JPH11246479A - メタクリル酸シクロヘキシルの製造方法 - Google Patents

メタクリル酸シクロヘキシルの製造方法

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JPH11246479A
JPH11246479A JP10061960A JP6196098A JPH11246479A JP H11246479 A JPH11246479 A JP H11246479A JP 10061960 A JP10061960 A JP 10061960A JP 6196098 A JP6196098 A JP 6196098A JP H11246479 A JPH11246479 A JP H11246479A
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cyclohexanol
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順一 桑山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メタクリル酸シクロヘキシルの製造に際し、
触媒活性を維持するとともに、精製時の不溶性三次元ポ
リマーの生成を効果的に抑制する。 【解決手段】 メタクリル酸メチルとシクロヘキサノー
ルを、無水水酸化リチウム触媒の存在下でエステル交換
する。この際、系内の含水率を1000ppm以下に維
持する。特に工業用シクロヘキサノールは、凝固防止の
ため含水率1.8〜2.0%に調整されているので、あ
らかじめこれを脱水しておくのが好ましい。上記の反応
で得られた反応液は、N−ニトロソフェニルヒドロキシ
ルアミン塩が気相中に固体で存在する蒸留塔で精製し、
反応液中のメタクリル酸シクロヘキシルの重合を効率よ
く抑制し、不溶性三次元ポリマーの生成を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタクリル酸シク
ロヘキシルの製造方法、特にメタクリル酸メチルとシク
ロヘキサノールを水酸化リチウムの存在化でエステル交
換し、メタクリル酸シクロヘキシルを製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、メタクリル酸メチルとアルコール
のエステル交換にあたり、アルコール原料としてシクロ
ヘキサノールを用い、触媒として水酸化リチウムを用い
ることは知られている(特開昭54−61117号公
報、特開平2−101043号公報)。
【0003】水酸化リチウムには、他の公知の触媒、例
えば有機スルホン酸のような有機酸、あるいは水酸化カ
リウム、水酸化カルシウムのようなアルカリ金属水酸化
物、ナトリウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコ
キシド触媒に比べて、副反応や重合物の生成が少なく、
腐食性や反応後のそれらの除去も濾過等で容易に行えて
水洗の必要がないため、廃水問題も生じない利点があ
る。
【0004】前記特開平2−101043号公報の実施
例3では、メタクリル酸メチルとシクロヘキサノールと
水酸化リチウムの組み合わせが明示されている。水酸化
リチウムには、触媒活性維持の観点から、乾燥したもの
の使用が望ましいとされている。また、系中に吹き込む
空気または酸素の含水率も1000ppm以下が好まし
いとされている。
【0005】しかしながら、アルコール原料のシクロヘ
キサノールは、他の一般的なアルコール原料と異なり、
無水状態では凝固し易い性質を有する。このため、工業
的生産に際しては、貯蔵、輸送中の凝固を考慮して、
1.8〜2.0%程度の水を添加しておくのが普通であ
る。仮に、前述のごとく触媒として乾燥水酸化リチウム
を用い、含水率1000ppm以下の空気または酸素を
吹き込んでも、工業的実施に当たり原料として工業用シ
クロヘキサノールを使用するかぎり、シクロヘキサノー
ル由来の水分により系内の含水率が高くなることは避け
られない。
【0006】一方、得られた生成メタクリル酸シクロヘ
キシル反応液は多量の不純物を含むので、このままでは
高分子の重合物は得られず、蒸留などの手段で精製する
のが普通である。しかしながら、メタクリル酸シクロヘ
キシルは重合性に富み、蒸留精製工程の加熱条件下で
は、三次元構造を有する不溶性ポリマーが急激に発生す
る。特に不溶性ポリマーは、蒸留系内の気相部において
