JPH1151149A - 無段変速機 - Google Patents

無段変速機

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JPH1151149A
JPH1151149A JP20602397A JP20602397A JPH1151149A JP H1151149 A JPH1151149 A JP H1151149A JP 20602397 A JP20602397 A JP 20602397A JP 20602397 A JP20602397 A JP 20602397A JP H1151149 A JPH1151149 A JP H1151149A
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JP
Japan
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swash plate
pump
shaft
transmission
gear
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Withdrawn
Application number
JP20602397A
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English (en)
Inventor
Kenji Kinoue
憲嗣 紀ノ上
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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Publication of JPH1151149A publication Critical patent/JPH1151149A/ja
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 HMT全体の伝達効率の向上を図り、併せ
て、アイドル運転,始動時における動力源側の負荷軽減
を図る。 【解決手段】 入力軸1とポンプ軸52との間に入力軸か
ら入力回転数を伝達させる第1歯車機構114,56と、入力
回転数を1/3に減速した減速回転数を伝達させる第2
歯車機構181,182 とを介装する。歯車56とポンプ軸との
間にポンプクラッチ機構CLP を介装し、歯車182 とポン
プ軸との間に一方向クラッチ機構CLW を介装する。ポン
プ軸に対し、通常運転時には第1歯車機構及びポンプク
ラッチ機構を介して入力回転数を伝達させ、ロックアッ
プ運転時等には第2歯車機構構及び一方向クラッチ機構
を介して減速回転数を伝達させる。ロックアップ運転
時,アイドル運転時,始動時にはポンプ軸を減速回転数
で空転させ続け、チャージポンプ11及び制御ポンプ12を
作動継続させ、HSTへの補給油の供給を継続させて内
圧維持と、各摺動部への潤滑による油膜の確保とを図
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バス、トラック、
各種建設機械、もしくは、各種産業機械等に用いられる
無段変速機に関し、特に、ハイドロメカニカルトランス
ミッション(Hydro Mechanical Transmission ;以下、
「HMT」という)といわれる無段変速機に関する。こ
のHMTは、流体の静圧エネルギーを利用するハイドロ
スタティックトランスミッション(Hydro Static Trans
mission ;以下、「HST」という)と、メカニカルト
ランスミッション(以下、「MT」という)とを、遊星
歯車機構等を介して組み合わせることにより、無段階で
連続した変速を行うようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の無段変速機として
は、米国特許第4,341,131号公報、もしくは、
特開昭54−35560号公報により提案されたものが
知られている。これは、可変斜板を有する油圧ポンプ、
及び、固定斜板を有する油圧モータを、両者間に介装さ
せたセンタセクションにより互いに相対回転可能に結合
させたHSTと、第1及び第2の2つの遊星歯車機構並
びにこの各遊星歯車機構の作動条件を切換えるための第
1〜第3の3つのクラッチ機構等を備えたMTとを組み
合わせたものである。そして、上記提案の無段変速機
は、上記2つの遊星歯車機構の各歯数比の関係を特定条
件に設定し、かつ、3つの運転モードに分けて運転する
場合の各モード切換えの際に上記可変斜板を上記固定斜
板と同じ斜板角度(最大斜板角度)とする等の条件の下
で変速制御を行うものである。
【0003】通常、上記特許公報のHMTにおいては、
上記HSTの油圧ポンプの可変斜板がHMTの変速比に
応じて3つの運転モードに分けて傾転制御され、これに
より、例えばエンジン等の駆動源からHMTの入力軸に
入力される一定回転数の回転が、HMTの出力軸に対し
回転数を無段階かつ連続的に変化させて伝達されるよう
にシステムが設計されている。つまり、第1モード,第
2モード及び第3モードの3つの各運転モードにおい
て、HSTの油圧ポンプの容量制御を行うことにより、
HMTの変速比が無段階かつ連続的に変化するように制
御されている。この場合、上記各運転モードにおいて、
上記油圧ポンプの可変斜板がHMT変速比に応じて最大
斜板角度(例えば+17度と−17度)位置と、中立位
置(斜板角度ゼロ)との間で斜板角度が一定の増減変更
比率で徐々に増減変更制御される。なお、上記油圧モー
タの斜板は固定斜板とされ、その斜板角度は常に上記の
最大斜板角度になるようにされている。そして、上記可
変斜板が正転側または反転側の最大斜板角度になって、
その絶対値が固定斜板と同じ斜板角度になる変速比位置
において、第1モードから第2モードへの切換え、及
び、第2モードから第3モードへの切換えが行われるよ
うになっている。
【0004】一方、上記のMTの側では、上記第1モー
ドで第1クラッチ機構のみが接続状態にされ、第2モー
ドで第2クラッチ機構のみが接続状態にされ、第3モー
ドで第3クラッチ機構のみが接続状態にされるという
に、各モード切換えに際し各クラッチ機構の断続が切換
えられるようになっている。そして、この各クラッチ機
構の断続切換えの際に、同じ回転数で同調し切換前後で
連続した変速比で回転伝達されるように上記第1及び第
2の遊星歯車機構の各歯数比が次の特定関係を有するよ
うに条件付けられている。すなわち、上記第1遊星歯車
機構の太陽歯車と内歯歯車との間の歯数比をYとし、第
2遊星歯車機構の太陽歯車と内歯歯車との間の歯数比を
Xとした場合に、 Y=X+1 の関係が成立するように条件付けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
無段変速機が搭載された車両が定速走行を維持する場合
にも、MTとHSTとの双方を介して動力伝達を行う通
常運転を継続するのでは伝達効率の面で好ましくないた
め、このような場合には、上記の無段変速機において、
HSTを介した動力伝達を遮断して入力軸から出力軸へ
の動力伝達をMTのみを介したものに切換えることによ
りロックアップ運転を行なわせるようにすることが考え
られる。そして、このようなロックアップ運転を可能と
しつつロックアップ運転中におけるHST内のメイン圧
の異常上昇を防止し得る構造として本出願人が特願平9
−116788号により提案した無段変速機が考えられ
る。すなわち、この無段変速機は、4つの運転モードに
分けて変速作動を行わせるために図1に示すようにMT
(3)を入力側の減速用の遊星歯車機構(P3 )と、回
転動力の合成用の2つの遊星歯車機構(P1 ,P2 )
と、入力の切換えを行う第1〜第4のクラッチ機構(C
L1,CL2,CL3,CL4)及びドラムクラッチ機
構(CLD)とで構成し、HST(4)の液圧モータ
(6)のモータ軸(62)をロックアップ運転中に空転
可能にするためにHST(4)の出力側と上記MT
(3)の太陽歯車(71)との回転動力の伝達経路の途
中にモータクラッチ機構(CLM)を設けたものであ
る。なお、11はHST(4)に対し液漏れの補給を行
うチャージポンプ、12は各クラッチ機構に対し作動液
を供給する制御ポンプであり、これらチャージポンプ
(11)及び制御ポンプ(12)はそれぞれポンプ軸
(52)に結合されてこのポンプ軸(52)の回転を受
けて作動されるようになっている。
【0006】そして、上記提案の無段変速機において
は、第4モードM4 (図2参照)を除き第1〜第3モー
ドM1 ,M2 ,M3 ではドラムクラッチ機構(CLD)
を接続状態にし、かつ、モータクラッチ機構(CLM)
を接続状態に維持して、以下のように通常運転が行われ
る。第1クラッチ機構(CL1)のみを接続状態にした
低速域の第1モードM1 において、斜板(61)の斜板
角度θm を最大斜板角度(例えば+17度)に維持して
可変斜板(51)の斜板角度θp を斜板角零度の中立位
置から(−)側の最大斜板角度(例えば−17度)まで
漸減させ、最大斜板角度の変速比で第2クラッチ機構
(CL2)のみを接続状態にした中低速域の第2モード
M2 に切換える。この第2モードM2 では、上記と同様
にθm を最大斜板角度に維持した斜板(61)に対し、
θp を逆向きに(+)側の最大斜板角度(+17度)ま
で漸増させ、最大斜板角度の変速比で第3クラッチ機構
(CL3)のみを接続状態にした中高速域の第3モード
M3 に切換える。この第3モードM3 では、上記と同様
にθm を最大斜板角度に維持した斜板(61)に対し、
θp をを逆向きに(−)側の最大斜板角度(−17度)
まで漸減させ、最大斜板角度の変速比で第4クラッチ機
構(CL4)を接続状態にした高速域の第4モードM4
に切換える。そして、この第4モードM4 では、上記と
同様にθm を最大斜板角度に維持した斜板(61)に対
しθp を逆向きに(+)側に漸増させ、中立位置の変速
比で上記θm を所定斜板角度(+17度の1/3)に変
更し、この状態の斜板(61)に対し上記θp を(+)
側の最大斜板角度まで漸増させる。以上により入力軸
(1)から一定回転数で入力する回転を無段階で連続し
て変速して出力軸(2)に伝達するようにしている。
【0007】一方、上記の通常運転におけるモード切換
位置及び最大変速比位置の4位置,,,と、各
モードの中間変速比位置の3位置,,との7位置
でロックアップ運転が行われる。このロックアップ運転
は、上記,,,のモード切換位置等において
は、切換前後の各モードで接続状態にする両クラッチ機
構を共に接続状態にすることにより、入力軸(1)と出
力軸(2)とを互いに直結し、入力軸(1)からの回転
動力をHST(4)を介さずして出力軸(2)に伝達さ
せるロックアップ運転に切換える。加えて、上記モータ
クラッチ機構(CLM)を遮断状態にするとともに、可
変斜板(51)の斜板角度θp を中立位置に変更してモ
ータ軸(62)の回転を停止させる。なお、図2ではこ
のθp の中立位置への変更状況を誇張して示している。
【0008】しかしながら、上記の図1に示す無段変速
機においては、ロックアップ運転中においては、上記モ
ータクラッチ機構(CLM)を遮断状態にしてモータ軸
(62)を自由に空転可能な状態もしくは停止させたと
しても、HST(4)の液圧ポンプ(5)のポンプ軸
(52)は歯車機構(114,56)を介して入力軸
(1)からの回転動力を受けて回転することになる。こ
のため、液圧ポンプ(5)とセンタセクション(41)
との間に摩擦による摺動損失が発生し、これが、ロック
アップ運転中の無負荷損失となる。すなわち、図3に示
すように、液圧モータ(6)の側では、モータクラッチ
機構(CLM)が遮断状態にされる上記,,,
の各ロックアップ点、及び、可変斜板(51)が中立状
態になってモータ軸(62)の回転が停止する,,
の各ロックアップ点においては、液圧モータ(6)の
側の無負荷損失(HSTモータ損失)は零となる。その
一方で、ロックアップ運転中においても、上記ポンプ軸
(52)が回転されることになるため、上記センタセク
ション(41)との間の摺動損失による液圧ポンプ
(5)側の無負荷損失(HSTポンプ損失)に加えて、
上記ポンプ軸(52)の回転により制御ポンプ(12)
及びチャージポンプ(11)がそれぞれ作動され、それ
ぞれで無負荷損失が発生することになる。そして、この
無負荷損失によりHMT全体の伝達効率の向上を阻害す
ることになる。
【0009】また、ロックアップ運転中に限らず、動力
源からの回転動力の最終駆動部までの伝達が遮断された
ニュートラル状態で動力源、すなわち、入力軸(1)が
