熱性ボンディングシート
の要旨とするところは、上記ポリアミド酸溶液あるいは
それを前駆体とするポリイミドのガラス転移温度が35
0℃以下であることにある。
【0028】さらに本発明の耐熱性ボンディングシート
の要旨とするところは、上記一般式(1)中のAおよび
Bが、それぞれ
【0029】
【化11】
【0030】に示す4価の有機基の群から選択される少
なくとも1種であり、XおよびYが、それぞれ
【0031】
【化12】
【0032】に示す2価の有機基の群から選択される少
なくとも1種であることにある。
【0033】本発明の耐熱性フレキシブル銅張積層板の
製造方法の要旨とするところは、上記のいずれかに記載
のボンディングシートの接着面に、銅泊を重ね、真空加
熱圧着することにある。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の用語「耐熱性ボンディン
グシ─ト」とは、約200°C以上、1000時間の環
境条件において、機械的強度や低誘電特性などの諸性質
がほとんど低下しないボンディングシートをいう。ここ
で、「ボンディングシ─ト」とは、主に、電子機器、特
に半導体パッケ─ジ、COL、LOC、MCM、FP
C、航空宇宙機器部品の結合に好適に用いられ得る、ベ
─スフィルムと接着剤層とを有する多層シ─トをいう。
【0035】本発明の用語「熱融着性」とは、接着剤の
ガラス転移温度あるいは融点以上の温度範囲で接着剤を
軟化させて銅などの金属と接着し得る性質をいう。
【0036】接着剤の「固有粘度」は、ウベロ─デ粘度
計(株式会社相互理化学ガラス製作所製)を用いて、2
5°C±0.1℃の恒温曹中で接着剤試料の濃度を零に
外挿させて求める。
【0037】接着剤の数平均分子量、重量平均分子量、
および分子量分布は、接着剤試料のジメチルホルムアミ
ドの希釈溶液をゲル浸透クロマトグラフィ─を用いて決
定する。実際の装置は、ウオーターズ(ミリポアコーポ
レーション)製の圧力ポンプ501型、ヒーター付きク
ロマトグラフカラムおよびデータモジュールM741型
に接続した示差屈折率計R401から構成した。さらに
クロマトグラフカラムは昭和電工(株)製KD−806
M型を2つ直列に接続した。このシステムは、次のよう
な分子量の範囲を有するポリエチレングリコール標準物
質を用いて検定したものである。
【0038】
【表1】
【0039】ガラス転移温度は、セイコー電子工業
(株)製粘弾性測定装置DMS2000を用いて、昇温
速度を5℃/分で測定した。貯蔵弾性率の加熱曲線の第
一変曲点の周囲の正接線の交点における温度をガラス転
移温度と定義する。
【0040】一般に各種有機高分子からなる接着剤の固
有粘度を0.05から5.0の範囲内にするためには、
合成の段階で材料のモノマーの量を調節して、重合度を
調整して行う。接着材料としては、例えば下記構造単位
を含むポリアミド重合体材料を使用する。
【0041】
【化13】
【0042】固有粘度の調整法をポリアミド酸の重合体
を例に説明する。すなわち、重合の最終段階は、ややジ
アミン過剰の状態から酸無水物を徐々に添加して、ある
いはやや酸過剰の状態からジアミンを徐々に添加して最
終的な重合体を得ることであるが、この時に添加する酸
無水物の量、あるいはジアミンの量によって、重合体の
固有粘度が決定される。最後に添加する酸無水物あるい
はジアミンの量を、少なくすることで、固有粘度の低い
重合体が得られる。逆に固有粘度の高い重合体は、最後
に添加する酸無水物あるいはジアミンの量を多くして、
過剰になるように調整すると得られる。
【0043】ガラス転移温度が350℃以下のポリイミ
ドは、高い耐熱性、機械的特性、低誘電特性などに優
れ、さらに一般のポリイミドの性質である不溶、不融性
をもつことがなく、加工性に優れている。
【0044】本発明の耐熱性ボンディングシ─ト用接着
剤は、特に限定されないが、好ましい例は、ポリアミド
酸共重合体溶液であり得る。ポリアミド酸共重合体溶液
は、当業者に公知のいずれの方法によっても調製しう
る。
【0045】本発明に好適なポリアミド酸共重合体を調
製するための原料モノマ─は、例えば、一般式(3)
【0046】
【化14】
【0047】( 式中、Aは4価の有機基を示す。)で表
される一種の酸二無水物 一般式(4)
【0048】
【化15】
【0049】(式中、Bは4価の有機基を示す。)で表
される一種の酸二無水物、一般式(5)
【0050】
【化16】