生成し易く、蒸留塔、配管などを閉塞し、運転不能に陥
らせるおそれがあり、メタクリル酸シクロヘキシルの収
率も低下する。メタクリル酸シクロヘキシルを含めて類
似化合物の重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイ
ドロキノンモノメチルエーテル、パラフェニレンジアミ
ン、フェノチアジンなどに加えて、N−ニトロソアミン
類、特にN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩
(以下「クペロン類」という)が提案されている(特開
昭63−126853号公報、特開昭64−42462
号公報等)。
【0007】クペロン類はすぐれた重合禁止剤である
が、本発明者らの知見によれば、クペロン類自体の重合
禁止効果は意外に小さく、分解時のラジカルキャッチ作
用、分解物の重合禁止作用が複合して、メタクリル酸シ
クロヘキシルの重合を効果的に抑制すると推定される。
したがって、クペロン類を被蒸留物に溶解して蒸留塔に
供給する特開昭63−126853号公報記載の発明
や、グリコール類に溶解したクペロン類を蒸留塔に供給
する特開昭64−42462号公報記載の発明では、十
分な重合抑止効果は期待できない。仮に特開昭64−4
2462号公報記載の発明をメタクリル酸シクロヘキシ
ルの蒸留に適用しても、クペロン類を溶解して使用する
と、クペロン類それぞれの安定性の違いによって、ある
物は溶液にして蒸留塔に供給する前に溶液中で分解が進
んでしまったり、またある物は塔内に存在している間に
は分解が十分起こらずそのまま流下してしまい、もっと
も重合の起こりやすい蒸留塔の気相部で分解することに
よって得られる重合抑止効果は十分に発揮されないので
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のごと
き課題を解決したもので、メタクリル酸メチルとシクロ
ヘキサノールのエステル交換に際し、水酸化リチウムの
触媒活性を良好な状態に維持して高い収率でメタクリル
酸シクロヘキシルを得るとともに、得られた反応液の精
製時に、メタクリル酸シクロヘキシルの重合に基づく不
溶性ポリマーの生成を効果的に抑制するメタクリル酸シ
クロヘキシルの製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成した本発
明のメタクリル酸シクロヘキシルの製造方法は、以下の
とおりである。
【0010】(1) メタクリル酸メチルとシクロヘキ
サノールを、無水水酸化リチウム触媒の存在下でエステ
ル交換するにあたり、系内の含水率を1000ppm以
下に維持することを特徴とするメタクリル酸シクロヘキ
シルの製造方法。 (2) 原料シクロヘキサノールの含水率を、あらかじ
め1000ppm以下にすることを特徴とする前記第1
項記載のメタクリル酸シクロヘキシルの製造方法。 (3) 前記第1項または第2項記載の方法で得られた
反応液を、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩
が気相中に固体で存在する蒸留塔で精製することを特徴
とするメタクリル酸シクロヘキシルの製造方法。
【0011】本発明では、メタクリル酸メチルとシクロ
ヘキサノールを、無水水酸化リチウム触媒の存在下でエ
ステル交換するにあたり、系内の含水率を1000pp
m以下に維持することが必要である。
【0012】含水率が1000ppmをこえると、水酸
化リチウムの触媒活性は急激に落ちて反応時間が長時間
に及んだり、反応が完結せず、メタクリル酸シクロヘキ
シルの収率が低下する。水酸化リチウムの触媒活性劣化
となる原因は、無水水酸化リチウムが触媒活性の弱い一
水塩に変化するためと推定される。また系内に水分が存
在すると、水酸化リチウムと原料のメタクリル酸メチル
や目的生成物であるメタクリル酸シクロヘキシルとの加
水分解が促進されて、水酸化リチウムが触媒活性の全く
ないメタクリル酸リチウムに変化する。このメタクリル
酸リチウムはまた濾過性がきわめて悪く、種々のトラブ
ルの要因となる。
【0013】前記反応系内の水分を維持する方法に関し
ては、特に制限されないが、使用原料をそれぞれあらか
じめ、乾燥あるいは脱水処理するのが望ましい。特に工
業用シクロヘキサノールは、前述のように凝固防止のた
め含水率1.8〜2.0%に調整されているので、あら
かじめ脱水しておくのが効果的である。
【0014】また前記の方法で得られた反応液は、クペ
