JPH11302782A - ドラム缶用高強度鋼板およびその製造方法ならびに鋼製ドラム缶 - Google Patents

ドラム缶用高強度鋼板およびその製造方法ならびに鋼製ドラム缶

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JPH11302782A
JPH11302782A JP11072298A JP11072298A JPH11302782A JP H11302782 A JPH11302782 A JP H11302782A JP 11072298 A JP11072298 A JP 11072298A JP 11072298 A JP11072298 A JP 11072298A JP H11302782 A JPH11302782 A JP H11302782A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度を有し、成形性、溶接性に優れ、製缶
後缶体巻締め部の信頼性に優れるドラム缶用鋼板および
その製造方法を提案する。 【解決手段】 重量%で、C:0.10%以下、Si:0.20%
以下、Mn:1.0 %以下、P:0.04%以下、S:0.01%以
下、Al:0.150 %以下、N:0.0050%以下、Nb:0.005
〜0.10%を含有する組成とする。熱間圧延における圧延
仕上温度:750 ℃以上とし、圧延終了後好ましくは強制
冷却し、巻取り温度:700 ℃以下で巻取り、熱延板とす
る。さらにこの熱延板に調質圧延あるいは酸洗・調質圧
延を施すのが好ましい。また、熱延板を酸洗、冷間圧
延、調質圧延を施し冷延板とする。上記製造方法により
得た熱延鋼板、冷延鋼板を胴板、天板および地板のうち
の少なくとも1つに用いて鋼製高強度ドラム缶とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼製ドラム缶に係
り、鋼製ドラム缶用素材として好適な熱延鋼板、冷延鋼
板およびそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼製ドラム缶は、JIS Z 1600に鋼製オー
プンドラムとして規定されているオープン型ドラムと、
JIS Z 1601に液体用鋼製ドラムとして規定されている密
封型ドラムの2種に大別される。これらのドラム缶は、
天板、地板および胴板から構成されており、密封型ドラ
ムでは円筒状に曲げ成形しシーム溶接して接合した胴板
の両端に、円盤状の天板および地板をそれぞれ巻き締め
て製造され、オープン型ドラムでは胴板と地板のみ巻き
締めして天板は着脱可能に製造される。これらのドラム
缶は外面および必要に応じて内面に化成処理や塗装が施
される。
【0003】ドラム缶には製缶の精度および溶接部、接
合部、巻き締め部の健全性が要求され、JIS 規格には気
密試験(水圧試験)、落下試験、積み重ね試験等を実施
することが規定されている。また運送等で外力を受けた
際に変形すると積み重ね等に支障を生じ外観も損なうた
め、缶体強度が要求される。ドラム缶素材として使用さ
れる鋼板は、JIS G 3131に規定される熱間圧延軟鋼板お
よび鋼帯、あるいはJIS G 3141に規定される冷間圧延鋼
板あるいは鋼帯とされており、その板厚は0.5 〜1.6mm
であって、例えば良く用いられる 200リットルの密封型
ドラム缶(1級H級)で1.6mm とされている。
【0004】素材として一般には低炭素アルミキルド冷
延鋼板の箱焼鈍材あるいは連続焼鈍材が用いられおり、
その典型的組成は重量比率で、0.05〜0.10%C− 0.2〜
0.5%Mn−〜0.05%Si−0.04〜0.10%Al−0.0015〜0.003
0%Nである。また、この鋼板は概ね降伏応力(YS):2
25MPa、引張強度(TS):340MPa、伸び(EL):42%程
度である。なお、割合は少ないが一部の板厚の厚いドラ
ム缶材には熱延材も適用されることがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近、缶製造コストを
低減するために、ドラム缶用素材の板厚を薄くしようと
する試みがなされてきている。そのためには缶体強度の
確保のため鋼板強度を従来より高めなければならない。
しかしながら、ドラム缶用鋼板の高強度化には、一般的
に要求される溶接性や成形性等の確保の他に、特に解決
しなければならない以下の諸課題がある。
【0006】(1)巻き締め性の向上 一般に鋼板の高強度化は加工性の低下を伴うため、巻き
締め部の健全性(巻き締めの不完全な部分がないこと)
が確保できなくなり、特に最も過酷といわれる落下試験
に合格するのが困難となる。近年、加工法において巻き
締め性の問題を解決すべく、従来の天板・地板と胴板を
2重に巻き締める方式を、多重巻き方式、すなわち3重
に巻き締める方式に変更するという手段が採用されるこ
ともある。しかし、この方式では巻き締め工程が複雑化
するうえ、素材鋼板の使用量が増加するなどの欠点も有
するため、素材の鋼板の特性改善によって巻き締め部の
健全性を維持する、言い換えれば素材鋼板の巻き締め性
を向上することが求められている。また、多重巻き方式
を採用するにしても素材鋼板の巻き締め性向上により、
より巻き締め部の健全性を確保したいという要請があ
る。しかしながら、巻き締め性の向上は、加工性の劣化
を伴う高強度化とは相反するのが通常である。なお、本
発明者らの知見によれば、巻き締め性を改善するには延
性を35%以上とすることを要する。
【0007】(2)高温強度の向上 ドラム缶は1回のみの使用ではなく、一度内容物を入れ
て使用されたのち内部を洗浄して再度あるいは再々度、
平均的には4〜5回繰り返して使用されるのが一般的で
ある。再使用するに当たっては、内面の付着物や外面の
塗装を一旦除去する必要があり、通常、ショットブラス
トによる除去作業を行う。このショットブラスト処理に
より缶体に発生する変形量が大きい場合には、そのドラ
ム缶は積み重ねができず、再生利用に不適となる。した
がって、このショットブラスト処理による缶体の変形量
の大小は再生利用の可否および再生利用回数(再生利用
性)を決定する一つの因子となっている。
【0008】本発明者らがさらに詳しく調査した結果、
このショットブラスト処理による缶体の変形は、使用す
る鋼板の室温強度のみを増加しても防止しうるものでは
ないことが新たに判明した。すなわち、ショットブラス
ト処理の前に、内容物を焼却して除去するために缶体を
約800 ℃に加熱する焼却処理が実施されるのが一般的で
あるが、その後、缶体が完全に冷却しないうちに温間で