【0051】( 式中、Xは2価の有機基を示す)で表さ
れるジアミン、および一般式(6)
【0052】
【化17】
【0053】(式中、Yは2価の有機基を示す)で表さ
れるジアミンであり得る。
【0054】このとき、AおよびB、XおよびYは、特
に限定されない。しかし、好ましくは、AおよびBは、
それぞれ
【0055】
【化18】
【0056】からなる群より選択される少なくとも1種
であり得る。そして、XおよびYは、それぞれ、
【0057】
【化19】
【0058】からなる群より選択される少なくとも1種
であり得る。
【0059】このとき、A=BかつX=Y、A=Bかつ
X≠Y、A≠BかつX=Y、またはA≠BかつX≠Yの
いずれの場合もあり得る。
【0060】特に好ましいジアミンと酸無水物の組み合
わせによる共重合体は、2,2−ビス(4ーヒドロキシ
フェニル)プロパンベンゾジエート−3,3’,4,
4’−テトラカルボン酸二無水物(以下、ESDAとい
う)と、ビス(2−(4−アミノフェノキシ)エトキ
シ)エタン(以下、DA3EGという)とから得られる
共重合体、および3,3’,4,4’−ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物(BTDAという)と3,
3’,4,4’−エチレングリコールベンゾエートテト
ラカルボン酸二無水物(以下、TMEGという)とDA
3EGとBAPPとから得られる共重合体、およびES
DAとBTDAとDA3EGとから得られる共重合体な
どである。
【0061】ポリアミド酸共重合体は、酸二無水物とジ
アミンとを有機溶媒中で反応させることにより得られ
る。この時、本発明においては、まず、アルゴン、窒素
などの不活性ガス雰囲気中において、酸二無水物を有機
溶媒中に溶解、又は拡散させる。この溶液に、1種ある
いはそれ以上のジアミンを、固体の状態または有機溶媒
溶液に溶解した状態で添加する。さらに、最初に加えた
酸二無水物と同一あるいは別の種類の一種の酸二無水物
の混合物を固体の状態または有機溶媒溶液の状態で添加
し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を得
る。
【0062】この他にも、ポリアミド酸の共重合体溶液
の調製方法は、種々当業者に知られている。上記添加手
順とは逆に、まずジアミンの有機溶媒溶液を調製し、こ
の溶液中に固体状の酸二無水物または酸二無水物の有機
溶媒溶液を添加してもよい。このときの反応温度は−1
0℃〜0℃が好ましい。反応時間は30分間〜3時間で
ある。かかる反応により熱可塑性ポリイミドの前駆体で
あるポリアミド酸溶液の接着剤が調製される。
【0063】ポリアミド酸の合成反応に使用される有機
溶媒としては、例えばジメチルスルホキシド、ジエチル
スルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,Nジメチル
ホルムアミド、N,Nジエチルホルムアミド等のホルム
アミド系溶媒、N,Nジメチルアセトアミド、N,Nジ
エチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒を挙げるこ
とができる。これらを1種類のみで用いることも、2種
あるいは3種以上からなる混合溶媒にして用いることも
できる。また、これらの極性溶媒とポリアミド酸の非溶
媒とからなる混合溶媒も用いることもできる。ポリアミ
ド酸の非溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、ベンゼン、メチルセロソルブ
等を挙げることができる。
【0064】本発明においては、ポリアミド酸共重合体
及びポリイミド共重合体の固有粘度(η)は0.05〜
5.0の範囲である。分子量は特に限定されるものでは
ないが、耐熱性接着剤としての強度を維持するために
は、数平均分子量が6万以上、好ましくは6万以上15
万以下、より好ましくは、8万以上12万以下である。
重量平均分子量は、8万以上20万以下で、好ましく
は、10万以上19万以下である。
【0065】固有粘度が0.05より低い場合は、一般
に平均分子量も低くなり、分子鎖の凝集力が弱く、凝集
破壊が起こりやすい。これによって、例えばボンディン
グシートを銅張積層板にしたとき、接着剤と銅箔との界
面の接着力が、接着剤層中の分子鎖の凝集力よりも強く
なることから、ピール強度を測定したとき、強度の値は
低く、引き剥がし面である接着剤層中で分子鎖の凝集破
