JPH11300581A - スライダ装置およびスライダ装置を用いた工作機械ならびにこの工作機械を用いた回折格子の加工方法 - Google Patents

スライダ装置およびスライダ装置を用いた工作機械ならびにこの工作機械を用いた回折格子の加工方法

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JPH11300581A
JPH11300581A JP12667798A JP12667798A JPH11300581A JP H11300581 A JPH11300581 A JP H11300581A JP 12667798 A JP12667798 A JP 12667798A JP 12667798 A JP12667798 A JP 12667798A JP H11300581 A JPH11300581 A JP H11300581A
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mirror
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fixing member
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Takao Yokomatsu
孝夫 横松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スライダに搭載された主軸の回転に起因する
スライダの熱変形によるレーザ反射ミラー位置の変位を
抑制してワークの位置決め精度を向上させ、ワークの形
状精度劣化を抑えることができるスライダ装置と工作機
械を提供する。 【解決手段】 ワーク14を取り付け回転駆動される主
軸11と、主軸11をXおよびY方向に移動させるYス
ライダ3と、低熱膨張材製のミラー固定部材20、21
を介してYスライダ3に取り付けられたバーミラー1
a、1bとレーザ干渉計2a、2bを備え、ミラー固定
部材20、21を測定方向の主軸軸芯位置でボルト22
等によりそれぞれ1点のみでYスライダ3に固定し、他
の支持点で移動可能に押しつけ支持することにより、主
軸11の回転に起因するYスライダ3の熱変形によるバ
ーミラー1a、1bの反射面と主軸11の軸芯との距離
の変動を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークが搭載され
たスライダの高精度な位置計測および位置決めを行なう
ことができるスライダ装置および該スライダ装置を用い
た工作機械、ならびに該工作機械を用いて回折格子を加
工する加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、精密工作機械におけるワークが搭
載されるスライダの送り方向の位置計測は、レーザ測長
機を用いて行なわれており、スライダ上にレーザ反射ミ
ラーを固定し、スライダの外部にレーザ干渉計を固定す
ることにより、両者の相対的な距離の変動を測定してい
る。この場合、スライダに搭載された主軸はその回転に
より発熱し、この熱がスライダに伝導してスライダが熱
膨張あるいは熱収縮し、その結果、スライダに固定した
レーザ反射ミラーの位置が変動する。したがって、本来
位置決めしたい主軸に取り付けられているワークとレー
ザ反射ミラーの距離が変動し、高精度なワークの位置計
測および位置決めは困難である。しかし、通常の一般的
な工作機械においては、主軸は1軸方向にのみ移動する
スライダに搭載されているため、測定方向の主軸軸芯位
置にレーザ反射ミラーを設置することにより、主軸の発
熱によるレーザ干渉計とレーザ反射ミラーとの距離変動
を緩和することができていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自由曲面形
状を加工する場合、少なくとも直交する3軸と主軸が必
要であり、主軸が直交する2軸方向に移動する構成をと
る場合がある。このような構成でワークスライダの位置
をレーザ干渉計により精度良く計測するには、図6に図
示するように、主軸104を搭載して2軸移動可能のス
ライダ103上に2本のレーザ反射用のバーミラー10
1aおよび101bを直角に配置し、これらのバーミラ