ロン類が気相中に固体で存在する蒸留塔で精製すると、
反応液中のメタクリル酸シクロヘキシルの重合を効率よ
く抑制できる。その理由は、必ずしも明確ではないが、
気相に固体で存在すると、前述のようにクペロン類分解
時のラジカルキャッチ作用、分解物の重合禁止作用が複
合して、効果的に作用するものと推定される。
【0015】本発明において、原料メタクリル酸メチル
には工業用原料を使用する。一方、原料シクロヘキサノ
ールには、純粋な試薬も使用できるが、工業的には凝固
防止のため水分を1.8〜2.0%含む工業用を用い
る。工業用原料シクロヘキサノールはあらかじめ脱水処
理するのが望ましい。脱水処理は、原料のシクロヘキサ
ノールそのまま、あるいは水と共沸混合物を形成する溶
媒を添加して、水分を減圧あるいは常圧で留去するなど
により行い、含水率1000ppm以下、好ましくは5
00ppm以下とする。脱水シクロヘキサノールに対す
るメタクリル酸メチルの仕込量は、約1.2〜10当
量、好ましくは約1.2〜5.0当量が相当である。
【0016】触媒に使用する無水水酸化リチウムには、
市販のものを使用してもよいし、水酸化リチウムの一水
塩を加熱、乾燥し、無水物にして使用してもよい。一水
塩の加熱乾燥には、恒温乾燥機や送風加熱乾燥機を用い
れば良い。乾燥の終点は、一水塩が無水物になる際の乾
燥減量が約42%であることによって確認できる。水酸
化リチウムの使用量は、シクロヘキサノールに対して約
0.1〜5重量%が好ましく、0.3〜2重量%がさら
に好ましい。水酸化リチウムは、反応開始時に一括して
仕込んでおく。分割して仕込む場合、追添分の触媒効果
はほとんどない。これは、反応の進行にともない、触媒
の水酸化リチウムや副生したメタクリル酸リチウムが反
応液に一部溶解し、追添分の水酸化リチウムが反応液に
ほとんど溶解しないためと考えられる。
【0017】本発明での反応系内の水分除去方法につい
ては特に制限されないが、前述のようにあらかじめ各原
料の脱水処理をしておくのが実際的であるが、水と共沸
混合物を形成する溶媒あるいはメタクリル酸メチルを用
いて、系内の水を共沸除去してもよい。
【0018】反応に際しては、通常重合禁止剤を用い
る。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、ハイ
ドロキノンモノメチルエーテル、ジ−t−ブチルヒドロ
キシトルエン、フェノチアジン、N−N’−ジナフチル
−p−フェニレンジアミン、酸素、クペロン類などの重
合禁止剤を単独、または組み合わせて使用することがで
きる。特に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン
のアンモニウム塩(以下「クペロン」という)をシクロ
ヘキサノールとともに仕込んでおき、反応系内に酸素を
吹き込みながら反応を行い、蒸留塔内にはハイドロキノ
ンモノメチルエーテルのメタクリル酸メチル溶液を連続
添加する方法が、重合防止に対して効果的である。
【0019】エステル交換反応の反応温度は、通常50
〜150℃、好ましくは80〜120℃である。温度が
低すぎると反応時間が長くなり生産効率が悪くなる。温
度が高すぎると重合物が生成する危険性がある。反応時
間は1〜15時間、好ましくは3〜8時間である。反応
は常圧下で行ってもよいが、生成したメタノールの除去
を容易にするため、あるいは反応温度を適切に制御する
ために減圧下にするのが望ましい。生成メタノールは蒸
留装置を用いてメタクリル酸メチルあるいは使用溶媒と
ともに共沸混合物として系外に留去させながら、反応を
進める。その際、塔頂温度がメタノールとメタクリル酸
メチルあるいは使用溶媒との共沸温度付近になるよう
に、還流比を調節するとよい。
【0020】反応後の反応液は、常法により濾過、蒸留
してもよいが、濾過の際には濾過助剤を用いることもで
きる。また、蒸留をクロペン類が気相中に固体で存在す
る蒸留塔により行うと、精製工程での重合がきわめて効
果的に抑制される。クロペン類としては、クペロンの他
に、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミ
ニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンの
エタノールアミン塩などを用いることができる。なかで
も、クペロンは、メタクリル酸シクロヘキシルに対する
溶解度がきわめて小さく、固体状態で蒸留装置の気相部