壊が起こる。一方、固有粘度が5.0より大きいと、一
般に平均分子量も高くなり、分子鎖の凝集力が強くな
り、凝集破壊が非常に起こりにくくなる。これによっ
て、例えば同じくボンディングシートを銅張積層板にし
たとき、接着剤と銅箔との界面の接着力が、接着剤層の
分子鎖の凝集力よりも弱くなることから、ピール強度を
測定したとき、強度の値は低く、接着剤と銅箔との界面
で引き剥がされることになる。
【0066】得られたポリアミド酸溶液は、そのまま本
発明に係る耐熱性ボンディングシート用接着剤として用
いられ得る。好適な態様によれば、例えば、本発明のポ
リアミド酸溶液の接着剤をベースフィルムである非熱可
塑性ポリイミドフィルムの片面または両面上に流延、ま
たは塗布した後、加熱乾燥し、本発明の耐熱性ボンディ
ングシ─トができる。
【0067】ポリアミド酸溶液をベースフィルムに付与
する方法は、特に限定されず、公知のいずれの方法でも
用いられる。例えば、ポリアミド酸溶液は、ロータリー
コーター、ナイフコーター、ドクターブレード、フロー
コーターを用いて、ベースフィルム上に、流延または塗
布され得る。
【0068】ベ─スフィルムの片面に接着剤を塗布して
2層構造としたボンディングシ─トを図1(a)に示
し、ベ─スフィルムの両面に接着剤を塗布して3層構造
としたボンディングシ─トを図1(b)に示す。このよ
うなボンディングシ─トは、例えばその片側または両側
に銅箔を重ねて、フレキシブル銅張積層板とされ得る。
【0069】ポリアミド酸溶液からポリイミドを得てフ
ィルム状にした接着層を、ボンディングシ─ト用のベ─
スフィルムに重層して用いることも可能である。
【0070】ポリイミドフィルムは、前駆体のポリアミ
ド酸溶液を熱的又は化学的に脱水閉環(イミド化)する
方法により得られる。具体的には熱的に脱水閉環(イミ
ド化)する方法では、ポリアミド酸の溶液を支持板やP
ET等の有機フィルム、ドラム、又はエンドレスベルト
等の支持体上に流延又は塗布して膜状とし、有機溶媒を
蒸発させ乾燥することにより自己支持体のフィルムを得
る。有機溶媒の蒸発は150℃以下の温度で約5分間〜
90分間行うのが好ましい。次に、これを加熱乾燥して
イミド化する。イミド化させる際の加熱温度は150℃
〜350℃の範囲が好ましいが、特には250℃〜35
0℃が好ましい。加熱時間は厚みや最高温度によって異
なるが、一般には最高温度に達してから10秒〜10分
の範囲が好ましい。
【0071】化学的に脱水閉環(イミド化)する方法で
は、上記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触
媒の第3級アミンとを加え、熱的に脱水する場合と同様
の方法で処理すると、熱的に脱水する場合よりも短時間
で所望のポリイミドフィルムが得られる。
【0072】触媒として使用される第3級アミンとして
は、ピリジン、αピコリン、βピコリン、γピコリン、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、イソキノリンな
どが好ましいが、これらの例には限定されない。
【0073】本発明に用いられるベースフィルムは、F
PC等のベースフィルムとして使用可能なものであれば
いかなるフィルムを用いてもよい。特には耐熱性に優れ
た特性を有するポリイミドフィルムが好ましく用いられ
る。具体的には、ベースフィルムとして用いるポリイミ
ドフィルムは、例えば、「アピカル(登録商標;鐘淵化
学工業株式会社製)のような接着性を有しないポリイミ
ドフィルムであり得る。しかし、その他いかなる構造の
高分子フィルムであってもよい。
【0074】このようにして得られるボンディングシー
トは、様々な用途に用いられ得る。ボンディングシート
が用いられる代表的な例は、フレキシブル銅張積層板で
ある。次に、このフレキシブル銅張積層板の製造方法を
説明する。
【0075】すなわち、まず、ボンディングシートの片
面または両面にある接着層上に銅泊を重ねる。この後、
例えば真空成形プレス機により、雰囲気を真空状態にす
る。その後、適度な温度にして、銅箔の上から、圧力を
かける。この時の温度は、接着剤層のガラス転移温度に
よっても変わり得るが、通常150℃〜350℃、好ま
しくは、200℃〜300℃の範囲である。
【0076】次に、真空状態および圧力を開放しながら
温度を下げて、本発明のフレキシブル銅張積層板を得
る。
【0077】以下に、本発明に係る耐熱性ボンディング
