JPH11302223A - メタクリル酸シクロヘキシルの製造方法 - Google Patents

メタクリル酸シクロヘキシルの製造方法

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JPH11302223A
JPH11302223A JP10116423A JP11642398A JPH11302223A JP H11302223 A JPH11302223 A JP H11302223A JP 10116423 A JP10116423 A JP 10116423A JP 11642398 A JP11642398 A JP 11642398A JP H11302223 A JPH11302223 A JP H11302223A
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 エステル交換反応によるメタクリル酸シクロ
ヘキシルの工業的製造において、特別な操作を必要とせ
ず合成から蒸留まで一貫してプロセス上実質的な重合を
起こさないメタクリル酸シクロヘキシルの製造方法を提
供する。 【解決手段】 アルカリ金属化合物を触媒として用いた
エステル交換反応によりメタクリル酸シクロヘキシルを
含む反応混合物を得て、これに一般式1のピペリジン化
合物を添加して触媒5〜1500ppm残存下蒸留す
る。 (Aは−CH2−,−CO−,−CH(OH)−基を表
す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はメタクリル酸シクロ
ヘキシルの製造方法に関するものである。具体的には、
メタクリル酸エステルとシクロヘキサノールからエステ
ル交換反応によりメタクリル酸シクロヘキシルを工業的
に製造する方法において、特別な操作を必要とせず合成
から蒸留まで一貫してプロセス上実質的な重合を起こさ
ないメタクリル酸シクロヘキシルの工業的な製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】メタクリル酸エステルは単独または他の
重合性モノマーやオリゴマーと混合して、重合開始剤の
存在下容易に重合し、機械的特性、耐熱性、耐候性等に
優れたポリマーを生成する。なかでもメタクリル酸シク
ロヘキシルを含むポリマーは、自動車や建築外装塗料な
どの高耐候性を要求される分野に使用されており、今後
の成長が期待されている。
【0003】メタクリル酸エステルを製造する場合、触
媒として酸やアルカリを用いてメタクリル酸とアルコー
ルを反応させるエステル化反応や、メタクリル酸エステ
ルそのもののエステル部位を他のアルコールで置換する
エステル交換反応によりエステルを得る方法が知られて
いる。しかしながら、メタクリル酸エステルはその高い
反応性故に重合しやすく、製造工程、貯蔵及び輸送中に
熱、光等によりしばしば意図しない重合を起こすことが
知られている。
【0004】この為、メタクリル酸エステルの製造の各
工程及び運搬や貯蔵において、通常重合防止剤が添加さ
れている。使用される重合防止剤としては、例えばハイ
ドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテ
コール等のフェノール性の化合物、p−フェニレンジア
ミン、フェノチアジン等のアミン化合物等多数の物質が
知られている。
【0005】しかしながら、これらの重合防止剤はメタ
クリル酸エステルの蒸留時における重合の防止にはほと
んど効果がなく、蒸留の際に釜液の粘度上昇や蒸留塔で
ポップコーンポリマーが発生してしまうため、蒸留塔が
閉塞し蒸留の継続が不可能となってしまう。ここでいう
ポップコーンポリマーとは、蒸留時にモノマーが3次元
的に架橋してできる溶解性、融解性共に低いポリマーの
総称である。
【0006】メタクリル酸エステルの蒸留精製時の重合
防止剤としては、別途、種々のピペリジン化合物が提案
されている。特公昭58−46496ではα,β−不飽
和カルボン酸エステルの重合防止剤として2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルや、2,
2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン
−1−オキシル等のN−オキシル化合物が提案されてお
り、特開平6−345681ではN−オキシル化合物と
ハイドロキノン及びフェノチアジンの組み合わせ、特開
平8−48650ではN−オキシル化合物とMn塩や銅
塩との組み合わせの効果について開示されている。
【0007】一般に、メタクリル酸エステルはそのエス
テル部位が大きくなるほど重合性は低くなるといわれて