空転することになるアイドル運転状態にあるときにも、
上記ポンプ軸(52)が入力軸(1)により回転されて
しまうと、上記と同様に液圧ポンプ(5)とセンタセク
ション(41)との間に摺動損失が発生する。しかも、
その上に、そのポンプ軸(52)に結合されているチャ
ージポンプ(11)及び制御ポンプ(12)も回転作動
されてしまうことになる。これらに起因して、エンジン
などの動力源の負荷増大を、始動時にはこれに加えてス
タータの負荷増大を招くことになり、この様な不要なエ
ネルギー消費の結果、燃料消費量の増大化を招くことに
なる。
【0010】一方、上記ロックアップ運転中もしくはア
イドル運転中にポンプ軸(52)の回転を止めてしまう
ことも考えられるが、ポンプ軸(52)の回転を停止さ
せてしまうと制御ポンプ(12)及びチャージポンプ
(11)の作動も停止することになり、これに伴い、こ
の制御ポンプ(12)からの各クラッチ機構への作動液
体の供給・維持、及び、上記チャージポンプ(11)か
らのHST(4)への漏れ補給や各摺動部への潤滑液の
供給なども停止してしまうという不都合が生じる。この
結果、ロックアップ運転から通常運転への復帰時、もし
くは、アイドル運転から通常運転による走行開始時など
に、それらのロックアップ運転やアイドル運転の各期間
が長時間に及ぶと上記HST(4)側の軸受け部等の各
摺動部での油膜切れ等の発生により作動不良を招くおそ
れが生じることになる。
【0011】しかも、上記ポンプ軸(52)の回転を停
止してしまうと、ロックアップ運転から通常運転への復
帰時に、ポンプ軸(52)には零回転の状態からいきな
り入力軸(1)の回転数(例えば1500rpm)の負
荷がかかることになり、このような停止状態から急激な
回転数変化によりHST(4)に障害が発生するおそれ
もある。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、ロックアップ
運転における無負荷損失の低減化によるHMT全体の伝
達効率の向上を図ることにあり、併せて、アイドル運転
もしくは始動時における動力損失の低減化による動力源
側の負荷軽減を図ることにある。加えて、これらのこと
を、事後の作動不良を招くことなく、実現することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、以下の構成の無段変速機を
前提とする。すなわち、動力源に接続される入力軸
(1)と、出力軸(2)と、上記入力軸(1)と出力軸
(2)との間に介装され複数のクラッチ機構(CL1,
CL2,CL3,CL4,CLD)及び複数の遊星歯車
機構(P1 ,P2 ,P3 )を備えた機械式トランスミッ
ション(3)と、上記入力軸(1)及び出力軸(2)に
対し並列に配設され入力側が上記入力軸(1)に接続さ
れ出力側が上記機械式トランスミッション(3)を介し
て上記出力軸(2)に接続された静液圧式トランスミッ
ション(4)とを備えたものとする。ここで、上記静液
圧式トランスミッション(4)は、可変斜板(51)の
斜板角度の増減変更制御により上記入力軸(1)からポ
ンプ軸(52)に入力する回転力を所定の吐出圧液に変
換する入力側の液圧ポンプ(5)と、所定の傾斜状態の
斜板(61)により上記液圧ポンプ(5)からの吐出圧
液を回転力に変換してモータ軸(62)を回転させる出
力側の液圧モータ(6)とを備えたものとする。そし
て、通常運転において上記機械式トランスミッション
(3)と、静液圧式トランスミッション(4)とを変速
比に応じて複数の運転モードに分けて作動させることに
より、上記入力軸(1)に入力する入力回転を無段階に
変速させて上記出力軸(2)に伝達するように構成され
た無段変速機を前提とする。このものにおいて、通常運
転時において上記入力軸(1)からの回転動力を上記ポ
ンプ軸(52)に対し伝達させる第1歯車機構(11
4,56)と、上記入力軸(1)からの回転動力を上記
通常運転時の伝達回転数よりも減速させた状態で上記ポ
ンプ軸(52)に伝達させる第2歯車機構(181,1
82)と、上記入力軸(1)からポンプ軸(52)への
回転動力の伝達経路を上記第1歯車機構(114,5
6)を介した経路と、第2歯車機構(181,182、
または、183,184)を介した経路との間で相互に
切換える経路切換手段(CLW,CLP)と、出力軸
(2)の回転数が特定回転数にある場合に、静液圧式ト
ランスミッション(4)を介した上記出力軸(2)に対
する動力伝達を非伝達状態に切換えることにより入力軸
(1)から出力軸(2)への動力伝達を機械式トランス
ミッション(3)を介してのみ行うロックアップ運転を
行うロックアップ運転制御手段(14)とを備えるもの
とする。そして、上記ロックアップ運転制御手段(1
4)として、入力軸(1)からポンプ軸(52)への回
転動力の伝達経路が第1歯車機構(114,56)を介
した経路から第2歯車機構(181,182、または、
183,184)を介した経路に切換わるよう経路切換
手段を切換制御する切換時制御部(14a)を備えた構
成とするものである。
【0014】上記の構成の場合、入力軸(1)からポン
プ軸(52)への回転動力の伝達経路を第1歯車機構
(114,56)を介した経路にすることにより通常運
転が行われる。一方、出力軸(2)の回転数が特定回転
数にある場合に、ロックアップ運転制御手段(14)に
より運転状態が通常運転からロックアップ運転に切換え
られる。この際、切換時制御部(14a)により経路切
換手段の切換制御が行われ、これにより、上記伝達経路
が第1歯車機構(114,56)を介した経路から第2
歯車機構(181,182、または、183,184)
を介した経路に切換えられる。これにより、ロックアッ
プ運転期間中はポンプ軸(52)に対し通常運転時の伝
達回転数よりも減速された減速回転数が入力軸(1)か
ら伝達され、上記ポンプ軸(52)は上記減速回転数に
より回転作動されることになる。この結果、静液圧式ト
ランスミッション(4)の液圧ポンプ(5)と液圧モー
タ(6)とを相対回転可能に連結するセンタセクション
(41)に対する液圧ポンプ(5)の摺動損失は発生す
るものの、その摺動損失の量は液圧ポンプ(5)の回転
数に略比例することから液圧ポンプ(5)を通常運転時
の伝達回転数のままに回転させる場合に比べて上記減速
回転数により回転させる場合の方がその減速分だけ上記
摺動損失の低減化が実現する。しかも、上記ポンプ軸
(52)に対しチャージポンプ(11)や制御ポンプ
(12)が結合されている場合であっても、これらを作
動するための動力損失も上記減速回転数に比例して低減
するため、上記の摺動損失と併せてロックアップ運転期
間中の静液圧式トランスミッション(4)での無負荷損
失の低減化が図られ、HMT全体としての伝達効率の向
上を図り得ることになる。
【0015】加えて、ロックアップ運転期間中もポンプ
軸(52)が回転され続けるため、このポンプ軸(5
2)の通常運転時よりも低い減速回転数とはいえ、その
回転を受けて上記ポンプ軸(52)に結合されているチ
ャージポンプ(11)も作動されて静液圧式トランスミ
ッション(4)に対し漏れ液補給を持続する。このた
め、その静液圧式トランスミッション(4)の各摺動部
に対する潤滑も継続して行われ、ロックアップ運転が長
時間に及んでも各摺動部において油膜切れが生じること
はない。これにより、ロックアップ運転を解除して通常
運転に復帰する場合においても、油膜切れに起因する作
動不良が発生するおそれはなく、所定の作動を確実に行
い得る。
【0016】しかも、上記のロックアップ運転から通常
運転への復帰時におけるポンプ軸(52)の回転数変化
は上記の減速回転数から通常運転時の伝達回転数への変
化であり、回転停止状態から通常運転時の伝達回転数に
いきなり回転数変化する場合と比べ、ポンプ軸(52)
に作用するショックもはるかに少なく、この回転数変化
に起因する損傷の発生のおそれをより確実に解消し得る
ことになる。
【0017】さらに、ロックアップ運転において、液圧
モータ(6)がモータ軸(62)を介して機械式トラン
スミッション(3)側のトルクを支持する必要がある場
合においても、上記の如くチャージポンプ(11)から
の液漏れ補給が継続して行われることにより、静液圧式
トランスミッション(4)内の液圧ポンプ(5)と液圧
モータ(6)との間のメイン圧が維持されるため、液圧
モータ(6)の側で上記のトルク支持が有効に行われ
る。これにより、ロックアップ運転として確実に所期の
運転状態にすることが可能になる。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、第2歯車機構(181,182、または、
183,184)として、入力軸(1)からポンプ軸
(52)に対する回転動力の伝達を通常運転時の伝達回
転数の1/2〜1/3の範囲で減速して行うように歯数
比を設定したものとするものである。
【0019】上記の構成の場合、ロックアップ運転中に
ポンプ軸(52)に入力させる減速回転数の好ましい減
速度合いが特定される。すなわち、上記減速回転数とし
ては、静液圧式トランスミッション(4)の各摺動部に
対する潤滑が最低限に確保し得る程度にチャージポンプ
(11)等の作動が行えれば、低くすればする程、液圧
ポンプ(5)のセンタセクション(41)に対する摺動
損失やチャージポンプ(11)等を作動させるための動
力損失を可及的に低減する上で好ましいものである。こ
の事は静液圧式トランスミッション(4)の容量の大小
によっても影響され、容量が極めて大である場合には上
記の減速回転数を通常運転時の伝達回転数に比して大幅
に減速することも可能である。ここで、上記の動力損失
の低減という観点からは、回転数の低減率が大きくなる
程全体での損失向上に与える影響は小さくなる一方、上
記の潤滑確保による各摺動部の油膜の確保という観点か
らは油膜切れが発生する可能性は大きくなる。このた
め、両者の観点のバランス上、実際面では上記の1/2
〜1/3程度の範囲が好ましく、中でも、減速回転数を
通常運転時の伝達回転数1/3程度にするのが好ましい
ものとなる。
【0020】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明における経路切換手段として、静液圧式トランスミッ
ション(4)のポンプ軸(52)を第1歯車機構(11
4,56)に対し断続切換可能に連結する第1ポンプク
ラッチ機構(CLP)と、上記ポンプ軸(52)を第2
歯車機構(181,182、または、183,184)
に対し断続切換可能に連結する第2ポンプクラッチ機構
(CLW)とにより構成するものである。なお、上記第
1及び第2ポンプクラッチ機構は、断続切換えが可能で
あればいずれの型式のクラッチ機構を採用してもよく、
例えば通常の多板式クラッチや複動式クラッチ等を用い
てもよい。
【0021】上記の構成の場合、経路切換手段の一例が
具体的に特定される。すなわち、第1ポンプクラッチ機
構(CLP)を接続状態に、第2ポンプクラッチ機構
(CLW)を遮断状態にそれぞれすることにより、入力
軸(1)の回転数は第1歯車機構(114,56)を介
してポンプ軸(52)に伝達されることになる。逆に、
第1ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状態に、第2
ポンプクラッチ機構(CLW)を接続状態にそれぞれす
ることにより入力軸(1)の回転数は第2歯車機構(1
81,182、または、183,184)を介してポン
プ軸(52)に伝達されることになる。従って、上記の
第1及び第2ポンプクラッチ機構(CLP、CLW)の
断続切換えにより入力軸(1)からポンプ軸(52)へ
の伝達経路を切換えることが可能になる。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明における第2ポンプクラッチ機構として好ましい構成
を特定するものである。すなわち、請求項4記載の発明
は、第2ポンプクラッチ機構を、第2歯車機構(18
1,182、または、183,184)の内のポンプ軸
側歯車(182または184)とポンプ軸(52)との
間に介装され上記ポンプ軸側歯車(182または18
4)の回転数が上記ポンプ軸(52)の回転数よりも相
対的に高くなるときにのみ上記ポンプ軸側歯車(182
または184)からポンプ軸(52)に対し回転動力の
伝達を行う一方向クラッチ機構(CLW)により構成す
るものである。
【0023】上記の構成の場合、第1ポンプクラッチ機
構(CLP)が接続状態にされて第1歯車機構(11
4,56)を介して通常運転時の回転数がポンプ軸(5
2)に対し伝達された場合には、このポンプ軸(52)
は第2歯車機構(181,182、または、183,1