シート用接着剤および耐熱性ボンディングシ─トを、実
施例によってより具体的に説明するが、本発明はその趣
旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき、種々なる
改良、変更、修正を加えた様態で実施しうるものであ
る。従って、本発明はこれらの実施例によって限定され
ない。
【0078】
【実施例】(実施例1)本発明の耐熱性ボンディングシ
─ト用接着剤を得た。まず、系全体を氷水で冷やし、窒
素置換をした2000mlの三口のセパラブルフラスコ
に33.2g の3,3’,4,4’ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸二無水物(以下、BTDAという。)、2
87g のジメチルホルムアミド(以下、DMFとい
う。)を採り、スターラーを用いて撹拌することにより
充分に溶解させた。続いて、43.1g の2,2’ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン
(以下、BAPPという。)を20g のDMFを用いて
投入し反応させた。15分間の撹拌の後、76.0g の
3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエー
トテトラカルボン酸二無水物 (以下、TMEG) を1
50g のDMFを用いて投入した。15分間の撹拌の
後、80.0gのBAPPを150gのDMFを用いて
投入し反応させた。30分間の撹拌の後、さらに3.1
gのTMEGを44.5gのDMFに溶かした溶液をフ
ラスコ内の溶液の粘度に注意しながら徐々に投入し、そ
の後1時間撹拌しながら放置した。その後、106gの
DMFを投入し撹拌することでポリアミド酸溶液を得
た。
【0079】得られたポリアミド酸溶液について、固有
粘度、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布を測
定した。固有粘度(η)は、ウベローデ粘度計を用いて
25℃±0.1℃で測定した。数平均分子量(Mn) 、
重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
は、DMF中のポリマーの希溶液につき実施されたGP
Cにより測定した。固有粘度(η)は1.60、数平均
分子量(Mn) 、重量平均分子量(Mw)、分子量分布
(Mw/Mn)はそれぞれ82000、162000、
1.98であった。
【0080】次に、このポリアミド酸溶液をベースフィ
ルム(アピカル(登録商標;鐘淵化学工業株式会社製、
製品名;アピカル12.5」の片面または両面上に塗布
し、100℃で6分間加熱した後、ベ─スフィルムごと
金属支持体に端部を固定した後、150℃、200℃、
300℃で各6分間加熱し、ボンディングシートを得
た。得られたボンディングシートの接着層面に銅箔を重
ね、その上に離型フィルム(耐熱性フィルム)を配設し
て、260℃、2分間加熱した。続いて、260℃、1
0kg/cm2 で5分間、260℃、10kg/cm2
で5分間加熱プレスして片面銅張積層板を得た。得られ
た片面または両面銅張積層板について、JISC648
1に従い、ピール強度(kg/cm)を測定した。その
結果、片面、両面ともに1.5kg/cmを示した。
【0081】(実施例2)実施例1とは別の本発明の耐
熱性ボンディングシ─ト用接着剤を得た。まず、系全体
を氷水で冷やし、窒素置換をした2000mlの三口の
セパラブルフラスコに33.2g の3,3’,4,4’
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BT
DAという。)、287g のジメチルホルムアミド(以
下、DMFという。)を採り、スターラーを用いて撹拌
することにより充分に溶解させた。続いて、43.1g
の2,2’ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン(以下、BAPPという。)を20g のD
MFを用いて投入し反応させた。15分間の撹拌の後、
76.0g の3,3’,4,4’−エチレングリコール
ジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TM
EG) を150g のDMFを用いて投入した。15分間
の撹拌の後、80.0gのBAPPを150gのDMF
を用いて投入し反応させた。30分間の撹拌の後、4.