ショットブラスト処理を行うことが多い。本発明者ら
は、上記したショットブラスト処理による缶体の変形量
が少ないことに加えて、高温加熱時の変形やその後の冷
却過程でのショットブラスト処理による変形が少ないこ
とが再生利用を決定する重要な因子となっていることを
新たに知見した。このようなことから、缶体が概ね300
〜 600℃の温度域において高い高温強度を有することも
要求される。
【0009】(3)低温靱性の確保 従来のドラム缶においては低温における缶体特性は特に
考慮されていないが、最近では、−40℃という低温の地
域や設備で使用されるドラム缶も増えつつあり、低温に
おいて落下試験を行っても内容物の洩れ発生がないこと
がドラム缶の信頼性の一つの指標として要求されること
が考えられる。
【0010】このことは、ドラム缶用鋼板において低温
靱性、特に巻き締め加工後の低温靱性(巻き締め部の信
頼性)が確保されなければならないことを意味するが、
一般的に、靱性の確保は高強度化と相反する。しかしな
がら、従来知られている高強度化において上記の材質要
請を全て満足することは困難であった。すなわち、高強
度化手段としては多量の合金元素の添加による固溶強化
や、加工強化(特開昭56− 77039号公報に参照)、析出
硬化などが知られているが、いずれも一般に、低温靱性
の低下や延性の低下による巻き締め性の低下を招き、ま
た高温強度を十分確保することも困難である。また結晶
粒の細粒化や低温変態生成物(ベーナイトなど)を利用
した強化法も知られているが、溶接あるいは前記の内容
物焼却処理により、強度もしくは靱性の低下が生じやす
い。
【0011】このようにドラム缶用として素材に要求さ
れる特性をすべて満足する適切な鋼板の高強度化の方法
がなく、素材の薄肉化が達成できていないのが現状であ
る。本発明の第1の目的は、上記した問題を有利に解決
し、従来は素材として冷延鋼板が主流であったが、処理
工程の少ない熱延鋼板を利用して、薄肉化が達成でき軽
量で低コストで、しかも再生利用回数を増加でき、低温
域でも使用できるドラム缶を製造するために、ドラム缶
用素材として、高強度(TS: 370MPa 以上、好ましくは
410MPa 以上、以下同じ)で伸び35%以上を有し靱性に
優れかつ成形性、溶接性、巻き締め性、高温強度に優れ
たドラム缶用熱延鋼板およびその製造方法を提案するこ
とにある。
【0012】また、本発明の第2の目的は、薄肉化が達
成でき軽量で低コストで、しかも再生利用回数を増加で
き、低温域でも使用できるドラム缶を製造するために、
ドラム缶用素材として、高強度で伸び35%以上を有し靱
性に優れかつ成形性、溶接性、巻き締め性、高温強度に
優れたドラム缶用冷延鋼板およびその製造方法を提案す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を解決するために鋼板組成、製造方法について種々
検討した結果、ドラム缶用素材として、低炭素アルミキ
ルド鋼に微量のNbを添加しかつ製造条件を最適化して組
織を細粒化した鋼板を使用するすることにより、高温か
ら低温までの広い範囲で高い缶体強度を有しかつ従来材
と同等以上の巻き締め性、再生利用性、溶接性および溶
接部成形性を有し、低温域まで使用可能なドラム缶とす
ることができることを新規に見いだした。
【0014】本発明は上記した知見に基づいて構成され
たものである。すなわち、第1の目的を達成するための
本発明は、重量%で、C:0.10%以下、Si:0.20%以
下、Mn:1.0 %以下、P:0.04%以下、S:0.01%以
下、Al:0.150 %以下、N:0.0050%以下、Nb:0.005
〜0.10%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物から
なる組成を有し、好ましくは結晶粒径が10μm 以下であ
ることを特徴とするドラム缶用高強度熱延鋼板であり、
前記組成に加えて、さらに重量%で、Ti:0.005 〜0.10
%を含有してもよく、また、前記熱延鋼板は黒皮付き熱
延鋼板としてもよく、また前記黒皮はマグネタイトを体
積率で80%以上含む被膜とするのが好ましく、また前記
黒皮の厚さは5μm 以下とするのが好ましい。
【0015】また、本発明は、上記した熱延鋼板を胴
板、天板および地板のうちの少なくとも1つに用いたこ
とを特徴とする鋼製ドラム缶であり、従来より薄肉化に
よる軽量化が期待できるうえ、巻締め部信頼性に優れる
という特長をも有するものである。また、本発明は、重
量%で、C:0.10%以下、Si:0.20%以下、Mn:1.0 %
以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.150 %
以下、N:0.0050%以下、Nb:0.005 〜0.10%を含有
し、好ましくは残部がFeおよび不可避的不純物からなる
組成の鋼素材に、仕上圧延温度を750 ℃以上とする熱間
圧延加工を施し、巻取り温度:700 ℃以下で巻取り、熱
延板とすることを特徴とする結晶粒径が10μm以下の靱
性に優れたドラム缶用高強度熱延鋼板の製造方法であ
り、前記組成に加えて、さらに重量%で、Ti:0.005 〜
0.10%を含有するのが好ましく、また、本発明では前記
熱間圧延加工終了後、2sec 以内に強制冷却を開始する
のが好ましく、また、前記熱延板に必要に応じて酸洗処
理を施したのち、さらに調質圧延を施してもよい。
【0016】また、第2の目的を達成するための本発明
は、重量%で、C:0.10%以下、Si:0.20%以下、Mn:
1.0 %以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:0.
150%以下、N:0.0050%以下、Nb:0.005 〜0.10%を
含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を
有し、好ましくは結晶粒径が7μm 以下であることを特
徴とするドラム缶用高強度冷延鋼板であり、前記組成に
加えて、さらに重量%で、Ti:0.005 〜0.10%を含有す
るのが好ましい。
【0017】また、本発明は、上記したドラム缶用高強
度冷延鋼板を胴板、天板および地板のうちの少なくとも
1つに用いたことを特徴とする鋼製ドラム缶であり、軽
量化が期待でき、巻き締め部の信頼性にも優れるもので
ある。また、本発明は、重量%で、C:0.10%以下、S
i:0.20%以下、Mn:1.0 %以下、P:0.04%以下、
S:0.01%以下、Al:0.150 %以下、N:0.0050%以
下、Nb:0.005 〜0.10%を含み、あるいはさらにTi:0.