84)を介して伝達される減速回転数よりも相対的に速
く回転されるため、一方向クラッチ機構(CLW)は非
伝達状態になって第2歯車機構(181,182、また
は、183,184)は空転することになる。逆に、上
記第1ポンプクラッチ機構(CLP)が遮断状態に切換
えられてポンプ軸(52)の回転数が徐々に低下して上
記減速回転数よりも低下すると、上記一方向クラッチ機
構(CLW)が係合することになる。この結果、ポンプ
軸(52)には、第2歯車機構(181,182、また
は、183,184)を介した減速回転数が伝達される
ことになる。従って、第1ポンプクラッチ機構(CL
P)の断続切換えを行うだけで経路切換手段による伝達
経路の切換えが容易に可能になる上に、経路切換手段を
簡易な構成にすることが可能になる。
【0024】請求項5記載の発明は、請求項1記載の発
明において、機械式トランスミッション(3)として、
入力軸(1)からの回転数を減速した状態で入力させる
第3遊星歯車機構(P3 )を入力側に備えたものとし、
第2歯車機構(181,182)の内の入力軸側歯車
(181)を、上記第3遊星歯車(P3 )の減速要素軸
(155)に対し一体的に取付ける構成とするものであ
る。
【0025】上記の構成の場合、第3遊星歯車機構(P
3 )を用いて入力軸(1)からの回転数を機械式トラン
スミッション(3)に対し減速回転数にして入力させる
ように構成された無段変速機の場合には、その減速要素
軸(155)に対し第2歯車機構(181,182)の
入力軸側歯車(181)を取付けるようにすれば、その
入力軸歯車(181)はすでに減速された状態の回転数
が入力することになる。このため、ポンプ軸側歯車(1
82)は単にポンプ軸(52)に対し伝達するだけでよ
くなり、減速のためにかなり大きい歯数のもの、つま
り、大径の歯車にする必要はなくなる。これにより、無
段変速機に対し第2歯車機構(181,182)を無理
無く付設することが可能になり、コンパクト化が図られ
る。
【0026】請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において、静液圧式トランスミッション(4)に対し
液漏れ補給するするチャージポンプと、各クラッチ機構
に対し作動液を供給制御する制御ポンプとを備え、上記
チャージポンプ及び制御ポンプは、ポンプ軸(52)の
回転により作動されるよう上記ポンプ軸(52)とそれ
ぞれ結合する構成とするものである。
【0027】上記の構成の場合、チャージポンプ(1
1)及び制御ポンプ(12)がポンプ軸(52)に結合
されてポンプ軸(52)の回転作動により作動される点
が明確に特定される。これにより、請求項1記載の発明
による各摺動部の油膜の確保、動力損失の低減化等の作
用が明確に得られる。
【0028】請求項7記載の発明は、請求項1記載の発
明において、静液圧式トランスミッション(4)のモー
タ軸(62)を機械式トランスミッション(3)に対し
断続切換可能に連結するモータクラッチ機構(CLM)
を備えた構成とするものである。
【0029】上記の構成の場合、モータクラッチ機構
(CLM)を遮断状態にすることにより、静液圧式トラ
ンスミッション(4)からの出力が機械式トランスミッ
ション(3)に対し確実に非伝達状態になる一方、上記
モータクラッチ機構(CLM)を接続状態にすることに
より静液圧式トランスミッション(4)からの出力が機
械式トランスミッション(3)に対し伝達状態になる。
このため、通常運転において、液圧ポンプ(5)の可変
斜板(51)が斜板角度零の中立状態以外の斜板角度に
ある状態でロックアップ運転に切換えられた場合であっ
ても、上記モータクラッチ機構(CLM)を接続状態か
ら遮断状態に切換えることにより、上記静液圧式トラン
スミッション(4)の出力側と機械式トランスミッショ
ン(3)とを互いに分離して確実にロックアップ運転を
実行させることが可能になる。
【0030】請求項8記載の発明は、請求項7記載の発
明におけるロックアップ運転制御手段(14)として、
ロックアップ運転への切換時点において液圧ポンプ
(5)の可変斜板(51)が斜板角零度の中立状態以外
の状態にある場合に、モータクラッチ機構(CLM)を
接続状態から遮断状態に切換制御する切換時制御部(1
4a)と、上記可変斜板(51)を斜板角度零の中立状
態に変更する斜板制御部(14b)とを備えた構成とす
るものである。
【0031】上記構成の場合には、ロックアップ運転切
換時点で可変斜板(51)が中立状態以外の状態にある
場合であっても、切換時制御部(14a)によりモータ
クラッチ機構(CLM)が遮断状態に切換えられるた
め、静液圧式トランスミッション(4)のポンプ軸(6
2)と機械式トランスミッション(3)の側とが分離さ
れて上記ポンプ軸(62)は空転状態になる。そして、
斜板制御部(14b)により上記可変斜板(51)が中
立状態に変更されるため、ポンプ軸(52)が第2歯車
機構(181,182,または、183,184)を介
して伝達される減速回転数により回転作動されても液圧
ポンプ(5)は空転するのみで液圧モータ(6)の側へ
の圧液の吐出は行われない状態になる。このため、上記
空転状態にされたモータ軸(62)も回転駆動圧の供給
が断たれて上記の空転も停止することになる。これによ
り、液圧モータ(6)の空転によるセンタセクション
(41)に対する摺動損失の発生を無くすことが可能に
なる。
【0032】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発
明におけるモータクラッチ機構(CLM)のロックアッ
プ運転解除時における同調切換制御を特定するものであ
る。すなわち、請求項9記載の発明は、請求項8におい
て、液圧モータ(6)の斜板(61)を通常運転時の斜
板角度よりも小さい斜板角度に変更する斜板角度変更機
構(16)を備えるものとする。そして、ロックアップ
運転制御手段(14)として、ロックアップ運転を解除
して通常運転に復帰させる際に、上記斜板角度変更機構
(16)により上記斜板(61)の斜板角度を第2歯車
機構(181,182、または、183,184)によ
る減速度合いに対応する小斜板角度に変更制御し、か
つ、この変更制御した状態で可変斜板(51)をロック
アップ運転への切換時点の斜板角度に復帰させる斜板制
御部(14b)と、この斜板制御部(14b)による斜
板制御が行われた状態でモータクラッチ機構(CLM)
を遮断状態から接続状態に切換制御する解除時制御部
(14c)とを備えた構成とするものである上記構成の
場合、ロックアップ運転を解除して通常運転に復帰させ
る場合に、斜板制御部(14b)により、まず、液圧モ
ータ(6)の斜板(61)が所定の小斜板角度に変更さ
れ、この変更された状態で可変斜板(51)が中立状態
から元の斜板角度に復帰される。これにより、液圧ポン
プ(5)において減速回転数によるポンプ軸(52)の
回転に基づき吐出圧液が液圧モータ(6)に送給され、
この吐出圧液を受けて液圧モータ(6)、すなわち、モ
ータ軸(62)が回転作動されることになる。この際、
ポンプ軸(52)の回転数が減速回転数であっても、上
記斜板(61)がその減速回転数の減速度合いに対応す
る小斜板角度にされているため、上記モータ軸(62)
は停止状態からロックアップ運転切換前の回転数、すな
わち、機械式トランスミッション(3)側との噛み合い
回転数で空転する状態に増速される。このようにモータ
軸(62)が噛み合い回転数になった状態で、解除時制
御部(14c)によりモータクラッチ機構(CLM)の
遮断状態から接続状態への切換えが行われるため、この
モータクラッチ機構(CLM)を同調させて接続切換え
させることが可能になる。
【0033】請求項10記載の発明は、さらに、第1ポ
ンプクラッチ機構(CLP)のロックアップ運転解除時
における同調切換制御を特定するものである。すなわ
ち、請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明にお
いて、斜板制御部(14b)を、モータクラッチ機構
(CLM)が接続状態に切換えられた状態で斜板角度変
更機構(16)により液圧モータ(6)の斜板(61)
を通常運転時の斜板角度に復帰させるように構成する一
方、解除時制御部(14c)を、上記斜板(61)が通
常運転時の斜板角度に復帰された状態で経路切換手段を
構成する第1ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状態
から接続状態に切換えるように構成するものである。
【0034】上記構成の場合、モータクラッチ機構(C
LM)が接続状態に切換えられた状態で、すなわち、モ
ータ軸(62)が機械式トランスミッション(3)側の
回転に従動して回転作動している状態で、斜板制御部
(14b)により液圧モータ(6)の斜板(61)が小
斜板角度から元の斜板角度に復帰される。これにより、
上記の従動に基づく吐出圧液が液圧モータ(6)から液
圧ポンプ(5)に供給され、これを受けてポンプ軸(5
2)の回転が減速回転数から通常運転時の伝達回転数と
同程度の回転数まで、つまり、第1歯車機構(114,
56)を介した伝達経路からの入力回転数と同程度まで
増速される。このため、解除時制御部(14c)により
第1ポンプクラッチ機構(CLP)の遮断状態から接続
状態への切換えが行われても、その第1ポンプクラッチ
機構(CLP)を同調させて接続切換えすることが可能
になる。
【0035】請求項11記載の発明は、請求項1記載の
発明において、通常運転における運転状態がアイドル運
転状態にあるときに入力軸(1)からポンプ軸(52)
への回転動力の伝達経路が第1歯車機構(114,5
6)を介した経路から第2歯車機構(181,182、
または、183,184)を介した経路に切換わるよう
経路切換手段を切換制御するアイドル運転制御手段(1
5)を備えた構成とするものである。
【0036】上記の構成の場合、運転状態がアイドル運
転状態にあるときの経路切換手段の切換制御が具体的に
特定される。すなわち、アイドル運転状態にあるときに
は、入力軸(1)からポンプ軸(52)への回転動力の
伝達経路がアイドル運転制御手段により第1歯車機構
(114,56)を介した経路から第2歯車機構は18
1,182、または、183,184)を介した経路に
切換えられる。この切換によりポンプ軸(62)すなわ
ち、液圧ポンプ(6)の回転数が通常運転時の伝達回転
数から減速回転数に変化する。これにより、ポンプ軸
(52)を回転させるための動力を通常運転時の伝達回
転数で回転させ続ける場合に比べて低減化させることが
可能になる。しかも、上記ポンプ軸(52)に制御ポン
プ(12)やチャージポンプ(11)が結合されてポン
プ軸(52)の回転により作動されるようになっていて
も、それらの制御ポンプ(12)やチャージポンプ(1
1)を作動させるための動力もポンプ軸(52)の回転
数が減速される分低減し、これらの動力に起因する動力
損失を低減化することが可能になる。この結果、動力源
の負荷軽減化、及び、アイドル運転の始期が始動時であ
る場合には動力源のスタータ等の負荷軽減化、これらに
伴う燃料消費量の低減化が図られる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0038】図4及び図5は本発明の実施形態に係る無
段変速機であるHMTを示し、同図中、1は動力源とし
てのエンジン(図示省略)に接続されてエンジンからの
一定回転数の回転が入力される入力軸(1)、2は最終
減速機(図示省略)を経て駆動輪(図示省略)等に接続
される出力軸、3は上記入力軸(1)と出力軸(2)と
の間に介装された機械式トランスミッションとしてのM
Tである。また、4は上記MT(3)に対し並列に配設
され入力側が上記入力軸(1)に接続され出力側が上記
MT(3)を介して出力軸(2)に接続されたた静液圧
式トランスミッションとしてのHSTである。このHS
T(4)は可変斜板(51)を有する入力側の液圧ポン
プ(5)と、主として最大斜板角度に固定される斜板
(61)を有する出力側の液圧モータ(6)とを備えて
いる。さらに、11(図5参照)は上記液圧ポンプ
(5)のポンプ軸(52)に結合されてポンプ軸(5
2)の回転作動により作動され後述の一対の連通路(5
7a,57b)に対し漏れ補給を行うチャージポンプ、
12は上記ポンプ軸(52)に結合されてポンプ軸(5
2との回転作動により作動され後述の各種クラッチ機構
(CL1,CL2,CL3,CL4,CLD,CLM,
CLP)に対し作動油の供給等を行う制御ポンプであ
る。加えて、CLMはHST(4)のモータ軸(62)
の出力端とMT(3)との間を断続切換可能に連結する