いるが、驚くべきことに、一般的に用いられているメタ
クリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを比較し
た場合、液体状態での加熱撹拌テストではメタクリル酸
メチルの方が重合しやすいが、加熱還流条件や蒸留条
件、即ち、気体状態ではメタクリル酸シクロヘキシルの
方が圧倒的に重合しやすく、しばしばポップコーンポリ
マーを発生してしまうことを本発明者らは初めて見出し
た。つまり、メタクリル酸シクロヘキシルの製造におい
ては、蒸留行程での重合を如何に防止するかが最も重要
であるといえる。
【0008】一方、エステル交換反応でメタクリル酸エ
ステルを得る場合には、蒸留工程に触媒が残存し、蒸留
工程に上記の重合防止剤を用いた場合であっても、残存
触媒が重合防止剤の重合防止効果を低下させてしまうこ
とが知られている。残存触媒の影響を除くために、一般
には重合防止剤の添加量を増加させる方法がとられてい
るが、この方法では製品の着色等の問題が生じる。ま
た、アルカリ触媒を使用した場合には、触媒を完全に除
去するために酸で中和する方法もあるが、中和操作によ
ってメタクリル酸エステルの重合を招く恐れもあるため
現実的ではない。
【0009】よって、エステル交換反応によるメタクリ
ル酸エステル、特に、メタクリル酸シクロヘキシルを工
業的に製造する場合、蒸留工程における残存触媒の影響
を最小限に抑え、メタクリル酸シクロヘキシルの重合を
防止することのできる簡便な方法が求められている。し
かし、上記の先行文献には、対象となるα,β−不飽和
カルボン酸エステルとしてメタクリル酸シクロヘキシル
が挙げられてはいるものの、触媒が存在しない条件、即
ち、メタクリル酸エステル単体に対する効果あるいは接
触気相反応で得られた成分に対する効果が示されている
のみであり、触媒の存在する系における問題点の解決方
法に関する記載は全くない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、エステル交
換反応によってメタクリル酸シクロヘキシルを工業的に
製造する方法において、前述した特別な操作を必要とせ
ず、合成から蒸留まで一貫してプロセス上実質的な重合
を起こさないメタクリル酸シクロヘキシルの工業的な製
造方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、エステル
交換反応によるメタクリル酸シクロヘキシルの工業的な
製造方法について検討したところ、ある特定の重合防止
剤を蒸留工程で用いた場合、上述した特別な触媒除去操
作を行うことなく、蒸留工程でのメタクリル酸シクロヘ
キシルの重合を防止できることを見出した。
【0012】即ち、本発明は、触媒であるアルカリ金属
化合物の存在下、メタクリル酸エステルとシクロヘキサ
ノールのエステル交換反応によってメタクリル酸シクロ
ヘキシルを製造する方法において、該エステル交換反応
によって得られる粗メタクリル酸シクロヘキシルを下記
一般式(1)のピペリジン化合物
【0013】
【化2】
【0014】(Aは−CH2−,−CO−,−CH(O
H)−基を表す)の存在下、該触媒がアルカリ金属とし
て5〜1500ppm残存する条件下で蒸留・精製して
メタクリル酸シクロヘキシルを得ることを特徴とするメ
タクリル酸シクロヘキシルの製造方法に関する。本発明
で重合防止剤として用いられるピペリジン化合物は、上
記一般式(1)で表されるものであればよい。具体的に
は2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジノオキ
シル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1
−ピペリジノオキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,
6−テトラメチル−1−ピペリジノオキシル及びそれら
の混合物であり、中でもAが−CO−,−CH(OH)
−基であるものが好ましい。一般式(1)で表される重
合防止剤以外の重合防止剤を用いた場合は、以下に示す
残存触媒量を満たす場合であっても、蒸留時のメタクリ
ル酸シクロヘキシルの重合を抑えることができない。
【0015】ピペリジン化合物の使用量は効果を得られ
る範囲であればいくらでもよいが、使用量が多すぎると
製品の着色等の問題が生じる可能性もあるので、10〜
1000ppmが好ましい。エステル交換反応に用いる
触媒はアルカリ金属化合物で活性を有する物であれば何
でもよいが、例えばアルカリ金属の酸化物、水酸化物、
炭酸塩、燐酸塩及びアルコキシド等があげられる。具体