1gのTMEGを47.2gのDMFに溶かした溶液を
フラスコ内の溶液の粘度に注意しながら徐々に投入し、
その後1時間攪拌しながら放置した。その後、106g
のDMFを投入し攪拌することでポリアミド酸溶液を得
た。得られたポリアミド酸溶液の固有粘度、数平均分子
量、重量平均分子量、分子量分布を測定したところ、固
有粘度(η)は、1.93、Mn、Mw、Mw/Mnは
それぞれ、84,000、178,000、2.12で
あった。さらに得られた片面(両面)銅張積層板のピー
ル強度(kg/cm)を測定した。その結果、片面、両
面ともに1.7kg/cmを示した。
【0082】(実施例3)実施例1または2とは別の本
発明の耐熱性ボンディングシ─ト用接着剤を得た。ま
ず、系全体を氷水で冷やし、窒素置換をした2000m
lの三口のセパラブルフラスコに33.2g の3,
3’,4,4’ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物(以下、BTDAという。)、287g のジメチルホ
ルムアミド(以下、DMFという。)を採り、スターラ
ーを用いて撹拌することにより充分に溶解させた。続い
て、43.1g の2,2’ビス〔4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPとい
う。)を20g のDMFを用いて投入し反応させた。1
5分間の撹拌の後、76.0g の3,3’,4,4’−
エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二
無水物 (以下、TMEG) を150g のDMFを用い
て投入した。15分間の撹拌の後、80.0gのBAP
Pを150gのDMFを用いて投入し反応させた。30
分間の撹拌の後、5.0gのTMEGを51.0gのD
MFに溶かした溶液をフラスコ内の溶液の粘度に注意し
ながら徐々に投入し、その後1時間攪拌しながら放置し
た。その後、106gのDMFを投入し攪拌することで
ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液の
固有粘度、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布
を測定したところ、固有粘度(η)は、2.35、M
n、Mw、Mw/Mnはそれぞれ、90,000、19
5,000、2.17であった。さらに得られた片面
(両面)銅張積層板のピール強度(kg/cm)を測定
した。その結果、片面、両面ともに1.6kg/cmを
示した。
【0083】(比較例1)比較として、実施例とは異な
る接着剤を得た。まず、系全体を氷水で冷やし、窒素置
換をした2000mlの三口のセパラブルフラスコに3
3.2g の3,3’,4,4’ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物(以下、BTDAという。)、287
g のジメチルホルムアミド(以下、DMFという。)を
採り、スターラーを用いて撹拌することにより充分に溶
解させた。続いて、43.1g の2,2’ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、
BAPPという。)を20g のDMFを用いて投入し反
応させた。15分間の撹拌の後、76.0g の3,
3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテ
トラカルボン酸二無水物 (以下、TMEG) を150
g のDMFを用いて投入した。15分間の撹拌の後、8
0.0 gのBAPPを150gのDMFを用いて投入し
反応させた。30分間の撹拌の後、2.0gのTMEG
を41.3gのDMFに溶かした溶液をフラスコ内の溶
液の粘度に注意しながら徐々に投入し、その後1時間攪
拌しながら放置した。その後、106gのDMFを投入
し攪拌することでポリアミド酸溶液を得た。得られたポ
リアミド酸溶液の固有粘度、数平均分子量、重量平均分
子量、分子量分布を測定したところ、固有粘度(η)
は、0.04、Mn、Mw、Mw/Mnはそれぞれ、
6,000、7,800、1.30であった。さらに得
られた片面(両面)銅張積層板のピール強度(kg/c
m)を測定した。その結果、片面、両面ともに0.2k
g/cmを示した。
【0084】(比較例2)比較として、実施例とは異な
る接着剤を得た。まず、系全体を氷水で冷やし、窒素置
