JPH11302420A - 熱可塑性樹脂シート及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シート及びその製造方法

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JPH11302420A
JPH11302420A JP10109529A JP10952998A JPH11302420A JP H11302420 A JPH11302420 A JP H11302420A JP 10109529 A JP10109529 A JP 10109529A JP 10952998 A JP10952998 A JP 10952998A JP H11302420 A JPH11302420 A JP H11302420A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
resin sheet
sheet
nonionic surfactant
coating
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JP10109529A
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English (en)
Inventor
Takehiko Iguchi
武彦 井口
Shuji Satoki
修治 里木
Yasuo Okumura
泰男 奥村
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリル系粘着テープとの粘着性が向上した
熱可塑性樹脂シートを得る。 【解決手段】 シートの少なくとも一方の面に、ポリオ
キシアルキレン単位を有する非イオン性界面活性剤と離
型剤とを含む塗布剤が塗布して、塗布層に対するアクリ
ル系粘着テープの剥離強度が500〜2000g/24
mm程度の熱可塑性樹脂シートを得る。前記離型剤の割
合は、前記非イオン性界面活性剤100重量部に対して
10〜2000重量部程度である。前記熱可塑性樹脂シ
ートは、シートの少なくとも一方の面に前記塗布剤を塗
布することにより製造でき、容器成形にも適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テープ剥離強度が
改善された熱可塑性樹脂シート及びその製造方法に関す
る。さらに詳しくは、熱板成形、真空成型、真空圧空成
形などの二次加工を施して、主に、テープで接着するこ
とにより、密封性、保存性、作業性が改善された食品包
装容器を得るのに有用な、テープ剥離強度が改善された
熱可塑性樹脂シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック製品の用途の多様化に伴
い、種々の機能を付加する目的で樹脂自体に添加剤など
を添加して直接成形品などに成形したり、成形後添加剤
を被覆又はコーティングしたり、一旦シート状に成形し
た後、機能を付加し、その後さらに成形したりする試み
が多くなされている。
【0003】一方、成形品のなかでも、容器(特に、蓋
付の容器)などにおいては、収容物が容器から脱落する
のを防止するため容器本体と蓋とをテープなどの粘着材
で接合させる場合がある。例えば、食品包装用容器で
は、防曇剤などを塗布し、内容物の視認性を高めている
が、防曇剤は一般に界面張力が小さいため、粘着テープ
に対する接着性を向上できない。
【0004】特開昭59−19584号公報では、HL
Bが13以上の界面活性剤とショ糖脂肪酸エステルとの
混合物を塗布したスチレン系樹脂シートが提案されてい
る。特開平9−12751号公報では、特定のポリグリ
セリン脂肪酸エステルを含む防曇剤を塗布したスチレン
系樹脂シート・フィルムが開示されている。これらのシ
ートは、主に食品包装用の容器に成形されて防曇性を発
揮するが、密封性を改善し、粘着材との接着性を向上さ
せることができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、テープ剥離強度が改善された熱可塑性樹脂シート及
びその製造方法を提供することにある。本発明の他の目
的は、熱板成形、真空成形、真空圧空成形などの二次加
工を施して、主に、テープで接着することにより、密封
性、保存性、作業性が改善された容器を得るのに有用な
熱可塑性樹脂シート及びその製造方法を提供することに
ある。本発明のさらに他の目的は、非イオン性界面活性
剤と離型剤とを併用することにより、実用上十分なテー
プ剥離強度を維持しつつ、シートや容器の破損、汚染な
どによる外観不良などを生じにくい熱可塑性樹脂シート
及びその製造方法を提供することにある。本発明の別の
目的は、特定の非イオン性界面活性剤を含む塗布剤を熱
可塑性樹脂シートに塗布することにより、熱可塑性樹脂