005 〜0.10%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物
からなる鋼素材に、仕上圧延温度を750 ℃以上とする熱
間圧延加工を施し、巻取り温度:700 ℃以下で巻取り熱
延板としたのち、必要に応じて該熱延板を酸洗し、つい
で冷間圧延により冷延板とし、該冷延板に再結晶温度以
上の温度で焼鈍を行い、あるいはさらに調質圧延を施す
ことを特徴とする結晶粒径が7μm 以下のドラム缶用高
強度冷延鋼板の製造方法である。なお、本発明では、前
記熱間圧延加工終了後、2sec 以内に強制冷却を開始す
るのが好ましい。
【0018】なお、本発明において結晶粒径は、鋼板の
断面(圧延方向に直角をなす面)における最表面を除く
全厚での平均粒径を指すものとする。
【0019】
【発明の実施の形態】まず、本発明の鋼板の化学組成の
限定理由について説明する。 C:0.10%以下 Cは、基地中に固溶し鋼板の強度を増加させるが、0.10
%を超えると炭化物を多量に形成し延性を劣化させると
ともに、溶接部の硬化が顕著になり、ドラム缶製缶時の
フランジ成形工程において割れが多発する。このため、
本発明では成形性の観点からC含有量の上限を0.10%と
した。なお、さらに成形性の観点からはC含有量は0.08
%以下とするのが好ましい。また、C含有量は、強度確
保の観点から0.02%以上の含有が望ましい。
【0020】Si:0.20%以下 Siは、強化元素として有用であるが、多量に含有すると
熱間圧延性および冷間圧延性の劣化が顕著となるほか、
表面処理性(特に化成処理性)、耐食性も劣化する。さ
らに、多量に含有すると溶接部の硬化も顕著となり好ま
しくない。このため、Si含有量は0.20%以下に限定し
た。なお、とくに耐食性が要求される用途に用いる場合
にはSi含有量は0.10%以下に限定するのが好ましい。
【0021】Mn:1.0 %以下 Mnは、Sによる熱間割れを防止する元素であり、S含有
量に応じて添加する。また、Mnは結晶粒を微細化する作
用を有しており、Mnの添加は材質上好ましい。しかし、
多量に添加すると、耐食性が劣化する傾向となるうえ、
鋼板を硬質化させ冷間圧延性を劣化させる。さらにMnの
多量添加は溶接性、溶接部の成形性をも劣化させる傾向
となるため、Mn含有量は1.0 %以下に制限した。なお、
良好な耐食性、成形性が要求される場合にはMn含有量は
0.60%以下とするのが好適である。
【0022】P:0.04%以下 Pは、多量に含有すると鋼を著しく硬質化させ、ドラム
缶製造時のフランジ加工性やネック加工性を劣化させる
とともに、耐食性を著しく劣化させる。また、Pは鋼中
で偏析する傾向が強く、溶接部の脆化をもたらす。この
ようなことからPは0.04%以下に制限した。なお、好ま
しくは0.02%以下である。
【0023】S:0.01%以下 Sは、鋼中では主として介在物として存在するため、鋼
板の延性、曲げ、曲げ戻し等の加工性を減少させ、さら
に耐食性を低下させるため、できるだけ低減するのが好
ましいが、0.01%までは許容できる。なお、良好な加工
性が要求される場合には0.007 %以下とするのが望まし
い。
【0024】Al:0.150 %以下 Alは、脱酸元素として添加され鋼の清浄度を向上させる
有用な元素であり、さらに組織を微細化させる作用も有
しており、本発明のドラム缶用鋼板には積極的に含有さ
せる。しかし、Al含有量が0.150 %を超えると鋼板表面
性状が劣化する。このため、Al含有量は0.150 %以下に
限定した。なお、材質の安定という観点からは0.010 〜
0.080 %の範囲が好ましい。
【0025】N:0.0050%以下 本発明では、Nによる固溶強化を利用しないため、Nは
とくに高める必要はなく、むしろNb添加による材質改善
効果が阻害されたり、固溶Nによって巻き締め部の低温
靱性が低下したりするためできるだけ低減するのが望ま
しい。しかし、0.0050%までは許容できるため、N含有
量は0.0050%以下に限定した。なお、缶体の強度、低温
靱性向上の観点からはN含有量は0.0040%以下とするの
が望ましい。
【0026】Nb:0.005 〜0.10% Nbは、本発明において重要な元素であり、微量の添加で
組織を微細化し、強度および巻き締め部の低温靱性を顕
著に改善する。また、ドラム缶胴部のシーム溶接部にお
ける組織粗大化を抑制する顕著な効果を有する。シーム
溶接部の組織微細化は、溶接後の巻き締めのための予成
形としてのフランジ成形時の割れ防止に有効である。さ
らに、Nbの微量添加により、300 〜600 ℃の温度域での
鋼板の高温強度が増加し、ドラム缶体としての高温クリ
ープ強度、高温耐圧強度が増加する。また、巻取り後に
Nb炭化物の析出強化が生じるため、熱延中は相対的に強
度が低く熱延クラウンが大きくなることはない。このよ
うな効果は、0.005 %以上の含有で認められるが、0.10
%を超えると、熱間変形抵抗の増加による熱間圧延性の
低下が顕著となる。このようなことから、Nb含有量は0.
005 〜0.10%に限定した。なお、鋼板製造の容易さ、す
なわち変形抵抗の上昇の抑制のためには、Nb含有量は0.
005 〜0.030 %とするのが好ましい。
【0027】Ti:0.005 〜0.10% Tiは、スラブの割れ発生を防止するために有効であり、
必要に応じ添加することができる。この効果は、0.005
%以上の含有で認められるが、0.10%を超えて含有する
とドラム缶溶接部の成形性が劣化し、とくにドラム缶の
巻締め性を低下させる。このため、Ti含有量は0.005 〜
0.10%の範囲に限定するのが望ましい。
【0028】その他、残部はFeおよび不可避的不純物か
らなるが、不可避的不純物としては、Cu:0.2 %以下、
Ni:0.2 %以下、Cr:0.2 %以下、Mo:0.2 %以下の範
囲に制限するのが好ましい。これら元素が含有されるこ
とにより鋼板強度は増加するが、溶接性、溶接部の加工
性および化成処理性が著しく劣化するため上記範囲に限
定するのが望ましい。
【0029】つぎに、鋼板の製造条件の限定理由につい
て説明する。上記した組成の溶鋼を転炉、電気炉等通常
公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造法、造塊法、薄スラ
ブ鋳造法等公知の方法で、凝固させ鋼素材とするのが好
ましい。なかでもマクロ偏析を防止するため連続鋳造法
が好ましい。上記した組成の鋼素材に、熱間圧延を施
す。
【0030】鋼素材を所定温度に加熱したのち圧延加工
を施し熱延板とするのが望ましい。素材の加熱温度は、
とくに限定しないが、材質の安定のため1000〜1300℃の
範囲とするのが好適である。1300℃を超えると結晶粒が
粗大化し、伸び特性が劣化する。また、1000℃未満で
は、変形抵抗が高くなり圧延荷重が増加して圧延が困難
となる。
【0031】また、本発明では、スラブに鋳造後、一旦
室温まで冷却しその後上記したように再加熱する方法以
外に、室温まで冷却せず温片のままで加熱炉に装入し加
熱する方法、あるいはわずかの保熱を行ったのち直ちに
圧延する直送圧延、直接圧延などの方法を適用してもな
んら問題はない。熱間圧延の仕上圧延温度を750 ℃以上
とする。
【0032】仕上圧延温度を750 ℃以上とすることによ
り、均一で微細な熱延板組織が得られ、これにより最終
製品(冷間圧延−焼鈍工程を経た場合も含める。以下同
じ)の組織も均一微細化が図れる。さらに、Nbの不均一