換をした2000mlの三口のセパラブルフラスコに3
3.2g の3,3’,4,4’ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物(以下、BTDAという。)、287
g のジメチルホルムアミド(以下、DMFという。)を
採り、スターラーを用いて撹拌することにより充分に溶
解させた。続いて、43.1g の2,2’ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、
BAPPという。)を20g のDMFを用いて投入し反
応させた。15分間の撹拌の後、76.0g の3,
3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテ
トラカルボン酸二無水物(以下、TMEG) を150g
のDMFを用いて投入した。15分間の撹拌の後、8
0.0 gのBAPPを150gのDMFを用いて投入し
反応させた。30分間の撹拌の後、6.0gのTMEG
を54.2gのDMFに溶かした溶液をフラスコ内の溶
液の粘度に注意しながら徐々に投入し、その後1時間攪
拌しながら放置した。その後、106gのDMFを投入
し攪拌することでポリアミド酸溶液を得た。得られたポ
リアミド酸溶液の固有粘度、数平均分子量、重量平均分
子量、分子量分布を測定したところ、固有粘度(η)
は、5.50、Mn、Mw、Mw/Mnはそれぞれ、9
5,000、250,000、2.63であった。さら
に得られた片面(両面)銅張積層板のピール強度(kg
/cm)を測定した。その結果、片面、両面ともに0.
3kg/cmを示した。
【0085】以下、実施例および比較例で得られた接着
剤の特性とピール強度との関係を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】以上のように、固有粘度が0.05より小
さく、ポリアミド酸の平均分子量が小さい場合では、接
着性が十分でなく、固有粘度が5.0より大きく、平均
分子量が大きい場合では、溶融粘度が高くなり、加熱プ
レスする時点で均一に接着されず、ピール強度が低い値
であった。
【0088】一方、本発明の耐熱性ボンディングシート
用接着剤フレキシブル銅張積層板を得る方法を、比較し
てみた。 (合成例)実施例2と同様にして、すなわち、同じ材料
を用いて、同じ条件で、実施例2と同じポリアミド酸溶
液を得た。
【0089】(実施例4)次に、合成例で得られたポリ
アミド酸溶液をベースフィルム(アピカル(登録商標;
鐘淵化学工業株式会社製、製品名;アピカル12.5」
の片面または両面上に塗布し、100℃で6分間加熱し
た後、ベ─スフィルムごと金属支持体に端部を固定した
後、150℃、200℃、300℃で各6分間加熱し、
ボンディングシートを得た。得られたボンディングシー
トの接着層面に銅箔を重ね、その上に離型フィルム(耐
熱性フィルム)を配設して、真空成形プレス機を用い
て、雰囲気を真空状態にした後、260℃、3kg/c
2 で10分間、260℃、5kg/cm2 で5分間、
260℃、30kg/cm2 で5分間加熱圧着し、さら
に真空状態および圧力を開放しながら温度を下げること
により片面または両面に銅箔を付与したフレキシブル銅
張積層板を得た。得られた片面または両面銅張積層板に
ついて、JISC6481に従い、ピール強度(kg/
cm)を測定した。その結果、片面、両面ともに1.7
kg/cmを示した。さらに断面をSEM(走査型電子
顕微鏡)にて観察した結果、片面、両面共にクラックや
ボイドの発生はなかった。
【0090】(実施例5)合成例で得られたポリアミド
酸溶液をベースフィルムの片面または両面上に塗布し、
100℃で6分間加熱した後、ベ─スフィルムごと金属
支持体に端部を固定した後、150℃、200℃、30
0℃で各6分間加熱し、ボンディングシートを得た。得
られたボンディングシートの接着層面に銅箔を重ね、そ
の上に離型フィルム(耐熱性フィルム)を配設して、真
空成形プレス機を用いて、雰囲気を真空状態にした後、
260℃にて3kg/cm2 で10分間、260℃、5
kg/cm2 で5分間、260℃、30kg/cm2
5分間加熱圧着し、さらに圧力は保持したまま、真空状
態を開放しながら温度を下げ、温度が室温に下がった時
点で圧力を開放することにより片面または両面に銅箔を
付与したフレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面