に供給するのにもっとも適しており、不溶性ポリマーの
抑制効果にもすぐれ、入手も容易である。
【0021】本発明で固体状クロペン類を存在させる蒸
留装置の気相部では、蒸留塔のラシヒリングなどの充填
物が配置されている充填塔、または棚段が配置されてい
る棚段塔部がもっとも効果的である。気相部におけるク
ペロン類の量は、約0.5〜5000ppm、好ましく
は約1〜1000ppm、より好ましくは約3〜100
ppmである。この量が少なすぎると、メタクリル酸シ
クロヘキシルの重合抑止効果が不十分で不溶性ポリマー
が発生し易くなる。一方、過剰となると、経済的に不利
益となるばかりでなく、蒸留物への着色の原因となるお
それがある。
【0022】蒸留装置の気相部に対する固体状クペロン
類の付与方法は、特に制限されないが、クペロンの場合
は、前述のようにメタクリル酸シクロヘキシルに対する
溶解度がきわめて小さいので、メタクリル酸シクロヘキ
シルにスラリー状に分散させて付与するのが望ましい。
付与する箇所は前記充填塔、棚段部の一カ所あるいは複
数箇所からでもよく、付与を連続的あるいは不連続的に
してもよい。
【0023】他の付与方法としては、クペロン類をいず
れもフェノール樹脂などの任意の形状の樹脂成形体内に
固定化して、この樹脂成形体を前記充填塔あるいは棚段
塔部に配置することもできる。例えば、樹脂成形体をガ
スや液が通過できる着脱可能な金網や多孔質容器に入れ
ておけば、クペロン類の消耗に応じて簡単に取り替えで
きて操作性にすぐれている。また、前記クペロン類の各
塩をフェノール樹脂、樹脂硬化剤、溶媒などと混合して
組成物を得、得られた組成物を充填塔内のラシヒリング
などのセラミックのごとき多孔質充填物に含浸、塗布し
て硬化または乾燥させ、充填物の内部及び表面に塗膜を
形成、固定化することもできる。
【0024】本発明においては、蒸留時にクペロン類を
他の重合禁止剤、例えばハイドロキノン、ハイドロキノ
ンモノメチルエーテル、パラフェニレンジアミン、フェ
ノチアジンなどと別々または混合して併用することもで
きる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定
されるものではない。
【0026】
【実施例1】精留塔、分留頭、冷却管、ガス導入管、攪
拌装置、温度計を備えた2L四つ口フラスコに、原料メ
タクリル酸メチル900g(9モル)、無水の試薬原料
シクロヘキサノール450g(4.5モル)、無水水酸
化リチウム3.0g、クペロン0.6gを仕込んだ。原
料仕込み後の水分率は300ppmであつた。反応装置
内に7容量%の酸素を含んだ窒素ガスを2ml/分の速
度で導入しながら、系内の圧力を450mmHgに調節
し、加熱攪拌を行った。精留塔頭頂部からは、反応の間
3ml/時の流量で1重量%のハイドロキノンモノメチ
ルエーテルを溶解したメタクリル酸メチル溶液を連続的
に添加した。減圧度は、反応温度が90〜100℃にな
るように調整し、最終的には200mmHgであった。
還流が始まってから、還流装置で生成したメタノールを
メタクリル酸メチルと共沸留去しながら反応させた。還
流開始後6時間で、ガスクロマトグラフィーにおいて、
原料シクロヘキサノールのピーク面積が、シクロヘキサ
ノールと生成物メタクリル酸シクロヘキシルの合計ピー
ク面積に対して0.3%となった時点で、エステル交換
反応を終了した。反応液を40℃まで冷却し、日本濾紙
株式会社製「KCフロックW−50S」(商品名)を3
g添加して攪拌混合した後、吸引濾過器で濾紙(アドバ
ンテック社製No.2、直径9cm)を用いて濾過を行
ったところ、濾過時間は1分30秒であった。
【0027】濾液を精留塔、分留頭、冷却管、攪拌装
置、温度計を備えた2L四つ口フラスコに仕込み、蒸留
を行った。精留塔頭頂部からは蒸留の間3ml/時で1
重量%のハイドロキノンモノメチルエーテルを溶解した
メタクリル酸シクロヘキシル溶液を連続的に添加した。
また、蒸留開始から終了までの間、2時間ごとに1回、
1重量%のハイドロキノンモノメチルエーテルを溶解し
た1gのメタクリル酸シクロヘキシルで1mgのクペロ
ンをスラリー化して蒸留塔頭頂部に添加した。過剰のメ
タクリル酸メチルを主成分とする初留を除去後、還流比
1で精留し、メタクリル酸シクロヘキシルを主成分とし
た中留20g、ならびに64〜65℃/2mmHgで目
的のメタクリル酸シクロヘキシル730gを主留として
得た。主留の純度は99.6%(面積率)であった。ま