モータクラッチ機構、CLPはHST(4)のポンプ軸
(52)の入力端と入力軸(1)との間を断続切換可能
に連結するポンプクラッチ機構である。
【0039】−MTの構成− 上記MT(3)は、第1遊星歯車機構(P1 )と、第2
遊星歯車機構(P2 )と、第3遊星歯車機構(P3 )
と、入力軸(1)及び出力軸(2)と同軸に配設された
中間軸(9)と、第1〜第4の4つのクラッチ機構(C
L1,CL2,CL3,CL4)と、ドラムクラッチ機
構(CLD)とを備えたものであり、このMT(3)の
入力側に上記第4クラッチ機構(CL4)及びドラムク
ラッチ機構(CLD)と第3遊星歯車機構(CLD)と
が付設されている。以下、各機構について詳細に説明す
る。
【0040】上記第1遊星歯車機構(P1 )は、第1太
陽歯車(71)と、この第1太陽歯車(71)と噛み合
う第1遊星歯車(72)と、この第1遊星歯車(72)
と噛み合う第1内歯歯車(73)と、上記第1遊星歯車
(72)を保持する第1キャリア(74)とを備えてい
る。また、上記第2遊星歯車機構(P2 )は、上記中間
軸(9)に形成された第2太陽歯車(81)と、この第
2太陽歯車(81)と噛み合う第2遊星歯車(82)
と、この第2遊星歯車(82)と噛み合う第1内歯歯車
(83)と、上記第2遊星歯車(82)を保持する第2
キャリア(84)とを備えている。
【0041】そして、上記第1太陽歯車(71)は、出
力軸(2)に対し相対回転可能に外挿された環状の接続
軸(75)を介して歯車(76)と一体的に形成されて
おり、この歯車(76)と、後述の歯車(66)とを介
して上記液圧モータ(6)と接続されている。また、上
記第1キャリア(74)は管状部材(77)に取付けら
れており、この管状部材(77)の内周面には上記第2
内歯車(83)が形成され、これにより、第1キャリア
(74)と第2内歯歯車(83)とが互いに同期して回
転するようになっている。さらに、上記第1内歯歯車
(73)は鍔状部材(78)の外周側に形成され、この
鍔状部材(78)には上記第2キャリア(84)が取付
けられている。この鍔状部材(78)は上記出力軸
(2)に一体的に取付けられており、これにより、上記
第2キャリア(84)は上記第1内歯歯車(73)と同
期して回転し、かつ、上記第1内歯歯車(73)及び第
2キャリア(84)が出力軸(2)と結合されるように
なっている。
【0042】上記第1クラッチ機構(CL1)は、複数
のクラッチプレート(101)と、この各クラッチプレ
ート(101)を間に挟む複数のプレッシャープレート
(102)とを備えている。各プレッシャープレート
(102)は本HMTのケーシング(19)(図4にの
み示す)である非回転部(103)に相対回転が阻止さ
れた状態で固定されており、これにより、上記第1クラ
ッチ機構(CL1)は接続状態にすることによりブレー
キ力を付与するようになっている。上記各クラッチプレ
ート(101)は上記管状部材(77)の周囲に取付け
られており、これにより、上記第1クラッチ機構(CL
1)は、第1遊星歯車(72)と第2内歯歯車(83)
とを上記非回転部(103)に対し断続切換可能に連結
するようになっている。
【0043】上記第2クラッチ機構(CL2)は、中間
軸(9)の外周囲に取付けられた複数のクラッチプレー
ト(111)と、筒状部材(112)の内周面に設けら
れたプレッシャープレート(113)とを備えている。
上記筒状部材(112)はドラムクラッチ機構(CL
D)及び第3遊星歯車機構(P3 )を介して入力軸
(1)と連結されており、これにより、上記第2クラッ
チ機構(CL2)は第2太陽歯車(81)に対し接続状
態のドラムクラッチ機構(CLD)から入力する減速回
転数の回転を断続切換可能に伝達するようになってい
る。
【0044】上記第3クラッチ機構(CL3)は、上記
管状部材(77)の外周囲に取付けられた複数のクラッ
チプレート(121)と、上記筒状部材(112)の内
周面に設けられたプレッシャープレート(122)とを
備えたものであり、これにより、上記第1キャリア(7
4)と第2内歯歯車(83)とに対し減速回転数の回転
を断続切換可能に伝達するようになっている。
【0045】また、上記第3遊星歯車機構(P3 )は、
入力軸(1)に対し後述の歯車(114)と併設して固
定された第3太陽歯車(151)と、この第3太陽歯車
(151)と噛み合う第3遊星歯車(152)と、この
第3遊星歯車(152)と噛み合いかつ上記ケーシング
(19)である非回転部(154)に相対回転が阻止さ
れた状態で固定された第3内歯歯車(153)と、上記
第3遊星歯車(152)を保持する第3キャリア(15
5)とを備えている。そして、上記第3遊星歯車機構
(152)の各歯車(151,152,153)は、第
3太陽歯車(151)に入力する入力軸(1)の入力回
転数を所定の減速比で減速した減速回転数(例えば入力
回転数の1/3)にして上記第3キャリア(155)を
回転させるように歯数設定がされている。つまり、この
第3遊星歯車機構(P3 )は、上記入力軸(1)の回転
数を減速してMT(3)の入力側に入力する入力回転数
減速機構としての役割を果たすものである。
【0046】上記ドラムクラッチ機構(CLD)は、上
記第3キャリア(155)の外周囲に取付けられた複数
のクラッチプレート(131)と、上記筒状部材(11
2)の内周面に設けられたプレッシャープレート(13
2)とを備えている。そして、このドラムクラッチ機構
(CLD)は、接続状態にされることにより第2及び第
3クラッチ機構(CL2,CL3)の入力端側である筒
状部材(112)に対し、上記減速回転数の回転を伝達
させるようになっている。つまり、このドラムクラッチ
機構(CLD)は、接続状態にすることにより、上記第
3遊星歯車機構(P3 )による減速機能を作動状態にす
るようになっている。
【0047】加えて、上記第4クラッチ機構(CL4)
は、上記入力軸(1)の先端部に固定された環状部材
(140)と、この環状部材(140)の内周面に設け
られたプレッシャープレート(142)と、中間軸
(9)の外周囲に取付けられた複数のクラッチプレート
(141)とを備えている。そして、この第4クラッチ
機構(CL4)は、接続状態にされることにより中間軸
(9)を介して第2太陽歯車(81)を入力軸(1)と
直結してこの入力軸(1)の回転数を上記第2太陽歯車
(81)に伝達するようになっている。つまり、この第
4クラッチ機構(CL4)は、上記第3遊星歯車機構
(P3 )による減速機能を非作動状態にして入力軸
(1)の回転数をMT(3)に入力するものである。従
って、上記ドラムクラッチ機構(CLD)及び第4クラ
ッチ機構(CL4)によって上記第3遊星歯車機構(P
3 )による減速機能を作動状態と非作動状態とに切換え
る切換機構としての役割を果たすようになっている。
【0048】このような構造において、上記第1及び第
2の両遊星歯車機構(P1 ,P2 )の各要素の歯数比
と、上記第3遊星歯車機構(P3 )による減速比とが以
下の関係を有するように設定されており、これにより、
後述の第1〜第4モードの4つの運転モードの切換前後
で実質的に連続した伝達比を与えるようになっている。
すなわち、図6の遊星速度線図に示すように、第1太陽
歯車(71)と第1内歯歯車(73)との間の歯数比を
Yとし、第2太陽歯車(81)と第2内歯歯車(83)
との間の歯数比をXとした場合に、Y=X+1の関係が
成立するように設定されている。加えて、上記第3遊星
歯車機構(P3 )による減速比が、Y/(2X+Y+
2)で表される値となるように設定されている。そし
て、上記歯数比Xが略2に、従って、歯数比Yが略3に
それぞれ設定され、上記減速比が略1/3に設定されて
いる。従って、入力軸(1)からの入力回転数をNi と
すると、減速回転数NirはNi /3となる。
【0049】−HSTの構成− 一方、上記HST(4)は互いにほぼ同じ構成の一対の
油圧ユニットと、これらを互いに相対回転可能に連結す
るセンタセクション(41)とにより構成されるもので
あり、エンジンからの回転力が入力される入力側の油圧
ユニットを液圧ポンプ(5)と呼び、変速後の回転力が
出力される出力側の油圧ユニットを液圧モータ(6)と
呼ぶものである。
【0050】上記液圧ポンプ(5)は、図7にも示すよ
うに、スプラインを介してポンプ軸(52)と一体に回
転するシリンダブロック(53)と、このシリンダブロ
ック(53)内に円周方向に列状に収容された複数の往
復動ピストン(54,54,…)と、上記シリンダブロ
ック(53)に対し非回転状態で液密に結合された非回
転ブロック(55)と、この複数の往復動ピストン(5
4,54,…)の往復動の行程を調整する可変斜板(5
1)とを備えている。上記非回転ブロック(55)の内
部には、上記複数の往復動ピストン(54,54,…)
の各シリンダ室(54a)と連通可能な2つの円弧状の
開口(55a,55b)(Aキドニー及びBキドニー;
図8参照)が形成され、このAキドニー(55a)もし
くはBキドニー(55b)は、後述の液圧モータ(6)
側の非回転ブロック(65)の対応するAキドニー(6
5a)もしくはBキドニー(65b)とそれぞれセンタ
セクション(41)内の連通路(57a,57b)を介
して連通されている。以後、上記Aキドニー(55a,
65a)間の連通路(57a)内の油圧をメイン圧Aと
いい、上記Bキドニー(55b,65b)間の連通路
(57b)内の油圧をメイン圧Bという。
【0051】上記可変斜板(51)は、上記ポンプ軸
(52)の位置を横切る直径を回転軸(X)として、斜
板角度がゼロとなる中立位置(N)を挟んで最大斜板角
度(例えば絶対値で17度)となる両最大傾斜角度位置
(M,M′)の間をアクチュエータ(20)の作動によ
り傾動可能となっており、この可変斜板(51)の斜板
角度が後述の通常運転制御手段(13)の斜板制御部
(13b)や、ロックアップ運転制御手段(14)の斜
板制御部(14b)によって傾動制御されるようになっ
ている。
【0052】上記ポンプ軸(52)は、軸受を介してそ
のポンプ軸(52)に対し回転自在に配設された歯車
(56)と第1ポンプクラッチ機構としてのポンプクラ
ッチ機構(CLP)により断続切換可能に連結され、こ
の歯車(56)が入力軸(1)の歯車(114)に噛み
合わされている。これら一対の歯車(114,56)が
通常運転時に入力軸(1)の入力回転数Ni をポンプ軸
(52)に伝達する第1歯車機構を構成する。従って、
この第1歯車機構(114,56)を介した伝達経路に
よりポンプ軸(52)に対し伝達される伝達回転数は入
力回転数Ni を第1歯車機構(114,56)で変速し
た回転数Np となる。
【0053】上記ポンプクラッチ機構(CLP)は、上
記歯車(56)に固定されたクラッチハウジング(17
1)と、このクラッチハウジング(171)の内周面側
に設けられた複数のプレッシャープレートと、ポンプ軸
(52)の入力端に取付けられたクラッチプレートと、
このプレッシャープレートを押圧する図示省略のピスト
ン部材とを備えている。そして、このポンプクラッチ機
構(CLP)は、接続状態にされることによりポンプ軸
(52)と歯車(56)とが一体に回転されて歯車(1
14)を介して入力軸(1)の入力回転数をポンプ軸
(52)に伝達させる一方、遮断状態にされることによ
り上記ポンプ軸(52)と歯車(56)とは互いに自由
に相対回転可能となって入力軸(1)とポンプ軸(5
2)とが互いに分離されるようになっている。
【0054】また、上記入力軸(1)とポンプ軸(5
2)との間には、上記第1歯車機構(114,56)と
は別に、第2歯車機構(181,182)を介した伝達
経路が設けられている。上記歯車(181)はドーナッ
ツ円板状に形成され、MT(3)の第3遊星歯車機構
(P3 )のキャリア(155)に一体的に取付けられて
いる。この歯車(181)に噛み合う他の歯車(18
2)はポンプ軸(52)に対し第2ポンプクラッチ機構
としての一方向クラッチ機構(CLW)を介してポンプ
軸(52)に設けられている。そして、この第2歯車機
構(181,182)は上記キャリア(155)の減速
回転数Nir(=Ni /3)を変速してポンプ軸(52)
に対し減速回転数Nprで伝達するように構成されてい
る。
【0055】上記一方向クラッチ機構(CLW)はポン
プ軸(52)よりも上記歯車(182)の回転数の方が
増速側になる場合にのみポンプ軸(52)に対する回転
動力の伝達を行うようにされている。より詳しくは、上
記ポンプ軸(52)は上記の第1歯車機構(114,5
6)と第2歯車機構(181,182)とのいずれの経
路から回転動力の伝達を受けても同じ回転方向に回転作