的には酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、
燐酸リチウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、リチウ
ムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキ
シド、リチウムブトキシド、ナトリウムブトキシド、カ
リウムブトキシド等があげられる。これらは単独で用い
ても、複数を組み合わせて用いてもよい。なかでも取り
扱いの容易性や工業的な入手性からアルカリ金属の水酸
化物及び炭酸塩が好適に用いられる。なかでもその反応
性の高さから水酸化リチウムが最も好ましい。
【0016】触媒の使用量としては、エステル交換反応
が十分な速度で進行する量であればいくらでもよいが、
好ましくは0.01%から2%である。使用量が多すぎ
ると原料及び生成物であるメタクリル酸エステルの2重
結合への付加等の副反応が促進されるため好ましくな
い。本発明の特徴は、蒸留工程で重合防止剤として一般
式(1)で表されるピペリジン化合物を用い、且つ、残
存する触媒量を5〜1500ppmにすることにある。
蒸留時に残存している触媒量が多すぎると、重合防止剤
の重合防止効果に多大な影響を与え、場合によってはそ
の重合防止効果を無くしてしまう。また、残存触媒量は
少なければ少ないほどよいが、触媒を完全に除去するこ
とはプロセス上に困難であるため、残存する触媒量とし
ては上述の範囲が求められる。一般式(1)で表される
ピペリジン化合物を用いることによって、従来の特別な
触媒除去操作で完全な触媒除去を行わなくても、上記の
残存触媒量を満たすことによって蒸留工程におけるメタ
クリル酸シクロヘキシルの重合を充分に抑えることがで
きる。
【0017】メタクリル酸エステルとシクロヘキサノー
ルのエステル交換反応で得られる粗メタクリル酸シクロ
ヘキシル中に含まれる触媒量が上記の範囲内である場合
は、そのまま蒸留工程に供給することができるが、上記
範囲を超える場合は、フィルター等による簡易的な濾過
操作で触媒の残存量を上記範囲に調整すればよい。ま
た、残存している触媒の形態については、反応液に懸濁
した状態でも溶解した状態でもよいしまたその混合物で
あってもよい。
【0018】エステル交換反応の実施形態は反応蒸留方
式が望ましい。反応中に発生する低級アルコールを、原
料であるメタクリル酸エステルとの共沸混合物を形成さ
せ反応蒸留で除く方法をとることにより、平衡反応であ
る本反応を効率的に進行させることができる。低級アル
コールを反応系から除かない場合、平衡転化率に達した
段階で本反応は見かけ上停止してしまい、二重結合への
アルコールの付加等の副反応だけが進行してしまう。反
応蒸留方式を達成するためには、共沸混合物が蒸留塔か
ら抜けていくように反応を設計する必要があり、反応温
度や系内圧力及びシクロヘキサノールとメタクリル酸エ
ステルの比はこの観点から決定される。具体的には、反
応温度は40〜100℃程度で系内圧力は100mmH
g〜760mmHgの範囲が好ましい。反応温度が低い
と反応の進行が遅く、逆にあまり上げすぎると重合の恐
れが高くなる。また、系内圧力を常圧以上にするのは実
際的ではないし、下げすぎると各成分の沸点が近づくた
め共沸混合物のみを系外に抜き出すことが困難となる。
【0019】用いられるメタクリル酸エステルとして
は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル及びそれらの混合物があげられる。なかで
も入手の容易性の観点からメタクリル酸メチルが望まし
い。メタクリル酸エステルとシクロヘキサノールのモル
比は1:1〜1:5の範囲が好ましく、1:2〜1:4
の範囲がさらに好ましい。
【0020】反応中には重合防止剤を添加するのが好ま
しい。反応の際の重合防止剤としては一般に使われてい
る重合防止剤でよく、ハイドロキノン、ハイドロキノン
モノメチルエーテル、カテコール等のフェノール性の化
合物、p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のア
ミン化合物等があげられる。なかでも原料のメタクリル
酸メチル中に安定剤として含まれているハイドロキノン
モノメチルエーテルが好ましい。もちろん本発明のピペ
リジン化合物を用いてもよく、この場合、反応生成物の
粗メタクリル酸シクロヘキシルを蒸留する際、重合防止
剤の添加を省略できる場合がある。
【0021】エステル交換反応で得られたメタクリル酸
シクロヘキシルを含む反応混合物の精製方法としては、
蒸留による分離が好ましく、なかでも減圧蒸留が好まし
い。重合を防ぐために、蒸留温度は100℃以下が好ま