な析出を防止でき最終製品の機械的特性も安定する。な
お、仕上圧延温度が1000℃を超えると、スケールの発生
が著しくなりスケール起因の疵が多発し鋼板表面の健全
性が低下するため、表面の健全性が要求されるドラム缶
用としては好ましくない。このため仕上圧延温度は1000
℃以下とするのが望ましい。なお、材質の均一性から仕
上圧延温度は800 〜920 ℃の範囲が好ましい。
【0033】熱間圧延加工終了後、熱延板を強制冷却す
るのが望ましい。圧延による加工歪に加え、圧延後の強
制冷却により、熱延板組織のより微細化が達成され、そ
れにより最終製品(冷延鋼板)の組織微細化が図れるか
らである。圧延終了後、速やかに強制冷却を開始するの
が望ましい。強制冷却は、水冷あるいはミスト冷却が好
ましく、冷却速度として50℃/s以上が好ましい。強制
冷却の開始は、熱延製品の細粒化により常温強度および
高温強度を向上させるために、圧延終了後2sec 以内と
するのが望ましい。また、強度増加、スケール厚みの安
定制御という観点からは強制冷却は熱間圧延終了後1 s
ec以内に開始するのがより好ましい。さらに、黒皮付き
熱延鋼板における黒皮厚さを5μm 以下とするために
は、強制冷却は、圧延後0.5s以内に開始するのが望まし
い。
【0034】巻取り温度を700 ℃以下とする。巻取り温
度が700 ℃を超えると、熱延板組織が粗大化し、さらに
巻取り直後に不可避的に導入される不均一歪により異常
粒成長が生じ、表面性状が劣化する危険性は増大する。
一方、巻取り温度が400 ℃未満では、熱延鋼板の形状が
悪化するうえ、鋼板幅方向の硬度差が顕著となり、冷延
鋼板の形状が劣化し、その結果ドラム缶の形状が不均一
となり、容器としての機能が低下する恐れがある。この
ため、巻取り温度は700 ℃以下望ましくは400 ℃以上、
好ましくは 500℃超えとするのがよい。なお、黒皮付き
熱延鋼板における黒皮厚さを5μm 以下とするために
は、巻取り温度は600 ℃以下の低温とするのが好まし
い。
【0035】熱延板は、巻取られたのち、好ましくは調
質圧延を施される。熱延板の調質圧延、あるいはスキン
パス圧延は、降伏点伸びを消滅、あるいは軽減し、さら
に鋼板表面粗度の調整および原板の形状均一性の改善
(例えば耳のび、腹のび等の低減)のために実施するの
が好ましい。調質圧延の圧下率は5%以下とするのが好
ましい。圧下率が5%を超えると鋼板の延性が劣化する
うえ、降伏点の変動が大きくなり、製缶時のスプリング
バック量がばらつくなどの問題を生じる。なお、表面粗
度の調整のためには1%以上5%以下とするのが好まし
い。
【0036】熱延板では、圧延のままの黒皮付きでドラ
ム缶製造に適用するのが好ましい。この場合、とくに素
地のまま状態(無処理の状態)で使用しても、ドラム缶
の内表面には緻密な酸化鉄相が付着しているため耐食
性、耐摩耗性は良好である。缶外面には塗装が施される
が、リン酸亜鉛、リン酸鉄などの化成処理を行ったの
ち、あるいは化成処理を行わずに直接有機樹脂塗装を施
してもなんら使用上の問題はない。これは内面について
も同様である。
【0037】黒皮付き熱延板の黒皮は、マグネタイトを
体積率で80%以上含む被膜とするのが望ましい。これに
より、耐食性、耐摩耗性が優れた熱延板となる。黒皮中
のマグネタイト量は、巻取り温度および雰囲気の制御に
よりウスタイトからの変態を促進することで調整でき
る。黒皮中のマグネタイト含有量が80%未満では、黒皮
の剥離性の悪化が顕著になり、実用に耐えるドラム缶と
ならない。黒皮付き熱延鋼板で製造したドラム缶を再生
利用する際には、再生処理で表面酸化層は容易に剥離さ
れるため、黒皮の存在は再生利用の妨げとならない。ま
た、黒皮の厚さが5μm を超えると、黒皮の剥離性が増
加する傾向にあり、黒皮付き熱延鋼板の黒皮厚さは5μ
m 以下とするのが望ましい。
【0038】なお、黒皮を除去して使用してもよいこと
は言うまでもない。黒皮の除去は、酸洗処理を施し除去
するのが好ましい。 熱延板の酸洗条件はとくに規定す
る必要はなく表面スケールが除去できればよく、通常公
知の方法、例えば、塩酸、硫酸等の酸で表面スケールを
除去すればよい。なお、酸洗後、発錆を防止するため、
熱延鋼板には塗油するのが望ましい。酸洗によりスケー
ルを除去したのち上記した条件の調質圧延を施される。
【0039】さらに黒皮を除去された熱延板には、必要
に応じ、表面処理が施される。施される表面処理として
は、錫めっき、クロムめっき、ニッケルめっき、ニッケ
ル・クロムめっき、亜鉛めっき等のめっき、さらにリン
酸亜鉛、リン酸鉄などの化成処理など通常ドラム缶に適
用される表面処理がいずれも好適に適用できるのは言う
までもない。また、これらのめっき後、塗装あるいは有
機樹脂フィルムを貼って製缶してもなんら問題はない。
【0040】上記した製造条件に従い製造した熱延鋼板
は、35%以上の高い伸びを示し、好ましくは平均結晶粒
径10μm 以下の均一な微細な結晶組織を有する鋼板とな
る。なお、所望する強度が高い場合には、C、Mnおよび
Nbの添加量と巻取り温度を制御して、平均結晶粒径を7
μm 以下とするのが望ましい。このような熱延鋼板を用
いて製缶したドラム缶は、従来の鋼板を用いた場合にく
らべ、製缶後に高い常温強度と、高温域(具体的には30
0 〜600 ℃)での高い高温強度と、−40℃での落下試験
においても内容物の洩れがない優れた低温靱性を有する
ドラム缶となる。
【0041】上記した条件で製造された熱延板は、熱延
ままの状態からさらに、酸洗(必要に応じ)と、冷間圧
延を施し、冷延板としてもよい。冷延板とされる熱延母
板の適正板厚は、3.7 〜1.8mm が推奨される。熱延板の
酸洗条件はとくに規定する必要はなく表面スケールが除
去できればよく、通常公知の方法、例えば、塩酸、硫酸
等の酸で表面スケールを除去できればよい。冷間圧延に
おける圧下率は、60〜85%とするのが好ましい。なお、
酸化層厚を5μm 以下とした薄スケール鋼板は、酸洗を
省略しそのまま冷間圧延を施してもよい。
【0042】上記の冷延板はついで、焼鈍を施される。
焼鈍は、再結晶終了温度以上の温度で行う。焼鈍温度が
再結晶終了温度未満の場合には、得られる鋼板の組織は
未再結晶あるいは部分再結晶組織となり、強度は高いが
延性に乏しく、高温で顕著に軟化する傾向を有し、さら
に鋼板の幅方向、長手方向で材質が不均一となり、用途
が極めて限定されることになる。本発明で使用する焼鈍
サイクルは、とくに過時効処理を施す必要はなく、単純
な加熱冷却処理を行うサイクルを適用するのが好適であ
る。しかし、過時効処理を行っても時効性が低下する他
は材質には顕著な変化は生じないため、過時効を行う焼
鈍サイクルを適用しても何ら問題はない。
【0043】焼鈍を施された冷延焼鈍板には、必要に応
じ調質圧延が施される。調質圧延、あるいはスキンパス
圧延は、降伏点伸びを消滅、あるいは軽減し、さらに鋼
板表面粗度の調整および原板の形状均一性の改善(例え
ば耳のび、腹のび等の低減)のために実施するのが好ま
しい。調質圧延の圧下率は5%以下とするのが好まし
い。圧下率が5%を超えると鋼板の延性が劣化するう
え、降伏点の変動が大きくなり、製缶時のスプリングバ
ック量がばらつくなどの問題を生じる。なお、表面粗度
の調整のためには1%以上5%以下とするのが好まし
い。
【0044】ドラム缶の製缶を安定して行うためには缶
素材の延性が重要な因子であり、伸び値が35%以上の鋼
板であれば、安定した製缶が可能である。伸び値の測定