動されるものの、ポンプクラッチ機構(CLP)が接続
状態にされて第1歯車機構(114,56)を介して入
力回転数Ni が伝達された場合には、上記第2歯車機構
(181,182)を介して伝達される減速回転数Npr
の方が減速側であるため、上記一方向クラッチ(CL
W)及び第2歯車機構(181,182)は上記入力回
転数Np で回転しているポンプ軸(52)に対し空転す
ることになる。一方、ポンプクラッチ機構(CLP)が
遮断状態にされて第1歯車機構(114,56)を介し
た回転伝達が断たれると、ポンプ軸(52)は回転停止
に向けて減速していき、そのポンプ軸(52)の回転が
上記減速回転数Nprよりも減速状態になると上記一方向
クラッチ機構(CLW)がポンプ軸(52)側と係合
し、第2歯車機構(181,182)を介した伝達が行
われるようになる。つまり、上記ポンプクラッチ機構
(CLP)と一方向クラッチ機構(CLW)とによっ
て、ポンプ軸(52)に対する入力軸(1)からの回転
伝達経路を第1歯車機構(114,56)と第2歯車機
構(181,182)とのいずれかに切換える経路切換
手段が構成されている。加えて、上記一方向クラッチ機
構(CLW)を採用することにより、両クラッチ機構
(CLP,CLW)の内のポンプクラッチ機構(CL
P)のみを断続切換えするだけで、上記経路切換手段に
よる経路切換えが行われるようになっている。
【0056】また、上記液圧モータ(6)は、スプライ
ンを介してモータ軸(62)と一体に回転するシリンダ
ブロック(63)と、このシリンダブロック(63)内
に円周方向に列状に収容された複数の往復動ピストン
(64,64,…)と、上記シリンダブロック(63)
に対し非回転状態で液密に結合された非回転ブロック
(65)と、この複数の往復動ピストン(64,64,
…)の往復動の行程を調整する斜板(61)とを備えて
いる。そして、上記モータ軸(62)の出力端側がモー
タクラッチ機構(CLM)を介して歯車(66)と連結
され、この歯車(66)が、第1太陽歯車(71)と一
体の接続軸(75)に結合された歯車(76)に噛み合
わされ、これにより、上記モータ軸(62)からの回転
力が接続状態にされたモータクラッチ機構(CLM)を
介して第1太陽歯車(71)に伝達されるようになって
いる。そして、上記非回転ブロック(65)の内部に
は、上記の他の非回転ブロック(55)と同様に、上記
複数の往復動ピストン(64,64,…)の各シリンダ
室(64a)と連通可能なAキドニー(65a)及びB
キドニー(65b)(図8参照)が形成されている。ま
た、上記斜板(61)は、通常は最大斜板角度(例えば
+17度)に固定され、後述の如く一部の変速比域にお
いて上記斜板制御部(13b)からの指令を受けた斜板
角度変更機構(16)により所定の小角度に変更される
ようになっている。
【0057】上記斜板角度変更機構(16)は、圧液に
より作動されるアクチュエータにより構成されており、
非作動状態で上記斜板(61)を最大斜板角度位置に保
持する一方、上記斜板制御部(13b)からの作動信号
を受けて例えばHST(4)にチャージ油を供給するチ
ャージポンプ(11)からのチャージ圧が導入され、こ
れにより、上記最大斜板角度位置の斜板(61)を押し
て傾動させるようになっている。
【0058】上記モータクラッチ機構(CLM)は、軸
受を介してモータ軸(62)に対し回転自在に配設され
た歯車(66)の側に設けられた複数のプレッシャープ
レートと、モータ軸(62)の出力端に取付けられたク
ラッチプレートと、このプレッシャープレートを押圧す
る図示省略のピストン部材とを備えている。そして、こ
のモータクラッチ機構(CLM)は、接続状態にされる
ことによりモータ軸(62)と歯車(66)とが一体に
回転されて歯車(76)を介してHST(4)からの回
転動力を接続軸(75)に伝達させる一方、遮断状態に
されることにより上記モータ軸(62)と歯車(66)
とは互いに自由に相対回転可能となってHST(4)の
出力側とMT(3)とが互いに分離されるようになって
いる。
【0059】ここで、上記のHST(4)の作動原理に
ついて概説すると、エンジンからの回転が入力軸
(1)、歯車(114)及び歯車(56)を介してポン
プ軸(52)に伝達されても、可変斜板(51)が中立
位置Nに位置している場合には各ピストン(54)がス
トロークしないため、各シリンダ(54a)内の作動油
は液圧モータ(6)側には吐出されずに、シリンダブロ
ック(53)は空転状態になる。ところが、上記可変斜
板(51)が最大傾斜位置M側に傾くと、その斜板角度
に応じて各ピストン(54)がストロークしこのストロ
ークに応じた吐出量の圧油が一方のキドニー(55aま
たは55b)及び一方の連通路(57aまたは57b)
を通して液圧モータ(6)の各シリンダ室(64a)に
吐出されることになる。この吐出量の圧油を受けた上記
液圧モータ(6)の各ピストン(64)が傾斜状態の斜
板(61)を押すことにより、シリンダブロック(6
3)が上記吐出量に応じた回転数で回転し、この回転が
モータ軸(62)、歯車(66)及び歯車(76)を経
て第1太陽歯車(71)に伝達される。そして、上記シ
リンダブロック(63)から他方のキドニー(65bま
たは65a)及び他方の連通路(57bまたは57a)
を通して液圧ポンプ(5)側に戻される。この際、上記
可変斜板(51)が(+)側の最大傾斜位置M側の斜板
角度であると、液圧モータ(6)のシリンダブロック
(63)は入力回転と同方向に正転し、逆に、上記可変
斜板(51)が(−)側の最大傾斜位置M′側の斜板角
度であると、上記シリンダブロック(63)は入力回転
と逆方向に逆転するようになる。
【0060】−コントロールユニットの構成− 上記構成の無段変速機のMT(3)及びHST(4)等
はコントロールユニット(10)により作動制御され
る。このコントロールユニット(10)は、図9に示す
ように、変速比に応じて区分された4つの運転モードM
1 ,M2 ,M3 ,M4 (図10参照)に分けて通常運転
を行う通常運転制御手段(13)と、出力軸(2)の回
転数が特定回転数になる7つの変速比位置,,,
,,,(図10参照)においてロックアップ運
転を行うロックアップ運転制御手段(14)と、始動時
を含むニュートラル状態でエンジンが駆動されるアイド
ル運転制御手段(15)とを備えている。
【0061】ここで、上記の4つの運転モードとは、発
進から低変速比域(低速域)の第1モードM1 と、中低
変速比域(中低速域)の第2モードM2 と、中高変速比
域(中高速域)の第3モードM3 と、高変速比域(高速
域)の第4モードM4 との4つのことである。また、上
記の7つの変速比位置とは、各モード間の切換変速比位
置,,と、最高変速比位置と、第2〜第4の各
モードM2 ,M3 ,M4 において可変斜板(51)が後
述の如く中立状態になる中間変速比位置,,のこ
とである。
【0062】−通常運転制御手段による運転− 上記通常運転時制御手段(13)は、第1〜第4の各ク
ラッチ機構(CL1〜CL4)及びドラムクラッチ機構
(CLD)等の作動制御を行うクラッチ制御部(13
a)と、アクチュエータ(20)の作動制御による可変
斜板(51)の斜板制御及び斜板角度変更機構(16)
の作動制御による斜板(61)の斜板制御を行う斜板制
御部(13b)とを備えている。そして、上記通常運転
制御手段(13)は、上記の各クラッチ機構の断続切換
制御と、主として可変斜板(51)の増減変更制御とを
入出力回転数比に基づいて行うようになっている。すな
わち、実際の入出力回転数比を検出し、この検出入出力
回転数比をフィードバックすることにより、上記各クラ
ッチ機構及び斜板角度がHMT変速比に対する特性とし
て予め設定された各クラッチ作動特性及び斜板角度特性
になるように制御するようになっている。
【0063】なお、上記検出入出力回転数比は、入力軸
(1)に入力する入力回転数としてエンジンの作動制御
において回転数センサにより検出される回転数を用い、
出力軸(2)の出力回転数としてその出力軸(2)に設
けられた回転数センサにより検出された回転数を用い、
両回転数の出力を受けてコントロールユニット(10)
で演算するようになっている。また、この通常運転にお
いては、ポンプクラッチ機構(CLP)及びモータクラ
ッチ機構(CLM)は共に接続状態に維持されている。
従って、ポンプ軸(52)に対する入力軸(1)からの
回転動力の伝達は第1歯車機構(114,56)を介し
た経路で行われる。
【0064】[クラッチ制御]まず、上記MT(3)に
おける各運転モードでの上記クラッチ制御部(13a)
による各クラッチ機構(10〜14)の断続切換制御
を、図10の下半部及び図5を参照しつつ説明する。
【0065】上記第1モードM1 では、第1クラッチ機
構(CL1)及びドラムクラッチ機構(CLD)のみが
接続状態にされ、これにより、入力軸(1)からの回転
入力はHST(4)側にのみ入力軸回転数Ni が伝達さ
れ、出力軸(2)はHST(4)からの伝達力のみによ
って回転されることになる。一方、MT(3)において
は、接続状態のドラムクラッチ機構(CLD)により筒
状部材(112)が空転作動状態にされるものの、第1
遊星歯車(72)が一体に取付けられた管状部材(7
7)は第1クラッチ機構(10)により非回転部(10
3)と連結されて非回転状態に固定されることになる。
なお、上記のドラムクラッチ機構(CLD)は、上記の
如く筒状部材(112)を空転させるのみであるため、
第1モードにおいては必ずしも接続状態にする必要はな
く、第1モードM1 で既にドラムクラッチ機構(CL
D)を接続状態にしているのは、第1モードM1 から第
2モードM2 へのモード切換時点で必要となる中間軸
(9)と筒状部材(112)との回転を予め同調させて
いるにすぎない。
【0066】上記第2モードM2 では、第2クラッチ機
構(CL2)及びドラムクラッチ機構(CLD)のみが
接続状態にされ、これにより、入力軸(1)からの回転
入力はHST(4)に対し入力軸回転数Ni が伝達され
る一方、中間軸(9)に対し第3遊星歯車機構(P3
)、ドラムクラッチ機構(CLD)及び第2クラッチ
機構(CL2)を介して減速回転数Nirが伝達される。
そして、出力軸(2)は、第2遊星歯車機構(P2 )を
介した中間軸(9)からの伝達力と、第1遊星歯車機構
(P1 )を介したHST(4)からの伝達力との両伝達
力の合成力によって回転される。
【0067】また、上記第3モードM3 では、第3クラ
ッチ機構(CL3)及びドラムクラッチ機構(CLD)
のみが接続状態にされ、これにより、入力軸(1)から
の回転入力はHST(4)に対し入力軸回転数Ni が伝
達される一方、管状部材(77)に対し第3遊星歯車機
構(P3 )、ドラムクラッチ機構(CLD)及び第3ク
ラッチ機構(CL3)を介して減速回転数Nirが伝達さ
れる。そして、出力軸(2)は第1遊星歯車機構(P1
)の第1遊星歯車のキャリア(74)を介した管状部
材(77)からの伝達力と、第1遊星歯車機構(P1 )
の第1太陽歯車(71)を介したHST(4)からの伝
達力との合成力によって回転される。
【0068】さらに、上記第4モードM4 では、第3ク
ラッチ機構(CL3)及び第4クラッチ機構(CL4)
のみが接続状態にされ、これにより、入力軸(1)から
の回転入力はHST(4)に対し入力軸回転数Ni が伝
達される一方、第2太陽歯車(81)に対し第4クラッ
チ機構(CL4)を介して入力軸回転数Ni がそのまま
伝達される。そして、出力軸(2)は第2遊星歯車機構
(P2 )を介した中間軸(9)からの伝達力と、第1遊
星歯車機構(P1 )の第1太陽歯車(71)を介したH
ST(4)からの伝達力との合成力によって回転され
る。なお、上記第3クラッチ機構(CL3)を接続状態
にしているのは、後述の回転数でのロックアップ作動
で必要となる第2クラッチ機構(CL2)の接続を準備
しているに過ぎない。
【0069】[斜板制御]一方、上記HST(4)にお
ける斜板制御部(13b)による液圧ポンプ(5)の可
変斜板(51)の作動制御を同様に図10に基づいて説
明する。なお、液圧モータ(6)の斜板(61)の斜板
角度θm は、第1モードM1 、第2モードM2 、第3モ
ードM3 及び第4モードM4 低速側の各変速比域の範囲
において斜板角度変更機構(16)が非作動状態にされ
て最大斜板角度(例えば+17度)の一定角度に固定さ
れる。そして、上記第4モードM4 高速側の最高変速比
域の範囲において、上記斜板角度変更機構(16)が上
記斜板制御部(13b)により作動されて上記斜板(6
1)の斜板角度θm を所定の小角度(例えば17度の1
/3)に変更制御するようになっている。