しいため、これを達成できる減圧条件にする。具体的に
は10mmHg以下にするのが好ましい。また、反応混
合物中に残存しているメタクリル酸メチル及び低沸成分
を予備的な蒸留で除くとよい。すなわち、比較的緩やか
な条件でメタクリル酸メチル及び低沸成分を除いた後、
メタクリル酸シクロヘキシルが留出する条件にして蒸留
を継続する方法を用いるとよい。もちろん、蒸留条件を
何段階にも分けて蒸留する方法や、連続的に蒸留条件を
変えながら蒸留する方法を用いることもできる。
【0022】蒸留時の重合防止剤の添加方法は反応混合
物と一緒に釜中に添加する方法が簡便であるが、蒸留中
に蒸留塔の途中から重合防止剤を連続あるいは間欠的に
添加する方法も一般的に用いられており、この方法で行
うこともできる。この際、他の重合防止剤と併用しても
よい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法を合成例及び
実施例でさらに具体的に説明する。なお、ここで用いる
メタクリル酸シクロヘキシルを含む反応混合物は、以下
の合成例1、2、3及び4で得た物を使用した。重合の
確認方法は釜内部や蒸留塔内部の目視及び釜液の粘度上
昇で確認した。
【0024】
【合成例1】温度計、蒸留塔、及び撹拌器を備えた30
0mlの3口フラスコにシクロヘキサノール50gとメ
タクリル酸メチル150g、触媒として水酸化リチウム
0.2g(仕込みLi量として290ppmに相当)、
重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル
0.1gを仕込み、系内の圧力を340mmHgとし撹
拌しながらオイルバスで加熱した。オイルバス温度を9
5℃一定でコントロールしたところ釜液の温度は初期に
80℃、反応終了時には85℃となった。反応に伴い副
生したメタノールは、メタノール−メタクリル酸メチル
共沸物として蒸留塔トップより間欠的に留出させた。こ
の間、重合の発生は認められなかった。反応は6時間で
終了し、メタクリル酸シクロヘキシル約42%を含む反
応混合物174gを得た。
【0025】
【合成例2】触媒として水酸化リチウム2g(仕込みL
i量として2900ppmに相当)を用い、メタノール
−メタクリル酸メチル共沸物の留出を連続的に行った他
は、合成例1と同様の方法で反応を行った。この間、重
合の発生は認められなかった。反応は1時間で終了し、
メタクリル酸シクロヘキシル約40%を含む反応混合物
175gを得た。
【0026】
【合成例3】触媒として水酸化リチウム1g(仕込みL
i量として1450ppmに相当)を用い、メタノール
−メタクリル酸メチル共沸物の留出を連続的に行った他
は、合成例1と同様の方法で反応を行った。この間、重
合の発生は認められなかった。反応は2時間で終了し、
メタクリル酸シクロヘキシル約41%を含む反応混合物
174gを得た。
【0027】
【合成例4】重合防止剤としてハイドロキノンモノメチ
ルエーテル0.1gの他に4−オキソ−2,2,6,6
−テトラメチル−1−ピペリジノオキシル0.1gを仕
込んだ以外は合成例1と同様の方法で反応を行った。こ
の間、重合の発生は認められなかった。反応は6時間で
終了し、メタクリル酸シクロヘキシル約42%を含む反
応混合物174gを得た。
【0028】
【実施例1】合成例1で得た反応混合物174gを5C
のフィルターで濾過してメタクリル酸シクロヘキシル約
43重量%を含む反応濾過物171gを得た。この反応
濾過物をICP発光分析装置(理学製、JY−138、
以降ICPと省略)で分析した結果、Liは32ppm
含まれていた。このうち140gを温度計、蒸留塔、及
び撹拌器を備えた300mlの3口フラスコに入れ、重
合防止剤として4−オキソ−2,2,6,6−テトラメ
チル−1−ピペリジノオキシル0.03gを仕込み、圧
力を40mmHgとしてメタクリル酸メチルを1時間で
留出せしめ、さらに圧力を10mmHg、分留塔塔頂温
度83〜88℃でメタクリル酸シクロヘキシルを8時間
で留出させた。この間重合の発生は認められなかった。
得られたメタクリル酸シクロヘキシルは55gで、純度
は99.7%であった。
【0029】
【実施例2】合成例1の反応混合物を濾過せずにそのま
ま仕込んだ他は実施例1と同様の方法で蒸留した。仕込
みのLiが全量残っているためLiの残存量は290p
pmに相当する。蒸留中重合物の発生は認められず、得
られたメタクリル酸シクロヘキシルは53gで、純度は
99.6%であった。
【0030】
【実施例3】合成例2で得た反応混合物175gを5C
のフィルターで濾過してメタクリル酸シクロヘキシル約
43重量%を含む反応濾過物170gを得た。この反応