または両面銅張積層板について、JISC6481に従
い、ピール強度(kg/cm)を測定した。その結果、
片面、両面ともに1.8kg/cmを示した。さらに断
面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果、片
面、両面共にクラックやボイドの発生はなかった。
【0091】(比較例3)次に合成例で得られたポリア
ミド酸溶液をベースフィルムの片面または両面上に塗布
し、100℃で6分間加熱した後、ベ─スフィルムごと
金属支持体に端部を固定した後、150℃、200℃、
300℃で各6分間加熱し、ボンディングシートを得
た。得られたボンディングシートの接着層面に銅箔を重
ね、その上に離型フィルム(耐熱性フィルム)を配設し
て、260℃にて2分間加熱した。続いて、260℃に
て3kg/cm2 で5分間、260℃、10kg/cm
2 で5分間加熱圧着することで片面または両面に銅箔を
付与したフレキシブル銅張積層板を得た。得られた片面
または両面銅張積層板について、JISC6481に従
い、ピール強度(kg/cm)を測定した。その結果、
片面、両面ともに1.7kg/cmを示した。さらに断
面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した結果、片
面、両面共に接着層に10μm以下のボイドが発生して
いることがわかった。
【0092】以上の実施例および比較例からわかるよう
に、真空成形プレス機を用いて真空加熱圧着すること
で、接着層にボイドがなく、高いピール強度を有する耐
熱性フレキシブル銅張積層板が得られた。
【0093】実施例4、5および比較例3で得られた銅
張積層板のピール強度およびボイドの有無の結果を、以
下の表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
【発明の効果】本発明に係るボンディングシート用接着
剤は、固有粘度0.05〜5.0の接着剤である。代表
的には、このうち、数平均分子量が60,000〜15
0,000、重量平均分子量が80,000〜200,
000、分子量分布が1.4〜2.5の接着剤である。
このような接着剤の代表例は熱可塑性ポリイミドの前駆
体であるポリアミド酸溶液である。このような特性を有
するボンディングシ─ト用接着剤は、加工性に優れ、ベ
ースフィルムの片面または両面に容易に流延または塗布
し得る。このような特性を有するボンディングシート用
接着剤は、加工性に優れ、ベースフィルムの片面または
両面に容易に流延または塗布し得る。このような接着剤
を、加熱乾燥させて得られるボンディングシートは、耐
熱性、接着性に優れ、多層FPCやリジット‐フレック
ス基板材料、COL及びLOCパッケージ、MCM等の
新規高密度実装材料用途に好適であり、その他にも幅広
い用途に用いられうる。
【0096】さらに、本発明のフレキシブル銅張積層板
は、ベースフィルムの片面または両面に本発明の耐熱性
ボンディングシートの接着剤層を設けた面に銅箔を重
ね、真空加熱圧着することで、得られる。得られたフレ
キシブル銅張積層板は、接着剤層の泡抜け性に優れ、耐
熱性、耐ハンダ性、吸湿性、電気特性、接着性などの諸
性質に優れ、多層FPCやリジットーフレックス基板材
料、COLおよびLOCパッケージ、MCM等の新規高
密度実装材料用途に好適であり、その他用途は特に限定
されない。
【0097】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る2層構造(a)および3層構造
(b)の耐熱性ボンディングシートを示した断面拡大説
図である。
【符号の説明】
10;耐熱性ボンディングシート 12;ベースフィルム 14 ,16;接着剤層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H05K 3/38 H05K 3/38 E

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボンディングシートの接着層を形成する
    耐熱性接着剤において、固有粘度(η)が0.05〜
    5.0の範囲であることを特徴とする耐熱性ボンディン
    グシート用接着剤。
  2. 【請求項2】 数平均分子量(Mn)が60,000〜
    150,000、重量平均分子量(Mw)が80,00
    0〜200,000、分子量分布(Mn/Mw)が1.