は、引張試験により行うが、試験片の採取方向はドラム
缶成形時に円周方向となる方向とする。上記した製造条
件に従い製造した冷延鋼板は、35%以上の高い伸びを示
し、好ましくは結晶粒径7μm 以下の均一な微細な結晶
組織を有する鋼板となる。なお、強度が高い場合には、
C、MnおよびNb添加量と巻取り温度を制御して、結晶粒
径を5μm 以下とするのが望ましい。
【0045】さらに冷延焼鈍板には、必要に応じ、表面
処理が施される。施される表面処理としては、錫めっ
き、クロムめっき、ニッケルめっき、ニッケル・クロム
めっき、亜鉛めっき等のめっき、さらにリン酸亜鉛、リ
ン酸鉄などの化成処理など通常ドラム缶に適用される表
面処理がいずれも好適に適用できるのは言うまでもな
い。また、これらのめっき後、塗装あるいは有機樹脂フ
ィルムを貼って製缶してもなんら問題はない。また、製
缶後、塗装を行ってもよいのは言うまでもない。
【0046】このような冷延鋼板を用いて製缶したドラ
ム缶は、従来の鋼板を用いた場合にくらべ、製缶後に高
い常温強度と、高温域(具体的には300 〜600 ℃)での
高い高温強度と、−40℃での落下試験においても内容物
の洩れがない優れた低温靱性を有するドラム缶となる。
なお、高温強度は、クリープ強度を含む300 〜600 ℃の
範囲における強度であり、測定方法は、通常の高温引張
試験(クロスヘッド速度1mm/min程度)で得られた値を
用いる。
【0047】ドラム缶は、胴板、天板、地板から構成さ
れている。本発明の黒皮付き熱延鋼板あるいは黒皮を除
去した熱延鋼板、あるいは冷延鋼板を素材として胴板、
天板、地板を加工し、さらに胴板を曲げ成形し、その両
端部をシーム溶接あるいは他の接合法により接合し缶胴
部とし、缶胴部の両端に地板(および密封型では天板)
を巻締め(2重でも多重でもよい)により装着してドラ
ム缶を形成する。ドラム缶に成形したのち、必要に応じ
天板を巻締める前に内面に化成処理−塗装処理を施す。
地板、天板を巻締めた後、外面塗装を行う。また、天
板、地板は別ラインで処理され組立てられる。なお、胴
板、天板、地板の全てに本発明の鋼板を用いるのが好ま
しいが、これらのいずれか1つか2つかに本発明の鋼板
を用いても有効である。
【0048】缶胴部の接合は、従来主として利用されて
いるマッシュシーム溶接が好適であるが、それ以外の突
き合わせ溶接であるプラズマ溶接、レーザー溶接、ある
いはフラッシュバット溶接がいずれも適用できる。ま
た、溶接を用いずに「かしめる」方法でもよい。
【0049】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成の鋼を転炉
で溶製し、連続鋳造法で 260mm厚のスラブ(鋼素材)と
した。ついで、これらスラブを表2に示す条件で熱間圧
延を施し、冷却した後、表2に示す温度で巻取った。つ
いで、これら熱延板に必要に応じ調質圧延を施して最終
仕上板厚3.5mm 厚の熱延板とした。なお、熱延後の冷却
速度は以下の実施例を通じ60℃/sとした。
【0050】ついで、これら熱延板に、酸洗処理を施し
たのち、表2に示す条件で冷間圧延を施し冷延板とし
た。その後これら冷延板に、表2に示す条件で連続焼鈍
を施し、表2に示す条件で調質圧延を施し、1.2 mm厚の
冷延焼鈍板とした。これら冷延鋼板について、平均結晶
粒径、引張特性(常温および 600℃における引張強
さ)、および曲げ特性・繰り返し曲げ特性を調査した。
【0051】結晶粒径(平均結晶粒径)は、鋼板圧延直
角方向の断面について光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡写
真から求めた。また、引張特性は、ドラム缶の成形時に
円周方向となる方向から採取したJIS 5号試験片を用い
た。600 ℃における高温引張強さは、通常の高温引張試
験で得られた値を用いた。曲げ特性・繰り返し曲げ特性
調査は巻き締め加工性の評価のために行い、圧延直角方
向から採取した曲げ試験片を密着曲げと密着曲げ戻しを
行い破断の有無で評価した。なお、表中には破断無しを
○、破断有りを×として表示している。
【0052】それらの結果を表2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】本発明範囲の鋼板(鋼板No.1-1〜No.1-4)
は、7μm 以下の平均結晶粒径を有し、かつ41%以上の
伸びを示している。さらに、延性の低下を伴うことなく
常温強度、および 600℃における高温強度が、Nb無添加
の冷延鋼板(従来例)に比べ増加している。また、本発
明例は曲げ特性も良好であり、巻き締め性に問題はなか
った。
【0056】ついで、これら鋼板から天板、地板をプレ
ス加工した。一方、胴板を円筒状に曲げ成形し両端部を
シーム溶接して缶胴部とし、缶胴部の両端に天板、地板
を巻き締め(2重巻締め方式)により装着し容量 200リ
ットルの密封型ドラムとした。なお、外面には通常の塗
装(エポキシ系塗料)を施し、内面は燐酸亜鉛による化
成処理を施した。製缶に際し、製缶時の曲げ加工性、形
状凍結性、溶接性等を調査し製缶性とした。
【0057】また、これらドラム缶について、強度特性
を調査するため、内部を空のままとし、軸方向および円
周方向から圧縮し、マクロな圧縮座屈を生じる荷重を座
屈荷重として測定した。また、これらドラム缶について
内部に油類を充填し、-40 ℃に冷却し1.2mの高さから落
下させ漏れおよび変形量を調査する落下試験を実施し
た。なお、落下試験における変形量は、従来例(鋼板N
o.1-5)の変形量を1.00とし、従来例に対する比で示し
ている。なお、JIS に規定される室温における高さ 1.8
mからの落下試験については、上記低温落下試験に合格
するドラム缶であれば問題なく合格することを確かめた
ので省略した。
【0058】これらの結果を缶体特性として表2に示
す。表2から、本発明例(鋼板No.1-1〜No.1-4)は、製
缶性も問題なく、強度特性試験における座屈荷重も比較
例にくらべ高く、さらに低温の落下試験における変形量
も従来例(鋼板No.1-5)にくらべ減少し、缶体の高強度
化が達成されていることがわかる。また、低温の落下試
験では、本発明例で、高強度化したにもかかわらず漏れ
を生じることもなく、内容物を安全に確保でき巻締め部
の信頼性が向上していることがわかる。本発明の鋼板で
は、2重巻締め、3重巻締めといった巻締め方式によら
ず、また、低温という厳しい条件下においても常に巻締
め部の信頼性を向上させることができる。 (実施例2)0.035 wt%C−0.01wt%Si−0.25wt%Mn−
0.006wt %P−0.005wt %S−0.0030wt%N−0.035wt
%Al−0.015wt %Nbを含み残部Feおよび不可避的不純物
からなる鋼素材(スラブ)を用い、表3に示す条件で熱
間圧延を施し、圧延終了後水冷し、表3に示す温度で巻
取り3.4 〜2.5 mm厚の熱延板とし、ついで、これら熱延
板に酸洗処理を施したのち、表3に示す条件で冷間圧延
を施し冷延板とした。その後これら冷延板に、表3に示
す条件で連続焼鈍を施し、酸洗および表3に示す条件で
調質圧延を施し、 1.0mm厚の冷延焼鈍板とした(鋼板N
o.2-1〜2-7 )。なお、連続焼鈍においては、過時効帯
の炉温を 350℃以下として実質的に過時効処理なしとし
た。
【0059】なお、0.035 wt%C−0.01wt%Si−0.25wt
%Mn−0.006wt %P−0.005wt %S−0.0020wt%N−0.
