JPH11302275A - 環状フェノール硫化物類のクロロスルホン酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents

環状フェノール硫化物類のクロロスルホン酸誘導体及びその製造方法

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JPH11302275A
JPH11302275A JP10128126A JP12812698A JPH11302275A JP H11302275 A JPH11302275 A JP H11302275A JP 10128126 A JP10128126 A JP 10128126A JP 12812698 A JP12812698 A JP 12812698A JP H11302275 A JPH11302275 A JP H11302275A
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cyclic phenol
hydrocarbon
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Hitoshi Kumagai
仁志 熊谷
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実治 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水酸基、炭化水素オキシ基、アシルオキシ基
などに対してベンゼン環のp位にクロロスルホン酸基を
導入した新規な環状フェノール硫化物類のクロロスルホ
ン酸誘導体及び該化合物を容易に製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 下記の一般式で表される環状フェノール
硫化物類を、クロロスルホン酸と反応させる。 (式中、Xは水素原子、炭化水素基またはアシル基であ
り、Y1は水素原子又は炭化水素基であり、ZはS、ス
ルフィニル基、スルホニル基の群の中から選ばれる基で
あり、nは4から8の整数であり、複数のX、Y1、Z
はそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属捕捉剤、イオ
ンセンサー、基質特異性センサー、分離膜材料、高分子
材料、その他のイオンや分子の認識を利用した機能性分
子の中間体などとして利用できる、新規な環状フェノー
ル硫化物類のクロロスルホン酸誘導体及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者等は、先に、基本骨格にフェノ
ール骨格を3以上含む環状フェノール硫化物群を見出し
(特開平9−227553)、さらにこれらの環状フェ
ノール硫化物群が金属捕捉剤、イオンセンサー、基質特
異性センサー、分離膜材料、高分子材料、酸化触媒、人
工酵素、光エネルギー変換材料、あるいはその他イオン
や分子の認識を利用した機能性分子の中間体等として有
用であることを見出している。これら環状フェノール硫
化物の実用的利用に際しては、官能基の導入による機能
変換や固体担持体への結合などに対応できる構造変換と
いった誘導体化が広く求められており、実際に特開平9
−2227553号には種々の誘導体の存在が記載され
ている。これら環状フェノール硫化物の誘導体化は、水
酸基側の変換、あるいは水酸基に対してベンゼン環のp
位の置換基の変換により実現が可能であるが、その分子
が有する機能を保持したままでの、物性変換は重要な技
術課題であった。一般的に水酸基の変換については、例
えばエステル化など容易に行える場合が多く、そのため
分子認識などの機能化は水酸基側を利用して実現化する
のが容易であり、溶解性等をはじめとする物性変換につ
いてはp位側の置換基を変換するほうが有利である。し
かしながら、p位の変換については、多段化の反応を経
ることが多く、効率的でないといった問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、水酸基等側の機能を損なうことなく、水酸
基、炭化水素オキシ基、アシルオキシ基などに対してベ
ンゼン環のp位にクロロスルホン酸基を導入した新規な
環状フェノール硫化物類のクロロスルホン酸誘導体及び
該化合物を容易に製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者等が既
に製造法を公開している、水酸基又は炭化水素オキシ
基、アシルオキシ基などの水酸基誘導基に対してベンゼ
ン環のp位に水素原子又は炭化水素基を有するフェノー
ル類を構成単位とする環状フェノール硫化物類を、クロ
ロスルホン酸と反応させることにより、p位にクロロス
ルホン酸基を導入した新規な環状フェノール硫化物類の
クロロスルホン酸誘導体を容易に製造する方法を見いだ
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
一般式(1)
【0005】
【化4】
【0006】(式(1)中、Xは水素原子、炭化水素基
またはアシル基であり、ZはS、スルフィニル基、スル
ホニル基の群の中から選ばれる基であり、nは4から8
の整数であり、複数のX又はZはそれぞれ同一であって
もよいし、異なってもよい。)で表されることを特徴と
する環状フェノール硫化物類のクロロスルホン酸誘導体
及びその製造方法を提供するものである。以下、本発明
を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】上記一般式(1)中のXは水素原