    4〜2.5であることを特徴とする請求項1に記載の耐
    熱性ボンディングシート用接着剤。
  3. 【請求項3】 一般式(1) 【化1】 (式中、mおよびnは、各反復単位モル分率に等しく、
    mは0.00〜0. 95、nは1. 00〜0. 05であ
    り、mとnとの和は1.00であり、AおよびBは4価
    の有機基、XおよびYは2価の有機基を示す)で表され
    る、熱融着性を有するポリアミド酸溶液であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の耐熱性ボンディング
    シート用接着剤。
  4. 【請求項4】 前記ポリアミド酸溶液をポリイミドに変
    換した後のガラス転移温度が350℃以下である、請求
    項3に記載の耐熱性ボンディングシート用接着剤。
  5. 【請求項5】 前記一般式(1)中のAおよびBが、そ
    れぞれ 【化2】 に示す4価の有機基の群から選択される少なくとも1種
    であり、XおよびYが、それぞれ、 【化3】 に示す2価の有機基の群から選択される少なくとも1種
    であることを特徴とする請求項3または4のいずれかに
    記載する耐熱性ボンディングシート用接着剤。
  6. 【請求項6】 耐熱性ベ─スフィルムの片面あるいは両
    面に耐熱性接着層を積層してなる耐熱性ボンディングシ
    ─トであって、該耐熱性接着層が、固有粘度(η)が
    0.05〜5.0の範囲である耐熱性ボンディングシー
    ト用接着剤あるいは該接着剤の反応硬化物からなること
    を特徴とする、耐熱性ボンディングシ─ト。
  7. 【請求項7】 前記耐熱性接着層が、数平均分子量(M
    n)が60,000〜150,000、重量平均分子量
    (Mw)が、80,000〜200,000、分子量分
    布(Mn/Mw)が、1.4〜2.5の接着剤あるいは
    該接着剤の反応硬化物からなることを特徴とする、請求
    項6に記載の耐熱性ボンディングシート。
  8. 【請求項8】 前記耐熱性接着層が、一般式(1) 【化4】 (式中、mおよびnは、各反復単位モル分率に等しく、
    mは0.00〜0. 95、nは1. 00〜0. 05であ
    り、mとnとの和は1.00であり、AおよびBは4価
    の有機基、XおよびYは2価の有機基を示す)で表され
    る、熱融着性を有するポリアミド酸溶液あるいはそれを
    前駆体とするポリイミドであることを特徴とする請求項
    6または7に記載の耐熱性ボンディングシート。
  9. 【請求項9】 前記ポリアミド酸溶液あるいはそれを前
    駆体とするポリイミドのガラス転移温度が350℃以下
    である、請求項8に記載の耐熱性ボンディングシート。
  10. 【請求項10】 前記一般式(1)中のAおよびBが、
    それぞれ 【化5】 に示す4価の有機基の群から選択される少なくとも1種
    であり、XおよびYが、それぞれ 【化6】 に示す2価の有機基の群から選択される少なくとも1種
    であることを特徴とする請求項8または9に記載する耐
    熱性ボンディングシート。
  11. 【請求項11】 請求項6から10までのいずれかに記
    載のボンディングシートの接着面に、銅箔を重ね、真空
    加熱圧着することを特徴とする、耐熱性フレキシブル銅
    張積層板の製造方法。 【0000】
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