035wt %Al− 0.005wt%Nbを含み残部Feおよび不可避的
不純物からなるスラブを用い、表3に示す条件で熱間圧
延を施し、圧延終了後水冷し、表3に示す温度で巻取り
2.6mm厚の熱延板とした(鋼板No.2-8)。ついで、この
熱延板に酸洗を施したのち、冷間圧延を施して 1.0mm厚
の冷延板とした。この冷延板に、焼鈍として、700 ℃×
40sec の均熱を施したのち50℃/sの冷却速度で冷却し40
0 ℃×60sec の過時効処理を施し、冷延焼鈍板として比
較例とした。
【0060】これら冷延鋼板から実施例1と同じ要領で
天板、地板を加工し、胴板を曲げ成形し両端部をシーム
溶接して缶胴部とし、缶胴部の両端に天板、地板を巻き
締めにより装着し容量200 リットルの密封型ドラムと
し、製缶性を調査した。製缶後、外面にはエポキシ系塗
装を施し、内面には化成処理のみを施した。これらドラ
ム缶について、常温(15℃)で、ドラム缶外部から、円
周方向の圧縮応力となるように集中荷重を負荷して、そ
の際生じる缶体の変形量を測定した。その結果を表3に
示す。
【0061】
【表3】
【0062】本発明範囲の鋼板を用いたドラム缶(鋼板
No.2-1〜No.2-7)では、荷重負荷により生じる変形量
は、比較例(鋼板No.2-8) くらべ著しく減少することが
わかる。すなわち、顕著な高強度化が達成されている。
また実施例1と同様に低温での落下試験も実施したが洩
れ等を生ずることはなかった。なお、ドラム缶内部の圧
力を高くした場合の缶体の変形量についても、測定し
た。外部からの圧縮応力負荷に比べ大きな相違はみられ
ないが、本発明例のドラム缶の変形量が比較例の変形量
にくらべ少ない傾向は同様に確認できた。 (実施例3)表4に示す化学組成の鋼を転炉で溶製し、
連続鋳造法でスラブとしたのち、表5に示す条件で熱間
圧延を施し、圧延終了後水冷しあるいは水冷なしとし、
表5に示す温度で巻取り2.9 〜3.4 mm厚の熱延板とし、
ついで、これら熱延板に酸洗処理を施したのち、表5に
示す条件で冷間圧延を施し冷延板とした。その後これら
冷延板に、表5に示す条件で連続焼鈍を施し、表5に示
す条件で調質圧延を施し、1.0 mm厚の冷延焼鈍板とし
た。なお、連続焼鈍は過時効処理なしとした。
【0063】これら冷延鋼板を胴板、天板に加工したの
ち、胴板を曲げ成形し両端部をシーム溶接した。なお、
胴板のシーム溶接条件を最適化するため、従来の低炭素
アルミキルド鋼板(1.0mm 厚)を溶接する条件(溶接1
次電流: 220A、溶接速度:15m/min 、シリンダー圧
力で調整する電極加圧力:530kgf(シリンダー圧力3.0k
gf/cm2相当))を基本として、1次溶接電流を変化した
溶接条件で胴板シーム溶接を行い、通常の製缶工程にし
たがい、フランジ成形および輪帯のエキスパンド成形を
行って割れ等の不具合発生を調査し、不具合発生のない
適正溶接電流の範囲の幅を決定した。
【0064】また、適正範囲内の溶接電流でシーム溶接
を行い、容量200 リットルの密封型ドラム缶(天板、地
板とも2重巻き)に製缶した。これらドラム缶につい
て、缶体圧縮試験(軸方向の静的圧縮試験)を実施し、
静的圧潰強度を求めた。それらの結果を、鋼板の結晶粒
径、機械的特性とともに表5に示す。
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】表5から、本発明例(鋼板No.3-1〜No.3-
3)は、従来例(鋼板No.3-6)に比べ高い強度を有して
いるにもかかわらず、従来例と同等の溶接可能電流範囲
を有し、製缶性、溶接性ともに問題を生じていない。ま
た、本発明例は、静的圧潰強度も従来例に比べ高く、鋼
板強度の増加と対応する。本発明範囲の高強度冷延鋼板
をドラム缶用素材として適用すれば、溶接性の劣化を伴
わず缶体強度の増加が達成できる。とくに、本発明例の
巻締め部は、同一変形量を強制的に与えた場合でも、よ
り大きな歪域まで気密性を確保できる。 (実施例4)表6に示す化学組成の鋼を転炉で溶製し、
連続鋳造法で 260mm厚のスラブ(鋼素材)とした。つい
で、これらスラブを表7に示す条件で熱間圧延を施した
後冷却し、表7に示す温度で巻取り、1.22mm厚の熱延板
とした。ついで、これら熱延板に必要に応じ酸洗または
調質圧延を施して最終仕上板厚1.20mm厚の熱延鋼板とし
た。
【0068】これら熱延鋼板について、結晶粒径、引張
特性(常温および 600℃における引張強さ)、および曲
げ特性・繰り返し曲げ特性を調査した。結晶粒径(平均
結晶粒径)は、鋼板圧延直角方向の断面について光学顕
微鏡あるいは電子顕微鏡写真から求めた。また、同じ断
面写真より黒皮厚を求めた。引張特性は、ドラム缶の成
形時に円周方向となる方向から採取したJIS 5号試験片
を用いた。600 ℃における引張強さは、通常の高温引張
試験で得られた値を用いた。曲げ特性・繰り返し曲げ特
性は、圧延直角方向から採取した曲げ試験片を密着曲げ
と密着曲げ戻しを行い破断の有無で評価した。なお、表
中には破断無しを○、破断有りを×として表示してい
る。
【0069】それらの結果を表7に示す。なお、比較と
して、実施例1で示したD鋼(表1)の冷延鋼板につい
ての試験結果(表2の鋼板No.1-4)を従来例として示し
た。
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】本発明範囲の鋼板(本発明例No.4-1〜No.4
-4)は、10μm 以下の平均結晶粒径を有し、かつ38%以
上の伸びを示している。さらに、延性の低下を伴うこと
なく常温強度、および 600℃における高温強度が、比較
例の鋼板(No.1-4)に比べ増加している。また、曲げ特
性も良好であった。ついで、これら鋼板から天板、地板
をプレス加工した。一方、胴板を円筒状に曲げ成形し両
端部をシーム溶接して缶胴部とし、缶胴部の両端に天
板、地板を巻き締め(通常の2重巻締め方式)により装
着し容量 200リットルの密封型ドラムとした。なお、外
面にはエポキシ系塗料で塗装を施し、内面は燐酸亜鉛に
よる化成処理を施した。製缶に際し、製缶時の曲げ加工
性、形状凍結性、溶接性等を調査し製缶性とした。
【0073】また、これらドラム缶について、強度特性
を調査するため、内部を空のままとし、軸方向および円
周方向から圧縮し、マクロな圧縮座屈を生じる荷重を座
屈荷重として測定した。また、これらドラム缶について
も内部に油類を充填し、-40 ℃に冷却し1.2mの高さから
落下させ漏れおよび変形量を調査する落下試験を実施し
た。なお、落下試験における変形量は、従来例(No.1-
5)の変形量を1.00とし、従来例に対する比で示してい
る。
【0074】これらの結果を缶体特性として表7に示
す。表7から、本発明例は、製缶性も問題なく、強度特
性試験における座屈荷重も比較例にくらべ高く、さらに
低温の落下試験における変形量も比較例にくらべ減少
し、缶体の高強度化が達成されていることがわかる。ま
た、本発明例は、低温の落下試験で漏れを生じることも
