JPH1130306A - 無段変速機 - Google Patents

無段変速機

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Publication number
JPH1130306A
JPH1130306A JP18629497A JP18629497A JPH1130306A JP H1130306 A JPH1130306 A JP H1130306A JP 18629497 A JP18629497 A JP 18629497A JP 18629497 A JP18629497 A JP 18629497A JP H1130306 A JPH1130306 A JP H1130306A
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JP
Japan
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pump
clutch mechanism
swash plate
shaft
lock
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP18629497A
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English (en)
Inventor
Kenji Kinokami
憲嗣 紀ノ上
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Publication of JPH1130306A publication Critical patent/JPH1130306A/ja
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ロックアップ運転における無負荷損失低減化
によるHMT全体の伝達効率の向上を図り、併せて、ア
イドル運転,始動時における動力損失低減化による動力
源側の負荷軽減を図る。加えて、事後の作動不良発生を
防止する。 【解決手段】 機械式トランスミッション3を入力軸1
と出力軸2との間に介装し、静液圧式トランスミッショ
ン4を並設する。ポンプ軸52と入力側歯車56とを断
続切換可能に接続するポンプクラッチ機構CLPと、モ
ータ軸62とMTとを断続切換可能に接続するモータク
ラッチ機構CLMとを設ける。ロックアップ運転切換時
及びアイドル運転時には少なくともポンプクラッチ機構
を遮断状態にしてポンプ軸の回転を停止させると、液圧
ポンプ5が回転停止し、チャージポンプ11が作動停止
する。一方、制御ポンプ12はロックアップ運転中も作
動されるため、その吐出油をHSTに供給して内圧保持
と潤滑の確保とが図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バス、トラック、
各種建設機械、もしくは、各種産業機械等に用いられる
無段変速機に関し、特に、ハイドロメカニカルトランス
ミッション(Hydro Mechanical Transmission ;以下、
「HMT」という)といわれる無段変速機に関する。こ
のHMTは、流体の静圧エネルギーを利用するハイドロ
スタティックトランスミッション(Hydro Static Trans
mission ;以下、「HST」という)と、メカニカルト
ランスミッション(以下、「MT」という)とを、遊星
歯車機構等を介して組み合わせることにより、無段階で
連続した変速を行うようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の無段変速機として
は、米国特許第4,341,131号公報、もしくは、
特開昭54−35560号公報により提案されたものが
知られている。これは、可変斜板を有する油圧ポンプ、
及び、固定斜板を有する油圧モータを、両者間に介装さ
せたセンタセクションにより互いに相対回転可能に結合
させたHSTと、第1及び第2の2つの遊星歯車機構並
びにこの各遊星歯車機構の作動条件を切換えるための第
1〜第3の3つのクラッチ機構等を備えたMTとを組み
合わせたものである。そして、上記提案の無段変速機
は、上記2つの遊星歯車機構の各歯数比の関係を特定条
件に設定し、かつ、3つの運転モードに分けて運転する
場合の各モード切換えの際に上記可変斜板を上記固定斜
板と同じ斜板角度(最大斜板角度)とする等の条件の下
で変速制御を行うものである。
【0003】通常、上記特許公報のHMTにおいては、
上記HSTの油圧ポンプの可変斜板がHMTの変速比に
応じて3つの運転モードに分けて傾転制御され、これに
より、例えばエンジン等の駆動源からHMTの入力軸に
入力される一定回転数の回転が、HMTの出力軸に対し
回転数を無段階かつ連続的に変化させて伝達されるよう
にシステムが設計されている。つまり、第1モード,第
2モード及び第3モードの3つの各運転モードにおい
て、HSTの油圧ポンプの容量制御を行うことにより、
HMTの変速比が無段階かつ連続的に変化するように制
御されている。この場合、上記各運転モードにおいて、
上記油圧ポンプの可変斜板がHMT変速比に応じて最大
斜板角度(例えば+17度と−17度)位置と、中立位
置(斜板角度ゼロ)との間で斜板角度が一定の増減変更
比率で徐々に増減変更制御される。なお、上記油圧モー
タの斜板は固定斜板とされ、その斜板角度は常に上記の
最大斜板角度になるようにされている。そして、上記可
変斜板が正転側または反転側の最大斜板角度になって、
その絶対値が固定斜板と同じ斜板角度になる変速比位置
において、第1モードから第2モードへの切換え、及
び、第2モードから第3モードへの切換えが行われるよ
うになっている。
【0004】一方、上記のMTの側では、上記第1モー
ドで第1クラッチ機構のみが接続状態にされ、第2モー
ドで第2クラッチ機構のみが接続状態にされ、第3モー
ドで第3クラッチ機構のみが接続状態にされるという
に、各モード切換えに際し各クラッチ機構の断続が切換
えられるようになっている。そして、この各クラッチ機
構の断続切換えの際に、同じ回転数で同調し切換前後で
連続した変速比で回転伝達されるように上記第1及び第
2の遊星歯車機構の各歯数比が次の特定関係を有するよ
うに条件付けられている。すなわち、上記第1遊星歯車
機構の太陽歯車と内歯歯車との間の歯数比をYとし、第
2遊星歯車機構の太陽歯車と内歯歯車との間の歯数比を
Xとした場合に、 Y=X+1 の関係が成立するように条件付けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
無段変速機が搭載された車両が定速走行を維持する場合
にも、MTとHSTとの双方を介して動力伝達を行う通
常運転を継続するのでは伝達効率の面で好ましくないた
め、このような場合には、上記の無段変速機において、
HSTを介した動力伝達を遮断して入力軸から出力軸へ
の動力伝達をMTのみを介したものに切換えることによ
りロックアップ運転を行なわせるようにすることが考え
られる。そして、このようなロックアップ運転を可能と
しつつロックアップ運転中におけるHST内のメイン圧
の異常上昇を防止し得る構造として本出願人が特願平9
−116788号により提案した無段変速機が考えられ
る。すなわち、この無段変速機は、4つの運転モードに
分けて変速作動を行わせるために図1に示すようにMT
(3)を3つの遊星歯車機構(P1 ,P2 ,P3 )と、
第1〜第4のクラッチ機構(CL1,CL2,CL3,
CL4)とドラムクラッチ機構(CLD)とで構成し、
HST(4)の液圧モータ(6)のモータ軸(62)を
ロックアップ運転中に空転可能にするためにHST
(4)の出力側と上記MT(3)の太陽歯車(71)と
の回転動力の伝達経路の途中にモータクラッチ機構(C
LM)を設けたものである。なお、11はHST(4)
に対し漏れた液体分の補給を行うチャージポンプ、12
は各クラッチ機構に対し作動液体を供給する制御ポンプ
であり、これらチャージポンプ(11)及び制御ポンプ
(12)はそれぞれポンプ軸(52)に結合されてこの
ポンプ軸(52)の回転を受けて作動されるようになっ
ている。
【0006】そして、上記提案の無段変速機において
は、第4モードM4 (図2参照)を除き第1〜第3モー
ドM1 ,M2 ,M3 ではドラムクラッチ機構(CLD)
を接続状態にし、かつ、モータクラッチ機構(CLM)
を接続状態に維持して、以下のように通常運転が行われ
る。第1クラッチ機構(CL1)のみを接続状態にした
低速域の第1モードM1 において、斜板(61)の斜板
角度θm を最大斜板角度(例えば+17度)に維持して
可変斜板(51)の斜板角度θp を斜板角零度の中立位
置から(−)側の最大斜板角度(例えば−17度)まで
漸減させ、最大斜板角度の変速比で第2クラッチ機構
(CL2)のみを接続状態にした中低速域の第2モード
M2 に切換える。この第2モードM2 では、上記と同様
にθm を最大斜板角度に維持した斜板(61)に対し、
θp を逆向きに(+)側の最大斜板角度(+17度)ま
で漸増させ、最大斜板角度の変速比で第3クラッチ機構
(CL3)のみを接続状態にした中高速域の第3モード
M3 に切換える。この第3モードM3 では、上記と同様
にθm を最大斜板角度に維持した斜板(61)に対し、
θp をを逆向きに(−)側の最大斜板角度(−17度)
まで漸減させ、最大斜板角度の変速比で第4クラッチ機
構(CL4)を接続状態にした高速域の第4モードM4
に切換える。そして、この第4モードM4 では、上記と
同様にθm を最大斜板角度に維持した斜板(61)に対
しθp をを逆向きに(+)側に漸増させ、中立位置の変
速比で上記θm を所定斜板角度(+17度の1/3)に
変更し、この状態の斜板(61)に対し上記θp を
(+)側の最大斜板角度まで漸増させる。以上により入
力軸(1)から一定回転数で入力する回転を無段階で連
続して変速して出力軸(2)に伝達するようにしてい
る。
【0007】一方、上記の通常運転におけるモード切換
位置及び最大変速比位置の4位置,,,と、各
モードの中間変速比位置の3位置,,との7位置
でロックアップ運転が行われる。このロックアップ運転
は、上記,,,のモード切換位置等において
は、切換前後の各モードで接続状態にする両クラッチ機
構を共に接続状態にすることにより、入力軸(1)と出
力軸(2)とを互いに直結し、入力軸(1)からの回転
動力をHST(4)を介さずして出力軸(2)に伝達さ
せるロックアップ運転に切換える。加えて、上記モータ
クラッチ機構(CLM)を遮断状態にするとともに、可
変斜板(51)の斜板角度θp を中立位置に変更してモ
ータ軸(62)の回転を停止させる。なお、図2ではこ
のθp の中立位置への変更状況を誇張して示している。
【0008】しかし、上記の図1に示す無段変速機にお
いては、ロックアップ運転中においては、上記モータク