ー101aおよび101bにそれぞれレーザビームを照
射するX方向およびY方向の測長用レーザ干渉計102
aおよび102bが用いられる。このような構成は、半
導体露光装置等のウエハ位置決めスライダに利用される
ことが多いけれども、半導体露光装置等においては、ス
ライダ103に主軸104のような発熱体がないため
に、レーザ反射用のバーミラーは2軸移動可能なスライ
ダ本体に直接固定されている。しかし、回転駆動される
主軸が搭載されて数℃レベルで温度上昇するワークスラ
イダを有する工作機械において、測長用のバーミラー1
01a、101bをワークスライダ103に直接取り付
けると、ワークスライダ103の熱変形によって、本来
計測したい主軸104に取り付けられたワークの位置と
バーミラーの距離lx 、ly が数μm程度変化してしま
い、ワークの位置を精度良く計測することができない。
そのため、主軸ロータにワークを取り付けて回転させ切
削バイトによる旋削加工で回折格子等を加工するとき、
回折格子等の格子ピッチが目標値から数μmレベルで変
動し、良好な光学性能を得ることができなかった。
【0004】ところで、半導体露光装置のウエハ位置決
めスライダにおいては、±0.1℃程度の環境温度変化
によってスライダが熱膨張あるいは熱収縮した量を、ス
ライダのある1点での温度測定とスライダ材料の熱膨張
係数、およびバーミラーとウエハの距離から算出し、こ
の変位分だけスライダを移動させ、ウエハの目標位置か
らの変動を抑制しようとする試みが提案されているけれ
ども、前述したような工作機械においては、スライダの
温度変化が環境温度変化に比べ非常に大きいとともに温
度分布が存在するため、上述したような方法では高精度
なワークの位置計測および位置補正を行なうことができ
ない。
【0005】そこで、本発明は、上記のような従来技術
の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、
2軸方向に移動可能なスライダに搭載された主軸の回転
に起因するスライダの熱変形によるレーザ反射ミラー位
置の熱変位を抑制して、ワークの位置計測および位置決
め精度を向上させてワークの形状精度劣化を抑えること
ができるスライダ装置および該スライダ装置を用いた工
作機械、ならびに該工作機械を用いて回折格子の加工精
度を向上させることができる回折格子の加工方法を提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のスライダ装置は、主軸と、該主軸を主軸軸
芯に直角な第1の方向に移動させる第1の移動スライダ
と、該主軸を主軸軸芯に直角な第2の方向に移動させる
第2の移動スライダと、第1の移動方向および第2の移
動方向の位置を計測するためのレーザ測長機および主軸
近傍に配置されたレーザ反射ミラーと、該レーザ反射ミ
ラーの反射面と主軸の軸芯との距離の変動を抑制する手
段を有することを特徴とする。
【0007】そして、本発明のスライダ装置において
は、レーザ反射ミラーをミラー固定部材により支持し、
該ミラー固定部材を主軸を搭載する第1の移動スライダ
に測定方向の主軸軸芯位置で1点のみ固定し、他の支持
点は押しつけ支持することにより、レーザ反射ミラーの
反射面と主軸の軸芯との距離の変動を抑制することが好
ましく、さらに、レーザ反射ミラーを低熱膨張材で作製
するとともにミラー固定部材を低熱膨張材で作製するこ
とが好ましい。
【0008】また、本発明の工作機械は、請求項1ない
し3のいずれか1項記載のスライダ装置を用い、主軸上
にワークを取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0009】そして、本発明の回折格子の加工方法は、
請求項4項記載の工作機械を用い、移動スライダに搭載
された主軸上にワークを取り付け、該ワークを回転さ
せ、移動スライダを水平方向にそして切削バイトを垂直
方向に移動させて、該ワーク面上に回折格子を切削加工
により形成することを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明のスライダ装置および工作機械によれ
ば、主軸を主軸軸芯に直角な2方向に移動させる移動ス
ライダの位置をレーザ測長機により計測する際に、レー
ザ反射ミラーの反射面と主軸の軸芯との距離の変動を抑