た蒸留終了後、精留塔内に不溶性ポリマーは認められな
かった。
【0028】
【実施例2】原料シクロヘキサノールとして、水分率
1.8%の工業用シクロヘキサノールを用い、あらかじ
め脱水により水分率1000ppmに調整して仕込んだ
以外は、実施例1と同様にエステル交換反応を行った。
原料仕込み後の系内の水分は850ppmであった。還
流開始後約8時間でガスクロマトグラフィーにおいて原
料シクロヘキサノールのピーク面積が、シクロヘキサノ
ールと生成物メタクリル酸シクロヘキシルの合計面積に
対して0.9%となり、エステル交換反応を終了した。
反応液を40℃まで冷却し、実施例1と同様に濾過した
ところ、濾過時間は7分であった。濾液を実施例1と同
様に蒸留し、メタクリル酸シクロヘキシルを主成分とし
た中留40g、ならびに目的のメタクリル酸シクロヘキ
シル707gを主留として得た。主留の純度は99.6
%(面積率)であった。また蒸留終了後、精留塔内に不
溶性ポリマーは認められなかった。
【0029】
【実施例3】フェノールノボラック12g、ヘキサメチ
レンテトラミン3g及びクペロン1gを均一に混合し、
粉砕し、80℃で1時間加熱した後、オーブン中120
℃で1時間硬化させた。その結果、発泡率9倍のフェノ
ール樹脂発泡体を得た。実施例1と同様の条件下におい
て、クペロンを含むスラリーを使用する代わりに、上記
で得たフェノール樹脂発泡体(約0.5mm程度に分割
したもの)1gを充填塔内に均一に保持した状態で実施
例1と同様に蒸留を行い、メタクリル酸シクロヘキシル
を主成分とした中留18g、ならびに64〜65℃/2
mmHgで目的のメタクリル酸シクロヘキシル728g
を主留として得た。主留の純度は99.6%(面積率)
であった。また蒸留終了後、精留塔内に不溶性ポリマー
は認められなかった。
【0030】
【実施例4】フェノールノボラック10g、ヘキサメチ
レンテトラミン3g及びクペロン0.1gを、アセトン
10g及びメタノール15gに加え溶解させた。この樹
脂溶液をラシヒリング305gに浸漬法により塗布・含
浸した。次いで、ロータリーエバポレーターにより、ア
セトン及びメタノールを除去し、塗膜被覆ラシヒリング
を得た後、これをオーブン中120℃で1時間加熱し
た。次いで実施例1と同様の条件下において、クペロン
を含むスラリーを使用する代わりに、上記で得た塗膜被
覆ラシヒリング150gを充填塔に充填した状態で実施
例1と同様に蒸留を行い、メタクリル酸シクロヘキシル
を主成分とした中留20g、ならびに64〜65℃/2
mmHgで目的のメタクリル酸シクロヘキシル727g
を主留として得た。主留の純度は99.5%(面積率)
であった。また蒸留終了後、精留塔内に不溶性ポリマー
は認められなかった。
【0031】
【実施例5】実施例3で用いたクペロンの代わりに、N
−ニトロソフエニルヒドロキシルアミンのアルミニウム
塩を用いたこと以外は、実施例3と同様に行い、メタク
リル酸シクロヘキシルを主成分とした中留17g、なら
びに64〜65°C/2mmHgで目的のメタクリル酸
シクロヘキシル730gを主留として得た。主留の純度
は99.6%(面積率)であつた。また蒸留終了後、精
留塔内には不溶性ポリマーは認められなかった。
【0032】
【実施例6】実施例4で用いたクペロンの代わりに、N
−ニトロソフエニルヒドロキシルアミンのエタノールア
ミン塩を用いたこと以外は、実施例4と同様に行い、メ
タクリル酸シクロヘキシルを主成分とした中留22g、
ならびに64〜65℃/2mmHgで目的のメタクリル
酸シクロヘキシル724gを主留として得た,主留の純
度は99.7%(面積率)であった。また蒸留終了後、
精留塔内には不溶性ポリマーは認められなかつた。
【0033】
【比較例1】原料シクロヘキサノールとして、水分率を
3000ppmに調整した外は、実施例1と同様に反応
を行った。原料仕込み後の系内の水分は1150ppm
であった。還流開始後約8時間でメタノールの生成が見
られなくなったので、反応を終了した。ガスクロマトグ
ラフィーにおいて原料シクロヘキサノールのピーク面積
は、シクロヘキサノールと生成物メタクリル酸シクロヘ
キシルの合計面積に対して8.5%であった。反応液を
40℃まで冷却し、実施例1と同様に濾過したところ、
途中で濾過ができなくなった。
【0034】
【比較例2】実施例1で用いたクペロンのスラリーを使
用する代わりに、1重量%のハイドロキノンモノメチル
エーテルを溶解したメタクリル酸シクロヘキシル溶液