シートとアクリル系粘着テープとの密着性を改良する方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するために鋭意検討の結果、非イオン性界面活性剤
と離型剤とを含む塗布剤を熱可塑性樹脂シートに塗布す
ることにより、熱可塑性樹脂シート又はこのシートを成
形して得られた容器とアクリル系粘着テープとの密着性
を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂シート
は、シートの少なくとも一方の面に、ポリオキシアルキ
レン単位を有する非イオン性界面活性剤と離型剤とを含
む塗布剤が塗布されており、塗布層に対するアクリル系
粘着テープの剥離強度は500〜2000g/24mm
程度である。前記離型剤の割合は、前記非イオン性界面
活性剤100重量部に対して10〜2000重量部程度
であってもよい。前記非イオン性界面活性剤は、ポリオ
キシC2-4 アルキレンアルキルエーテル、ポリオキシC
2-4 アルキレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキ
シC2-4 アルキレンソルビタンエステルなどから選択で
きる。前記熱可塑性樹脂シートは、シートの少なくとも
一方の面に前記塗布剤を塗布することにより製造でき
る。
【0008】本発明には、前記塗布剤を熱可塑性樹脂シ
ートの少なくとも一方の面に塗布し、シートとアクリル
系粘着テープとの密着性を改良する方法も含まれる。
【0009】なお、本明細書中、「テープ剥離強度」又
は「剥離強度」とは、熱可塑性樹脂シートの塗布層に粘
着テープを貼付け、塗布層に対してテープを剥離させる
のに要する強度を意味する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂シートで
は、シートの少なくとも一方の面に、ポリオキシアルキ
レン単位を有する非イオン性界面活性剤と離型剤とを含
む塗布剤を塗布又は被覆した塗布層が形成されている。
[非イオン性界面活性剤]本発明の熱可塑性樹脂シート
に使用する非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキ
レン単位を有する限り、その種類は特に制限されない。
このような非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシ
アルキレングリセリン脂肪酸エステル(例えば、ポリオ
キシエチレングリセリンモノステアレートなどのポリオ
キシC2-4アルキレングリセリンモノ飽和脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレングリセリンモノオレートなどの
ポリオキシC2-4 アルキレングリセリンモノ不飽和脂肪
酸エステルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレングリコールなどの脂肪族多価アルコールポリオキ
シC2-4 アルキレン、脂肪酸多価アルコールエステルの
アルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシアル
キレンソルビタン脂肪酸エステルなど)、ポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアル
キルフェニルエーテルなどが挙げられる。これらの非イ
オン性界面活性剤は単独又は二種以上組合せて使用でき
る。
【0011】好ましい非イオン性界面活性剤には、ポリ
オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン
アルキルフェニルエーテルなどが含まれる。
【0012】前記非イオン性界面活性剤において、ポリ
オキシアルキレン単位の繰り返し数nは、5〜20、好
ましくは8〜15(例えば、8〜12)程度である。オ
キシアルキレン単位は、少なくともオキシエチレン単位
で構成できる。
【0013】前記非イオン性界面活性剤を構成する脂肪
酸は、その炭素数については特に制限されないが、8以
上(例えば、8〜26程度)、好ましくは10〜22程
度、特に12〜20程度が好ましい。これらの脂肪酸と
しては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、1,
2−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸などの炭素数が
8〜26程度の飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸、オレ
イン酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数12〜2
4程度の不飽和脂肪酸などが挙げられる。好ましい脂肪
酸はC10-22 飽和脂肪酸又はC16-20 不飽和脂肪酸であ