なく、内容物を安全に確保でき巻締め部の信頼性が確保
されていることがわかる。本発明の鋼板では、2重巻締
め、3重巻締めといった巻締め方式によらず、また低温
という厳しい条件下においても常に巻締め部の信頼性を
向上させることができる。 (実施例5)0.032 wt%C−0.01wt%Si−0.15wt%Mn−
0.003wt %P−0.004wt %S−0.045wt %Al−0.017wt
%Nb−0.0021wt%Nを含み残部Feおよび不可避的不純物
からなる鋼素材(スラブ)を用い、表8に示す条件で熱
間圧延を施し、圧延終了後水冷し、表8に示す温度で巻
取り熱延板とした。ついで、これら熱延板に酸洗を施し
たのち調質圧延を施し最終仕上板厚 2.3mm厚の熱延鋼板
とした。
【0075】これら熱延鋼板から実施例4と同じ要領で
天板、地板を加工し、胴板を曲げ成形し両端部をシーム
溶接して缶胴部とし、缶胴部の両端に天板、地板を巻き
締めにより装着し容量200lの密封型ドラムとし、製缶性
を調査した。製缶後、外面にはエポキシ系の塗装を施し
た。これらドラム缶について、常温(15℃)でドラム缶
外部から、円周方向の圧縮応力となるように集中荷重を
負荷して、その際生じる缶体の変形量を測定した。その
結果を表8に示す。
【0076】
【表8】
【0077】本発明範囲の鋼板を用いたドラム缶(本発
明例No.5-1〜No.5-7)では、荷重負荷により生じる変形
量は、高温および常温とも著しく減少することがわか
る。本発明の範囲をはずれる比較例(鋼板No.5-8)で
は、荷重負荷により生ずる変形量が大きい。なお、ドラ
ム缶内部の圧力を高くした場合の缶体の変形量について
も、測定した。外部からの圧縮応力負荷に比べ大きな相
違はみられないが、本発明例のドラム缶の変形量が比較
例の変形量にくらべ少ない傾向は同様に確認できた。 (実施例6)表9に示す化学組成の鋼を転炉で溶製し、
連続鋳造法でスラブとしたのち、表10に示す条件で熱間
圧延を施して熱延板とし、酸洗処理および必要に応じ調
質圧延を施して最終仕上板厚1.0mm の黒皮なし(表面に
スケールの存在しない)熱延鋼板とした。
【0078】なお、0.035 wt%C−0.01wt%Si−0.18wt
%Mn−0.006wt %P−0.005wt %S−0.045wt %Al−0.
0021wt%Nを含み残部Feおよび不可避的不純物からなる
スラブ(表9鋼J)を用い、表10に示す条件で熱間圧延
を施し、圧延終了後水冷した後、巻取り 2.9mm厚の熱延
板とし、ついで、この熱延板に酸洗を施したのち、冷間
圧延を施して1.01mm厚の冷延板とした。この冷延板に、
焼鈍を施し、冷延焼鈍板として従来例(鋼板No.6-6)と
した。焼鈍条件は、690 ℃×40sec の均熱を施したのち
30℃/sの冷却速度で冷却し、実質的に過時効処理を施さ
なかった。
【0079】これら熱延鋼板(従来例は冷延鋼板)を用
いて、胴板、天板を加工し、胴板を曲げ成形し両端部を
シーム溶接した。なお、胴板のシーム溶接条件を最適化
するため、従来の低炭素アルミキルド鋼板(1.0mm 厚)
を溶接する条件(溶接1次電流: 220A、溶接速度:15
m/min 、電極加圧力:530kgf(シリンダー圧力3.0kgf
/cm2相当))を基本として、1次溶接電流を変化した溶
接条件で胴板シーム溶接を行い、フランジ成形および輪
帯のエキスパンド成形を行って割れ等の不具合発生を調
査し、不具合発生のない適正溶接電流の範囲の幅を決定
した。また、適正範囲内の溶接電流でシーム溶接を行
い、容量200 リットルの密封型ドラム缶に製缶した。こ
れらドラム缶について、缶体圧縮試験(軸方向の静的圧
縮試験)を実施し、静的圧潰強度を求めた。それらの結
果を、鋼板の結晶粒径、機械的特性とともに表5に示
す。
【0080】
【表9】
【0081】
【表10】
【0082】表10から、本発明例は、従来例に比べ高い
強度を有しているにもかかわらず、従来例と同等の溶接
可能電流範囲の幅(上下限はシフトする)を有し、製缶
性、溶接性ともに問題を生じていない。また、本発明例
は、静的圧潰強度も従来例に比べ高く、鋼板強度の増加
と対応する。本発明範囲の高強度熱延鋼板をドラム缶用
素材として適用すれば、溶接性の劣化を伴わず缶体強度
の増加が達成できる。とくに、本発明例の素材を用いた
ドラム缶の巻締め部は、同一変形量を強制的に与えた場
合でも、より大きな歪域まで気密性を確保できることを
確認した。これは低温での過酷な条件でも変わらない。 (実施例7)表6に示す化学組成の鋼Kを転炉で溶製
し、連続鋳造法でスラブとしたのち、表11に示す条件で
熱間圧延を施して 1.1mm厚の熱延板とした。酸洗処理を
省略し黒皮(表面スケール)付き熱延鋼板としたこれら
鋼板を用いて前述の如く、通常のドラム缶製造工程にし
たがって、容量200 リットルのドラム缶を製造した。な
お、胴部のシーム溶接は、黒皮なしの場合にくらべ溶接
電流を低下させて溶接した。また、ドラム缶への塗装
は、化成処理を省略して直接塗装したが何ら問題は生じ
なかった。
【0083】これら熱延鋼板の製缶性について、熱延条
件、結晶粒径、黒皮(酸化層)厚さおよび黒皮組成(マ
グネタイト量)とともに表11に示す。なお、マグネタイ
ト量はX線回折法により測定した。
【0084】
【表11】
【0085】表11から、酸化層(黒皮)厚みが厚く、マ
グネタイト量が少ない場合には、製缶時やや剥離が多い
が、酸化層厚が5μm 以下とすることにより、製缶時の
剥離は問題ない程度まで減少した。また、酸化層厚が比
較的厚い場合には、黒皮なしの場合にくらべ缶胴部のシ
ーム溶接時、電極の損耗がやや増加する傾向がみられ
た。しかし、酸化層厚みを5μm 以下とすることによ
り、電極損耗は、冷延鋼板並となり、大幅に改善され
た。酸化層厚みを5μm 以下とするには、仕上げ圧延温
度を920 ℃以下、仕上げ圧延終了から冷却開始までの時
間を0.5sec以下、巻取り温度を600 ℃以下とすることが
好適である。
【0086】このように、本発明の高強度冷延鋼板およ
び高強度熱延鋼板をドラム缶素材として、ドラム缶を製
造すれば、製缶性の低下もなく、常温および高温の缶体
強度の増加が図れるため、板厚を薄くすることにより低
コスト化、軽量化が図れる。さらに、巻締め部の信頼性
も向上する。以上、容量 200リットルの密封型ドラムに
ついてのみ説明したが、さらに小容量のドラム缶に対し
て適用しても同様な効果があることはいうまでもない。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、製缶性の低下を伴うこ
となく、ドラム缶の大幅な強度増加が達成でき、内容物
に対する信頼性が向上し、再生利用回数の大幅な増加が
見込めるなど産業上格段の効果を奏する。さらに、鋼板
の薄肉化が達成でき、製缶コストの低減および軽量化に
も寄与できるという効果もある。また、本発明によれ
ば、缶胴部のシーム溶接性、およびその後の伸びフラン
ジ特性が顕著に改善され、さらに、低温における衝撃的