ラッチ機構(CLM)を遮断状態にしてモータ軸(6
2)を自由に空転可能な状態もしくは停止させたとして
も、HST(4)の液圧ポンプ(5)のポンプ軸(5
2)は歯車機構(114,56)を介して入力軸(1)
からの回転動力を受けて回転することになる。このた
め、液圧ポンプ(5)とセンタセクション(41)との
間に摩擦による摺動損失が発生し、これが、ロックアッ
プ運転中の無負荷損失となる。すなわち、図3に示すよ
うに、液圧モータ(6)の側では、モータクラッチ機構
(CLM)が遮断状態にされる上記,,,の各
ロックアップ点、及び、可変斜板(51)が中立状態に
なってモータ軸(62)の回転が停止する,,の
各ロックアップ点においては、液圧モータ(6)の側の
無負荷損失(HSTモータ損失)は零となる。その一方
で、ロックアップ運転中においても、上記ポンプ軸(5
2)が回転されることになるため、上記センタセクショ
ン(41)との間の摺動損失による液圧ポンプ(5)側
の無負荷損失(HSTポンプ損失)に加えて、上記ポン
プ軸(52)の回転により制御ポンプ(12)及びチャ
ージポンプ(11)がそれぞれ作動され、それぞれで無
負荷損失が発生することになる。そして、この無負荷損
失によりHMT全体の伝達効率の向上を阻害することに
なる。
【0009】また、ロックアップ運転中に限らず、動力
源からの回転動力の最終駆動部までの伝達が遮断された
ニュートラル状態で動力源、すなわち、入力軸(1)が
空転することになるアイドル運転状態にあるときにも、
上記ポンプ軸(52)が入力軸(1)により回転されて
しまうと、上記と同様に液圧ポンプ(5)とセンタセク
ション(41)との間に摺動損失が発生する。しかも、
その上に、そのポンプ軸(52)に結合されているチャ
ージポンプ(11)及び制御ポンプ(12)も回転作動
されてしまうことになる。これらに起因して、エンジン
などの動力源の負荷増大を、始動時にはこれに加えてス
タータの負荷増大を招くことになり、その結果、燃料消
費量の増大化を招くことになる。
【0010】一方、上記ロックアップ運転中もしくはア
イドル運転中にポンプ軸(52)の回転を止めてしまう
と、制御ポンプ(12)の作動も停止することになり、
これに伴い、この制御ポンプ(12)からの吐出液体に
よる各摺動部への潤滑液体の供給、各クラッチ機構への
作動液体の供給・維持、及び、HST(4)内の作動液
体の冷却器への循環なども停止してしまうという不都合
が生じる。この結果、ロックアップ運転から通常運転へ
の復帰時、もしくは、アイドル運転から通常運転による
走行開始時などに、上記HST(4)側の各摺動部での
油膜切れ等の発生により作動不良を招くおそれが生じ
る。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、ロックアップ
運転における無負荷損失の低減化によるHMT全体の伝
達効率の向上を図ることにあり、併せて、アイドル運転
もしくは始動時における動力損失の低減化による動力源
側の負荷軽減を図ることにある。加えて、これらのこと
を、事後の作動不良を招くことなく、実現することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、以下の構成の無段変速機を
前提とする。すなわち、動力源に接続される入力軸
(1)と、出力軸(2)と、上記入力軸(1)と出力軸
(2)との間に介装され複数のクラッチ機構(CL1,
CL2,CL3,CL4,CLD)及び複数の遊星歯車
機構(P1 ,P2 ,P3 )を備えた機械式トランスミッ
ション(3)と、上記入力軸(1)及び出力軸(2)に
対し並列に配設され入力側が上記入力軸(1)に接続さ
れ出力側が上記機械式トランスミッション(3)を介し
て上記出力軸(2)に接続された静液圧式トランスミッ
ション(4)とを備えたものとする。ここで、上記静液
圧式トランスミッション(4)は、可変斜板(51)の
斜板角度の増減変更制御により上記入力軸(1)からポ
ンプ軸(52)に入力する回転力を所定の吐出圧液に変
換する入力側の液圧ポンプ(5)と、所定の傾斜状態の
斜板(61)により上記液圧ポンプ(5)からの吐出圧
液を回転力に変換してモータ軸(62)を回転させる出
力側の液圧モータ(6)とを備えたものとする。そし
て、通常運転において上記機械式トランスミッション
(3)と、静液圧式トランスミッション(4)とを変速
比に応じて複数の運転モードに分けて作動させることに
より、上記入力軸(1)に入力する入力回転を無段階に
変速させて上記出力軸(2)に伝達するように構成され
た無段変速機を前提とする。このものにおいて、上記静
液圧式トランスミッション(4)のポンプ軸(52)を
上記入力軸(1)に対し断続切換可能に連結するポンプ
クラッチ機構(CLP)を備える構成とするものであ
る。
【0013】上記の構成の場合、通常運転においてポン
プクラッチ機構(CLP)を接続状態にすることにより
入力軸(1)からの回転動力を機械式トランスミッショ
ン(3)の側と静液圧式トランスミッション(4)の側
とに選択的に入力させることが可能になり、これによ
り、運転状態を複数のモードに分けて入力回転数を連続
的に変速させて出力軸(2)に対し伝達させることが可
能になる。一方、出力軸(2)の回転数が特定回転数に
あるときに、静液圧トランスミッション(4)を介した
出力軸(2)に対する動力伝達を非伝達状態に切換える
ことにより入力軸(1)から出力軸(2)への回転動力
の伝達を機械式トランスミッション(3)を介してのみ
行うロックアップ運転に切換えられる。この切換えの際
に、ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状態にするこ
とにより、入力軸(1)が回転状態にあってもポンプ軸
(52)の回転、すなわち、液圧ポンプ(5)の回転を
停止させることが可能になる。これにより、静液圧式ト
ランスミッション(4)において、液圧ポンプ(5)と
センタセクション(41)との間の摺動損失の発生を無
くすことが可能になり、その分、HMT全体の伝達効率
の向上を図り得ることになる。
【0014】併せて、始動時やアイドル運転において
も、上記ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状態にす
ることにより、ポンプ軸(52)の回転を停止させるこ
とが可能になるため、このポンプ軸(52)に対しチャ
ージポンプ(11)が結合されてポンプ軸(52)の回
転により作動されるようになっていても、そのチャージ
ポンプ(11)を作動させるための動力が不要になり、
ポンプ軸(52)をも回転させる場合に生じる動力損失
の発生を無くすことが可能になる。この結果、動力源や
この動力源のスタータ等の負荷軽減化、これに伴う燃料
消費量の低減化が図られる。なお、制御ポンプ(12)
はクラッチ作動及び潤滑用として入力軸(1)からの動
力により直接駆動される。
【0015】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明における静液圧式トランスミッション(4)として、
液圧ポンプ(5)及び液圧モータ(6)の間に介装され
液圧ポンプ(5)及び液圧モータ(6)をそれぞれ相対
回転可能に結合するセンタセクシヨン(41)と、上記
液圧ポンプ(5)及び液圧モータ(6)の両者間を上記
吐出圧液が供給・環流されるよう閉回路として上記セン
タセクション(41)内に形成された一対の連通路(5
7a,57b)と、上記液圧ポンプ(5)の回転駆動に
より作動されて作動液体を上記連通路(57a,57
b)に対し補給するチャージポンプ(11)とを備えた
ものとする。そして、入力軸(1)からの回転動力を受
けて駆動され、各クラッチ機構(CL1,CL2,CL
3,CL4,CLD,CLP,CLM)に対し作動液体
を供給制御する制御ポンプ(12)と、一端がこの制御
ポンプ(12)の吐出側に接続され、他端が上記センタ
セクション(41)に対し潤滑用及び補給用の各液体を
供給可能に接続された潤滑ライン(12b)とを備えた
構成とするものである。
【0016】上記の構成の場合、通常運転からロックア
ップ運転に切換えられると、上記の如くポンプクラッチ
機構(CLP)を遮断状態に切換えることによりポンプ
軸(52)の回転が停止し、このポンプ軸(52)に結
合されているチャージポンプ(11)も停止して作動液
体の補給が停止する。一方、制御ポンプ(12)はポン
プ軸(52)が停止しても入力軸(1)から回転動力を
受けて駆動されるため、この制御ポンプ(12)からの
吐出液体が潤滑ラインを介して静液圧式トランスミッシ
ョン(4)のセンタセクション(41)に対し供給さ
れ、これにより、各摺動部への潤滑、及び、上記静液圧
式トランスミッション(4)内での漏れに伴う液体補給
が行われることになる。これにより、ロックアップ運転
を解除して通常運転に復帰させる際においても、上記各
摺動部での油膜切れが生じることはなく、所定の作動が
確実に実現する。加えて、上記のロックアップ運転にお
いて、液圧モータ(6)がモータ軸(62)を介して機
械式トランスミッション(3)側のトルクを支持する必
要がある場合においても、上記の液体補給が継続して行
われることにより、静液圧式トランスミッション(4)
内の液圧ポンプ(5)と液圧モータ(6)との間のメイ
ン圧が維持されるため、液圧モータ(6)の側で上記の
トルク支持が有効に行われる。これにより、ロックアッ
プ運転として確実に所期の運転状態にすることが可能に
なる。
【0017】請求項3記載の発明は、請求項1または請
求項2のいずれかに記載の発明において、静液圧式トラ
ンスミッション(4)のモータ軸(62)を上記機械式
トランスミッション(3)に対し断続切換可能に連結す
るモータクラッチ機構(CLM)を設けるものとする。
加えて、上記出力軸(2)の回転数が特定回転数にある
場合に、上記静液圧式トランスミッション(4)を介し
た上記出力軸(2)に対する動力伝達を非伝達状態に切
換えることにより上記入力軸(1)から出力軸(2)へ
の動力伝達を機械式トランスミッション(3)を介して
のみ行うロックアップ運転を行うロックアップ運転制御
手段(14)を設けるものとする。そして、上記ロック
アップ運転制御手段(14)として、ポンプクラッチ機
構(CLP)及び上記モータクラッチ機構(CLM)の
内少なくとも上記ポンプクラッチ機構(CLP)を接続
状態から遮断状態に切換えることにより運転状態を通常
運転からロックアップ運転へ切換制御する切換時制御部
(14a)を備えた構成とするものである。
【0018】上記の構成の場合、ロックアップ運転を行
う場合が具体的に特定される。すなわち、通常運転にお
いて出力軸(2)の回転数が特定回転数の状態で運転状
態が定速走行にある場合には、ロックアップ運転制御手
段により上記通常運転に代えてロックアップ運転が行わ
れることになる。この際、切換時制御部により静液圧式