制することにより、例えば、レーザ反射ミラーを低熱膨
張材で作製したミラー固定部材により支持し、ミラー固
定部材を2方向に移動可能なスライダに測定方向の主軸
軸芯位置で1点のみ固定し、他の支持点を押しつけ支持
する構成とすることにより、主軸が回転により発熱し移
動スライダに熱変形が生じた場合でも、ミラーの反射面
と主軸の軸芯との距離の変動を数十nm以下に抑制する
ことができ、これにより、ワークの高精度の位置計測お
よび位置決めが可能となり、さらに、ワークの加工精度
を向上させることができる。
【0011】さらに、本発明の工作機械を用いて回折格
子の切削加工を行なうことにより、非常に正確な格子ピ
ッチを有する回折格子が得られ、回折格子の光学性能を
劣化させることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0013】図1は、本発明の工作機械において、レー
ザ干渉計によりスライダの位置を計測するようにしたス
ライダ装置の模式的な平面図であり、図2は、図1にお
けるA−A線に沿ったスライダ装置の模式的な断面図で
ある。
【0014】1aおよび1bは、Yスライダ3に取り付
けられたレーザ反射用のXバーミラーおよびYバーミラ
ーであり、2aおよび2bは、Xバーミラー1aおよび
Yバーミラー1bにそれぞれレーザビームを照射するよ
うにそれぞれに対向して配置されたX方向およびY方向
の位置計測用のレーザ干渉計であり、各レーザ干渉計2
a、2bは干渉計内部のリファレンス光と各バーミラー
1a、1bで反射して戻ったメジャメント光を干渉さ
せ、Yスライダ3のXおよびY方向の移動距離を位相変
化量として計測する。
【0015】Yスライド3は、平面ベース5上でXスラ
イダ7のYガイド6に沿ってY方向に移動可能に設けら
れ、Yスライド3の下面に配設された静圧空気パッド4
により平面ベース5から浮上して非接触で高精度な運動
が可能となるように構成されており、Xスライダ7は、
X横スライダ7aとYガイド6によりH字形状に構成さ
れ、平面ベース5のY方向両端部にX方向に固定された
Xガイド8、8に沿って移動可能に設けられている。し
たがって、Yスライダ3は、平面ベース5上をX方向お
よびY方向の2方向に移動可能であり、一般的なXスラ
イダ上にYスライダを重ねる方式に比べ上下剛性が高
い。そして、Xスライダ7は、Xガイド8、8の外側に
それぞれ配設されたXスライダ用リニアモータコイル9
aとXスライダ7に取り付けられたリニアモータマグネ
ット9bにより駆動され、Yスライダ3は、Yガイド6
に沿って設けられたYスライダ用リニアモータコイル1
0aとYスライダ3に取り付けられたリニアモータマグ
ネット10bにより駆動される。
【0016】Yスライダ3には回転駆動される主軸11
が搭載され、主軸11に固定された主軸ロータ12の端
面にはワーク雇い13を介してワーク14が取り付けら
れる。そして、Yスライダ3のX方向位置(すなわち、
ワーク14のX方向位置)を測定するためのXバーミラ
ー1aおよびYスライダ3のY方向位置(すなわち、ワ
ーク14のY方向位置)を計測するためのYバーミラー
1bは、Yスライダ3に後述する平面視コの字形状のミ
ラー固定部材20、21を介してそれぞれ取り付けら
れ、そして、これらのXバーミラー1aおよびYバーミ
ラー1bにそれぞれ対向するようにX方向およびY方向
の位置計測用のレーザ干渉計2aおよび2bがYスライ
ダ3の外部に配設されている。
【0017】Xバーミラー1aをYスライダ3に取り付
けるための平面視コの字形状のXミラー固定部材20
は、図3の(a)および(b)に詳細に示すように、コ
の字形状に開いた一方の端部20aのみをYスライダ3
のX方向中心線(すなわち、主軸ロータ12およびワー
ク14のX方向中心線であり、X方向の主軸軸芯位置)
上に強固に締結され、他方のコの字形状の開放端部20
bおよび中央部分20cはYスライダ3に対して移動し
うるように取り付けられる。すなわち、Xミラー固定部
材20のコの字形状に開いた一方の端部20aにはボル
ト22を螺入するためのねじ穴20dを設け、他方の開
放端部20bには押さえピン23aを挿通させるための
貫通穴20eを設け、さらに、中央部分20cには押さ
えピン23b、23bをそれぞれ挿通させる長穴20
f、20fが設けられている。また、Xミラー固定部材