る。これらの脂肪酸は単独又は二種以上の混合物として
使用できる。
【0014】より具体的に、ポリオキシアルキレンソル
ビタン脂肪酸エステルにおいては、オキシアルキレン単
位の繰り返し数n=5〜18程度のポリオキシアルキレ
ンソルビタンと、前記飽和又は不飽和脂肪酸とのエステ
ル(モノ−,ジ−,トリ脂肪酸エステルなど)などが使
用できる。
【0015】前記ポリオキシC2-4 アルキレンソルビタ
ンエステルとしては、ヘキサオキシエチレンソルビタン
カプレート、ヘキサオキシエチレンソルビタンラウレー
トなどに対応するポリオキシエチレンソルビタンC
10-22 飽和脂肪酸エステル(オキシエチレン単位の繰り
返し数n=6〜14程度)、ヘキサオキシエチレンソル
ビタンオレートなどに対応するポリオキシエチレンソル
ビタンC16-22 不飽和脂肪酸エステル(オキシエチレン
単位の繰り返し数n=6〜14程度)などが例示でき
る。
【0016】ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに
おいては、例えば、オキシアルキレン単位の繰り返し数
n=5〜18程度のポリオキシC2-4 アルキレンアルキ
ルエーテル(ポリオキシC2-4 アルキレンC8-26アルキ
ルエーテルなど)などが使用できる。例としては、ヘキ
サオキシエチレンノニルエーテル、ヘキサオキシエチレ
ンデシルエーテル、ヘキサオキシエチレンイソデシルエ
ーテル、ヘキサオキシエチレンラウリルエーテル、ヘキ
サオキシエチレンステアリルエーテルなどに対応するポ
リオキシエチレンC8-22アルキルエーテル(好ましくは
ポリオキシエチレンC10-20 アルキルエーテル)(オキ
シエチレン単位の繰り返し数n=6〜14程度)などが
挙げられる。
【0017】ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ
ーテルにおいては、例えば、オキシアルキレン単位の繰
り返し数n=5〜18程度のポリオキシC2-4 アルキレ
ンアルキルフェニルエーテル(ポリオキシC2-4 アルキ
レンC6-18アルキルフェニルエーテルなど)などが使用
できる。例としては、ヘキサオキシエチレンオクチルフ
ェニルエーテル、ヘキサオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ヘキサオキシエチレンデシルフェニルエーテ
ルなどに対応するポリオキシエチレンC6-18アルキルフ
ェニルエーテル(好ましくはポリオキシエチレンC7-14
アルキルフェニルエーテル)(オキシエチレン単位の繰
り返し数n=6〜14程度)などが挙げられる。
【0018】前記非イオン性界面活性剤において、その
HLBは8〜20、好ましくは10〜18程度である。
HLBが8未満では、実用上十分な剥離強度が得られな
い。HLBの決定方法としては、例えば、Griffinによ
って提案されている下記式を用いることができる。 HLB=20(1−S/A) (式中、Sはエステルのケン化価、Aは脂肪酸の酸価を
示す。) 前記塗布剤には、必要であれば、他の界面活性剤を併用
してもよい。 [離型剤]前記離型剤としては、慣用の離型剤や滑剤が
使用できる。これらの離型剤、滑剤としては、パラフィ
ン、塩素化パラフィンなどの炭化水素類、ステアリルア
ルコール、セチルアルコールなどの高級アルコール類、
ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸、油脂、一価及
び多価アルコールエステルなどの脂肪酸エステル、ラウ
リン酸、ステアリン酸などのCa,Zn,Ba塩などの
脂肪酸塩類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテ
ルなどのエーテル類、シリコーンオイルなどが挙げられ
る。熱可塑性樹脂シートにおける接着面の離型性・すべ
り性を改良する点で、シリコーンオイルなどを使用する
のが好ましい。
【0019】シリコーンオイルを離型剤として用いる場
合、エマルジョンタイプのシリコーンオイルを水性の塗
布液(塗布剤)に添加するのが、防災の点からも、作業
環境の点からも好ましい。代表的なシリコーンオイルに
は、ジメチルポリシロキサンが含まれる。前記シリコー
ンオイルの粘度は、100〜50000сSt程度(好
ましくは1000〜20000cSt程度)であっても
よい。
【0020】塗布剤を前記非イオン性界面活性剤と前記
離型剤(特に、シリコーンオイル)とで構成し、熱可塑
性樹脂シートの少なくとも一方の面にこの塗布剤を塗布
して塗布層を形成できる。
【0021】前記離型剤の割合は、前記非イオン性界面
活性剤100重量部に対して、10〜2000重量部
(例えば、20〜1500重量部)、好ましくは50〜
1000重量部(例えば、80〜1000重量部)程度
である。シリコーンオイルの割合が2000重量部を越
えると、塗布液中への分散性が低下し、均一な分散液を