トランスミッション(4)に設けられているポンプクラ
ッチ機構(CLP)とモータクラッチ機構(CLM)と
の2つのクラッチ機構の内の少なくともポンプクラッチ
機構(CLP)が接続状態から遮断状態に切換えられ
る。これにより、請求項1または請求項2によるロック
アップ運転における作用効果がより具体的に得られるこ
とになる。
【0019】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明におけるロックアップ運転制御手段(14)を、可変
斜板(51)をロックアップ運転への切換時点における
斜板角に維持する斜板制御部(14b)を備えた構成と
するものである。
【0020】上記の構成の場合、ロックアップ運転期間
中も液圧ポンプ(5)の可変斜板(51)がロックアッ
プ運転切換時点の斜板角に維持されるため、このロック
アップ運転から通常運転に復帰する場合においても、可
変斜板(51)をそのままの状態から、つまり、上記可
変斜板(51)に対し何等復帰時の制御を行うことなし
に、通常運転の斜板制御に戻すことが可能になる。しか
も、この場合、ポンプ軸(52)がポンプクラッチ機構
(CLP)の遮断状態への変換により回転が停止した状
態なっているため、上記可変斜板(51)がどのような
斜板角になっていようとも、ロックアップ運転に対し支
障を招くことはない。また、上記ポンプクラッチ機構
(CLP)に加えて、モータクラッチ機構(CLM)を
も遮断状態に変換することにより、モータ軸(62)が
MT(3)と遮断されるため、上記可変斜板(51)が
どのような斜板角になっていようとも、ロックアップ運
転に対し支障を招くことはない。
【0021】請求項5記載の発明は、請求項3記載の発
明における切換時制御部(14a)を、ロックアップ運
転への切換時点において液圧ポンプ(5)の可変斜板
(51)が斜板角零度の中立状態以外の状態にある場合
に、ポンプクラッチ機構(CLP)及びモータクラッチ
機構(CLM)を共に接続状態から遮断状態に切換制御
するように構成するものである。
【0022】上記の構成の場合、例えば可変斜板(5
1)が最大斜板角にある状態で複数のモード間の切換え
を行うという通常運転を行い、そのモード間の切換回転
数を特定回転数としてロックアップ運転を行う場合の切
換時制御部が具体的に特定される。この場合、上記切換
制御部によりポンプクラッチ機構(CLP)及びモータ
クラッチ機構(CLM)が共に遮断状態に切換えられる
ため、上記可変斜板(51)の斜板角の如何に拘らず、
ロックアップ運転になれば液圧ポンプ(5)及び液圧モ
ータ(6)を共に停止状態にすることが可能になる。
【0023】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明におけるロックアップ運転制御手段(14)として、
ロックアップ運転を解除して通常運転に復帰させる際
に、ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状態から接続
状態に切換え、かつ、上記ポンプクラッチ機構(CL
P)が接続された状態でモータクラッチ機構(CLM)
を遮断状態から接続状態に切換制御する解除時制御部
(14c)を備えた構成とするものである。
【0024】上記の構成の場合、ロックアップ運転を解
除して通常運転に復帰させる際には、ポンプクラッチ機
構(CLP)がまず先に接続状態に切換えられるため、
ポンプ軸(52)が入力軸(1)からの回転入力を受け
て先に回転駆動されることになる。この回転駆動に伴
い、ポンプ軸(52)に結合されているチャージポンプ
が作動されて静液圧式トランスミッション(4)に対す
る液体補給が可能な状態にされる。そして、このような
状態になってから、次に、モータクラッチ機構(CL
M)が接続状態にされて、入力軸(1)からの入力回転
を静液圧式トランスミッション(4)で変速し変速後の
回転動力を機械式トランスミッション(3)に出力する
通常運転に復帰する。つまり、ロックアップ運転から通
常運転への復帰を静液圧式トランスミッション(4)内
の作動準備が整った状態で行なわせることが可能にな
る。
【0025】請求項7記載の発明は、請求項3記載の発
明における切換時制御部(14a)を、液圧ポンプ
(5)の可変斜板(51)が斜板角零度の中立状態にあ
る場合に、モータクラッチ機構(CLM)を接続状態に
維持しつつポンプクラッチ機構(CLP)を接続状態か
ら遮断状態に切換制御するように構成するものである。
【0026】上記の構成の場合、例えば可変斜板(5
1)が通常運転の各モード内において中立状態になり、
その可変斜板(51)が中立状態になる回転数を特定回
転数としてロックアップ運転を行う場合の切換時制御部
が具体的に特定される。この場合、上記切換制御部によ
りポンプクラッチ機構(CLP)が遮断状態に切換えら
れてポンプ軸(52)の回転が停止される一方、モータ
クラッチ機構(CLM)は接続状態に保たれる。この
際、液圧ポンプ(5)の可変斜板(51)が中立状態に
あるため、ポンプ軸(52)の回転が停止するか否かに
拘らず液圧ポンプ(5)から液圧モータ(6)に対する
圧液の吐出はなく、液圧モータ(6)の回転は停止す
る。そして、上記圧液が保持されて静液圧式トランスミ
ッション(4)の内圧が維持されると、上記液圧モータ
(6)は回転が停止した状態に固定されることになる。
これにより、上記液圧モータ(6)は、接続状態のモー
タクラッチ機構(CLM)を介して伝達される機械式ト
ランスミッション(3)からのトルクを支持することが
可能になる。この場合において、潤滑ラインを通して制
御ポンプからの吐出液体が静液圧式トランスミッション
(4)に対し供給されて漏れ分が補給されることによ
り、上記の内圧が確実に維持されて液圧モータ(6)も
確実に固定状態に保たれ、上記のトルク支持も確実に行
われる。このため、液圧モータ(6)を固定状態に保持
するための特別なロック機構を設けることなく、上記の
如きトルク支持を確実に行い得るようになる。
【0027】また、請求項8記載の発明は、請求項7記
載の発明におけるロックアップ運転制御手段(14)と
して、ロックアップ運転を解除して通常運転に復帰させ
る際に、ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状態から
接続状態に切換制御する解除時制御部(14c)を備え
た構成とするものである。この場合には、請求項7の場
合のロックアップ運転を通常運転に復帰させる際のポン
プクラッチ機構(CLP)の制御が具体的に特定され
る。
【0028】さらに、請求項9記載の発明は、請求項1
記載の発明において、通常運転における運転状態がアイ
ドル運転状態にあるときに上記ポンプクラッチ機構(C
LP)を接続状態から遮断状態に切換制御するアイドル
運転制御手段(15)を備えた構成とするものである。
【0029】上記の構成の場合、運転状態がアイドル運
転状態にあるときのポンプクラッチ機構(CLP)の切
換制御が具体的に特定される。すなわち、アイドル運転
状態にあるときにはアイドル運転制御手段により上記ポ
ンプクラッチ機構(CLP)が遮断状態に切換えられ
る。これにより、ポンプ軸(52)を回転させるための
動力が不要になり、そのポンプ軸(52)にチャージポ
ンプ(11)が結合されている場合には、そのチャージ
ポンプ(11)を作動させるための動力が不要になり、
これらの動力に起因する動力損失の発生を無くすことが
可能になる。これに伴い、燃料消費量の低減化が図られ
る。また、アイドル運転の始期が始動時である場合に
は、その始動時において上記ポンプクラッチ機構(CL
P)を遮断状態にしておくことにより、上記に加えスタ
ータ動力の大幅な軽減化が図られる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0031】図4及び図5は本発明の実施形態に係る無
段変速機であるHMTを示し、同図中、1は動力源とし
てのエンジン(図示省略)に接続されてエンジンからの
一定回転数の回転が入力される入力軸(1)、2は最終
減速機(図示省略)を経て駆動輪(図示省略)等に接続
される出力軸、3は上記入力軸(1)と出力軸(2)と
の間に介装された機械式トランスミッションとしてのM
Tである。また、4は上記MT(3)に対し並列に配設
され入力側が上記入力軸(1)に接続され出力側が上記
MT(3)を介して出力軸(2)に接続されたた静液圧
式トランスミッションとしてのHSTである。このHS
T(4)は可変斜板(51)を有する入力側の液圧ポン
プ(5)と、主として最大斜板角度に固定される斜板
(61)を有する出力側の液圧モータ(6)とを備えて
いる。さらに、11(図5参照)は上記液圧ポンプ
(5)のポンプ軸(52)に結合されてポンプ軸(5
2)の回転作動により作動されて後述の一対の連通路
(57a,57b)に対し漏れ補給を行うチャージポン
プ、12は後述の各種クラッチ機構(CL1,CL2,
CL3,CL4,CLD,CLM,CLP)に対し作動
油の供給等を行う制御ポンプである。加えて、CLMは
HST(4)のモータ軸(62)の出力端とMT(3)
との間を断続切換可能に連結するモータクラッチ機構、
CLPはHST(4)のポンプ軸(52)の入力端と入
力軸(1)との間を断続切換可能に連結するポンプクラ
ッチ機構である。
【0032】−MTの構成− 上記MT(3)は、第1遊星歯車機構(P1 )と、第2
遊星歯車機構(P2 )と、第3遊星歯車機構(P3 )
と、入力軸(1)及び出力軸(2)と同軸に配設された
中間軸(9)と、第1〜第4の4つのクラッチ機構(C
L1,CL2,CL3,CL4)と、ドラムクラッチ機
構(CLD)とを備えたものであり、このMT(3)の
入力側に上記第4クラッチ機構(CL4)及びドラムク
ラッチ機構(CLD)と第3遊星歯車機構(P3 )とが
付設されている。以下、各機構について詳細に説明す
る。
【0033】上記第1遊星歯車機構(P1 )は、第1太
陽歯車(71)と、この第1太陽歯車(71)と噛み合
う第1遊星歯車(72)と、この第1遊星歯車(72)
と噛み合う第1内歯歯車(73)と、上記第1遊星歯車
(72)を保持する第1キャリア(74)とを備えてい
る。また、上記第2遊星歯車機構(P2 )は、上記中間
軸(9)に形成された第2太陽歯車(81)と、この第
2太陽歯車(81)と噛み合う第2遊星歯車(82)
と、この第2遊星歯車(82)と噛み合う第1内歯歯車
(83)と、上記第2遊星歯車(82)を保持する第2
キャリア(84)とを備えている。
【0034】そして、上記第1太陽歯車(71)は、出
力軸(2)に対し相対回転可能に外挿された環状の接続
軸(75)を介して歯車(76)と一体的に形成されて
おり、この歯車(76)と、後述の歯車(66)とを介
して上記液圧モータ(6)と接続されている。また、上
記第1キャリア(74)は管状部材(77)に取付けら
れており、この管状部材(77)の内周面には上記第2