な応力負荷に対しても液洩れ等の発生はなく、巻締め部
の信頼性が著しく向上するという効果が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒谷 昌利 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 加藤 安功 兵庫県伊丹市荒牧字下鍵田10 川鉄コンテ イナー株式会社内 (72)発明者 緋田 泰宏 兵庫県伊丹市荒牧字下鍵田10 川鉄コンテ イナー株式会社内 (72)発明者 山下 至 兵庫県伊丹市荒牧字下鍵田10 川鉄コンテ イナー株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.10%以下、 Si:0.20%以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.04%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.150 %以下、 N:0.0050%以下、 Nb:0.005 〜0.10% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    を有することを特徴とするドラム缶用高強度熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.10%以下、 Si:0.20%以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.04%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.150 %以下、 N:0.0050%以下、 Nb:0.005 〜0.10% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    を有し、かつ結晶粒径が10μm 以下であることを特徴と
    するドラム缶用高強度熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 前記組成に加えて、さらに重量%で、T
    i:0.005 〜0.040 %を含有することを特徴とする請求
    項1または2に記載のドラム缶用高強度熱延鋼板。
  4. 【請求項4】 前記熱延鋼板が黒皮付き熱延鋼板である
    請求項1ないし3のいずれかに記載のドラム缶用高強度
    熱延鋼板。
  5. 【請求項5】 前記黒皮が、マグネタイトを体積率で80
    %以上含む被膜であることを特徴とする請求項4に記載
    のドラム缶用高強度熱延鋼板。
  6. 【請求項6】 前記黒皮の厚さが、5μm 以下である請
    求項4または5に記載のドラム缶用高強度熱延鋼板。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載のド
    ラム缶用高強度熱延鋼板を胴板、天板および地板のうち
    の少なくとも1つに用いたことを特徴とする鋼製ドラム
    缶。
  8. 【請求項8】 重量%で、 C:0.10%以下、 Si:0.20%以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.04%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.150 %以下、 N:0.0050%以下、 Nb:0.005 〜0.10% を含有する組成の鋼素材に、仕上圧延温度を750 ℃以上
    とする熱間圧延加工を施し、巻取り温度:700 ℃以下で
    巻取り、熱延板とすることを特徴とする結晶粒径が10μ
    m 以下のドラム缶用高強度熱延鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記熱間圧延加工終了後、2sec 以内に
    強制冷却を開始することを特徴とする請求項8に記載の
    ドラム缶用高強度熱延鋼板の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記熱延板に、さらに調質圧延を施すこ
    とを特徴とする請求項8または9に記載のドラム缶用高
    強度熱延鋼板の製造方法。
  11. 【請求項11】 重量%で、 C:0.10%以下、 Si:0.20%以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.04%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.150 %以下、 N:0.0050%以下、 Nb:0.005 〜0.10% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    を有することを特徴とするドラム缶用高強度冷延鋼板。
  12. 【請求項12】 重量%で、 C:0.10%以下、 Si:0.20%以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.04%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.150 %以下、 N:0.0050%以下、 Nb:0.005 〜0.10% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    を有し、かつ結晶粒径が7μm 以下であることを特徴と
    するドラム缶用高強度冷延鋼板。
  13. 【請求項13】 前記組成に加えて、さらに重量%で、T
    i:0.005 〜0.10%を含有することを特徴とする請求項1
    1または12に記載のドラム缶用高強度冷延鋼板。
  14. 【請求項14】 請求項11ないし13のいずれかに記載のド
    ラム缶用高強度冷延鋼板を胴板、天板および地板のうち
    の少なくとも1つに用いたことを特徴とする鋼製ドラム
    缶。
  15. 【請求項15】 重量%で、 C:0.10%以下、 Si:0.20%以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.04%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.150 %以下、 N:0.0050%以下、 Nb:0.005 〜0.10% を含有する鋼素材に、仕上圧延温度を750 ℃以上とする
    熱間圧延加工を施し、巻取り温度:700 ℃以下で巻取り
    熱延板としたのち、該熱延板を酸洗し、ついで冷間圧延
    により冷延板とし、該冷延板に再結晶温度以上の温度で
    焼鈍を行い、あるいはさらに調質圧延を施すことを特徴
    とする結晶粒径が7μm 以下のドラム缶用高強度冷延鋼
    板の製造方法。
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