子、炭化水素基又はアシル基である。炭化水素の炭素数
は1以上であれば特に制限はないが、好ましくは1〜5
0である。これらの炭化水素基としては、例えば飽和脂
肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化
水素基、脂環式−脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素
基、芳香族−脂肪族炭化水素基などが挙げられる。飽和
脂肪族炭化水素基の例としては、例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブ
チル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチ
ル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブ
チル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチ
ル、エチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシ
ル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチ
ル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘプチル、n−ノ
ニル、イソノニル、1−メチルオクチル、エチルヘプチ
ル、n−デシル、1−メチルノニル、n−ウンデシル、
1,1−ジメチルノニル、n−ドデシル、n−テトラデ
シル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、及びエチ
レンやプロピレン、ブチレンの重合物あるいはそれらの
共重合物より成る基などの炭化水素基が挙げられる。
【0008】不飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例と
しては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−
ブテニル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリ
ル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテ
ニル、4−ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネ
ニル、デセニル基、及びアセチレンやブタジエン、イソ
プロピレンなどの重合物あるいはそれらの共重合物より
成る基などが挙げられる。脂環式炭化水素基の適当な具
体例としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シ
クロオクチル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチル
シクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、2−メチ
ルシクロオクチル、シクロプロペニル、シクロブテニ
ル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプ
テニル、シクロオクテニル、4−メチルシクロヘキセニ
ル、4−エチルシクロヘキセニル基などが挙げられる。
【0009】脂環式−脂肪族炭化水素基の適当な具体例
としては、例えばシクロプロピルエチル、シクロブチル
エチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチ
ル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル、シ
クロオクチルエチル、3−メチルシクロヘキシルプロピ
ル、4−メチルシクロヘキシルエチル、4−エチルシク
ロヘキシルエチル、2−メチルシクロオクチルエチル、
シクロプロペニルブチル、シクロブテニルエチル、シク
ロペンテニルエチル、シクロヘキセニルメチル、シクロ
ヘプテニルメチル、シクロオクテニルエチル、4−メチ
ルシクロヘキセニルプロピル、4−エチルシクロヘキセ
ニルペンチル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基の
適当な具体例としては、例えばフェニル、ナフチルなど
のアリール基;4−メチルフェニル、3,4−ジメチル
フェニル、3,4,5−トリメチルフェニル、2−エチ
ルフェニル、n−ブチルフェニル、tert−ブチルフ
ェニル、アミルフェニル、ヘキシルフェニル、ノニルフ
ェニル、2−tert−ブチル−5−メチルフェニル、
シクロヘキシルフェニル、クレジル、オキシエチルクレ
ジル、2−メトキシ−4−tert−ブチルフェニル、
ドデシルフェニルなどのアリール基などが挙げられる。
【0010】芳香族−脂肪族炭化水素基の具体的な例と
しては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フ
ェニルエチル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプ
ロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、
6−フェニルヘキシル、1−(4−メチルフェニル)エ
チル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−メチル
ベンジル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基な