内歯車(83)が形成され、これにより、第1キャリア
(74)と第2内歯歯車(83)とが互いに同期して回
転するようになっている。さらに、上記第1内歯歯車
(73)は鍔状部材(78)の外周側に形成され、この
鍔状部材(78)には上記第2キャリア(84)が取付
けられている。この鍔状部材(78)は上記出力軸
(2)に一体的に取付けられており、これにより、上記
第2遊星歯車(82)は上記第1内歯歯車(73)と同
期して回転し、かつ、上記第1内歯歯車(73)及び第
2キャリア(84)が出力軸(2)と結合されるように
なっている。
【0035】上記第1クラッチ機構(CL1)は、複数
のクラッチプレート(101)と、この各クラッチプレ
ート(101)を間に挟む複数のプレッシャープレート
(102)とを備えている。各プレッシャープレート
(102)は本HMTのケーシング(19)(図4にの
み示す)である非回転部(103)に相対回転が阻止さ
れた状態で固定されており、これにより、上記第1クラ
ッチ機構(CL1)は接続状態にすることによりブレー
キ力を付与するようになっている。上記各クラッチプレ
ート(101)は上記管状部材(77)の周囲に取付け
られており、これにより、上記第1クラッチ機構(CL
1)は、第1キャリア(74)と第2内歯歯車(83)
とを上記非回転部(103)に対し断続切換可能に連結
するようになっている。
【0036】上記第2クラッチ機構(CL2)は、中間
軸(9)の外周囲に取付けられた複数のクラッチプレー
ト(111)と、筒状部材(112)の内周面に設けら
れたプレッシャープレート(113)とを備えている。
上記筒状部材(112)はドラムクラッチ機構(CL
D)及び第3遊星歯車機構(P3 )を介して入力軸
(1)と連結されており、これにより、上記第2クラッ
チ機構(CL2)は第2太陽歯車(81)に対し接続状
態のドラムクラッチ機構(CLD)から入力する減速回
転数の回転を断続切換可能に伝達するようになってい
る。
【0037】上記第3クラッチ機構(CL3)は、上記
管状部材(77)の外周囲に取付けられた複数のクラッ
チプレート(121)と、上記筒状部材(112)の内
周面に設けられたプレッシャープレート(122)とを
備えたものであり、これにより、上記第1キャリア(7
4)と第2内歯歯車(83)とに対し減速回転数の回転
を断続切換可能に伝達するようになっている。
【0038】また、上記第3遊星歯車機構(P3 )は、
入力軸(1)に対し後述の歯車(114)と併設して固
定された第3太陽歯車(151)と、この第3太陽歯車
(151)と噛み合う第3遊星歯車(152)と、この
第3遊星歯車(152)と噛み合いかつ上記ケーシング
(19)である非回転部(154)に相対回転が阻止さ
れた状態で固定された第3内歯歯車(153)と、上記
第3遊星歯車(152)を保持する第3キャリア(15
5)とを備えている。そして、上記第3遊星歯車機構
(P3 )の各歯車(151,152,153)は、第3
太陽歯車(151)に入力する入力軸(1)の入力回転
数を所定の減速比で減速した減速回転数にして上記第3
キャリア(155)を回転させるように歯数設定がされ
ている。つまり、この第3遊星歯車機構(P3 )は、上
記入力軸(1)の回転数を減速してMT(3)の入力側
に入力する入力回転数減速機構としての役割を果たすも
のである。
【0039】上記ドラムクラッチ機構(CLD)は、上
記第3キャリア(155)の外周囲に取付けられた複数
のクラッチプレート(131)と、上記筒状部材(11
2)の内周面に設けられたプレッシャープレート(13
2)とを備えている。そして、このドラムクラッチ機構
(CLD)は、接続状態にされることにより第2及び第
3クラッチ機構(CL2,CL3)の入力端側である筒
状部材(112)に対し、上記減速回転数の回転を伝達
させるようになっている。つまり、このドラムクラッチ
機構(CLD)は、接続状態にすることにより、上記第
3遊星歯車機構(P3 )による減速機能を作動状態にす
るようになっている。
【0040】加えて、上記第4クラッチ機構(CL4)
は、上記入力軸(1)の先端部に固定された環状部材
(140)と、この環状部材(140)の内周面に設け
られたプレッシャープレート(142)と、中間軸
(9)の外周囲に取付けられた複数のクラッチプレート
(141)とを備えている。そして、この第4クラッチ
機構(CL4)は、接続状態にされることにより中間軸
(9)を介して第2太陽歯車(81)を入力軸(1)と
直結してこの入力軸(1)の回転数を上記第2太陽歯車
(81)に伝達するようになっている。つまり、この第
4クラッチ機構(CL4)は、上記第3遊星歯車機構
(P3 )による減速機能を非作動状態にして入力軸
(1)の回転数をMT(3)に入力するものである。従
って、上記ドラムクラッチ機構(CLD)及び第4クラ
ッチ機構(CL4)によって上記第3遊星歯車機構(P
3 )による減速機能を作動状態と非作動状態とに切換え
る切換機構としての役割を果たすようになっている。
【0041】このような構造において、上記第1及び第
2の両遊星歯車機構(P1 ,P2 )の各要素の歯数比
と、上記第3遊星歯車機構(P3 )による減速比とが以
下の関係を有するように設定されており、これにより、
後述の第1〜第4モードの4つの運転モードの切換前後
で実質的に連続した伝達比を与えるようになっている。
すなわち、図6の遊星速度線図に示すように、第1太陽
歯車(71)と第1内歯歯車(73)との間の歯数比を
Yとし、第2太陽歯車(81)と第2内歯歯車(83)
との間の歯数比をXとした場合に、Y=X+1の関係が
成立するように設定されている。加えて、上記減速比
が、Y/(2X+Y+2)で表される値となるように設
定されている。そして、上記歯数比Xが略2に、従っ
て、歯数比Yが略3にそれぞれ設定され、上記減速比が
略1/3に設定されている。従って、入力軸(1)から
の入力回転数をNi とすると、減速回転数NirはNi /
3となる。
【0042】−HSTの構成− 一方、上記HST(4)は互いにほぼ同じ構成の一対の
油圧ユニットと、これらを互いに相対回転可能に連結す
るセンタセクション(41)とにより構成されるもので
あり、エンジンからの回転力が入力される入力側の油圧
ユニットを液圧ポンプ(5)と呼び、変速後の回転力が
出力される出力側の油圧ユニットを液圧モータ(6)と
呼ぶものである。
【0043】上記液圧ポンプ(5)は、図7にも示すよ
うに、スプラインを介してポンプ軸(52)と一体に回
転するシリンダブロック(53)と、このシリンダブロ
ック(53)内に円周方向に列状に収容された複数の往
復動ピストン(54,54,…)と、上記シリンダブロ
ック(53)に対し非回転状態で液密に結合された非回
転ブロック(55)と、この複数の往復動ピストン(5
4,54,…)の往復動の行程を調整する可変斜板(5
1)とを備えている。上記非回転ブロック(55)の内
部には、上記複数の往復動ピストン(54,54,…)
の各シリンダ室(54a)と連通可能な2つの円弧状の
開口(55a,55b)(Aキドニー及びBキドニー;
図8参照)が形成され、このAキドニー(55a)もし
くはBキドニー(55b)は、後述の液圧モータ(6)
側の非回転ブロック(65)の対応するAキドニー(6
5a)もしくはBキドニー(65b)とそれぞれセンタ
セクション(41)内の連通路(57a,57b)を介
して連通されている。以後、上記Aキドニー(55a,
65a)間の連通路(57a)内の油圧をメイン圧Aと
いい、上記Bキドニー(55b,65b)間の連通路
(57b)内の油圧をメイン圧Bという。
【0044】上記可変斜板(51)は、上記ポンプ軸
(52)の位置を横切る直径を回転軸(X)として、斜
板角度がゼロとなる中立位置(N)を挟んで最大斜板角
度(例えば絶対値で17度)となる両最大傾斜角度位置
(M,M′)の間をアクチュエータ(20)の作動によ
り傾動可能となっており、この可変斜板(51)の斜板
角度が後述の通常運転制御手段(13)の斜板制御部
(13b)や、ロックアップ運転制御手段(14)の斜
板制御部(14b)によって傾動制御されるようになっ
ている。
【0045】上記ポンプ軸(52)は、軸受を介してそ
のポンプ軸(52)に対し回転自在に配設された歯車
(56)とポンプクラッチ機構(CLP)により断続切
換可能に連結され、この歯車(56)が入力軸(1)の
歯車(114)に噛み合わされている。上記ポンプクラ
ッチ機構(CLP)は、上記歯車(56)に固定された
クラッチハウジング(171)と、このクラッチハウジ
ング(171)の内周面側に設けられた複数のクラッチ
プレートと、ポンプ軸(52)の入力端に取付けられた
プレッシャープレートと、このプレッシャープレートを
押圧する図示省略のピストン部材とを備えている。そし
て、このポンプクラッチ機構(CLP)は、接続状態に
されることによりポンプ軸(52)と歯車(56)とが
一体に回転されて歯車(114)を介して入力軸(1)
からの回転動力をポンプ軸(52)に入力させる一方、
遮断状態にされることにより上記ポンプ軸(52)と歯
車(56)とは互いに自由に相対回転可能となって入力
軸(1)とポンプ軸(52)とが互いに分離されるよう
になっている。
【0046】加えて、上記クラッチハウジング(17
1)には制御ポンプ(12)が歯車(56)と同軸に取
付けられており、この制御ポンプ(12)は上記歯車
(56)が入力軸(1)からの回転動力を歯車(11
4)を受けて回転されることにより従動して作動するよ
うになっている。そして、上記制御ポンプ(12)の吐
出側には、図9に示すように、作動油供給ライン(12
a)と、潤滑ライン(12b)とが接続されており、上
記制御ポンプ(12)は上記作動油供給ライン(12
a)を通して各クラッチ機構(CL1,CL2,CL
3,CL4,CLD,CLP,CLM)に対しそれぞれ
開閉弁を介して作動油を供給するようになっている。ま
た、上記潤滑ライン(12b)は、途中にパイロット作
動弁(12c)が介装され下流端がセンタセクシヨン
(41)内の上記各連通路(57a,57b)及びポン
プ軸(52)及びモータ軸(62)の両軸端の回転摺動
部に連通されている。そして、チャージポンプ(11)
停止時に、上記制御ポンプ(12)から上記各連通路
(57a,57b)に対し、漏れに伴うメイン圧A,B
の維持を図るための油補給が行われると同時に、各回転
摺動部への潤滑油の補給が行われるようになっている。
【0047】また、上記液圧モータ(6)は、スプライ
ンを介してモータ軸(62)と一体に回転するシリンダ
ブロック(63)と、このシリンダブロック(63)内
に円周方向に列状に収容された複数の往復動ピストン
(64,64,…)と、上記シリンダブロック(63)
に対し非回転状態で液密に結合された非回転ブロック
(65)と、この複数の往復動ピストン(64,64,
…)の往復動の行程を調整する斜板(61)とを備えて