濾過物をICPで分析した結果、Liは182ppm含
まれていた。このうち140gを実施例1と同様の方法
で蒸留した。蒸留中重合物の発生は認められず、得られ
たメタクリル酸シクロヘキシルは52gで、純度は9
9.5%であった。
【0031】
【実施例4】合成例3の反応混合物を濾過せずにそのま
ま仕込み、蒸留時に重合防止剤を追加しなかった他は実
施例1と同様の方法で蒸留した。仕込みのLiが全量残
っているためLiの残存量は1450ppmに相当す
る。蒸留中重合物の発生は認められず、得られたメタク
リル酸シクロヘキシルは50gで、純度は99.5%で
あった。
【0032】
【実施例5】合成例4の反応混合物を濾過せずにそのま
ま仕込み、蒸留時に重合防止剤を追加しなかった他は実
施例1と同様の方法で蒸留した。仕込みのLiが全量残
っているためLiの残存量は290ppmに相当する。
蒸留中重合物の発生は認められず、得られたメタクリル
酸シクロヘキシルは54gで、純度は99.6%であっ
た。
【0033】
【実施例6】重合防止剤である4−オキソ−2,2,
6,6−テトラメチル−1−ピペリジノオキシルを釜中
に0.015g仕込み、さらに蒸留塔中段より0.01
5gをメタクリル酸シクロヘキシル9gに溶解した物を
1時間に一回1gづつ9回に分けて導入した他は、実施
例1と同様の方法で蒸留した。Liの残存量は32pp
mである。蒸留中重合物の発生は認められず、得られた
メタクリル酸シクロヘキシルは62g(導入したメタク
リル酸シクロヘキシルを含む)で、純度は99.6%で
あった。
【0034】
【比較例1】合成例2の反応混合物を濾過せずにそのま
ま仕込んだ他は実施例1と同様の方法で蒸留をスタート
したが、メタクリル酸シクロヘキシルを留出開始後約3
時間で蒸留塔内でメタクリル酸シクロヘキシルがポップ
コーン重合し蒸留塔を閉塞させたため、蒸留を継続する
ことができなくなった。仕込みのLiが全量残っている
ためLiの残存量は2900ppmに相当する。
【0035】
【比較例2】重合防止剤をハイドロキノンモノメチルエ
ーテルとした他は実施例1と同様の方法で蒸留をスター
トしたが、メタクリル酸メチルを留出させている段階で
フラスコの粘度が上がり、蒸留を継続することができな
くなった。Liの残存量は32ppmである。
【0036】
【比較例3】重合防止剤をフェノチアジンとした他は実
施例1と同様の方法で蒸留をスタートしたが、メタクリ
ル酸シクロヘキシルを留出開始後約4時間で蒸留塔内で
メタクリル酸シクロヘキシルがポップコーン重合し蒸留
塔を閉塞させたため、蒸留を継続することができなくな
った。Liの残存量は32ppmである。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法により、エステル交換反応
によるメタクリル酸シクロヘキシルの工業的な製造にお
いて、特別な操作を必要とせず合成から蒸留まで一貫し
てプロセス上実質的な重合を起こさないメタクリル酸シ
クロヘキシルの工業的な製造方法を提供することができ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 触媒であるアルカリ金属化合物の存在
    下、メタクリル酸エステルとシクロヘキサノールのエス
    テル交換反応によってメタクリル酸シクロヘキシルを製
    造する方法において、該エステル交換反応によって得ら
    れる粗メタクリル酸シクロヘキシルを下記一般式(1)
    のピペリジン化合物 【化1】 (Aは−CH2−,−CO−,−CH(OH)−基を表
    す)の存在下、該触媒がアルカリ金属として5〜150
    0ppm残存する条件下で蒸留・精製してメタクリル酸
    シクロヘキシルを得ることを特徴とするメタクリル酸シ
    クロヘキシルの製造方法。
  2. 【請求項2】 該アルカリ金属化合物が水酸化リチウム
    であることを特徴とする請求項1に記載のメタクリル酸
    シクロヘキシルの製造方法。
  3. 【請求項3】 該メタクリル酸エステルがメタクリル酸
    メチルであることを特徴とする請求項1に記載のメタク
    リル酸シクロヘキシルの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000072718A (ja) * 1998-09-01 2000-03-07 Mitsubishi Rayon Co Ltd (メタ)アクリル酸ピペリジン−1−オキシルエステル誘導体からなる(メタ)アクリル酸エステル用重合防止剤およびその製造方法

Citations (8)

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