どが挙げられる。また、アシル基の炭素数は、1以上で
あれば特に制限されないが、好ましくは1〜40であ
る。アシル基の適当な例としては、ホルミル、アセチ
ル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリ
ル、イソバレリル、オキサリル、サクシニル、ピバロイ
ル、ステアロイル、ベンゾイル、フェニルプロピオニ
ル、トルオイル、ナフトイル、フタロイル、インダンカ
ルボニル、p−メチルベンゾイル、シクロヘキシルカル
ボニル基などが挙げられる。
【0011】一般式(1)中、ZはS、スルフィニル
基、スルホニル基の群の中から選ばれる基である。一般
式(1)において、Xは1分子中に4から8個存在する
が、それらのXはそれぞれ同一であってもよいし、異な
っていてもよい。一般式(1)において、Zは一分子中
に4から8個存在するが、それらのZはそれぞれ同一で
あってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)に
おいて、nは4から8の整数である。本発明の環状フェ
ノール硫化物類のクロロスルホン酸誘導体は、一般式
(2)(式(2)中、Xは水素原子、炭化水素基または
アシル基であり、Y1は水素原子又は炭化水素基であ
り、ZはS、スルフィニル基、スルホニル基の群の中か
ら選ばれる基であり、nは4から8の整数であり、複数
のX、Y1又はZはそれぞれ同一であってもよいし、異
なってもよい。)で表される環状フェノール硫化物類
を、クロロスルホン酸と反応させることにより製造でき
る。
【0012】上記一般式(2)中のXは水素原子、炭化
水素基またはアシル基であり、上記一般式(1)中のX
と同様である。一般式(2)中のY1は水素原子又は炭
化水素基である。炭化水素基の炭素数は、1以上であれ
ば特に制限はされないが、好ましくは1〜30、特に好
ましくは1〜12である。また、炭化水素基としては、
3級の炭化水素基が好ましく、特に好ましいのはter
t−ブチル基である。一般式(2)中、ZはS、スルフ
ィニル基、スルホニル基の群の中から選ばれる基であ
る。
【0013】一般式(2)において、Xは1分子中に4
から8個存在するが、それらのXはそれぞれ同一であっ
てもよいし、異なっていてもよい。一般式(2)におい
て、Y1は1分子中に4〜8個存在するが、それらのY1
はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよ
い。一般式(2)において、Zは一分子中に4から8個
存在するが、それらのZはそれぞれ同一であってもよい
し、異なっていてもよい。一般式(2)において、nは
4から8の整数である。一般式(2)の環状フェノール
硫化物類の製造例は、特開平9−227553号明細書
に記載されている。適当な製造例としては、先ず一般式
(3)
【0014】
【化5】
【0015】(式中、Yは水素原子又は炭化水素基であ
る。)で表される無置換又は水酸基に対してベンゼン環
のp位に炭化水素基を有するフェノール類と、適当量の
単体硫黄を、適当量のアルカリ金属試薬及びアルカリ土
類金属試薬から選ばれる少なくとも一種金属試薬の存在
下反応させる方法である。フェノール類と単体硫黄の原
料仕込比は、フェノール類1グラム当量に対し、単体硫
黄が0.1グラム当量以上であり、好ましくは0.35
グラム当量以上である。単体硫黄の原料仕込比の上限
は、特に限定されないが、フェノール類1グラム当量に
対し、20グラム当量以下が好ましく、特に10グラム
当量以下が好ましい。
【0016】アルカリ金属試薬としては、例えばアルカ
リ金属単体、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金
属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、ハ
ロゲン化アルカリ金属などが挙げられる。また、アルカ
リ土類金属試薬としては、例えばアルカリ土類金属単
体、水素化アルカリ土類金属、水酸化アルカリ土類金
属、酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、ア
ルカリ土類金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ土類
金属などが挙げられる。アルカリ金属試薬またはアルカ
リ土類金属試薬の使用量は、フェノール類1グラム当量
に対し0.005グラム当量以上であり、好ましくは
0.01グラム当量以上である。アルカリ金属試薬また
はアルカリ土類金属試薬の使用量の上限は特に制限はな
いが、好ましくは10グラム当量以下であり、特に好ま
しくは5グラム当量以下である。
【0017】置換基を置換する方法としては、前記一般
式(2)中のY1が炭化水素基である環状フェノール硫
化物類を、酸触媒の存在下脱炭化水素化して、水素に転
換する方法が挙げられる。この脱炭化水素化の製造例は
特願平8−252240号明細書に記載されている。脱
炭化水素化に用いる触媒としては、フリーデルクラフツ
触媒が使用できる。適当な酸触媒としては、ルイス酸、
プロトン酸、固体酸、超強酸あるいは固体超強酸が挙げ
られる。酸触媒の量は、特に制限されないが、超強酸及
びルイス酸を用いる場合、反応原料の1分子中の炭化水
素基に対して0.2グラム当量以上500グラム当量以
下であれば良く、より好ましくは、1グラム当量以上3
00グラム当量以下である。また、固体超強酸を用いる
場合、0.01グラム当量以上500グラム当量以下、
より好ましくは、0.02グラム当量以上300グラム