いる。そして、上記モータ軸(62)の出力端側がモー
タクラッチ機構(CLM)を介して歯車(66)と連結
され、この歯車(66)が、第1太陽歯車(71)と一
体の接続軸(75)に結合された歯車(76)に噛み合
わされ、これにより、上記モータ軸(62)からの回転
力が接続状態にされたモータクラッチ機構(CLM)を
介して第1太陽歯車(71)に伝達されるようになって
いる。そして、上記非回転ブロック(65)の内部に
は、上記の他の非回転ブロック(55)と同様に、上記
複数の往復動ピストン(64,64,…)の各シリンダ
室(64a)と連通可能なAキドニー(65a)及びB
キドニー(65b)(図8参照)が形成されている。ま
た、上記斜板(61)は、通常は最大斜板角度(例えば
+17度)に固定され、後述の如く一部の変速比域にお
いて上記斜板制御部(13b)からの指令を受けた斜板
角度変更機構(16)により所定の小角度に変更される
ようになっている。
【0048】上記斜板角度変更機構(16)は、圧液に
より作動されるアクチュエータにより構成されており、
非作動状態で上記斜板(61)を最大斜板角度位置に保
持する一方、上記斜板制御部(13b)からの作動信号
を受けて例えばHST(4)にチャージ油を供給するチ
ャージポンプ(11)からのチャージ圧が導入され、こ
れにより、上記最大斜板角度位置の斜板(61)を押し
て傾動させるようになっている。
【0049】上記モータクラッチ機構(CLM)は、軸
受を介してモータ軸(62)に対し回転自在に配設され
た歯車(66)の側に設けられた複数のプレッシャープ
レートと、モータ軸(62)の出力端に取付けられたク
ラッチプレートと、このプレッシャープレートを押圧す
る図示省略のピストン部材とを備えている。そして、こ
のモータクラッチ機構(CLM)は、接続状態にされる
ことによりモータ軸(62)と歯車(66)とが一体に
回転されて歯車(76)を介してHST(4)からの回
転動力を接続軸(75)に伝達させる一方、遮断状態に
されることにより上記モータ軸(62)と歯車(66)
とは互いに自由に相対回転可能となってHST(4)の
出力側とMT(3)とが互いに分離されるようになって
いる。
【0050】ここで、上記のHST(4)の作動原理に
ついて概説すると、エンジンからの回転が入力軸
(1)、歯車(114)及び歯車(56)を介してポン
プ軸(52)に伝達されても、可変斜板(51)が中立
位置Nに位置している場合には各ピストン(54)がス
トロークしないため、各シリンダ(54a)内の作動油
は液圧モータ(6)側には吐出されずに、シリンダブロ
ック(53)は空転状態になる。ところが、上記可変斜
板(51)が最大傾斜位置M側に傾くと、その斜板角度
に応じて各ピストン(54)がストロークしこのストロ
ークに応じた吐出量の圧油が一方のキドニー(55aま
たは55b)及び一方の連通路(57aまたは57b)
を通して液圧モータ(6)の各シリンダ室(64a)に
吐出されることになる。この吐出量の圧油を受けた上記
液圧モータ(6)の各ピストン(64)が傾斜状態の斜
板(61)を押すことにより、シリンダブロック(6
3)が上記吐出量に応じた回転数で回転し、この回転が
モータ軸(62)、歯車(66)及び歯車(76)を経
て第1太陽歯車(71)に伝達される。そして、圧油は
上記シリンダブロック(63)から他方のキドニー(6
5bまたは65a)及び他方の連通路(57bまたは5
7a)を通して液圧ポンプ(5)側に戻される。この
際、上記可変斜板(51)が(+)側の最大傾斜位置M
側の斜板角度であると、液圧モータ(6)のシリンダブ
ロック(63)は入力回転と同方向に正転し、逆に、上
記可変斜板(51)が(−)側の最大傾斜位置M′側の
斜板角度であると、上記シリンダブロック(63)は入
力回転と逆方向に逆転するようになる。
【0051】−コントロールユニットの構成− 上記構成の無段変速機のMT(3)及びHST(4)等
はコントロールユニット(10)により作動制御され
る。このコントロールユニット(10)は、図10に示
すように、変速比に応じて区分された4つの運転モード
M1 ,M2 ,M3,M4 (図11参照)に分けて通常運
転を行う通常運転制御手段(13)と、出力軸(2)の
回転数が特定回転数になる7つの変速比位置,,
,,,,(図11参照)においてロックアッ
プ運転を行うロックアップ運転制御手段(14)と、始
動時を含むニュートラル状態でエンジンが駆動されるア
イドル運転制御手段(15)とを備えている。
【0052】ここで、上記の4つの運転モードとは、発
進から低変速比域(低速域)の第1モードM1 と、中低
変速比域(中低速域)の第2モードM2 と、中高変速比
域(中高速域)の第3モードM3 と、高変速比域(高速
域)の第4モードM4 との4つのことである。また、上
記の7つの変速比位置とは、各モード間の切換変速比位
置,,と、最高変速比位置と、第2〜第4の各
モードM2 ,M3 ,M4 において可変斜板(51)が後
述の如く中立状態になる中間変速比位置,,のこ
とである。
【0053】−通常運転制御手段による運転− 上記通常運転時制御手段(13)は、第1〜第4の各ク
ラッチ機構(CL1〜CL4)及びドラムクラッチ機構
(CLD)等の作動制御を行うクラッチ制御部(13
a)と、アクチュエータ(20)の作動制御による可変
斜板(51)の斜板制御及び斜板角度変更機構(16)
の作動制御による斜板(61)の斜板制御を行う斜板制
御部(13b)とを備えている。そして、上記通常運転
制御手段(13)は、上記の各クラッチ機構の断続切換
制御と、主として可変斜板(51)の増減変更制御とを
入出力回転数比に基づいて行うようになっている。すな
わち、実際の入出力回転数比を検出し、この検出入出力
回転数比をフィードバックすることにより、上記各クラ
ッチ機構及び斜板角度がHMT変速比に対する特性とし
て予め設定された各クラッチ作動特性及び斜板角度特性
になるように制御するようになっている。
【0054】なお、上記検出入出力回転数比は、入力軸
(1)に入力する入力回転数としてエンジンの作動制御
において回転数センサにより検出される回転数を用い、
出力軸(2)の出力回転数としてその出力軸(2)に設
けられた回転数センサにより検出された回転数を用い、
両回転数の出力を受けてコントロールユニット(10)
で演算するようになっている。また、この通常運転にお
いては、ポンプクラッチ機構(CLP)及びモータクラ
ッチ機構(CLM)は共に接続状態に維持されている。
【0055】[クラッチ制御]まず、上記MT(3)に
おける各運転モードでの上記クラッチ制御部(13a)
による各クラッチ機構(CL1〜CL4,CLD,CL
P,CLM)の断続切換制御を、図11の下半部及び図
5を参照しつつ説明する。
【0056】上記第1モードM1 では、第1クラッチ機
構(CL1)及びドラムクラッチ機構(CLD)のみが
接続状態にされ、これにより、入力軸(1)からの回転
入力はHST(4)側にのみ入力軸回転数Ni が伝達さ
れ、出力軸(2)はHST(4)からの伝達力のみによ
って回転されることになる。一方、MT(3)において
は、接続状態のドラムクラッチ機構(CLD)により筒
状部材(112)が空転作動状態にされるものの、筒状
部材(112)の回転を第1及び第2遊星歯車機構(P
1 ,P2 )に伝達すべき第2及び第3クラッチ機構(C
L2,CL3)はいずれも遮断されており、第1遊星歯
車(72)が一体に取付けられた管状部材(77)は第
1クラッチ機構(10)により非回転部(103)と連
結されて非回転状態に固定されることになる。なお、上
記のドラムクラッチ機構(CLD)は、上記の如く筒状
部材(112)を空転させるのみであるため、第1モー
ドにおいては必ずしも接続状態にする必要はなく、第1
モードM1 で既にドラムクラッチ機構(CLD)を接続
状態にしているのは、第1モードM1 から第2モードM
2 へのモード切換時点で必要となるドラムクラッチ機構
(CLD)の接続を予め準備しているにすぎない。
【0057】上記第2モードM2 では、第2クラッチ機
構(CL2)及びドラムクラッチ機構(CLD)のみが
接続状態にされ、これにより、入力軸(1)からの回転
入力はHST(4)に対し入力軸回転数Ni が伝達され
る一方、中間軸(9)に対し第3遊星歯車機構(P3
)、ドラムクラッチ機構(CLD)及び第2クラッチ
機構(CL2)を介して減速回転数Nirが伝達される。
そして、出力軸(2)は第2遊星歯車機構(P2 )を介
した中間軸(9)からの伝達力と、第1遊星歯車機構
(P1 )を介したHST(4)からの伝達力との合成力
によって回転される。
【0058】また、上記第3モードM3 では、第3クラ
ッチ機構(CL3)及びドラムクラッチ機構(CLD)
のみが接続状態にされ、これにより、入力軸(1)から
の回転入力はHST(4)に対し入力軸回転数Ni が伝
達される一方、管状部材(77)に対し第3遊星歯車機
構(P3 )、ドラムクラッチ機構(CLD)及び第3ク
ラッチ機構(CL3)を介して減速回転数Nirが伝達さ
れる。そして、出力軸(2)は第1遊星歯車機構(P1
)の第1遊星歯車のキャリア(74)を介した管状部
材(77)からの伝達力と、第1遊星歯車機構(P1 )
の第1太陽歯車(71)を介したHST(4)からの伝
達力との合成力によって回転される。
【0059】さらに、上記第4モードM4 では、第3ク
ラッチ機構(CL3)及び第4クラッチ機構(CL4)
のみが接続状態にされ、これにより、入力軸(1)から
の回転入力はHST(4)に対し入力軸回転数Ni が伝
達される一方、第2太陽歯車(81)に対し第4クラッ
チ機構(CL4)を介して入力軸回転数Ni がそのまま
伝達される。そして、出力軸(2)は第2遊星歯車機構
(P2 )の第2キャリア(84)からの伝達力と、第1
遊星歯車機構(P1 )の第1太陽歯車(71)を介した
HST(4)からの伝達力との合成力によって回転され
る。なお、上記第3クラッチ機構(CL3)を接続状態
にしているのは、後述の回転数でのロックアップ作動
で必要となる第2クラッチ機構(CL2)の接続を準備
しているに過ぎない。
【0060】[斜板制御]一方、上記HST(4)にお
ける斜板制御部(13b)による液圧ポンプ(5)の可
変斜板(51)の作動制御を同様に図11に基づいて説
明する。なお、液圧モータ(6)の斜板(61)の斜板
角度θm は、第1モードM1 、第2モードM2 、第3モ
ードM3 及び第4モードM4 低速側の各変速比域の範囲
において斜板角度変更機構(16)が非作動状態にされ
て最大斜板角度(例えば+17度)の一定角度に固定さ
れる。そして、上記第4モードM4 高速側の最高変速比
域の範囲において、上記斜板角度変更機構(16)が上
記斜板制御部(13b)により作動されて上記斜板(6
1)の斜板角度θm を所定の小角度(例えば17度の1
/3)に変更制御するようになっている。
【0061】上記可変斜板(51)の斜板角度θp は、