20の上面には、Xバーミラー1aを支持するための少
なくとも3個の突起20g、20g、20gが設けら
れ、さらに、Xミラー固定部材20の下方に配置される
Yミラー固定部材21(図1および図2)のミラー支持
用の突起(図示しない)がXミラー固定部材20の下方
から上方へ突出できるようにミラー支持用の突起の大き
さよりも大きく形成された貫通穴20hが設けられてい
る。
【0018】そして、Xミラー固定部材20をYスライ
ダ3に取り付けるに際して、Xミラー固定部材20の一
方の端部20aに設けたねじ穴20dをYスライダ3の
X方向中心線上に位置合わせして、ボルト22を螺入す
ることにより、Xミラー固定部材20の一端部20aを
スペーサ22aを介してYスライダ3のX方向中心線上
に強固に締結する。また、Yスライダ3の反対側のX方
向中心線上に先端部分にタップが切られている押さえピ
ン23aを固定し、この押さえピン23aにXミラー固
定部材20の他方の端部20bの貫通穴20eを通し、
内部に与圧ばねが内蔵されたセットビス24aを開放端
部20bの先端部に螺入して、セットビス24aの先端
部を押さえピン23aに当接させる。これにより、貫通
穴20eは押さえピン23aに対して一方に片寄せされ
た状態に維持され、貫通穴20eと押さえピン23aの
間のガタツキをなくする。また、Xミラー固定部材20
の中央部分20cの2か所に設けられた長穴20f、2
0fに、押さえピン23aと同様にYスライダ3に固定
された押さえピン23b、23bが挿入され、押さえピ
ン23bと長穴20fは、Xミラー固定部材20の下面
から取り付けられる与圧ばね内蔵のセットビス24b、
24bにより上下方向に片寄せされ、長穴20fと押さ
えピン23bとの間のガタツキをなくしている。
【0019】以上のように平面視コの字形状のXミラー
固定部材20をYスライダ3に取り付け、Xミラー固定
部材20の中央部分20cに設けられた少なくとも3個
の突起20g、20g、20g上にXバーミラー1aを
載置する。突起20g……に対応する部位の上方にはX
バーミラー1aを上から押圧する板ばね26が配置さ
れ、この板ばね26は、図4にも図示するように、Yス
ライダ3に設けられたばね受け台3aにねじ26a等に
より固定されている。したがって、板ばね26、26は
Xミラー固定部材20の突起20g……上に載置された
Xバーミラー1aを突起20g…に対応する部位の2個
所で上方から押圧することにより、Xバーミラー1aの
自重や固定による変形を防止する。また、27はXミラ
ー固定部材20に固定されたX方向の突き当て部材であ
り、Yスライダ3に取り付けられた与圧ばね内蔵のセッ
トビス28、28でXバーミラー1aを突き当て部材2
7、27に突き当るように押圧することにより、Xバー
ミラー1aとXミラー固定部材20は一体化されてX方
向に一体的に変位する構成とすることができる。
【0020】このように、Xバーミラー1aをXミラー
固定部材20を介してYスライダ3に取り付けることに
より、Yスライダ3に搭載された主軸11の回転による
発熱によりYスライダ3が温度上昇した場合、Yスライ
ダ3は熱変形しその寸法が変化するけれども、Yスライ
ダ3のX方向の寸法変化は、Yスライダ3に固定された
押さえピン23bがXミラー固定部材20の長穴20
f、20f内をX方向に滑って移動し、Xミラー固定部
材20の変形は抑制され、また、Yスライダ3のY方向
の寸法変化は、Xミラー固定部材20の開放端部20b
の貫通穴20eと押さえピン23aの滑りで吸収され、
同様にXミラー固定部材20の変形を防止する。さら
に、Yスライダ3が温度上昇するとしても、Yスライダ
3とXミラー固定部材20の接触部面積が非常に小さい
ため、Yスライダ3からXミラー固定部材20への熱伝
導も少なく、Xミラー固定部材20の熱変形や熱膨張は
少ない。
【0021】また、Xミラー固定部材20を熱膨張係数
が5×10-7である低熱膨張鋳鉄等の低熱膨張材で作製
することにより、熱変形量をさらに低減させることが可
能であり、さらに、Xバーミラー1aを低熱膨張ガラス
ゼロデュア(熱膨張係数1×10-7)で作製することに
より、熱がバーミラーに伝導してもバーミラー自身の熱
変形はほとんどなくすることができる。
【0022】Yバーミラー1bをYスライダ3に取り付