【0070】上記可変斜板(51)の斜板角度θp は、
第1モードM1 では、発進時の中立位置(斜板角度ゼ
ロ)から高変速比側に移行するにつれて徐々に傾動され
て第2モードM2 との第1切換変速比位置で最大傾斜
の−17度になるような増減変更比率でHMT変速比の
増大に応じて(−)側に連続的に傾動される。
【0071】第2モードM2 では、上記斜板角度(−1
7度)から絶対値で上記第1モードM1 と同じ増減変更
比率で(+)側に連続的に傾動され、上記第2モードM
2 の中間変速比位置で可変斜板(51)が中立位置に
なり、それを過ぎて同様に傾動されて第3モードM3 と
の第2切換変速比位置において斜板角度θp は+17
度に至る。
【0072】また、第3モードM3 では、上記第2切換
変速比において上記の増減変更比率と同じ増減変更比
率で(−)側に傾動するように切換えられ、第3モード
M3の中間変速比位置で上記可変斜板(51)が中立
位置に戻り、それを過ぎて同様に傾動されて第4モード
M4 との第3切換変速比位置において斜板角度θpは
−17度に至る。
【0073】さらに、第4モードM4 では、上記第3切
換変速比において上記の増減変更比率と同じ増減変更
比率で(+)側に傾動するように切換えられ、第4モー
ドM4 の中間変速比位置で上記可変斜板(51)が中
立位置に戻り、それを過ぎると斜板角度変更機構(1
6)により液圧モータ(6)の斜板角度θm が所定の小
角度に変更されるとともに、上記可変斜板(51)はそ
れまでよりも小さい変更比率で傾動され、斜板角度θp
が+17度に至って最高変速比位置に至る。
【0074】以上の如きコントロールユニット(10)
による第1〜第4クラッチ機構(CL1〜CL4)及び
ドラムクラッチ機構(CLD)の断続切換制御と、可変
斜板(51)の斜板角度の増減変更制御とによって、上
記第1モードM1 における前進側の変速範囲は図6の矢
印M1 で示す範囲に、上記第2モードM2 における変速
範囲は同図の矢印M2 で示す範囲に、上記第3モードM
3 における変速範囲は同図の矢印M3 で示す範囲に、上
記第4モードM4 における変速範囲は同図の矢印M4 で
示す範囲にそれぞれなり、出力軸(2)の回転数は第1
モードM1 から第4モードM4 までにわたり無段階で連
続して変化されることになる。
【0075】−ロックアップ運転制御手段による運転− ロックアップ運転制御手段(14)は、通常運転からロ
ックアップ運転への切換制御を行う切換時制御部(14
a)と、ロックアップ運転期間中の可変斜板(51)及
び斜板(61)の斜板角度を制御する斜板制御部(14
b)と、ロックアップ運転を解除して通常運転への復帰
を行う解除時制御部(14c)とを備えている。上記の
切換時制御部(14a)及び解除時制御部(14c)
は、主として各クラッチ機構(CL1〜CL4,CL
D,CLP,CLM)の断続切換制御を行うものであ
る。
【0076】なお、上記通常運転からロックアップ運転
への切換判定は、出力軸(2)の回転数が上記のいずれ
かの変速比位置に対応する特定回転数にあって、アクセ
ル変動量(踏み込み量の変化割合)が所定の設定値内の
小値であること、もしくは、車両速度の変化割合が所定
の設定値内の小値であること等の条件を満足することに
より切換時制御部(14a)による切換を行うように決
定される。そして、上記ロックアップ運転への切換後、
上記のロックアップ切換判定における各条件を外れる場
合には、ロックアップ解除指令が発せられて解除時制御
部(14c)によりロックアップ運転を解除して通常運
転への復帰が行われる。
【0077】以下に、切換変速比位置,,及び最
高変速比位置におけるロックアップ運転制御と、中間
変速比位置,,におけるロックアップ運転制御と
に分けて説明する。
【0078】[,,及びにおけるロックアップ
運転制御]まず、第1モードM1 から第2モードM2 に
切換わる境界の切換変速比位置におけるロックアップ
運転を図11に基づいて説明する。
【0079】上記切換判定条件を満足することにより、
切換時制御部(14a)により、次の切換制御が行われ
る。まず、それまでの第1モードM1 (前モード)で接
続状態にされていた第1クラッチ機構(CL1)及びド
ラムクラッチ機構(CLD)に加えて、第2モードM2
(次モード)で接続される第2クラッチ機構(CL2)
をも接続状態に切換える(図10下部の黒丸参照)。次
に、モータクラッチ機構(CLM)を接続状態から遮断
状態に切換えてモータ軸(62)を空転状態にし、その
後に、ポンプクラッチ機構(CLP)を接続状態から遮
断状態に切換える(図10下部の白丸参照)。
【0080】上記のモータクラッチ機構(CLM)を遮
断状態にした後、ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断
状態にするまでの間に、斜板制御部(14b)により可
変斜板(51)の斜板角度θp を最大斜板角度から中立
状態に変更する。これにより、液圧モータ(6)への吐
出圧液の供給が停止するため、モータ軸(62)の回転
数が零にまで低下して回転停止状態になる。そして、上
記の如くポンプクラッチ機構(CLP)が遮断状態に切
換えられることにより、ポンプ軸(52)は入力軸
(1)からの回転動力の伝達が断たれて回転数が零に向
けて低下していくことになる。そして、上記ポンプ軸
(52)の回転数が減速回転数Nprまで低下すると、一
方向クラッチ機構(CLW)が係合し始めて第2歯車機
構(181,182)を介して減速回転数Nprが伝達さ
れ、ポンプ軸(52)はその減速回転数Nprで空転し続
けることになる。一方、出力軸(2)は入力軸(1)か
らの回転動力が上記の第1,第2,ドラムの各クラッチ
機構(CL1,CL2,CLD)及び両遊星歯車機構
(P1 ,P2 )を介して直結に伝達されて一定回転数を
維持してロックアップ運転が行われる。
【0081】そして、このロックアップ運転期間中は、
HST(4)側においては、液圧モータ(6)が回転停
止した状態で、ポンプ軸(52)及び液圧ポンプ(5)
が上記減速回転数Nprで回転した状態に維持される。こ
のため、チャージポンプ(11)及び制御ポンプ(1
2)も減速状態での作動ではあるものの、それらの作動
が継続されるため、チャージポンプ(11)からHST
(4)に対し液漏れ補給が継続して行われてHST
(4)の内圧維持と内部の各摺動部に対する潤滑による
油膜の確保とが図られる。
【0082】一方、液圧モータ(6)は回転が停止した
状態になってセンタセクション(41)に対する摺動損
失は発生しないものの、液圧ポンプ(5)は空転状態を
継続するために上記センタセクション(41)に対する
摺動損失は発生する。ところが、ロックアップ運転期間
中は、上記液圧ポンプ(5)の回転数は減速回転数Npr
とされ通常運転時の入力回転数Ni の1/3とされてい
るため、上記摺動損失(無負荷損失)も通常回転数Np
のままで空転を継続させる場合と比べ、液圧ポンプ
(5)の回転数に略比例して低減させることができ、そ
の分、HMT全体としての伝達効率の向上を図ることが
できることになる。
【0083】そして、上記の切換判定条件を外れること
になると、解除時制御部(14c)により以下の制御が
行われる。すなわち、まず、ポンプクラッチ機構(CL
P)を遮断状態から接続状態に切換え、これにより、減
速回転数Nprで空転していたポンプ軸(52)をロック
アップ運転切換前の通常回転数Np で空転させる。次
に、斜板制御部(14b)により可変斜板(51)を中
立状態から元の最大斜板角度に戻し、これにより、液圧
ポンプ(5)から吐出圧液が液圧モータ(6)に供給さ
れてモータ軸(62)は停止状態から元のロックアップ
運転切換前の回転数にまで増速される。そして、この状
態で、解除時制御部(14c)によりモータクラッチ機
構(CLM)を遮断状態から接続状態に切換えれば、こ
のモータクラッチ機構(CLM)の接続切換えを同調回
転数下で行うことができる。これにより、通常運転に復
帰され、以下、例えば第1クラッチ機構(CL1)を遮
断状態にすれば通常運転の第2モードM2 での制御に移
行する。
【0084】他の切換変速比位置等,,もMT
(3)側で断続制御する各クラッチ機構の対象が変わる
だけで上記の切換変速比位置の場合と同様の制御が行
われる。すなわち、ロックアップ運転への切換時には、
MT(3)側で前モードと次モードとの切換前後の両モ
ードで使用する両クラッチ機構を共に接続状態にしてロ
ックアップ運転に切換えるとともに、モータクラッチ機
構(CLM)の遮断状態への切換え、可変斜板(51)
の中立状態への変更、ポンプクラッチ機構(CLP)の
遮断状態への切換えをこの順に行う。そして、ロックア
ップ運転の解除時には、ポンプクラッチ機構(CLP)
を先に、上記可変斜板(51)を元の斜板角度に復帰さ
せ、モータクラッチ機構(CLM)を接続状態に切換え
てから、前モードで使用のクラッチ機構を遮断状態す
る。
【0085】各切換変速比位置でのMT(3)側のクラ
ッチ制御を説明すると、図10の下部に黒丸で示すよう
に、切換変速比位置におけるロックアップ運転では、
第2モードM2 と第3モードM3 との切換前後の第2ク
ラッチ機構(CL2)及び第3クラッチ機構(CL3)
をダブルクラッチ作動状態にしかつドラムクラッチ機構
(CLD)を接続状態に維持し、切換変速比位置にお
けるロックアップ運転では第3モードM3 と第4モード
M4 との切換前後の第3クラッチ機構(CL3),ドラ
ムクラッチ機構(CLD)及び第4クラッチ機構(CL
4)の3者をトリプルクラッチ作動状態に維持し、最高
変速比位置におけるロックアップ運転は、第2クラッ
チ機構(CL2)を接続状態に切換えかつ第3クラッチ
機構(CL3)及び第4クラッチ機構(CL4)を接続
状態に維持するように制御する。
【0086】[,,におけるロックアップ運転制
御]この中間変速比位置,,では通常運転での制
御により可変斜板(51)が中立状態にされているた
め、入力軸(1)からポンプ軸(52)に回転動力が入
力しても液圧モータ(6)の側には圧液の吐出を行わな
い、すなわち、動力伝達を行わない状態になっている。
つまり、そのままの状態でロックアップ運転への移行が
可能であるため、MT(3)側ではその中間変速比の属
する運転モードで接続状態にされているクラッチ機構を
そのままの接続状態に維持し、かつ、上記可変斜板(5
1)も上記の中立状態を維持して、以下の制御を行う。
【0087】まず、第1モードM1 の中間変速比位置
におけるロックアップ運転を例にして図12に基づいて
説明する。
【0088】上記切換判定条件を満足することにより、
切換時制御部(14a)により、ポンプクラッチ機構
(CLP)を接続状態から遮断状態に切換える一方、モ
ータクラッチ機構(CLM)を接続状態に維持する。こ
れにより、ポンプ軸(52)は歯車(56)からの回転
動力の伝達が断たれて回転数が低下していく過程で一方
向クラッチ機構(CLW)が係合し、減速回転数Nprで
空転し続けることになる。そして、モータ軸(62)、
すなわち、液圧モータ(6)の側ではMT(3)から歯
車(76,66)を介して伝わるトルクを支持して回転
停止状態に固定された状態になる。
【0089】そして、ロックアップ運転期間中は、上記
の切換変速比位置でのロックアップ運転期間中と同様
に、ポンプ軸(52)の減速回転数Nprによる空転によ
りチャージポンプ(11)から漏れ補給が継続して行わ
れることになる。これにより、HST(4)のメイン圧
の保持が行われて上記のトルクに対抗して液圧モータ
(6)を確実に回転停止状態に固定保持することができ
る上に、上記チャージポンプ(11)からの補給油によ
り各摺動部における油膜の確保が図られることになる。
【0090】一方、切換判定条件を外れることになる
と、解除時制御部(14c)により上記ポンプクラッチ
機構(CLP)が遮断状態から接続状態に切換えられ、
これにより、第1歯車機構(114,56)を介して通
常回転数Np がポンプ軸(52)に伝達されるようにな
る。このため、一方向クラッチ機構(CLW)が空転状
態になってポンプ軸(52)は上記通常回転数Np で回
転作動されることになり、元の第2モードM2 での通常
運転が行われるようになる。この際、ポンプ軸(52)
はもともと減速回転数Nprで空転していたため、通常回
転数Np に回転数変化する場合でも、回転停止状態から
通常回転数Np に回転数変化する場合と比べ、その回転
数変化の度合いを小さくすることができ、このような回
転数変化によるショックの発生を小さくすることができ
る。しかも、各摺動部での油膜が常に確保されているた
め、上記の通常運転に復帰する際の回転数変化を受けて