第1モードM1 では、発進時の中立位置(斜板角度ゼ
ロ)から高変速比側に移行するにつれて徐々に傾動され
て第2モードM2 との第1切換変速比位置で最大傾斜
の−17度になるような増減変更比率でHMT変速比の
増大に応じて(−)側に連続的に傾動される。
【0062】第2モードM2 では、上記斜板角度(−1
7度)から絶対値で上記第1モードM1 と同じ増減変更
比率で(+)側に連続的に傾動され、上記第2モードM
2 の中間変速比位置で可変斜板(51)が中立位置に
なり、それを過ぎて同様に傾動されて第3モードM3 と
の第2切換変速比位置において斜板角度θp は+17
度に至る。
【0063】また、第3モードM3 では、上記第2切換
変速比において上記の増減変更比率と同じ増減変更比
率で(−)側に傾動するように切換えられ、第3モード
M3の中間変速比位置で上記可変斜板(51)が中立
位置に戻り、それを過ぎて同様に傾動されて第4モード
M4 との第3切換変速比位置において斜板角度θpは
−17度に至る。
【0064】さらに、第4モードM4 では、上記第3切
換変速比において上記の増減変更比率と同じ増減変更
比率で(+)側に傾動するように切換えられ、第4モー
ドM4 の中間変速比位置で上記可変斜板(51)が中
立位置に戻り、それを過ぎるとそれまでよりも小さい変
更比率で傾動され、斜板角度θp が+17度に至って最
高変速比位置に至る。
【0065】以上の如きコントロールユニット(10)
による第1〜第4クラッチ機構(CL1〜CL4)及び
ドラムクラッチ機構(CLD)の断続切換制御と、可変
斜板(51)の斜板角度の増減変更制御とによって、上
記第1モードM1 における前進側の変速範囲は図6の矢
印M1 で示す範囲に、上記第2モードM2 における変速
範囲は同図の矢印M2 で示す範囲に、上記第3モードM
3 における変速範囲は同図の矢印M3 で示す範囲に、上
記第4モードM4 における変速範囲は同図の矢印M4 で
示す範囲にそれぞれなり、出力軸(2)の回転数は第1
モードM1 から第4モードM4 までにわたり無段階で連
続して変化されることになる。
【0066】−ロックアップ運転制御手段による運転− ロックアップ運転制御手段(14)は、通常運転からロ
ックアップ運転への切換制御を行う切換時制御部(14
a)と、ロックアップ運転期間中の可変斜板(51)の
保持を行う斜板制御部(14b)と、ロックアップ運転
を解除して通常運転への復帰を行う解除時制御部(14
c)とを備えている。上記の切換時制御部(14a)及
び解除時制御部(14c)は、主として各クラッチ機構
(CL1〜CL4,CLD,CLP,CLM)の断続切
換制御を行うものである。
【0067】なお、上記通常運転からロックアップ運転
への切換判定は、出力軸(2)の回転数が上記のいずれ
かの変速比位置に対応する特定回転数にあって、アクセ
ル変動量(踏み込み量の変化割合)が所定の設定値内の
小値であること、もしくは、車両速度の変化割合が所定
の設定値内の小値であること等の条件を満足することに
より切換時制御部(14a)による切換を行うように決
定される。そして、上記ロックアップ運転への切換後、
上記のロックアップ切換判定における各条件を外れる場
合には、ロックアップ解除指令が発せられて解除時制御
部(14c)によりロックアップ運手を解除して通常運
転への復帰が行われる。
【0068】以下に、切換変速比位置,,及び最
高変速比位置におけるロックアップ運転制御と、中間
変速比位置,,におけるロックアップ運転制御と
に分けて説明する。
【0069】[,,及びにおけるロックアップ
運転制御]まず、第1モードM1 から第2モードM2 に
切換わる境界の切換変速比位置におけるロックアップ
運転を図12に基づいて説明する。
【0070】上記切換判定条件を満足することにより、
切換時制御部(14a)により、次の切換制御が行われ
る。まず、それまでの第1モードM1 (前モード)で接
続状態にされていた第1クラッチ機構(CL1)及びド
ラムクラッチ機構(CLD)に加えて、第2モードM2
(次モード)で接続される第2クラッチ機構(CL2)
をも接続状態に切換える(図11下部の黒丸参照)。次
に、ポンプクラッチ機構(CLP)及びモータクラッチ
機構(CLM)を共に接続状態から遮断状態に切換える
(図11下部の白丸参照)。これにより、ポンプ軸(5
2)及びモータ軸(62)は回転動力の伝達を断たれて
摩擦力により回転が停止する。一方、出力軸(2)は入
力軸(1)からの回転動力が上記の第1,第2,ドラム
の各クラッチ機構(CL1,CL2,CLD)及び両遊
星歯車機構(P1 ,P2 )を介して直結に伝達されて一
定回転数を維持する。このようにポンプ軸(52)の回
転が停止されるため、ロックアップ運転中もポンプ軸
(52)を空転させる場合(図1参照)と比べて、液体
ポンプ(5)とセンタセククション(41)との間の摺
動損失(無負荷損失)がなくなり、その分、HMT全体
としての伝達効率の向上を図ることができることにな
る。
【0071】また、このようにして切換えられたロック
アップ運転中は、ポンプ軸(52)の回転停止に伴いチ
ャージポンプ(11)も作動を停止してチャージポンプ
(11)による油の漏れ補給も停止する。一方、歯車
(56)は入力軸(1)からの回転動力を受けて回転す
るためロックアップ運転期間中も制御ポンプ(12)は
作動を継続する。そして、油の漏れによりメイン圧が低
下しだすと、それを受けてパイロット作動弁(12c)
が開作動され、上記のチャージポンプ(11)の代わり
に制御ポンプ(12)からの吐出油が潤滑ライン(12
b)を通して各連通路(57a,57b)に補給される
ことになる。加えて、上記の制御ポンプ(12)からの
補給油を受けてHST(4)内の各摺動部が潤滑され各
摺動部における油膜の確保が図られる。従って、ポンプ
軸(52)の回転が停止してチャージポンプ(11)の
作動が停止しても、上記制御ポンプ(12)からの供給
油によりHST(4)の内圧の保持及び各摺動部におけ
る油膜切れの発生の防止を図ることができることにな
る。これにより、ロックアップ運転を解除して通常運転
に復帰する際に、その通常運転を確実に作動させること
ができる。
【0072】また、ロックアップ運転期間中は、斜板制
御部(14b)により可変斜板(51)がロックアップ
運転への切換前の斜板角度θp (最大斜板角度)に維持
される(図11のθp 参照)。これにより、後述のロッ
クアップ運転を解除して通常運転に復帰させる際に余分
な斜板制御を不要として即座に通常運転に復帰させるこ
とができることになる。
【0073】そして、上記の切換判定条件を外れること
になると、解除時制御部(14)により以下の制御が行
われる。すなわち、まず、ポンプクラッチ機構(CL
P)を遮断状態から接続状態に切換え、これにより、回
転停止していたポンプ軸(52)をロックアップ運転切
換前の回転数で回転させてチャージポンプ(11)を作
動させるとともに、モータ軸(62)をロックアップ運
転切換前の回転数で回転させる。次に、モータクラッチ
機構(CLM)を遮断状態から接続状態に切換えて、モ
ータ軸(62)がトルクを伝達し得る状態にした後、次
モードである第2モードM2 で係合させる第2クラッチ
機構(CL2)を接続状態にしたまま、前モードである
第1モードM1 での第1クラッチ機構(CL1)を遮断
状態に切換えて通常運転に復帰させる。以下、通常運転
の第2モードM2 での制御に移行する。
【0074】他の切換変速比位置等,,もMT
(3)側で断続制御する各クラッチ機構の対象が変わる
だけで上記の切換変速比位置の場合と同様の制御が行
われる。すなわち、ロックアップ運転への切換時には、
MT(3)側で前モードと次モードとの切換前後の両モ
ードで使用する両クラッチ機構を共に接続状態にしてロ
ックアップ運転に切換えるとともに、ポンプクラッチ機
構(CLP)及びモータクラッチ機構(CLM)を共に
遮断状態に切換えかつ可変斜板(51)を切換時の斜板
角度に維持する。そして、ロックアップ運転の解除時に
は、ポンプクラッチ機構(CLP)を先に、モータクラ
ッチ機構(CLM)をその次にそれぞれ接続状態に切換
えてから、前モードで使用のクラッチ機構を遮断状態す
る。
【0075】各切換変速比位置でのMT(3)側のクラ
ッチ制御を説明すると、図11の下部に黒丸で示すよう
に、切換変速比位置におけるロックアップ運転では、
第2モードM2 と第3モードM3 との切換前後の第2ク
ラッチ機構(CL2)及び第3クラッチ機構(CL3)
をダブルクラッチ作動状態にしかつドラムクラッチ機構
(CLD)を接続状態に維持し、切換変速比位置にお
けるロックアップ運転では第3モードM3 と第4モード
M4 との切換前後の第3クラッチ機構(CL3),ドラ
ムクラッチ機構(CLD)及び第4クラッチ機構(CL
4)の3者をトリプルクラッチ作動状態に維持し、最高
変速比位置におけるロックアップ運転は、第2クラッ
チ機構(CL2)を接続状態に切換えかつ第3クラッチ
機構(CL3)及び第4クラッチ機構(CL4)を接続
状態に維持するように制御する。
【0076】[,,におけるロックアップ運転制
御]この中間変速比位置,,では通常運転での制
御により可変斜板(51)が中立状態にされているた
め、入力軸(1)からポンプ軸(52)に回転動力が入
力しても液圧モータ(6)の側には圧液の吐出を行わな
い、すなわち、動力伝達を行わない状態になっている。
つまり、そのままの状態でロックアップ運転への移行が
可能であるため、MT(3)側ではその中間変速比の属
する運転モードで接続状態にされているクラッチ機構を
そのままの接続状態に維持し、かつ、上記可変斜板(5
1)も上記の中立状態を維持して、以下の制御を行う。
【0077】まず、第1モードM1 の中間変速比位置
におけるロックアップ運転を例にして図13に基づいて
説明する。
【0078】上記切換判定条件を満足することにより、
切換時制御部(14a)により、ポンプクラッチ機構
(CLP)を接続状態から遮断状態に切換える一方、モ
ータクラッチ機構(CLM)を接続状態に維持する。こ
れにより、ポンプ軸(52)は歯車(56)からの回転
動力の伝達が断たれて停止する一方、モータ軸(62)
は上記の如く液圧モータ(6)が液圧ポンプ(5)から
の動力伝達を受けない状態になっているため回転が停止
した状態で、かつ、MT(3)から歯車(76,66)
を介して伝わるトルクを支持して上記回転停止状態に固
定された状態になる。
【0079】そして、ロックアップ運転期間中は、上記
の切換変速比位置でのロックアップ運転期間中と同様
に、ポンプ軸(52)の回転停止に伴いチャージポンプ
(11)の作動が停止されるものの、制御ポンプ(1
2)からの油補給を受けてHST(4)のメイン圧の保
持が行われるため、上記のトルクに対抗して液圧モータ
(6)を確実に回転停止状態に固定保持することができ
る。
【0080】一方、切換判定条件を外れることになる