けるためのYミラー固定部材21もXミラー固定部材2
0と同様の構成としてYスライダ3に同様に取り付け
る。なお、Yミラー固定部材21は、図1に図示するよ
うに、Yスライダ3の対角線に対してXミラー固定部材
20と対称的な態様で位置付けられ、そして、図2およ
び図4に図示するように、Xミラー固定部材20の下方
に配置される。このため、Yバーミラー1bを支持する
ための少なくとも3個の突起(図示しない)はXミラー
固定部材20の突起20gよりも長く形成され、それら
の突起の一つはXミラー固定部材20の貫通穴20hを
下方から上方へ突き抜けるように位置付けられている。
このように構成することにより、Yミラー固定部材21
においても、Xミラー固定部材20と同様に、主軸11
の回転に起因する発熱によるワーク14の中心とYバー
ミラー1bの反射面との距離変化を抑制することができ
る。そして、Yミラー固定部材21においても、Xミラ
ー固定部材20と同様に、熱膨張係数が5×10-7であ
る低熱膨張鋳鉄等の低熱膨張材で作製し、さらに、Yバ
ーミラー1bを低熱膨張ガラスゼロデュア(熱膨張係数
1×10-7)で作製することができる。
【0023】以上のように構成された本発明におけるレ
ーザ反射用のバーミラー1(1a、1b)の位置変化に
ついてさらに説明すると、主軸11の回転による主軸の
発熱がモータの発熱込みで300W程度の場合、主軸ハ
ウジングの冷却条件にもよるが、Yスライダ3の主軸1
1との接触部で2℃程度の温度変化が発生する。このと
き、Yスライダ3がS40C等の鉄鋼材料で作製され、
バーミラー1がスライダ3の中心から150mmの位置
に直接固定されていると、バーミラー1は約3μm程度
位置変化する。しかしながら、本発明の構成によれば、
バーミラー固定部材20、21は移動可能な押しつけ支
持部の構成によりYスライダ3の熱変形を吸収し、さら
に、バーミラー固定部材20、21に伝導する熱量はわ
ずかなため、温度変化は0.5℃程度で、さらに、バー
ミラー固定部材20、21を低熱膨張材で作製すること
により、バーミラー1の位置変化は0.04μm程度に
抑制することができる。また、バーミラー1に伝導する
熱はさらに少なく、そして低熱膨張ガラスで作製するこ
とにより、バーミラー1自身の熱変形量は0.04μm
に比べても無視できるオーダーとなる。
【0024】次に、前述のように構成された本発明の工
作機械を用いて、撮像系に使用する回折格子を旋削加工
する加工方法を図5を参照して説明する。なお、前述し
た実施例の部材と同様に部材には同一符号を付して説明
する。
【0025】Yスライダ3上に主軸11を搭載し、主軸
ロータ12にワーク雇い13を介してワーク14を固定
し、ワーク14を数千rpmで回転させるとともに、鋸
歯状の回折格子の最小角度θより小さい先端角度をもつ
ダイヤモンドバイト31を図示しないZスライダで上下
に運動させ、ワーク14をXスライダ(7)により図中
左右に運動させて、両者の運動を同期的に制御すること
により、格子形状を切削により形成する。
【0026】このとき、主軸11の回転に起因する発熱
によりスライダ3が熱膨張する際に、スライダ3にバー
ミラー1が直接固定してあると、ワーク14の中心とバ
ーミラー1のレーザ反射面までの距離lが前述したよう
に最大3μm程度変化し、ワーク1の中央の位置は変化
していないにも拘らず、位置計測系はスライダ位置がΔ
l変化したものとしてスライダを移動させてしまう。こ
の結果、回折格子の位置あるいはピッチPが破線のよう
にずれてしまう。ところで、回折格子の光学的な性能を
満足させるには、ピッチ誤差は±1μm程度が最低必要
であるが、本発明によれば、回折格子のピッチ誤差を数
十nmに抑えることができる。
【0027】また、以上の説明においては、主軸の軸芯
とバーミラーのレーザ反射面までの距離変化をバーミラ
ーの取り付け方およびバーミラーとバーミラー固定部材
の材料を選択することにより抑制しているが、バーミラ
ーをスライダに直接固定した場合でも、主軸冷却手段以
外に、スライダの熱膨張を抑制するように、複数の温度
センサーと複数の冷却経路からなるスライダ冷却手段を
別系統で配設して、スライダ温度を初期値から変動しな
いように制御することによっても、主軸の軸芯とバーミ
ラーのレーザ反射面までの距離変化は抑えることができ