得るのが困難となる。
【0022】前記塗布剤において、非イオン性界面活性
剤の割合は、塗布剤中の全固形分の5〜90重量%、好
ましくは8〜80重量%、さらに好ましくは10〜60
重量%程度である。非イオン性界面活性剤の割合が塗布
剤中の全固形分の5重量%未満では、テープ剥離強度が
低下しやすい。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂シートは、前記塗布
剤を熱可塑性樹脂シートの少なくとも一方の面に塗布す
ることにより製造できる。
【0024】前記熱可塑性樹脂シートでは、非イオン性
界面活性剤と離型剤とを併用し、シートの滑り性、成形
時の金型などからの離型性、成形品の剥離性を向上させ
る。離型剤を含まない塗布剤を塗布又は被覆したシート
では、剥離強度が大きくなり易く、薄手のシート又は容
器からテープを剥離させる場合に、シート又は容器の破
損、シート又は容器表面の汚染又は膨潤(テープの粘着
剤などによる汚染や膨潤など)による外観不良などが生
じ易い。前記離型剤は、塗布剤中に予め添加してもよ
く、非イオン性界面活性剤を含む塗布剤を塗布したシー
トの表面に塗布又は被覆し、離型性を付与することもで
きる。前記塗布剤は、溶媒を含有しない形態でシートに
塗布してもよく、また、撹拌や超音波処理などにより溶
媒中に分散された分散液(エマルジョンを含む)の形態
又は均一に溶解した溶液の形態で塗布してもよい。溶媒
を使用する場合、有機溶媒を用いてもよいが、防災、作
業環境、及び環境衛生上の観点から、水系の溶媒が好ま
しい。前記水系溶媒とは、水を溶媒として使用している
溶媒系を意味し、水単独を溶媒として使用してもよく、
水にメタノール、エタノールなどのC1- 4 アルコールや
アセトンなどのC1-4 ジアルキルケトンなどの親水性
(特に水溶性)有機溶媒を添加して前記非イオン性界面
活性剤や離型剤と水との相溶性を高めてもよい。
【0025】塗布剤(塗布液)の非揮発性成分(非イオ
ン性界面活性剤、離型剤など)の濃度は、目的や用途に
応じた接着性を付与するに適切な濃度で選択でき、塗布
方法又は作業ラインの速度などにも依存する。通常、前
記濃度は、0.01〜10重量%程度、好ましくは0.
05〜8重量%(例えば、0.08〜5重量%)程度の
範囲から選択できる。
【0026】前記塗布剤は、必要に応じて、種々の添加
剤、例えば、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤な
ど)、可塑剤、補強剤、充填剤、スリップ剤、アンチブ
ロッキング剤、核剤、架橋剤、帯電防止剤、難燃剤、酸
化チタンなどの遮光剤、着色剤(顔料、染料など)など
を含んでいてもよい。
【0027】前記塗布剤の塗布は、熱可塑性樹脂シート
上に均一に行なうことが好ましいが、目的、用途によっ
ては、粘着剤との接着性を付与したい部位や領域にのみ
塗布することも可能であり、また、所望する接着性のレ
ベルに応じて不均一であってもよい。
【0028】前記塗布剤は、慣用の流延又は塗布方法、
例えば、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフ
コーター、ブレードコーター、ロッドコーター、コンマ
コーター、グラビアコーター、スプレーコーター、ディ
ップコーター法などにより、熱可塑性樹脂シート上に流
延又は塗布される。上記のような方法により塗布された
塗布剤は、必要により塗布後乾燥され、シート上に固定
化される。乾燥する場合、乾燥温度は、通常、40〜1
20℃程度、好ましくは60〜100℃程度である。
【0029】本発明の熱可塑性樹脂シートにおいて、前
記塗布剤の塗布量は、3〜150mg/m2 、好ましく
は5〜100mg/m2 (例えば、5〜50mg/m
2 )、さらに好ましくは10〜30mg/m2 程度であ
る。前記塗布剤の塗布量が3mg/m2 未満であると、
十分な接着性(テープ剥離強度)が達成できず、150
mg/m2 を超えるとシートの破断、べとつき、さらに
は、金型汚れやくもりなどの成形時の問題が生じる恐れ
がある。
【0030】前記塗布剤を塗布又は被覆する熱可塑性樹
脂シートとしては、慣用の熱可塑性樹脂から慣用の方法
によりシート又はフィルム状に成形された熱可塑性樹脂
シート又はフィルムが使用できる。前記シート又はフィ
ルムは延伸シート(一軸延伸シート、二軸延伸シートな
ど)であってもよく、また、未延伸のシートであっても
よい。シート又はフィルムの成膜方法としては、エキス
トルージョン法(Tダイ法、インフレーション法な
ど)、テンター方式、チューブ方式、インフレータ方式
などによる延伸法(一軸延伸法、二軸延伸法など)など
が挙げられる。前記シートは、単層シートであってもよ
く、同じ種類の熱可塑性樹脂で添加剤などの組成が異な
る熱可塑性樹脂で構成された複数の樹脂層の積層シート
や、異なる熱可塑性樹脂で構成された層同士(例えば、