当量以下である。触媒量が500グラム当量以上の場
合、原料の環状フェノール硫化物類が多量に分解してし
まうことがある。
【0018】上記方法で製造した環状フェノール硫化物
類の水酸基の水素原子は、必要に応じて適宜、エーテル
化あるいはアシル化などにより、炭化水素基またはアシ
ル基に変換することができる。この置換方法に関して
は、特開平9−227553号明細書に記載されてお
り、例えば、環状フェノール硫化物類の水酸基の水素原
子をアルカリ金属に置換し、これをハロゲン化炭化水素
と反応させるウイリアムソン反応により、炭化水素基に
変換する方法が挙げられる。また、アセチルクロリドや
無水酢酸などのアシル化剤によりアシル基に変換する方
法が挙げられる。スルフィド結合は過酸化水素、有機過
酸化物、過酸、ハロゲン酸化物、酸素、オゾン、硝酸、
無機酸化物などの適当な酸化剤を用いることにより、ス
ルフィニル基、スルホニル基に変換することができる。
スルフィド結合の変換方法に関しては、特願平8−25
5368号明細書に記載されている。
【0019】本発明においては、一般式(2)で表され
る環状フェノール硫化物類をクロロスルホン酸と反応さ
せることにより、一般式(2)におけるOX基に対して
ベンゼン環のp位がクロロスルホン化された新規な環状
フェノール硫化物類のクロロスルホン酸誘導体を容易に
合成することができる。クロロスルホン酸の使用量は、
特に制限はないが、通常環状フェノール硫化物類1g当
たり1〜200mlにすればよく、好ましくは5〜50
mlである。反応温度は、−40℃以上100℃以下が
好ましいが、原料である一般式(2)で表される環状フ
ェノール硫化物類のOX基に対してベンゼン環のp位置
換基により好適な反応温度条件が存在する。すなわち、
一般式(2)におけるOX基に対してベンゼン環のp位
が水素原子の場合、反応温度は20℃以上100℃以下
が好ましく、一般式(2)におけるOX基に対してベン
ゼン環のp位が炭化水素基の場合、反応温度は−40℃
以上50℃以下が好ましい。
【0020】反応時間は特に制限はないが、通常30分
以上8時間以下であれば良い。ただし、この反応では原
料の分解反応も同時に進行しているため、あまり長い時
間反応させることは好ましくない。反応終了後、反応生
成物を氷水に滴下し生ずる沈殿物をろ過することによ
り、一般式(1)で表されるOX基に対してベンゼン環
のp位がクロロスルホン化された新規な環状フェノール
硫化物類のクロロスルホン酸誘導体の粉末を得ることが
できる。反応生成物が混合物である場合には、通常の手
法により、例えば再結晶や、溶解度の差を利用して分離
することができる。
【0021】
【実施例】次に、本発明を製造例、実施例及び応用例に
より更に詳細に説明するが、本発明はこれらによってな
んら制約されるものではない。
【0022】製造例1 5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−2
5,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,1
4,20−テトラチア[19.3.1.13,79,13
15,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(2
8),9,11,13(27),15,17,19(2
6),21,23−ドデカエン(I)の合成 4−tert−ブチルフェノール45.2gに、単体硫
黄14.4g及び水酸化ナトリウム3.0gを加え、窒
素雰囲気下攪拌しながら、4時間かけて徐々に230℃
に加熱し、更に2時間攪拌した。この間、反応で生成す
る水及び硫化水素は除去した。反応中に留出した水は約
0.8gであり、反応により生成した硫化水素は約6g
であった。この反応混合物を室温まで冷却し、エーテル
500mlを加え溶解させた後、1規定の硫酸水溶液で
加水分解した。分液したエーテル層を水洗し硫酸マグネ
シウムで乾燥した。エーテルを留去した後に得られる反
応混合物を、更にシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(ヘキサン/クロロホルム)により分割し、粗生成物を
得、これをクロロホルム/アセトンから再結晶すること
により、無色透明の結晶である5,11,17,23−
テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−
テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア
[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1
(25),3,5,7(28),9,11,13(2
7),15,17,19(26),21,23−ドデカ
エン(I)を4.32g得た。
【0023】この生成物は一般式(1)中、X=H、Y
1=t−Bu(tert−ブチル)、Z=S、n=4で
ある環状フェノール硫化物である。この生成物(I)の
物性を以下に示す。 融点:320〜322℃、1H−NMR:(δ,pp
m,CDCl3)9.60(s,4H,OH),7.6
4(s,8H,ArH),1.22(s,36H,C
(CH33)、13C−NMR:(δ,ppm,CDCl
3)155.6,144.7,136.4,120.5
(Ar),34.2(C(CH33),31.3(C
(CH33)、IR:(cm-1,KRS−5):332
4(OH),2962(CH)、MS m/z :72
0(M+)、元素分析値 % 理論値 for C40
4844:C,66.62;H,6.71;S,17.