を、塔頂より0.1ml/分で連続的にフィードした事
以外は、実施例1と同様に行った。中留から主留に切り
替える頃に、蒸留塔の差圧が増大し、塔上部及び中段部
に不溶性ポリマーが発生し、塔上部は閉塞状態であっ
た。
【0035】
【比較例3】実施例1で用いたクペロンのスラリーを使
用する代わりに、1重量%のフェノチアジンを溶解した
メタクリル酸シクロヘキシル溶液を、塔頂より0.1m
l/分で連続的にフィードした事以外は、実施例1と同
様に行ったところ、主留留出中に、蒸留塔の差圧が増大
し、塔上部及び中段部に不溶性ポリマーが発生し、塔上
部は閉塞状態であった。
【0036】
【比較例4】実施例1において、蒸留前に反応濾過液に
0.1重量%のクペロンを添加し、クペロンのスラリー
を使用する代わりに、1重量%のハイドロキノンモノメ
チルエーテルを溶解したメタクリル酸シクロヘキシル溶
液を、塔頂より0.1ml/分で連続的にフィードした
事以外は、実施例1と同様に行った。主留留出中に、蒸
留塔の差圧が増大し、塔上部及び中段部に不溶性ポリマ
ーが発生し、塔上部は閉塞状態であった。
【0037】
【比較例5】実施例1で用いたクペロンのスラリーを使
用する代わりに、1重量%のN−ニトロソフェニルヒド
ロキシルアミンのアルミニウム塩を溶解したメタクリル
酸シクロヘキシル溶液を塔頂より0.1ml/分で連続
的にフィードした事以外は、実施例1と同様に行ったと
ころ、主留留出中に、蒸留塔の差圧が増大し、塔中段部
に不溶性ポリマーが発生していた。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、メタクリル酸メチルと
シクロヘキサノールのエステル交換によりメタクリル酸
シクロヘキシルを製造するに際し、系内の水分を100
0ppm以下、特に工業用の原料シクロヘキサノールの
水分率を1000ppm以下に調整することで、水酸化
リチウムの触媒活性を維持して、高い収率でメタクリル
酸シクロヘキシルを得るとともに、得られたエステル交
換反応液を引き続き蒸留精製するに際し、クペロン類を
実質的に固体状で蒸留塔の気相部に付与することによ
り、メタクリル酸シクロヘキシルの重合を効果的に抑制
し、不溶性ポリマーの生成による装置の閉塞などを防
止、併せてメタクリル酸シクロヘキシルの工業的な一貫
製造システムが可能となった。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】(1) メタクリル酸メチルとシクロヘキ
サノールを、無水水酸化リチウム触媒の存在下で、系内
の含水率を1000ppm 以下に維持してエステル交換し、
られた反応液を蒸留塔で、重合禁止剤N−ニトロソフエ
ニルヒドロキシルアミン塩の存在下で精製するに当た
り、N−ニトロソフエニルヒドロキシルアミン塩を蒸留
塔内の気相中に固体で存在させることを特徴とするメタ
クリル酸シクロヘキシルの製造方法。 (2) 固体のN−ニトロソフエニルヒドロキシルアミ
ン塩が、スラリー状であることを特徴とする前記第1項
記載のメタクリル酸シクロへキシルの製造方法。 (3) 固体のN−ニトロソフエニルヒドロキシルアミ
ン塩が、フエノール樹脂を主成分とする樹脂成形体、樹
脂発泡体または樹脂塗膜であることを特徴とする前記第
1項記載のメタクリル酸シクロヘキシルの製造方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチルとシクロヘキサノー
    ルを、無水水酸化リチウム触媒の存在下でエステル交換
    するにあたり、系内の含水率を1000ppm以下に維
    持することを特徴とするメタクリル酸シクロヘキシルの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 原料シクロヘキサノールの含水率を、あ
    らかじめ1000ppm以下にすることを特徴とする請
    求項1記載のメタクリル酸シクロヘキシルの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の方法で得られた
    反応液を、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩
    が気相中に固体で存在する蒸留塔で精製することを特徴
    とするメタクリル酸シクロヘキシルの製造方法。
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