スチレン系樹脂と、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
のオレフィン系樹脂との組合せなど)の積層シートであ
ってもよい。積層シートは、共押出法、ヒートラミネー
ションやドライラミネーションなどの手法により調製で
きる。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂シートに使用する熱
可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂(ポリアミド1
1、ポリアミド12、ポリアミド612など)、ポリエ
ステル樹脂(PET系コポリエステル、PBT系コポリ
エステルなど)、スチレン系樹脂(スチレン−(メタ)
アクリル酸エステル共重合体など)、ポリオレフィン系
樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体など)、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢
酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体など)、塩化ビニル系樹脂(塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体など)などの各種樹脂が例示できる。
好ましい熱可塑性樹脂はスチレン系樹脂である。前記熱
可塑性樹脂は、単独で用いても、二種以上を混合して用
いてもよい。
【0032】前記スチレン系樹脂は、芳香族ビニル化合
物の単独又は共重合体、芳香族ビニル化合物と共重合性
ビニル単量体との共重合体で構成できる。
【0033】前記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、アルキルスチレン(例えば、o−,m−及びp−メ
チルスチレンなどのビニルトルエン類、p−エチルスチ
レン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p
−t−ブチルスチレンなど)、α−アルキルスチレン
(例えば、α−メチルスチレンなど)、ハロスチレン
(例えば、o−,m−及びp−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレンなど)などが例示できる。これらの芳香族
ビニル単量体は単独で又は二種以上組合せて使用でき
る。好ましいスチレン系単量体には、スチレン、ビニル
トルエン、α−メチルスチレンなどが含まれ、特にスチ
レンが好ましい。
【0034】共重合性ビニル単量体としては、例えば、
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル、ビニルエステル系単量体(酢酸ビニルな
ど)、ヒドロキシル基含有単量体[ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレートなどのヒドロキシC1-4 アルキル(メタ)ア
クリレートなど]、グリシジル基含有単量体[グリシジ
ル(メタ)アクリレートなど]、カルボキシル基含有単
量体[(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸
など]、イミド系単量体(マレイミド、N−メチルマレ
イミド、N−フェニルマレイミドなど)などが挙げられ
る。(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブ
チル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル
酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メタ)アクリル酸
1-20アルキルエステルが含まれる。これらのビニル単
量体は単独で又は二種以上組合せて使用できる。
【0035】好ましいスチレン系樹脂としては、例え
ば、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン共重合体
(AS樹脂)、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタ
クリル酸メチル共重合体など)、スチレン−(メタ)ア
クリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体(スチ
レン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合
体など)、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無
水マレイン酸共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル
−無水マレイン酸共重合体など)などが挙げられる。さ
らに、スチレン系樹脂は、ゴム変性スチレン系樹脂で構
成してもよい。ゴム変性スチレン系樹脂には、少なくと
も前記芳香族ビニル化合物で構成された重合性単量体
(芳香族ビニル化合物単独、又は芳香族ビニル化合物と
共重合性単量体とで構成された重合性単量体)とゴム成
分(特に、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロ
ピレンゴム(EPDM)などのジエン系ゴム成分)との
共重合体、例えば、グラフト共重合体(グラフトゴ
ム)、ブロック共重合体などが含まれる。通常、ポリブ
タジエンなどのジエン系ゴム成分にスチレン系単量体
(芳香族ビニル単量体)がグラフトしたグラフト共重合
体などが好ましい。
【0036】共重合体の場合、その共重合の形態は、特
に制限されず、例えば、ランダム、ブロック、テーパー
ドブロック、グラフト共重合体などであってもよい。ま
た、これらの共重合体の完全又は部分水添物などでもよ
く、他の重合体などとのポリマーブレンドやポリマーア
ロイなどであってもよい。これらのスチレン系樹脂は、
単独又は二種以上組合せて使用できる。
【0037】前記熱可塑性樹脂には、必要により前記の
ような各種添加剤(紫外線吸収剤又は酸化防止剤などの
安定剤、可塑剤、補強剤、充填剤、スリップ剤、アンチ
ブロッキング剤、核剤、架橋剤、帯電防止剤、難燃剤、
酸化チタンなどの遮光剤、着色剤など)や鉱油などを添
加し、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性、難燃性、成形性など
の種々の特性を付与したり、又は改良してもよい。
【0038】また、前記熱可塑性樹脂シートは、塗布層
との接着性を改善するため、目的や用途に応じて、必要
によりコロナ放電処理やアンダーコート処理などの表面
処理を行ってもよい。
【0039】本発明の熱可塑性樹脂シートでは、熱可塑
性樹脂シートに前記塗布剤を塗布することにより、前記
シートと粘着テープなどの粘着材との密着性を大幅に改
良することができる。
【0040】前記粘着材としては、慣用の粘着テープな
どの粘着材が使用でき、通常、アクリル系粘着テープが
好ましい。本発明の熱可塑性樹脂シートと粘着材との接
着性(密着性)は、24mm幅の粘着材とシートとを貼
合せ、粘着材を剥離させる際の塗布層に対する粘着剤の
テープ剥離強度で評価され、剥離強度は500〜200
0g/24mm、好ましくは550〜1500g/24
mm程度である。また、本発明の熱可塑性樹脂シート
は、ショ糖モノラウレート(HLB=15.0)2.0
重量%の水溶液を塗布したシートに比べて2〜5倍、好
ましくは2.5〜5倍(例えば3〜4倍)程度の剥離強
度を示す。
【0041】本発明の熱可塑性樹脂シートを用いて容器
などを成形する場合、成形の条件などに応じて選択で
き、熱可塑性樹脂シートの厚みは、0.05〜5mm程
度、0.1〜4mm(例えば、0.1〜3mm)程度の
範囲から選択できる。
【0042】前記熱可塑性樹脂シートは、塗布材を塗布
した後、必要により乾燥させて、加熱などにより容器成
形などの二次加工を施すのに適している。二次加工に
は、プラスチックシートやフィルムに適用される慣用の
成形方法が利用できる。前記二次加工の方法としては、
例えば、真空成形、圧空成形(圧縮空気圧成形)、熱板
成形、マッチモールド成形などが挙げられる。
【0043】本発明の剥離強度が向上した熱可塑性樹脂
シートは、二次加工により、成形品(特に蓋付容器など
の密封性の高い容器など)に成形し、容器本体と蓋との
密着性を向上させるため、テープなどの粘着材で容器本
体と蓋とを密着させたテープ剥離強度を向上できる。
【0044】
【発明の効果】本発明では、特定の非イオン性界面活性
剤と離型剤とを含む塗布剤を熱可塑性樹脂シートに塗布
するので、前記シートのテープ剥離強度を大幅に改善で
きる。また、熱板成形、真空成形、真空圧空成形などの
二次加工を施して、主に蓋付の容器などに成形して容器
本体と蓋とをテープなどの粘着材で密着させることによ
り、収容物が容器から脱落するのを防止でき、密封性、
保存性、作業性を改善できる。
【0045】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。実施例及び比較例で使用した界面活性
剤、離型剤、熱可塑性樹脂シート及びアクリル系粘着テ
ープは以下の通りである。
【0046】1.非イオン性界面活性剤 (a−1):デカオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル(HLB:14.5) (a−2):ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ
ート(HLB:16.7) (a−3):ジグリセリンモノオレート(HLB:7.