79、測定値:C,66.37;H,6.57;S,1
7.22.
【0024】製造例2 25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,
14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,13
15,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(2
8),9,11,13(27),15,17,19(2
6),21,23−ドデカエン(II)の合成 一般式(1)中、X=H、Y1=t−Bu、Z=S、n
=4である製造例1で得られた5,11,17,23−
テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−
テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア
[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1
(25),3,5,7(28),9,11,13(2
7),15,17,19(26),21,23−ドデカ
エン(I)2.12gにトルエン50mlを加え溶解さ
せた後、窒素雰囲気下、−25℃に保ちながらCF3
3 30gを30分かけて滴下した。このまま−25
℃に保ち、激しく攪拌しながら4時間反応させた。反応
混合物を氷水により処理すると、白色の析出物1.22
gが得られた。これをトルエンから再結晶させ、25,
26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,
20−テトラチア[19.3.1.13,7
9,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7
(28),9,11,13(27),15,17,19
(26),21,23−ドデカエン(II)1.17g
を得た。収率は80%であった。
【0025】この生成物は一般式(2)中、X=H、Y
1=H、Z=S、n=4である環状フェノール硫化物で
ある。この生成物(II)の物性を以下に示す。1 H−NMR:(δ,ppm,CDCl3)9.45
(s,4H,OH),7.61(d,J=8Hz,4
H,ArH),6.75(t,J=8Hz,8H)、 13 C−NMR:(δ,ppm,CDCl3)157.
9,139.3,121.7,120.9(Ar)、元
素分析値 % 理論値 for C241644:C,
58.04;H,3.25;S,25.83、測定値:
C,58.60;H,3.40;S,24.97.
【0026】実施例1 25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,
14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,13
15,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(2
8),9,11,13(27),15,17,19(2
6),21,23−ドデカエン−5,11,17,23
−テトラクロロスルホン酸(III)の合成 一般式(2)中、X=H、Y1=t−Bu、Z=S、n
=4である製造例1で得られた5,11,17,23−
テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−
テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア
[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1
(25),3,5,7(28),9,11,13(2
7),15,17,19(26),21,23−ドデカ
エン(I)501mgをクロロスルホン酸5mlに懸濁
させ、室温(23℃)で1時間反応させた。この反応液
を氷水100mlを激しく攪拌している中にゆっくり滴
下し、生じる沈殿物をろ過後水で十分洗浄し白色粉末5
30mgを得た。収率は、86%であった。
【0027】この生成物(III)は、一般式(1)に
おいて、X=H、Z=S、n=4である環状フェノール
硫化物のクロロスルホン酸誘導体である。以下に物性を
示す。1 H−NMR:(δ,ppm,DMSO−d6)7.77
(s,8H,ArH)、13C−NMR:(δ,ppm,
DMSO−d6)156.97,139.76,13
1.95,119.36(Ar)、元素分析値 % 理
論値 for C2412 4128:C,32.3
7;H,1.36;Cl,15.92;S,28.8
0、測定値:C,32.1;H,1.7;Cl,15.
0;S,28.5.