る。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスライダ
装置および工作機械によれば、主軸を主軸軸芯に直角な
2方向に移動させる移動スライダの位置をレーザ測長機
により計測する際に、主軸が回転し発熱した場合でも、
主軸近傍に配置されたミラーの反射面と主軸の軸芯との
距離の変動を数十nm以下に抑制することができ、これ
によりスライドやワークの高精度の位置計測および位置
決めが可能となり、さらに、ワークの加工精度を向上さ
せることができる。
【0029】また、本発明の工作機械を回折格子の切削
加工に用いることにより、非常に正確な格子ピッチが得
られ、回折格子の光学性能を劣化させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による工作機械において、レーザ干渉計
によりスライダの位置を計測するようにしたスライダ装
置の模式的な平面図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿ったスライダ装置の
模式的な断面図である。
【図3】本発明による工作機械におけるバーミラーをス
ライダへ取り付けるためのミラー固定部材を図示し、
(a)は一部を破断して示すミラー固定部材の側面図で
あり、(b)は一部を破断して示すミラー固定部材の平
面図である。
【図4】図1におけるB−B線の沿った拡大断面図であ
る。
【図5】本発明による回折格子の加工方法を説明するた
めに図面である。
【図6】レーザ干渉計によるスライダの位置計測手段を
備えた従来のスライダ位置決め装置の模式的な斜視図で
ある。
【符号の説明】
1a Xバーミラー 1b Yバーミラー 2a、2b レーザ干渉計 3 (2方向移動)Yスライダ 5 平面ベース 6 Yガイド 7 Xスライダ 7a X横スライド 8 Xガイド 11 主軸 12 主軸ロータ 14 ワーク 20 Xミラー固定部材 20a 端部 20b 端部 20c 中央部分 20d ねじ穴 20e 貫通穴 20f 長穴 20g 突起 20h 貫通穴 21 Yミラー固定部材 22 ボルト 23a、23b 押さえピン 24a、24b (与圧ばね内蔵)セットビス 26 (ミラー押さえ)板ばね 28 (与圧ばね内蔵)セットビス 31 バイト

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸と、該主軸を主軸軸芯に直角な第1
    の方向に移動させる第1の移動スライダと、該主軸を主
    軸軸芯に直角な第2の方向に移動させる第2の移動スラ
    イダと、第1の移動方向および第2の移動方向の位置を
    計測するためのレーザ測長機および主軸近傍に配置され
    たレーザ反射ミラーと、該レーザ反射ミラーの反射面と
    主軸の軸芯との距離の変動を抑制する手段を有すること
    を特徴とするスライダ装置。
  2. 【請求項2】 レーザ反射ミラーをミラー固定部材によ
    り支持し、該ミラー固定部材を主軸を搭載する第1の移
    動スライダに測定方向の主軸軸芯位置で1点のみ固定
    し、他の支持点は押しつけ支持することにより、レーザ
    反射ミラーの反射面と主軸の軸芯との距離の変動を抑制
    することを特徴とする請求項1記載のスライダ装置。
  3. 【請求項3】 レーザ反射ミラーを低熱膨張材で作製す
    るとともにミラー固定部材を低熱膨張材で作製すること
    を特徴とする請求項2記載のスライダ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項記載の
    スライダ装置を用い、主軸上にワークを取り付けるよう
    にしたことを特徴とする工作機械。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の工作機械を用い、移動ス
    ライダに搭載された主軸上にワークを取り付け、該ワー
    クを回転させ、移動スライダを水平方向にそして切削バ
    イトを垂直方向に移動させて、該ワーク面上に回折格子
    を切削加工により形成することを特徴とする回折格子の
    加工方法。
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