3) (a−4):ショ糖モノラウレート(HLB:15.
0) 2.イオン性界面活性剤 (b−1):アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (b−2):アルキルスルホン酸ナトリウム 3.離型剤 (c−1):シリコーンオイル 4.熱可塑性樹脂シート (d−1):二軸延伸ポリスチレンシート(厚み0.2
1mm,コロナ放電処理済み) 5.アクリル系粘着テープ (e−1):24mm幅アクリル系粘着テープ(コクヨ
(株)製,コクヨスーパーテープ) 実施例1〜4及び比較例1〜4 非イオン性界面活性剤及び離型剤を表1に示す割合で水
に添加し、固形分濃度0.1,0.2,0.4,0.
8,2.0及び4.0重量%の水分散液を調製した。ポ
リスチレンシート表面にメイヤーバー(#3)を用いて
塗布し、80℃で3分間乾燥した。このシートを30m
m×130mmに切断し、長さ120mmの粘着テープ
を貼り、ローラーで数回押さえつけた。その1時間後、
テープを180°折り返した方向に30mm剥離させ、
その時要した強度を、テンシロン(オリエンテック
(株)製)を用いて剥離速度300mm/分で3回測定
し、平均値をテープ剥離強度とした。また、比較のた
め、非イオン性界面活性剤の代わりにイオン性界面活性
剤を用いた例、イオン性界面活性剤と離型剤とを用いた
例、及び少量の非イオン性界面活性剤とイオン性界面活
性剤と離型剤とを用いた例について同様に評価を行なっ
た。結果を表2に示す。
【0047】比較例5及び6表1に示す割合で、ポリオ
キシアルキレン単位を有さない非イオン性界面活性剤を
使用する以外は実施例と同様にシートを作製した。評価
はJIS Z0237(1980年)に準じて行なっ
た。結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】 表2から明らかなように、比較例に比べ、特定量のポリ
オキシアルキレン単位を有する非イオン性界面活性剤と
離型剤とを含む実施例では、いずれの塗布液濃度におい
ても500g/24mm以上の高いテープ剥離強度を示
し、シートとテープとの密着性が改善されている。比較
例5の塗布液濃度2.0及び4.0重量%では、強度が
弱く剥離強度を測定できなかった。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂シートの少なくとも一方の
    面に、ポリオキシアルキレン単位を有する非イオン性界
    面活性剤と離型剤とを含む塗布剤が塗布されているシー
    トであって、塗布層に対するアクリル系粘着テープの剥
    離強度が500〜2000g/24mmである熱可塑性
    樹脂シート。
  2. 【請求項2】 非イオン性界面活性剤が、ポリオキシC
    2-4 アルキレンアルキルエーテル、ポリオキシC2-4
    ルキレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシC
    2-4 アルキレンソルビタンエステルから選択された少な
    くとも一種である請求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  3. 【請求項3】 離型剤が、シリコーンオイルである請求
    項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  4. 【請求項4】 離型剤の割合が、非イオン性界面活性剤
    100重量部に対して、10〜2000重量部である請
    求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  5. 【請求項5】 スチレン系樹脂シートの少なくとも一方
    の面に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
    キシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシ
    エチレンソルビタンエステルから選択され、かつオキシ
    エチレン単位の繰り返し数が5〜20である少なくとも
    一種の非イオン性界面活性剤とシリコーンオイルで構成
    された塗布層が形成され、塗布層に対するアクリル系粘
    着テープの剥離強度が550〜1500g/24mmで
    ある熱可塑性樹脂シート。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂シートの少なくとも一方の
    面に、請求項1記載の塗布剤を塗布する熱可塑性樹脂シ
    ートの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の塗布剤を熱可塑性樹脂シ
    ートの少なくとも一方の面に塗布し、前記シートとアク
    リル系粘着テープとの密着性を改良する方法。
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