【0028】実施例2 25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,
14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,13
15,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(2
8),9,11,13(27),15,17,19(2
6),21,23−ドデカエン−5,11,17,23
−テトラクロロスルホン酸(III)の合成 一般式(1)中、X=H、Y1=H、Z=S、n=4で
ある製造例2で得られた25,26,27,28−テト
ラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[1
9.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(2
5),3,5,7(28),9,11,13(27),
15,17,19(26),21,23−ドデカエン
(II)502mgをクロロスルホン酸5mlに懸濁さ
せ、80℃に加熱し5時間反応させた。この反応液を氷
水100mlを激しく攪拌している中にゆっくり滴下
し、生じる沈殿物をろ過し、水、アセトニトリルで十分
洗浄することにより白色粉末717mgを得た。収率
は、80%であった。この生成物(III)は、一般式
(1)において、X=H、Z=S、n=4である環状フ
ェノール硫化物のクロロスルホン酸誘導体である。以下
に物性を示す。1H−NMR:(δ,ppm,DMSO
−d6)7.77(s,8H,ArH)
【0029】応用例 実施例1および2で製造した25,26,27,28−
テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア
[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1
(25),3,5,7(28),9,11,13(2
7),15,17,19(26),21,23−ドデカ
エン−5,11,17,23−テトラクロロスルホン酸
(III)を有機溶媒に溶解させて、そこにクロロホル
ム等の小分子を入れ、これらの分子を認識するかどうか
を核磁気共鳴スペクトルを測定し、小分子のケミカルシ
フトが変化することにより確認した。環状フェノール硫
化物のクロロスルホン酸誘導体(III)2.0×10
-5molを重ジメチルスルホキシド0.6mlに溶解し
た。ここに、環状フェノール硫化物のクロロスルホン酸
誘導体(III)の当量molのメタノールを添加し、
室温で5時間放置後この水素の核磁気共鳴スペクトルを
測定した。比較のために、上記環状フェノール硫化物の
クロロスルホン酸誘導体(III)を含まない重ジメチ
ルスルホキシド0.6mlとメタノール2.0×10-5
mol含む溶液についても、同様にして核磁気共鳴スペ
クトルを測定した。また、クロロホルム、アセトンにつ
いても同様の実験を行い、核磁気共鳴スペクトルを測定
した。結果を表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】その結果、環状フェノール硫化物のクロロ
スルホン酸誘導体(III)を含む場合のメタノール、
クロロホルム、アセトンの水素のケミカルシフト値は、
環状フェノール硫化物のクロロスルホン酸誘導体(II
I)を含まない場合のケミカルシフト値に対して、それ
ぞれ0.025ppm,0.022ppm,0.015
ppmずつ低磁場側にシフトしていることが分かった。
以上より、実施例1及び2で合成した環状フェノール硫
化物のクロロスルホン酸誘導体(III)は重ジメチル
スルホキシド溶液中でメタノール、クロロホルム、アセ
トンを認識することが明らかとなった。
【0032】
【発明の効果】本発明の環状フェノール硫化物類のクロ
ロスルホン酸誘導体は、水酸基、炭化水素オキシ基、ア
シルオキシ基などに対してベンゼン環のp位がクロロス
ルホン化された新規環状フェノール硫化物類クロロスル
ホン酸誘導体であり、酸化防止剤、触媒、金属捕捉剤、
光センサー、イオンセンサー、基質特異性センサー、分
離膜材料、高分子材料、相関移動触媒、人工酵素、光エ
ネルギー変換材料あるいはイオンや分子の認識機能を利
用した機能性分子の中間体などとして有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 実治 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式(1)中、Xは水素原子、炭化水素基またはアシル
    基であり、ZはS、スルフィニル基、スルホニル基の群
    の中から選ばれる基であり、nは4から8の整数であ
    り、複数のX又はZはそれぞれ同一であってもよいし、
    異なってもよい。)で表されることを特徴とする環状フ
    ェノール硫化物類のクロロスルホン酸誘導体。
  2. 【請求項2】一般式(2) 【化2】 (式(2)中、Xは水素原子、炭化水素基またはアシル
    基であり、Y1は水素原子又は炭化水素基であり、Zは
    S、スルフィニル基、スルホニル基の群の中から選ばれ
    る基であり、nは4から8の整数であり、複数のX、Y
    1、Zはそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよ
    い。)で表される環状フェノール硫化物類を、クロロス
    ルホン酸と反応させることにより、一般式(1) 【化3】 (式(1)中、Xは水素原子、炭化水素基またはアシル
    基であり、ZはS、スルフィニル基、スルホニル基の群
    の中から選ばれる基であり、nは4から8の整数であ
    り、複数のX又はZはそれぞれ同一であってもよいし、
    異なってもよい。)で表される環状フェノール硫化物類
    のクロロスルホン酸誘導体を製造することを特徴とする
    環状フェノール硫化物類のクロロスルホン酸誘導体の製
    造方法。
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