と、解除時制御部(14c)により上記ポンプクラッチ
機構(CLP)が遮断状態から接続状態に切換えられ
て、ポンプ軸(52)がロックアップ運転切換前の回転
数に復帰するとともに、チャージポンプ(11)も作動
状態に復帰し、これにより、元の第2モードM2 での通
常運転が行われる。
【0081】[無負荷損失]以上のロックアップ運転の
場合、HST(4)での無負荷損失を、図1に示す無段
変速機の場合(図3参照)よりも大幅に低減させること
ができる。すなわち、図14に示すように、制御ポンプ
(12)はロックアップ運転中においても入力軸(1)
により作動されるため図1の場合と同様に発生するもの
の、チャージポンプ(11)の作動がポンプクラッチ機
構(CLP)の遮断状態への切換えにより停止するた
め、チャージポンプ(11)を作動させるために生じる
損失(チャージポンプ損失)を各ロックアップ運転中
(〜)には零にすることができる上に、液圧ポンプ
(5)の回転作動が上記のポンプクラッチ機構(CL
P)の遮断状態への切換えにより停止するため、その液
圧ポンプ(5)とセンタセクション(41)と間の摺動
損失(HSTポンプ損失)を各ロックアップ運転中(
〜)には零にすることができる。これにより、HMT
全体の伝達効率の向上を図ることができるようになる。
【0082】−アイドル運転制御手段による運転− 入力軸(1)と出力軸(2)との間の回転動力の伝達が
断たれたニュートラル状態においては、アイドル運転制
御手段(15;図10参照)によりMT(3)側では少
なくとも第4クラッチ機構(CL4)及びドラムクラッ
チ機構(CLD)が遮断状態にされ、HST(4)側で
は少なくともポンプクラッチ機構(CLP)が遮断状態
にされる。これにより、入力軸(1)と出力軸(2)と
が互いに分離されるとともに、上記ポンプクラッチ機構
(CLP)の遮断状態への切換に伴い、ポンプ軸(5
2)が回転停止し、液圧ポンプ(5)及びチャージポン
プ(11)の作動が停止される。このため、アイドル運
転時において、上記液圧ポンプ(5)及びチャージポン
プ(11)を作動し続けるための動力消費を無くすこと
ができ、エンジン側で動力損失の削減を図ることができ
るようになる。一方、アイドル運転中においても、制御
ポンプ(12)は作動されるため、HST(4)での内
圧保持及び油膜確保が図られ、アイドル運転から通常運
転への移行(発進)を確実かつスムースに行うことがで
きるようになる。
【0083】加えて、上記アイドル運転の内でもエンジ
ン始動時においては、そのエンジンを始動するためのス
タータの消費動力を低減化させることもできる。
【0084】<他の実施形態>なお、本発明は上記実施
形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態
を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、
,,及びにおけるロックアップ運転制御におい
て、切換時制御部(14a)によりポンプクラッチ機構
(CLP)及びモータクラッチ機構(CLM)を共に同
時に遮断状態に切換え、かつ、斜板制御部(14b)に
より可変斜板(52)をロックアップ運転に切換前の斜
板角度を維持させるようにしているが、これに限らず、
例えば図15に示すようにしてもよい。
【0085】すなわち、ロックアップ運転への切換判定
状件を満足することにより、それまでのモード(第1モ
ードM1 )で使用していたクラッチ機構{第1クラッチ
機構(CL1)}に加え、次モード(第2モードM2 )
で使用するクラッチ機構{第2クラッチ機構(CL
2)}をも接続状態にしてロックアップ運転に移行す
る。加えて、その後に、まず、モータクラッチ機構(C
LM)を遮断状態に切換える一方、可変斜板(52)の
斜板角度を中立状態に戻す。これにより、液圧モータ
(6)への吐出圧液の供給が停止してモータ軸(62)
への回転動力の伝達が断たれる上に、MT(3)側から
の従動力の伝達も遮断されて、モータ軸(62)の回転
が停止する。この次に、ポンプクラッチ機構(CLP)
を遮断状態に切換えて、ポンプ軸(52)への動力伝達
を断ってポンプ軸(52)の回転を停止させる。
【0086】そして、ロックアップ運転中はこのような
状態を維持し、ロックアップ運転解除時には、上記とは
逆に、まず、ポンプクラッチ機構(CLP)を接続状態
に切換えてポンプ軸(52)の回転数を復帰させ、この
後、可変斜板(51)の斜板角度θp をロックアップ運
転切換前の状態(最大斜板角度)に戻す。これにより、
液圧ポンプ(5)から液圧モータ(6)に対し吐出圧液
の供給による動力伝達が開始されてモータ軸(62)の
回転数も復帰し出す。この状態になった時にモータクラ
ッチ機構(CLM)を接続状態に切換えるようにする。
これにより、モータクラッチ機構(CLM)の続状態へ
の切換えを同調させて行うことができるようになる。
【0087】上記実施形態では、入力回転数減速機構と
しての第3遊星歯車機構(P3 )と、これの作動切換を
行う切換機構としての一対のクラッチ機構(CLD,C
L4)とを設けることにより運転モードを4モードに増
加し、この増加によりロックアップ作動点の増加を図っ
ているが、例えば、さらにもう1つのクラッチ機構を追
加することにより運転モードを5モードに増加させ、こ
の運転モードの増加に伴うロックアップ作動点の増加を
図るようにしてもよい。これにより、第4モードよりも
さらに高変速比でのオーバードライブを実現することも
可能になる。また、逆に、上記の第3遊星歯車機構(P
3 )と、一対のクラッチ機構(CLD,CL4)とを省
略して運転モードを3モードにしてもよい。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明における無段変速機によれば、ロックアップ運転に切
換えた場合に、ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状
態にすることにより、入力軸(1)が回転状態にあって
も、静液圧式トランスミッション(4)の液圧ポンプ
(5)の回転を停止させて、液圧ポンプ(5)とセンタ
セクション(41)との間の摺動損失の発生を無くすこ
とができ、その分、HMT全体の伝達効率の向上を図る
ことができるようになる。
【0089】併せて、始動時やアイドル運転において
も、上記ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状態にす
ることにより、ポンプ軸(52)の回転を停止させるこ
とができ、このポンプ軸(52)に対しチャージポンプ
(11)が結合されてポンプ軸(52)の回転により作
動されるようになっていても、そのチャージポンプ(1
1)を作動させるための動力が不要になり、ポンプ軸
(52)をも回転させる場合に生じる動力損失の発生を
無くすことができ、動力源やこの動力源のスタータ等の
負荷軽減化、これに伴う燃料消費量の低減化を図ること
ができる。
【0090】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明による効果に加え、ポンプクラッチ機構(CL
P)を遮断状態に切換えることによりポンプ軸(52)
の回転が停止し、このポンプ軸(52)に結合されてい
るチャージポンプ(11)も停止して作動液体の補給が
停止しても、制御ポンプ(12)は駆動されるため、こ
の制御ポンプ(12)からの吐出液体を潤滑ラインを介
してHST(4)のセンタセクション(41)に対し供
給することができ、各摺動部への潤滑、及び、上記HS
T(4)内での漏れに伴う液体補給を行うことができる
ようになる。これにより、ロックアップ運転を解除して
通常運転に復帰させる際においても、上記各摺動部での
油膜切れが生じることはなく、所定の作動が確実に実現
する上に、上記のロックアップ運転において、液圧モー
タ(6)がモータ軸(62)を介してMT(3)側のト
ルクを支持する必要がある場合においても、上記の液体
補給が継続して行われることにより、HST(4)内の
メイン圧が維持されて上記のトルク支持を確実に行うこ
とができる。
【0091】請求項3記載の発明によれば、請求項1ま
たは請求項2のいずれかに記載の発明による効果に加
え、ロックアップ運転を行う場合の切換時制御を具体的
に特定することができ、これにより、請求項1または請
求項2によるロックアップ運転における効果をより具体
的に得ることができる。
【0092】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の発明による効果に加え、ロックアップ運転期間中も
液圧ポンプ(5)の可変斜板(51)がロックアップ運
転切換時点の斜板角に維持されるため、このロックアッ
プ運転から通常運転に復帰する場合においても、可変斜
板(51)をそのままの状態から、つまり、上記可変斜
板(51)に対し何等復帰時の制御を行うことなしに、
通常運転の斜板制御に戻すことができるようになる。し
かも、この場合、ポンプ軸(52)がポンプクラッチ機
構(CLP)の遮断状態への変換により回転を停止させ
た状態することができるため、上記可変斜板(51)が
どのような斜板角になっていようとも、ロックアップ運
転に対し支障を招くことはない。また、上記ポンプクラ
ッチ機構(CLP)に加えて、モータクラッチ機構(C
LM)をも遮断状態に変換することにより、モータ軸
(62)とMT(3)との接続を遮断させることがで
き、上記可変斜板(51)がどのような斜板角になって
いようとも、ロックアップ運転に対し支障を招くことは
全くない。
【0093】請求項5記載の発明によれば、請求項3記
載の発明による効果に加え、例えば可変斜板(51)が
最大斜板角にある状態で複数のモード間の切換えを行う
という通常運転を行い、そのモード間の切換回転数を特
定回転数としてロックアップ運転を行う場合の切換時制
御部を具体的に特定することができる。この場合、上記
切換制御部によりポンプクラッチ機構(CLP)及びモ
ータクラッチ機構(CLM)が共に遮断状態に切換えら
れるため、上記可変斜板(51)の斜板角の如何に拘ら
ず、ロックアップ運転になれば液圧ポンプ(5)及び液
圧モータ(6)を共に停止状態にすることができ、HS
T(4)のセンタセクション(41)に対する液圧ポン
プ(5)及び液圧モータ(6)の双方の摺動損失を無く
して伝達効率の向上を図ることができる。
【0094】請求項6記載の発明によれば、請求項5記
載の発明による効果に加え、ロックアップ運転を解除し
て通常運転に復帰させる際には、ポンプクラッチ機構
(CLP)をまず先に接続状態に切換えるようにしてい
るため、ポンプ軸(52)を先に回転駆動させて、この
回転駆動に伴い、ポンプ軸(52)に結合されているチ
ャージポンプを作動させることができる。これにより、
ロックアップ運転から通常運転への復帰をHST(4)
内の作動準備が整った状態で行なわせることができるよ
うになる。