も、作動不良を招くおそれはない。
【0091】[無負荷損失]以上のロックアップ運転の
場合、HST(4)での無負荷損失を、図1に示す無段
変速機の場合(図3参照)よりも大幅に低減させること
ができる。すなわち、図13に示すように、チャージポ
ンプ(11)及び制御ポンプ(12)はロックアップ運
転中においても第2歯車機構(181,182)を介し
た減速回転数Nprにより作動されるため両ポンプ(1
1,12)を作動させるための損失は発生するものの、
作動回転数が通常運転での通常回転数Np に比べ1/3
の減速回転数Nprになるため、それに比例して上記各ポ
ンプ(11,12)の損失(チャージポンプ損失,制御
ポンプ損失)も低減化させることができる。さらに、液
圧ポンプ(5)の側でもロックアップ運転中も空転して
センタセクション(41)との間の摺動損失は発生する
ものの、上記の如く空転回転数が図3の場合の回転数N
i に比べ1/3の減速回転数Nprになるため、それに比
例して上記液圧ポンプ(5)の損失(HSTポンプ損
失)も低減化させることができる。
【0092】これらの結果、ロックアップ運転期間中の
HST(4)側で発生する無負荷損失を大幅に低減させ
ることが可能になり、HMT全体での伝達効率の向上
(例えば、部分負荷時で約5%の向上)を図ることがで
きるようになる。
【0093】−アイドル運転制御手段による運転− 入力軸(1)と出力軸(2)との間の回転動力の伝達が
断たれたニュートラル状態においては、アイドル運転制
御手段(15;図9参照)によりMT(3)側では少な
くとも第4クラッチ機構(CL4)及びドラムクラッチ
機構(CLD)が遮断状態にされ、HST(4)側では
ポンプクラッチ機構(CLP)及びモータクラッチ機構
(CLM)が遮断状態にされる。これにより、入力軸
(1)と出力軸(2)とが互いに分離されるとともに、
ポンプ軸(52)が第2歯車機構(181,182)及
び一方向クラッチ機構(CLW)を介して伝達される減
速回転数Nprで空転する状態になる。このため、アイド
ル運転時においても、チャージポンプ(11)が減速回
転数Nprで作動継続してHST(4)に補給油の供給を
維持し続ける結果、アイドル運転状態が長時間に及んで
も、各摺動部に対する潤滑が継続して行われ油膜が確実
に維持され、アイドル運転が終わって走行状態に移行し
てもHST(4)の作動不良を招くことなく確実に所定
の作動を実行させることができる。しかも、アイドル運
転中も通常の回転数Np でポンプ軸(52)を空転させ
てチャージポンプ(11)等を作動状態に維持する場合
と比べ、上記の減速回転数Nprに減速させることに比例
して上記液圧ポンプ(5)及びチャージポンプ(11)
を作動し続けるための動力消費を低減させることがで
き、エンジン側で動力損失の削減を図ることができるよ
うになる。一方、アイドル運転中においても、制御ポン
プ(12)は作動されるため、HST(4)での内圧保
持及び油膜確保が図られ、アイドル運転から通常運転へ
の移行(発進)を確実かつスムースに行うことができる
ようになる。
【0094】加えて、上記アイドル運転の内でもエンジ
ン始動時においては、そのエンジンを始動するためのス
タータの消費動力を低減化させることもできる。
【0095】<他の実施形態>なお、本発明は上記実施
形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態
を包含するものである。すなわち、,,及びに
おけるロックアップ運転制御において、ロックアップ運
転を解除して通常運転に復帰させる際に、ポンプクラッ
チ機構(CLP)及びモータクラッチ機構(CLM)を
共に同調させてる接続状態に切換えるようにすることも
できる。
【0096】すなわち、切換変速比位置でのロックア
ップ運転制御を例にして図14に基づき説明すると、通
常運転からロックアップ運転に切換える際には、まず、
ポンプクラッチ機構(CLP)を接続状態から遮断状態
に切換えてポンプ軸(52)の回転数をそれまでの回転
数Np から減速していく。次に、斜板変更機構(16)
を制御して斜板(61)をそれまでの最大斜板角度から
所定の小斜板角度に変更した後、モータクラッチ機構
(CLM)を接続状態から遮断状態に切換えてモータ軸
(62)を回転停止状態にする。そして、上記モータク
ラッチ機構(CLM)の切換え後に、可変斜板(51)
を最大斜板角度から中立状態に変更する。これにより、
ロックアップ運転期間中においては、液圧モータ(6)
は回転停止状態になる一方、ポンプ軸(52)は第2歯
車機構(181,182)及び一方向クラッチ機構(C
LW)を介して伝達される減速回転数Nprにより空転し
続けることになる。
【0097】一方、ロックアップ運転を解除して通常運
転に復帰させる際には、まず、可変斜板(51)を中立
状態から最大斜板角度に戻し、これにより、減速回転数
Nirで回転されている液圧ポンプ(5)からの吐出圧液
を液圧モータ(6)に供給し、上記小斜板角度の斜板
(61)を介してモータ軸(62)をMT(3)側との
噛み合い回転数まで増速させた状態に空転させる。この
状態で、モータクラッチ機構(CLM)を遮断状態から
接続状態に切換えることにより同調切換えを行うことが
できるようになる。次に、斜板(61)を上記小斜板角
度から元の最大斜板角度に復帰させてMT(3)側から
上記接続状態のモータクラッチ機構(CLM)を介して
液圧ポンプ(5)を従動させることによりポンプ軸(5
2)の回転数を元の回転数Np まで増速させる。この増
速の過程で一方向クラッチ機構(CLW)は係合が外れ
て空転状態になる。この状態でポンプクラッチ機構(C
LP)を遮断状態から接続状態に切換えることにより同
調切換えを行うことができるようになる。
【0098】また、上記実施例では、入力軸(1)らポ
ンプ軸(52)に対し減速回転数Nprを伝達させるため
の第2歯車機構として、第3遊星歯車機構(P3 )のキ
ャリア(155)に対し入力軸側歯車(181)を取付
けて上記第3遊星歯車機構(P3 )ですでに減速された
キャリア(155)の回転数Nirを伝達させるようにし
ているが、これに限らず、図15に示すように、上記第
3遊星歯車機構(P3)とは関係なく、入力軸(1)と
ポンプ軸(52)との間に入力回転数Ni を減速回転数
Nprに減速するように歯数比設定された第2歯車機構
(183,184)を介装させるようにしてもよい。す
なわち、上記入力軸(1)とポンプ軸(52)との間に
第1歯車機構(114,56)と上記第2歯車機構は
(183,184)とを並列に配設し、第1歯車機構
(114,56)のポンプ軸側歯車(56)とポンプ軸
(52)との間に第1ポンプクラッチ機構としてのポン
プクラッチ機構(CLP)を、第2歯車機構(183,
184)のポンプ軸側歯車(184)とポンプ軸(5
2)との間に第2ポンプクラッチ機構としての一方向ク
ラッチ機構(CLW)をそれぞれ介装させればよい。
【0099】また、液圧モータ(6)の斜板(61)の
斜板角度を変更させるために斜板角度変更機構(16)
を設ける代わりに、モータクラッチ機構(CLM)とモ
ータ側歯車機構(66,76)とを通常用と増速用との
2系列を配置し、これらの切換えによって斜板角度変更
機構(16)と同等の作用を実現させるようにしてもよ
い。
【0100】さらに、上記実施形態では、入力回転数減
速機構としての第3遊星歯車機構(P3 )と、これの作
動切換を行う切換機構としての一対のクラッチ機構(C
LD,CL4)とを設けることにより運転モードを4モ
ードに増加し、この増加によりロックアップ作動点の増
加を図っているが、例えば、さらにもう1つのクラッチ
機構を追加することにより運転モードを5モードに増加
させ、この運転モードの増加に伴うロックアップ作動点
の増加を図るようにしてもよい。これにより、第4モー
ドよりもさらに高変速比でのオーバードライブを実現す
ることも可能になる。また、逆に、上記の第3遊星歯車
機構(P3 )と、一対のクラッチ機構(CLD,CL
4)とを省略して運転モードを3モードにしてもよい。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明における無段変速機によれば、ロックアップ運転期間
中もHST(4)の液圧ポンプ(5)を減速回転数で空
転させ続けることができ、ポンプ軸(52)に結合され
ているチャージポンプ(11)も作動継続されてHST
(4)に対し漏れ液補給を持続させることができる。こ
のため、そのHST(4)の各摺動部に対する潤滑も継
続して行われ、ロックアップ運転が長時間に及んでも各
摺動部において油膜切れが生じることはない。これによ
り、ロックアップ運転を解除して通常運転に復帰する場
合においても、油膜切れに起因する作動不良が発生する
おそれはなく、所定の作動を確実に実現させることがで
きる。しかも、センタセクション(41)に対する液圧
ポンプ(5)の摺動損失は発生するものの、液圧ポンプ
(5)を通常運転時の伝達回転数のままに空転させる場
合に比べて減速分だけ上記摺動損失の低減化を図ること
ができる。その上、上記ポンプ軸(52)に対しチャー
ジポンプ(11)や制御ポンプ(12)が結合されてい
る場合であっても、これらを作動するための動力損失も
上記減速回転数に比例して低減するため、上記の摺動損
失と併せてロックアップ運転期間中のHST(4)での
無負荷損失の低減化を図ることができ、HMT全体とし
ての伝達効率の向上を図ることができるようになる。
【0102】さらに、上記のロックアップ運転から通常
運転への復帰時におけるポンプ軸(52)の回転数変化
は上記の減速回転数から通常運転時の伝達回転数への変
化であり、回転停止状態から通常運転時の伝達回転数に
いきなり回転数変化する場合と比べ、ポンプ軸(52)
に作用するショックもはるかに少なく、この回転数変化
に起因する損傷の発生のおそれをより確実に解消するこ
とができる。
【0103】加えて、ロックアップ運転において、液圧
モータ(6)がモータ軸(62)を介して機械式トラン
スミッション(3)側のトルクを支持する必要がある場
合においても、上記の如くチャージポンプ(11)から
の液漏れ補給が継続して行われることにより、HST
(4)内の液圧ポンプ(5)と液圧モータ(6)との間
のメイン圧が維持されるため、液圧モータ(6)の側で
上記のトルク支持を有効に行うことができ、これによ
り、ロックアップ運転として確実に所期の運転状態にす
ることができるようになる。
【0104】請求項2記載の発明によれば、ロックアッ
プ運転中にポンプ軸(52)に入力させる減速回転数と
して実際上の好ましい減速度合いを特定することがで
き、請求項1記載の発明による効果を具体的に得ること
ができるようになる。
【0105】請求項3記載の発明によれば、経路切換手
段の一例を具体的に特定することができ、請求項1記載
の発明による効果を具体的に得ることができる。
【0106】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の発明における第2ポンプクラッチ機構として好まし
い構成を特定することができ、第1ポンプクラッチ機構
(CLP)の断続切換えを行うだけで経路切換手段によ
る伝達経路の切換えが容易に行うことができる上に、経
路切換手段を簡易な構成にすることができる。
【0107】請求項5記載の発明によれば、請求項1記
載の発明による効果に加え、第2歯車機構の好ましい構
成を特定することができ、入力軸(1)からの入力回転
数を減速回転数にする上で、大径の歯車を採用すること
なく無段変速機に対し第2歯車機構(181,182)
を無理無く付設することができ、コンパクト化を図るこ
とができる。
【0108】請求項6記載の発明によれば、請求項1記
載の発明による効果に加え、チャージポンプ(11)及
び制御ポンプ(12)がポンプ軸(52)に結合されて
ロックアップ運転中もポンプ軸(52)の減速回転数に
よる空転作動により作動継続させることができ、請求項
1記載の発明による各摺動部の油膜の確保、動力損失の
低減化等の効果を明確に得ることができる。
【0109】請求項7記載の発明によれば、請求項1記
載の発明による効果に加え、通常運転において液圧ポン
プ(5)の可変斜板(51)が斜板角度零の中立状態以
外の斜板角度にある状態でロックアップ運転に切換えら
れた場合であっても、上記モータクラッチ機構(CL
M)を接続状態から遮断状態に切換えることにより、上
記HST(4)の出力側とMT(3)とを互いに分離し
て確実にロックアップ運転を実行させることができるよ
うになる。
【0110】請求項8記載の発明によれば、請求項7記
載の発明による効果に加え、ロックアップ運転切換時点
で可変斜板(51)が中立状態以外の状態にある場合で
あっても、モータクラッチ機構(CLM)が遮断状態に
切換えられて空転状態にされたモータ軸(62)を回転
停止状態にすることができ、これにより、液圧モータ
(6)の空転によるセンタセクション(41)に対する
摺動損失の発生を無くすことができる。
【0111】また、請求項9記載の発明によれば、請求
項8記載の発明におけるモータクラッチ機構(CLM)
をロックアップ運転解除時において同調切換制御を行な
わせることができるようになる。加えて、請求項10記
載の発明によれば、請求項9記載の発明による効果に加
え、さらに、第1ポンプクラッチ機構(CLP)をロッ
クアップ運転解除時において同調切換制御を行うことが
できるようになる。
【0112】さらに、請求項11記載の発明によれば、
請求項1記載の発明による効果に加え、運転状態がアイ
ドル運転状態にあるときの経路切換手段の切換制御を具
体的に特定することができ、ポンプ軸(52)を回転さ
せるための動力負担を通常運転時の伝達回転数で回転さ
せ続ける場合に比べて低減化させることができる上に、
アイドル運転が長時間に及んでもHST(4)の各摺動
部での油膜を確実に確保することができ、走行開始時の
HST(4)の作動を確実かつスムースに行なわせるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の課題を説明する上で比較例として考
えられる無段変速機を示す模式図である。
【図2】図1の無段変速機の液圧ポンプの可変斜板及び
液圧モータの斜板の両斜板角度とHMT変速比との関係
と、入力軸及び出力軸等の回転数とHMT変速比との関
係を関連付けて示す説明図である。
【図3】図1の無段変速機の場合の無負荷損失を示す説
明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無段変速機の断面説明
図である。
【図5】図4の無段変速機の図1対応図である。
【図6】図4の第1及び第2遊星歯車機構の遊星速度線
図である。
【図7】HSTを示す簡略縦断面図である。
【図8】図7のC−C線及びD−D線における両非回転
ブロックを示す断面説明図である。
【図9】コントロールユニットの構成を示すブロック図
である。
【図10】各運転モードにおけるクラッチ機構の作動,
斜板角度及び各軸回転数と、HMT変速比との関係を示
す説明図である。
【図11】切換変速比位置でのロックアップ切換時及
び解除時のクラッチ及び斜板角度の各制御と、各軸回転
数の変化とを示す図である。
【図12】中間変速比位置でのロックアップ切換時及
び解除時のクラッチ及び斜板角度の各制御と、各軸回転
数の変化とを示す図である。
【図13】実施形態の無段変速機の場合の無負荷損失を
示す説明図である。
【図14】切換変速比位置でのロックアップ切換時及び
解除時のクラッチ及び斜板角度の図12とは異なる他の
形態の各制御と、各軸回転数の変化とを示す図である。
【図15】図4,図5とは異なる実施形態を示す図4相
当図である。
【符号の説明】
1 入力軸 2 出力軸 3 MT(機械式トランスミッ
ション) 4 HST(静液圧式トランス
ミッション) 5 液圧ポンプ 6 液圧モータ 11 チャージポンプ 12 制御ポンプ 13 通常運転制御手段 14 ロックアップ運転制御手段 14a 切換時制御部 14b 斜板制御部 14c 解除時制御部 15 アイドル運転制御手段 41 センタセクション 51 可変斜板 57a,57b 連通路 52 ポンプ軸 61 斜板 62 モータ軸 114,56 第1歯車機構 181,182 第2歯車機構 183,184 第2歯車機構 P1 第1遊星歯車機構 P2 第2遊星歯車機構 P3 第3遊星歯車機構 CL1 第1クラッチ機構 CL2 第2クラッチ機構 CL3 第3クラッチ機構 CL4 第4クラッチ機構 CLM モータクラッチ機構 CLP ポンプクラッチ機構(第1
ポンプクラッチ機構) CLW 一方向クラッチ機構(第2
ポンプクラッチ機構)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動力源に接続される入力軸(1)と、出
    力軸(2)と、上記入力軸(1)と出力軸(2)との間
    に介装され複数のクラッチ機構(CL1,CL2,CL
    3,CL4,CLD)及び複数の遊星歯車機構(P1 ,
    P2 ,P3 )を備えた機械式トランスミッション(3)
    と、上記入力軸(1)及び出力軸(2)に対し並列に配
    設され入力側が上記入力軸(1)に接続され出力側が上
    記機械式トランスミッション(3)を介して上記出力軸
    (2)に接続された静液圧式トランスミッション(4)
    とを備え、 上記静液圧式トランスミッション(4)は、可変斜板
    (51)の斜板角度の増減変更制御により上記入力軸
    (1)からポンプ軸(52)に入力する回転力を所定の
    吐出圧液に変換する入力側の液圧ポンプ(5)と、所定
    の傾斜状態の斜板(61)により上記液圧ポンプ(5)
    からの吐出圧液を回転力に変換してモータ軸(62)を
    回転させる出力側の液圧モータ(6)とを備え、 通常運転において上記機械式トランスミッション(3)
    と、静液圧式トランスミッション(4)とを変速比に応
    じて複数の運転モードに分けて作動させることにより、
    上記入力軸(1)に入力する入力回転を無段階に変速さ
    せて上記出力軸(2)に伝達するように構成された無段
    変速機において、 通常運転時において上記入力軸(1)からの回転動力を
    上記ポンプ軸(52)に対し伝達させる第1歯車機構
    (114,56)と、 上記入力軸(1)からの回転動力を上記通常運転時の伝
    達回転数よりも減速させた状態で上記ポンプ軸(52)
    に伝達させる第2歯車機構(181,182)と、 上記入力軸(1)からポンプ軸(52)への回転動力の
    伝達経路を上記第1歯車機構(114,56)を介した
    経路と、第2歯車機構(181,182、または、18
    3,184)を介した経路との間で相互に切換える経路
    切換手段(CLW,CLP)と、 出力軸(2)の回転数が特定回転数にある場合に、静液
    圧式トランスミッション(4)を介した上記出力軸
    (2)に対する動力伝達を非伝達状態に切換えることに
    より入力軸(1)から出力軸(2)への動力伝達を機械
    式トランスミッション(3)を介してのみ行うロックア
    ップ運転を行うロックアップ運転制御手段(14)とを
    備え、 上記ロックアップ運転制御手段(14)は、 入力軸(1)からポンプ軸(52)への回転動力の伝達
    経路が第1歯車機構(114,56)を介した経路から
    第2歯車機構(181,182、または、183,18
    4)を介した経路に切換わるよう経路切換手段を切換制
    御する切換時制御部(14a)を備えていることを特徴
    とする無段変速機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 第2歯車機構(181,182、または、183,18
    4)は、入力軸(1)からポンプ軸(52)に対する回
    転動力の伝達を通常運転時の伝達回転数の1/2〜1/
    3の範囲で減速して行うように歯数比が設定されている
    ことを特徴とする無段変速機。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 経路切換手段は、 静液圧式トランスミッション(4)のポンプ軸(52)
    を第1歯車機構(114,56)に対し断続切換可能に
    連結する第1ポンプクラッチ機構(CLP)と、上記ポ
    ンプ軸(52)を第2歯車機構(181,182、また
    は、183,184)に対し断続切換可能に連結する第
    2ポンプクラッチ機構(CLW)とにより構成されてい
    ることを特徴とする無段変速機。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 第2ポンプクラッチ機構は、 第2歯車機構(181,182、または、183,18
    4)の内のポンプ軸側歯車(182または184)とポ
    ンプ軸(52)との間に介装され上記ポンプ軸側歯車
    (182または184)の回転数が上記ポンプ軸(5
    2)の回転数よりも相対的に高くなるときにのみ上記ポ
    ンプ軸側歯車(182または184)からポンプ軸(5
    2)に対し回転動力の伝達を行う一方向クラッチ機構
    (CLW)により構成されていることを特徴とする無段
    変速機。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 機械式トランスミッション(3)は、入力軸(1)から
    の回転数を減速した状態で入力させる第3遊星歯車機構
    (P3 )を入力側に備えており、 第2歯車機構(181,182)の内の入力軸側歯車
    (181)は、上記第3遊星歯車(P3 )の減速要素軸
    (155)に対し一体的に取付けられていることを特徴
    とする無段変速機。
  6. 【請求項6】 請求項1において、 静液圧式トランスミッション(4)に対し液漏れ補給す
    るするチャージポンプと、 各クラッチ機構に対し作動液を供給制御する制御ポンプ
    とを備え、 上記チャージポンプ及び制御ポンプは、ポンプ軸(5
    2)の回転により作動されるよう上記ポンプ軸(52)
    とそれぞれ結合されていることを特徴とする無段変速
    機。
  7. 【請求項7】 請求項1において、 静液圧式トランスミッション(4)のモータ軸(62)
    を機械式トランスミッション(3)に対し断続切換可能
    に連結するモータクラッチ機構(CLM)を備えている
    ことを特徴とする無段変速機。
  8. 【請求項8】 請求項7において、 ロックアップ運転制御手段(14)は、ロックアップ運
    転への切換時点において液圧ポンプ(5)の可変斜板
    (51)が斜板角零度の中立状態以外の状態にある場合
    に、モータクラッチ機構(CLM)を接続状態から遮断
    状態に切換制御する切換時制御部(14a)と、上記可
    変斜板(51)を斜板角度零の中立状態に変更する斜板
    制御部(14b)とを備えていることを特徴とする無段
    変速機。
  9. 【請求項9】 請求項8において、 液圧モータ(6)の斜板(61)を通常運転時の斜板角
    度よりも小さい斜板角度に変更する斜板角度変更機構
    (16)を備えており、 ロックアップ運転制御手段(14)は、ロックアップ運
    転を解除して通常運転に復帰させる際に、上記斜板角度
    変更機構(16)により上記斜板(61)の斜板角度を
    第2歯車機構(181,182、または、183,18
    4)による減速度合いに対応する小斜板角度に変更制御
    し、かつ、この変更制御した状態で可変斜板(51)を
    ロックアップ運転への切換時点の斜板角度に復帰させる
    斜板制御部(14b)と、 この斜板制御部(14b)による斜板制御が行われた状
    態でモータクラッチ機構(CLM)を遮断状態から接続
    状態に切換制御する解除時制御部(14c)とを備えて
    いることを特徴とする無段変速機。
  10. 【請求項10】 請求項9において、 斜板制御部(14b)は、モータクラッチ機構(CL
    M)が接続状態に切換えられた状態で斜板角度変更機構
    (16)により液圧モータ(6)の斜板(61)を通常
    運転時の斜板角度に復帰させるように構成され、 解除時制御部(14c)は、上記斜板(61)が通常運
    転時の斜板角度に復帰された状態で経路切換手段を構成
    する第1ポンプクラッチ機構(CLP)を遮断状態から
    接続状態に切換えるように構成されていることを特徴と
    する無段変速機。
  11. 【請求項11】 請求項1において、 通常運転における運転状態がアイドル運転状態にあると
    きに入力軸(1)からポンプ軸(52)への回転動力の
    伝達経路が第1歯車機構(114,56)を介した経路
    から第2歯車機構(181,182、または、183,
    184)を介した経路に切換わるよう経路切換手段を切
    換制御するアイドル運転制御手段(15)を備えている
    ことを特徴とする無段変速機。
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