【0095】請求項7記載の発明によれば、請求項3記
載の発明による効果に加え、例えば可変斜板(51)が
通常運転の各モードの中間変速比において中立状態にな
り、その可変斜板(51)が中立状態になる回転数を特
定回転数としてロックアップ運転を行う場合の切換制御
部を具体的に特定することができる。しかも、HST
(4)の内圧保持によりロックアップ運転中におけるM
T(3)側のトルク支持を、特別なロック機構を設ける
ことなく確実に行うことができるようになる。
【0096】また、請求項8記載の発明によれば、請求
項7記載の発明の場合のロックアップ運転を通常運転に
復帰させる際のポンプクラッチ機構(CLP)の制御を
具体的に特定することができる。
【0097】さらに、請求項9記載の発明によれば、請
求項1記載の発明による効果に加え、運転状態がアイド
ル運転状態にあるときのポンプクラッチ機構(CLP)
の切換制御を具体的に特定することができ、上記請求項
1記載の発明による効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の課題を説明する上で比較例として考
えられる無段変速機を示す模式図である。
【図2】図1の無段変速機の液圧ポンプの可変斜板及び
液圧モータの斜板の両斜板角度とHMT変速比との関係
と、入力軸及び出力軸等の回転数とHMT変速比との関
係を関連付けて示す説明図である。
【図3】図1の無段変速機の場合の無負荷損失を示す説
明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無段変速機の断面説明
図である。
【図5】図4の無段変速機の図1対応図である。
【図6】図4の第1及び第2遊星歯車機構の遊星速度線
図である。
【図7】HSTを示す簡略縦断面図である。
【図8】図7のC−C線及びD−D線における両非回転
ブロックを示す断面説明図である。
【図9】ポンプクラッチ機構及びHSTの拡大断面説明
図である。
【図10】コントロールユニットの構成を示すブロック
図である。
【図11】各運転モードにおけるクラッチ機構の作動,
斜板角度及び各軸回転数と、HMT変速比との関係を示
す説明図である。
【図12】切換変速比位置でのロックアップ切換時及
び解除時のクラッチ及び斜板角度の各制御と、各軸回転
数の変化とを示す図である。
【図13】中間変速比位置でのロックアップ切換時及
び解除時のクラッチ及び斜板角度の各制御と、各軸回転
数の変化とを示す図である。
【図14】実施形態の無段変速機の場合の無負荷損失を
示す説明図である。
【図15】切換変速比位置でのロックアップ切換時及び
解除時のクラッチ及び斜板角度の図12とは異なる他の
形態の各制御と、各軸回転数の変化とを示す図である。
【符号の説明】
1 入力軸 2 出力軸 3 MT(機械式トランス
ミッション) 4 HST(静液圧式トラ
ンスミッション) 5 液圧ポンプ 6 液圧モータ 11 チャージポンプ 12 制御ポンプ 12b 潤滑ライン 13 通常運転制御手段 14 ロックアップ運転制御
手段 14a 切換時制御部 14b 斜板制御部 14c 解除時制御部 15 アイドル運転制御手段 41 センタセクション 51 可変斜板 57a,57b 連通路 52 ポンプ軸 61 斜板 62 モータ軸 P1 第1遊星歯車機構 P2 第2遊星歯車機構 P3 第3遊星歯車機構 CL1 第1クラッチ機構 CL2 第2クラッチ機構 CL3 第3クラッチ機構 CL4 第4クラッチ機構 CLM モータクラッチ機構 CLP ポンプクラッチ機構

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動力源に接続される入力軸(1)と、出
    力軸(2)と、上記入力軸(1)と出力軸(2)との間
    に介装され複数のクラッチ機構(CL1,CL2,CL
    3,CL4,CLD)及び複数の遊星歯車機構(P1 ,
    P2 ,P3 )を備えた機械式トランスミッション(3)
    と、上記入力軸(1)及び出力軸(2)に対し並列に配
    設され入力側が上記入力軸(1)に接続され出力側が上
    記機械式トランスミッション(3)を介して上記出力軸
    (2)に接続された静液圧式トランスミッション(4)
    とを備え、 上記静液圧式トランスミッション(4)は、可変斜板
    (51)の斜板角度の増減変更制御により上記入力軸
    (1)からポンプ軸(52)に入力する回転力を所定の
    吐出圧液に変換する入力側の液圧ポンプ(5)と、所定
    の傾斜状態の斜板(61)により上記液圧ポンプ(5)
    からの吐出圧液を回転力に変換してモータ軸(62)を
    回転させる出力側の液圧モータ(6)とを備え、 通常運転において上記機械式トランスミッション(3)
    と、静液圧式トランスミッション(4)とを変速比に応
    じて複数の運転モードに分けて作動させることにより、
    上記入力軸(1)に入力する入力回転を無段階に変速さ
    せて上記出力軸(2)に伝達するように構成された無段
    変速機において、 上記静液圧式トランスミッション(4)のポンプ軸(5
    2)を上記入力軸(1)に対し断続切換可能に連結する
    ポンプクラッチ機構(CLP)を備えていることを特徴
    とする無段変速機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 静液圧式トランスミッション(4)は、液圧ポンプ
    (5)及び液圧モータ(6)の間に介装され液圧ポンプ
    (5)及び液圧モータ(6)をそれぞれ相対回転可能に
    結合するセンタセクシヨン(41)と、上記液圧ポンプ
    (5)及び液圧モータ(6)の両者間を上記吐出圧液が
    供給・環流されるよう閉回路として上記センタセクショ
    ン(41)内に形成された一対の連通路(57a,57
    b)と、上記液圧ポンプ(5)の回転駆動により作動さ
    れて作動液体を上記連通路(57a,57b)に対し補
    給するチャージポンプ(11)とを備えており、 入力軸(1)からの回転動力を受けて駆動され、各クラ
    ッチ機構(CL1,CL2,CL3,CL4,CLD,
    CLP,CLM)に対し作動液体を供給制御する制御ポ
    ンプ(12)と、 一端がこの制御ポンプ(12)の吐出側に接続され、他
    端が上記センタセクション(41)に対し潤滑用及び補
    給用の各液体を供給可能に接続された潤滑ライン(12
    b)とを備えていることを特徴とする無段変速機。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、 静液圧式トランスミッション(4)のモータ軸(62)
    を上記機械式トランスミッション(3)に対し断続切換
    可能に連結するモータクラッチ機構(CLM)と、 上記出力軸(2)の回転数が特定回転数にある場合に、
    上記静液圧式トランスミッション(4)を介した上記出
    力軸(2)に対する動力伝達を非伝達状態に切換えるこ
    とにより上記入力軸(1)から出力軸(2)への動力伝
    達を機械式トランスミッション(3)を介してのみ行う
    ロックアップ運転を行うロックアップ運転制御手段(1
    4)とを備え、 上記ロックアップ運転制御手段(14)は、ポンプクラ
    ッチ機構(CLP)及び上記モータクラッチ機構(CL
    M)の内少なくとも上記ポンプクラッチ機構(CLP)
    を接続状態から遮断状態に切換えることにより運転状態
    を通常運転からロックアップ運転へ切換制御する切換時
    制御部(14a)を備えていることを特徴とする無段変
    速機。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 ロックアップ運転制御手段(14)は、可変斜板(5
    1)をロックアップ運転への切換時点における斜板角に
    維持する斜板制御部(14b)を備えていることを特徴
    とする無段変速機。
  5. 【請求項5】 請求項3において、 切換時制御部(14a)は、ロックアップ運転への切換
    時点において液圧ポンプ(5)の可変斜板(51)が斜
    板角零度の中立状態以外の状態にある場合に、ポンプク
    ラッチ機構(CLP)及びモータクラッチ機構(CL
    M)を共に接続状態から遮断状態に切換制御するように
    構成されていることを特徴とする無段変速機。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 ロックアップ運転制御手段(14)は、ロックアップ運
    転を解除して通常運転に復帰させる際に、ポンプクラッ
    チ機構(CLP)を遮断状態から接続状態に切換え、か
    つ、上記ポンプクラッチ機構(CLP)が接続された状
    態でモータクラッチ機構(CLM)を遮断状態から接続
    状態に切換制御する解除時制御部(14c)を備えてい
    ることを特徴とする無段変速機。
  7. 【請求項7】 請求項3において、 切換時制御部(14a)は、液圧ポンプ(5)の可変斜
    板(51)が斜板角零度の中立状態にある場合に、モー
    タクラッチ機構(CLM)を接続状態に維持しつつポン
    プクラッチ機構(CLP)を接続状態から遮断状態に切
    換制御するように構成されていることを特徴とする無段
    変速機。
  8. 【請求項8】 請求項7において、 ロックアップ運転制御手段(14)は、ロックアップ運
    転を解除して通常運転に復帰させる際に、ポンプクラッ
    チ機構(CLP)を遮断状態から接続状態に切換制御す
    る解除時制御部(14c)を備えていることを特徴とす
    る無段変速機。
  9. 【請求項9】 請求項1において、 通常運転における運転状態がアイドル運転状態にあると
    きに上記ポンプクラッチ機構(CLP)を接続状態から
    遮断状態に切換制御するアイドル運転制御手段(15)
    を備えていることを特徴とする無段変速機。
JP18629497A 1997-07-11 1997-07-11 無段変速機 Withdrawn JPH1130306A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10989291B2 (en) 2018-02-22 2021-04-27 Komatsu Ltd. Transmission, and control system for work vehicle
JP2022522237A (ja) * 2019-10-08 2022-04-14 江▲蘇▼大学 多重出力分配モードの機械油圧式複合伝動装置及び制御方法

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